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（ ‥）時々、出版関係者から
聞く悩みですか。
（‥ ）まあ、そうね。
ようするに
：簡単な本を書くと作ると、そんなの知っていると言われる
：では、と難しい本を書くと作ると、売れない
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（ ‥）子供向きの本でも作るのは大変でしょう？
（‥ ）大手出版社が出してる図鑑を見れば
分かるけども、監修者はきちんとした
人をちゃんと呼んでくる。
つまり、大人向きに作るよりも気を使うんだ。
大人は自己責任で本を買うから
騙されてもそれは本人の脳の責任だが
子供相手にそれはできないからな。
少なくとも、子供相手の本では一応全部、論文や参考書や教科書にあたらないといけない。最低限。やれる限り、可能な限りそうする必要がある。
あっ、こんなの知っている、と買った人間が子供向けの本に対してそういうことを言うのは勝手だ。だが作る側が知ってること書けばいーや などという態度で作るのなら。
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（ ‥）噴飯ものだと？
（‥ ）今すぐ、チキチキカッターで
首を切れ、即座に自殺しろ
ってやつだ。
それは死をもって償わねばならぬ罪である。
そういえばもうずいぶん昔だがこんな話を聞いた。あるライターさんのところに素人だけどもサイエンスの本を書きたい、と言ってきた奴がいた。監修者になってくれというのである。心良く引き受けたのだが、話を聞いて絶句。
∧∧
（ ‥）新聞の切り抜きとか本の切り抜きとか
それを集めて本を作ろうとして
いたんですよね。
（‥ ）お前は聞き知った伝聞と知識だけで
本を作る気か？ 馬鹿だお前は、
というやつでね。
可能な限り、一次文献、論文、原著にまでさかのぼれ。新聞とか一般書籍は論文から引用して記事にする過程で、どっかで必ず中身に歪みが生じている。だから伝聞の知識は可能な限り、機会があればある限り減らせ。
逆にいうと、大人の知識とか本に対する態度ってのはせいぜいが先の素人のような、そんな程度のものであるらしい、とも言える。
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（ ‥）まるで子供だと。
（‥ ）これティラノサウルス、こんなの
知っている！！ と言って図鑑を
抱えたまま走っていっちゃう子供
みたいなもんだ、そういうことだね。
いや、お前、目の前の標本をちゃんと見ない奴はダメだと思うぞ、と思うけども、当のご本人はそうは思っていない。
（ ‥）あの子にティラノサウルスの坐骨の
識別の仕方を教えても途中で
寝ちゃいそうだよな。
∧∧
（ ‥）まあ、分かりませんけどね。
大人は自分は大人だと思い込んでいるだけで、しかし頭は子供。考えてみれば我々自身、思い当たるふしが山のようにある。
さてもさても、しかし我々自身のことながら、こんな痛い相手に、どーやったら妥当な知識を伝えられるものか。
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（‥ ）でも、イアペタスの生成や
＼- 地下数キロにすむ線虫とか
そういう話題は理解してくれる
わけですよね？
（‥ ）逆に言うとあれかな？
プライドだけは一人前で
理解力は子供のくせに
好奇心は子供のままってことか？
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（ ‥）子供向けの本を、まんま
大人向けの記述にしたら
いいとか？
（‥ ）そういうことかね？
∧∧
（ ‥）意外と簡単かもしれない？
（‥ ）かもしれない。
