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2010年7月31日土曜日

なぜこんなことも分からない??という非生産的な愚痴

 
 
    (‥ )「かくあれかし」そういう理想を持っていると
         しばしば挫折する。おそらくね。
 ∧∧
( ‥)まあ、、、そうかもしれませんね。

 
 かくあれかし、かくあるべし。理想は現実を説明する理論ではない。だとすると現実を説明する理論でないもので現実を操作しようとするから

 ∧∧
( ‥)だからうまくはいかないだろうと
    でも必ずうまくいかない、ではないですよね?

    (‥ )説明する理論ではない=説明できない理論
        というわけじゃないだろうからね。
        *つまり、説明する理論ではない≠説明できない理論

 とはいえ、説明するために提案した”わけではない”理論で事を行えば、まあろくなことにはなりそうにない。

 ∧∧
(‥ )でも説明するはずの理論で事を起こしたけども
\-   大失敗した事例もありますよね。

    (‥ )マルクス主義とか、それのルイセンコ主義というか
        ルイセンコ運動なんかそうだよな。

 社会も人類の歴史も生物も森羅万象を説明できると豪語した理論で、マルクス主義的だから論理的に正しい、と言い続けて現実の前で大敗北を。運動挫折、国は滅び、誰も見向きもしない。

 ∧∧
( ‥)説明する理論=理論が現実を操作できるほどに妥当、
    ではないですからね。

    (‥ )そもそも人間の作った理論はどれも説明はある程度できるけど、
        もっとうまく、広く、正確に説明できる理論が提案されれば
         それに席をゆずってきたからね。

 だから言えばこう。説明する理論は妥当な理論ではないし、現時点で妥当な理論が未来永劫、一番妥当な理論でもない。

     (‥ )でも、かくあれかし、はそうですらない理論
 ∧∧
( ‥)まあ、現実のふるまいを記述するというよりは、こうあるべきだ、
    という素朴な考えですからね。もはや理論と呼べるものでさえ
    ないのかもしれません。

 とはいえ、例えば人は皆平等なのだから、皆に公平に資源を分配するべきである、というのは大前提から導いた結論であるわけで

     (‥ )理論といえば理論ではあるんだよな
 ∧∧
( ‥)はあ、そうかもしれませんけど、
    そんな大層なものなんですかねえ。

     (‥ )理論武装はするだろ? 理路整然と言葉を語って
         皆を説得しようとする。
 ∧∧
( ‥)ご本人達は大層なものだと思っていると?

 そうじゃねーの? 
 
     (‥ )だって、挫折すると愚痴ばっかこぼしてるじゃんよ。
         取るに足らない思いつきならああはなるまいよ。
         大層なもんだ、と得意絶頂だから挫折すると
         わーわー泣くんだでや。
 ∧∧
( ‥)確かに、、、愚痴を熱心にこぼしますね。

 まだテレビがあった時代に熱く語るタレントが、ブラウン管の向こうで、「皆が同じ思いを抱けば戦争はなくなる、世界は変えられる」と言っていたけども。

     (‥ )だが戦争が無くならない
         無くなったためしもない。ってことは
         世界はそういう仕組みでは動かない、
         そういうことだろ?
 ∧∧
( ‥)ようするにかのタレントの意見は馬鹿げた主張だと。

 馬鹿げているというよりは、痛い主張だと言えばいい? これは別に戦争に限らない、主語を別なものに変えればいくらもこういう事例が思い浮かぶ。

     (‥ )みんなが投票すれば政治が変わる、
         みんなが考え方を変えれば問題が是正される。
         でも仕組みや挙動を説明することにすでに失敗している
         理論を熱く語ってもどうにもならんだろ?
 ∧∧
( ‥)でっ? ああいう人たちは疑似科学状態であると?


     (‥ )疑似科学というカテゴリーに入るとは思えないけども、
         経験や新しいデータをフィードバックできない、
         よりよい仮説や理論の探索へ向かわない点は
          共通しているよね。
 ∧∧
( ‥)まあ、そうかもしれませんね。

 
 人間の大部分はなんとなくこれがいい、というごく単純な計算で投票するらしい。

 それなりな政治家は、当選しないと政策を実行できないのだから、当選するにはその場限りの嘘でもなんでもつくらしい。

     ( ‥)どっちでもない人間は経験から方針転換することができず、
         政治家は嘘つき(当たり前)、有権者は馬鹿と言い、
         実現できない自分の夢と
         理想を握りしめて泣くだけらしい。
 ∧∧
( ‥)糾弾はするけども、座り込んだままで
    動く事もできずに暗い顔をしていると?

 なぜそんなことも分からないのか? という糾弾自体が、そんなことすら分かっていないから出てくる言葉なんだろう、おそらく。

     (‥ )例えばの話、適切な理論があったら、
         こうすればいいかな、、
         おっ、うまくいくぞ!! と実行するだけだろ?
         愚痴なんてこぼさないぜ。
 ∧∧
( ‥)まあねえ、批判するってことは適切な理論がないから
    挙動を適切に説明する努力より、
    お手軽に糾弾することを選んだ結果かもしれませんねえ。

 へぼな監督が「なんでオレの言う通りに動かないんだよ、これすれば必勝なんだよ」というような感じ?

 


 

へたり込むのならさっさと還れ

 
 電話をしていたら、その家、その部屋ですやすやと寝ているはずのポメラニアンが「うううわおおおおおーーーーんんん」と

 
     ( ‥)・・・わっ、びっくりしたあ
       -゜
 ∧∧
( ‥)遠吠えですかね?

 時たま、寝ぼけてそんな声を出すそうな。

 ∧∧
( ‥)ポメちゃんも他の犬種と同様に遠吠えを
   するんですかね? 聞いたことはありませんが。

     (‥ )そのポメちゃんは寝ぼけた時しかしないそうだけど、
         オオカミになっている夢でも見ているのかねえ?

 もっとも、そうであるなら僕らはサバンナを歩いている夢を見るだろう。

 さて

 オレ様理論やトンデモと、彼らが世間に抱く恨みは

     (‥ )因果関係というよりはむしろ
         相関関係?
 ∧∧
( ‥)そもそもそんな関係があるかどうかが
    問題ですけどもね。

 ともあれ、こんなことを考える。

 問題解決に最低限必要な条件は何?

:広範囲を探索する力
:解答候補の妥当性を比較する適切な手段

     (‥ )比喩で言えばなんのこっちゃない。飛べて、花の特徴と
         花のそれぞれの蜜の量をちゃんと比較できるハチは
          蜜の多い花がどれか決定できる。
 ∧∧
( ‥)ようするに体力と定規(メスシリンダーとか)があればいいのだと。

 逆に言うと、これらの両方、あるいはどちらかが欠けると妥当な解答の探索はできない。たぶん。

 またあるいは

     ( ‥)最初の思いつきに固執しても解答探査は失敗するんだよな。
         いや、固執してもいいのだけども、比較する手段で適切に
         評価しないと、駄目な仮説に固執することになる。
 ∧∧
( ‥)データからそれを説明するグラフを思いつく、
    でもそのグラフの妥当性を評価する、グラフと独立した
    基準がないとグラフをただ正当化しているだけで、
    端から見ていると「意味ねーじゃん」に
    なっていることありますからね。

 オレ様の作った車すごいよ、前より性能アップしたよ、オレ様の理論にそって改良したからだよ!!

 ∧∧
(‥ )でもコンクールの時速では最低ですね、
\-   おまけに熱効率がめちゃくちゃ悪いですよ。

     (‥ )とまあ、彼らはいわばオレ様定規を使うわけだけども
         みんなが使っている定規で計るとまるでお話に
          ならないんよね。

 ∧∧
( ‥)でも、ご本人達は解答探査できていると
    信じているのです。

     (‥ )それはそうだな。自分の定規、オレ様基準で計測すれば
         最高であるし、最高であるのを選んでいるだろうから。
 
 ただ、その定規の性能、それ自体が「駄目じゃん」であるというだけ。

 ∧∧
( ‥)そして、よりよい解答を探しにもいかないと。

     (‥ )標高を計る機械や計算式が狂っていたら、
         自分のいるところこそ最高点=山頂だと思う
          そりゃあ探しにはいかないよ。

 固執するから探しにいかないのか、定規がとち狂っているから探しにいく動機を見いだせないのか、あるいは

 ∧∧
( ‥)単に体力がないのか?

      (‥ )機能とその考察こそ進化の道を知る手がかりになると
          今だに信じているじいさんみたいにな。

 信じているから探しにいけないのか、探しにいけないから信じているのか

       ( ‥)だが、不幸なるかな、人間の多くは妥当な解答探索の
           手段をちゃんと知っている。
 ∧∧
( ‥)研究者は自力で解決し、一般の人は頭のいい奴の解答を
    丸写しするのだと。

 さながら夏休みの最後、宿題をどうしよう・・・。頭のいいやつは全部とっくに解いた。頭が悪いが、というかめんどくさがりだが効率のいいやつは頭のいい奴の解答を丸写し。

 ∧∧
( ‥)でも、自分で考えるんだ!! しかし、意気込みはあれども
    かしこくない人間は

      (‥ )勝手に解答を考えて間違った答えを提出すると。

 頭もよくないし、さりとてかしこくもなれない。考えもしない連中を軽蔑しているのに、そういうやつの方がうまく問題を切り抜けて、しかも軽蔑しているはずの相手達は自分には見向きもしない。

      (‥ )人間というのはそういう意味では未知なんだよな、
          「お前ら馬鹿、考えるオレ様すごい!!」と
           主張する人をスルーして、ちゃんと頭のいい人間を
           選び出す。概してそうね。
 ∧∧
( ‥)なぜでしょうね? 問題解決ができなくとも、
    あいての頭の出来を見極める力はほぼ全員が
    ちゃんともっているというわけですかね?

 そうかもしれないし、もっと単純な理由なのかもしれない。ともあれ、ひるがえればオレ様理論屋が責任を周囲に転嫁するのは当然の流れ。

 ∧∧
( ‥)なんで?

      (‥ )自分が正しいと信念しているんだろ?

:自分が正しい=自分を認めない周りが悪い
:自分は正しいのに認められていない=不正であり、不正が行われている
:自分の理論が正しいのに理論通りにいかない=誰かが邪魔をしている

 その発想は正論(彼ら自身の内部では矛盾が起こらない必然であるという点では)


      (‥ )陰謀論や学会は保守的だ、反革命分子がいる
          大粛正しよう、世間は間違っている、
          民度が低い、全部同じ反応だろ?
 ∧∧
( ‥)ああ、自分の理論は世界を説明できていないんだ、
    ではなくて、自分の理論/理想論が実現しないのは
     周囲のせいであり、不正があるって考えると。

 そう考えるはこれ必然。彼らは”自分が正しい”ということを知っているのだから(もちろん、正しいという信念はその信念それ自体の正しさを保証してはくれない)。

 ∧∧
( ‥)でも結局それは適切な定規を持っていない勘違いです

      (‥ )だが彼らにとっては正当だ。
          しかしゆえに失敗を失敗と認められない。

 説明できない、という欠陥を経験してもそれを経験としてフィードバックできない。経験で理論を補正できない、経験を経験できない。つまり経験が無効化される。

 ∧∧
( ‥)ただの疑似科学です。

      (‥ )疑似科学だよ。

 いかにオレ様を言い立てても、つまるところ敗北のゴールが彼らの行く手にでっかな口を開けてまっている。10年、20年すれば趨勢が決まってしまう。今の思い込みを栄光だと勘違いして絶頂にふるまってもじわじわじわじわ影がやってくる。20年なんてあっという間だ。必死に防戦してもどうにもならぬ。人間の生はごく短い。

 ∧∧
( ‥)後は他人のせいにして陰謀だ、お前ら馬鹿だ、
    民度が低いだ、若者は駄目だとか

       (‥ )自分の頭の出来を他人に押し付けて恨み言をいう
           でも実際には、もう飛べもしない、歩けもしない
           ただのうずくまる老人だ。

 この世界はそんな老人でいっぱいで、しかしだから、人が死ぬのはすばらしい。

 ∧∧
( ‥)リセットは進展ですからね

      (‥ )次の世代には、より妥当なものを引き継いで
          もらわなくちゃいかんからな。
          失敗した理論は雲散霧消して、提案者と同じ場所へ
          還ってもらわねばいかん。

 秩序をすべて失って、二酸化炭素と水へ、我らが来たもとの場所まで還れ。




 

2010年7月30日金曜日

買う本は投資に見合っているか?

 
 
     ( ‥)・・・作業の進行速度が
       -□ 異常と思えるほどに遅れておる。
 ∧∧
( ‥)疲れているのでは?

 まあなんだ、ちょっと小休止して散歩にでも出かけるか。

 ∧∧
( ‥)体調を少し崩してから
    でずっぱりでしたしね。

     (‥ )こういうことしているから、余計に
         作業の効率が悪くなるのかな?

 体調が悪くなる→色々なことをひかえて仕事だけする→なんか微妙に面白くなくなる→疲れる・・・・

 というスパイラルか?

 
     (‥ )よし!! 我慢しないぞ
 ∧∧
( ‥)また、あなたはそういう・・・・


 さて

 本が売れない、という愚痴。

 ∧∧
( ‥)今の出版業界は毎年のように右肩下がり、
    言い換えれば以前はうはうはだったということですね。

     (‥ )以前がうはうはだと、そりゃあこぼす愚痴も
         恨みつらみになるんだろうな。

 やれ、携帯がいけない、やれ、読者の質が落ちた、やれ、日本人は愚かになっている 

 なんかバブルを忘れられない痛い中年のようだ。

 ∧∧
( ‥)実際は?

     (‥ )人間、馬鹿なんだい。馬鹿なものを買うのが人間、
         馬鹿にする携帯にシェアを奪われたのであれば、
         それは馬鹿を奪われたことに他ならない。

 本が文化であるなど馬鹿馬鹿しい。つか傲慢。

 ∧∧
(‥ )まあ、本もピンキリですからね、
 □-  受け継がれた本もあれば、どうでもいい本もあるし

     (‥ )おらあ、資料しか目を通さんぞ。

 でっ

 ∧∧
( ‥)お客が本を買わずに読んでいるだけ、という愚痴です。
\-
     (‥ )必要でないから買わないんじゃねーの?

 ふと思う。

 人間が情報のリサーチにかける時間は、通常たいしたことがない。

 
     (‥ )こうした事例→*からすれば時間で1〜数時間、
         時給換算した場合、数千円以内の投資を
         リサーチに”かけない”のが人間なんだ、とも言える
 ∧∧
( ‥)はあ、まあねえ。


 私たちが情報の真偽にかける手間ひまなんてたかが知れている。

 ∧∧
( ‥)あなたも不倫は文化だ発言を
    ちゃんと確認していませんからね。

     (‥ )人間が情報にかける手間ひまは
        1件につき10円かせいぜい100円ってとこかな?

 数十秒か、せいぜい数分しか調べないよね。だけども実際には正しい解答を知ろうとすると、時給に換算して数千とか数万が必要。

 すると、1000円の新書を買って情報を得ようということは・・・

     (‥ )時給1時間分で知りたい情報を効率的に手にする、という
         行為であるわけだ。
 ∧∧
( ‥)先の1件あたりにかける手間ひま=10〜100円という換算から
  -□ すると、1000円を支払ったのであれば、
    10〜100件分の情報が手に入れば採算に合う、という
    ことでしょうか?

 実際には1件だけでも採算に合うはずなのだけども、他人のリサーチ数万円は、本人にとって時給換算で10円とか100円ぐらいなもんだろう。

 ∧∧
( ‥)つまり購買者と著者の情報のリサーチにおけるレートは

     (‥ )1件あたり、10〜100円=
         数千〜数万円という換算ではないかな?

 そういう換算でも、まあ、本は大量生産品で原価が下がるので、こんなめちゃくちゃなレートであってさえ事実として成立してる。


     (‥ )自分で探すよりも手っ取り早く答えが知りたい、
         時給1時間分程度の投資で数十件分の情報が
         手に入りそうだと思ったら
         立ち読みだけでなく、買うんだろうねえ。
 ∧∧
( ‥)情報の件数をどうカウントするのかという問題もありますが、
    そんな感じなのかもしれませんね。

 
    


2010年7月29日木曜日

夏を駆けるオリオン


 
 ふと、仕事の合間に外へ出てみる
 
 ∧∧
(‥ )西の地平の上にオリオンです

    (‥ )きれいに輝いてるなあ。

 ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、オリオン座のベテルギウス、リゲル。

 冬の星座が日の出前の空にのぞく。季節がめぐる。




2010年7月28日水曜日

オレ、シラナイ、オレ、ワカラナイ

 
 ∧∧
( ‥)間に合いそうですか?

