自己紹介

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2013年8月31日土曜日

雨の海のリング


 ∧∧
(‥ )秋っぽくなったかと
\‐  思えば、また高温ですね
 
  (‥ )まあ、天気がいいからね
 
 とはいえ、これまでの強烈な湿気ともやのかかった空に比べれば、大気の状態は色々と良い。
 













 
 ∧∧
(‥ )お月様、欠けてきました
\‐   明暗境界線では、平坦な海に
     山々が影を落として
     目立ってますね
 
  (‥ )月の山ってのは
      ちんまりしてるよな
      夜に沈んだコペルニクスと
      午後のケプラーの間に
      Montes Carpatus
      カルパティア山脈が見える
      これ、巨大クレーターでも
      あるImbriumのリングの
      一部でもあるのな。
 
 なんか論文を見たら、Imbrium、つまり雨の海を溶岩がどう流れてそこを覆っていったのか、それもそれなりに分かっているらしい。
 
 ∧∧
( ‥)でも、今はそこまで論文を
    読めませんね
 
  (‥ )まずは仕事しないとね
      いかんのでね
      
 

 

2013年8月30日金曜日

月と地形と相対年代と


 今朝の月は、空がかすんでいたせいか、あまりクリアではなかった。
 
 ∧∧
( ‥)それでもまあ、気流の
    状態は良いものでした
 
  ( ‥)ちゃちゃっと
    ‐□ スケッチしたけど、
      昨日とは
      打って変わって
      明暗境界線の
      クレーターの名前は
      知らん人名ばかりだな
 














 コペルニクスとチコはともかく、他の人は誰だか知らない。まあ、そのうちに本を読めば出会うだろう。

 ∧∧
(‥ )それにしても、こういう1枚の
\‐   スケッチでも月の地質と
     相対的な年代を
     読み取ることができますと
 
  (‥ )おおまかにいえば
      例えば南のように
      クレーターが
      多い地域がある
 
 ということはクレーターの原因になった隕石衝突の頻度が、時間的に非常に偏っていたことが分かる。
 
 ∧∧
( ‥)まんべんに偏り無く衝突が
    起きたら、月全体が
    クレーターだらけになる
    からね
 
  ( ‥)北に見える虹の入り江が
    ‐□ なかば”海”に沈んでいる
      ということは
      虹の入り江が出来てから
      溶岩が出てきたことが
      分かるよね。
 
 *月の海。つまり暗いうさぎさんマークは月の内部から滲み出た溶岩が広がったものなので。
 
 **虹の入り江:スケッチ上に見えている半円形をした入り江状の地形のこと。見た目からしてクレーターで、溶岩に半分埋まることで入り江状になっている。
 
 ∧∧
( ‥)コペルニクスクレーターが
    海にあるということは、
    海が出来てから
    衝突が起きたことは
    明らか。
 
  (‥ )だけども海は全体的に
      クレーターが非常に少ない
 
 つまり
 
 隕石の重爆撃時代=>溶岩が拡大して低地を埋める=>隕石衝突の頻度ががたっと減る=>コペルニクスを生成した衝突が起こる=>最近、月は静かです
 
 ∧∧
(‥ )まあこれは非常に
\‐   荒っぽい推論ですけども
 
  (‥ )これだけの手がかりでは
      隕石衝突の頻度が
      ずーっと同じで、
      海が最近になって
      急激にできた、
      でもいいわけだからね
 
 もちろん、月の地質学にはもっと色々な根拠があるのだ。
 
 ともあれ、最低限、前後関係は明らかだ。
 
 つまりこのスケッチだと例えば南にあるクレーターだらけの場所が一番古くて、海がより新しく、それより新しく出来たのがコペルニクスクレーターということになる。
 
 ∧∧
(‥ )ともあれ、こんな観察でも
\‐  地質学的に色々と
    考察できるのは確かですね
 
  (‥ )地球の地質学を知って
      いるとさらに色々な
      ことが見えてくる
      だろうな
 
 例えば、誤解している人もいるけども、地球の内部はマグマではない。マントルはカンラン岩で出来ているし、溶けた鉄である核(厳密には内核を抜かした外核の部分)を抜かせば地球は体積のほとんどが固体だ。固体地球物理という名称は伊達ではない。
 
 *地球の内核では晶出した鉄の雪が降っているという。
 
 とはいえ、固体も流れる。地球のマントルは実際に流れてしまう。だから月の大型クレーターのような構造物が地球にあったら、それを支えられない。だけども月にはクレーターがそのまんま残っている。見れば分かる。つまり、
 
 ∧∧
( ‥)月は地球よりずっと
    固い事がここから分かる
 
  ( ‥)その一方では溶岩は
    ‐□ 地球よりずっと柔らかい
      海が溶岩だというなら
      ぺたーっとしてるし
      月に地球のような火山は
      ほぼまったく見当たらない
      わけだしね。
 
 どう考えても月の溶岩は地球のものよりサラサラしてるんだろう。実際、月のどこを見ても富士山みたいな山は見当たらない。
 
 
 ∧∧
(‥ )見れば見るほど不思議な
\‐   天体ですよねえ
 
  (‥ )スケッチもさ、
      満ち欠けの明暗境界線を
      連続して描けば
      一枚の絵になるかなー
      とか以前は思っていたの
      だけどもねえ。
 
 もちろん、月には秤動(ひょうどう)がある、ということは知っていたのだけども
 
 ∧∧
( ‥)連続して描いてみたらね
    日時が変わると、
    地形の相対的な位置が
    まるで違ってきてしまってね
 
  ( ‥)秤動は知っていたけども
    ‐□ よもやあそこまで
      スケッチに深刻な影響を
      与えるとは思わなかった
      からねえ。
 
 *秤動:地球から見た場合、見かけ上、月がぐらぐら揺れているように見えること。
 
 **月は球体なので、ぐらぐら揺れて見えても、見た目は円盤状で変化はない。

 **上で言っている、スケッチへの影響とは、日時ごとのスケッチをつなげようとしても、クレーターや海のような地形は月という球面上にあるので、見かけの位置がずれると、日時によって相対的な配置や間隔や形が歪んだり、変化して見える。ゆえにスケッチのつなげようがない、ということ。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、やったから
\‐  実感したわけで、
    何事もやってみるものですね
 
  (‥ )まずは、地形全体の
      把握だな
 
 
 
 

自分たちが超能力者である自覚が足りない、たぶん

 
 
 ∧∧
( ‥)なに?
 
  ( ‥)昔さ、こんなエッセイを
    ‐□ 見た事があってね
 
 駅の階段を降りていく先にいる女性の頭からアンテナが生えている。ぎょっとしたが、それは携帯のアンテナで、彼女の長い髪の毛からアンテナだけが出ているのだった。話している内容はこちらにも聞こえているがたわいもないものだ。携帯電話はいわばテレパシーである。超能力が実現したら世界はすごいことになるはずだった、SFの世界になるはずだった。だが、僕らはバカバカしいことにしかそれを使わない。
 
 *注:今から数年以上前に目にしたものなので、まだ携帯電話にアンテナがあるのが普通だった時代の話です。
 
 ともあれ、そんな感じのエッセイ
 
 ∧∧
( ‥)....なにその、
    技術革新が起きたら
    それは高尚なことにしか
    使っちゃいけません!
    みたいな上から目線は?
 
