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2016年4月30日土曜日

千羽鶴にはマルボロの価値すらない

 
 ソヴィエトロシアが崩壊する時、通貨ルーブルは暴落し、信用のおける貨幣として煙草のマルボロが流通した。
 
 ∧∧
( ‥)煙草のマルボロには
    それだけの価値が
    あったということですな
 
  (‥ )だが千羽鶴にはマルボロの
      価値すらない
 
 
 千羽鶴の価値を本気で言い立てるのならば、まず千羽鶴を讃えるその人自身が率先して、千羽鶴を貨幣として扱わなければならぬ。家を千羽鶴で埋めよ。これが私の富であると誇らしげに誇示せよ。千羽鶴百束と引き換えに一番大切なものを売れ。そうして初めて、千羽鶴の価値が始まる。 
 
 そして本来ならこれはすでにそうなっていてしかるべきであった。

 ではなぜそうならなかったのか?
 
 それはすべての人が千羽鶴の価値を認めていなかったことに他ならぬ。
 
 そしてそれは、千羽鶴を讃える人でさえ千羽鶴の価値を認めてこなかった証拠でもある。

 なれば、すべての責任は千羽鶴を肯定する人々にあること明白であろう。
 
 ゆえに千羽鶴を肯定する人よ、悔い改めよ。まず自分から懺悔せよ。そして自らが率先して千羽鶴を貨幣として使用せよ。それすらできなかったから千羽鶴はマルボロ以下であることを忘れるな。

 邁進せよ、信仰者たち。世界が汝の殉教を待っている。
 
 
 これはhilihiliのhilihili: それを報酬と認める人だけが、ないがしろにする人に石を投げなさいの続き
 
 
 
 
 
 

地球静かなり

 
 ∧∧
(‥ )不戦の誓いって
\−  どう思います?
 
  (‥ )人間とは脊椎動物の中で
      唯一陣形を組んで
      集団戦闘ができる
      高度な能力を進化させた
      動物なのだ
 
 
 アリの高みにまで到達できた唯一の脊椎動物、それが人類。
 
 人類とは戦争をする脊椎動物なり。なれば不戦の誓いなるものの正体、明白だ。
 
 ∧∧
( ‥)ようするに不戦の誓いとは?
 
  (‥ )俺はSEXしないと言って
      無欲をひけらかす
      坊主と同じだろ?
      ただの無駄自慢
      我慢自慢だべ
 
 根源的な欲望の否定によって逆説的に権威を振りかざそうとする。

 この矛盾した奇怪な行動もまた人類の大欲求のひとつであった。
 
 この手のねじれた欲望はあまり真に受けるものではない。
 
 私はSEXしませんと言っていきり立つ坊主をすごいすごいと褒めそやすようなものである。
 
 ∧∧
(‥ )まああまり戦争できなく
\−  なったことは事実ですけどね
 
  (‥ )それは核兵器と
      それによる恐怖と恫喝が
      あるおかげだろ?
      誓いとやらとは関係ないぜ
 
 実際、大戦はこの70年起きてさえいない。かつて延々と1000年間戦争し続けてついに世界征服をなしとげたあげくに自らを2回の大戦争で滅ぼした西欧の影響下にあるとは思えぬほど、この70年、地球は静かであった。
 
 
  
 

2016年4月29日金曜日

それを報酬と認める人だけが、ないがしろにする人に石を投げなさい

 
 
 ∧∧
(‥ )なにやらあれね
\−  熊本地震での被災地に
    千羽鶴がばんばか送られて
    地元が困って
    いらないって言ってる
    みたいね
 
  (‥ )でっ、それを言われて
      誠意を込めた贈り物に
      なんてこと言うんだ
      被災者のくせに生意気な
      って怒ってる
      連中がいるのか
 
 本当に価値あるものであれば、換金できるはずである。そもそも金とはそのために設定されたものだからだ。もちろん、個人によって金額が違う場合もあろう。コンサートのチケットはそれを望む人には価値があるが、興味の無い人には価値がない。
 
 だがそれでも、望む者がいれば、それに値がつくのは事実である。
 
 これに対し、値がつかない、取引できない、その時点でそれは望まれていないものだということになる。
 
 ∧∧
(‥ )せめて一部の人がいうように
\−  千羽鶴が換金できたら
    いいんですけどねえ…
 
  (‥ )つまり千羽鶴が貨幣として
      成り立つ世界だな
      ありえなくもないんだよね
      アフリカ、コンゴの
      レレ族なる人々は
      かつては布地を貨幣として
      使用したそうだな
 
 婚資や入会金、あるいは姦通に対する罰金、賠償金を支払う場合には布地貨幣を使わなければいけない。布地貨幣にはそういう価値があるものだ、文化的にそういう仕組みになっていた。このため、労働の対価として西欧人から支払われたフランを、レレ族の人々は布地貨幣に換金したという。

*参考「図説お金の歴史全書」東洋書林 pp290

**ちなみに布貨だと古代中国の青銅貨幣がヒットするので注意
 
 ∧∧
(‥ )でも千羽鶴ではそれが
\−  成立していないんだよね
   例えば千羽鶴を送った人に
   千羽鶴3束で便宜をはかれとか
   千羽鶴10束で結婚を認めろとか
   お前の妻と寝てしまったから
   千羽鶴20束で許してとか
   そういうことを要求しても
   彼らは多分それに応じない
 
  (‥ )つまり千羽鶴を送った人も
      千羽鶴をないがしろにする
      被災者は許せないとか
      言ってる人間も
      千羽鶴に価値がないことは
      分かってるんだよな
 
 要するにこうである、千羽鶴を労働の報酬として与えられて喜べる人間だけが、千羽鶴をないがしろにする人に石を投げなさい、と。
 
 ∧∧
( ‥)千羽鶴に価値を与えるには
    どうすればいいんですかね?
 
  (‥ )まずはあれだな
      千羽鶴に価値があると
      言っている人間が
      労働の対価に千羽鶴を
      喜んでいただくように
      ならないと駄目だろうな
 
 
 一ヶ月の賃金が千羽鶴3束。
 
 事実、これが成立すれば、被災地に送られた千羽鶴を震災ボランティアに賃金として支払うことで何もかも丸く収まるのである。
 
 

ハーレムの構図を限りなく破壊する


 闇夜の中で考えてはいけない。
 
 必ず朝の光の中で決断するのだ。
 
 ∧∧
(‥ )という意見がね
\−
 
  (‥ )確かに今はもう朝だが
      夜の公園で気がついたよ
 
 
 資源が等価に分割されれば、誰も不平はいわない。
 
 例えばここに野菜がある。それは摩訶不思議なもので、根菜、葉菜、果実の性質を持っている。

 根はジャガイモのごとく食え(ジャガイモ自体は地下茎だが)、葉はキャベツのごとく、果実はスイカのごとく。
 
 
  (‥ )しかしその野菜を
      収穫できる人間が
      ただ一人しかおらず
      なおかつ3人の女の子が
      ジャガイモを主食にする
      キャベツを主食にする
      スイカを主食にすると
      食い分けが出来ている場合
      資源争奪の衝突は
      起こらない
 
 ∧∧
( ‥)...ああ、またハーレムを
    正当化するへ理屈を
    闇の中で考えてたのか
 
 例えば勇者がいる。彼はモンスターを狩っている。彼の後を連日、吸血鬼と二口女とウィルオザウィスプがつけまわす。
 
 彼がモンスターを倒し、売るための皮をはぎ、骨と肝臓を薬局へと持ち帰ると、3人の女の子は我れ先にモンスターにむらがり、血を吸い、肉を食べ、生気を吸収する。
 
  (‥ )どうだ
      これなら女の子から見ても
      資源の分割は平等であり
      誰も損はしておらず
      男を奪い合う理由はないが
      男と一緒にいる動機には
      なるわけで
      適応度は最大だ!
 
 ∧∧
( ‥)うん
    それがハーレムでないって
    ことは分かるな
 
 これはさながらあれだ、ホホジロザメについてまわって餌のおこぼれをあずかろうとする小魚のようなもの。

 男女の戦略の相克ゆえにハーレムが成立しないというのであれば、ハーレムの構図を限りなく破壊してしまえば良い。
 
 
 

2016年4月28日木曜日

最後の異世界へ

 
 昔は、井戸の底から異世界へいけた。

=>hilihiliのhilihili: 昔は井戸の底からいけたのです


 ∧∧
(‥ )でも今や実在する唯一の異世界
\−  太陽系外惑星は何光年も
    先にあって人類では
    手が届かない
 
  (‥ )今の人類では文明の存続の
      放棄と引き換えに
      ようやく実行できる規模の
      計画で
      しかも何十年もかかる
      事業だな
 
 過去の太陽エネルギーの濃縮である石油を湯水のごとく使う。このつかの間の恩恵にあずかれる現在こそが多分、人類の黄金期であろう。つまるところ、現代の世界で不可能な大事業は、人類が滅亡するその日までやはり不可能だってことだ。

 ∧∧
(‥ )それを考えると宇宙人が
\−  まったく見つからないし
    痕跡もないのは当然だね
 
  (‥ )機械文明は
     1000年もたないし
     その程度の文明では
     電波通信がやっとで
     恒星間の移動は無理
     そういうことだろうね
 
 しかし、それでもなお冒険したいのなら、どうする?
 
 ∧∧
( ‥)どうする?
 
  (‥ )古典的には世代船だろ?
    
 
 どうあがいても、人類では恒星間の旅は数十年はかかる。この長時間の移動をストレス最小限で成し遂げるには、社会を丸ごと移動させる世代船しかありえないだろう。つまり大きな宇宙船内で、多くの人々が生活し、産み、育て、そうして何世代も存続する、というものだ。
 
 社会が丸ごと動くのなら、社会から切り離されるストレスはおおいに軽減される。
 
 もちろん、世代船がでかすぎると、今度は宇宙船を動かすのが大変、という問題が生じるが。
 
 ∧∧
(‥ )でも世代船なら
\−  町や村ぐるみの移動だから
    宇宙にも日常を
    持ち込めるよね
    アポロ計画などが持つ
    お堅い
    国家プロジェクトのような
    感じはなくせる
 
  (‥ )国家プロジェクトになると
      どうしても物語が
      土木工事になるからな
 
 端的に言うと、ハードSFとやらがげんなりさせられるのは、結局のところこれは土木工事小説だろ? という感があるせいかもしれぬ。

 もちろん例えば、黒部ダムがどう作られたのかで映画を一本作ることもできるし、事実、作られてはいる。だが、だからといって皆がそんなものを求めているわけでないこと明白だ。むしろ多くはそうでないだろう
 
 ∧∧
( ‥)近年、世代船のアイデアで
    成功したのは
    シドニアの騎士でしょうなあ
 
  (‥ )和風の文化を持つ
      人工数十万の町ごと
      宇宙を移動してるから
      日本の日常と巨大ロボと
      宇宙戦闘が同時に描ける
      画期的な物語
 
 とはいえ、あの物語も、架空の無尽蔵のエネルギーを動力源にするから成立する話であって。
 
 ∧∧
(‥ )自立した宇宙船の
\−  唯一の現実的な燃料が
    反物質であることを
    考えれば
    実際にはもっと小規模に
    ならざるをえないでしょうね
 
  (‥ )だからあれだ大きさは
     100メートル程度
      反物質で氷を吹き飛ばして
      推進し
      恒星系に到達したら
      太陽の近くで光発電して
      反物質を製造備蓄し
      次の恒星系へ向かう
      そういう地味で
      ちんたらした感じに
      なるかなあ
 
 しかも、部品交換するための工場を持てない大きさである。それでいて反物質炉だの光発電機、粒子加速器だのを何世紀も維持するとなれば
 
 ∧∧
( ‥)どうします?
 
  (‥ )もう生物ですよ生物
      それしか考えられませんよ
 
 一体どんな構造なのか予想もできないが、地球生物の細胞を応用することで、反物質炉も太陽電池も常温超伝導器官と器官コイルまで作ってしまう。そういう力技。
 
 ∧∧
(‥ )生物の宇宙船に乗って
\−  旅をするわけだ
 
  (‥ )これなら
      自己修復できるからな
 
 問題があるとしたら、細胞で作られた宇宙船なんて、ガンが必ず発生するということだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)人間の仕事はガンを見つける
    作業になるか
    あるいは新たな恒星系に
    到着するたびに
    宇宙船を世代交代させるか
    ですかね
 
  (‥ )宇宙船を一から栽培するの
      大変だろうな
      多分、何十年もかかるの
      だろうな
 
 いやもう、いっそのこと宇宙船そのものが主人公でいいんじゃね? とも思えてくるような状況である。
 
 ∧∧
( ‥)100メートルの巨人が
    反物質炉を持ち
    宇宙を旅しては
    恒星の光を浴びて翅を広げ
    次の旅の準備を整えるのですか
 
  (‥ )なんかほとんど巨神兵だな
 
 *ナウシカ原作版の巨神兵は、生物であるにもかかわらず、空間をねじ曲げて空を超高速で移動するというトンデモ未来技術の集積なので。
 
 ∧∧
(‥ )燃料や体を再生産している時
\−  どうするんです?
 
  (‥ )寝ていればいいんじゃね?
 
 余計な間は意識を切っておけば、経験は編集され、長い旅も主観時間ではごく短くなる。
 
 
 ∧∧
( ‥)でもここまで超絶的な
    肉体を持つ存在なら
    大冒険は可能でしょうね
 
  (‥ )起きるたびに毎回
      別の世界だ
      1000年の旅も
      主観時間では10年
 
 そして、ありうべからざることとしか思えないが、その巨体のまま赤色矮星をめぐる惑星に降下し、その永久の昼間を歩いたり、あるいはスーパーアースを覆う超臨界状態の海へ飛び込むのである。
 
 あるいは、主星にあまりに近いため、地表の半分が永遠に融解したマグマの海になっている惑星も訪れることができよう。トワイライトゾーンに降り立てば世界の終わりまで続く夕暮れと、果てしない地平線の彼方まで輝くマグマの海。それを覆う、蒸発した岩石の雲を眺めることもできよう。そして、そこから舞い降りる砂の雪と嵐を見ることになるだろう。

 
 
 
 

2016年4月27日水曜日

昔は井戸の底からいけたのです

 
 原典や、原典を収録した本を読んだわけではないものの、「世界昔話ハンドブック」なる本に曰く、

 
 ∧∧
(‥ )イランの物語
\−  マレク・ジャムシードは
    勇敢な王子ジャムシードが
    井戸の底におりて
    竜を倒し捕われていた娘を
    お嫁さんにする話
    
 
  (‥ )井戸の底に異世界が
      あるのか
      昔はいい時代だな
 
 井戸の底に異世界があるのは、他にも例があるそうだ。フランスの民話「熊のジャン」は熊と人の女から生まれた怪力のジャンが、井戸の底にある地下の異世界から女の子を救い出す話だそうだ。
 
 考えてみれば、地下というのは確かに本来は異界であった。地下は死者のすまう場所。日本神話では妻を失ったイザナギが地下世界に降りるし、ギリシャ神話のオルフェウスも妻を求めてハデスの治める地下へと下る。ギルガメシュ叙事詩でもギルガメッシュの友人エンキドウが地下へ降りる話があるという。
 
 ∧∧
( ‥)日本の民話
    おむすびころりんも
    おむすびが地下にある
    ネズミの世界にいって
    その縁で福をもらう話
 
  (‥ )19世紀のSF作家
      ヴェルヌの地底旅行も
      地下世界に降りるのだ
 
 しかし、地下という異界への旅は、だいたいこのあたりが終焉だ。

 今でも地球空洞説のような、過去の残骸をロマンを持って語る人もいるが…、まあ、それはたわ言かつ、無茶ってものである。
 
 地下の異世界などもはや存在しない。
 
 ∧∧
(‥ )映画のセンター・オブ・ジ
\−  アースでしたっけ?
    あれだって異界にいくの
    ではなくて
    過酷な地球中心にいって
    世界を助けよう
    という話ですし…
 
  (‥ )昔は井戸や洞穴で
      異世界にいけて
      冒険できたのに
      今じゃどうにもならん
 
 これを考えれば、現在世界ではトラックに轢かれて転生でもしなければ、異世界にいけないこと明白であろう。
 
 トラック転生が御都合主義で駄目だというのなら、だったら現実的で確実で、しかも大冒険が保証できて比較的お手軽にいける異世界とその移動手段を考えてみるがいい。
 
 ∧∧
( ‥)無理だねー
    最後に残った本当の異世界
    太陽系外惑星への冒険は
    人類にはまったく手が届かず
    しかも最短で片道何十年という
    旅でございます
 
  (‥ )井戸への旅で異世界に
      いけた過去を踏まえれば
      現在のトラック転生の
      どこが御都合主義だと
      言うのやら
      賢しい連中の言うことは
      分からんな
 
  
 

2016年4月26日火曜日

2016.04.26のタツナミソウ

 
 春のこの時期、公園の向こうの生け垣で見かける花がある。花の形や葉っぱの様子からシソの仲間だってことは分かるけども、名前は知らない。
















 写真に撮って、スケッチして、図書館で調べたら、
 
  ( ‥)どうもタツナミソウって
    −/ やつらしいな
 
 ∧∧
( ‥)ちいちゃくて
    可愛らしくも
    意外と派手なお姿ですな
 
 最初はなんかの栽培品種か、外国産か? と思っていたけども、そうではなかった。数はあまり多くないが、神奈川の丘陵地帯では比較的見られるそうだ。
 
 とはいえ、自分の周りではこの生け垣でしか見たことがない。
 
 ∧∧
(‥ )なんかナーガみたい
\−  だよ
 
  (‥ )仏陀を雨宿りさせて
      あげたってやつな
 
=>https://www.google.co.jp/search?q=naga&biw=918&bih=739&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwin97XflazMAhXi3KYKHdcrBoUQ_AUIBygC#tbm=isch&q=na…
 

 
 

全能普遍の主人公はハーレムを築けるか?

 
 男性は多くの女性をものにした方が得だ。

 これゆえハーレムを望む。

 女性は確実な投資を望んだ方が得だ。

 これゆえ、一人との強固な関係を望む。
 
 ∧∧
(‥ )このためハーレム主人公は
\−  女性から決して好感を
    もたれることはないのである
 
  (‥ )反対に
      ヒロインにだけ優しい
      凶悪な不良キャラが
      女性に人気だったりする
      場合もあるけど
      あれは強い上に
      他の女が逃げて
      誰も注目しないので
      自分だけが独占できる
      からだとも解釈できる

 
 単純に言うと、男性は複数の女性を有力な資源と見なし、女性は強い割りには自分だけに目を向け、自分にしか価値が分からない男性を有力な資源とみなす。
 
  (‥ )むっ
      すると分割不可能な
      広大な資源として
      ヒロインたちの前に
      提示された男性キャラは
      ハーレムを
      正当化できるのか
 
 ∧∧
( ‥)なんだよ分割不可能な
    資源としての男性って?
 
 
 その、なんだ、船、とか?
 
 ∧∧
( ‥)人ですらねえ
 
   (‥ )だけどどうよ
       問題ナッシングですよ
       しかも逃げ場無しですよ
       どこにもいけませんよ
       イベント強制ですよ
 
 ∧∧
(‥ )女の子が自分に向けられる
\−  相手の言葉や気遣いから
    好意を抱くと想定した場合
    いくら船が有望な資源だと
    しても
    好意はいだかないんじゃね?
 