    ( ‥)うーむ、厳しいが、ベストを尽くそう
      -/
 
 なんかくらくらしてきた。

 さて

 こんなニュースを見る。

 22億年前に超温暖化。→*

 ∧∧
(‥ )・・・・これがニュースですか?
\-
    (‥ )何が目新しいのか、ぴんとこないよね。

 こっちのニュースではもっとずっとぴんとこない→*

 ∧∧
(‥ )???
\-
    (‥ )これでは、、、ニュースではないよね。


 しかしこれを見つける。→ プレスリリース

 ∧∧
(‥ )おーーー  きれいですねえ
\-  この縞縞の間にある小石はあれですか、流氷から
    落ちたものでしょうか?

    (‥ )じゃないかい? 細かい堆積物が縞縞に
        きれいに堆積している場所で、ぽつねんと
        場違いに小石があるって、そういう運搬だよね。

 でっ、いいんでしたっけ?

 ともあれ、成果をちゃんと読んでいけば、こういうもろもろの疑問だって確認できるだろう。

 ああ、でもきれいな地層だねえ、見たいなあ。

    (‥ )萌え萌えですよ
 ∧∧
( ‥)表現はともかく、同意します。

 さて、

    (‥ )最近気がついたのだが、世の中にはネット上の記事に
        リンクした人のブックマークが、さらにネット上で
        確認できるシステムがあるらしい。
 ∧∧
( ‥)なんかそうみたいですね。でもこれをごく最近になって
    知るってのは、ある意味、私たちが
    前近代的だということでしょうか?

 ともあれ、

 以上のニュースにもリンクが貼られているのを見つけた。当然、マークするのだからマークするためなのだろうけども、短いコメントが存在することを個人それぞれに関して確認できる。

    ( ‥)面白いコメントも見つけた。
      -/ メタンハイドレートが放出される原因がわかっていないのに、
         放出が超温暖化の原因だとどうして言えるんだ? 
         まあ、だいたいこういう内容。
 ∧∧
( ‥)はあ、それの何が興味深いんですか?


    (‥ )派生的な現象の原因が分かっていないのに、派生的な現象が
        次の原因になったとどうして言えるのか? という疑問。
        理にかなった疑義ではあるよね。
 ∧∧
( ‥)いや、第一の原因は分かっているでしょ?

 原因は分かっている。全球凍結が打ち破られるには大気中に二酸化炭素が蓄積すれば良い。→*

 ∧∧
( ‥)つまり原因は分かっています。

     (‥ )だから先の疑問はこう言い換えればより正確。

 ”すでに知られている第一の原因”を知らない=”第一の原因が分かっていない”のであるから、そこから派生した現象が次の現象の原因になったとどうして言えるのか? という疑問。

 ∧∧
( ‥)それは疑問というよりは誤謬です。

     (‥ )知らない=誰にも分かっていない ではない。
         誤謬だね。だけどもその誤謬から理解に至っている。

 誤謬から既存の理論ではない理解へと至る(あるいはこの事例に関しては至りかねなかったというのが適切か?)。


     (‥ )興味深い。この事例→*と似ている、たぶん、おおむね
         あるいはより慎重だったようにも見えるけども。
 ∧∧
( ‥)・・・あなた、オレ様理論、あるいはそれに近似が
    萌芽する瞬間を目撃したのだ、最低限、独自解釈の
    事例を見たのだ、そしてその機構を知る手がかりの一端を得たのだ
    そう思っているでしょ?

 興味深い

 ∧∧
(‥ )でも、どうすればこういう状況を回避できるんでしょ?
\-
     (‥ )えー? 簡単じゃね?


 オレ、シラナイ、オレ、ワカラナイ

   
 ∧∧
( ‥)具体的には?

     (‥ )もうすでにいった

 でっ、いいんでしたっけ?


 ∧∧
( ‥)・・・・ああ、そういう

     ( ‥)オレ、シラナイ、オレ、ワカラナイ

 ∧∧
( ‥)また具体的には?

     (‥ )当時のメタンハイドレートのメタンって
         メタン生成菌が作ったのー?

 オレ、シラナイ、オレ、ワカラナイ

 ∧∧
( ‥)分からないから調べるのだと。

     ( ‥)そりゃあそうさ。
       -□

 

 

2010年7月26日月曜日

頼るは無駄足

 
    ( ‥)妥当でない解答探索と、異説へのこだわり、
      -□ 正統への嫌悪、つながりそうでつながらない。
        つながらないようでいて、実はつながりそうな。
 ∧∧
( ‥)別に関連づける必要はないと思いますけどね。

 どうだろう? 妥当な解答を探索”できない”人たちには、”妥当な解答を探索するのに必要な方法”を欠いているという共通点があるとした場合、それはなにか必然的に共通する行動を生み出すのではないのか? という思いつき。

 ∧∧
( ‥)さて、、どんなもんでしょうかねえ。

    (‥ )まあそれはそれとして。

 体の具合はかなり回復、某所へ標本を見に行く。許可を得てスケッチさせてもらう。その帰り道、電車の中から見ていると。

 ∧∧  稲妻がぴかぴかしてます。落ちましたよ。
(‥ )
 -( ‥)電車、大丈夫かね。

 でっ、止まった。おう、乗り換えの駅まで後すぐだってのに。

 ∧∧ ざーざー夕立ちですよ
( ‥)
 -( ‥)動かねーなー

 ちーとも復旧の見込みがなく、30分。思い立って駅前に出てみてもタクシーはこず(電車が止まって踏切が上がらないために渋滞して駅までこれなかったらしい)、

 でっ、

 ∧∧ 何も走らなくても
( ‥)
 -( ‥)最後に頼るは自分の足ぞ


 というわけで隣駅まで走る。


 ∧∧ なんか、、、ちょうど隣駅で追いつかれたっぽいですが
(‥ )
 -(;— —)かまわんかまわん、復旧時刻をまともに知らせない連中に
       頼るくらいなら、走った方がまし、、、
       うげーー、げろ吐きそう。

 病み上がりにはちときつい。
 

2010年7月25日日曜日

あなたはマジョリティを憎んでいませんか?

 
 
    ( ‥)ようやく体の具合がよくなってきたみたいだ。
 ∧∧
( ‥)ほう、それはそれは。


     (‥ )この琉球泡盛「久米島の久米仙」の
      ∪- おかげだろうか?
 ∧∧
( ‥)さあ? どうですかね


 一般的でない仮説に入れ込む人はそこそこ多い。

 ∧∧
( ‥)なぜでしょう?

     (‥ )色々なことがありうる。

:スタンダードな理論よりも異説Aの方がうまく説明できていると感じた

 ∧∧
( ‥)大抵は勘違いですよね。

     (‥ )そうね、勘違いね。

:異説Aは問題Aを解決できるではないですか!!
:スタンダードな理論は問題B〜Zまでを解決できるが、異説Aはできないよね?

 ∧∧
( ‥)正統な仮説がすべての問題を解決できないどころか、
    むしろ新しい問題を抱えてしまうことは普通に
    ありますからね。

     (‥ )天動説から地動説に鞍替えすると、
         とたんに地上の物体がどうして振り落とされないのか
         説明しなくちゃいけなくなる、みたいにな。

 世の中には、ほらほら、正統はこの問題が解けない、オレ様の理論なら解けると得意満面になるやつがごまんといるが、

 ∧∧
( ‥)そんなことは皆しっていると。

     (‥ )それが解けても他が解けなきゃ意味ないからな。


 1つの解答でよしとするか、1つは駄目だが10を解けるを良しとするか?

 たしかに異説がついにスタンダードになる、ということもある。だけども

     ( ‥)スタンダードになる異説についていた素人って
         あまり、、というか全然見たことないんだよなあ。
 ∧∧
( ‥)ああ、まあ、どうでしょうね?

 もしかしたらこの世の素人が知るような異説は正統におんぶにだっこしているいい加減な仮説だからかもしれない。

 ∧∧
( ‥)?

     (‥ )正統派に文句をつければなんかおれかっこいいじゃん
         知名度あがるじゃんよ、という程度の異説が
         目立つんで、みんながチョイスする異説は結局のところ
         だめだめでスタンダードになんかもともとなれない代物、
         そういうことかもね、って解釈。

 あるいは異説を選ぶ理由にはもっといい加減な、しかし本人にとっては深刻な心理的な理由があるのかもしれない。

 ∧∧
( ‥)例えば?

     (‥ )正統とか多数派が気に食わない。

 ∧∧
( ‥)なんで?

     (‥ )自分が認めてもらえない=正統ではない
         だから自分を認めない正統=敵
         異説=なんかオレを見ているみたいで同情しちゃう
 
 例えばの話、ダーウィンに消された男、ウォレスはかっこいい、奥ゆかしい、という妄言(個人的に思うに、ウォレスはダーウィンの理論に関して、彼をたてるどころか破壊者としてふるまったと思う)。

 ∧∧
( ‥)そりゃあそういう人もいるでしょうけど、
    なぜにそういう人の存在を異説のチョイスと
    リンクさせる必要がありますかね?

     (‥ )そうねえ

 前、唯物論哲学入門、という本を読んだことがある。昔はやった本(の改訂版)らしい。

 ∧∧
( ‥)でっ?

     ( ‥)真実へ至る道が分かったと自称する少数派が
       -□ それを理解しない多数派の中で生きるために
          どう理論武装したのか、と言えばいいかな。

 ∧∧
( ‥)真実へ至る?

     (‥ )このプランを実行すれば正しい結果が得られる。
         そういうこと。


 しかし正しい道は我々には見えているのに、選挙では多数派に敗北してしまう、では黙るべきか? 否。以下、理論武装。

 ∧∧
( ‥)平たく言うと?

     (‥ )世界の挙動を記述するのに失敗した人たちが
         失敗したことを認めずに、相手のせいにするため
         一生懸命理論武装した本。

 こう考えればどう? 

 こうすれば世の中うまくいく、だけども皆がそういう行動を示さない。彼は絶望して言う。皆は馬鹿だ、どうしてこんなことも分からないのか? 世間は間違っている、世の中はおかしい、民度が低い、陰謀だ。

 ∧∧
( ‥)あなたに言わせると?

     (‥ )馬鹿はあんただ。

 結局のところ、なんのこっちゃない。人間の挙動や振る舞いを記述できる理論をあなたは作れなかった。それだけの話。だからうまくいくはずのない理論が導く、うまくいくはずはないがきらびやかな結果に幻惑されただけ。それは現実を記述できる理論を作れなかったあんたの勝手な妄想だ。自分の頭の挫折を他人に押し付けるんじゃねーよ。

 ∧∧
( ‥)ようするに?

     (‥ )世間は間違っていると思った時、
         持った理想がいくら正当でも、
         自分が手にしたプランは間違っている。

 世間が間違っていると感じた時、それは単に自分がとんちんかんな理論に手を出しただけ。その思いがいくら正当であろうとも、思いと現実は関係ない。


 ∧∧
( ‥)それと異説のチョイスと
    どう関係があります?

     (‥ )ふるまいが似ているじゃんよ。
         それにこの本、結構流行ったらしんよ?
         こういう人間が実はそこそこいるってことだよね。

 ∧∧
( ‥)はあ、つまりちょっとかしこくて正統に疑問を抱いて、
    でも、世間の挙動を記述できるほどではない人がいっぱいて

     (‥ )そういう人たちが異説支持者の源泉じゃね?
 
 そしてそこには恨みがある。
          
 ∧∧
(‥ )どうですかねえ? 異説支持者が世間を恨んでいるか
\-   そんな証拠があるのでしょうか?

     (‥ )ではなんで積極的に異説を支持するのだと思う?


 現実のふるまいを記述できない、しかし正統ではない理想的な解決策を手にした、という確信。


     (‥ )この2つの特徴は異説支持者も世間は馬鹿だ論者も
         共通しているし、この特徴があればこその
         必然的な選択肢だと思わないかね?
 ∧∧
( ‥)必然的なんですかね?

 理想的な解決策のきらびやかな結論。だがまて、どうしてその結論をこれまで誰も実行できなかったのか? それは誰も思いついたことがない画期的な理論、だからではなくて実行不可能な理論だからではないのか? 実行不可能な理論が実行不可能であったことが分かった時、さてそれは”これでは駄目だ”ということを知る機会になるだろう。にもかかわらず、なぜ世間は分かってくれないと自分の無能を棚に上げて、経験を無視して世間のせいにする?

     (‥ )だが、本人は大まじめ。そしてすでに理不尽に
         走っているだろ? もはや失敗の経験はいかせず、
         前に進めず、挫折の責任を他人に転嫁する。
         ここまできているのなら、挫折した
         自分の恨みを異説に投影するは、、、、、
 ∧∧
( ‥)理不尽な必然というわけですか?
    どうでしょうねえ???


 異説を信じているあなた、あなたは自分を認めてくれない世界を憎んでいませんか?


 ∧∧
( ‥)その言い様、ものすごくずるいですよ。

     (‥ )そうね、誰もが今以上に自分を認めて欲しいのだからな。
 
 人間のほとんどはたぶん、自分が過小評価されていると思っていて、そういう意味では世界をたぶん憎んでる。だからこの言い様はいかにもずるい。

 
 

なぜ手抜きをすることを決めたのか?

 
 
 生討論番組で温暖化を論ずるという企画があったそうで

 ∧∧
( ‥)あれが討論ですか?

    (‥ )世間の自称賢い知識人にとってはあれが討論なのよ

 そこで司会者は言った。科学的なことは分からないが、世の中が一方方向に進むのは危険が気がする。

 ∧∧
(‥ )というご発言をなされたそうですが
\-
    (‥ )いつも思うけども、この手の発言って単なる
        手抜きだよな。

 いや、選択肢のチョイスに困った時に使う便利で安易な手段というべきか。

 ∧∧
( ‥)どちらにしようかな、天の神様の言う通り・・・
   というのと同じだと。

    (‥ )同じだよなあ。でもあれなんだよね、天の神様の・・・
       ではないんだよな。

 もしまったく同じだったら、科学のことは分からないが、天の神様の言う通り、、、、と言うはずなので。

 ∧∧
( ‥)そうではなく、世の中が一方向へ進むのが危険だ、という
    言い訳を使用したのだと。

    (‥ )だとしたら、なぜその言い訳を採用したのか?

 世の中の100パーセントが同一のことを支持するとは思えないので、90パーセント以上で一方向だとする。

 ∧∧
( ‥)世の中が地動説一色になるのは危険なので
    天動説を支持します。

    (‥ )世の中が一色/一方向へ進むということと、
        仮説の妥当性は関係ない。

 そもそも科学のことは分からないが、と言った時点で、すでに”私は妥当性を放棄した”と意思表示したも同じ。

 ∧∧
( ‥)でも、彼にとっては科学=妥当性の追求、ではないのかも
   しれません。

    (‥ )あるいはスタンダードな理論=未来永劫に妥当である、ではない
        そういうことを言っているだけかもしれない。確かにね。

 だが反対に言えば、スタンダードでない理論=いつかは妥当性で返り咲き、ではない。

 当然、少数派の意見=実は頭のいい僕たちが考えたこの理論は馬鹿には理解できない理論で本当は正しいのだよ、でもない。

 ∧∧
( ‥)少数派の意見をあえてチョイスする正当性はやはり見えないと。

    (‥ )あえて正統派に異議を唱えることで結果的に正統派の
        妥当性をチェックする。そういうことはできるけども。

 だとしたら少数派につく必要は必ずしもない。なんでなんで?? とどっちに対しても質問を投げかければいいだけだから。

 ∧∧
( ‥)分からないことを分からない、どうなっているの?
    そう聞けばいいだけですよね。

    (‥ )つまり、分からない、分からないから皆さんにお聞きします。
        そう言えばいいだけの話であって、一方向に進むのは危険だ、
         なんていう言葉を付け加えることはない。

 ∧∧
( ‥)結局のところ彼の意思決定は分からない、ではなく、
    一方向に進むのは危険だ、ということになりますね。

    (‥ )分からないから分かりたい、ではなく、
        分からないから天神様の言う通りでもなく、
        分からないから、じゃあ一方向に進むのは危険だから
        で意思決定しようと。

 ∧∧
( ‥)一方向に進むのが危険だ、は妥当性と関係ありますかね?