  ( ‥)まあ、それは置いておこう
    ‐□ じゃないか。
      少なくともネットや携帯が
      テレパシーと
      同じものであることは
      確かだよね。
 
 つまり、思考がだだ漏れ、とまでは言わないが、携帯とネットが普及した昨今、少なくとも、強く思考してそれを言語化、あるいはテキスト化すると、膨大な数の母集団に伝わってしまう時代。
 
 当然、母集団が大きければ大きいほど、普通では考えられないことが起こる。
 
 ∧∧
(‥ )今まで遭遇もしたことがない
\‐  愚かさや、これはもはや
    精神疾患ではないか?
    と思えるようなトンデモ理論や
    病的な勘違い、固執、陰謀論、
    放射脳、思い込み
    そして冷蔵庫に入って大炎上
 
  (‥ )みんなテレパシーが
      普及した世界で生きる事に
      まだ慣れていないのだよね
 
 平均人間からすれば、こんな愚かさや異常やぶれや欠陥や思い込みや誤謬が世界にあるとは想像もしていなかっただろう。だから世代論とか格差論とか無駄にありもしない原因を探す。
 
 立場を変えて向こうからすれば、まさか自分が母集団の反応を引き起こしてしまうとは思っていなかっただろう。今まで誰も反応しなかったのに、ある時、連鎖的に反応が反応を呼び起こして臨界に達し、集合の振る舞いが変わって人生が終わる。
 
 どっちも巨大な集合で何が起こるのか、確率的にどう振る舞うのか、それを良く理解していなかったという点では同じだ。

 そして、これぞ世界の新しき姿。
 
 ∧∧
( ‥)そういえばあなたは
    人類が嗅覚に依存した
    動物だったら、と
    考えたりしますよね
 
  (‥ )視覚に依存した生物から
      すると、
      嗅覚が鋭いってのは
      どえらいことでね。
      クラスメートの
      誰が生理か、
      誰がエロ話を聞いて
      一番興奮しているか、
      誰がトイレで大か小か
      どちらを排泄したか
      これが全部丸分かりに
      なっちゃうんだよな
      モラルハザードですよ
 
 匂いは自然と拡散するし、過去の情報を含んでいる。鋭い嗅覚は視覚生物からすればテレパシーみたいなもんだ。
 
 そういうわけで、物事がばれる世界では何事もうまく隠さないといけない。こんなことは本来、ゆっくり起こるはずだけども、機械技術の進展がそれを一気に実現させた。
 
 ∧∧
( ‥)まだ皆さん、この状況に
    慣れてませんよね
 
  ( ‥)これから1世代、2世代
    ‐□ 経過したら、ずいぶんと
      違う世界になるのかな
 
 新しい道徳というか、世界観や制御力とでも言うべき物が必要になるんだろう。自分を抑制するだけでは駄目で、巨大な集合ではあらゆることが起こる、確率的に非常に低い事でも当然のように起こる、巨大な集合はある時、臨界に達して反応を引き起こし、牙を向いてくる。こういう視点も当然、必要。
 
 ∧∧
( ‥)でも何より必要なのは
 
  (‥ )自分たちは超能力者である
      この自覚が必要だよね。


  
 

2013年8月29日木曜日

月とプラトン、レギオモンタヌス

 
 起きてみると日付はすでに変わっていて、散歩がてら森を抜けて公園に。
 
 本日は明け方の半月、月明かりの道は幻惑させられる
 
   木漏れ日の月光が
 ∧∧ 道を照らすけど
( ‥)
 ‐( ‥)照らされたところは
     白く見えるんだが、
     明るさのせいで他の
     部分が闇に見えてね
     視界が混乱するよね
 
 都会に囲まれたこの土地だ。曇り空の時など空が街明かりでまんべんに明るくむしろ分かりやすい夜道も、月光の強い木漏れ日があると、普段見えていた道はかすんで闇に消え、むしろ訳が分からなくなる。歩いているとどこが道であったかと、方向に戸惑うことがしばしば。
 
    お月様はヒアデス星団に
 ∧∧  ありますね
( ‥)
 ‐( ‥)アルデバランと並んでおる
      見事だね。
 
 空気が秋っぽくなったせいなのか、空はきれいで月も美しかった。昇るシリウスと冬のダイヤモンドを見た後、ひさかたぶりに月のスケッチをしてみる。望遠鏡で覗く月は、このあたりではすばらしいもので、大気の状態は非常に安定している。関東では都市が多いためか、望遠鏡で見ると星も月も惑星も、普段はまるで炎天下の陽炎を通してみるかのよう。しかし、本日はそんなことがない。
 











 
 

 スケッチの後でクレーター名を本で確認。上が北で、下が南(望遠鏡で見ると、上下逆になるけども)
 
 ∧∧
(‥ )月のクレーターは
\‐  自然科学や数学の偉人の
    名前がついているのですよね
 
  (‥ )月の昼と夜を分ける境界線
      ちょうど夕暮れの場所を
      みているわけだよな。
      影が長いからでこぼこが
      よく分かるよね。
 
 *実際、スケッチしている1時間弱あまりの時間の間に、クレーター”ワルター”の縁の峰々が夕暮れから夜の闇の中に没していった。
 
 北から代表的なものだけで、プラトン、アルキメデス、エラトステネス、プトレマイオス、レギオモンタヌス、歴史上のそうそうたる面々の名前がついたクレーターが境界線にならぶ。
 
 ∧∧
( ‥)ここから月の本を書くまで
    時間はかかりそうですね
 
  ( ‥)月はねえ、僕らが
    ‐□ 思っている以上に
       深い天体だからね
       時間はかけるものだよ
 
 朝焼けの中、かすんでいくところでスケッチを終えた。
 
 ∧∧
( ‥)さて、仕事をしますか
 
  (‥ )手早く終わらせよう。
 
 いまだに疲れは残っているが、涼しくなったせいだろうか、少し調子が戻ってきたようである。
      
  


2013年8月28日水曜日

宗教を持つに至った猿の飛躍した理屈ではないのか?

 
 ギリシャは衰退し、破れ、そしてローマに征服された。
 
 人は時として言う。ギリシャ人は衆愚政治に堕落し、一方、ローマは政治と軍事にたけていたと。
  
 ∧∧
( ‥)でも、そのローマが
    世襲かつ、終身制の議員による
    議会制だったことは
    なぜかしばしば
    無視されますよね
    それこそ、
    ギリシャポリスの
    直接選挙はだめだ
    という意見はプラトンさんの
    時代からあったし、
    ある意味、ローマの元老院は
    その具現化なんだけども
    ないことにされてる感じ。
 
  ( ‥)すばらしい政治は、
    ‐□ 直接選挙からではなく、
      子供の時から経験を積んだ
      2世、3世議員から
      生まれた。
      民主主義を愛する
      知識人のみなさんは
      そういう過酷な事実から
      目をそらしたい
      そういうことじゃね?
 
 でも、考えてみれば、ローマも言ってみれば直接選挙に移行してるよね?
 
 ∧∧
( ‥)いつよ?
 
  (‥ )軍人皇帝時代
 
 みんなで名乗りを上げて勝ち抜き戦。ひゃっはー!
 
 ∧∧
( ‥)あの内乱って選挙かよ
 
  ( ‥)結果的にはそうだろ?
    ‐□ 兵士の歓呼と賛成で
      皇帝として認められるし
      しかも一兵卒上がりから
       皇帝になれるのって
       この時代だよね。
 
 直接選挙らしく、有象無象な成り上がり者がぞくぞくと現れて、ばたばたと死ぬ時代。くるくると政権交代が起きる中、だがしかし、この混乱の時代からこそ解答が現れる。
 
 ∧∧
( ‥)究極的には帝国西方の放棄
    キリスト教というイデオロギー
     で束ねられた国家という
     答えがね。
 
  ( ‥)おかしなもんだよな
    ‐□ 軍人皇帝時代の
      直接選挙と短命政権は
      一般には否定されて
      いるけども、
      実際には次の時代を
      用意したという現実。
      一方で共和制と
      賞賛されている
      元老院時代のローマは
      貴族たちによる終身議会制
      なんだよこの二枚舌。
 
 民主主義の評価って、ものっすごく馬鹿っぽくね? 
 