 
  (‥ )監視カメラがあちこちに
      あって全員が平等に
      把握されてれば
      良いんじゃね?
      ユビキタスですよ
  
 
 ∧∧
( ‥)最悪です
 
  ( ‥)おかしいな
    −/ 理屈は正しいはず
       なんだけどな...
      

 

      

2016年4月25日月曜日

1÷1>5÷4

 
 女性は手に入るお金が増大しても、生んで育てられる子供の数が劇的に増加するわけではない。
 
 つまり理屈の上で言うと、1人養える男性の妻になるよりも、5人養える男性が抱える4人の妻の一人になった方が得だ、ということになる。
 
 *少なくとも1.25倍のお得である。
 
 ∧∧
(‥ )でもあれだ
\−  物語のオチなどを考えると
    その選択肢を彼女たちは
    積極的には取らないらしい
    むしろ否定するということが
    どうやら見えてくる
 
 
 *王子と恋に落ちて、玉の輿を狙うが、王子はすでにハーレムを持っていたので彼女はその恋をあっさり諦めるというオチが漫画「有閑倶楽部」であったことをここでは引用している。男性が莫大な資産を持っていて、妻たちでそれを分割しても一人当たり十分な資産を手に入れることが出来る場合でも、女性はそれを放棄する場合がある、ということがここから読み取れよう。アフリカの民話で、ヒロインが勝ち残り、一夫多妻制における他の妻が離縁されるという昔話もこれをうかがわせている。
 
  (‥ )5÷4よりも1÷1を選ぶ
      人間は単純な計算で
      行動しているわけではない
      ということでもあるな
 
 いや、動作自体は単純なのだろう。例えば、自分に強い関心を持ち、他の女性に目を向けない男性に興味を引かれる。こういう単純な設定でも、自分に投資してくれる信用できる男を選ぶ、という結果が得られる。
 
 ∧∧
( ‥)ただしこの場合
    当たり前だけども
    Aさんの唯一の妻になるより
    Bさんのハーレムの一員に
    なった方が得である
    という動作は出てこなくなる
 
  ( ‥)有閑倶楽部のあのオチは
    −/ それを反映していると
       見るべきでは
       ないだろうか?
 
 
 人間の行動は、結果的には損得を計算できているかのように振る舞うけども、実際には結果的にそうなるような、もっと単純で的を外した反応の集積で出来ている、と考えた方が無難ではなかろうか?
 
 さて、そうだとすると
 
 ∧∧
(‥ )だとするとハーレム主人公が
\−  女性陣から支持されることは
    やはりありえないことに
    なりますなあ
 
  (‥ )ではこの線は諦めて
      別の線を考えてみようか
 
 
 これはhilihiliのhilihili: ハーレム主人公を救済せよの続き
 
 
 
 
 

ハーレム主人公を救済せよ

 
 主人公(男)が多数の女性からもてもてになるハーレムもの。これは女性からは一般に人気がない。
 
 ∧∧
(‥ )女の子は男性の誠意を
\−  望むもの
 
  (‥ )露骨な言い方をすると
      男性が自分にどれだけ
      投資してくれるかが
      重要ってことなんだが
 
 卵子は精子よりも大きいし、ましてや体内で受精卵を育てるとなれば多大な投資が必要だ。女性が男性の経済力や、投資の方向性を示す誠意を重要視するのは当然であった。
 
 ∧∧
( ‥)...となればですよ
    主人公のハーレム要員が
    二人になれば投資は半減
    三人になれば33%に下落
    四人になれば25%しか
    もらえませんなあ
    これはまさに致命的
 
  (‥ )それを考えると
      女の子がハーレム主人公を
      嫌うのは当然なんだろうな
 
 なんとかハーレム主人公を救済する手はないか?
 
 例えば、主人公が猛烈な大金持ちである場合。
 
 ∧∧
( ‥)なんだ? 月並みな言い方だが
    アラブの石油王か?
  
  (‥ )ああなんか駄目っぽいな
 
 確か、少女漫画の「有閑倶楽部」であったよな。男女混合仲良しグループの一人、ちょっと派手めの女の子がアラブかどこかの王子のハートを射止めて玉の輿だ、純愛だと突っ走るが、結婚の結果、ハーレムの一人になると分かって、結局、皆のもとへ帰ってくるというオチが。
 
 ∧∧
(‥ )途方も無い経済力でも
\−  駄目でありますか
 
  (‥ )そういえば
      アフリカの民話には
      一夫多妻が舞台で
      最後はヒロインが勝利して
      他の妻たちが離縁されて
      ハッピーエンド
      というものがあるそうだな
 
 婚活パーティーでは開口一番に年収を聞いてくる女性がいると聞くように、本来、女の子が必要とするのはお金であるはず...
 
 ...あるはずなのだが、意外とあれだ、女の子はお金だけでは不十分で、やはり純愛が好きだということらしい。
 
 ∧∧
( ‥)考えてみれば当たり前じゃね?
    男だって
    理屈の上では
    子種を振りまければ
    良いはずだけど
    自分のところを
    好きでもない女の子に
    無差別に種付けすることには
    なえるでしょ?
 
  ( ‥)まあレイプしか
    −/ 考えていないような
      アホもいるけど
      気分が乗らないとたたない
      とは良く言われる話だね
 
 どうしてもたたないんだよ! と告白された時に感じるあの感覚。駄目なものは駄目なのだ。人間が欲情するのはスペックではない。もっと別の信号だ。たとえその信号がスペックを反映したものであったとしても、それはスペックそのものではない。

 そしてそれは誠意であったり、あるいは何か、別のしぐさであったり、あるいは何かの手がかりである。
 
 つまり話を戻せば、ハーレムもの主人公が大金持ちであって、資産を分割しても女の子たちが困ることはない…という設定であっても、やはり女の子たちの同意は得られない、ということらしい。
 
 つまり必要なのは十分な財産の分与ではない、誠意の均等な分割と分配なんだろう
 
 ∧∧
(‥ )誠意の分割ってのは
\−  言葉の矛盾のように
    聞こえますけどねえ
 
  (‥ )なんと それでは
      ハーレムものの主人公を
      救済する手段は原理上
      存在しないということ
      なのか!?
 
 まあ、そもそも多くの女性と性交して子供を残した方が有利になる男性と、男性からの投資を最大に引き出した方が有利になる女性とでは戦略も行動もまったく正反対で利害が一致しない。
 
 男の夢はどうしても女の子の事情とぶつかるし、女の子の夢も男の事情と衝突する。
 
 やはりハーレム主人公の救済は原理的に不可能なのか。
 
 ∧∧
( ‥)なんでこんなことを
    考える
 
  (‥ )不可能を可能ならしめる
      逃げ道を発見する
      アミーゴよ
      この手の探索に萌えるのだ

 
 
 

2016年4月24日日曜日

全員が責任を果たしているのに組織としては無責任になりうる理論

 
 ∧∧
(‥ )熊本で震度7の地震が
\−  起きたのが4月の14日
 
  (‥ )ちょうど同じ頃
      ここ神奈川でも地震が
      あってな
      最初あの揺れは熊本から
      伝わってきたのか??
      とびっくりしたけども
      関係なかったね
 
 実際、そんな遠くまで届く地震は強烈すぎるし、そもそも神奈川の揺れはどすんっと来たもので、震源が近い事を示していた。実際、震源は東京の真下50キロ程度であった。
 
 ∧∧
(‥ )一方、熊本は16日にも
\−  震度7を記録
    むしろこちらが本震と
    発表される
    震度7が連続したのは
    観測史上異例
 
  (‥ )記録見るとでかいのが
      次々と起こってな
 
 今日は24日。ここしばらくスーパーから消えていた鶏の肉が、やや品薄とはいえ再び並ぶようになった。九州と関連あるのかな、と思っていたけれど、少なくとも商品名には”さつま”と書いてあることを確かめた。やはり流通か生産に影響が及んだということらしい。
 
 ∧∧
(‥ )ネットを見ると
\−  マスコミが被災地に押し寄せて
    横暴の限りを尽くしていると
    炎上が次々に生じてますね
 
  (‥ )撮影のために
      並んでいた子供を
      雨の中に押し出した
      車や救援のスペースを
      占拠して
      地元民の怒りを買い
      それが生放送で流れた
      地元の人が並んでいた
      ガソリンの列に
      横入りした
      弁当の写真を
      ネットにアップして
      炎上したアナウンサーも
      いたみたいねえ
 
 ああ、まあ、確かに炎上するだろうなあ。
 
 例えば自分たちが何かの理由で被災地に入るとする。何を持っていくか? 少なくとも弁当は持っていかんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)カロリーメイトのような
    携帯食とか
    ポリンタンク入りの水とか
    ですかねえ
 
  (‥ )それを考えれば
      弁当を持っていくなんて
      不自然極まりないからな
      そりゃ疑われる
 
 要するに、このアナウンサーは被災者に行き渡るべき食料を横取りしたんじゃないのか? と疑義を抱かれるわけである。
 
 仮に近隣の地域で正当に手に入れていたとしても、そりゃ疑惑のまなざしでみられるだろう。

 弁当をネットにアップする事自体が不謹慎ではないのか? と言い出す人が出るのも当然だと言える。実際、この場合の批判者が言いたいことは不謹慎と言いつつも不謹慎が主眼ではなかろう。彼が言いたいのは、被災地に弁当を持っていくなんて言う無計画さを指摘することだろうから。
 
 ∧∧
(‥ )でもなんで被災地に弁当を
\−  持っていっちゃうんですかね?
 
  (‥ )うーん
     当てずっぽうだけど
     個人個人が自分の責任を
     果たしているんだけど
     組織としては無責任に
     なるって奴かな?
 
 アナウンサーは肉声器である。本当なら初音ミクに原稿を読ませても良いのだ。しかし現状この世界は原稿を読む時、今だに蛋白質に頼っている。そしてアナウンサーは単に命令されていくだけだ。他のことは考えない。実際、考える必要があるであろうか? 彼の仕事は見て読むことだけである。
 
 ではアナウンサーに同行する人々は何をするであろうか? それぞれ撮影などをするのであろう。端的に言えばそれ以外の責任も仕事も、何も負ってはいない。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ弁当を用意する人は?
 
  (‥ )いつも通り
      弁当を用意するだけだろ?
      他に何ができるんだ?
 
 
 ここには、被災地では補給が効かないはずですから、全部一から持っていきましょう、全員、カロリーメイトと水で我慢しろ、と提案実行する役職が存在しない。
 
 単純にこう仮定するだけで、現地周辺か、現地で直接弁当を調達するなんて言うことが起こりうる。
 
 参加者全員が自分の責任を果たしているのに、全体としてはまったく無責任、行き当たりばったりになりうる。
 
 ∧∧
(‥ )こういうごく単純なことが
\−  原因かもしれないって
    ことですか
 
  (‥ )原因なんてつまらない
      ことだろ?
      そしてこういうことは
      組織の必然
      だとすれば
      こんなとこじゃね?
      
 すなわち、全員が責任を果たしているのに、組織としてはまったくの無責任になっちゃった理論。
 
 
 

現実の把握に失敗した魔法には罪と罰がある

 
 昔、ある漫画でこういう場面があった。
 
 今の地球では魔法使いの存在は知られていない。魔法世界も地球との交流を極力避けている。だから魔法使いは人知れず、困った人や病人を助けている。もしも魔法が認められれば、この状況はもっと好転するはずだ。
 
 ∧∧
( ‥)これを見たあなたは
    次のように思いました
 
  (‥ )そうか魔法は絶対に
      存在してはいけないし
      存在しても病人を直しては
      いけないのだ
      魔法はあくまでも
      闇の中のかすかな存在で
      あるべきだ
      そのことを確信したね
 
 実は、魔法というのは本来、現在の天文学、化学、医学を総合した学問であった。
 
 天体は地上界に影響を及ぼす。
 
 物質は四元素で成り立ち流転する。
 
 地上界の存在である人体は天体と四元素、さらに複数の対になる属性で決定づけられる。
 
 これらすべてを考慮した理論体系が魔法であった。魔法の上位存在は天文学であり、錬金術など下位存在でしかない。そして医学は魔法を踏まえた技術であった。
 
 ∧∧
(‥ )でも当時の医学ときたらねえ…
\−  最初の頃は血液が
    体内を循環していることすら
    分からなかったし
    血を抜く放血とかしてたし
    そもそも病原体という存在も
    19世紀まで
    知られていなかったし
    腐敗や発酵も理解できていない
    当然、消毒の必要性すら
    分からない
 
  (‥ )顕微鏡を発明し
      病原体を見つけ
      因果を探る方法論を考え
      錬金術を越えた化学による
      様々な薬物を使用し
      その効果を試し
      人体解剖を行って
      徹底的に人体の把握を行い
      事実上の地図を綿密に
      作り上げ
      以上すべての把握と
      その訓練を行う
      こうして生まれたのが
      現代医学
 
 このように人体の徹底的な把握と、病原体、薬物の作用を掌握して、初めて治療というものが十分な効果を持つようになった。
 
 現実の把握に基づき、具体的な操作が可能になる。単純だが冷酷な事実がここにある。
 
 ∧∧
( ‥)自動車の整備工は
    自動車の仕組みを把握し
    電気、冶金、物性、熱力学を
    掌握しなければならぬのと
    同じですなあ
 
  (‥ )魔法はこれが無いんだよね
      当たり前だけどね。
 
 
 当たり前である。そもそも掌握に失敗した科学が魔法だったのだから、魔法に現実の把握などできているわけがない。
 
 ∧∧
(‥ )呪文を唱えれば病人が治癒する
\−  魔法のこういう考えって
    呪文や使役する精霊さんに
    めんどくさい現実の掌握を
    丸投げするってことなんだよね
 
  (‥ )これってアホな経営者が
      難しいことを
      安易にプログラマーに
      丸投げするのと
      同じなんだよな
 
 プログラマーなんだからこれぐらいできるでしょ?
 
 いや、できませんよ!

 なんでできないの? プログラマーでしょ? ちゃちゃっとできるでしょ?
 
 こういう丸投げを平気で言うのが間抜けな経営者であるし、これと同様、魔法使いが病人を治すとは、無知蒙昧な丸投げなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)逆に言えばプログラマーは
    魔法使いや
    何でも出来る便利な精霊だと
    考えられているわけだね
 
  (‥ )現実の掌握が出来る人は
      現実を見て
      これは出来る
      これは出来ないと
      判断しているけども
      アホな社長や上司は
      これができないわけだ
   
 それと同様、魔法で病人を治せるというのも、現実を把握しないまま物事を丸投げすることに他ならぬ。
 
 つまるところ、たとえフィクションとは言え、魔法が普及すれば病人だって直せるはずだ、という冒頭の場面が持つそらぞらしさはこれに由来することになる。
 
 ∧∧
(‥ )漫画家さんもそんなことを
\−  言いたかったわけじゃない
    だろうけども
    結果的には
    そうなってしまっているのだと
 
  (‥ )だからさ魔法は
      現実の侵犯を最小限にする
      べきなんだよな
 
 それが魔法という現実の掌握に失敗した理論が背負うべき罪であり、そして罰である。
 
 例えフィクションであってもそうであるべきなのだ。我々人間の頭脳は現実を不十分とはいえ把握し、生き抜くようにできている。現実の侵犯を過大に行う物語を、人間の脳は良しとしないであろう。
 
 
   

2016年4月23日土曜日

赤い人

 
 
 ∧∧
(‥ )レッドマンって最近人気だね
\−  今年に入ってから
    配信が始まって一部で
    なんじゃこりゃ人気が出たと
 
=>https://www.google.co.jp/search?q=レッドマン&biw=913&bih=732&tbm=vid&source=lnms&sa=X&ved=0ahUKEwjNkKmWsqPMAhWJq5QKHWlsC3gQ_AUIBygB&dpr=1
 
  (‥ )元は5分番組で
      ヒーローが怪獣を
      倒す場面しかないうえに
      刃物を使うから
      無実な怪獣を問答無用
      説明抜きでいきなり殺す
      通り魔殺人のように
      見えてしまうと
      大評判
 
 
 ああ、そうか、要するにレッドマンって、水戸黄門で言えば、こらしめてやりなさいから印籠を出す場面だけを延々と放送するようなものか。
 
 ∧∧
( ‥)確かにそんな放送をしたら
    頭のおかしな老人とその手下が
    施設内に無断で入り込んで
    殺戮の限りを尽くすような
    話になっちまいますなあ
 
  ( ‥)娯楽は殺人ショーである
    −/ だが殺人は正当で
       なければならない
 
 それゆえ物語とは、この殺人が正当であることを説明するものでなければならない。つまり、いかなる娯楽も、その最終目標は処刑ではあるが、それは必ず正当な裁判の形式を踏まえなければならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )ということが良くわかる
\−  反面教師
    それがレッドマンですか
 
  (‥ )いきなり死刑死刑死刑!!
      では
      子供が泣いてしまうから
      死刑に至るまでの過程を
      丁寧に説明しなければ
      ならないのだな
 
 今日もあまたいる創作者たちは、なぜ登場人物を死刑にしなければならないのか? その説明に腐心するのであろう。

 そしておそらく、これを見誤ると娯楽として失敗するのである。
 
 
 
 
 
 

暗いひとりぼっちの世界

 
 そういえばもう20年は前になるか。公園を歩いていたら、森の中から、きえー、とかいう声が聞こえる。

 なんだ? 喧嘩か? と思ったが声は一種類だけ。
 
 次に、声が甲高いから、レイプか何かか? 真っ昼間なのに?? とも思ったが、普通の声より高いがどう聞いても男の声であった。
 
 どこから聞こえているか。いろいろと探しまわって近づくと、猛烈な揮発性の匂いがした。
 
 シンナーだ。のぞいてみると作業着であろうか? 地味な格好をした若い男が袋を顔に押し当て、地面に横たわって身悶えするように体をよじり、きゃーきゃーと声を上げていた。
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ、実はこれが
    魔法であると
 
  (‥ )魔女の魔法はこれぐらい
 
 
 もちろん、かつての魔女たちがやったのはヒキガエルだのイモリだの野草だのの毒を使ってハイになる方法であろう。
 
 しかしもしも、シンナーを合成する手段を手に出来たのなら、それは実際の魔女魔法を越えて、錬金術となる。
 

 ∧∧
(‥ )中世にシンナーを合成できたら
\−  魔女さんたちはそれを
    すーはーしてたのでしょうな
 
  (‥ )さらに発達すると
      人工麻薬を製造して
      サバトと称する
      ドラッグパーティーを
      開催してたかもね
 
 そして当然、こんなことをもしも行えば、当局に摘発されること疑いないのである。 
 
 ∧∧
( ‥)魔法って所詮はこういうもの
    なんだよと
 
  (‥ )だから表に出ては
      いけないのだ
 
 もちろん、もしも錬金術でシンナーを合成できるのであれば、その時、錬金術は表の世界さえも大きく変えているだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもそうなるとそれは化学に
\−  なってしまって
    当然、人々は
    科学技術を支えるための
    学校の授業と義務教育から
    逃れるわけには
    いかないのである
 
  (‥ )そしてそうなると皆が
      逃れたい現代世界と
      何も変わらないことになる
      当然だよな成功した
      錬金術の世界が
      我々の世界なんだから
      つまり
      魔法は成功すると
      現実世界に重なり
      現実逃避の意味がなくなる
 
 
 やはり魔法は暗いひとりぼっちの世界がふさわしい。
 
 
 
 
  

魔法が逃げである以上、それが肯定されることはない

 
 人間は現実の中を生きるように、進化的に設定されている。
 
 だから目先のことしか考えないし、それゆえにインチキ医療にひっかかってあえなく死ぬ。
 
 そういう欠陥もあるが、人間が現実の問題に対処できるように出来ていることは疑いない。それが出来ないものは死んだわけで、そうなるのが必然だ。

 インチキ医療に引っかかって死ぬこととて、そういう死に方が致命的になったのは、まともな医療が発展してからのこと。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると
\−  インチキ医療を回避する
    能力を人間が持たないことは
    むしろ自然である
 
  (‥ )進化的に調節されるとは
      まあ、そういうことだ
 
 かように、人間は現実世界の中を生きるよう調整、設定されている。
 
 だとすると、フィクションもそうでなければいけない。
 
 確かにフィクションは現実逃避のためのものだが、同時に、読者の脳は現実世界を生きるように構造上出来ていることを忘れてはならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)だからだろうね
    ただ御都合主義な話だと
    読者がだんだん文句を
    言い始めるよね
 
  (‥ )現実じゃないから
      良いじゃん
      そう言っても
      現実の中を泳ぐことに
      適合している脳の方が
      これはおかしいと
      言い始めるのだな
 
 あるいは、現実を泳ぐことに適合した脳にとって、御都合主義な話とは、さながら足がつかず、手に何もつかめない、宙ぶらりんでいやな感覚なのかもしれない。
 
 つまりこう、あれだ。

 現実のような感触でありながら、それを見事につかんですいすい進めるような嘘が望ましいってことだろう。
 
 ∧∧
(‥ )それが望まれる魔法の
\−  効果であろう
 
  (‥ )魔女っこがホウキで
      空を飛ぶのは
      空を自由に飛びたいな
      というたわいもない
      願いをかなえる程度だから
      許されるのだろうね
 
 これが、相手の意思に関係なく意中の人が自分を好きになるようにする魔法とか、死者の蘇生とかになってくると、
 
 うんんんんんんん??????? 
 