    (‥ )妥当性とは関係ないと思うけどね。


 スタンダードな理論の中には間違っているものがある
 スタンダードでない理論でも正しいものがある


    (‥ )でも、スタンダードな理論は現時点では妥当性が最高であるから
        支持されているのだとも言えるね。
 ∧∧
( ‥)ようするに現時点では妥当性が他と比べて高いゆえにチョイスされた
    理論でない、つまりスタンダードでない理論をあえてチョイスするのは
    最低限、現時点での妥当性を無視しているってことになりますよね。

 つまりこう?

 科学は分からないけども、一方向に進むのは危険な気がする

 とは

 私は妥当性が分かりませんから、妥当性とは関係のない意思決定をいたします

 ∧∧
( ‥)ということになるだろうと。

    (‥ )そういうことじゃねーか?

 一方向に進むのは危険だ、と野党的な立場を強調して社会的役割とその正当性を訴えるのはマスメディアとかがよく使う手だけども。

     (‥ )あれはな、チョイスができなかった
         怠慢と惰弱を糊塗する言い訳なんだ。
 ∧∧
( ‥)はあ、まあねえ。

 飛べないし、舌も馬鹿になって蜜の量さえ計れないハナバチがいった。君らは赤い花が蜜が一番多いというけども、そういう風にひとつの花ばかりみているのは良くないと思う。だから僕は青い花に賭けてみようと思うんだ。

 若いハナバチは言った。ふーんそう。そして今日も花の蜜を集めに飛んでいく。

 この世界には最後まで飛び続けた老人もいるが、飛ぶことも出来ず、空想のお話をする老人が圧倒的に多い。
 

2010年7月24日土曜日

自分の不幸を語る

 
 
     (‥ )考えてみれば人間ってさあ、自分の不幸を
         とくとくと語るよなあ
 ∧∧
( ‥)ああ、まあねえ


     ( ‥)しかし、、、この世界の人間の不幸はどれも
          ほとんど大したことがない。
 ∧∧
( ‥)この世界では平均的なものが一番多い、そういう理であるのなら、
    平均的な不幸が一番多くて、平均的な不幸は別に不幸じゃないです
    からね。

 少なくとも、平均的に不幸な人間から見れば平均的に不幸な人間は自分と比べて特に不幸なわけではない。

 ∧∧
( ‥)それでも不幸を語るのだと?

     (‥ )前に他人の命は自分の時給10円ぐらいって話をしたろ?
         だとしたら他人の不幸は自分の不幸の
         1万分の1ぐらいじゃね?

 ∧∧
( ‥)でも、不幸を聞かされる側からすれば自分と同等か
    さもなきゃやっぱり1万分の1ぐらいですよね?

     (‥ )いやあ、だからみんな愚痴を語るけど、
         他人の愚痴を聞かされるのにもう
         うんざりしてるじゃんよ。
 
 ∧∧
( ‥)ではなぜに語る?

     (‥ )そりゃあ自分の不幸と苦労が世界一だから。

 他人の命が10円ならば、他人の不幸はもっと安いだろう。レート換算すれば自分の不幸がぶっちぎりで世界一。

 ∧∧
( ‥)世界一不幸だ、苦労だと考える有象無象が
    お互いに語り合い、お互いにくだらねーと
    思っていると? 

     (‥ )それがこの世界じゃないか?

 

以心伝心

 
 ∧∧
( ‥)以心伝心、心が伝わる、そういうことですね。

     (‥ )まあね。

 ∧∧
( ‥)心って伝わるものじゃないんですよね?

     (‥ )心が伝わる、気持ちが伝わるってのは
         単なる比喩だからね、実際には伝わらないよ。

 この世界のどこかには心が伝わる、と聞くと、へー?? 心って伝わるの? 馬鹿じゃねーの? とか受け取る人もいるのかもしれないが、まあなんだ、そういう人は白魚のような手って聞けば、うわっ気持ち悪い!! なになに?? 手に目がついてるんですかー?? とか言うんだろう。

 ∧∧
( ‥)実際には単なる意思表示ですよね?

     (‥ )あなたに危害を加える気はありません、あなたの
         社会的地位を脅かしたりはしませんとか、
         僕とつきあうと得ですよ、とかそういう意思表示だな。

 闘争で敗北した側の個体が服従の姿勢を示すとかそういうものと変わらない。あるいは女の子の鳥に食べ物を持っていって求愛する鳥と変わらない。

     (‥ )別に親しくもないし、むしろ心良く思わなかった
         相手の葬式にも出なくちゃいかんことがある。
 ∧∧
( ‥)でもたとえそうだと思っていても
    お葬式の場で「死んで当然、馬鹿なんだから」とか
    言いませんよね。

 いや、言ってもいいのだけども

 ∧∧
( ‥)社会的地位は失墜するでしょうね。

     (‥ )公の場でそういうことをするやつと
         付き合いがあるなんて知れたら、こっちまで
          迷惑だからな。そりゃあ敬遠されるし、
          結果的に社会的地位を失うことは避けられない。

 銀行の支店長が不倫して奥さんから離縁されたら

 ∧∧
( ‥)クビか左遷ですよねえ。実話ですけど。

     (‥ )そりゃあなあ、責任ある立場の人間がそういうことを
         したなんてしれたらなあ、大問題だからねえ。
          クビか左遷だよね。実話だけど。

 地位を失い、それで魅力も消えるのか、結局、彼女まで失うはめになる。

 まあ、人間は集団の中で外交とか権力に関わるゲームをしているようなもんで、

 ∧∧
( ‥)ルールからはずれるような意思表示を行ったら
    対価を支払わなければいけないと。

    (‥ )ルールというか敗北や失墜するような
        間抜けな選択肢をとったら、対価を支払うはめになる。
        そういうことかね。

 国だってそういうのは変わらない。これはしない、ここまでは妥協できる、そういう意思表示を外交的に常に行っている。冷戦中の核実験だってそういう意味では以心伝心。大気中にばらまかれた放射性物質の種類を調べれば分かるように、「我々はこのような威力の爆弾を持っている。手を出すな」という意思表示に他ならない。そして相手も当然分かるはずと思ってそれを行う。
 
 ∧∧
( ‥)あれはお手紙だったということですか。

    (‥ )比喩的には以心伝心。というか
        あれはあれで言語だってことだろうな。

 個人も結局はそういう立場であることには変わらない。いくら自分は違う、自分は自由だと言ったところで、そんなことはこの世界の全員が思っている。自分だけじゃあない。つまるところこの世界は個人個人のつばぜり合いの場であって、そこには力の均衡しかなく、状況から自由になれるわけではないし、自由なんてない。

 

 

あれはジョークか本気か?

 
 
 研究者だろうが、論文だろうが、それはしばしば恣意的とも言えるデータの取捨選択を行っている。

 ∧∧
( ‥)見栄えを少し良く見せていると。

    (‥ )ありがちなことだし、悪いこっちゃない。

 また、そういうことをしたからといって結論が間違っているわけでもまたない。

 ∧∧
( ‥)メンデルさんは異様にきれいなデータをとったけども、

    (‥ )周知のように、彼の名前と知見はすでに不滅。

 
 もちろん、単に”見栄えを少し良く見せました”を越えて、うわあ、だめだよこんなことしちゃあ、という取捨選択を行うと他人に「あなたはこういうことをおっしゃいましたが、私がデータをとったところこうなりますけど、いかが?」と

 ∧∧
( ‥)破壊されてしまうと。

    (‥ )他人に容易にぶっ壊されないような、データの背景にある
        何かをきちんとつかめ。つかまないとあっという間に
        食いつぶされちゃうぜ、そういうことだよね。

 そういえば昔、アメリカの古生物学者チャタジーさん、三畳紀の大型肉食動物ポストスクスを見つけた時に、見よ!! これはティラノサウルスの祖先だとのたまったのだけども。

 
    (‥ )まあ、なんだ、おい。ピュービックブーツとかあるしな
        後ろ足だけで歩行できるだろうし、
        ティラノの仲間ってな、言っても別にかまわないけど。
 ∧∧
(‥ )でも、骨を見ると、これ、普通にワニの仲間ですよね?
\-
 
 はいはい、ワニですよね。というわけでチャタジーさんの「ポストスクスはティラノサウルスの祖先」という説(というかもはやふかしこきすぎ)を真に受けた人は一人もいませんでしたとさ。

 ∧∧
( ‥)あまりにやわい、ホラのレベルの研究は
    相手にもされないと。

     (‥ )まあねえ
 
 チャタジーさんはこの後、最古の鳥プロトアヴィスとか”大発見”をするのだけども、そういうことがあったから、周りの古生物学者から「ああ、また・・・」と扱われることに(実際、プロトアヴィスも”ああ、また”であった:たぶん複数の、それもまったく違う生物の骨格が混ざっており、一部の骨の同定が致命的に間違っている、というのが一般的な評価。端的にいうとあれのどこが叉骨だ!! という意味)。

 ∧∧
( ‥)でっ?

     (‥ )ひとつ不思議なのはさ、オスモルスカさんが
         オヴィラプトルは鳥だ、ってどうしていったのか?
         ということでね。

 オスモルスカさん、有名な、でも、もうお亡くなりになった古生物学者。ある時、オヴィラプトルというどこかオウムのような顔をした恐竜の化石(一般的には鳥には近いが鳥ではないとされている)を調べて、これは鳥だという論文を書いた。

 ∧∧
(‥ )一応、分岐的な解析も行ったんですよね
\-   でも、この系統解析、露骨に恣意的ですよね。

     (‥ )現在の鳥とはたぶん別個に歯を失ったであろう
         原始鳥類だけを派生的な鳥の代表に選んだりとかね。

 ようするに歯がないとか、そんな形質でオヴィラプトルは鳥であるという(始祖鳥よりも派生的である)という解析結果を導きだしている。

 ∧∧
( ‥)でもこれ、だめですよね? オヴィラプトルの仲間には
    歯があるものもいますし。

     (‥ )論文が出た同じ年にはオスモルスカさんの論文を否定する
         論文が早々に出ちゃうしね。

 ああ、あるライターさんは「分岐学を信じる人たちはなぜこの分岐学的な成果を無視するのか??」と怪気炎を上げていたけども、

 ∧∧
( ‥)オスモルスカさんの論文はあまりにもやわなんで
    誰も真に受けなかったと。

     (‥ )先の怪気炎は分岐学であれ、なんであれ、系統解析は
         妥当性を論じているって言うことを知らないんだろうな。

 妥当性があまりにやわい論文はさっさと否定されて、誰も肯定的には引用してくれない。

 とはいえ

     ( ‥)ひとつ謎なのはさ、ではなんでオスモルスカさんは
         あんなことをしたんだろうかってことでね。
 ∧∧
( ‥)ホラを吹いて業績を上げるような、そういう
    軽薄な人ではありませんよねえ?
    老練な大御所でしたし。

 たぶんそう、、思うのだけども、ではそうであるのなら、なんであんな、素人が見てもこれ駄目でしょ、というような論文を書いたのか?

 ∧∧
( ‥)本気だったのでしょうか?

     (‥ )あるいはジョークの一種だったのか・・・

 あの後の彼女の記述を見ても、どこか謎めいている。



 

2010年7月23日金曜日

◯◯せよ

 
 
    ( — —)体調わりーなー
 ∧∧
( ‥)まあ、夏風邪ですから。

 某所へ出かけてスケッチする。お客のいない間にこそこそと。

 ∧∧
( ‥)みなさん写真を撮ったり、かじりついて、ずーーっと
    見ている人もいるじゃないですか。

    (‥ )とはいえ、展示物は自分だけのものじゃないんよね。
     -□

 どういわけか途中から急にお客が引き始めたので(びっくりするくらい人がいなくなった・・・)、スケッチ自体はやりやすかった。

 さて、そしたら説明係のボランティアの人が来て言うには、「私たちの仲間がスケッチした絵があるからいりませんか?」と、親切にもおっしゃられる。

 ∧∧
( ‥)いりませんと。

    (‥ )目の前にあるのに、なんでいちいち他人の絵を
      -□ 参考にしなけりゃいかん?

 もし、目の前にあるのに、観察せずに他人の絵に見入るのであれば

 ∧∧
( ‥)なんと?

    ( ‥)
      -□ 自害せよ。

 そんな選択肢をとるほど愚かで現実を観察できない能力は死で償わなければいかん。

 


情弱

 
 
 ∧∧
(‥ )情弱、ネットのような新たな情報網からはじかれた人とか
\-   物事にうとい人とか、テレビ、新聞を鵜呑みにする人とか
     そういう意味合いの言葉みたいですね。

    (‥ )そういう使用みたいね。

 
 ∧∧
( ‥)テレビ、新聞。それを見ていない(持っていない/とっていない)
    あなたも情弱ですか?

    (‥ )かもねえ、何が起きているのか知らないからな。

 日本がパラグアイ相手にPK戦まで持ち込んだと聞いた時には驚いた。

 ∧∧
( ‥)予選ですぐに消えると思っていたんでしょう?

    ( ‥)パラグアイ相手に・・、日本サッカーって
        そんなに強かったのか。

 テレビ、新聞を鵜呑みのお前ら情弱、情弱

 いや、ネットやツイッターの噂を鵜呑みにするお前らこそメディアリテラシーがなってない

 ∧∧
(‥ )という罵詈雑言の応酬が観測されました
\-
    (‥ )難解な用語を使用しているけども、ようするに
       「へへーん、こんなことも知らないでやんの」
        ということだね。

 ∧∧
( ‥)お前の解答の探索は未熟じゃ、という
    罵り合いであると。

    (‥ )つまり言い換えればあれだろ?
        人間は解答探索がさほどうまいわけではない、
        そういうことだろ。

 メディアリテラシーがなってない、とか、疑う目を持てとか、そういう言い様もちらほら見えてくるけども

    (‥ )たぶん、それが致命的なのかもね。
 ∧∧
( ‥)なぜに?

 メディアリテラシーがなってないとか、疑う目、とか、悩む力、疑問力、新聞を疑え、とか、


    (‥ )これってさ、解答候補が必然的に複数出てきた場合、
        その中からどれをチョイスするのか、その基準について
        まるで語ってないよね?
 ∧∧
( ‥)語らなくても明らかである、そう思っているのでは?

 いや、そのなんだ、それはまずかろう。

    (‥ )チョイスの基準がブラックボックスではなあ
        その判断の妥当性が見えてこないじゃないか。
 ∧∧
( ‥)はあ、まあねえ。

 つまるところ、メディアリテラシーだの疑問力だの、悩む力だの、なんだか分からないことをしました、という程度の意味しかないんであって。

 ∧∧
( ‥)情弱って言葉もそう?

    (‥ )その言葉自体はあれだ、
        思うにあなたは私よりも知っていません
        という意味で、言葉自体は妥当性について
        語っていないよね。

 だから私より知っていません、と言っているお前が俺より知っていませんだ、という罵り合いがあるわけで。

 ∧∧
( ‥)解答探索には妥当な判断基準と、
    判断基準の妥当性の提示、それが
    重要であると。

    (‥ )訪れた花の蜜の量の多い少ないが計測できない
        ハナバチは、どの種の花を訪れるのが適切か
        おそらく判断できないだろ? 先の言葉たちは
         探しました、という意味しかないから無力だぜや。

 メディアリテラシーも疑問力も悩む力も探してます、とは言っているが、それが頂上を目指す確実な道を歩んでいるのか、単に遭難しているだけなのか区別ができない。

 ∧∧
( ‥)情弱という言葉は、少なくとも
    お前より俺の到達点の方が標高が高いと
    言っている言葉ではあるんでしょうね。

    (‥ )問題は標高の計測に関して、情弱という言葉は
        何も語ってはくれない、ということであってね。

 標高の計測の仕方、それ自体がへにょへにょだとどうにもならない。

 ∧∧
( ‥)俺の方が高いと言って勝ちを誇っても
    意味がないと。

    (‥ )ないかもしれない、そういうことだよね。
        もちろん、通常は高いことを説明してから
        「あなたの方が標高が低いでしょ?」と
         言うわけなんだろうけど。

 ただ、オレ様理論屋を見れば分かるように、標高の計測の仕方自体が個々で異なっていると、オレ様理論屋は「オレ様がついに登頂に成功した!!」と得意満面で言っているのを、周囲の登山客があきれ顔で見下ろしていると、「なんでオレ様のここが山頂だと認めないのか!!」と騒ぎ立てるので、「どっしようかなー」と眺めやる

 ∧∧
( ‥)という状況が起こりうると

    ( ‥)実際、起こっているわけだけどさ。

 後、そうねえ、けちった人は負けっぽい。

 ∧∧
( ‥)けち?