 これって、うまくいって見えてる時代や政権や時期や場所は民主主義のおかげにして、うまくいかない時は別のもののせいにしている、ただそれだけの話じゃねーですかね?
 
  (‥ )というか今の時代自体が
      そうなんだよな。
      どの国もどの政権も
      問題だらけだが
      短命政権と馬鹿にされてる
      日本に対して、
      じゃあ長期政権の国は
      どうなった? とか、
      二大政党制で直接選挙制の
      アメリカどうなってるよ?
      とか、色々問われることは
      あるよなあ。
 
 ∧∧
( ‥)日本に限ってみても、
    直接選挙で選ばれたトップや
    成り上がりの政党に政権を
    まかせたらどうなった?
    とかですかね。
 
 一体、いつから民主主義は魔法の道具になったのだろうか?
 
 ∧∧
(‥ )あなたたち自体がそういう
\‐   受け取り方をする
    生き物だってことでしょ?
 
  (‥ )肯定すべき事柄を
      成功をもたらす呪文だと
      考えてしまうのな。
 
 そうね、宗教を持つようになったサルからすれば、これは必然の発想かもしれない。だがしかし、明らかに理屈が飛躍している。     

 

そして、冬のダイヤモンド

 
 ∧∧
( ‥)なんか効率落ちてますねえ
 
  ( ‥)そうだね、でも、
    ‐□ もしかしたら最初から
       こんなもんだったかも
       知れないなあ。
 
 猛暑の影響なのか、それともずっと休み無しなのがいけないのか、あるいは休みと仕事の境目が何もかも無くなって平坦化したのがよくないのか。
 
 ともあれ、気晴らしに散歩へいく
 
 ∧∧ 今日は空がきれいですね
( ‥)
 ‐( ‥)月が出ているから明るいけど
      三角座もちゃんと見える
      このあたりにしては
      澄んだ夜空だね。
 
 カペラ、アルデバランはすでに中空高くあがり、東の地平に輝く木星も、ふたご座のポルックスとカストルも、オリオン座もきれいに見えた。ベンチでぼんやりすると、プロキオンも見えてきた。
 
   Great Winter Hexagonが
 ∧∧ 見えますかね
( ‥)
 ‐( ‥)どうだろうね、
      星の様子からすれば
      もうシリウスが
      上がるはずだよな
      そうすれば完成だ
 
 Great Winter Hexagon 直訳すれば冬の大六角形。日本語では冬の六角形とか、あるいは冬のダイヤモンドというらしい。

 北極星に一番近いぎょしゃ座のカペラを頂点に、ふたご座のカストルとポルックス、おうし座のアルデバラン、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のリゲル、そしておおいぬ座のシリウスで構成される、やや細長いが、なかなかきれいな姿をした六角形。それが冬のダイヤモンド。

 待っていると、暗いが流れ星を見た。10度か15度ほどすいーっと流れて消えた。か細く弱いが、なかなか寿命の長い流星で、そして、帰り際、昇ってきたシリウスを見た。
 
   冬のダイヤモンド
 ∧∧ 上がりました
( ‥)
 ‐( ‥)ああ、きれいだね。
 
 帰り道の木立の間から、切り取られたように見える夜空と昇り始めたシリウス、そして冬のダイヤモンド。ああ、夏も終わりだ。
 
 
 

2013年8月26日月曜日

主人公は誰の使徒?

 
 hilihiliのhilihili: 攻撃の右手を左手がつかんだ時、事態は膠着状態に陥るの続き
 
 ∧∧
( ‥)仕事を終えたのに
    なにしてるのよ?
    休めよ
 
  ( ‥)人生から暇つぶしを
    ‐□ 無くすと正気を失うよ
 
 ふと検索をかけてみる。
 
 ∧∧
(‥ )...ああ、例のラノベと
\‐  それを原作にしたアニメ、
    その結末に関する色々な
    意見ですか
 
  (‥ )妹が幼なじみや友人、
      同級生に勝利した世界
 
 まあ、なんというか、考えてみれば当たり前なのだけども、小説や創作における恋愛劇において、主人公はしばしば読者の分身となる。いや、分身ではないな。むしろ、自分の愛するキャラを幸せにするため、読者によって使わされた使徒として主人公は活躍を期待される、少なくともそういう役割が読者によってあてがわれることがある、そう言うべきか。
 
 だが、悲しいかな、当然だけども、作っているのは作者だ。使徒ではあるが、けっして自分の代理人そのものにはなってくれない。
 
 ∧∧
(‥ )読者の需要に応じて
\‐  女の子の数は増える、
    しかし、選択がなされた場合
    誰かが敗北することになる
 
  (‥ )妹が勝利した世界は
      他のみんなが敗北した
      世界でもある。
      必然、読者でも
      無念の涙を呑んだ人が
      たくさんいたみたいね
 
 使徒は、あなたの望まない行動を選択した。
 
 だから、ゲームや二次創作で我慢しろ、という意見が
 
 ∧∧
(‥ )ああ、そういう意見ありますね
\‐   無数に分岐するゲームが
     普及したこの時代、
     必然の意見ですね
 
  (‥ )別の時空、別の世界線
      解を探す果て無きループ
      昔だったらSFとかの
      ジャンルに限られた
      発想も、今ではむしろ
      必然のアイデアなのな。
 
 妹が勝利しなかった世界。
 
 それもどこかにあるってことなのだ(というか事実としてある)
 
 ∧∧
( ‥)この作品自体、無数の
    分岐から選択され、
    作られたものですよね
 
  (‥ )例えば、
      妹 VS 幼なじみ
      よく考えたら
      何事?? っていう
      最終決戦だけども、
      そこで幼なじみがだよ
 
 「あなたたち、兄妹なのに、セックスはどうするの??!!」
 
 という台詞を一言はいたら、その瞬間
 
 ∧∧
( ‥)とたんに別の選択肢に
    迷い込んでしまいますと
 
  ( ‥)この一言に、はい、いいえ
    ‐□ どちらで答えても
       物語というか
       テキストとしては
       かなりやばい方向へ
       舵を切ることになる。
       それは回避しなくちゃ
       いかんよなあ。
 
 作品を作り上げるのに、何度、あらゆる選択肢が試行され、そして棄却されたことか。
 
 ∧∧
(‥ )作品自体、ループと
\‐   時間線の探索を行った結果
     だとも言えますね。
 
  (‥ )おおげさな言い方に
      聞こえるけども
      まじでそうだからな
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると、
    あなたの仕事は
    楽ですよねえ
 
  (‥ )科学を紹介する。
      文字数に応じて
      仮説を単純化すれば良い
      論文と状況さえ把握すれば
      楽なもんよ。
 
 とはいえ、この手の仕事でさえも、あっ、この単語を入れたら一気に話が膨らむから却下しよう、とか選択肢の回避を行うのだ。創作、しかも複数の恋愛となったらこんなものじゃすまないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )いわゆるハーレムものは
\‐   読者の多様な好みに
     応じる一方で、
     最終選択をすれば
     読者の要望に応じきれない
     これはジレンマですね
 
  (‥ )本来、創作ってそういう
      ものなんだが、
      そういうことなんだよね
 
 ふと、思った。それを考えれば絶望先生のラストは、あれは、理想的かつ、画期的だったのか。
 
  (‥ )あれって、どこで
      読み終えるか次第だけど
      最後はすべてのヒロインが
      ひとつに融合する話だろ?
 