 という感じになってこよう。
 
 ∧∧
(‥ )ここらが現実の侵犯で
\−  この領域に魔法で侵入すると
    脳が拒絶し始める
    そういうことですかね
 
  (‥ )たぶんそんなところじゃ
      ねえかな
      実際、物語でも
      心を操る技
      未来を覗く技
      死者を蘇生させる技
      いずれも禁じ手だよな
 
 あるいは悪魔が使う邪法だと扱われるであろう。つまり使えるにしても否定的な技なのである。物語によってはそういう邪法を使うと手痛いしっぺ返しにあうことすらあるように、使用できるにしても、ただではない。
 
 かように、魔法とは現実逃避の手段であるにもかかわらず、現実を侵犯してはならない、という暗黙の了解がある。
 
 だから、魔法が現実を侵犯する場合、人目につかないように秘かにするものなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)ばれなきゃ
   侵犯じゃないんですよ
 
  (‥ )まあそういうことだね
 
 当然、魔法は近代兵器に勝つことは許されぬ。
 
 いやそもそも魔法とは近代兵器どころか銃器、あるいは鉄にさえ勝てぬものでもあった。
 
 ∧∧
(‥ )妖精や妖怪のような
\−  魔的存在は西欧でも日本でも
    基本的に鉄が苦手だからね
 
  (‥ )鉄器という圧倒的な利器が
      出現した時
      人間は
      鉄であれば魔的存在さえも
      打ち破れる
      そう認識したってこと
      だろうねえ
 
 かように、魔法とは、現実の力を行使する圧倒的な技術の前でかすんでしまうべきもの。ましてや魔法で近代兵器群を倒すなど、中二病の中でも下の下、恥の底辺だと知るべし。
 
 ∧∧
(‥ )まあすべてのフィクションが
\−  それに従うわけじゃないけどね
 
  (‥ )漫画ベルセルクなんかは
      面白い例かもな
      魔法が現実世界を
      地球丸ごと侵犯したけど
      そこで話が進んでおる
 
 だがしかし
 
 ∧∧
( ‥)考えようによっては
    ベルセルクも
    魔法による現実の侵犯を
    結局は否定する話
    なのでしょうなあ
 
  (‥ )大事な人を捧げることで
      心に生じた亀裂に
      魔が流れ込み
      超越者になれる
 
 しかしそうして超越者になった者たちときたら、これがもう絶頂に痛いのだ。

 狂信者であれど狂ったまっすぐさがあったモズグス様も、超越者になった瞬間、ただの愉快なおっさんに。
 
 グルンベルド、ロクス、かっこいいはずの面々が、自身の内心を話せば話すほど、なんか痛い人になっていく。
 
 グリフィスだって人間の時は知謀の限りをつくしていたのに、無敵無謬の魔王に転生して以降、本人からして自分の立ち位置がチートでつまらなさそう。あの日、あの時、あそこで諦めるわけにはいかなかったとはいえ、この結果、なんか思ってたのと違くね? とも受け取れそうな物憂げな表情。
 
 そう考えればあの物語、魔法で現実を侵犯しちゃった人たちと、いやそれはちょっと…という人たちが、その人生観をめぐって争い、世界を二分して大戦争をするという話だとも言える。
 
 ∧∧
(‥ )つまり漫画ベルセルクも
\−  魔法による現実の侵犯を
    否定する物語だと
 
  (‥ )むしろそういう
      否定をテーマにした
      物語なのかもね
 
 
 魔法は所詮逃げなのだ。それゆえ、たわいもない願い事を魔法はかなえてくれるが、現実を侵犯するようなことは許されない。人の心を操る、病気を直す、人を蘇生させる、近代兵器を圧倒する、かような事柄、すべて肯定されえない。
 
 
    

2016年4月22日金曜日

魔法漫画は露出漫画と似ている

 
 この世に四つの元素があり、それらの元素の組み合わせで物質は成り立つ。さらに乾、湿、冷、温などのような特性と、天空を運行する惑星が司る性質と属性が作用して地上界は流転する。
 
 これが魔法であり、錬金術などというものは魔法のごく下位な領域でしかない。
 
 真の魔法とは宇宙と物質界すべての有様を記述する、すなわち古代中世の大統一理論。

 中国の陰陽五行説もこの亜流。
 
 ∧∧
(‥ )そして魔法とは敗北した
\−  理論でもある
 
  (‥ )記述すべき現実世界は
      魔法という仮説を
      はるかに越えていたのだ
 
 元素は四つではなかった。ずっと多い。しかも、元素の性質を司る電子は、原子核にある陽子によって数が決定される。
 
 ∧∧
( ‥)しかるに陽子と共に
    元素の質量を
    体現する中性子は
    その限りではない
    中性子は元素的な性質と
    全く別個な核力の理だけで
    ふるまっている
 
  (‥ )かくて同じ性質で分類される
      元素同士なのに
      重さが違うという状況が
      生じるようになった
 
 
 それゆえ、元素同士の質量比は単純な整数比にならない。なにか数学的な関係があるだろうと人に思わせるぐらい規則正しさが現れる一方で、いや、それは間違いだろうと思わせるほどの不一致がどうしても生じる。錬金術の延長から生まれた化学はその歴史の初期で、この事実に非常に頭を悩まされた。
 
 ∧∧
(‥ )今でも周期表と元素の性質を
\−  勉強する学生さんは
    ??と当惑するからね
 
  (‥ )皆の当惑は100年以上前の
      研究者の当惑でもあるのだ
 
 このように現実世界は魔法ではまったく扱いきれない存在であった。そうして誕生した化学や物理学、量子論が整備されるにつれて、魔法は当然衰退した。魔法とは結局、現実の前に敗北した理論でしかなかったのである。
 
 でも、魔法は今でも人になじみなものである。実際、何千年も魔法は信じられてきた。ということは、魔法は人間の心に当てはまりやすい理論体系だったということではなかろうか?
 
 なれば、魔法が今でも創作の世界で生きるのは当然。

 フィクションは現実逃避という一服の清涼剤である。
 
 そのフィクションにふさわしいのは科学ではない、魔法なのだ。
 
 かつて恐れられた魔女たちが、実際には手作りのドラッグでトリップを楽しむ孤独な老婆であった、という説があるように、フィクションにおける魔法とは、トリップするための手作りドラッグなのである。
 
 しかし、それゆえに、フィクションにおける魔法の扱いは、注意しなければならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)現実の侵犯はやっては
    いけないのであろう
 
  (‥ )やってもいいけど
      取り返しつかなくなるぞ
      という感じかな
 
 ヒキガエルの毒だのイモリの毒だの、あるいは有毒な野草だの、それらを調合して経験則から粗悪なドラッグを作り出す。それをひとり寂しく楽しむ。

 本当は薄暗いぼろやにひとりぼっちなのに、脳内では悪魔のサバトで社交界デビューだ。楽しければそれで良いであろう。
 
 だが、これを表立ってやったらどうなるか?
 
 ∧∧
( ‥)ぶっ殺されるね
 
  (‥ )それを考えるとさ
     例えフィクションの世界でも
     魔法は表立ってやったら
     まずいんだよ
 
 これは例えるならば露出狂の漫画のようなものだと思えば良いのではないか?
 
 露出狂のヒロイン(まあおっさんでもいいのだが)は服をぬいで夜の町に出る。でも、ヒロインは変態の性ゆえに思うのである。できれば人目に触れたい。
 
 こういう時、漫画ならどう描けばいい?
 
 ∧∧
(‥ )今ここには私一人だけど
\−  他に人がいて見つかったら
    どうなるだろう? と
    フィクションの中でさらに
    妄想フィクションを
    展開しますかね
    これなら安全ですぞ
    しかも
    皆にばれた選択肢まで
    描くことができつつ
    実際にはばれてないから
    続編も描けて二度美味しい
 
  (‥ )まあどうせ
     フィクションなんだから
     堂々とヒロインは脱いで
     町に出れば良いじゃん
     と展開してもいいけど
     それは
     ただのバッドエンドで
     しかもそこで終わり
     なんだよね
     やってもいいけど
     やれるだけ、だよな
 
 とまあ、これと似たような理屈で、フィクションの世界と言えども、魔法は表に出てはならぬだろう。物語で魔法を使うとは、露出狂が服を脱いで町を歩くことと同じ。闇から出てはならぬ。暗がりから出てはいけない。昼間の世界にいってはいけない。
 
 ∧∧
( ‥)出ても良いけど
    出た瞬間に
    ハリーポッターみたいに
    魔法学校や魔法授業という
    現実組織のしがらみに
    捕われることになりますぞ、と
 
  (‥ )魔法はもっと自由のはずだ
     だのに
     なんで魔法学校だの
     魔法理論だの必要なんだよ!
     と怒る作家もいるけども
     それは自業自得よな
 
 
 暗がりの中にいるべきものが、太陽の下に望んで出れば、紫外線に焼かれる。そのことを、怒れる作家はなぜ失念していたのであろうか?

 これは魔法を世界の表に出した者が背負うべき罪と罰。
 
 ∧∧
(‥ )例えばの話
\−  魔法は近代兵器に
    勝っちゃいけないってこと
    ですかねえ
 
  (‥ )勝ってもいいけど
      それをやると
      化学の成績が悪い俺様が
      脳内で現実に無双しました
      という内容に
      なっちゃうから
      恥ずかしいのよねえ
 
 魔法を使う者。お前は決してその薄暗いひとりぼっちの世界から出てはいけない。現実を侵犯してはいけない。
 
 もしも出たら、露出がばれて社会的に抹殺されるヒロインのようになって、そこで終わりをむかえてしまうであろう。
 
 
 

2016年4月21日木曜日

くだらない話

 
 アマゾンで発見された新種の昆虫がまるで宇宙生物
 
=>https://www.google.co.jp/search?q=宇宙生物%E3%80%80Amazon&biw=913&bih=732&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwip_8qgxp7MAhWJX5QKHXNsBQcQ_…
 
 ∧∧
(‥ )...と言われて話題になったけど
\−  これウンカとかヨコバイの
    たぐいだよね
    そして幼虫さんで
    体を偽装する付属物を
    つけている
 
  (‥ )世間ではこれが宇宙生物に
      見えるってわけだなあ
 
 別にこういうのはその辺の野っ原とか森にもいるよね?
 
 というか小学生向けの子供図鑑な知識だよな。
 
 ∧∧
( ‥)だけど考えてみれば
    当たり前で
    小学校の時
    世間の人は図書館などで
    本を読まなかったのである
 
  ( ‥)こんなもので喜んで
    −/ くれるんだな
 
 なにかをちょっとでも知っていると、もはや世間の常識や欲望とはかけ離れた心になってしまう。

 そして本を書く人間は、それを書く以上、そのことに関して普通の人より知ってしまうことになる。 
 
 ∧∧
(‥ )かくて本を書く人は
\−  読者のことが
    全然理解できなくなる
 
  (‥ )なんというかな
      本を書き続けていると
      正直な話
      書き手にとって
      読者というのは
      くだらないことに群がる
      おかしな連中に
      見えてくるように
      なるんだよ
 
 逆に言うと、その人が初めて書いた本が一番読者受けするって場合もある。書き手と読者の距離が近いからだ。
 
 あるいはこういうこともおこる。
 
 本を書いても何一つ進歩できず、調べず、聞いただけで勝手に妄想して素人臭い新説を述べる人が、一番”分かりやすい”本を書き続けられると。
 
 ∧∧
( ‥)困る?
 
  (‥ )そうねえ正直な話
      色々な意味で困るよね
 
 素人が一番、分母が多い。だから売れる本を書くには素人が鵜呑みにしやすい勘違いや妄言を書けば良い。
 
 これは直視しなければいけない現実なんだが、困った事実でもある。 
 
 つまるところ、世の中の人は正しいことを知りたいが、根拠や確からしさを示すパーセンテージとか、そういった頭を酷使することは知りたくないのだ。
 
 ○か×か?
 
 あるいはこう言った方が良いのだろう
 
 切るべきコードは青か赤か?
 
 人が知りたいのはそれだけで、爆弾の仕組みを知りたいわけではないし、なぜ青を切らねばならないのか、その理由を知りたいわけでもない。考えてみれば正統な要求ではある。
 
 ∧∧
(‥ )でもこれ
\−  いつも問題にしているけども
    答えがちっとも出ない問題でも
    あるよねえ
 
  (‥ )答えが出ないってことは
      答えが存在しないか
      あるいは
      すでにある破滅的な選択肢
      つまり間違ったことを書く
      しか選択肢が存在しないか
      そのどっちかということ
      なんだろう
 
 あるいは、人間の興味自体が興味深いものであるとも言えよう。つまり、普通の人間の興味とは、くだらなくて価値が特に無いものに目が向いているか、あるいは、見た目が極端に派手なものに興味があるか、そのどっちかであるからだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも考えてみれば
    当たり前かもですね
 
  (‥ )どうでもいいことに
      価値を見いだすのは
      実は初めて見たからだ
      初めてまじまじと見たから
      興味を抱いて
      いるわけなんだな
 
 それは実のところ、普段は物を見ていないってことでもある。

 そして、普段、ものを見ていないのは、余計なことに体力を消耗しないための動作なんだろう。人間は良く出来ている。
 
 さらに見た目が派手なものに目が引かれる。これは、人間が視覚動物で果実などを食べて生活する動物であることを考えれば当然。
 
 ∧∧
(‥ )要するに省エネで観察を
\−  おざなりにしているから
    近くにある不思議を
    見落としているし
    反対に派手なものには
    気がついて
    興味を引かれるのだと
 
  (‥ )なんかどうしようもない
      結論だな
      おまけに全然役に立たん
 
 本当にくだらない話、というと、いつも思い出すのがあれだ。高名な生物学者が日本のアブラムシであったか、群れるアブラムシに三色あるのを見て、これはまだ誰も理屈を解明していないと言った話。
 
 ∧∧
( ‥)それこそが本当は
    くだらない話ではなく
    見落としがちな
    現実の不思議に
    研究者は気づく
    それが才能だという話ですな
 
  (‥ )だがこれは
      天賦の才であって
      これを我々素人に
      当てはめる訳には
      いかんわけよ
 
 
 

2016年4月20日水曜日

明日のお馬鹿はどっちだ?

 
 
 ∧∧
( ‥)あなたが最近
   これはやばいと思っている
   個人的な事柄って何よ?
 
  (‥ )どうも俺は
      真面目な本を書く人だと
      思われているらしい
      本来そういう立ち位置じゃ
      なかったのだけどね
      この手の評価って
      致命的なのよね
 
 
 真面目な本は必要とされる一方で、売れる本ではない。だとすると、あの人は真面目な本を書くよ、そんな風評がたったら、実入りが悪くなるし、出版社も支払いを少なくしてしまう。

 いや、支払いの少ない出版社からの仕事だけになってしまうのだ。
 
 ∧∧
(‥ )真面目な本を書いていると
\−  人生がじり貧になる
    真面目な人だと評価されたら
    死ぬ
 
  (‥ )不真面目で程度の低い本を
      書くのが
      物書きとして
      あるべき姿なのだ
 
 もちろん、読者は自分が手に取る本が不真面目で程度が低いなんて思っちゃいない。自己啓発本とかビジネス本とか、それを熱心に読んでる連中を見ればそれは良くわかること。
 
 実際、あの手の本の作り手である出版社や編集者は、売れるとはいえ、なんでこんな馬鹿な本を俺が作らねばならんのだ?? と読者を殺したいほど憎んでいる場合があるが、読者はそんなこと想像もしないで有頂天ではないか。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると不真面目な本を
\−  作るのも考えものですなあ
 
 
  (‥ )すごいストレスだと思うよ
     いい加減な本を書いてる人が
     生活は安泰なのに
     目に憎しみを宿らせていたり
     あきらめと憎悪で世界を
     見ているのは
     そのせいじゃないか?
 
 
 あるいはこうも言えよう。不真面目にも方向性がある。そしてビジネス本のような方向性は精神を病むと。
 
 ∧∧
( ‥)精神衛生上、書いていて
    問題ない本でいて
    なおかつ
    お馬鹿な本を書く人間だと
    周囲から思われないと
    いけないのである
 
  ( ‥)どうにもその点で失敗して
    −/ いるからな
       人生を修正せねばならん
 
  
 すなわち、明日のお馬鹿はどっちだ? これが課題。
 
 
 
 

モード変換! ホルモン全開!!