    (‥ )計測手段がしっかりしていても、体力がないハナバチは
        そもそも花を訪れないから比較できないか、さもなきゃ
        ベストを発見できない/しにくいよね?

 どっかの掲示板でオレ様鳥進化論している人たちは結局、教科書を読んでいない。進化学の本を読んでもいないのに進化を論じてる。どこぞの人は地学の本も読んでないのにマントルはドロドロだと思ってるし、クレーターの中央丘は火山だと思い込む。どっかの人はKT境界が世界中にある、というWikiを読んで、隕石衝突は1度きりではない、と思い込むし、ある人は磁気層序学も調べないまま、イタリア、グッビオのKT境界はきっと数十万年もかかって堆積したと思い込む、あるライターはグッビオのKTは2層あるから(??)、これは30万年前に隕石が落ちた証拠(30万年前の話の元ネタは中南米だよね?)と書き立てる。うお、プロが書きやがった。すげー。

    (‥ )ほら、”けちってる”と”解答に辿り着けない”が
        リンクしてる。飛べないハナバチが最良の花を
         探索できないように、解答に辿り着けない。
 ∧∧
( ‥)ああ、まあねえ。

 思うに、時給換算して数千から数万円分をけちってる。

 ∧∧
( ‥)あなたはテレビと新聞をけちりました。

    ( ‥)情報を処理する能力も容量も
        本の置き場所も無限じゃないんだよ。

 人間、やれることは限られている。だから体力と計測用の物差しがあるジャンルでだけ活動するのが精一杯。

    (‥ )ハナバチだって、雑木林の樹液のことは
        きっとお手上げだぜ。
 ∧∧
( ‥)分野外のことは「知らない」と正直に言えってことですかね。


 ついでにいうと。

    (‥ )問題解決に知能は必要ない。
 ∧∧
( ‥)まあねえ。

 知能のない生物が問題解決に成功する一方で、知能があると自称する人々が問題解決に失敗する。考えることも情報収集することも、それだけではやはり問題解決には十分ではない。



 

2010年7月22日木曜日

私が手にしたこれは何?

 
 
    ( ‥)一仕事終えたんだが、
      -□ 体の調子が今ひとつなんだよね
 ∧∧
( ‥)夏風邪ですか?

 かもしれない。先日、クーラーをつけっぱなしで寝てしまったし(28℃設定ではあったけど)、あるいはもともとクーラーが嫌いなので、暑い日中もつけずにずっと仕事をしていたせいか。

 ∧∧
(‥ )室温が34℃に到達してましたよ。
|-
    (‥ )普通に、体が疲れているのかね?

 さて

 以前、某所でこんな話をした。1冊の本でもらえる原稿料なり印税は平均して70万あまりだから、1年間に4冊の本を書くことを考えると

 ∧∧
( ‥)年収が300万を越えることは不可能ではないが
    難しいと。

    (‥ )まあ、突破するてっとり早い方法は幾つか
        あるんだけどもね。

:皆が注目するような嘘を書く
:プロデューサー業に転職して、複数のゴーストライターに大量にかかせてピンハネする

 ∧∧
( ‥)まあねえ、ありがちな手でありますねえ。

    (‥ )まっ、なんだ、こんな話はともかくとして。

 さるライターの方がこの話を聞いてblogで書いた。確かにライター業は厳しい立場に置かれている。その時その方が取り上げた話題のひとつにこんなのがあった。

 講演を頼まれた。前日にパワーポイントを用意して、当日、講演。もらった金額が・・・

 ∧∧
( ‥)前日の用意にかかった時間、当日、でむいた移動時間、
    講演に費やした時間、拘束時間などを考えると全然足りないと。

    (‥ )ありがちな話なんだけどね。

 お話していただけませんか? そう言うのは簡単だけども、だがそれには、単純に拘束時間だけを考えても結構な金が必要だ。準備と質となるとなおさらだ。

 ∧∧
( ‥)でも今回の話題のキモはそこではありませんよね?

    (‥ )その人のそのblogの発言を見て、こんなことを
        ネット上で言った人間がいる。

 曰く、こんな内容。

 前日の作業時間も含めて時給換算(ようするにもらった金額÷(当日の拘束時間+前日の作業時間+その他))するからおかしなことになる。

 ∧∧
( ‥)おかしいのはむしろその発言でしょうね。

    (‥ )準備に1日、作業に1日かけた。しかし日給は1日分しか
        もらえなかった。

 お金が足りない? 前日の準備まで考えるからそう思うんだよ。実作業は1日分だろ?

 ∧∧
( ‥)たわ言ですね。

    (‥ )好意的に考えれば、この言い様は以下のようなアドバイスだと
        解釈することはできるんだよ。

 1日分しか払えないから準備なしで適当にやればいいよ

 ∧∧
( ‥)質が維持できません。

    (‥ )質は維持しないでもいい、そういうことかな?
        あるいはそれが望まれているという
        ことでもあるかもしれない。

 ∧∧
( ‥)そうですか? 誰もが質を求めます。

    ( ‥)質に対して対価を払う覚悟がない。
        そういうことかもしれない。

 いや、でも先の”前日の準備の分まで時給換算するから”という発言に対してはこういう解釈もありうる。

 この人、原価とか必要経費とか純利益って言葉を知らないんじゃねーの?

 ∧∧
( ‥)みんな知ってますよ?

    (‥ )じゃあこう考えればどう?


 コミケなるものがこの世にあるという。そこでは自分で作った本を自分で売るのだそうだ。聞けば原稿をコピーしてホチキスでとめただけの同人誌もあるそうな。

    (‥ )コピー代とホチキスの針代、会場までの移動費、
        これだけを考えて価格を設定しました。
         黒字になるでしょーか?
 ∧∧
( ‥)なるわけないでしょ。

 まあ、同人誌は利益を出すことだけが目的じゃないかもしれないから、赤字でもそれはそれでいいかもしれない。

 ∧∧
(‥ )老舗で名が売れていて、(例えば)18禁とかの同人誌は
\-   売り上げが大変に大きいものもあるようですが・・・

    (‥ )18禁でもなんでもいいや、1枚のイラストを描くのに
        1日かかったとする。

 日給8000円だとして、1枚のイラスト代が人件費に換算して8000円だとする。

 ∧∧
( ‥)材料費、消耗品代は無視するんですか?

    (‥ )とりあえずね。

 同人誌のページ数は知らんけども、仮に30ページだとする(裏表紙とかはとりあえず無視する)。

 ∧∧
( ‥)まあ、描いたイラストが同人誌1冊につき30枚だと
    仮定するわけですね。単純化もいいとこですけども
    すると同人誌を作る”準備”にかかった人件費は
    24万円相当だってことになりますね。

    (‥ )1冊24万円で売ってもいいが、それだと
        誰も買わないだろうからな。
        取りあえず100部コピーしたとしようよ。

 ∧∧
( ‥)1冊あたりの人件費は、100分の1になりますが、
    それでも1冊あたり2400円相当ですよ?
    馬鹿高いですよね、お客からすればぼったくりですよ。

    (‥ )1000部コピーすれば人件費は1冊あたり
        240円相当だよな。


 しかし、ものすごく単純に考えると30枚のイラストのコピーには見開き(つまり本を開いた時に対になるページ)につきモノクロで10円、合計150円かかっているので。

 ∧∧
( ‥)1000部コピーの場合は1冊の人件費とコピー代が
    合わせて390円。

    (‥ )上乗せしないで1冊あたり390円で
        売ることになったとしよう。

 1回のイベント、あるいは委託販売することで、幸運にも30日間で1000部が全部はけたら、最低限、人件費とコピー代は戻ってくる。

 ∧∧
( ‥)でも、30日以内にはけなかったら、30日の作業(休みなしと仮定)
    が30日以内に取り戻せなかったのだから、赤字です。
    どんどんやせ細っていきますよ?

    (‥ )またさらにこう考える。準備期間を無視して、
        コピー代だけ考えて、1冊150円で売った。
        30日間で1000冊がすべてはけて、
        15万円もうかった、これでめでたしめでたしだろうか?

 ∧∧
( ‥)いやいや、それはコピー代を取り返しただけですよね?
    15見開き×10円×1000部=15万の必要経費が戻ってきた
    だけですがな。その15万は次のコピー代にまわさなくちゃ
    いけないですよね? 食費はどうなるんですか??


     (‥ )食費。イラストの制作者である本人を稼働させる
         金額だよね。それこそが人件費に近似。
 
 コピーや紙代を考える頭脳があったら、自分自身、何かを制作する自分というマシーンを維持する代金、それをかならず考えなくてはいかん(でないと死ぬ、普通に)。

 ∧∧
( ‥)でっ? この想定的な話が何か?

    (‥ )いやあ、コミケってよく知らないけどさ、
        あそこに参加している人たちって
        経済というか商売のこと、意外と分かっている
        のじゃないかなーと。
 
 いや、分かるはずだよね? いやおうなしに赤字だ、黒字だが身にしみて実感できるはずだから(本当に純粋に趣味であるというのなら話は別だけども、それでも”目撃”はできるだろう)

 ひるがえるに、前日の用意の分まで考えて時給換算するからおかしいとか言う人は、世界をどう見ているのか?

    (‥ )あるいはそもそもどんな立場なのか?
        普通の、ありきたりな職種の人間なのか?
         あるいは働いたことがない人なのか?
 ∧∧
( ‥)就職したけど、商売でどう儲けるか考えたことがない人なのか、
    そもそも就職もしなければ同人誌も売ったことがない人なのか
    そういうことですか?

    (‥ )言うなればだ、これは何を反映しているのか?
        前日の用意まで時給換算するなという意見は、
         普通のサラリーマンでも”言ってしまう”発言なのか、
         あるいは非社会人がしてしまう発言なのか?
 ∧∧
( ‥)あるいはその人、個人の問題なのか?
    ようするに、たまたま手にした”サンプル”が
    一体全体何を反映しているのか? ということですか。

 普通の人の痛い発言を見たのか? 痛い人の普通の発言を見たのか?

 私は何を見た?

 そしてこれは何を反映している?


 

2010年7月20日火曜日

黒に向かって降下せよ

 
  
    (‥ )先日は晴れの海を見たわけだが。
    -   →*
 ∧∧
( ‥)はいはい。

 晴れの海の南、静かの海との境界線はみょーに暗い(*月のうさぎさんマークの頭とお腹の境界線にあたる)。

 ∧∧
(‥ )スケッチによると南西の一隅が奇妙に黒かったですよね
 □-  クレーター、le Monnier(なんて読むの?)の南、
    100kmと少しぐらいですね。
 
    (‥ )最後のアポロ、アポロ17号の着陸地点って
        そこだったんだってな。
 
 ∧∧
( ‥)・・・・、ああそういう?
 □-
    (‥ )巨大クレーターである晴れの海のリッジ部分だろ?
        クレーターの掘り起こされて形成されたリムと、
        それを埋めた溶岩との対比をみたかったらしい。
 
 黒と白の対比に向かって降下せよ。

 ∧∧
( ‥)でっ、オレンジの火山噴出物を見つけたと
  -□
    (‥ )月なあ、いって自在に土壌(地球と意味は違う)を
        掘り返し、コアサンプルをとって、露頭を観察できたら
        面白いだろうなあ。

 噴出した溶岩だけでなく、コアをとればクレーター形成のさいにふっとんだ岩石が堆積することでできた地層が見れるらしい。もしも自在に歩き回り、作業しまくり、じっくりと考える時間があったなら、それはそれは面白いだろう。
 
 ∧∧
( ‥)堆積した地層をそれぞれ調べることで
    周辺のクレーターの細かい生成順序を
    相対的に調べたり・・・。

      (‥ )全月面的に堆積した大規模なクレーター放出物を
          キー層にして論じたりね。
          *月面の層序的な地質学自体は基本的には
           もうずいぶん前から(当然ながら)やられているそうな。
 
 二次堆積物(崩れたとか、別のクレーター形成にさいして掘り起こされた、ふっとばされたとか)か一次堆積物かでもめたり、それはそれは楽しいに違いない。

 ∧∧
( ‥)でも、月に人間を降ろすのって
    かなり無茶ですよねえ?

    (‥ )残念ながらねえ。

 とはいえ、見るだけでも楽しい、月の地質学。

 ∧∧
(‥ )後は月の地質学の本を手に入れなくては、ですね
\-
    (‥ )さてさて、なかなか見当たらなくてね。

 とはいえ、楽しいとはこういうことか。


結局はその人の腕でしょう

 
 もう少し面白い話をふれないもんか、こいつは。

 ∧∧
( ‥)とっ、あなたはそう思うと

   ( ‥)いやだってつまらないもの
     -゜ この馬鹿は
       ちょっとは話を工夫
       できないものなのかね?

 ∧∧
( ‥)でっ? あなたは?
    面白い話ができるんですか?

    (‥ )いや、できないし
        しない。

 面白いものは自分で探せ、考えろ。他人に求めたって面白いわけがない。

    (‥ )ただね、
        つまらないのはね...
 ∧∧
( ‥)勘弁してくれと。

 最低限、つまらない以上を求めます。


 さて

 こんなことがあった、昔、ある学会での一般向けの講習があって、質問の時間に質問したことがある。

 そのシミュレーションがそこまできれいに動くということは、実際の現象もその記述の通りだということですか?

 いや、この◯◯さんがやったシミュレーションはこれこれこういう値をはめこんでうまく動くように調整してあるものですから、そういうことを分からないとあなた駄目ですよ。

 ∧∧
( ‥)まあ、だいたいこういう
    やり取りでしたっけ?

   (‥ )正確には思い出せないけど
       こんな感じかな

 ようするにこう。

 これって本当?
 いや、恣意的な部分があるし、それがわからんと、あんた駄目よ
 
 そういうやり取り

 ∧∧
( ‥)赤っ恥をかきましたか?

   (‥ )いやあ? その可能性も
       念頭に入れていたから
       ああ、やっぱり
       と思ったかな。

 もう少し具体的に言うと、それは講演者である大学教授が別の研究者の研究例をひっぱってきたものだったけども

 ∧∧
( ‥)つまり

   (‥ )研究者による
       データのチョイスや
       解析手段のチョイスには
       ”恣意的”な部分がある

 ∧∧
( ‥)....当たり前のことですよね

   (‥ )当たり前のことだね


 科学は客観的な真実を追求するものだ、という信念やイメージとは違って、研究者は主観から自由にはなれない。

 ∧∧
( ‥)というかチョイスした仮説に
    基づいて作業している時点で
    それは主観ですね。

   (‥ )自動的にだ
       収集したデータも
       その採用された仮説から
       自由になれんのだ
       というか、そもそも
       その仮説に沿って
       データを集めている
       わけだし。


 しかしさりとて、研究者とは、仮説を支持するようなデータ”だけ”を集めているわけでもない。

   (‥ )まあ、仮説を支持する
       データ”だけ”を集めても
       いいんだろうけどさ。
 ∧∧
( ‥)そんなもの、
    あっという間に
    ぶっ壊されちゃうでしょ?
 
 だいたい、データを眺めているうちに
 
 ”うん?? これならいけるんじゃね??”
 
 という仮説を思いついたから、その仮説に基づいてさらなるデータを集めているのであって、

 ∧∧
( ‥)そうである以上、
    分の悪い仮説は
    そもそも最初からはじかれていると

   (‥ )誰もが、最低限、
      数年とか10年とか、
      そのくらいの期間は
      保ってくれる
      そういう頑健な理論を
      提案したいだろうしね。
      ぱっと見て”駄目だ”
      と思ったら
      そもそもその仮説や理論に
      賭けないだろうしなあ。


 とはいえ

 ∧∧
( ‥)これはいける!! と思ったら
    データをちょっと
    恣意的に選んで
    いかにもきれいにしてみせると

   (‥ )論文を読んでいると
       そういう事例に幾つか
       出会うもんだ
       
 
 つまり、こういう”恣意的なデータの収集”は、どこの分野でもあるんだろう。

 捏造みたいなものは論外にしても、事実をちょっとだけきれいにまとめてみせた(あるいは”そのように見えるくらいきれい”なものとか)、そういう事例は色々とある。

 ∧∧
( ‥)メンデルさんの
    遺伝のデータなんかも
    そうなんでしたっけ?