 ∧∧
( ‥)そうかもしれないけど
    ものすごく誤解を招く
    言い方だよね。
 
 すべてのヒロインを選んだが、それでもなお、選ばれたヒロインはすでに実在しないただ一人だけ。クラスメートたちであるにも関わらず、集合名詞であることをやめ、皆が単一の固有名詞となった世界
 
 ∧∧
( ‥)あなたならどうします?
 
  (‥ )残った部分を
      なんとかかき集めて
      可能な限りなことを
      したのだが、結果的に
      俺の知らない娘が出来た
      とか?
 
 ∧∧
( ‥)...どうすんだよ
 
  (‥ )強く生きろ、愛をはぐくめ
      としか言えんなあ。
      
 
  

追加の釘バット

 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
  ( ‥)うん、下描きは
    ‐□ 出来た。
 
 ∧∧
( ‥)お疲れモード?
 
  (‥ )過労死できない
      ぐらい疲れた感じ
      なんだろね?
      夏バテかね?
      それとも歳か?
      いやだね歳をとるのは
 
 ∧∧
(‥ )過労死って体力ないと
\‐   出来ない感があるよね
 
  (‥ )突っ走って神経と
      肉体を破壊するのが
      過労死だというのなら
      それをするには当然、
      体力が必要でなあ、
      なんか今、無理。
      なにもかも無理。
 
 ああ、そのことを踏まえて思うに、私の旦那は、僕のパパは元気だから大丈夫だ、とか馬鹿なことを考えて一生後悔するぐらいなら、取りあえず、職場にバットを持って押しかけ、一撃して連れ帰る勢いが必要。
 
 あと、釘バットが必須。
 
 ∧∧
( ‥)なぜ追加で、
    しかも釘バット?
 
  ( ‥)真面目なことを言う
    ‐□ カマトトぶった上司や
      同僚を始末するのに
      必要だろう?
 
 割れないように、釘を打つ前にバットには針金を巻くように。WW1の塹壕戦な感じで上司の顔面と後頭部に叩き込め。共犯者を始末する。これは御心に従う行いぞ。すべてに許しが与えられるだろう。
 
      

2013年8月25日日曜日

精神論は物書きのごまかし

 
 hilihiliのhilihili: 滅びゆく世界の続き
 
 ∧∧
(‥ )ローマ帝国の西半分の放棄
\‐  これって究極的には
    3世紀後半の
    ディオクレティアヌス帝に
    よる四分統治が起源ですかね
 
  (‥ )この人、最後の
      キリスト教大迫害を
      したから、すごく悪く
      書かれているんだよな
 
 四分統治。実際にはあくまでひとつの帝国で指導者が4人いる体制だったから、四帝統治と表現する人もいるけども。
 
 ともあれ、どこで読んだか、宮廷が四つに増えたから財政がさらに苦しくなった。そういうことを言った人もいたっぽい。
 
 ∧∧
( ‥)? でも宮廷って
   今で言えば内閣と官僚を
   兼ねたものですよね
 
  (‥ )問題を抱える帝国を
      統治するには必要な措置に
      見えるけども、そこんとこ
      具体的な資料は残って
      いるのかね?
 
 時々思うけども、いつの時代も王様とその取り巻きは、放漫財政を行った、欲深い浪費を行った、そう批判されるものだけど。
 
 ∧∧
(‥ )今の時代よりもそれは
\‐  やりやすかったし、
    派手に横流しや着服が
    行われたのは確かなの
    でしょうけどね。
 
  (‥ )もっと後の、
      ビザンチン時代に
      あったよね。
      皇后がその特権を利用して
      貿易を牛耳って不当に
      蓄財をしているのを
      知った皇帝がマジ切れして
      皇后の輸送船を破壊する話
 
 これは、少なくともある時点からはローマ帝国において、国家のトップに立つものはそんなことをしてはいけないし、国家は皇帝、皇后、皇室の私物ではない、という意識があった、ということだけども、言い換えれば、やっちゃいけないことをする人はやはりいた、そういうことでもある。
 
 ∧∧
( ‥)でも、別に不正するために
    皇帝や皇后という役職が
    あるわけじゃないですし
 
  (‥ )ディオクレティアヌス帝に
      話を戻せばさ、
      統治者を4人、
      宮廷を4つ
      スタッフを4組作る
      それは別に不正のためじゃ
      ないよな。
 
 不正と蓄財をするのが目的ならば、例えばの話、自分一人でスタッフを4倍にして、でも世間的には16倍の予算が必要です、といって金をかき集めればいい。わざわざ統治者の数を自分以外に増やす必要などない。
 
 ∧∧
(‥ )どうしてもそれが必要だった
\‐   そういうことですよね
 
  (‥ )帝国の初期に対して
      後期は運営スタッフの
      数が増えるってことは
      処理すべき案件が増えた
      ということだよね
 
 ∧∧
( ‥)行政サービスが増えた
    というわけですかね?
    軍隊の維持費はしばしば
    やり玉に上げられますよね
  
  (‥ )蛮族は国境外から略奪に
      侵入してくるから
      それを撃退したり、
      あるいは国境外に逃げた
      蛮族に報復したり、
      そういうことをずっと
      やっていたみたい。
 
 そういう状況なので、軍団の性質も仕組みも、元首制(つまり帝政の初期)の頃とはずいぶん違ったものになっていたそうだ。個々の部隊の規模が小さくなって国境線に張り付いていたらしい。そして当然、防衛のために軍隊を維持する以上、そりゃあ金もかかるだろう。そしてこれは現代で言う行政サービスに他ならない。それに軍隊のやることはそれだけじゃなかったみたいだし。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると運営スタッフが
\‐   増えたり、財政が厳しくなる
     のは当然でしょうね
 
  (‥ )それを踏まえてなんとなく
      「ローマ帝国の没落」
       チェインバース編を
       読み直したら
       歴史家アンミアヌスの
       指摘が目に入ったよ
 
 曰く、378年、ゴート族との戦いでローマ軍は大敗、ヴァレンス帝戦死。この時代の歴史家アンミアヌスはローマ衰退の原因は道徳的退廃だと述べたそうだ。
 
 もちろん、この見解を引用したチェインバースは、軍事的敗北と不道徳は関係ないっしょ と否定的に指摘しているのだけど。
 
 *ちなみに「古代ローマの戦い」の著者であるゴルズワーシーも、この敗北は軍団の質的低下を示すものではない、とpp231でコメント。

 **ただし、軍団の性質が変化していたので、相互支援の経験がなかったことも指摘している=>pp205 
 
 ***詳細や原論文、一次資料などはまだ未読。
 
 ****ついでにいうとヴァレンス帝が大敗したからといって、ローマ帝国(この場合は東ローマ帝国)の国境線が一気に後退したとか、国が瓦解したとか、そういうことが起こったわけでもない
 
 ∧∧
(‥ )人間って、うまくいかないと
\‐   すぐに道徳的に退廃した、とか
     初期の理想を失った、とか
     言い立てますよね
 
  (‥ )そしてリーダーが
      運営スタッフを増やして
      対応しようとすると、
      今度は
      宮廷を4つも増やした、
      散財だ、散財だ
      って言うのな。
 
 ∧∧
( ‥)結局、物書きって運営経験が
    ないから、言う事、書く事、
    精神論で、
    しばしばハチャメチャだよね
 
  ( ‥)政権交代すればなにもかも
    ‐□ うまくいきますみたいな
       煽りをかきたてて
       大失敗したのも
       つい最近の話だしなあ
 
 それを考えれば、どう運営して、どれだけ金がかかるのか? それを知る事、これこそが物書きにとって大事だということなんだろう。
 
 確かに、精神論は実のところ、ごまかしでしかないのだ。金の計算をしなくても文章をどんどん埋められる、という点において、それは物書きにありがちなごまかしでしかない。
 
 ∧∧
(‥ )でもそこを越えるのも
\‐   また難しいのですよね
 
  (‥ )そうなんだよねえ。
      疲れちゃうよねえ。
 
 
 


滅びゆく世界 放棄された帝国

 
 ∧∧
( ‥)つまり? 
 