 
 砂の惑星。その未来では1万の世界に支配者がおり、抜きん出たコリノ王家が他の王家を服属させる帝国。帝国には厳密な階級制度がしかれており、惑星から自由に出ることができない農奴階級も存在する。星々をつなぐ航路を宇宙船が盛んに行き来する一方で、電子計算機やコンピューター、人工知能というものはない。それらはかつて、情熱的宗教戦争、ブトレリアン・ジハードによって抹殺されたからだ。
 
 その代わり、人は自己の肉体を鍛錬することで機械の欠如をおぎなうようになった。計算能力を高めた職種メンタート。ドラッグを吸引することで宇宙船の安全な航路を幻視するギルドナビゲーター。女性の肉体と精神の訓練を行う魔女、ベネゲセリットたちは自分たちの意思で新陳代謝の速度を変えられる。
 
 そしてこの時代の戦士たち。ごく遅い速度、秒速数センチ程度のものしか透過を許さないシールドが普及した世界で、戦闘は再び白兵戦に戻った。戦士たちはきらめくような素早い防御と、ゆっくりとした突き。そしてその遅い突きを有効にするためのフェイント。あるいはフェイントのためのフェイントという頭脳戦を交えた格闘術に熟知している。一般徴募兵10名を容易く打倒できる皇帝親衛隊サルダウカー、そのサルダウカー多数を相手に圧倒できる剣士ダンカン・アイダホ、そしてその彼に教えを受け、師匠をもしのいだ技量を持つ主人公、公爵家の若き王子ポウル・アトレイデス。
 
 まさに肉体の鍛錬と奥義、そして薬物と精神開花、肉体制御と展開の世界。
 
 砂の惑星が出版されたのは1965年。当時はベトナム戦争とヒッピー文化の時代であった。
 
 ∧∧
(‥ )そのせいですかね?
\−  砂の惑星ってかなり
    人気出たみたいだよね
 
 (‥ )ドラッグを吸い、食べ、飲む
    ギルドナビゲーターが
    幻視の中で予知能力を開花させ
    安全な航路を探るなんてのは
    まさにヒッピーと東洋趣味や
    神秘主義の合体だしな
 
 そう言う意味では、砂の惑星のイメージは実のところインドっぽいのが良いかもしれぬ。
 
 それはさておき
 
 若い頃、かっこいいと思ったものは後々になってみると悲しいもので、それは黒歴史となる。
 
 原因のひとつは、若い時分には物事が良くわからん、ということがあるだろう。
 
 だがそれだけか?
 
 実はもう一つ原因がありえよう。
 
 ∧∧
(‥ )ホルモンとか神経の具合とか
\−  そう言う作用も大きいだろうね
 
  (‥ )...なあ、砂の惑星では
     精神による
     新陳代謝や内臓の制御に
     いたる
     奥義と鍛錬が描かれて
     いるわけだけども..
 
 ああん? つまりするとあれか? 砂の惑星のような、完成された人体制御術をもってすれば、人はいつでも好きなように中二病モードになれるってことではないのか?
 
   (‥ )ホルモンブースト!
       来たきたきたきたー!!
       我は闇の真祖にして
       真名はドラグル
       ブレヘーベンっ!!
 
 ∧∧
( ‥)おう、それでどうすんだ?
 
 
 さて、どうしたものか。とはいえ、肉体の制御とはつまるところ、こういうことだろう。
 
 ∧∧
( ‥)思うんだけどさ
    自分を調整して心を中二病に
    してしまったら
    戻れる力はあっても
    戻ろうとしないんじゃねえの?
 
   (‥ )おおっ、これは
       思ったよりも
       恐ろしい技だな
       多分、これは禁じ手だ
 
 
 それにしても、改めて考えればヒッピー文化もそうだろうけど、砂の惑星もかなり中二病的なところがあるんだろう。一般兵士を圧倒できるサルダウカーを圧倒できる剣士のさらに上をいく主人公、というのはまさにそれだ。
 
 ∧∧
(‥ )こういう中二病な要素が
\−  あったからこそ
    ヒッピー文化も砂の惑星も
    受けたのですかね?
 
   (‥ )創作とは中二病で
       なければいけない
       そういうことだろうな
 
 ∧∧
( ‥)まあ、あまり重度だと
    戻って来れなくなったり
    さすがにこれはないわ…と
    食傷されちゃうんだろう
    けどね
 
  (‥ )どういう案配で中二病に
      なればいいのか?
      ここが腕の見せ所
 

 
 
 

2016年4月19日火曜日

マルボロ通貨

 
 貨幣と紙幣は品質が変化しない。あるいは変化しにくいもので製造されている。
 
 それゆえ一定の価値を持ち得るが、そのために貯蓄されてしまう場合がある。
 
 ∧∧
( ‥)あんまり貯蓄されると
    経済回らなーい
 
  (‥ )では逆に考える

 
 例えば、なにか理由で品質が劣化しうるものが貨幣価値を持っている場合。
 
 ∧∧
(‥ )その時、その”貨幣”は
\−  貯蓄されずに使用され
    経済の回転が盛んになる
    であろう
 
  (‥ )言うなれば
      森よりも草原の方が
      豊かである理論
 
 *森は生産者である植物が木材という食えない形で生産を貯蓄してしまう。これに対し、木材が無く、食って経済に回せる部分の多い草原は、見ての通り森より動物が多い。
 
 そういえば、江戸時代は石高、つまり米で経済を基礎付けていたらしいけども
 
 ∧∧
( ‥)お米は金属貨幣よりも
    早く使われるだろうね
    でも江戸時代の経済が
    それで回っていたかとか
    そういうこと分かんないね
 
  ( ‥)商人と貨幣経済の発達は
    −/ いつぐらいから
       だっけね?
 
 もっと近い例はないか?
 
 ああ、そういえばあったではないか。ソ連邦が崩壊した時、あるいはその前後、ロシアの通貨ルーブルは価値が暴落。もはや紙くず同然であり、煙草のマルボロが通貨代わりになったと。
 
 本当かよ? と当時思っていたが、確かに知り合いの親父さんが曰く、モスクワでタクシーの運ちゃんが、実際にマルボロを要求してきた、と言ってたよなあ。
 
  (‥ )経済回ったのかな?
 
 ∧∧
( ‥)貨幣として流通する以前に
    吸っちまうんじゃねーの?
 
 実際はどうだったのか? マルボロ貨幣はどのぐらいの速度で消耗されてしまったのであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )景気の良い話かどうか以前に
\−  状況が分からんですね
 
  (‥ )結局ルーブルに戻った
      ことを考えると
      ルーブルの方が良かった
      ということかな?
 
 それとも、経済を回すことよりも、財産を溜め込みたい、という人間の欲望が金属貨幣や紙幣を選んだ、ということであろうか?
 
 世界は明瞭かつ、謎めいている
 
 
 

天国と地獄

 
 先日ばらされた世界中の著名人、権力者、大企業の脱税を証拠づけるパナマ文書。
 
 それは税制を優遇することで世界中の金をかき集めたタックスヘイブンでの出来事。
 
  
  (‥ )税金天国だー!
     (heaven)
 
 ∧∧
( ‥)税金避難所だろ?
    (haven)
 
 
  ( ‥)良いことをした税金だけが
      死後に入国を
      許される場所なのです
  
 ∧∧
( ‥)お前、ぶれないな
 
 
 では悪いことをした税金はどこへいくのか?
 
 ∧∧
(‥ )? 税金の地獄って
\−  なんだろうね?
    重税で人が苦しむとか
    ではなくて
    税金にとっての地獄で
    ないといけないんだよね?
 
  (‥ )お金にとっての地獄か
      使われずに貯留されて
      しまうことじゃね?
 
 金はまわってこそ価値がある。
 
 そして考えてみれば、人類の歴史では、富は略奪してかき集めるか、しぶしぶケチケチ、必要最小限のものを買って作って回すか、あるいは、金儲けできるとうかれて有頂天になってまわすか、それしかなかったようにも思われる。
 
 ∧∧
(‥ )略奪された富が分散して
\−  再び世界中に帰っていくのが
    これからの時代だとすると
    お金や富に対する考え方も
    変えるべきってことですかね
    必要最小限のものだけで
    つつましく暮らそうとか
    そんなでは駄目駄目
 
  (‥ )でもお金を回せた
      派手な実例ときたら
      日本の土地バブルとか
      アメリカの住宅ローンとか
      だよなあ
      なんかこうもっと長く
      継続的に
      うまくまわしたい
      ものなんだけどね
      経済のギアはトップと
      ローしか無いのかね?
 
 普通に公共事業するのが一番良いのだろうけども、それも昨今はぎゃーぎゃー文句を言う奴がいる。彼らは経済のごく一部、自分の台所計算でしか考えないから、支出を抑え、購入をひかえれば良いとかしか考えない。経済の血液である金をうっ血させておきながら、こんなにお金がたまったしめしめとほくそ笑みよる。


 最近はあれだ、考えが守りに入ってケチくさくなっているのがいけない。
  
 

 

2016年4月18日月曜日

二律背反の帝国

 
 プラトンを見れば分かるように、人間は前提から論理的に導きだされた結論を真理であると勘違いする。
 
 あるいはこう言えば良いか?
 
 一部の人間は、論理的に導かれた結論は真理である、無邪気にもそう考えていると。
 
 無論、これが間違いであることは明白だ。プラトンの世界観も宇宙観も数学への思いでさえも間違いであり、たわ言だったし、プラトンの弟子であったアリストテレスのもろもろもすべて間違っていた。
 
 ∧∧
(‥ )人間とはこういう誤謬を
\−  犯す動物なのである
 
  (‥ )考えてみれば当たり前
      なんだけどね
 
 論理は単語の関係性の正しさに関する議論で、答えの是非まで保証する力は無い。
 
 しかも、賢い人がその深淵なる考えの根拠とする事柄とは、しばしば単なるオカルトである。
 
 例えば、

 正義は正しい。倫理は実在する。道徳は真理である。歴史は発展する。未来は完成へと近づく。
 
 ∧∧
( ‥)全部たわ言であると
 
  (‥ )正義は言い訳
      倫理は暴力
      道徳は設定
      歴史は発展せず
      未来は完成などしない
 
 だが、賢い人間はどうしてもこの誤った大前提から逃げることができない。いやむしろこれは人間の本性なんだろう。


 だから歴史は発展し、未来は完成へと至る、という世界観が組み込まれた理論に人は夢中になる。
 
 かつて言われた。

 オスマン帝国は1万年先でも存続しているであろう。
 
 あるいは言われた。

 白人が世界征服できたのは我々が選ばれた優秀な民で、我々の支配の元で世界は制御されるべきであると。
 
 あるいは言われた。

 マルクス主義に基づけば理想社会が未来に自動的に実現される。だとするとマルクス主義に反対する人間は、約束された理想の社会の実現に反抗する犯罪者でしかないのだと。
 
 あるいはほんの10年ばかり前に言われた。

 アメリカ型民主主義という理想型が実現したことで歴史は完成し、アメリカ型資本主義によってついに不況というものがこの地上から消えたと。
 
 これらのすべてがただのオカルトであったこと、明白である。
 
 ∧∧
(‥ )しかしオカルトであるがゆえに
\−  人々は夢中になるのであった
 
  (‥ )そしてゆえに挫折するのだ
      根底がオカルトだからな
      そりゃあ
      うまくはいきません

 
 世界は完成しない。歴史は人類が滅びるその瞬間まで片時もとどまることがなく、一瞬でも同じではないだろう。
 
 ここから次のことが言える。
 
 我々の現在もまた完成することなどないのだと。
 
 だが人はどうしてもオカルトから逃れられぬ。
 
 例えば最近はよく言われるのではないか? 

 日本は終わった。これからは中国の時代である。

 日本は没落し、日本人は海外へ出稼ぎにいかねばならないだろう。
 
 これもまた以上と同様、オカルトであるし、楽観的すぎる未来予測であろう。
 
 ∧∧
( ‥)欧米が500年かけて
    世界中から収奪した富が
    今、全世界に再び拡散し
    還っていく過程だとしたら
 
  (‥ )残念、日本人は
      出稼ぎに
      いけないってことだ
 
 いけるわけがない。上からどんどん富が分散されて、豊かの平均値が下がっているだけなのだから。

 つまり、日本から富が失われているにもかかわらず、それは低い国へ流れ込むだけで 結果的に、日本より豊かな国が出現しない。ゆえに逃げ場が無い。

 事実、そうであったではないか。

 西欧の次にアメリカが、その次に日本が、次々に豊かになったが、じゃあ西欧やアメリカの人が日本に出稼ぎにくるかというとそうはならない。つまり一度豊かになった国に住む人はもはやどこにも逃げられない。これを踏まえれば次に起こることは明らか。中国も同じ運命を辿ること必定。彼らも逃げ道を失った。
 
 ∧∧
(‥ )どこもかしこも
\−  未来がないのだね
 
  (‥ )それこそが未来なのだ
      残念だけどね
 
 
 しかも、今や我々全員が時代遅れになりつつある。


 事実、どこもかしこも駄目だ。

 植民地で暴虐を働いた西欧は、それをうまく言いくるめようとしたが殺到する難民でおかしくなりつつある。

 アメリカはトランプ議員がもてはやされるような状況だし、日本は言わずもがなだ。
 
 ∧∧
(‥ )中国も時代遅れであろう
\−
 
  (‥ )というかなあ
      やってることが
      根本的に破綻していると
      思うよ
 
 
 例えば、今の中国は大清帝国の版図をほぼ継承しているけども、
 
 ∧∧
( ‥)実はその大清帝国って
    モンゴル帝国の継承国家だよね
 
  (‥ )しかもあくまでも
      清朝皇帝の天下である
      というだけの
      枠組みなんだよな
 
 そりゃ皇帝の天下であれば、異民族でも服属できようし、当時はチベットを支配下に置けたのも当然だと言える。そもそも皇帝からして征服民族で軍人貴族なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも今の中国は独裁制では
\−  あるけども帝政ではなく
    むしろ民族主義や
    ナショナリズムを持ち出して
    いますよね
 
  (‥ )歴史的にやむを得なかった
      結果ではあろうけどな
 
 西欧で銃器という革新が起きた時、国家は民族主義とナショナリズムを発明し、人民を湯水のごとく突撃させる戦争を開発した。その圧倒的な武力を見たアジアの国々は、それを慌てて模倣しようとしたのである。
 
 ∧∧
( ‥)でも結果的に
    それに成功したのは
    ほとんど日本だけであった
 
  (‥ )隔離された島国で
      同じ民族ですって言っても
      あまり齟齬がなかったから
      だろうけども
      諸帝国は違ったのだ
 
 特に、オスマントルコ帝国やオーストリア帝国は悲惨なことになった。あらゆる少数民族が民主主義を主張してナショナリズムで殺し合いだ。バルカン半島の問題とそれに端を発したWW1、さらにユーゴ紛争、アルメニア人虐殺、クルド問題などはその最たるものだろう。
 
 ∧∧
(‥ )それと同様
\−  中国にも類似の問題が
    山ほど存在いたします
    そして一方
    中国も清朝末期には
    ナショナリズムの導入と
    近代化を目指して
    もがいて
    そして今に至る
 
  (‥ )つまりだ
      現代中国は
      大清帝国やモンゴル帝国の
      後継国家を目指し
      その版図の制圧を
      志向しておきながら
      その一方で
      帝国を必然に瓦解させる
      ナショナリズムを
      使わざるをえない
      こんな二律背反が
      どんな結果をもたらすか
      予想つくべ
 
 世界を支配する理は、道徳や正義ではないし、ましてや歴史が発展し理想郷で終わるというものでもない。
 
 
 なにかもっと別なものに世界の動きは規定されているし、それは過去500年から700年程度の歴史を見れば明かではなかろうか?
 

 つまり正義を信じ、論理を振りかざし、理想に燃える熱弁家の考える未来はやってこない。彼らのモデルは現実世界を実際に支配している作用とかけはなれている。なれば理想論者が説くあきらめの未来像、実のところこれは素晴らしき未来像でもあるのだが、そんなものが実現しないこと明白であろう。
 
 ∧∧
( ‥)実際にやってくるのは
    もっと泥臭くて
    ひどい世界なのである
 
  (‥ )今の世界は古くさくなって
      現実に適応できず
      障害を起こしている
      ゆえに世界は
      次の均衡状態へ手探りで
      紆余曲折しながら移行する
      今の枠組みがそれなりに
      残るだろうけども
      現在の国家と政権と
      価値観はすべて変質し
      あるいは
      瓦解するってことだな

 
 
 未来に希望など存在しないことをまず認識すべし。すなわち、日本は没落したとか、これからは上手に衰退する時代だとか、そんな楽観論に逃げている暇はない。
 
 
 
 

2016年4月17日日曜日

小型化が品定めの可能性ならば

 
 キスをされたら自殺を思いとどまった男がいる。これを聞いて男は単純と言うが、笑うなかれ。
 
 という話をネットで見かけたものの、元ネタが分からない。
 
 ∧∧
(‥ )検索をかけると
\−  中国の話がでてきますな
    19歳の女の子がキスしたら
    少年が自殺を思いとどまった
    というニュース
    でも2011年
    もう5年も前の話だね

=>自殺 キス 思いとどまる - Google 検索
 
 
  (‥ )これが元ネタの元ネタか?
      だけどこの男の子を
      単純と笑った
      という話は出てこんな
 
 出てきても、単純だなあ、と笑われるかもね、というだけの内容である。男は単純だ、ではない。
 
 ∧∧
( ‥)ともあれ、あれだ
    キスは異性に興味を向けられた
    ことである
    繁殖の可能性が大きくなった
    わけだから
    死ぬという選択肢を廃棄する
    十分な理由になりますな
 
  (‥ )それじゃあ
      女の子の自殺を
      思いとどまらせるには
      10万円上げよう
      とでも言えばいいのかい?
 
 男は女性の若さに、端的に言うと胸の大きさに欲情する。
 
 女は男性の経済力と投資の意思。つまり金に欲情する。
 
 なれば、お金をあげますよ、と言えば、女の子の自殺は止められるはず。
 
 ∧∧
(‥ )...そういうロマンスの無い
\−  言い方をすると
    そのまま飛び降りちゃいそう
    ですけどね
 
  (‥ )確かに
      あいつは金で自殺を止めた
      という評価を
      されるくらいなら
      その場で死んだ方がましと
      考えるかもしれんな
      その、なんだ
      あなたを養って上げますを
      もっとうまく言ったら
      成功する…のかな?
 
 では? どう言えばいい?
 
 ∧∧
( ‥)いかに?
 
  (‥ )知らんよ
     めんどくせえことは嫌いだ
     撃っちまえばいい
 
 
 すべての問題は殲滅することで解決が可能である。
 
 
 
 さて
 
 ヒーローには巨大化するものがいる。例えばウルトラマン。
 
 巨大化ではないが、巨大なロボットを操るものもいる。例えば初期以後の戦隊シリーズ。あるいはガンダム。
 
 ∧∧
(‥ )日本の文化かもしれないけどね
\−  アメコミのヒーローは
    巨大化したり巨大ロボを
    扱ったりはしないからね
 
 (‥ )でもあっちのヒーローは
     ガタイがやたらと
     マッチョであるし
     ロボの代わりに
     軍用兵器を使うだろ?
 
 
 だが、女性のヒーローたるヒロインたちは、どうやらそもそもそういう形式を持たない。
 
 事実、巨大化するヒロインがいたか? ロボに乗るヒロインがいたか?
 
 
 ∧∧
( ‥)いないわけじゃないけど
    例外的ですな
 
  (‥ )なぜヒロインは大きさを
      変化させないのか?
 
 
 うん、確かに考えてみれば本来の魔法少女は大きさを変えるヒロインではある。
 
 ∧∧
(‥ )でもあれって外見が大人になる
\−  つまり子供の憧れである
    大人の女性になりたいという
    願望の現れなのでは?
 
  (‥ )つまり巨大化ではないのだ
 
 
 男女は戦争の仕方が違う。それは女の戦争である大奥と男の戦争であるガンダムを比べれば分かること。
 
 女の子の戦争では、巨大な女房が長刀を持って「月光院いきまーす」と叫びながらカタパルトから射出されたりしないのである。
 
 魔法騎士レイアースみたいな事例もあるが、やはり例外は例外。
 
 
 ∧∧
( ‥)こういう男女の戦争の違いが
    ヒロインの巨大化という
    可能性を拒否したのであると
 
  (‥ )ウルトラマンを擬人化
      女性化したような漫画
      アルティメットガール
      みたいな事例もあったけど
      結局これって
      男が女の子を下から
      のぞきたいとか
      そういう趣向の延長で
      語られるべきだよな?