   (‥ )捏造ではないにせよ
       データが異常にきれいで
       これはあからさまに
       恣意的な操作をしたよな
       そう分かるものが
       あるよね


*胚乳の色。258株から8023個の種子が得られ、6022個は黄色で、2001個は緑色であった。「雑種植物の研究」岩波版 pp22
 
 こんなきれいなデータ、ほとんどありえないものだ。

 恣意的という点では、2005年に出た、”始祖鳥は鳥ではない”という論文も、まあ、あれもそういうものと言えるかもしれぬ。

 ∧∧
( ‥)始祖鳥の新しい標本を調べたら
    これまで派生形質と
    思われていたものが
    原始形質でした
    という論文でしたね。

   (‥ )その新知見それ自体は
       いかにも重大なのだ
       始祖鳥は知識が
       増えるたびに鳥っぽく
       なくなってきたけども
       とうとうここまで
       きたかという感じでね



 そしてこの論文では、でっ、このメンツとこの新しい知見に基づいたデータで系統解析すると、こうなりますよ、という結果をさらに添付した

 ∧∧
( ‥)当時さる人が言ってましたよね
    あの系統解析は余計だ、と。

   (‥ )まあ、余計だろうね
      でもいいんじゃね? 
      幾つか形質が原始形質
      つまり使えないデータに
      なりました、それを
      ”以下のようなメンツで”
      系統解析すると
      始祖鳥の系統上の位置が
      既存のものと違う
      結果になりました、
      それだけの話。


 もちろん、この結論はニュースになり、人によっては
 
 ええっ?? 嘘!!?? 始祖鳥は鳥じゃなかったの??
 
 だったかもしれないけども、
 
 分かっている人からすれば

 「ああーはいはい。”このメンツで”やれば確かにそういう結果が出るよね」

 というような反応。

 ∧∧
( ‥)とはいえ、誤解を招くし
   いたずらにセンセーショナルな
   ことをするのは余計だって
   言われるのですよ

   (‥ )まあね、でも、
       やりたかったんだろ?
       実際、ニュースに
       なったのだから
       大成功よ。
       それになにより。


 嘘ではない

 ∧∧
( ‥)まあねえ、嘘ではないですよね。

   (‥ )得られた新知見の影響が
       あからさまに出るような
       メンツで解析を行った
       というだけでね。

 ∧∧
( ‥)その言い方では、まるで
    恣意的な結果を導く作業を
    肯定しているかのようですが。

  (‥ )肯定はしているよ? 
      ただし、こういうやり方が
      肯定されても、
      結果まで肯定される
      わけではない。


 恣意的に論文を書いた。それに不満があれば、その論文を打破する論文を書けばいい。

 ∧∧
( ‥)まあね、科学はその点では
    オープンスペースですから。

   (‥ )だからやってもいいけど、
       腕がないと、すぐに
       潰されちまうんよね

 まあ例えば、2年後の2007年には「やっぱ始祖鳥の系統上の位置は既存の場所でしょ?」という論文が出た(この辺りの話はこの本でちょろっと書いた→*)。

 ∧∧
( ‥)打破された、と。

   (‥ )結果が打破された。
      というかパフォーマンスは
      打破された、と
      見るべきなのかな。
      でも成果はずっと残るよ。
      事実、ニュースになった
      わけだしね


 そしてなにより、これらの形質は派生形質ではなくて原始形質であることが分かった、この成果はずっと残る。

 ∧∧
( ‥)そういう点では先の論文は
    賭けには勝った
    ということでしょうか?

  ( ‥)えっ?? 始祖鳥が
    ‐□ 鳥でない??と
      真に受けた人は...
      釈然としないのかな?
 
 そういう人の中には「騙された!!」と思う人もいるかもしれない。

 ∧∧
( ‥)でも、そんなのは
    分からなければ駄目だと

   (‥ )先の教授が言うようにね
       確かにそれは
       正論ではあるな


 科学ってそういう場所でしょ。

 科学は恣意的だ、主観的だ、どうせ新しい理論が出て古い理論が駄目になるから、どれも信じるに値しない。そう、うそぶく人もいるけども、。

 ∧∧
( ‥)そううそぶく人たちがいる
    場所よりも、ずっと遠い所で
    科学者は剣をふるって
    つばぜり合いだと。

   (‥ )科学の妥当性は
       結局のところ
       恣意的とか主観とかとは
       別のところにあるって
       ことなんだろうね。
 

 さもなきゃ勝負に決着がつくということはありえない。”これまでの権威”がデータと新しい理論によって打倒されるということもないだろう。科学は主観だ、オレ様も平等に扱えと言ったところでオレ様理論が支持されないのも、結局はそういうことなんだろう。

  
   (‥ )スポーツでも
       なんでもそうじゃん。
       何事も実力なんよ。
 ∧∧
( ‥)ああ、まあねえ。

 
 *2014.03.19に改行などを改変
 

2010年7月19日月曜日

天空のカエサル

 
 ∧∧
( ‥)もう少しですね
 
    ( ‥)まあ、ちょっと休むか。
      -□
 
 面白いこと、面白いことかあ。
 
 ∧∧
( ‥)テレビは面白さを皆に提供して販売、
    利益を得る商行為のようです
 
    (‥ )なんか、最近は前よりもつまらなくなったらしいけどね。
        *テレビを持っていないので今はどのくらい
         つまらなくなったのかは不明。

 人間の脳とその能力を性淘汰で説明した「恋人選びの心 性淘汰と人間性の進化」ジェフリー・ミラーに言わせれば、人間は自分を楽しませてくれる人間を選んだのではなかったか? ということ。

 ∧∧
( ‥)まあ、性淘汰ってのはそういうものですよね。
    特に哺乳類や鳥類(広い意味では爬虫類)は
    そうでしょう。

     (‥ )もちろん、好みの背景にはランナウェイだけでなく
         ハンディキャップとかもあるんだけどさ。

 楽しませてくれる人間ねえ。

 ∧∧
( ‥)最近のテレビはむしろ不愉快なものになっている
    そう聞きますけどね。

      ( ‥)それでも”無い”よりはましなのだろうな。
          さもなければ全員が捨てているはずだから。

 ∧∧
( ‥)楽しませてくれる相手がテレビの向こうにも(そもそもない)、
    手近な周囲にもいなかったらどうしますね?

      (‥ )自分で探すしかなかろう。

 何か面白いこと、で検索するとヒット数は多い(彼氏に「面白いことないかなー」と言われて引いてしまったと言う子の話は、まあ、仮説的で進化的な視点、とでもいうのか、そういう視点で眺めるとほんの少しだけ面白かった)。

 ∧∧
( ‥)求め、欲し、探す人は多い、そういうことですね。

      ( ‥)さて? では自分であれば何を探すか。

 特に疲れている時は何を探す?

 ∧∧
( ‥)というよりも、どう探す? ですよね?
    面白い植物が生えていた、でもスケッチする
    気力がない、って場合もありますからね。

      (‥ )昨晩はね、よく晴れていたんだ。

 望遠鏡をひょこひょこ持ち出し、ヘラクレス座に向けたらすぐにM13が見つかった。

 ∧∧
( ‥)メシエ天体、第13番。
  -□ 有名かつ、見やすい球状星団ですね。

      ( ‥)神奈川県の中央、空が明るいここでさえ、
          なんかざらざらして見えたからね。
          *星の集合である星団なので、ざらざらして見える。

 こと座のドーナッツ星雲は丸かった。アンドロメダ銀河はひしゃげて核があるようなぼんやりしたかすみだった。

    \\(‥ )条件が良かったから、どれもすぐに見つかった。
      ̄-    M13はずいぶんひさしぶりだし、
           こういうの、悪くないね。
 ∧∧
( ‥)よかったじゃないですか。

 もっと早い時間には月も見た。月の”晴れの海”

 ∧∧
( ‥)この本にはSerenitatisとあります。
  -□
     \\(‥ )ラテン語由来みたいね。serenitasだと、
       ̄-    晴朗、静穏、平静って意味になる。

 海をつくる玄武岩のマグマに沈んで、それのみかまるで放出物に押し崩されたように見えるクレーターがあるのだけども・・・

 ∧∧
( ‥)この本によるとそのクレーターの呼称は
  -□  Julius Caesar ですね。

     \\(‥ )カエサルも名前になっていたんだな。
       ̄-    このクレーターの有り様は
            月の地質学の上ではどう解釈されるんだろう?

 ∧∧
( ‥)面白いものは見つけられましたか?

     (‥ )そうね。


 地上から天空のカエサルを解釈せよ。


     

2010年7月18日日曜日

他人の知恵を素直に借りましょう

 
 
     (;— —)うへーー
      
 ∧∧
( ‥)クシクラゲで時間を喰われましたね。

 作業を一段落、公園の向こうの図書館までいく。帰りは丘の上でぼけーーっと本を眺めたり。

 
     ( ‥)また寝てしまったぞ。
       -□
 ∧∧
( ‥)まあ、10分程度ですから。

 本日の神奈川県の中央、風が強く、湿気は少なめ。青あおとした空。おかげで助かる。

 ∧∧
( ‥)でっ?

     (‥ )書評と同様、理論を展開するのが
         ”自分の脳みそのでき”を表示してしまう
         行為であるとすればだよ。

 *脳の由来がそういうものであったのかはともかく、書評であれ、理論の提案であれ、それは結果として、自分の脳みその出来をみんなにあからさまにしてしまう行為であることはまったくの事実。

 ゆがんでいるかもしれない自分の尾羽をわっさーーっと得意げに広げて、周囲から何あれ? と言われるくらいならば

     (‥ )他人の尾羽をもらってきた方がよくね?
 ∧∧
( ‥)ああ、自分よりも頭いい人の知恵を拝借すると。

 考えてみれば、「他人の受け売り」という言葉も行為もあるわけだから、これはありがちな戦略であるに違いない。

 ∧∧
( ‥)まあ、あまりに言葉の受け売りを”まんま”すると
    軽蔑されますけどもね。

     (‥ )でもだよ、オレ様で痛い理論を考えて、オレ様絶頂!!
         わからないお前ら馬鹿!! なんでこんなことにも
         気がつかないの?? なーんて痛い自己流するよりは
          マシじゃね?

 というか、自分の能力が及ばない分野、領域のことは自分より出来る人間の意見や業績を認めて、それを引用した方がいいっしょ。

 
     (‥ )これは誰々さんの意見で、これがスタンダード、
         ちゃんと引用元を明らかにすれば、
         知ったかぶりでもないし問題ない。
        
 ∧∧
( ‥)まあねえ、オレ様を言っちゃうよりはましでしょうね。


 人間、自分の尾羽(脳みそのこと)は出来がそんなに良くないんだから、素直に他人の尾羽を借りましょう。

     (‥ )すぐれた少数者と比べた時、我々の大部分は
         劣った能力しか持っていない烏合の衆なんよ。
         自分がエリートだってのは、痛いぐらいの
         楽天家で脳みそお天気。
 ∧∧
( ‥)まあ、優れているってのは必然的に相対的少数派
    のことですからね。

 というわけで、優れた他人の尾羽を拝借、これ推奨。

 ∧∧
( ‥)とはいえ、この選択肢も難しいことは
    難しいでしょ?

     (‥ )優れた他人の評価をする肝心の自分の
         脳みそが”あれ”だとろくでもない他人の
         尾羽を拝借しちゃうからなあ。
         *例:ホメオパシーって最高

 ついでにいうと、オレ様理論屋って連中は。

     (‥ )オレ様の尾羽が最高!! って
         思い込んだんだよな。
 ∧∧
( ‥)そういうことになるんでしょうねえ。

 でも、いくら誇示してもみんな顔をそむけてどっかいっちゃうのはなぜなんだと思う?

 

歪んだレンズで歪んだものを見たら、あら不思議

 
 先日、なんじゃあこりゃな本が出ていた。とはいえお客様の反応はよろしいに違いない、と思い、amazonとかの書評をのぞく。

 まあ、やはりその本を読んだ読者にとっては良い内容だったらしい。端から見ていると間違いだらけだけども、間違いがあるかないかは読者に認識されない限り問題ではないのだ。分かっただの納得しただの、分かりやすいだの何も保証していないジンバブエドルだということでもある(*紙幣を自称する紙くず、という意味)。

 低く評価する書評もあった。

 ∧∧
(‥ )理系なんで難しいです、漢字が難しいです
\-   ふり仮名がないです

     (‥ )・・・・・

 ああ、まあねえ、そうねえ、確かにあの本はトンチンカンな内容だけども、これらの書評の場合、それは読んだとか見たとか以前の問題だよな。

     (‥ )思うんだけども、自分の頭のそういう出来を
         公開することないと思うんだけどね。
 ∧∧
( ‥)まあ、、そうですね。

 学校で提出する読書感想文に、この本は理系なんで難しいです、とか、漢字が難しかったですとか書くのか?

 ∧∧
( ‥)書くかもしれません。

     (‥ )じゃあ、あれだ。みんなの前で発表できるか?
         恥さらしもいいとこじゃね?

 人間の脳が過剰な飾り物なのかどうかは分からないけども、書評は確かにクジャクの尾羽と同じようなもんだとも言えることは言えるよねえ。

  ◯
◯ ∧∧ ◯
 ( ‥) うにー
 -   -
     (‥ )もてるかどうかは知らないけども、
         何らかの誇示ではあるよな。

 まあ、そもそもHPとかblog自体が個人宣伝、個人誇示なんで、どれもこれも、そしてこれもクジャクの尾羽みたいなものなんじゃー、と言えば、まあそうかもしれない。

 ∧∧
( ‥)書評にしてもオレ様理論にしても
    自分の脳みその出来を誇示する行為で
     あることには変わりない?

     (‥ )まあ、結果的には頭の出来が分かっちゃうよな。
         ”漢字が難しいです”って書いちゃったりするとね。

 本を読んでないとばれるし、論文に眼を通していないことがばれる、ネットでさえ数時間の検索もしていないことがばればれ、基礎的な知識が抜けていることも英語の辞書を引く努力すらしていないのが丸分かり。

 ただ、クジャクの尾羽と人間の頭の出来は違いがあるっちゃあるよねえ(たぶん)。

 ∧∧
( ‥)いかに?

     (‥ )クジャクは尾羽と眼が独立しているよね。

 最低限、ごく単純に考えた場合、比喩的に言うとクジャクはひんまがった尾羽とひんまがっていない尾羽を区別できるし、みすぼらしい尾羽と立派で健康的な尾羽を区別できる。

 ∧∧
( ‥)眼と尾羽は最低限、独立していますから。

     (‥ )だけど、人間の脳はそうじゃないよな。

 少ないデータで満足して最初の思いつきに拘泥する脳みそ、なんてものがあった場合、その脳みそは他人の意見なんか聞きやしないし、

 ∧∧
( ‥)スタンダードな意見(大量のデータで検証された理論)を
    理解できないし、受け入れないし、そして得意絶頂、
    オレ様理論を展開、誇示すると。

     (‥ )ネットだろうが、本だろうが、へぼな論文だろうが
         学会に乱入したやばい親父だろうが、オレ様理論を
         展開、誇示する連中は、自分では自分の
          歪みが認識できない。

 出来るわけがない。出来たらしないし、出来ないからしている。

 ∧∧
( ‥)ひんまがった尾羽を誇示して、オレ様すごいって
    がんばる様子は、端から見ていると「うわあ、、、、」
    なんだけども。

     (‥ )当人はあら不思議、歪みが見えてございません。

 歪んだ自分で歪んだ自分を見ていれば、自分の歪みは見えずに他人が歪んで見える。

 もちろん
 
 ∧∧
( ‥)歪みというか主観的な仮説は誰でも
    もっているものですけどもね。

     (‥ )自分はここにいる、とか、
         昨日の自分と今日の自分は同じだ、とかな。

 自分がいる、だなんて自信満々に言えるってのは馬鹿馬鹿しいと言えば、馬鹿馬鹿しい。

 しかし必要だと言えば、まことに必要。

 歪みは誰でも持っている。問題はその歪みが妥当かどうかで。

 ∧∧
( ‥)それを知るには

     (‥ )体を張ってテストしろと。

 今日もどこかで体も張らずに本も読まないオレ様クジャクがひんまがった尾羽を広げて誇示してる。

 そして残念、出来が丸分かり。


2010年7月17日土曜日

なんで嫌うのだと思う?