  ( ‥)そうねえ、
    ‐□ 末期ローマ帝国が
       魅力的なのは
       あの必死さだよな
 
 貨幣の価値が暴落し、商品価格を制御しようとしてうまくいかず、ゲリラ戦をしかける蛮族に対抗するために軍団を調整し、膨らむ予算と、それに必要な税金を集めるために義務と法律を増やし、国家を統制するイデオロギーとしてキリスト教を使用する。まさに満身創痍の姿。
 
 ∧∧
(‥ )でも末期ローマ帝国とは
\‐   言うものの、
     そう名指しされる
     3、4世紀以後も
     帝国は存続しますけどね
 
  (‥ )ローマ帝国が滅びたのは
      1453年の5月29日、
      コンスタンティノープルが
      陥落した時だからな
 
 それを考えれば3、4世紀なんて、実は帝国の末期でもなんでもない。否定的にとらえられる軍人皇帝時代だって、ああいう規模の内乱は共和制の終わりにもあったわけだし、あれをさも致命傷のように言うのはさてどうか? 事実、あの時代で帝国が大崩壊したわけでもない。名だたる皇帝の蛮族に対する敗北と敗死も、それ自体は大変なことだが別に珍しくもないとも言える。軍団が大敗、戦争指導者(古くは執政官)が戦死だなんてローマじゃよくある話だ。会戦による大敗でローマの国境線が一気に後退しただの、国が滅びただの、そんなことはやはりなかったわけだし。
 
 *むしろ大敗北が即、国境線の後退を招いたっていうと、それって末期ローマ帝国とやらよりもずっと後の話。7世紀にシリアでイスラームに敗北した時と、11世紀のマンツィケルトの戦いでセルジュク・トルコに大敗を喫した時じゃね? という意味で。
 
 ∧∧
(‥ )結果的に言うと、
\‐  いわゆるローマ帝国の滅亡とは
    領土の西半分を放棄する
    ということなのですよね
 
  (‥ )帝国の西方。
      つまり西欧世界の放棄。
      第四紀のことを知っている
      人からすれば、
      これが意味することは
      ほぼ明白だよね。
 
 つまり、帝国の滅亡とやらは人為的なことが原因ではない。そういうことになる。そして、人智でこの不可抗力に抵抗することなど出来ないということは明らかだ。西半分の放棄は当たり前だとも言える。
 
 ∧∧
(‥ )具体的にはそれが
\‐  どう影響したか
    そこですかねえ
 
  (‥ )貨幣価値の暴落
      軍隊の維持費や人件費
      分かっていない部分が
      多いみたいだけど、
      こう一回りして
      見直すと、
      やはり興味深いし、
      まったく他人事では
      ないよねえ。
 
 ∧∧
( ‥)帝国の西半分の放棄、
    これってあなたがたの世界の
    未来でもありますよね
 
 
  ( ‥)僕らは地球の植生をすべて
    ‐□ 破壊し、耕地をやせさせ
      二酸化炭素を排出し、
      環境を激変させる一方で
      人口を極限まで
      増大させようとしている
      真っ最中だからね。
      まさに狂気のさただ
 
 ∧∧
(‥ )しかも、ローマ帝国と違って
\‐  あなたたち、逃げ場ないよね
 
  (‥ )今度は地球全体だからね
      どっか放棄して、
      問題解決とはいかない
      次に何が起こるかも
      予測不可能だし、
      どうにもならんな。
 
 そういえば、ネットで見たなあ。嘘か本当か知らないが、戦争シミュレーションゲームで延々とプレイを続けたのは良かったが、核兵器戦で環境はずたずたになり、人口は急減し、しかし、三つの国家が完全な三すくみ状態で、戦争を止めて環境を戻す事も、勝利を納めて平和をもたらすこともできない。そんな状況がゲーム内で何世紀も続いてしまい、しかもどうにもならない、という話。
 
 ∧∧
( ‥)たかがゲームと
    笑い飛ばせませんね
 
  (‥ )なんかさ、技術革新が
      起こるんだから、
      そんなゲームの話なんて
      バカバカしいって
      一笑にふす人もいた
      みたいだけどさ
 
 実際には、技術革新というのは母集団がでかくて、知識の伝承が安定的に行われる状態でないと起こし得ないか、あるいは速度が恐ろしく落ちてしまうんである。つまりこの問題は通常の問題とは少し性質が違う。解決すべき問題、それそのものが拡大するに従って、解決方法が編み出せなくなるという問題を抱えている。
 
 ∧∧
(‥ )どっかの時点で、あなたがたの
\‐   文明は手の施しようが
     なくなりうる。
     そういう可能性を示唆して
     いますよね。
 
  (‥ )ブレークスルーを
      起こせない場合、
      僕らの文明は
      それこそゲームのような
      状況に陥るだろうね
 
 そうだ、こんな話もあったというじゃないか。
 
 原発って、結局、お湯を沸かしているだけだというじゃないですか?? がっかりしました、という意見。
 
 ∧∧
( ‥)...どんだけ夢を見ているのだと
 
  (‥ )僕らの文明と科学力、
      技術力がどれだけ
      地を這いずっているか
      石油という唯一成功した
      太陽エネルギーに
      代わるものとしては現状
      核分裂しかなく、
      その核分裂でさえ
      星の残り火を使っている
      という事実。この現実を
      見ていない発言だよね
 
 お湯沸かしているだけって、じゃあ、一体全体、あれをなんだと思っていたんだよ? 僕らの文明がどれだけ危うい基盤に立っているか、まるで理解していないじゃないか。
 
 たぶん、こういうことを言ってしまう人は、石油と石炭が唯一現実的に成功した太陽エネルギーで、水力も風力もそれよりはるかに下位ではあるが太陽エネルギーだ、ということすら理解していないんだろう。それを考慮すれば、太陽光発電だなんて、悪い冗談でしかないが、それを知らねば、安易に夢と踊るのだ。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると末期ローマの
\‐  あの苦闘ぶりは、
    他人事ではありませんね
 
  (‥ )なんかさ、蛮族の侵入
      軍団の大敗とか、
      そういう派手な事に
      みんな注目するけども、
      深刻なのってむしろ
      そこじゃないよね
 
 そして、彼らの必死さは、これがもう素敵に絶望的だ。税金が上がるだの、低賃労働者を束縛するだの、過労死する人が出るだの、対ゲリラ戦に軍団が特殊化するとか、宗教に頼るとか、笑うに笑えない。だが、そこがいい。
      
 

2013年8月24日土曜日

さあ、受け取れ、君を肯定する偽りの理論を

 
 日付も変わり、散歩に出たのはいいけども、こんなに降ったっけ? と違和感を持つほどに雨上がりの道はびしょ濡れで、冷えた分、大気は猛烈な湿度で渦巻き、森に入れば、通り雨のごとく水滴が始終垂れてくる有様。
 
 ∧∧ てっしゅー
( ‥)
 ‐( ‐ ‐)うおー
 
 さて
 
 以前、こんな人がいた。
 
 彼は家が嫌いだった。彼に言わせると彼の父親は暴君であり、母親はエゴの怪物だった。
 
 ∧∧
( ‥)でも実家住まいだと
 
  ( ‥)なぜ家を出なかったの
    ‐□ だろうな?
 