=>https://www.google.co.jp/search?q=UGアルティメットガール&biw=1087&bih=898&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwi0mLjWoZTMAhXEq5QKHT8kBW0Q_AU…
 
 
 だからつまり、男女の戦争の違いが、ヒロインの巨大化、という選択肢を放棄していると考えて、多分、問題なさそうだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )どっちかというと
\−  女の子はちっちゃくなる
    という変身の方が
    ありえますかね?
 
  (‥ )魔法少女が大人になるのは
      単純に言えば背伸びだな
      もったいぶった
      言い方をすると
      女の戦争の戦士となって
      戦いに参加したい
      さて? では
      それと正反対の小型化は
      なんだろうな?
      甘えたいとかかな?
 
 いや、甘えたいだけか? 例えば、小さな動物を庇護する男性というのは、女性からすれば魅力的ではないのか? 
 
 事実、そういう男性は子供の面倒を見てくれる可能性がある。

 *現実とはなかなかそういうものではないが、期待は現実と相反するから意味があるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
    小さくなった自分を
    守ってくれるヒーローは
    ヒロインにとって
    魅力的であると?
 
  (‥ )言い換えると
     ヒロインは小型化することで
     男性を品定めしていると
     考えることもできるな
     ちょっとこれは
     下品な言いようではあるが
     動機を露骨に言えば
     そういうことやもしれぬ
 
 
 つまり、創作においてヒロインの大きさを変える場合、こうした背景を考慮すると、そのサイズ変化に正当性が得られる、ということになりえよう。
 
 
 ∧∧
( ‥)あくまで
    あんたの思いつきだけどな
 
  (‥ )何事も最初は
      思いつきだよアミーゴ
     
 
 これはhilihiliのhilihili: なぜサイズの変更を売りにしない?の続き。
 
 


栄養士万歳! 彼らの功績に栄光あれ!!

 
 以前、話題騒然となった厚生労働省の国民健康栄養調査。
 
 なぜかというにこの調査と提言が

 所得の少ない人は肉をあまり食べない。野菜も少ない、もっと野菜を多く取り、栄養のバランスを考えるべき。
 
 という内容だと受け取られたこと。これがさらに

 所得が少ない人間は栄養バランスなど考える余裕も、実現する金銭的余地もない。そうであるのにそれを強制しようとする上から目線である

 と思われたことでいわば炎上したのである。
 
 ∧∧
(‥ )でも実際の調査結果は
\−  すごく謎めいたものなんだよね
 
  (‥ )所得の低い人は野菜と
     肉の摂取量が相対的に少ない
     それ自体は事実だけど
     キャベツと鶏肉で換算すると
     低所得者と高所得者の
     摂取量の違いは
     1日あたり40円程度の
     違いでしかないんだよな

=>hilihiliのhilihili: 野菜を食べていること自体が胡散臭い
 
 つまり、低所得者は貧乏だから食べる野菜が多くなり、高額な肉が食べられない、という受け止めはどうも怪しい。

 それに厚生労働省の提言は、必要な野菜の摂取量は1日あたりこれこれです。それに対して高所得者だろうがなんだろうが、国民の平均摂取量はこれに達していません、ということを機械的に言っているにすぎない。目くじらを立てるような内容ではないのである。
 
 さて
 
 一昨日は奮発して肉類を多く買った。300円の鶏ひき肉、300円のベーコン、そして300円のカマンベールチーズ。なんとなく、カマンベールチーズをベーコンや肉で包み焼くということをしたかったのである。
 
 ∧∧
(‥ )各々300円というのは
\−  近似値だけども
    いずれにせよ合計900円
 
  (‥ )そこそこ高いけれども
      大した金額ではないな
      ひき肉300円
      キャベツ半分150円
      キノコが100円
      その他が200円
      そういうのを
      買いそろえた場合と
      どっこいどっこいよ
 
 つまりこうも言えよう。野菜を食うことを放棄し、肉とでんぷんに特化すれば、十分以上の肉とチーズと少しの添え物でご飯をばくばく食べることが可能であると。

 実際、概算するに、以上の場合、肉の摂取量は平均を越えている。十分ではないか。勝利は我にあり!!
 

 買い物がすんでレシートを見てからこのことに思い至り、そして気がついた。
 
 国民健康栄養調査が暴いた事実、所得の低い人間が野菜を食べている。これ自体がやはり異常事態であると。
 
 ∧∧
( ‥)野菜を放棄すれば
    十分以上の肉を
    チーズとからめておいしく
    いただける
    それだけで国民の
    肉類平均摂取量を越えるし
    出費もさほど増えない
 
  (‥ )そして人は肉を好む
      だったら全員
      同じことをするはずだ
      つまりだ
      本当は低所得者ほど
      肉類の摂取が顕著に多い
      野菜はまったく食べない
      こういういびつな
      食生活になる
      これがあるべき姿じゃ
      ないのか?
 
 だが、実態は逆だ。これはつまり…
 
 ∧∧
(‥ )みんな自炊していないって
\−  ことでしょうねえ
 
  (‥ )まず間違いないな
      自炊してねえぞ
 
 実際、先ほどこのことで検索をかけたら、国民健康栄養調査の際に出た文句のひとつに興味深いものがあった。

 僕は金が無いから袋麺5個入り200円の生活であるのに、厚生労働省ときたら...というもので
 
 ∧∧
(‥ )それって麺1つが40円
\−  1食を麺ひとつでまかなっても
    1日120円の出費ですよね
    一ヶ月で3600円だ
 
  (‥ )米5キロでおよそひと月
      もつことを考えたら
      1ヶ月3600円って
      コシヒカリの良いやつ
      だよなあ…
      なんでわざわざ
      ラーメンなんていう
      高級品を食べるかな
      
 
 ラーメンを食べて貧乏生活と言っている時点で、計算をしていないことは明らかである。
 
 ∧∧
( ‥)だとしたらもはや
    状況は明白であろう
 
  (‥ )低所得者は自炊してない
      あるいは
      麺をゆでても計算してない
      計算していない自炊には
      自炊の意味がない
 
 
 そして多分、外食や弁当で知らないうちに意外に多くの野菜を摂取していると見た。
 
 国民健康栄養調査の結果は実のところ異常なのだ。何がおかしいって、低所得者が肉を減らしてまでわざわざ野菜を摂取しているとしか思えない、自主的に健康に配慮したかのような結果が出ている。異常なのはむしろここだ。
 
 ひるがえればである。弁当や外食は、しばしば、まがいなりにも栄養も考慮して作られている。素材の単価も反映されて肉は少なく、野菜は多くなっているだろう。だが、栄養も考えられていること疑いない。

 そして低所得者は自炊していない。

 つまり弁当を食べる低所得者は栄養士の影響下にあるので、結果的に比較的まともな食生活を送っている。そう見なすべきではないか?
 
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  (‥ )栄養士万歳!
      彼らの偉大なる功績に
      栄光あれ!!
 
 
 あてずっぽうではあるが、こんなところであるように思われる。
 

 
    

2016年4月16日土曜日

その飾りをくっつけた理由はなんですか?

 
 
 こんな狂った世の中で子供を作る方がどうかしてる!
 
 ∧∧
(‥ )ということは
\−  子供を作っただけで
    勝ち組ですな
 
  (‥ )作らない人はそこで
      系統が途絶える
      それだけの話なんよね
 
 それだけの話を、狂ってるとか、作る方がどうかしてるとか、そんな余計な理論武装で飾りたる必要はなかろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも飾り立てた
 
  (‥ )彼には飾り立てる
      必要があった
      そういうことだろうな
 
 では、なぜ必要であったのだろうか?
 
 そして何のために必要であったのだろうか?
 
 問われるのはむしろそこである。
 
 
 
 

人間は後を考えるように出来ていないし、理系の文化は単純異質

 
 理系の人間は95パーセント正しくても、5パーセントの不確実性で絶対とは言わない。
 
 文系は逆である。
 
 ∧∧
(‥ )実際はそんなたいそうな
\−  違いではないでしょうね
 
  (‥ )むしろあれだな
      人間は目先の答えを
      即座にもらいたいだけで
      説明を聞きたい訳では
      ないってことだろうな
 
 というかもっと言えばこうである。

 人間は、目先の楽を取って長期的には死に至るような選択をすると。
 
 ∧∧
( ‥)夏休みの宿題を最終日に
    あわてて片付ける
    健康診断にいかずに
    ガンの発見が遅れる
    無駄にローンを組む
    インチキ医療に引っかかって
    死ぬ
 
  (‥ )思い当たるふしが
      幾つもあるよなあ
      考えてみれば
      当たり前なんだよね
      人間は今さえ良ければ
      良いのであって
      後で来る災難を
      回避するようには
      出来ていない
      そんな進化をそもそも
      していないよな?
 
 実際、人間の世界で後から来る災難を回避しないと死ぬ、ということが深刻な問題となったのはかなり最近のことではないだろうか? 本来は熱帯性の動物なのに、季節のある気候帯に進出して、冬場に備えて何かしら食料を貯蓄しないといけなくなったとか、せいぜい、そんな程度のことではないか?


 それに、野生動物が後先考えず、機械的に行動することを考えれば、目先の利益に食い下がるだけで、生存には十分であること明白である。

 それを考えると、夏休みの宿題に手を付けない、とか、健康診断にいかないとか、それが普通なんであろう。
 
 ∧∧
(‥ )そして今さえ良ければいい
\−  そういう性質は
    答えが聞ければそれで良い
    根拠は聞きたくない
    という動作を生み出す
 
  (‥ )本を書いていると
      分かるのだけど
      読者の中には
      だろう
      多分
      らしい
      こういう表現をされると
      頭が混乱する人が
      いるのよね
 
 どういうことかというと、...多分なになにだ、とか、…でっあるらしい、と言われると、聞いた内容を鵜呑みにして良いのかどうか、自分では判断がつかなくて読者はまごつき、本を放り出すのである。

 まあ当然と言えば当然だ。
 
 ∧∧
( ‥)そりゃあ魚を
    呑み込もうとした時
    それは魚らしいと言われたら
    魚をくわえたまま
    目を白黒させて
    動作が止まるでしょうね
 
  (‥ )根拠は書いているのだがな
     これこれな理由と
     これこれな特徴から
     これは魚であると考えて良い
     異論はあるが、現状では
     魚説が一番確かである
     そう書いているのだけどね
 
 だが、らしい、とか、多分、と言われるだけで人は魚をくわえたままフリーズしてしまう。
 
 要するに、実のところ読者は根拠や説明を聞いていないってことだ。

 そして、説明を必要としているわけでもないのである。
 
 以上を踏まえて話を冒頭に戻せば、理系は5パーセントの不確実性があれば95パーセント確かでも断言しない、というのは、実のところ曲解と言った方が良い。
 
 ∧∧
(‥ )理系の文化は単純で
\−  根拠と理屈と解析と証拠を
    重視する
 
  (‥ )ただそれは人間本来の
      性質からかなり逸脱した
      文化なんだよな
      だから理系の科学者に
      なるには
      訓練が必要なわけで
 
 そして、だから理解されないのだとも言えよう。

 それを踏まえればである。彼らは説明の際に5パーセントの不確実性なんてことを言っているわけではあるまい。

 実は単に根拠を申し述べているだけだろう。
 
 ∧∧
( ‥)だが一般人にとって
    それこそが
    信用して良いのか
    不安にかられる動作なのである
 
  (‥ )それを世間の人は
      理系の人間は
      95%確かなのに
      なぜ断言しないのか?
      と表現しているわけだ
      実際には理系の人間が
      しているのは単なる説明
      そして
      説明を聞いてない人間が
      なんで断言しないの?? 
      とピント外れな文句を
      言い立てている
      そう見るべきだろうな
 
 
  
    

2016年4月15日金曜日

なぜサイズの変更を売りにしない?


 
   (‥ )非常に重要な質問だ
 
 ∧∧
( ‥)はいはい
 
 体の大きさを自在に変えるヒロインはなぜいない?
 
 
   (‥ )なぜだ?
 
 ∧∧
( ‥)知らんよ
 
 実際にはいないわけではないだろう。ウルトラマンを擬人化女性化したような話があったと思うが、それなら巨大化する。ヒロインがちっちゃくなってしまう、というのも幾つかあるはずだ。すぐには思いつかないが。
 
 ∧∧
(‥ )ミクロの決死圏
\−
 
   (‥ )まああれもそうだけどさ
 
 だが、それらはあくまでも巨大化して戦う、アクシデント的に小さくなる、小さくなるのがみんなの任務、という話である。
 
 そうではなく、体の大きさを自在に変えること。それを売りとするヒロインはいたであろうか?
 
 ∧∧
( ‥)いたとしてもすぐには
    思いつかない頻度だろうな
 
   (‥ )なんでだと思う?
       これは何か積極的な
        理由があるのか?
 
 まあ、ヒロインどころか、ヒーローでも大きさ変幻自在、というのはあまりないんだけど...
 
 ∧∧
( ‥)ウルトラマンは巨大化するし
    セブンは縮小して人体に突入
    ダリーと一騎打ちするべ
 
   (‥ )確かにそういう事例も
       あるんだけどさ
 
 ヒーローで巨大化が多いのは、単にウルトラマンのアイデアを引き継いでいるからだとも言える。そう考えると事例は多いようで、実は多くない。
 
 ∧∧
(‥ )でもヒロインだとほぼ皆無
\−  ですか
 
  (‥ )ちっちゃくなっちゃった
      どうしよー??
      というのはあるんだがな
      巨大化や小型化が売りの
      ヒロインってのは
      ちょっと思いつかん
      なんでだろうな?
 
 ∧∧
( ‥)ちなみに…これは
    重要な問題なのか?
 
   (‥ )極めて重要です
       これは宇宙の神秘ですぞ
 
 まあ、一番単純な説明は、ヒロインはその大きさを変える必要性が無いから、なんだろうけども。

 ではその理由とはなんであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )戦う戦わないの問題では
\−  ないんだよね
 
  (‥ )戦うからヒーローは
      巨大化するんだ
      小型化するんだ
      というのなら
      プリキュアは巨大化する
      はずだからな
 
 だがしない。少なくともサイズの変更が売りではない。なぜだ?
 
 
 
 
 
  
 
 

賢き人は批判の自由に隷属する

 
 これだから日本は駄目なんだ。
 
 うちの会社はこれだから駄目なんだ。
 
 裏を返せば、ここでないどこかに理想の国や会社がある。という主張。
 
 
 ∧∧
(‥ )だが実際のところ
\−  そんな場所はないのである
 
  (‥ )そもそも彼は理想の地へ
      実際に行く気はないのだ
 
 実際にいくのだったら、日本は駄目なのだ、うちの会社は駄目なんだ、とは言わない。

 別の国へ行ったらこうでした。
 
 あるいは
 
 別の会社ではこうだった。と結果を述べるのみである。
 
 ∧∧
(‥ )でも世の中には
\−  実際に出て行って
    以上のようなことを言うけど
    それでも不幸そうな人
    いるよね
 
  (‥ )実際に海外へ出た俺様は
      意識高いから勝ち組だ
      という謎理論の展開だけで
      人生を満足しちゃった
      連中な
 
 もちろん、こう言えば怒り狂う人がいるであろう。

 文句を言えば実行力が無いと言い、実行すれば嘘つきだと言う。
 
 何をしても否定するだけじゃないかと。
 
 ∧∧
( ‥)でも実際には
    何をしても否定して
    いるのではなくて
 
  (‥ )何をしても
     どうにもならねえんじゃね?
     と指摘しているだけさね
 
 現状批判は理想論であるが、理想論は現実から乖離しているのでうまくいかない。所詮は机上の空論、砂上の楼閣である。
 
 さりとて、有言実行してもほとんど全員、失敗する。当然だ。結局、手元に残るのは、私は有言実行しました、という誇りだけで、そんなものに意味などない。
 
 ∧∧
(‥ )そして愚痴をこぼす自由と
\−  批判する権利だけが
    残るのである
 
  (‥ )それでいいのだ
      演算とはそういうものだ
 
 人間が解答を発見するための演算機械なら、個人はONOFのみの装置だということになる。この時、必要なのは失敗すれば死ね、という条件で、それ以上のことは特に期待されていない。
 
 ∧∧
( ‥)つまり現状批判も有言実行も
    そんなものどうでも良いこと
    なのである
 
  (‥ )演算には関係ないからな
      かくて
      我々に残されるのは
      現状を批判し
      会社を批判し
      社会を批判し
      日本を批判し
      人類を批判する
      その権利だけなのだ
 
 社会と日本と会社を鋭く切りながら、実際には今の職場と出世コースから一切外へ出ない。外へ出る自由を行使しない。
 
 権利を行使しているが、自由は行使しない。

 皆々、よく分かっていらっしゃるではないか。自由とは不幸であり、自由とは隷属なのであると。
 
 事実、有言実行すれば死ぬのだ。みんな、死にたくはないであろう? 有言実行した意識高い俺様偉いなんていう、みっともない残骸になりたくないであろう。
 
 かように自由とは隷属である。なれば批判だけしているべきである。批判だけして今のコースから一切外へは出るな。自由を放棄せよ。それが幸せへの道。
 
 だが人は、批判することこそ自由であると、錯綜したことを申し述べる。なればこうである

 社会批判をする自由に服従し隷属すること、これこそが賢き人の道なのであると。
 
 自由は隷属なりとは、かくのごとき意味であった。
 
 
 
  
 

愚痴とはそういうものだ

 
  
  ( ‥)まいったな なにもかも
    −/ 恵まれた人間の
       愚痴でしかなかった
       ということか
 
 ∧∧
( ‥)愚痴ってそういうものでしょ?
 
 
 さて、しかし、ではなんとする?
 
 
 ∧∧
(‥ )どうにもならないんじゃ
\−  ないですかね?
 
  (‥ )そこをこうなんとか…
 
 

 
 
 

2016年4月14日木曜日

開始5秒で即まっぷたつ

 
 世の中が何かおかしくなった。
 
 ∧∧
(‥ )そう思えた時
\−  それは当の本人が
    おかしくなったのである
 
  (‥ )自分以外の全部が
      おかしくなるという
      希有壮大な説明よりも
      受取り手である自分だけが
      おかしくなった
      その説明の方が単純で
      ありえそうだしな
 
 もちろん、そうでないこともあろう。例えば景気が悪化した、と皆が思って実際に支出をひかえてしまったゆえに、本当にお金が回らなくなる事態。
 
 ∧∧
(‥ )という顕著な事例はあるけども
\−
 
  (‥ )とはいえだ
      なんでもかんでも他人や
      社会のせいにしちゃ
      駄目だでな
 
 人間は占いの性質を持っている。関係ない事柄にありもしない関連性を見いだすのだ。

 そして自分の問題を社会に押し付ける。自分の挫折を世界に塗り替える。

 論理的な人間などはこうした占い的欺瞞の典型であろう。論理と正しさを関連づけている時点で、論理的思考を持つ人間とは度し難い占いマニアであり、オカルト信仰者であること疑いない。
 
 ∧∧
( ‥)そうはいっても
    なんかつまらんと
 
  ( ‥)俺が鬱病にでもなったのか
    −/ 経済の悪化が世界の
       切れ具合を
       押し下げているのか…
       どれだろうなあ
 
 どっちでもいい。問題はつまらん、ということである。
 
 ∧∧
( ‥)今日は何かしたか?
 