 
 ∧∧
( ‥)どんな案配?

    ( ‥)朝までには取りあえず終わりそうだね。
      -□

 状況は一進一退である。

 さて

 ニセ科学批判というものがある。

 ∧∧
( ‥)仮説A、理論A’は科学の装いをとっているけども
    科学の手続きを踏んでいないか、最低限、現状では
    とてもではないがまともな仮説として取り上げられない
    、という指摘ですかね。

    (‥ )うたっている効能が全然ないじゃんよ
        嘘、大げさ、まぎらわしい、だこの野郎ー!!
         っとまあ、そういう内容であるとも言えるね。

 ニセ科学批判批判、というものもあるらしい。

 ∧∧
( ‥)?

    (‥ )よくは知らないし、どうでもいい。

:理論Aはニセ科学である
:理論Aはニセ科学であるという批判Bはよろしくない。

 以上の指摘がそれぞれが存在すること、それ自体だけでは理論Aの妥当性について何も語ってはくれないし、何も分からない。

 ∧∧
( ‥)画期的と自称する/推薦された理論Aが妥当かどうかは、
    理論Aの妥当性を評価する/評価した方法論そのものの
    ”あり方”や、評価そのものの妥当性次第ですからね。

    (‥ )理論Aは星占いによるとニセ科学であった、
        理論Aを否定した星占いは私の下駄占いでは
        間違いである。どっちも意味はないね。

 ここまでストレートにすっとんきょうな批判をする人も、批判の批判をする人もいないだろうけども、しかし、事と次第によってはこれとほとんど同じ程度の”文句”というものはある。

 まあ、ニセ科学批判もニセ科学批判批判も、それらがあること自体はどうでもいい。

 論じられている仮説の妥当性と、”仮説の妥当性を評価するその方法論自体の妥当性”をどう論証すればいいのか、それが分かればそれで良い。

 ∧∧
( ‥)でっ? どうでもいいけど何が?

     (‥ )なぜ、人はニセ科学、つまりこの場合は、
         嘘、大げさ、まぎらわしいを嫌うのだろうかね?

 ∧∧
( ‥)嘘、大げさ、まぎらわしい、だからでしょ?
    ようするに虚偽の情報発信は不利益につながるから
    あなたたちお猿さんは嫌うのですよ、あなた自身が
    前にそういう説明を試みましたよね→*

     (‥ )本人は大真面目である。信じる教祖の言う通りに
         したら、子供がおっちにましたけども、言った方も
         信じて実行した方も嘘だとは思っていない。
          最低限、その時にはね。

 しかし結果的には虚偽であった。

 あるいは、その有り様はこう言えばいい?

 ∧∧
( ‥)意図的な嘘ではない。しかし、仮説Aは結局のところ妥当ではなかった
    そして経験によって仮説Aが打倒されることにより、
     妥当でなかったことがバレる場合があるのです。

      (‥ )ご本人が仮説A、理論A’を信じようが信じなかろうが、
          信念や信仰と、仮説Aや理論A’の妥当性は関係ない
          そういうことだよね。

 ∧∧
( ‥)嘘、大げさ、まぎらわしい、それは言ってみれば
    利益を減少させる情報であって、究極的には
    ”小さな死”を引き連れているようなもんでしょ?
     それを人間が嫌うのは当然ですよね?

      (‥ )そうなんだけども、それだけなのか?
          と、そう考えたわけさね。

 ある人は次のように解釈した。人間の行動、言動、文化的行為、言葉、スポーツによるプレゼンテーション、これらすべて、

 ∧∧
( ‥)人間が自分の持つ能力(ひいては持っている遺伝子)の
    優秀さを誇示する行為であると。

      (‥ )まあそうね、面白い人、頭のいい人、
          かしこくて仕事のできる人、特異な才能、
           健康なスポーツ選手、みんなもてるからな。

 もてたいから能力を誇示する。

 ∧∧
( ‥)トンデモであろうが、本当にすぐれた理論だろうが
    理論を提案することも、究極的にはもてることや
    名声を得ることにつながっていると?

      (‥ )クジャクが尾羽を広げて誇示するみたいにな。

 トンデモさんが必死になるのも、彼らがいつでもどういうわけだか大物狙い(相対性理論は間違ってます、ダーウィンは嘘、進化の謎を論ずるならキャベツじゃなくて鳥ね)、なのもそのせいか?
 
 ∧∧
( ‥)でっ? トンデモさんやニセ科学が何?

      (‥ )例えるなら、あれはクジャクの尾羽が
          ひんまがっているようなもんで、
          それを見て、周りのみんなが「あ・・・・」と
          感じている状態だとしたら?

 ∧∧
( ‥)どうでしょう? これ自体が色々な意味で
    相当にきわどい発言ですよね?

      ( ‥)そうなんだよなあ。

 だけどもこう考えてみる。

 オレ様理論だろうがトンデモだろうが、それらは嘘、大げさ、まぎらわしいだと言える。彼らが”ある”とうたっている効能なんてないのだから(効能が既存の手続きで論証されたら、それは普遍性をもった時点でオレ様ではないし、妥当性が確保されたらトンデモでもなくなる)。

 オレ様理論やニセ科学を叫ぶ人は、いわば「オレ様、地元の草野球ではホームラン王だから、オレ様を試合に出させろ」と球場に入り込んで騒ぎを起こしている人に例えられる。

 のだけども

      (‥ )こういう人に対しては”やじ”が飛ぶだろ?
 ∧∧
( ‥)そりゃあうるさいし、邪魔だからでしょ?
    プロの技を見て楽しむという利益を邪魔されたから
    でしょう。

 だけどもそれだけなんだろうか?

 ∧∧
( ‥)キモイ、、、とか?

      (‥ )嫌悪感とかそういうのあるんじゃね?
          だって、「オレ様、草野球の王者!!」とか
           言ってる奴と眼を合わせたくはないだろう?

 ∧∧
( ‥)でも「キモい」っていう表現や感情的な言葉は
    感心できませんよね?

      ( ‥)いや、問題にしたいのは、
          もしも本当に「キモい」と感じるのなら
          その感情の由来は何か? ってことでね。

 ニセ科学やトンデモやオレ様理論を見た時、確かにそこには「嘘、大げさ、まぎらわしい」がある。手抜きだとも言えるし、たいしてリサーチしていないし、本を読んでもいないし、理解する時間さえかけていない。そのくせ、自分は彼らと同等だと主張するからには、そこには、「自分の意見を原価以上に不当に高く値をつけて販売しよう」というずる賢さが見える。

 嫌われるのは当たり前。
 

      (‥ )でもそれだけなんだろうか?
          反対に言えば、例えば自分は彼らを
          キモいと感じただろうか?
 ∧∧
( ‥)感情的な表現は妥当性とは関係ない。
    しかし、その感情を感じたとしたなら
     その由来は何か? そういうことですか。

 由来は何? 

 ∧∧
( ‥)由来があるとしたら不当なことをする人に対する嫌悪感でしょ?
    嘘つきやずるがしこい人はみんなから嫌われるでしょうし、
    学校ならお前いい加減にしろって、
    クラスメイトたちから詰め寄られるでしょうに。

      (‥ )その嫌悪感と「キモい」とはちょっと違くね?

 ∧∧
( ‥)どう?

      (‥ )その嫌悪感は行為や実際にやったことに対する
          嫌悪感。というよりもずるをしたことに対する
          怒りや不快感だろうし、責任をとれ、という
          社会的な要求であるよな?

 「オレ様、草野球の王者!!」と大声で叫ぶ人間に対する嫌悪感や悪感情は、もっと違う、なにかその当人そのものが”潜在的に持っているもの”に対する忌避感というか・・・

 ∧∧
( ‥)デリケートすぎる話題です。

       ( ‥)”感情的な議論”という言葉があるように
           感情を論ずることはデリケートなんだよな。
           だから人間は普遍性があって
           しかも無視することができない根拠を探す。

 人間がいくら信仰しようとも無視も改変もできない、そういう理由と根拠を探す。それに失敗したからトンデモとかオレ様理論、ニセ科学はとるに足らないものとして無視されるし、そうであるにも関わらず”過剰な効能”をうたうから、嘘、まぎらわしい、おおげさ、になる。

 ∧∧
( ‥)だから批判される。

      (‥ )批判にはこのように正当たりうる理由がある。

 いくら感情的な原因が背景にあろうが(救えるはずの命がこいつらの偽治療のせいで奪われた、ゆるせん)であろうがなんだろうが、武器として取り出したデータと解析手段、それ自体は感情とは無縁なもので、

 ∧∧
( ‥)というか、普遍の結果を追求するからこそ、個人の感情と
    無関係に能力を発揮する手段、方法論、解析方法を
     もってくるわけでしょ?

      (‥ )だから、お前たちの批判は感情的だ!!と
          いくら反撃、防御しても、武器自体はトンデモさんに命中
          しちゃうんだよな。

 「草野球の王者であるオレ様にやじを浴びせるのは感情的な理由だ!!」という言い方には、相手の批判の動機そのものには「感情」が含まれている、という点のみにおいては正しい。

 しかし、結局のところ実力がまるっきりともなってねーじゃん、という”比較した場合の成績”という武器を回避することはできない。

 ∧∧
( ‥)全身穴だらけ

     ( ‥)それでも彼らは「死んでない!!」と言って立っている。

 そういう彼らに対して、さらに覚える、いやーん、な感情の由来は何?

 そして、それは何を判断しているのか?

 
 
          

2010年7月16日金曜日

その愚痴を聞け

 
 現在作業中、現在作業中。
 
 昨晩の空は神奈川県の中央にしてはとても良かった。

 ∧∧
(‥ )山羊座がはっきりと分かります。

    (‥ )山羊座をちゃんと見るなんて何年ぶりだろう?

 だけどもやはり空の様子は基本的によろしくない。アンドロメダ銀河は望遠鏡で見てさえ、ほとんど分からなかった。

   ∧∧
\\(‥ )望遠鏡を動かすと、視界の中で白いのが動くので
  ̄ ‐   ようやく分かる、そんな感じですね。

    (‥ )こと座のドーナッツ星雲はなんとか分かったけども、
        アンドロメダ銀河まで望遠鏡でやっととはねえ。
        仕事が終わったら星が見える場所まで遠征するか。

 明け方の空にはぎょしゃ座のカペラと牡牛座のすばるが輝いていた。

 さて

 先日のこと、ある場所で食事をしていたら、老人2人が話し込んでいた。

「やはり先生がなさっているように、機能を見ないと進化も骨も理解できないと思うのですよ」
「おっしゃる通り、まず、機能を理解しないと進化の道筋は分からないのに、みんな、骨の外見の形と特徴ばかり見ている」

 ∧∧
( ‥)・・・・これ、よろしくない推論形式じゃありません?

    (‥ )よろしくないだろうねえ。


 機能を理解する。それは必要であろうし、おおいに結構なんでしょう。そして機能を理解する過程、それ自体は、まあそれ自身だけの問題なのだ、とも言える(実際にはそんなことはないけども)。

 ∧∧
( ‥)水生動物Aを観察したところ、
    筋肉アが縮むと、ヒレが下向きに水をかきます。

    (‥ )筋肉アは上腕骨の突起イについていました
        突起イはヒレを下向きに動かす動作に関連しています。

 こういうのは、まあ、あまり問題なさそう。

 しかしながらこういうやり方をそのまんま、”この特徴は具体的にこう進化したに違いない”、という歴史の推論にまで波及させるといかがなものか?

    (‥ )水生動物Aは陸上動物の子孫である。
        陸上動物の祖先の犬かき的な動作が、Aがするような
        動作に進化するには、動作がこのように変わる必要があり、
        ゆえに、筋肉が付着する上腕骨の突起は次のような形を
        中間形態としてとったであろう。
 ∧∧
( ‥)化石を調べると、ちょうどそのような形の突起を上腕骨にもつ、
    動物Bがいることが分かった。

 ゆえにBはAの祖先である。


 ∧∧
( ‥)という推論はよろしくないですよね。

    (‥ )そもそも以上の推論は簡単に訳すとこうなるからな。

 僕はこんな歴史を考えました
 僕の考えた歴史からすると、これが祖先に違いないです
 
 ∧∧
( ‥)進化は機能が進化する過程なのですから、機能の進化のあるべき姿を
    説いた、僕の考えた歴史は正しいのです。そこから考えると
    Bが祖先に違いないんです。でも、みんなそれが理解できないんです。
    僕はみんなの言っていることはおかしいと思います。
    そんな感じですかね?

    (‥ )まあそういう感じかな。


 機能はこう進化するに違いない、だから生物の進化はこう起きたに違いない。

 その生物のその機能はこう進化したに違いない。だからその生物はこう進化したに違いない

 ようするに

 こう進化したに違いない。だからこう進化したに違いない。


 ∧∧
( ‥)自分の系統仮説を論証するのに、
    自分の系統仮説を使っているわけですよね。

     (‥ )自分の仮説の証拠に自分の仮説を
         持ってきちゃいけないよな。

 もう少し正確にいうと、仮説の証拠に、その仮説そのものか、仮説の一部を持ってきちゃいかんでしょう。

 ∧∧
( ‥)あのおじいちゃんは時代遅れ?

     (‥ )若い頃はあれでよかったんだろうなあ。


 でも、もうみんな、そんなことはしていないよね。

 

2010年7月15日木曜日

前駆

 
 
     ( — —)寝てしまった、公園で寝てしまった。
 ∧∧
( ‥)まあ、20分も寝てないでしょう。

 今朝、外に出てみたら、空はバラ色で、しばらくすると黄緑がかった、澄んで透明な青と、千切れたように漂う金色の雲の光景となった。

   ∧∧
\\(‥ )今しがた、日が沈んだ西空を望遠鏡で見れば
  ̄ -   お月さまがきれいです。

     (‥ )今の西空って、金星、火星、土星の順に並んでいるのな。

 まあ、神奈川県のここでは大気の状態が悪く、金星は水面を通して見る小石も同然、火星はゆれる芥子粒、土星はまあ、形がはっきり分かる。

 月はきれいでクレーターのスケッチもしたいが、今は仕事だ。

 さて

 太陽が沈む前に公園の丘の上で「プロドロムス 固体論」ニコラウス・ステノ著 山田俊弘 訳 東海大学出版会を読む。

     (‥ )というか読み終わった。
      □-
 ∧∧
( ‥)いかが?

 買ったまま、ずーっとほったらかしだったのだけども・・・。

 おう、思ったよりもはるかに面白い本だった。すばらしい。

 ∧∧
( ‥)固体の中の固体、1669年に出版された
  -□ 地質学の本ですね。

     (‥ )固体の中の固体。人体中の組織、骨から
         地層中の化石、結晶、鉱物に至るまで、その
         生成を包括的に論じた本、と言えばいいかな。
 
 ああ、言われればそうだよね。どれもある決まった(法則や理由で)分子や原子が、、、

     (‥ )整列して自己複製的とでも言える過程で成長する
         そういう現象だからなあ。
 ∧∧
( ‥)流体中の微粒子が集まって固体が出来てくる、
  -□ そういう説明ですからね。

 塩の結晶も水晶も貝殻も骨も人間の組織の成長も。

     (‥ )基本的には同じ原理に従っているわけだからね。
 ∧∧
( ‥)まあ、生物の細胞が行う自己複製や増殖、成長は
    塩や水晶とは見た目も細かい様子も、それは
     ずいぶん違いますけどもね。

 しかし、基本は(原子の離合集散によって、同一、あるいはほとんど同じパターンが作られ、増える、成長する、という意味では)同じであることも確か。

     ( ‥)そういえば生物の自己複製はそもそも鉱物の結晶が成長する
         過程そのものから進化してきたってアイデアあったよなあ。
         *鉱物の結晶といういかにも融通が効かない有り様から
          有機物の添加で、なんかふにゃっとしたものへ進化する
          、そういうアイデア。
 ∧∧
( ‥)あまりメジャーにはならなかったんでしたっけ?
  -□ でも生物の代謝系は鉱物表面で触媒される反応に
     由来するっていう説もありましたよね、確か。

 まあ、もう一度状況も含めて調べ直そう。

     (‥ )しかしこの「プロドロムス」、これは使えるぞ。
      □-
 ∧∧
( ‥)プロドロムス、前駆の意味ですね。
    論文の前駆、今でいうアブストラクトですか。

 いいね。

 読み終わって、横になっていたら寝てしまい。起きたら月と金星が輝いていた。

   
 

その希望はただのガラクタ

 
 絵の描き方の順番を変えても、さほど問題ない。どこかへいく道は大抵の場合、1つだけではない。一カ所で行き止まったからといって、スタートまですべてを戻る必要はない。まっすぐに見つめられたからといって恐れることはない。恐れても震えてもいいが、あきらめる必要も無理だと考える必要もない。その場、その場で対応しつつ、別の道を探し、そして前に進め。

 

 ∧∧
( ‥)でっ?