 何も出来ないくせに制作の現場に一枚噛みたい人は驚くほどいる。

 これはネットで見かけた言葉だけども、これを見て読んで、真っ先に思い出したのは彼だった。
 
 ∧∧
(‥ )絵も文章もいまいちで
\‐   僕なんかがやっても、と
     言って具体的な仕事を
     避ける割には
     企画の口出しは積極的に
     するんですよね
 
  (‥ )ご本人は参謀のつもり
      なんだけど、
      提案は理想論だけでな
      主張はもっともだから
      最初は聞いているけども
      だんだんみんなの目が
      険しくなるのよね
 
 彼は、マルクス主義者でもあった。いや、こう言うと不正確かもしれない。資本論を読んだ事はないが、マルクス主義が語る理想論に傾倒していた...
 
 ∧∧
( ‥)とっ、言うよりも
 
  (‥ )単にね、
      彼は社会が
      憎かったのだよね
 
 もしかしたら、もっと単純な話で、家庭が、親が憎かっただけなのかもしれない。でも行き着く先は同じだったのだろう。こんな性格、姿勢で社会を切り抜いていく事などできやしない。そうなれば彼が自分の家と家族を越えて、社会を憎むのは必然。
 
 ∧∧
( ‥)彼にとってマルクス主義は
    憎い現実世界にとって変わる
    ユートピアを与えるもので
    あったのだと?
 
  ( ‥)アメリカは親父の
    ‐□ ようだから嫌いだ、
      と言っていたし
      彼にとって資本主義は
      競争どころか
      自立を強制する
      悪魔の手先に
      見えたみたいだよ。
 
  彼の資本主義嫌いはなんのこっちゃない。現実がいやだ、というだけの話だったのだ。
 
 ∧∧
( ‥)金が無いなら無いなりに
    金がないなら金集めを
    時間が無いなら無いなりに
    時が無いなら時を集めよう
 
  ( ‥)しかし彼はそれが
    ‐□ 出来なかった。
      現実を制御できない彼は
      必然、恨みと挫折と
      怒りと不満と、
      そしてマルクス主義が
      保証する、かなわぬ
      夢に成り果てたのさね
 
 そうねえ、そういう意味では、現実に不満があるなら自分を変えろ、という主張はまったく正しい。
 
 ∧∧
( ‥)そういうことを言うと
    現実の欠点を変えねばならない
    はずだのに、自分を変えては
    現実の問題は永久に
    解決できないではないか!
    そう怒る人がいますよね?
 
  (‥ )それは現実を変える方法を
      すでに手にしている、
      そのことが前提になって
      いるよね。
 
 だが、そうでなかったら、どうする?
 
 いや、なお悪いことがある。
 
 現実を変える方法、とは、現実を妥当に記述している理論、ということなのだけども...
 
 ∧∧
( ‥)現実を記述する理論
    それ自体が
    自分が望む変化と道を
    許していない場合がある
    この時、どうするか?
 
  (‥ )二つしかね、
      道がないんだよ。
 
:理論が禁じている以上、自分を変えて理論が許す選択肢で打って出るしかない
 
:現実を記述する理論ではなく、自分にとって都合の良い偽りの理論を採用し、間違っているのは現実であると世間を呪いながら夢にすがる。つまるところ文句と口先だけで何もしない。
 
 ∧∧
(‥ )彼が選んだのは二番目の道
\‐   でしたか
 
  (‥ )そしてそのまま業界から
      消えたけどもね。
 
 まあ、そんなに悪い人生ではないだろう。親が死ねば遺産を手に出来るし、家も手に入る。実際、もうひとつの道を選んでがむしゃらに走り続け、社会を切り抜き続けても、疲れる時は疲れるし、死ぬ時は死ぬのだ。
 
 彼は確実な幸せを選んだ。世の理不尽を嘆くことで悦に至る道を選んだ。それだけの話で悪いことではない。
 
 そして思うに、そんな連中はいっぱいいるんである、特に、頭が良いと自画自賛、自負するが、本当の意味でのエリート、つまり国家官僚になれなかった連中。学歴はご立派だが実際には落ちこぼれである連中の中には、これがいっぱいいるのだ。
 
 ∧∧
(‥ )...あまり言いたくないですけど
\‐  あの人、韓国とか中国に
    強い親近感を持ってましたよね
 
  (‥ )単純にあの文化のここが
      好きだ、とかなら
      いいんだけどね。
      中国はおもろい国だし。
      だけどさ、
      そうじゃないんだよな。
 
 彼は家が憎かった。社会が憎かった。自分をほめてくれない日本が嫌いだった。

 だから社会と日本を否定する人がいる。これだけでも、ずいぶんと救われていたのだと思う。少なくとも、反日を語る彼の表情と言葉はそんな風だった。思うに、自分の独りよがりの復讐のため、反日に大喜びする人間はこれまたいっぱいいるんだろう。ただ、それは現実からの個人的な逃げでしかなかった、それだけの話であった。

 
 さあ、だから受け取れ、君を肯定してくれる偽りの理論を。さすれば幸せの世界に羽ばたける白き大きな翼を授からん。
 
 
 ∧∧
( ‥)つまりやるべきは
 
  (‥ )この世の幸せ、
      そのことごとく
      すべて滅ぼすべし。
 
 夢を殺し尽くさねば世界は破滅するだろう。
 
 

2013年8月23日金曜日

雲の血管

 
 すっかり夜になった帰り際、雨がぱらつく曇天の西空を雷が幾つも走るのを見た。分厚い雲の奥の方でも放電が起きているのだろう。鈍く輝く雲を次々に飾る電光は、まるで内臓をうねる光の血管のよう。
 
 10秒程度してからだろうか。ごろごろごろごろと鈍い音が聞こえてきた。
 
 ∧∧ なんかずっと鳴ってるね
( ‥)
 ‐( ‥)光っていた時間より
      ずっと長いねえ
     
 
 30秒近くは鳴っていただろうか
 
 ∧∧ 家についちゃいました
(‥ )
 ‐( ‥)見えないだけで、
     雲の向こうでは
     中でずーっと放電して
     いたってことかな?
 
 ここ数日、神奈川中央は気温自体はやや下がったものの、湿度が妙に高く曇りがちで、空は不安定である。
 
 
 
 

遺伝子本質論、テラワロス

 
 ∧∧
( ‥)なんか仕事はかどらないね
 
  ( ‥)描いても描いても
    ‐□ 終わらなくてな
 
 プラトンの本は、また今度読む事にしよう
 
 ∧∧
( ‥)あなた、プラトンさん
    嫌いだねえ
 
  ( ‥)あの人の文章さあ
    ‐□ 5分の1か10分の1に
      圧縮できるよね。
 
 同じソクラテスの弟子でもクセノフォンとはえらい違い。
 
  (‥ )クセノフォンはいいよ
      簡潔で具体的で
      よくまとまってる
      クセノフォンの語る
      ソクラテスはかっこいい
 
 ∧∧
( ‥)まあねえ
 
 そういえば
 
 ∧∧
(‥ )学会は28日からだけど
\‐   今年はパスですか
 
  (‥ )〆切の真っ最中だからね
      今、日時をとられるのは
      致命的だ。
 
 明け方、オリオン座が見える頃に学会の季節がやってくる。ああ、しかし、疲れたよ。
 
 さて
 
 人間は幾つかの前提を無自覚に持っており、それをほぼ無条件に行使する。
 
 科学に関してはこんな感じ、たぶん。
 
:科学理論は3年か5年で変わる
 
:新しい仮説の方が古い仮説よりも正しい
 
:遺伝子を調べるとなんでも分かる
 
 ∧∧
( ‥)どれも間違いですよと
 
  (‥ )理論が3年か5年で
      変わるのなら、
      ケプラーの法則
      万有引力の法則
      メンデルの法則
      相対性理論
      量子論を今でも
      使っているのはなぜか?
 