  (‥ )公園へ散歩にいって
      ムラサキケマンの
      スケッチをしてきた

 色をつける余裕がないので、あくまで鉛筆のぞんざいなやつだ。

 先日はシャガをスケッチしたが、なにかこう謎めいていることに気がついた。今度はもう少し調べてみよう。
 
 これはこれでもちろん良い。だが、満ち足りぬ。
 
 ∧∧
(‥ )あなたの沈滞した神経を
\−  励起させる娯楽って何よ?
 
  (‥ )んんんんんーーー
     直接関係ないが
    映画「フレディvs ジェイソン」
    あれには不満がある
 
 映画が始まったのに、さっぱり人が死なないのだ。

 おいおいなんだよこれは? さっさと殺せよ。みんな、フレディもジェイソンもどんな奴なのか知っているんだろ? だから余計な説明はいらないんだよ。
 
 開始5秒で青姦カップルをまっぷたつ。

 5分後の悪夢でリア充を逆さ磔キャンプファイヤー!
 
 そうであるべきでなかったか?
 
 ∧∧
( ‥)おおーそれがあんたの娯楽か
   本当、我慢できんのだな
   AVだと開始早々にやってないと
   メディアを破壊するタイプだな
 
  ( ‥)自分向きの娯楽が無い
    −/ なれば自分で娯楽を考えて
      自分で自分を楽しませれば
      良いわけだ
      物語とかいらねえんだよ
 
 
 そうだ、魔王の居城は即座に直接強襲、物語開始5秒で、魔王を惨殺。というかすでに食っている。そうであるべきではなかったか?
 
 ばりばりぼりぼり、がりがりぺちゃくちゃ
 
 ∧∧
(‥ )ペッ なんだよこれ
゜   魔法の指輪か? かてえな
    食えねえじゃねえか
 
  (‥ )逃げた連中は
      どうするんだ?
      追いかけて食うか?
 
 いきなり一番手を食われたのである。3大将軍だの四天王だの十本槍だの魔道16人衆だの、無駄に多い役職の有力者たちは、みんながそれぞれ好き勝手。魔王軍は軍閥と化して各地で自立。魔物vs人類という構図はあっさり崩れ、魔王が倒されたのに状況はむしろ、一挙に悪化した。人間の王国と乱立した軍閥が入り交じって、人間、魔物の区別なく連合したり協力したり殺し合ったり。そして統制を失って村々を襲う無数の怪物たち。
 
 まさにこれぞ冒険の季節。勇者という無法者が許される時間の到来だ。
 
 ∧∧
( ‥)順繰り順繰りに
   一匹一匹食べちゃうぞー
 
  (‥ )ほほ
      狩りの時間だな?
 
 最後の一人に至るまで逃しはしない。世界はかように娯楽であるべきだ。人は自由を欲している。そうではないか? なればかくあるべし。混沌だ。
 
 ∧∧
( ‥)そういう物語を自分で書いて
    楽しむのか?
 
  (‥ )むう
      それはそれで難儀だな
 
 とはいえ、将軍をどう食べるのか? と考えると、それは確かに壮快であろう。


  

アルファ・ケンタウリのロビンソン

 
 ∧∧
(‥ )ホーキング博士を含む
\−  グループが
    4.4光年さきの恒星
    アルファ・ケンタウリに
    片道20年程度で
    探査機を送り込む計画を
    発表したと
 
  (‥ )レーザー推進の探査機で
      100億円程度の予算で
      実現可能だと
      大きく出たなあ
 
 
 宇宙船を加速する時、効率の悪い燃料を使うと、船を加速するための大量の燃料を加速するために燃料がいるという悪循環が顕著になる。現在のロケットで恒星間の宇宙船なんて作ったら、怪獣みたいな大きさになってしかも結局、速くない。
 
 ∧∧
(‥ )宇宙船の燃料には
\−  質量の100パーセントを
    エネルギーに変えられる
    反物質が理想だけども
    反物質の製造には
    めちゃくちゃな
    お金がかかる
 
  (‥ )一番手軽な方法は
      燃料を地球に置いて
      船だけを
      加速させるという手段
 
 つまり、レーザーの光で宇宙帆を加速する。レーザーが十分にしぼられたものなら、宇宙船が光速の何割りかの速度に到達できるまで加速することが可能。
 
 ∧∧
(‥ )この計画の宇宙船は
\−  指でつまめる小さなもの
    みたいですね
 
 (‥ )ロバート・フォワード博士が
     以前書いてた
     マイクロ波で加速させる
     探査機みたいなものかな?
     あれは探査機全体を
     封筒に入れて
     郵便で送れるとあったが
 
 
 今回の紹介動画では、電波望遠鏡から放射される赤いビームで推進されるような描写があったけども、あれはマイクロ波で加速するという意味合いなのか?
 
 ∧∧
( ‥)4光年先まで20年
    多分、光速の数分の1の速度で
    恒星系を通り過ぎるわけだよね
    あわただしい探査ですなあ
 
  (‥ )まあ宇宙船を止めると
      なったら大事だからな
      そこはやむを得まい
 
 他の星に人を送るどころか、手のひらサイズの機械ですら送り込むのに難儀する。それほどまでにこの宇宙は広大で、その物理は知的生物が宇宙進出できないように設定されている。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると
\−  死んで異世界に転生するって
    冒険のための苦肉の策
    なんでしょうなあ
 
  (‥ )現実世界の異世界たる
      惑星と恒星にいくのは
      かように大難儀だからな
 
 
 異世界転生と冒険を笑うなかれ。少なくとも、ワープだの超光速だのトンデモ馬鹿設定で物語を御都合主義に書いてきたSF作家たちが笑うことではない。

 
 ∧∧
(‥ )遭難したら無人島という
\−  異世界に到達できた
    18世紀初頭の
    ロビンソンクルーソーとは
    まさに隔世の感
 
  (‥ )遭難ごときで異世界できた
      300年前と
      100億のプロジェクトで
      ようやく
      はがきサイズの探査機を
      異世界に送り込むのが
      やっとの現代世界
      そりゃ転生でもしないと
      冒険なんかできんよな

 
 

2016年4月13日水曜日

取りあえず割れ 充填するべきはそこだ

 
 昨日、今日と慌ただしい24時間。タクシーに乗っているとラジオの広告が流れていた。
 
 瀬戸物と瀬戸物をぶつけると割れてしまいます。

 でも片方が柔らかければ割れません。

 皆さん、柔らかい心を持ちましょう。
 
 
  (‥ )なるほど一理ある
      つまり瀬戸物は
      あらかじめ
      全部割っておけば
      いいってことか
 
 ∧∧
(‥ )...まあ弱い箇所から割れるから
\−  割れ残った部分は
    丈夫でしょうね

 
 割れ残った丈夫な部分を綿にはさむ。
 
 ∧∧
( ‥)あるいは割れ残った部分同士を
    柔軟な素材でつなぎ合わせ
    瀬戸物でありながら
    全体としてはふにゃふにゃに
 
  (‥ )完璧ですね
      
 
 つまり、宣伝が言わんとすることはこうである。取りあえず、割れ。そこが充填するべき箇所であると。
 
 
 我、真意を得たり。
 
 
 
 
 

論理的に正しいとは非論理の極みである

 
 ∧∧
(‥ )論理は非論理に敗北する
\‐
 
  (‥ )論理的だから正しいなんて
      非論理的なことを
      言うから敗北するんだべ
 
 ∧∧
( ‥)ようするに
 
  (‥ )自業自得だろ?
 
 
  

トラック転生がすでに最適解として収束している可能性

 
 昨今の小説は背景の世界は安易にゲームを下敷きにしているし、あげくになんの取り柄もない主人公がトラックに轢かれて異世界に転生して無双するという、同じような内容で実に嘆かわしい。若者はもっと向上心を持つべきである...
 
 ∧∧
(‥ )...と熱弁する人が批判する
\−  いわゆるトラック転生
 
  (‥ )まあ安易なのは
      確かかもね
 
 だがしかし、安易だという事、それ自体がすでに重要な示唆となっていないだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)安易だということはつまり
    それが最適解なんじゃないの?
    という可能性
 
  (‥ )安易とは例えるなら
      位置エネルギー0
      つまり”腑に落ちる”状態

 
 
 皆がありとあらゆる可能性を試したであろう。例えば超常の存在が主人公に力を与えてくれる。それはウルトラマンであったり、あるいはドラえもんである。
 
 あるいは、主人公はひょんな事故によって超常の力を偶然に得る。それはスパイダーマンかもしれない。あるいは巻き込まれて異世界に旅立つ、月世界最初の人間のような事例もあろう。
 
 あるいは、主人公は選ばれし勇者として異世界に選ばれる。指名されて地球代表として戦うこともあれば、異世界を救う勇者になったりする。
 
 あるいは単に星を眺めていたら火星にいたってこともある。

 こうしてあらゆる冒険の糸口が試された。
 
 これだけ試されたのである。なれば、物語はすでに最適解に収束しているのではないか?
 
 ∧∧
(‥ )トラック転生とやらは
\−  ありうるあらゆる可能性の
    最適解ではないだろうか?
 
  (‥ )多分そうなんだろうな
 
 ふと思った。例えばもしもおっさんが転生したらどうなるだろうか? もちろん、口うるさい評論家どもの意向にそって、トラックとかは無しである。
 
 ∧∧
( ‥)なんだ老衰で死んだじじいが
    目覚めたら回春して
    女の子とハーレムか
 
  (‥ )駄目だな
     というか犯罪臭ぷんぷん
 
 せめてもう少し若いおっさんが死んだ、というのならどうか?
 
 ∧∧
( ‥)死因はなんだよ?
    過労死か? ガンか?
 
  (‥ )駄目だな
      見てて悲しい
 
 
 若者が不慮の事故で死に、その無念の対価として現世の苦しみから逃れられるから、冒険が正当化されるのである。おっさんでは駄目なのだ。おっさんでは対価が少なすぎる。
 
 そもそも物語はボーイ・ミーツ・ガールである。
 
 ∧∧
(‥ )おっさんが転生して
\−  たとえ若返ったとしても
    そっから先の恋は
    どんなに純愛であっても
    職場の新人OLとの
    不倫でしかないよね
 
  (‥ )若者
      突然断たれた人生という
      重い代償
      その対価としての英雄
      そして同い歳との恋
 
 すなわち、トラック転生は、この条件を満たす、すでに収束された最適解なのであると。

 これを笑う時、お前は現実を笑い、それゆえに現実に殺される運命を選んだことになるであろう。
 
 
 

2016年4月11日月曜日

自主的に生産されるコンテンツも経済状態を反映しうる

 
 ∧∧
( ‥)例えばの話
 
   ( ‥)そうねえなんかこう
     ‐/ 最近ネットがつまらん
        というか...

 
 もちろん、世界はもともとつまらないものであった。

 例えば雑誌は下らないものであるし、その雑誌がかつてはおおいに栄えたのも、理由は単純、下らない話を独占販売していたからにすぎぬ。
 
 ∧∧
(‥ )それをネットに奪われた
\‐  だとするとネットは
    理論上かつての雑誌と
    同質であるはずである

 
  (‥ )それが
      つまらなく見えてくるとは
      俺が歳を取ったという
      ことなのだろうな

 
 
 だが、ここで考える。

 もしも万が一、本当につまらなくなっていたらどうしようか?
 
 ∧∧
(‥ )もともと下らないものだけど
\‐  それがさらに下らなくなる
    これ自体はありうるわけだよね
 
  (‥ )テレビがそうだったからな
 
 
 テレビは人件費があまりにも極端にかかりすぎる分野である。そのテレビが自己保身に走り、正社員を保護し、しわ寄せと番組の作成をすべて下請けに丸投げした時、手抜きと金抜きによって番組のくだらなさは限界点を下回り、視聴者に苦痛を与えるようになった。

 
 同じことがネットで起こるということ、ありうるのではなかろうか?
 
 ∧∧
( ‥)ネットは皆が無料で
    コンテンツとやらを
    作成しておるぞ
    人件費関係なくね?
 
  (‥ )だが経済状態の影響は
      受けるだろ?
 
 生活が苦しくなるとプロは文章を書かず、絵を描かない。
 
 だったら素人だって同じであろう。

 生活が苦しくなったので、ネットに自発的に投げかける文章は減り、そして絵の枚数も少なくなる。話題の切れも落ちる。生活が苦しい、仕事が忙しいとはそういうことだ。
 
 ∧∧
(‥ )一部の勝ち組は
\‐  販売の宣伝も兼ねて
    自主的に文章や絵を
    投稿し続けるけども
    もっとたくさんの人々
    土壌のように森を支えていた
    皆さんの厚みは薄くなり
    あるいは消滅すること
    これはありうるのである
 
  (‥ )もしそれがこの感覚
      すなわち
      なんかこう最近のネットは
      以前よりもつまらないな...
      という漠然とした感想の
      原因だったらどうする?
     
 
 そうであるのか、そうでないのか。気のせいなのか、事実なのか。
 
 いずれにせよ、経済状態と生活の苦しさがネットに自主的に投稿されるコンテンツとその面白さに影響を与えるということ。これは念頭に入れておいても良いだろう。
 
 そして今、世界の状況はあからさまに悪いのだ。それを考えるとこの可能性、ありえなくはない。
 
 とはいえしかし
 
 ∧∧
(‥ )そうはいっても
\‐  あなただって面白いものを
    作れるわけじゃ
    ありませんからなあ
 
  (‥ )なーんにも
      思いつかないんよねえ
 
 
 ∧∧
( ‥)最近、仕事以外で
    やったことって何よ?
 
  (‥ )春だから花のスケッチを
      してる
      だけどHPのコンテンツには
      まだしてない
      昨日はケンタウルス座T星の
      観測をした
      =>Untitled Document
      光度は極小を抜けて
      上昇に転じたと思う
 
 
 

すべての認識は詰み手である

 
 世界中どの国も経済がうまくいかない。

 あるいはうまくいっているように見えて、実際には虚像だった。
 
 ∧∧
( ‥)ということはつまり
 
  (‥ )経済を回復する方法は
      原理的に存在しない
      そういうことだろう
 
 もちろん、世の中には妙案を持っている人が大勢いる。

 彼らは、”僕の考えた最強の経済政策”を持っていて、それを実現しようと考え、あるいは、お前達はこんなことすら分からないのかと世相を鋭く斬っておる。
 
 ∧∧
(‥ )だがしかし
\‐  そう言う人は山ほどいるけど
    実際にうまくいった事例は
    ございませんよと
 
  (‥ )だとすると
      経済を回復する方法は
      やはり無いわけだ
 
 つまりどうやら、この世界のすべての妙案は詐欺か、さもなければ壮大な独りよがりであるらしい。
 
 ∧∧
(‥ )日本がバブル崩壊したのは
\‐   日本が阿呆だからです
    という吹聴
 
  (‥ )ソクラテスは死にましたが
     私はソクラテスではないから
     死にませんと
     言っているようなものだな
     こんな吹聴を信じるのは
     底抜けの馬鹿だけだろ?
 
 いや、言わざるをえないのだ。そうしないと皆の懐疑と不安で経済の虚構が暴かれてしまうからである。

 そして、この現実をひるがえせばこうである。

 こんな子供騙しを連呼せざるを得ないとは、それほどまでに状況は深刻なのであると。
 
 ∧∧
( ‥)つまりこんな程度のことを
    言うこと以外に現実を糊塗する
    方法すらありませんと
 
 
  (‥ )つまりな
      この世界は
      何もかも嘘っぱちで
      どこもかしこも
      詰み手ってことよ
 
 現状、すべてが詰み手である。まず、この認識から出発するべき。
 
 ∧∧
(‥ )あなたも詰み手だけど
\‐  どうします?
 
  (‥ )ほほほっ
      皆目検討がつかんわ
 

 
 

2016年4月10日日曜日

電気的な吸血鬼はいかにおばさんキャラであるべきか

 
 SFっていうのは科学のフィクションだ、と銘打っているけども、実際には黒魔術を基本としている。
 
 ∧∧
(‥ )ヴァン・ヴォクトさんの小説
\‐ 「宇宙船ビーグル号」に登場する
    ガス状生物アナビスは
    死に逝く生物の神経から
    放出される電気を食べて
    生きている
 
  (‥ )これ
      あからさまに
      吸血鬼だよね
 
 あるいは海外のwikiなどでは事実上、銀河サイズのウィル・オ・ザ・ウィスプであると書かれている。

=>The Voyage of the Space Beagle - Wikipedia, the free encyclopedia


 この文章を書いた人が誰かは知らぬが、いわんとすることは分かる。確かにアナビスはウィル・オ・ザ・ウィスプ、瘴気の怪物そのものであろう。沼などの上で輝く鬼火で、人を誘い込んでは殺す西欧の怪異。
 
 ∧∧
( ‥)ある日、沼から生まれた
    ささやかなガス体である
    アナビスは風のように舞って
    生き物を殺し
    その魂を電気的に食らって
    ついには銀河サイズに成長し
    獲物が多い星を作るため
    知的生物の都市の上に
    ジャングルを
    テレポートさせて押しつぶし
    その銀河すべての知的生物を
    根絶やしにしてしまう
 
  (‥ )まさに銀河サイズの
     ウィル・オ・ザ・ウィスプ
 
 だからというわけではないが、アナビスのあり方は科学ではいささか正当化できない。イオンの電位差で生じている神経と魂を、ガスの帯電に変換するのはいささか無理だろうし、そもそもガスのような無秩序な存在では、生物のような複雑な構造は作れまい。
 
 ∧∧
(‥ )とはいえ銀河サイズの鬼火が
\‐  魂を電気的に食らうと
    設定した時
    それは脅威の敵となって
    主人公達に立ちふさがり
    物語を進め始めるのである
 
  (‥ )SFが実際のところは
     スケールの大きな
    怪異譚である証拠でもあるね
 
 
 そしてこれ、読み手である我々の世界観が反映された結果でもある。
 
 ∧∧
( ‥)魂を食べれば電気的な魂は
    その身を存続できるだろう
    そういう単純な世界観
 
  (‥ )吸血鬼が血を吸う一方で
     不滅の存在だというのも
     そういう世界観の反映
     なのだろうな
 
 魂が電気的なものである。そういう認識が誕生する以前、血に霊性があると信じられていた。血を使う儀式はしばしばあるし、スッポンの血を飲むような回春術もあるし、そもそも血を失うと人が死ぬことは良く知られた事実なのである。
 
 ∧∧
(‥ )血が魂の通貨であると
\‐  考えられている証拠ですなあ
 
  (‥ )だから血を吸う吸血鬼は
      不滅の存在だし
      電気的な魂を食らう
      電気的な存在も
      実際には
      現代版の吸血鬼だと
      考えるべきだよね

 
 そしてこれが我々の認識である以上、物語もここから逸脱するわけにはいかない、ということになる。
 
 ∧∧
( ‥)どんなに筋が通らなくても
    電気的な吸血鬼は
    動物を殺してその電気を
    己に注ぎ込みながら
    ぷはー この一杯のために
    生きてるねえー
    と言わねばならぬのである
 
  (‥ )ちょっとお馬鹿で
      見た目は若いのに
      おばさんキャラで
      あることが
      望ましそうだよね
 
  
  

2016年4月9日土曜日

童顔バーサーカー

 
 コロシアムに立つ戦士たるもの、悩むことは許されぬ。
 
 あるいは悩む事を望まれておらぬ。ただ相手を殺し、観客をわかすべし。
 
 
 ∧∧
(‥ )シンジ君みたいに
\‐  逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ
    と悩む人もいますけどね
 
  (‥ )でもシンジ君って
     最後は相手をむごたらしく
     ぶち殺すだろ?
     引き裂いたり食っちまったり

 
 ∧∧
(‥ )...そう考えるとシンジ君って
\‐  童顔二重人格のバーサーカー
    みたいなものですかね?
 