    (‥ )さっきの話→*の続きだが。

 連想するに、確かにこの世界には論理ですべてを理解できると思い込んでいる人間もいれば、論理ではすべてが分かるわけではないと、論理と権威に挑んでいるつもりの人々がいる。

 ∧∧
( ‥)まあそりゃね、あなた達お猿さんは均質ではないですからね。

    (‥ )一律に語り尽くすことはできないが、いることはいるのだね。

 ルイセンコ主義者は論理で世界のすべてをすべからく語れると考えた。

 ∧∧
( ‥)語れることは語れるでしょ。

    (‥ )まあね。語れることは語れるね。
        実際に語ってみせたからね。雄弁に絶頂に。

 得意満面、傲慢不遜。しかし単に語っただけで現実世界を操作することなんか全然できなかった、それだけの話。彼らは経験の前に敗北して消えた。

 一方、世界には論理では物事を語れるわけではない、そのことに気がつき、驚き、しかしそれを武器にしようとする人もいる。

 ∧∧
( ‥)武器?

    (‥ )例えばこんな?

 論理で語れるわけではないではないか。だからお前たち、権威が語る論理も方便も間違っているに違いなく、僕は、私は、オレ様はお前たちに僕らの真実を主張しよう。

 ∧∧
( ‥)はあ、まあ、いるっちゃいますかね。

    (‥ )いることはいるだろ?
        論理では現実を語れないことに気がついて
        得意絶頂に舞い上がるやつ。

 ∧∧
( ‥)でもそれ、嘘ではないけど、あまり意味ないでしょ?

    (‥ )だめだろね。

 論理=現実ではない、なれば、論理=正しいわけではない、なれば、論理でない私の意見と論理な君の意見は等価(ぐだぐだです)。

 ∧∧
( ‥)論理であろうが論理でなかろうが、
    どっちも検証も確認もしてないですよね?

    (‥ )確信はしてんじゃねーの?

 論理で森羅万象を語り尽くせると得意絶頂になる人間

 論理は現実を説明できるわけではないことに気がついて絶望愕然、心機一転、得意絶頂になる人間

 ∧∧
( ‥)どっちも確認も検証も、確かめもしてないでしょ?
    これに何の意味が?

    (‥ )確信があればいいんじゃね?

 以上をこう翻訳?

 論理で確信しました

 論理でなくてもオッケーでありうるので確信できました

 ∧∧
( ‥)どっちも確信の根拠が不明です。

     (‥ )思い込みの域を出ていないようにしか見えないね。
         だけど、確信って一般的には所詮はそんなもんよ。

 思い込みの域を出ていない。

 ∧∧
( ‥)でっ? この手の人々が戦いを挑む相手、
    例えば権威とかってのはどうなんです?

     ( ‥)権威ってのが、研究者や科学をさす場合、
         それはあれだ。

 彼らはデータから仮説を発見し、それから論理的に導いた予想を経験的に検証することで、なおかつ確からしさを指し示して、なおかつありうる他の可能性も検討/検証した上で仮説を提案し、それを検証することを求める。

 ∧∧
( ‥)あらゆるテクニックを使います

     (‥ )彼らは、まっとうな人であれば論理だけでは駄目であること
         しかし正確な論理が必要であることも知っている。

 先の批判者が飛びついた考えのずっと先にいるのが通常だ。

 ∧∧
( ‥)つまり?

     (‥ )論理に絶頂しようが、論理に失望しようがだ、
         それを武器に戦いを始めよう、これさえあれば
         勝利は疑いないと希望に打ち震える前にだな、
         まあ落ち着いて考えようじゃないか。

 そんなのとっくの昔に通り過ぎて、他の皆は先にいったと思わないか? そんなことキャリアの初期に知って分かって、彼らはさらに必要なものを訓練で手に入れていると思わないか? あんたたちが武器だと後生大事に拾ったものなんて、とっくの昔に放棄されたガラクタかもしれないと考えたことはないか? 自分が見つけたものだもの、自分以外の誰もきっと見つけていないなんて、それはあまりにも、傲慢なまでに楽観的な意見だと疑いませぬかね?
 
 ∧∧
( ‥)手にしたその勝利の鍵は

     (‥ )誰かが捨てていったただのガラクタだよ。

 
 

 
 

今、分かったことは、誰かが先に分かっているんじゃね?

 
 論理に頼れば正しい答えが出るわけではない。

 現実はかならずしもそうではない。

 ネット上のそんな話をふと見た

 ∧∧
(‥ )別に当たり前のことを言っているだけですよ?
\-
    (‥ )論理的に正しいことは矛盾のない答えを出しただけ。
        矛盾がない=現実でも正しい(現実を記述できている)
        ではない。

 矛盾がない≒現実

 ∧∧
( ‥)現実は、、というくだりは、経験は論理とは違ってた(泣)、
\-  そういうことですよね?

    (‥ )まあそういうことなんじゃないの?

 経験で物事を判断することは論理とは言わない(経験的に三角形の内角の和は180度であるという主張は演繹でも論理でもない)。

 そりゃあ同じではない。

 ∧∧
( ‥)当たり前です。

    (‥ )当たり前だな。

 物事の妥当性の判断には論理だけでも経験だけでもだめで、さらに他に色々なテクニックまで総動員しないといけない。

 ∧∧
( ‥)それでもそれで得た答えが妥当であるとは限りません。

    (‥ )将来に渡って妥当であるとは限らない。
        そういうべきかな。

 言い換えれば、「現時点でこれこれの論拠でこの結論が以下の程度に妥当であると判断しました。皆さんはいかに?」という意見の表明、これが私たちにできるすべてという感じ?

 ∧∧
(‥ )論理で分かるとは限らない、経験と矛盾する・・・
\-   この当たり前の主張にどんな意味があるのでしょう?

    (‥ )当たり前のことを当たり前に言っているか、
        あるいは当たり前のことが彼らには当たり前でなかったか。
        そのいずれかではないの? 

 どっちかというと、たぶん、後者じゃね?

 ∧∧
( ‥)なぜにその仮説をチョイス?

    (‥ )だって、見てみると妥当性をどう判定するか、
        判定の方法論はどれが妥当か?
        妥当性を判定する方法論それ自体の妥当性をどう
         判定すればいいのか? そういう議論、指摘が
         すっぽり抜けているじゃないか。

 たぶん、当たり前なことを今、発見したんじゃね?

 ∧∧
( ‥)はあ、つまり、とっくの昔にそういう議論は
    さんざんやられているということを知らないと。

     (‥ )読んでないか、調べてないんだろ?

 今、こんなことが分かった!!

 ああ、まあねえ。考察の果てにそう感じるのも結構だけども、よく考えてみよう。

 僕らが、今、分かった!! と得意絶頂、あるいは絶望愕然することって、誰かが何世紀も前にとっくの昔に論じて、対策まで無数に練られていると思わん?

 ∧∧
( ‥)あなたたちは何十億人もいますからね。

     (‥ )同じ問題に気づいた人はそれこそ何千年も
         前からいるし、自分より優秀な人間なんて
         十億の単位でいるんだ。

 懐疑も慎重もそりゃあ結構だけども、その先を探していない、探す気が見えないとなれば、それはちょっと・・・

 ∧∧
( ‥)痛い人、ですかね?

     (‥ )むしろ怠惰なんだと思うよ。

 

 

2010年7月14日水曜日

商品に高値をつけすぎ

 
 ∧∧
( ‥)でっ? とうの昔に廃棄された仮説を昔の欠点を
    そのまま復活させること→*の問題点って
    何だと思います?

     (‥ )ぼったくりだからじゃない?

 例えば皆で3時間、会議をしていた。100の提案がなされ、さんざん議論したあげくに1つの提案が良しということになった。

     (‥ )そこへ1人遅れた奴がやってきて、
         開口一番、こうすればいいんじゃなーい? と言った。
 ∧∧
( ‥)だけどもそれは3時間前に一番真っ先に
    駄目になった提案だった。

 そういう場合、たぶん、議論していた人たち、あるいはその議事進行を見ていた人たちは、そりゃあ、あまりいい気分ではないだろう。

 ∧∧
( ‥)3時間分の議論が無駄になりますからね。

     (‥ )終わった話をそのまんまな形で蒸し返す。
         皆の3時間分の労力を踏みにじったわけだ。
         人間、他人が自分の投資やカロリーを
         奪う相手に対して厳しいよ。

 あるいはこう言えばいい? それは他人の3時間分の労働に対して、自分の労働、3分を同等だと言っていることに他ならぬ。

 ∧∧
( ‥)だからぼったくりだと?

     (‥ )あるいはあれだな、自分の頭脳労働を
         他人の数十倍、何百倍、何千、何万倍も
         高い値をつけて提示したってことだな。

 高値をつけ過ぎ。

 あるいは恐ろしく権威主義的だ、とも言える。

 ∧∧
( ‥)権威主義って科学者とか医者、国や政府に対して
    使う言葉かと思いましたけどもね。

     (‥ )こう考えてみよう。

 1つの仮説を論証するのに研究者が100の証拠を持ってきたとする。

     (‥ )証拠のすべてが等価ではないだろうけども、
         平均すれば100の証拠、1つ1つは
         論証において100分の1の力を貢献をしている
         そういうことだよね。
 ∧∧
( ‥)まあそうですね。

 では思いつきな仮説(大量のデータを検討すればとっくの昔に棄却されてしまうような脆弱な仮説)はどうだろう? そういう仮説が持つ証拠の数はそりゃあ少ないだろう。

 ∧∧
( ‥)例えば1の証拠で語るのであれば、
    論証においてその証拠は1の重みを
    持つと言うことですかね。

     (‥ )100の証拠を持っていた人の、1つ1つの証拠に対して
         証拠1つに100倍の重みをつけているってことでもあるな。

 だから権威主義。

 ∧∧
( ‥)ああ、国や科学者は権威的だとか批判する人は多いけども
    それに拮抗する過程でその人々は結果的に
     権威主義になっているのだと。

     (‥ )相手が証拠100を持ってきた時に、自分が証拠1で
         拮抗しようと企てるのは、そりゃあ権威的であるね。

 100に対して、1を100倍して挑もうとする。その重み付けの根拠はなに? それを理路整然と論証できないと、それは根拠不明、いわばオレ様権威。

     (‥ )あるいはあれだ、自分の商品に高値を付け過ぎ。
 ∧∧
( ‥)ああ、まあねえ。

 仮説の原価100に対して原価1で、しかも同じお値段をつけるというのは、つまるところぼったくり過ぎ。

 ∧∧
( ‥)付加価値つけたんでしょうね。

     (‥ )それが”権威主義”だっていうのさ。

 あるいは悪い意味でアーティスト。粘土を丸めて、ぽんっと叩いて、はいこれで2万円、とにこにこ笑いながら自分のファンに粘土を売りつける陶芸家と同じ。

 ∧∧
( ‥)ぼったくり?

     (‥ )ぼったくり。

 
 適正な価格表示を希望。

 

放棄された旧式を復活させるにしては工夫が見えぬ

 
 ∧∧
( ‥)いよいよ状況が切羽詰まってきましたよ

     ( ‥)分かった。なんとかする。
       -□

 さて

 なんと言えば良いのか、、、たれ込みがあった、とでも言えばいいの?

   ( ‥)先日のこのblogでの書き込み→*、つまりKT境界の
     -/ 30万年前に隕石が衝突(つまり30万年の間に
        隕石衝突とKT境界の生成という2つのイベントが
        発生)した場合、それは地層で識別できるでしょ?
        と書いたところ、こんな反応が観測されたそうだ
 ∧∧
( ‥)?

 曰く、

”クレーターの形成と比べてKT境界は遥かに長い時間幅を持った事象(30万年以上あるのかも)だと思うので、両者の間に30cmの堆積物があるはずという考えはなんか違う気もする”

 という異論。

 遥かに長い時間幅・・・・

 ∧∧
( ‥)おう、これは・・・・

    (‥ )興味深い。


 それ、かつて一番真っ先に棄却されたネタじゃないすかね?


 ∧∧
( ‥)そもそもアルバレスさんたちの最初の動機は・・・

    (‥ )イタリア、グッビオにある石灰岩の地層、そこにある
        白亜紀と第三紀の境界で見られる約1センチの粘土層。
        その堆積速度を計ることにありました。

 グッビオのKT境界は古磁気層序学で区別できるある一つの磁極期間に入っていた。

 ∧∧
( ‥)その磁極期間に堆積した地層は6メートル

    (‥ )期間は50万年ぐらい。
        *文献によってはもう少し長い75万という数値も
        でてくる。

 上下の石灰岩には5パーセントの粘土が混ざっている。他は生物由来の石灰質。一方、KT境界の粘土層には50パーセントの粘土が混ざっている。

 ∧∧
( ‥)もし、何らかの理由で生物由来の石灰質が堆積しなかったら
    粘土が主体になって粘土層ができるだろう。

    (‥ )あるいは急激に粘土が堆積したのかもしれない。

 KT境界が出来る年代が磁極期間の数十万年以下であったことは確実だけども、もっと正確に測定したい。粘土層の堆積速度を見積もる方法はないだろうか? (*KT境界と残りの部分の比率から普通に考えると、KT境界の堆積にかかった年数は数十万年の600分の1程度のはずだが粘土と石灰の割合やそれぞれの堆積速度が違うだろうことを考えると、もう少し詳しい年代推定が欲しいの意味)

 ∧∧
( ‥)そこで考えたのがイリジウムの濃度を
    計る方法。

    (‥ )イリジウムは宇宙由来で一定量が地球に降り注ぐから
        それが時間の尺度になってくれるのでは?

 地球由来の粘土が急激に堆積したのなら一定量で堆積するイリジウムの量は粘土に対して減るだろう。反対に何らかの理由で石灰が堆積せずに、主に粘土がゆっくりと堆積したのなら、イリジウムの量は増えるだろう。理屈としてはだいたいこんな感じ。

 でっ、計測したら

 ∧∧
( ‥)KT境界だけから冗談みたいな量が出てきましたと。

    (‥ )じゃあ粘土がゆっくり堆積して長大な時間がすぎたと
        考えるべきなのか? というとさにあらず、
        そのイリジウムの量。残りの磁極期間に堆積した
        堆積物に含まれるすべてのイリジウムに匹敵。

 ここでアルバレスさんたちはイリジウムで堆積速度を測定することをあきらめざるをえなかった。

 ∧∧
( ‥)そりゃあそうでしょうね。

    (‥ )粘土がいくらゆっくり堆積したとしても1センチの堆積時間が、
        上下残りの599cmあまりの堆積の時間に匹敵するなんて、
        いくらなんでもおかしいからな。これは物差しに使えない
        異常な値だったんだよね。
        (粘土の含有率を考えてみればさらにおかしい)

 ↑*生物擾乱とか、堆積したイリジウムがやや分散するとか、そういうことをはしょった、単純化された話かもしれないけども概略はこんな感じですよね。

 まあ、あれだ、言い方を変えれば同じ場所の粘土の堆積速度がいきなり急減して、長大な時間が過ぎているのに見た目は非常に薄くしか堆積せず、しかもその間に生物由来の石灰質が堆積することもなく、その後、ふたたび粘土も石灰質も堆積速度が跳ね上がって元の状態に何事もなく戻る、という説明を彼らは採用しなかった、ということ。

 *もし、これに異論があるのであれば、それを可能ならしめる仕組みを考えよ、ということでもある。しかし最節約に考えることに関しては以下→*


 ∧∧
( ‥)ようするに、

    (‥ )KT境界がずぬけて長い時間幅をとった事象であるという
        仮説をこの時すでに彼らは棄却した、ということだね。
        
 KT境界では長大な時間が失われている、と考えた人もいた。地層A、B、Cが形成されるべきところを、AとCしかできなかったり、あるいはなんらかの理由でBが消滅した場合、長大な時間が失われていて、地層AとCの間に急激な変動が起きたように見える。こういうことはごく普通に見られることだから。

 ∧∧
( ‥)だけどそれも棄却されたと。

    (‥ )そりゃあね、もしそうなら堆積速度が急変すると
        考える必要はないから、イリジウムの異常な濃集が
        結局は説明できない。
      

 というわけで、ここから出てきた仮説が10キロあまりの隕石が地球に衝突したという仮説。

 ∧∧
( ‥)逆にいうと

    ( ‥)KT境界ははるかに長い時間幅を持った事象、という仮説は
        30年前にすでにぽしゃっているんよね。


 そのネタ、もうやりました。

 *詳しくは「白亜紀に夜がくる」とか参考にしてくださいな。ちなみに素人が思いつくような異論は全部出てくる(例:KTのイリジウムは天体由来ではなく、何らかの理由で海から異常に濃集しただけだ)

 後、英語の文献を探すのもよかです(頭が痛くなるけども)。


 ∧∧
( ‥)もちろん、ぽしゃった仮説が復活することも
    ありえますよね?