 新しい仮説が古い仮説より正しい、というのなら、これまでにない理論を今すぐ発表すれば既存の仮説を破壊できることになるが、そうか?
 
  ∧∧
 ( ‥)そうであるなら理論は
     3年か5年でころころ
     変わるでしょうね
 
  (‥ )だがそうではない
 
 遺伝子を調べるとなんでも分かる、というのなら、なぜ遺伝子を解析した結果がお互いに矛盾する結果になるのか?
 
 ∧∧
(‥ )たぶん、遺伝子は生物の
\‐   設計図であり
     生物の本質である
     本質を見れば本質が分かる
     本質が分かれば真実が分かる
     そういう発想でしょうね
 
  (‥ )まあ気持ちは分かるけどさ
      残念ながら人間は
      塩基配列の類似しか
      見てないんだよね。
 
 遺伝子が本質であるとしても、本質がどう振る舞うのか? それは本質とやらを見ただけではわからない。当たり前の話だが、本質は”本質の振る舞い”とイコールではない。
 
 ∧∧
( ‥)塩基の置換とその挙動は
    確率的に分かっては
    いるんですけどね
  
  (‥ )問題はさ、確率的に
      分かっている、というのは
      妥当な仮説を発見する上で
      非常に重要なことだけど
      それは統計的な問題と
      からまるってことでも
      あるんだよな。
 
 大データを扱った時、それが必然的に何を結論するか、何を与えてくるのか、それをちゃんと検討したことがあるか?
 
 ∧∧
( ‥)それを踏まえてね、
    論文を振り返った時にですよ
 
  (‥ )なぜ少なくとも外見上は
      非常に手堅い結論として
      提出された論文の結果が
      互いに矛盾するのか?
      これは見過ごせないよね
 
 もちろんこれは、遺伝子が駄目だだの、だから科学に限界があるだの、そんな上っ面で間抜けな話じゃない。
 
 これを見た時に気づくべきなのだ。自分たちは必然的でやばい領域に足を突っ込んでいる、明らかに遠雷が響く領域に立っている。そういうことに。
 
 ∧∧
(‥ )それを書かねばならんと
\‐
 
  (‥ )次の次だけどね
      なんかさあ、
      荷が重いのよね。
      学会もいけないし、
      いつも思うけども
      良い事のない
      人生だったなあ...
 
 
 
 

2013年8月22日木曜日

もう空母は持てないって未来も

 
 ∧∧
(‥ )そういえば22DDHは
\‐  「いずも」と命名されたの
     でしたっけね
 
  (‥ )ヘリコプター護衛艦
      あれを空母、空母って
      言う人いるけど、
      冗談の人もいれば
      本気の人もいるの
      だろうなあ
 
 動く滑走路だかヘリポートだかが出来ました。じゃあ後はそこに戦闘機を乗っければ空母です。
 
 なんてことがあるわけもなし。
 
 ∧∧
(‥ )それで空母だというなら
\‐   プラモデルと
     同じのりですね
 
  (‥ )中国はすごーくでっかいの
      作ろうとしてるって話が
      出てきたけども、
      あれかね? 中国の人は
      真面目に空母を作る気が
      ないってことなのかな?
 
 *船の運営、飛行機の運営、パイロットの養成と訓練、整備士とか色々な人を育てて運営のノウハウを蓄積する。そういうことを考えると、いきなりでかいの作るってのは、少なくとも素人目には無茶無謀に見えるので、個人的には、本気で空母を作る気あるのかな? と疑問に思うという意味。
 
 **もちろん、こうした素人の疑問がどの程度妥当なのかは要検討。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、中国の人が空母を
\‐  持ちたい、という気持ちは
    分かりますよね
 
  (‥ )昔と違って輸入に頼る
      部分が大きいとなるとな
      生命線を防衛するには
      東南アジアから
      インド洋へ出る道筋なり
      なんなりを確保しないと
      いけないからね。
 
 とはいえ、アメリカに対抗するのは厳しかろう。しかも、日本、フィリピン、東南アジア諸国、インドなどがいるわけだし。
 
 ∧∧
( ‥)日本は空母を持つの
    ですかね?
 
  (‥ )どうなんだろうね?
      アメリカが縄張りを
      張っている以上、
      そこまで装備を
      拡張できるかね?
 
 日本が空母を持つとしたら、単純に考えて、アメリカがインド洋や東南アジアから手を引いた時だよねえ。つまり、アメリカを日本が置き換える。そういう事態。
 
 ∧∧
( ‥)...それってどんな状況よ?
 
  (‥ )さあ?
      ロサンゼルスで未曾有の
      大地震が起きて、
      イエローストーンが
      歴史上最大の大噴火を
      起こして、
      隕石がワシントンと
      ニューヨークに落下し、
      アメリカだけが
      大衰退するとか?
 
 もっとありうるとしたら、何世紀も先。アメリカがゆったりと衰退し、その勢力圏は太平洋の東半分と大西洋の西半分、および中米にまで後退した、そんな未来。地球が地域大国によって分割されている。そんな状況。
 
 ∧∧
( ‥)でもさ、そこまで時間が
    経ったら、兵器の体系も
    変っちゃってるよね
 
  (‥ )空母が無くなっている
      かもしれないよな
 
 意外と、日本が空母を持つことはもう無いのかもしれない。ふと、そんな可能性も考える。
     
 

実在するという定義を殺せ

 
 こんな指摘を聞いた。
 
 今の学生は試験で物理を選ぶ。つまり論理と演繹で解ける分野を選んで点数を良くしようともくろみ、化学や生物学をとらない。
 
 ∧∧
( ‥)そんなもんなの?
 
  (‥ )いや、俺はもう
      学生じゃないから
      分からん。
 
 だが、これが仮に事実だとしたら
 
 ∧∧
(‥ )論理と演繹だけで
\‐  問題が解ける、
    そう考える人が増えるって
    ことなんですかね?
 