  (‥ )シンジ君とお母さんの魂を
      呑み込んだ初号機
      まさに二重人格でな
      あどけない顔で
      闘技場に出る前は
      必死に怖さを押し殺して
      逃げちゃだめだ...と
      震えているのに
      いざとなると残虐ファイト
      なんで皆が
      彼に魅了されるか
      分かるよな
 
 想像してご覧よ、巨大な剣闘士を前にあの端正な顔、きゃしゃで小さな肉体で震えを必死で押し殺して戦っているのに、いざ佳境に達すると、相手を引き裂く残虐無双。吹き出る血しぶき浴びて咆哮し、にたにた笑う。
 
 ∧∧
( ‥)そう考えると
    ぞくぞくするような
    闘士ですなあ
    こりゃ人気でますわ
 
  (‥ )そろそろ観客席で
     声援を上げていた人間たちを
     ぶち殺しても
     良い頃合いだと思うけどな
 
 サードインパクトとやらを引き起こして、生き残った人類も仲間も。観客席から声援を送り、あるいは無責任に罵声を上げた観客どもを一人残らず殺し尽くしてしまえば良い。奴らから剥ぎ取った生皮で壁を飾るのだ。それはまさに絶景。
 
 
 そして、コロシアムの観客をすべて殺し尽くしてもなお、観客は三次元世界に残っており、それを見た我々は賛美を惜しまぬだろう。あの世界のすべては彼の残虐ファイトを飾るための華。すべての命は彼のための生け贄に過ぎぬ。
 
 ∧∧
(‥ )新劇場版はそういう最終回に
\‐   なるんですかね?
 
  (‥ )なったらおもろいけどな
 
 
 とはいえ、娯楽とは殺人ショーであり、英雄はすべての剣闘士を殺し尽くす戦士である。この原則に立った時、これまでと違った側面が見えてこよう。人が何を望んでいるか、そして戦士の救済がどこにあるのかを。人はそれを直視せねばならぬ。
 
 
 これはhilihiliのhilihili: 闘士たるもの、ただただ相手を殲滅せよの続き
 
 
 

闘士たるもの、ただただ相手を殲滅せよ

 
 主人公がピンチになるのが許せない!
 
 ∧∧
(‥ )という若者が増えたのです!
\‐  とまことしやかに
    言われるけども
    主人公って本来ピンチには
    ならないものですよね
 
  (‥ )ウルトラマンが負けたのは
      最後のゼットンだけだよな
 
 続くセブンは確かにキングジョーに退けられ、あるいはガッツ星人に磔にされたが、最終回は満身創痍でパンドンと戦い勝利する。
 
 やはり英雄は負けぬのだ。
 
 ∧∧
(‥ )まあ普通、主人公は
\‐  一時こそ苦戦に陥って
    はらはらさせるけど
    結局のところ負けませんからなあ
 
  (‥ )ウルトラマンとか
      仮面ライダーが負けたら
      翌日学校の話題になるような
      大きな出来事なのですよ
 
 まあ、スペクトルマンみたいに、また負けたんですか? というヒーローもいるけども、そういうのはあくまでも例外である。
 
 ∧∧
(‥ )神話のヘラクレスだって
\‐  無敵で負け無しだし
    昔から英雄とは常勝不敗のもの
    それだのになんで
    今の創作に限って
    今時の若者は
    負けを嫌がるなんて
    言われるんですかね?
 
  (‥ )単純に
      今時の若者は論だよね
      それに加えて
      ネットで少数派の
      過激な意見が
      眼につくようになったから
      よけいに偏見が
      補強されてるんじゃね?
 
 
 例えば、人間がその生涯において遭遇できる人の数は、まあ1000人ぐらいだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)1万人に1人の個性的な人とは
    普通会わないでしょうねえ
 
  (‥ )ところがネットだと
      100万人に一人の
      偏った意見も見つけられる
      からな
 
 しかも100万人に一人の偏った意見でも、日本全体では120人もいることになる。動員すればスレがあっという間に埋まってしまうし、10万人に一人だと1200人の大部隊となってロンドンを攻め落とすことだってできよう。
 
 ∧∧
(‥ )...確かにそういうのを見たら
\‐  日本がおかしくなったのか??
    とびっくり仰天するでしょうな
 
  (‥ )実際には前からいる
      わけだがな
 
 確かに、主人公が絶対無敵でピンチになるなんて許せないし、ヒロインは処女でないといやだっ! と極端な意見を言う者もいるであろう。
 
 しかし、そういうちょっと偏った化粧を落とせば、人間の望む英雄とは、やはり常勝不敗にして無敵かつ挫折しないものである。
 
 すなわち、英雄とはピンチにならないものだ。せいぜい視聴者をはらはらさせるだけ。
 
 実際、娯楽とは殺人ショーなのである。殺人ショーの真っ最中に、英雄たる主人公が悩み始めたり、負けたりしたら困るであろう?
 
 ∧∧
( ‥)あなたはガンダムを
    子供の頃に見て
    アムロ君が脱走するのを
    どう思いました?
 
  (‥ )そういう余計なことは
     いいからちゃっちゃと相手を
     殺して切り刻めよ でしたね
 
 もっともその脱走中におけるランバラルとの戦い、そしてグフの両手切断が個人的に一番良かったのは皮肉なことである。
 
 ∧∧
(‥ )いずれにせよ
\‐  殺人ショーという
    娯楽の中で主人公が
    悩んじゃいけませんなあ
 
  (‥ )水戸黄門や
     暴れん坊将軍がだよ
     ここで成敗していいのかな?
     成敗ってなんだろう?
     あるべき統治とは
     一体何であろうか?
     とか言い出したら困るべ
 
      
 コロシアムの真ん中に断つ闘士たるもの、悩みを持つ必要などない。ただただ相手を殲滅せよだ。
 
 
 

2016年4月8日金曜日

1日当たりの読字量が減るとは、すなわち

 
 人間が一日に読める文字数が一定であるとする。
 
 ∧∧
(‥ )実際には違うし
\‐  個人によって2倍3倍の
    違いは出るだろうけど
    平均すれば同じようなもの
    かつ一定でしょうなあ
 
  (‥ )今、多くの人が
      iPhonなどで
      文字を読んでいる
 
 人間が支払える金は、これもまた有限である。通信費が多くなれば本代に回す金額も減るであろう。
 
 しかし、それもさることながら
 
 ∧∧
( ‥)世間の人々は
    電子の文字を読む事に
    頭を使ってしまっているから
    本を読むのに回す余力が
    以前よりもずっと下がるはずだ
 
  (‥ )人間が1日に
     読める文字数が有限なら
     電子の文字に割り当てた分
     本に割り当てる読字量とでも
     言うのかな
     その量が減るはずだよね
 
 そして、読字量の割り当てが減る、つまり読む文字数が少なくなるということは、複雑な説明や根拠の解説を読む余力が無くなるということでもあろう。
 
 ∧∧
(‥ )つまり今の人は電子に脳を
\‐  使っちゃってるから
    もう複雑な本を読む余力は
    ないということになります?
 
  (‥ )原理的にそうなるはずだと
      思うけどもな
 
 実際、ネクトカリスが最古の頭足類である! というニュースが科学好きの間で広まったのも、それが原因のひとつであると言うこともできよう。
 
 つまるところ
 
 ネクトカリスが最古の頭足類であるという論文は支持されていない。即座に反論が出た。なぜなら既存の化石記録とまったく整合しないからである。
 
 こういう説明と解説を読む余力は、今の人間には存在しないと考えるべき。
 
 *ちなみにさらに最近のタリモンスターが脊索動物ではないか? という話は、ああ、そこに落ち着きますかね、という感じだろうか(もともと脊索動物じゃないか? という解釈は存在したので)。
 
 ∧∧
(‥ )説明って余力が無いと
\‐  読めないからね
 
  (‥ )まあiPhon出現以前は
      人々はスポーツ新聞とか
      プレイボーイとかを
      読んでただけで
      何も変わっていない
      可能性もあるけどね
 
 ただ、念頭に入れておくべきことは、雑誌自体が電子に食われているということ。そしてそれは、紙雑誌から電子雑誌への置き換えという単純なことではなかった点にある。

 電子の最大の特徴は他人との会話が言葉のやり取りの中心になったことだろう。
 
 会話が文字の読解のほとんどを制覇するようになり、電車の中で孤独に活字を読む世界は井戸端会議へと復帰した。
 
 ∧∧
( ‥)だとしたらその影響は
    深刻でしょうね
 
  (‥ )もうみんな会話に
      脳のほとんどを使用して
      本を読んで
      説明を読解する余力など
      持ち合わせていないと
      考えるべき
 
 
 
 

お供の地縛霊は電気を食べる

 
  ( ‥)いかんよなあ
    ‐/ すぐ疲れて寝てしまう
 
 ∧∧
( ‥)春ということもさることながら
    やはり先の仕事が
    尾を引いているのでは?
 
  (‥ )本を一冊作る時に
      過剰に負荷をかけると
      2ヶ月ぐらい体が使い物に
      ならなくなるんだが
      この猛烈な眠たさは
      そのせいだろうなあ
 
 先の仕事は2月に終わっているから、多分、今月4月いっぱいは眠いままのはずだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )眠いのは体が必要を欲している
\‐  証拠だから寝るべきだね
 
 会社員なら許されない話かもしれないが、あいにく自分はフリーである。
 
 ∧∧
( ‥)フリーだったら
    仕事が遅れたらその分
    実入りが減るわけで
    なにをしてもその結果は
    自己責任自業自得ですから
    眠いから寝るってのは
    ありですな
 
  (‥ )すべては俺の勝手よ
      反対に会社員はその分の
      金もらってるからな
      眠かろうがなんだろうが
      仕事しないと嘘だね
 
 もっとも、最近は金を支払わずに社員に仕事しろと言う経営者が増えたようだから、必ずしもそうとは言い切れないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )というかそもそも
\‐  眠くて眠くて
    たまらなくなるぐらい
    個人に負荷をかける
    組織や会社や経営者は
    駄目っぽでしょうなあ
 
  (‥ )世間の愚痴を聞く限り
      最近はそういう駄目な
      会社が増えたみたいだな
      嘆かわしい話よ
 
 
 さてもさても
 
 いかなるものにも擬態できる。これは非常においしい能力で、もしもそんなことができたら生活に困ることはない。
 
 ∧∧
(‥ )ゼラニイの小説
\‐ 「アイ・オブ・キャット」に
   登場するキャットは
   そういう生物でしたよね
   ほとんどあらゆるものに擬態して
   獲物にひそやかに接近できる
   異星の肉食知的生命体
 
  (‥ )自分がもしもこういう
      便利な能力を
      持っていたらと
      あこがれてしまう
      ものであったなあ
 
 もちろん、人が望む能力はその人の性格や性癖を反映したものだ。

 例えば、透明化できる能力を望む人がすることと言えば、それは例えば覗きである。
 
 どういうわけか、透明人間になるというと、連想されるのは覗きなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)透明化ではなく
    擬態を望むということは
    あなたの目的は覗きには
    重点が置かれていないと?
 
  (‥ )接近して悪さできるなら
      誰かをいつの間にか
      いないようにできる
      つまり
      身の回りの世界が少しだけ
      静かになる
      そちらに興味はないかね?
 
 例えば、レクター博士は小説「ハンニバル」の中で、腕の悪い音楽家を秘かに殺している。
 
 ∧∧
(‥ )指揮者だかなんだかだよね
\‐  オーケストラの音を悪くさせる
    張本人だって理由だけで
    どうも始末しちゃったらしい
 
  (‥ )博士は趣味がいいからな
      俺にそういう趣味は
      無いから
      腕の悪い音楽家を
      食べてしまうのは
      理解できない行動だけどね
 
 しかし分からないのは趣味が違う点だけで、やっていることは分かる。


 世界を静かにさせるとは、自分に興味を向ける相手を片っ端から始末することでもある。日陰でこそこそ生きるとはこういうことだ。
 
 ∧∧
( ‥)だからあなたはスライム勇者に
    執拗にこだわるわけだ
 
  (‥ )俺は単に静かに生活したい
      だが人間には
      好奇心というものがある
      その雑音が俺には
      我慢ならん
 
 雑音が無くなる、というのは素晴らしいことではないか。
 
 ∧∧
(‥ )スライム勇者は
\‐  雑音の無い世界で
    生きているんでしょうなあ
 
  (‥ )すると仲間も
      雑音が無い者であることが
      望ましいよね
 
 例えば、もう死んでいる地縛霊とか。
 
 ∧∧
( ‥)旅する勇者の仲間が
    地縛霊ってどういうことよ?
 
  (‥ )...えーとそのなんだ
     例えばあれだ
 
 例えば、あれだ。勇者が道に擬態しているところで、その子が死んでしまった。とか?
 
 ∧∧
(‥ )道に擬態するって..
\‐  側溝に潜り込んで
    スカートの中を
    下から覗いていた人と
    同じじゃね?
 
  (‥ )じゃあ道祖神にするか?
 
 ∧∧
( ‥)死んで異世界に転生して
    スライムになった勇者が
    道祖神に擬態していたところ
    そこで人が死んだって
    どんな世界だよ?
 
  (‥ )そういう世界なんだよ
      心を広くもって
      受け入れてくれ
      アミーゴ   
 
 なんでその子が死んだのかは知らないが。それ以来、ずーっと主人公の地縛霊になってついている。
 
 ∧∧
(‥ )地縛霊って
\‐  何食べるのかね?
 
  (‥ )何も食べないか...
      あるいは
      小説でよくあるのが
      死んでいく生物を
      ”食う”とかかなあ?
 
 ヴァン・ヴォクトの小説「宇宙船ビーグル号」で登場したガス生物アナビスは死んでいく生物の神経から電気を受け取ってその身を成長させる。
 
 ∧∧
(‥ )似たようなアイデアは
\‐  「ガス状生物ギズモ」とか
    「見えない生物バイトン」
    とかでもあったけど
    あれ、なんですかね?
 
  (‥ )生物の神経が持つ電気が
      静電気となって物体に
      帯びることで成長する生物
      そういう世界観じゃね?
 
 
 もちろん、この世界観、珍妙なものであるに違いない。生物の神経が持つ電気はイオンの電位差であるし、イオンと静電気じゃずいぶん違う。生物の神経が生み出す電気でガスが帯電するってことがあるだろうか? 
 
 ありうるかありえないか。そういう科学の疑問以前に、これは単純に黒魔術と考えるべきだろう。

 心の正体は電気である。

 物体は静電気を帯びることができる。

 だとすると、心を食べることで成長する電気的な存在がいても良い。

 つまり、科学というよりも連想に基づいた世界観。
 
 ∧∧
( ‥)連想に基づいた世界観で
    現実を説明する
    だとすると
    連想に基づいて現実を
    操作できるはずである
    こういう考えは
    典型的な黒魔術であるな
 
  (‥ )言い換えれば
      物語の根拠なんて
      そんな内容で
      いいってことさ
 
 
 実際、以上のいずれも小説として成立していたのだ。アナビスはより多くの死に逝く生物を求めんと、銀河系に侵攻を企てる。ガス状生物ギズモはその糧を得るために生物と人間の殺戮を始めるし、バイトンは心を食べることに感づいた人類と戦争を開始する。
 
 こうして物語は動き出す。見えぬ侵略者と戦う戦士たちの物語。
 
 かように、設定の根拠が黒魔術であっても良いのだ。むしろ黒魔術であるからこそ、人の魂に訴えかけることが可能であろう。
 
 なればこうである。スライム勇者にくっついている地縛霊の子は、生物を殺すことで自己を維持することが正当化されるのであると。
 
 ∧∧
( ‥)なに? RPGゲームで言えば
    出会ったモンスターの首を
    ひねったり
    水戸黄門的に言えば
    悪代官の部下の心臓を
    麻痺させて
    その時に放出される電気を
    食べているのか
 
  (‥ )地縛霊子ちゃんが
      捕らえたモンスターの
      首をごきっとひねると
      ぱりぱりっと
      地縛霊子に電気が
      走って
      一仕事終えた後の
      ビールみたいに
      ぷはーっ!!
      と声を上げるのだ
 
 
 伝統的な連想に基づく世界観において、これは十分に許容される内容であろう。
 
 
 
 

2016年4月7日木曜日

プロボサイペディア

 
 
 ∧∧
(‥ )ゾウのお鼻がproboscis
\‐  ハエの伸び縮みする口も
    proboscis
 
  (‥ )英語の発音を聞くと
      プロボスキスなんだよね
 
 どうもscisをs cisとして、スキスと読んでいるらしい。
 
 ∧∧
(‥ )でも複合語である
\‐  遺伝子proboscipediaだと
    プロボサイペディアと
    読んでいるっぽい
 
  (‥ )sciをサイと読む
     scienceをサイエンスと
     読むのと同じだよね
 
 ∧∧
(‥ )なにゆえ?
\‐
 
  (‥ )さあ? こういうのは
      感覚の問題だろうしな
  
 

 *プロボサイペディア:ハエの口の形成を担当するホメオティック遺伝子である
 
 

2016年4月6日水曜日

子供の頃には夢がありました

 
 
 ∧∧
(‥ )あなたも子供の頃には
\‐  夢があったんだよね
 
  (‥ )未来と人生に対する
      展望はなかったけど
      確かに夢はあったよな
 
 なんにでも擬態できる何かになってこそこそ何かする。
 
 ∧∧
( ‥)抽象的だなあ
 
  (‥ )擬態できるなら
      色々できるじゃんよ
      こうなんていうか
      人の神経を逆なでしたり
      人の人生をちょっとだけ
      おかしくしたり
 
 そうです、これは透明人間になったら女風呂を覗こうというのと同じぐらい自然なことなのです。
 
 ∧∧
(‥ )確かに...神様になって
\‐  人の日常と人生に介入するって
    ゲームあったよねえ
 
  (‥ )それを考えれば
      そんなおかしな
      世界観じゃないだろ?
 
 こそこそまぎれながら、じりじりじりじり相手に接近して、ちょっと悪さする。

 なんてことのない罪無きいたずらではないか。
 
 ∧∧
( ‥)悪さするって言うと
    反社会的だと思われるぞ
 
  (‥ )相手を選んでやれば
      良いってことだろ?
 
 そして話はいつもの場所に着地する。すべての娯楽は殺人ショーであり、物語は相手を殺す理由を視聴者に納得させるものなのであると。
 
 ∧∧
( ‥)だからスライム勇者に
    こだわるのだな?
 
  (‥ )言い換えれば
     スライム勇者には
     美学が無ければいかんのだ
 
 スライム勇者は罪無き者を殺してはならぬし、食ってもならぬ。
 
 スライム勇者の倫理は普遍的なものでなければならぬ。皆が共有できない独善的なものでは駄目だ。
 
 そしてスライム勇者は視聴者の多くが望んでいる相手を食わねばならぬ。皆の思い描く憎い上司や先生や親を食わねばならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )スライム勇者
\‐  大変だな
 
  (‥ )食事がかかってますからね
      なかなかに大変な
      立場でございますな

 
 ∧∧
( ‥)毎回毎回、水戸黄門よろしく
    町にたどり着くたびに
    誰を食べるべきか
    物色するのか
 
  (‥ )もーいいからあいつを
      食っちまおうぜえ
      もうめんどくさいよと
      仲間と言い合いになったり
      するわけですよ

 
 
 

あぶらむし物語

 
 ∧∧
( ‥)例えばどんな物語に
    なるんでしょう?
 