    (‥ )そりゃあね。

 昔、子供の頃、こんな話をどこかで読んだ。氷河が増加すると地球から反射される太陽光線が増える。すると地球が寒冷化する。すると氷河が増える。すると反射率が上がるので地球が寒冷化する、すると氷河が増えるから・・・・

 ∧∧
( ‥)最終的には地球全体が凍結状態に
    陥ると

    (‥ )だがもし、一度でもそうなったら地球は凍り付いたままだろう
        だから実際にはこういうことはなかった。
        そういう理屈だったよな。

 ふーんそうなんだ、と思って流したですよ。

 しかし、地球が凍り付いてもおかしくない時期は過去にあったから、では、なぜ凍ったことがなかったのだろう? という疑問を呈した人がいることはいたらしい。だけど、それもずっと忘れていた。

 ∧∧
( ‥)でも、全地球が凍結状態になりうるという仮説は
    スノーボールアース仮説として復活しましたよね。

    (‥ )あれは全球凍結状態を打ち破って、地球を
        再び温める方法に気がついたから復活したんだよな。
        頭いいよなあ。子供の頃の話を思い出すとは、
        生きているとはこういうことかね。

 復活は問題点をまずはクリアしたから。さらにスノーボールアース仮説は珍妙な地層の有り様と過去の赤道で見つかった氷河の痕跡をも説明できるという”売り”があったから注目をあびたのであって。


 ∧∧
( ‥)一度ぽしゃった仮説を復活させるには。

    (‥ )欠点を克服し、さらに既存の仮説では説明できない
        事象をも説明できるようでないといかん、
         そういうことだね。

 さて、では”KT境界が数十万年に渡る事象である”というかつてぽしゃった仮説を復活させるにはどうすればいいだろう? 

 ∧∧
( ‥)深海、浅海、淡水域、全世界が白亜紀の末期に一律に
    堆積速度が極端に低下し、

    (‥ )しかもその後、一気に元に戻る、という
        重大な問題点を克服でき、なおかつ現状の仮説では
        説明できない事象を説明できないといかん。

 というか事態はいまやそんなに簡単じゃあない。全世界に分布するKT境界の厚みはクレーターの距離に対応した勾配を持っている。説明すべき事象は、”説明すべき事象は長い時間が、、、”ですむようなそんな単純なものではもはやない。

 つまるところ放棄された旧式を復活させるにしては、あまりにも工夫が足りない。

 そして既存の仮説で充分に説明できている時点で、誰も旧式を採用しないだろう。

 さながら、現状の医療で充分なのでホメオパシーなんぞに頼らないのと同様。

 

 

 

2010年7月13日火曜日

ぞろぞろ湧いてくる

 
 ふと窓に眼をやったらモンシロチョウが飛んでいた。

 ∧∧
(‥ )ベランダのハツカダイコンやキャベツに
   産卵する気ではないですか?

    (‥ )たぶん、そうだろうね。

 ハツカダイコン、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、育てているとぞろぞろぞろぞろ虫が湧いてくる。

 ∧∧
( ‥)青くて触ってもじっとしている
  -゜ アオムシもいれば

    (‥ )黒くて、触れるとぽろっと落っこちて
        地面の上で目立たなくなる虫もいる。

 昨日見つけたやつはしおれた葉、というかたぶん噛んでしおらせてからつづったのだろう。葉っぱをケース状に巻いて中にひそんでいるやつがいた。

    ( ‥)ハツカダイコンが丸坊主に・・・
 ∧∧
( ‥)成長、速いですからね。
    油断しているとあっという間ですね。

 青くてじっとしているのと、黒くて触れただけでぽろっと地面にこぼれる種類は、それぞれ捕食者から身を守る手段が違っていて、かつまた、それにマッチした色になっているということか?

 青いやつは地面に落ちるとやっぱり目立つが黒い種類は逃げおおせてしまう場合がある。とはいえ、取りあえず調べている暇はない。

 ∧∧
( ‥)調べたら調べたで面白いのでしょうけどね。

    (‥ )それはそうだし、本のネタにもなるんだろうけどね
     ゜-  現状では扱いにくいし、やるべきことは
         野菜の栽培なんよね。

 というわけで、見つけ次第、ぽいぽい捨てる。

 ∧∧
( ‥)可哀相とは

    (‥ )言ってられん。

 野菜が全滅してしまう。

 農薬以前の世界では、いつも百姓や農民の皆さんはこういうことを朝から晩まで続けていたということか。ご苦労なことである。

 

2010年7月11日日曜日

不確定な未来を消去法で

 
 先日、隣のアパートにすんでいるばーさんが自分のポストに届いた封書をもってきて、そしてこう尋ねてきた。

 「これは当選のお知らせか何か?」

 ∧∧
( ‥)そこであなたは言いました。

     (‥ )それは投票用紙です。

 ∧∧
( ‥)あのおばあさん、市営住宅だかなんだかに
    入りたいんですよね。当選ってそういう
    ことなんでしょうね。

     ( ‥)でっ、文字が読めないんだよな。

 本人は馬鹿なんだ、とかいっていたが、どうも話を聞くに病気がちだかなんだかで子供の頃、学校へいけなかっただけらしい。

     (‥ )そんな理由の文盲なんて
         まあ、ありがちな話さ。
 ∧∧
( ‥)そうなんですか?

 投票用紙・・・・・、これ、いかなくちゃいけないのよね? とも言っていた。


     (‥ )いくか、いかないかは自由ですと言っておいたが。
 ∧∧
( ‥)そういうものでしたっけかね?


 選挙、それはなんでも未来を選ぶものなのだそうだ。


 ∧∧
( ‥)そうじゃないの?

     (‥ )そうではあるが、その言葉と現実に
         距離があるっていうかね。

 人間が心変わりするのは、こいつはだめだった、という過去の経験、あるいは、今が駄目っぽいから別のやつにしよう、とか、そんな程度の判断なんであって。

     (‥ )未来の利益よりも今の利益、
         未来の利益よりも”現在の不利益の否定”
 ∧∧
( ‥)それを”未来の利益の選択”というのでは?


 いやいや、未来の利益とは、将来計画的にこの程度の利益が得られるであろう、というかなり具体的なものであって。


     (‥ )相当、はっきりした関係性がないと
         投票と未来の利益の間に相関関係を
         見いだせないと思うよ。
 ∧∧
( ‥)ああ、だから現状の肯定、現状の否定しか
    ないんだと。

 その行動は”未来の選択という言葉”からずいぶん距離がある。しかし、まっとうなことかもしれぬ。

     (‥ )こうすれば確実に良くなるって、
          えらく能天気な世界観だからな。
 ∧∧
( ‥)はあ、まあねえ。

 誰々に投票すれば万事オッケーとか政権交代すれば問題ないとか、それは未来設計も現状認識も甘すぎるでしょ。

 ∧∧
( ‥)まあねえ、決定論的で単純な宇宙観とでも
    言えばいいんですかねえ。

      (‥ )昔の能天気なルイセンコ主義者やマルクス主義者
          みたいにな。

 語っていたはずの予定されていた”来るべきユートピア”が到来しない。おかしい、おかしい、きっとうまくいかないのは他人のせい、誰かが陰謀してる。

 なーんて言うのは取りあえずやめて、それは自分の仮説がずさんなせいじゃないかと考えてみよう。

 実際、ほら、冷静になって見渡してご覧よ、世界はもっと有象無象で本能的でうねってる。お上品な理論とやらが、その有り様を記述できているだろうか。


       (‥ )不確定な未来を積極的につかむってのは
 ∧∧
( ‥)未来予測によほどの確信があるわけで。


 でもその確信、ただの思い込みだったりしやしませんか?
 
 積極的な選択肢など、容易には信用ならぬ。

 ∧∧
( ‥)それだったら

       (‥ )消去法で良しとしようじゃない。


 そもそも私たちの選択肢なんてどうせほとんど消去法。


       (‥ )私の人生、消去法。
 ∧∧
( ‥)またそういう・・・

 
 いいじゃないの消去法。

 未来は不毛でありきたりで不確定で、それでも先までのびている。



 

2010年7月10日土曜日

その谷に向かって降りろ

 
 一仕事終えたので公園にいって本を読む。神奈川県は昨日の雨とうって変わって晴れ、暑かったが湿度が低めで丘の上は風が心地よかった。

 
    ( ‥)ああ、、しかし眠い。
      -□
 ∧∧
( ‥)そりゃあそうでしょう。
 
 
 でっ

     (‥ )アポロ15号って月の火山活動を調べるために
      -□  溶岩が流れてできた谷のすぐ近くに
 ∧∧       着陸したんだってな
( ‥)へー

 谷の名前はHadley Rille (ハドレーリルって読むのかね?)。長さ100km。幅1200m。深さ300〜400m。

 ∧∧
(‥ )谷までの距離、1kmの地点に着陸??
 □-
    (‥ )ネットで見つけたスケールからすると
        2kmぐらいありそうだけど
        どっちにしろ、本当に眼と鼻の先に降りたみたいね。

 谷自体の幅が1200メートルなんだから、ちょいとずれたらえらいこっちゃなわけで(まあそれを言ったら月面なんてクレーターだらけなんだけど)。

 ∧∧
( ‥)結構危ないことするんですね。
 □-
    (‥ )やるなあ、アポロ。

 ミッションと科学のためなら命をかけろってか?

 Hadley rille は溶岩がどろどろ(というか月の溶岩はすごく粘性が低いので、ざーって感じらしい)流れて、その浸食によってできた谷で、谷の斜面を撮影した写真には、色合いが違う火成岩のレイヤーがちゃんと写ってる。

 ∧∧
(‥ )おおおーーー こういうのを目当てに
 □-   月面車を乗り回して資料を採集しまくりですか。

    (‥ )それまでは4時間行動して500メートルとか
        そんなだったらしいからね。車がいるよなあ。

 気合いはいってるなあ、アポロ。

 そしてやっぱり月の火山活動はそんな単純なもんではないらしい(当たり前だけど)

満足した時に終わってる

 
 あともう少し・・・、

 ∧∧
( ‥)まで、あともう少し

    (‥ )そうねえ、まあ、飯がてら休憩だ。
     □-
 
 さて

 先に書いた→*ように世の中には世界中にKT境界があるのだから世界中になんども隕石が落ちた(ひらたくいうと直径200kmのクレーター形成もあくまでローカルな問題だと思っているっぽい)、と思っているかのような人がいるらしい。

 これは
 
    (‥ )哲学や問題解決の推論、仮説のたてかた、情報処理
        の観点で見ると興味深い現象。
 ∧∧
( ‥)はあ、そうですか?

 例えばKT境界の異常な堆積物とその特徴を見て、なぜ最初の提案者は10kmの小天体が地球にぶつかったと考えたのか?

    (‥ )大きさ1kmの隕石が1000個地球にぶつかった、
        でもいいんだよな。
 ∧∧
( ‥)そりゃそうかもしれませんけど。

 たぶん、ひとつには最節約にいって10kmの天体が1個当たったと考えれば現象は説明できるのに、なんでわざわざ1000個を想定しなくちゃいけないんよ? ということなんでしょうね。

 ∧∧
( ‥)1000個って・・・
    オッカムさんがカミソリもって襲いかかってきますよ?
    というか、そもそも1kmの天体が1000個、
    ごく短期間(1万年ぐらい?)の間に地球にぶつかるって
     どんな確率ですか??

     (‥ )1000個ぶつかるという確率の低いことを
         想定するよりも、10kmが1個ぶつかったで
         確率的にはオッケーじゃん
        (1億年に1回くらいの頻度なので)
         そういうことであるね。

 1000個が1度にやってくる確率。言い方を変えても、カミソリもったオッカムさんが待ち受けていることになるだろう。

 しかしこのことは逆にいうと。

     (‥ )KTが世界中にある。つまり個々のKT境界を作った
         原因はすべて個別だと考える人は、そうは
         考えないことを示す。
 ∧∧
( ‥)最節約に思考したり推論しない?

 例えばこう? 温暖化、わっかんねーなあー。なーんで、政治家はこうも国益に反することをするんだろう?? ははーん、これは全部陰謀ですね?

 ∧∧
( ‥)・・・・まあ、陰謀論はえてして最節約な
    推論ではありませんね。

     (‥ )陰謀論抜きで説明できるのに、
         なんで陰謀論を使うのか? オッカムさんが
         カミソリをふるうだろうなあ。
 
 あるいはこういう見解もできる? 


     (‥ )個別の事例を見た時に、共通原因を推論しない。
 ∧∧
( ‥)ああ、まあねえ。個々のローカルが個別の原因を持つと
    推論することは、個々の事例からそれを説明するなんらかの
    総合的な説明(個々の人間の記録を見ると、人間は共通する
    なんらかの仕組みに基づいて成長するらしい)を推論することとは
    明らかに違うというわけですか。

 考えてみればこれも

     (‥ )最節約な推論ではないよね?
 ∧∧
( ‥)まあ、、、そうですね、
    1つの原因ですむのに、なぜ複数の原因を想定するのか?
    1つの共通原因を推論すればいいのに、なぜ個々の事例は
     個々に原因を持つと考える必要があるのか。

 最節約な推論ではない。

 それにたぶん、そもそも

     (‥ )異常な堆積物、という現象がすべてローカルごとに
         違っていたとしても、そのことに地質学者は気がつく
         方法があるよね?
 ∧∧
( ‥)異なる原因であれば異常という共通項はあっても細かい特徴は
    違うでしょうしね、元素の同位体の比はどうなるんだ? とか
    そもそもイベントが起きた時代が違うのなら時代を知る他の
     手がかりと整合しなくなるでしょうから。

 地質学者が持つ時代決定の方法論や手段、手がかりは複数ある。もし、ローカルごとに時代が違っていれば総合的に見た時に、データの不整合が見つかるだろう。

 ∧∧
( ‥)ローカルごとに違う、という発想は、そういうことを知らないか
    無視したということなんでしょうね。

      (‥ )パズルを作る時に1種類だけの手がかりで
          いかにも整合的に組立てても、いざ、他の
          無数の証拠と照らし合わせると壊れてしまう。

 これすなわち、わずかな証拠で仮説を組み上げて、それで満足した(ようするに追加のデータをくわえることで仮説を検証することを怠った)、ということに他ならぬのではないのか?

 ∧∧
( ‥)調べていない?

     (‥ )こういえば良い?

 数時間、時給にして数千円に相当する投資で理解できるほど科学の理論や論文は単純ではないし、その背景には膨大な積み重ねと”すでに知っているものとして組み込まれた知識”がある。読んだぐらいでは分からないし、読まないともっと分からない。本を見たぐらいではどうにもならぬ。ネットで調べるにしても数時間のリサーチでは話にもならぬ。

 
 ∧∧
( ‥)そして

     (‥ )すぐに満足しちゃ駄目だ。

 満足して、これぞ真理、これで理解できたと思った時、それは終わってる。

 
 


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