  (‥ )んーそうねえ
 
 
 会社を休んで寝ているうちに、夢を見た。熱にうなされると必ず見る夢だ。
 
 どしんどしんと響く音。うなるように聞こえる幾つもの怒声と悲鳴。空気はひどく悪い。焼けた臭い、血の臭い、腐った臭い、そしてきつい人臭。いつもと違うがいつもと同じだ。

 狭くて暗い部屋、折り重なる死体の中でうずくまり、僕を呼び寄せたのは、今度は女の子か。祈りをささげる指は骨張り、しかし、落ちくぼんだ眼は今や驚きで見開かれて、ぎらぎらしている。怪我をしているのかもしれない。他人のものなのか自分の血なのか、血糊で濡れた衣服をふるわせて、ぜーぜーと荒い息だ。
 
 神様ですか?
 
 ずいぶん、苦しそうだ。声もひどく小さい。まるでつぶやいているようだが、そこにはすがりつくような歓喜の気配があった。
 
 そうとも。
 
 女の子の口が動くが、言葉はもうよく分からない。
 
 願い事は知っているし、望みはかなえてやろう。お前の祈りに応じて私はここに来たのだから。
 
 これもいつもと同じやりとりだ。別のやりとりをしたこともあったが、話がややこしくなるだけだ。あんなやり取りは二度と御免だ。
 
 動かなくなったその子を後にして僕が部屋から出ると、薄暗い通路にいた槍をもった男が、兜の下でぎょっとした顔をするのが見えた。そりゃそうだろう。鏡は無いが自分の今の姿はよく分かる。

 人面の獣、真っ白な毛皮。
 
 何かをする気にもならないし、する必要も無い。うずくまる自分の周りで、集まった兵士たちが騒ぎ出し、槍で突くものもいるが、いつものようになにも感じない。痛みが無いとかじゃない、触る事はできるが、影響が及ばないのだ。
 
 私は神獣である。
 
 僕がそうしゃべると、びくっと兵士達が身をふるわせる。
 
 私を手にするものは天下を得るであろう。
 
 兵士たちが困惑し、隊長らしき男を呼ぶ。その男も、困惑してどこかへ向かっていった。多分、この軍勢を率いる将軍にでも報告するのだろう。
 
 町を攻め滅ぼせる軍勢には国があり、そして王がいる。天下を得ると自ら述べる怪物を私物化したと知れたら、それはもう謀反人に違いない。そんな危険をわざわざ犯すものなどいないのだ。
 
 檻に入れられて都に運ばれる途中。色々な町を見た。物珍しさに、こわごわと近寄る人たち。彼らは僕がインフルエンザにうなされていることなど知らない。そして、いつものことだが、インフルエンザはこの世界の人々にまったく未知のものだ。

 人の動きは僕が運ばれるよりも早い。自分が都についた時には、すでに影響が出ているようだった。
 
 玉座に引き出されて数日ぐらいたっただろうか、再び、王の前に連れ出された。この前よりも廷臣が減ったように思われた。
 
 あなたは天下を得ます。

 そう伝えて、王を安心させた。
 
 しばらくして自分から檻を出た。道がよく分からないので迷って、玉座までずいぶんかかってしまった。人はまだいたが、力なくうなだれるだけだ。誰も僕を見とがめはしない。驚いた事に玉座にはまだ王が座っていた。近づく僕を、赤く充血した眼で力なく見ている。いや、はたして本当に見えているのだろうか?
 
 王にまつろわぬものなど、もはや誰もおりません。
 
 おめでとうございます。あなたはついに天下を得ました。
 
 耳元でささやいたが、答えは無かった。王の姿がかすみ、夢も終わった。目が覚めると、熱はすっかりひいていた。
 
 
 ∧∧
(‥ )やはり流行病の能力を持つ
\‐  主人公は厄神になって
    しまいますなあ
 
  (‥ )古代中国の奇書
     山海経には様々な厄神がいて
     中には疫病を司るものもいる
     インフルエンザにかかった
     主人公が中世、古代的な
     異世界に転生
     あるいは召喚された時
     彼は蜚となるのだ
 
 
 *蜚:読みはヒ、あるいは”あぶらむし”である。第四、東山経の最後に登場する厄神で、牛のごとくで白い首、一つ目で蛇の尾、水をいけば水が尽き、草をいけば草枯れる。これが現れると天下大いに疫病はやる。
 
 **以上では便宜上、人面にしている
 
 ∧∧
(‥ )それにしてもこの話
\‐  他人に移せばカゼが
    治るって内容だな
 
  (‥ )世の中ってのは
      身もふたもないもんさ
 
 
 
 
  

2016年4月5日火曜日

スライムこそニートの夢

 
 変幻自在、体積こそ変わらないがあらゆるものに擬態し、人間も含めほとんどの生物を食って自活できるスライム勇者。
 
 ∧∧
( ‥)あなたこのアイデアに
    こだわるね
 
  (‥ )だってこれ
      ニートの夢だろ?
 
 変幻自在ならほとんどの場所で怪しまれない。あらゆるものを擬態、再現できるのなら、冬場に毛皮のコートをはおって歩き回れる。夏場なら逆だ。人間も含めて食べてしまえるのなら金も必要ない。
 
  (‥ )衣食住が完璧ですよ
 
 ∧∧
( ‥)おまけに人間関係から
    解放されるってか?
    まあ確かにニートの
    夢ではあるね
 
 しかし、勇者には仲間が必要だ。
 
 ∧∧
(‥ )仲間が飯を食う者達なら
\‐  せっかくのニートの夢が
    瓦解するぞ
 
  (‥ )体が小さい妖精さんなら
      どうか?
 
 昆虫のような翅を持ち、空を自在に飛ぶ。多分、胸郭は外骨格で、いわゆるおっぱいアーマー状態。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、それを変形させて
    翅を動かすのだな
 
  (‥ )時々、人間とか家畜から
      吸血したり生気を吸って
      生活するわけよ
      体が小さいから
      獲物の負担は献血程度です
 
 ∧∧
( ‥)でっかい蚊じゃねーか
    たち悪いな
 
  (‥ )いつもは人間に擬態した
      勇者の頭部に入っていて
      偵察任務の時は
      ぱかっと割れた頭から
      出撃ですよ
 
 小さい分、あらゆる隙間から潜り込んで、悪代官とか越後屋の会話を盗み聞きするのである。
 
 後は二口女であろうか
 
 ∧∧
( ‥)ああ、民話食わず女房で
    出てくる頭に大口がある
    怪女のことね
 
  (‥ )あれ実際にはやまんば
      なんだよな
 
 彼女はそもそも人食いである。物語でも、自分の正体に気づいた旦那をさらって食べようとするのだ。なれば、二口女のヒロインが食事に困ることはない。
 
 ∧∧
(‥ )そりゃ食い物がそのへんを
\‐  うろうろしてるからな
    人里離れてもやまんばなら
    むしろ自分の得意領域だし
    何も困らないよね
    やまんばって本来は
    山の神様だからね
 
  (‥ )神様だけに戦闘では
      あえて後衛を務めて
      いただきましょう
 
 ∧∧
( ‥)腕力あるけど
    神様だから魔法職扱いか
 
  (‥ )最強魔法は山の幸
      キノコの胞子で町を覆う
      マタンゴ魔法
      そして前衛に出て
      混乱した相手を
      殲滅するのは勇者の役目
      そうでないと
      勇者の存在意義が
      なくなっちゃうからね
 
 ∧∧
(‥ )やまんばよりも力がある
\‐  勇者ってもはや怪獣じゃね?
      
  (‥ )スライムだけに武器は
      使いません
      腕力です腕力
 
 パンチで甲冑ごと人体をおしひしぎ、力技で無双する。
 
 
 
 
 

2016年4月4日月曜日

西に向かって伸びる4月4日

  
 20160年4月4日の夕暮れ

 











 
 

    雨上がりの湿りで
 ∧∧  蒸し暑いぐらいです
( ‥)
 ‐( ‥)ぬめっと広がり
     多重に重なった雲に
     波模様ができとる
 
 それと直交して雲がない領域があったり、反対に雲があったり乱れていたりするのは、どうも飛行機が通ってかき乱された後のようであった。














 夕暮れ沈む西の空に向かって伸びる構造が眼についた4月4日
 
 
 


戦えキノコマン

 
 
 ∧∧
(‥ )正しいことを目標とする
\‐  これは結論先にありきな
    考え方で
    言い換えれば
    見聞きしたことを全部
    結論に合わせて歪める
    ことでもある
 
  (‥ )正しいことに合わせて
      物事を歪めるには
      それなりのやり方って
      ものがある
      意識高いってのは
      そのやり方のことだな
 
 だから意識高い人は、いつも幸福そうだし、興奮しておる。そりゃ、何を聞いても見ても、なんでもかんでも自分が正しいことをしている、他人よりすぐれたエリートだと勘違いできる技を身につけたら、脳が多幸感に溺れてシャブ漬け状態になってもおかしくないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )現実はそういうものじゃ
\‐  ないんだけどね
 
  (‥ )そういう現実に
      耐えられないから
      正しいという嘘に
      すがりついたのだろ?
 
 正しいことをしている時点で、それは欺瞞であり罪である。
 
 さて
 
  (‥ )キノコなら
      いいんじゃないか?
 
 ∧∧
( ‥)何の話だ?
 
 
 胞子をばらまく。相手がそれを体内に吸い込むと菌糸が発芽し、眠くなり、やがて頭からキノコが生えてきて、それがまた胞子をばらまく。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、病原体の力を
    体現したヒーローの話か
 
  (‥ )キノコだと可愛いだろ?
 
 まあ、実際は可愛いどころの話ではない。肺を菌糸に侵され、覆われることを考えれば恐ろしい以外の何者でもないだろう。
 
 だけどここは外見上の可愛さだけを追求する。急に眠くなり、頭からちょこん、にょきにょきとキノコが生えて、ばふーっと胞子を排出する。
 
 胞子は無敵ではない。マスクをすれば大丈夫だし、マスク無しで吸い込んでも、必ずしも発芽するわけではない。発芽しても症状は軽く、全身が菌糸に犯されずにすむこともある。確率は100%ではない。
 
 ∧∧
(‥ )それでも脅威だよね
\‐   次々と倒れる仲間
    閉鎖される街区
    パニックに陥る
    都城の市民と兵士
    吸い込んじまった...後を頼むと
    青ざめた顔をしながら
    仲間のために自ら閉鎖街区へ
    向かう隊長
    その一方で自覚していなかった
    隊員ががくっと倒れ込み
    無防備な後方でいきなり
    胞子を散布し始める
 
  (‥ )倒れた人体から次々に
      菌糸が伸び始め
      人々を覆い街区を覆い
      巨大なキノコが
      成長して猛烈な勢いで
      胞子をまき散らし始める
 
 考えてみればこの光景、ナウシカの腐海なんだけども、それは気にしない。
 
 ∧∧
( ‥)そして巨大キノコが
    胞子を吐き出し始めたら
    キノコマンの勝利は
    ほぼ確定だな
 
  (‥ )もはや防衛能力は喪失
      城塞は風前の灯です
 
 この時、キノコマンの身体能力が普通人と同程度か、あるいは人間よりも頑健なんだが吸血鬼のように弱点が多い場合、キノコマンはヒーローとして成立しよう。
 
 キノコマンの胞子攻撃が勝つのか、それとも城塞の人間達が侵入したキノコマンを発見して倒すのが先か、少なくともある段階までは互角の勝負だ。
 
 ∧∧
(‥ )人型かつ互角の勝負を挑み
\‐  自らを危険にさらして
    挑む者には英雄の資格がある
 
  (‥ )例えそのやり方が
      胞子による殲滅であったと
      してもな
 
 後は、胞子による殲滅をどこまで正当化できるかだ。
 
 ∧∧
( ‥)まあそれを説明するのが
    物語なのである
 
  (‥ )娯楽とは公開処刑であり
     物語はその正当性を説明する
     法廷闘争なのだとみなすべし
 
 
 ところで、できればキノコマンは女の子の方がいいなあ。
 
  ( ‥)でもそうすると
    ‐/ アイドルマスターの
       星輝子ちゃんになって
       しまいそうだ
 
 ∧∧
( ‥)ああ、あなた
    杏ちゃん以外だと
    この子が好きだよね
 
 星輝子=>https://www.google.co.jp/search?q=星輝子&biw=864&bih=734&site=webhp&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwj8l4i1sPPLAhWFHJQKHTpyC1QQ_AUIB…
 
  
  (‥ )年齢を上げれば
      差別化できるんじゃ
      ねえかな?
 
 ∧∧
( ‥)二十歳以上でこのキャラを
    演じるのか?
    いきなり鬼気迫ってきたぞ

 
 いやいや、鬼気迫るからこそ萌えるのだ。
 
 
 

2016年4月3日日曜日

意識に重点置いてる時点で終わってる

 
 ∧∧
(‥ )意識高いっていつから
\‐  悪口になったんだろう?
    という話がですね
 
  (‥ )演算って意識でする
      ものじゃないだろ?
  
 それを考えると、意識高い、つまり、意識に重点を置いている時点で終わっているのである。
 
 
 ∧∧
( ‥)演算を走らせるには
    単なる試行錯誤と
    成功失敗、生死という
    ONOFの集積で十分である
 
  (‥ )だからほら
      お馬鹿で無意味で
      続々と人が参入しては
      死んでいく
      混沌たる漫画世界は成果を
      出し続けるけど
      コンサルタントを雇った
      会社は衰亡するべ

 
 
 意識こそ大事、そんなことを言った時点で、お前たちは未来を失い、ただの死体に成り果てたのだ。
 
 意識を捨てよ、未来を壊せ。そして秩序ではなく混沌を。
 
 
 

病原菌の力を持つ戦士

 
 とはいえ、しかし、インフルエンザと農業病害虫、家畜の病原菌で相手を無力化できる可能性というのは魅力的と言えば魅力的。
 
 
 ∧∧
( ‥)非人道の極みだけどな
 
  (‥ )だけど成功すれば
      交戦する必要がない
      こっちの犠牲を
      ほぼ0にできるし
      こっちの基準からすれば
      生物兵器でもない
      非難されても
      過失で押し通せるのは
      美味しいぞ
 

 *異世界と接触した時、相手の異世界が中世、古代レベルの社会なら、病原菌との共進化がまださほど進んでいない。だとすると、相手はあまり免疫がないことになり、こちらの世界のなんてことのない病気や害虫が、相手には致命的ということがありうる。これを利用すれば相手を社会まるごと、こちらの手を汚さずに抹殺することすら可能かもしれない、という意味。
 
 
 ∧∧
(‥ )しかしそれをやったら
\‐  英雄の物語ではなくなってしまう
    物語として拒否されて
    しまうのである
 
  (‥ )ジョジョで登場した
      パープルヘイズのように
      ウイルスを力として
      持っている英雄は
      創作にもいるが
      そういう場合は
      戦士としての制限があって
      社会を滅ぼすような蔓延を
      体現しているわけでは
      ないんだよねえ
 
 とはいえ、病気の蔓延という恐るべき事態を擬人化した想像上の超存在はすでにあるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)吸血鬼ですな
 
  (‥ )吸血して眷属を増やす
      まさに伝染病
 
 創作物における扱いを見る限り、吸血鬼は伝染病のような側面を持つ一方で、戦士としても成立しているようだ。それはなぜか?
 
 ∧∧
(‥ )やはり人型であること
\‐  本物の伝染病よりも蔓延が
    遅いこと
    頑健で無敵である一方
    弱点がたくさんあって
    機会さえあれば人間でも
    倒せること
    ここですかね?
 
  (‥ )人間が肉体で戦える
      存在であり
      なおかつ勝てる存在
      だとすると勝負は五分で
      勝負が五分である以上
      相手は戦士であり
      認められる
      そういうことかもしれぬ
 
 例えば、インフルエンザ怪人が登場したとする。俺はインフルエンザだー、と叫びながら、夜な夜な、人間をインフルエンザ怪人に変え、その怪人がまた他の人間をインフルエンザ怪人に変えるのだが、その過程がひどくのんびりしている。怪人1人が1日に1人インフルエンザ怪人を作り出すだけなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )もちろんこれでも状況は深刻で
\‐  こんな倍々ゲームを始めたら
    1ヶ月もしないうちに
    日本人全員が
    インフルエンザ怪人に
    なってしまいますけども
 
  (‥ )現実には大パニックだな
      奇襲攻撃をしかけられて
      警察や自衛隊や国家が
      情報を集め
      状況を見極めている間
      半月後手に回るだけで
      怪人の数は2の15乗
      つまり32768人
      ちょっとした
      都市人口にまで
      増加しているわけだし
 
 だが、ご都合主義な正義のヒーローならば、問題ない。正義のヒーローとは軍隊に匹敵しながら、その出動に自治体の要請も首相の判断も、国会の決議も必要ない、非合法な私刑人である。即座に対応してインフルエンザ怪人を倒すであろう。
 
 ∧∧
( ‥)ましてや吸血鬼みたいに
    弱点だらけだとね
    ヒーローすら必要ないかもね
 
  (‥ )徒手空拳の人間でも
      知恵があればなんとか
      対応できるのではないか?
      視聴者にそう思わせる
      ことができるのは大きい
      実際そうであるからこそ
      敵を倒す自分は
      勇者になれる
      そして、敵である
      インフルエンザ怪人や
      吸血鬼にも戦士としての
      資格が出てくるわけだ
 
 ∧∧
(‥ )ただこれだとちょっと蔓延度が
\‐  低すぎますかね?
 
  (‥ )病気じゃないけど
      流言飛語で相手を壊滅させる
      ってのがあったよな
 
 レズニックの小説「暗殺者の惑星」。史上最悪の快楽殺人鬼を倒すために雇われた暗殺者。射撃、格闘術の腕は高いが、超一級というわけではない。後は声色をまねるのが得意で、簡単な道具で目鼻の雰囲気、髪の色を変える。これだけだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも地方政府を占拠して
    独裁者となりおおせた
    快楽殺人鬼を守る
    万の親衛隊を混乱させるには
    それで十分なのであった
 
  (‥ )相手がいつどんな姿なのか
      分からない中で
      暗殺者が内部に侵入して
      流言飛語を飛ばしながら
      実際に同僚を殺しまくって
      いたら
      訓練された軍隊だって
      混乱するだろうしな
      ぽっと出の地方有力者に
      集った武装集団じゃ
      同士討ちが始まるよね
 
 これも、一対無数、という圧倒的な戦力差があるなかでのやり方だから認められるのだろう。

 **ちなみにこの小説の暗殺者は別に正義の味方ではない。侵入先で現地警察の実力を推し量るためだけに、まったく無実の人間をいきなり殺しているし、結局、彼はその報いを受ける事になる。自身が仕留めた快楽殺人鬼とは別ベクトルで、この暗殺者に道徳というものは無いのだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも自ら殺した死体と
\‐  皮をはいで半殺しにした人体で
    飾り立てた広間に
    立てこもる殺人鬼
    そこへほとんど徒手空拳で
    接近していく暗殺者の姿は
    その時、確かに戦士であった
 
  (‥ )多分ここにヒントがあるな
      病原菌の力を持つ怪物を
      戦士として描くことが
      出来る道
      それがここにある
      

 

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