  (‥ )それは困るなあ。
      化学や生物学、地学、
      これらの危機だね
 
 まあ、でも考えてみれば、昔も今も、生物学や進化学や地学のことを全然理解できない人はごろごろいたか。
 
 ∧∧
( ‥)分類学の立場から進化学や
    ダーウィニズムに反対する
    人もいるくらいですから
 
  (‥ )分類学って実は論理的、
      あるいは演繹的なんだよね
      実際にはなんちゃって
      論理学なんだけどさ
 
 定義、理屈、結論
 
 種の定義を行い、分類階級を割り当て、理路整然と体系づけて、これがなければ生物学は成り立たない、これぞ生物学の基礎であると理論武装して結論を申し述べる。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、確かに分類を知らないと
   整理された資料がどこにあるか
   分からなかったりするし、
   分類の根拠と記載論文と標本を
   知らないと、生物の同定も
   できませんからね
 
  (‥ )もっとも、その手の主張は
      本当なら、
      認識と資料の整理は
      科学の第一歩ですよ
      という、それだけの
      主張でしかないんだがな
      そしてそれだけなら
      別にいいんだけどね。
 
 だが、どういうわけか、こっから論理的な飛躍を平気でする人がいるんである。
 
 曰く、ゆえに分類学は科学だ
 
 曰く、ゆえに分類は実在する
 
 ∧∧
( ‥)認識と整理が必要である
    だから科学である
    その理屈が通るのなら
    事務作業や予算の折衝も
    科学そのものである、
    ということになるでしょうね
 
  (‥ )認識できるし、
      説明に必要だ
      ゆえに実在だ
      というのなら、
      天使や天球やエーテルが
      実在することになるからな
 
 科学に必要=科学である、ではないし、説明に必要=存在する、でもない。
 
 理路整然だと本人が信じ込んでいる主張の中には、とてつもない理屈の飛躍がある。
 
 だが、しばしば人間にとって、論理とはこういうものなのだ。
 
 ギリシャのプラトンが定義、定義と熱心に定義したように、人間はどういうわけか定義と論理さえあれば真実に安住できると思い込んでいる。
 
 実際にはそんなもの、なんちゃって論理でしかないのだけども、言い換えれば、それこそが皆が望み欲する論理そのものなのだと言える。
 
 論理と言いつつ、その実体はなんちゃって論理。だが、それが皆の論理なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)論理と演繹しか知らない人が
    増えたら、こういう
    問題が増加すると思います?
 
  (‥ )可能性は、あるだろうな
 
 もちろん、そうだとして状況がどのくらい変るのかは分からない。影響があるかもしれないし、人間というものはプラトンの時代から元々おかしかったのだから、おかしいままで、別にこれまでと変化ないのかもしれない。
 
 しかし、どっちにしても問題の根は深い。定義と論理、そこから得られた結論は真実なり。この論法だと、連続体や定義のしようがないものを理解できなくなる、という事態が生じる。
 
 ∧∧
( ‥)例えば進化やダーウィニズムが
    理解できなくなる
 
  (‥ )反対にさ、素人受けがいい
      トンデモ進化論ってさ
      どれも
      定義を真実だと断言した
      理論なんだよね。
 
 種社会がある、と言った今西進化論
 
 種淘汰がある、と言ったグールドの断続平衡説
 
 種のために、と言ったルイセンコ主義者
 
 以上、どれもこれも、種という定義を真実とみなしてそこから出発したものである。
 
 これらは、ダーウィンが種を抹殺したところからスタートしたこととはまったく逆であって、しかし、種という定義からスタートするからこそ、この手のトンデモ理論は演繹主義者や論理主義者には受けがいい。
 
 ∧∧
( ‥)状況は悪化するかもしれない
 
  (‥ )しれないねえ、
      だとしたらやるべきは
      ひとつだ
  
 実在するという定義を殺せ
 
 ∧∧
( ‥)定義=実在、ではない
 
  (‥ )そこだね
 
 
 

2013年8月21日水曜日

攻撃の右手を左手がつかんだ時、事態は膠着状態に陥る

 
 打ち合わせから帰る。
 
 ∧∧
( ‥)なにしてるの?
 
  ( ‥) 最終回で並みいる
    ‐/ ライバルの女の子たちを
       ことごとく蹴倒して
       妹が実の兄である
       主人公を
       ゲットするという
       アニメがあったそうで

 
 ∧∧
(‥ )ああ、有名なラノベを
\‐   アニメ化したものじゃ
     ないですか
     タイトルの秀逸さで
     インパクトを与えた
     作品ですよね
 
  (‥ )最終回では彼をめぐって
      幼なじみと妹の
      ガチバトルを拝めると
      聞いた。
 
 幼なじみは眼鏡ちゃん。結ばれた妹は金髪ちゃん。
 
 ∧∧
( ‥)なんか知らないけど、
    アニメ化された最後の三話は
    ネット配信されているから
    我が家でも最終回は
    見れるわけですか
 
  ( ‥)おー、組み合った女の子が
    ‐/ お互いの髪をつかんで
       殴り合いですよ、
       殴り合い。
 
 眼鏡ちゃんと金髪ちゃんによるパンチの応酬。
 
 そういえば、20年あまり前、ここまではいかないものの、これに近い場面を現実で見たことがある。
 
 駅前の商店街で、真っ昼間から右手で互いの髪をつかみ合い、左手は自分の髪をつかんだ相手の右腕をつかみ、その姿勢のまま、膠着状態で動くに動けぬお水っぽいお姉ちゃん二人。
 
 行き交う通行人は自分も含めて、老いも若きも、すれちがいざまにチラリと見るのみ。
 
 ∧∧
( ‥)...なぜ止めない
 
  (‥ )こえーよ、
      止められないよ。
      だいたい事情も
      知らないしさ
      介入する理由もない
 
 一体全体、何があったのやら。
 
 ∧∧
( ‥)あれが殴り合いに移行すれば
    このアニメのこの場面になる
    ということですか。
 
  ( ‥)しかし、このアニメの場合
    ‐/ 眼鏡ちゃんが右手で
       金髪ちゃんが左手で
       相手の髪を
       つかんでるのな
 
 次に、眼鏡ちゃんが髪をつかんでいた右手を離して金髪ちゃんの顔面に先制パンチ。
 
 ∧∧
(‥ )ああ、でもあれですね
\‐   眼鏡ちゃんの左手は
     金髪ちゃんの
     襟首をつかんでるから
     相手の回避行動は封じている
     わけですね
 
  (‥ )だが、実のところ
      眼鏡ちゃんはその左手で
      金髪ちゃんの右手を
      押さえるべきだったのだ。
     
 パンチをくらった金髪ちゃんは、自分の襟首をつかむ相手の左手を押さえていた右手を解除。いまやフリーハンドとなった右手を使い、反撃の右顔面パンチを眼鏡ちゃんに叩き込む。
 
 ああ、眼鏡ちゃんが押さえておくべきは相手の右手だったのだ。もちろん、同じことは金髪ちゃんにも言える。
 
 ∧∧
( ‥)あなたが見た現実の
    ケースでは
    お互いに右手で相手の髪を
    つかみ、
    その右手を自分の左手で
    押さえていた。だから
    膠着状態だったと
 
  ( ‥)人間って、どの文化圏でも
    ‐□ 右手が攻撃、左手が防御
      なんだよね、多分、
      そのせいじゃないかな?
 
 これを踏まえると、もし、金髪ちゃんが左手で相手の髪をつかむのではなく、右手で相手の髪の毛をつかみ、そしてお互いが自分の左手で相手の右手をつかんでいたら、殴り合いになるのは多分、難しかった、そういうことなんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)右手でつかみ、左手で封じる
    その状況下では、
    攻撃を司る相手の右手を
    封じている自分の左手
    それを使えば反撃できるけど
 
  (‥ )しかしそうすると
      相手の右手が
      フリーハンドになって
      攻撃をしかけてくることが
      可能になるわけだ。
      右手が攻めなら
      それは相手に有利、
      自分に不利って
      ことになるからな。

 だとすると、離すわけにはいかない。つまり膠着状態。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると、このアニメの
\‐  この殴り合い、良く出来ている
    わけですかね?
 
  (‥ )やっぱりプロは違うね
      すばらしい

    
 
 
 
 

何も無い世界

 
 
 ∧∧
(‥ )古代人は、死んだ後、
\‐   地獄にいくことを
     本気で恐れたのですよね
 
  (‥ )現在はなんか、
      ほぼもれなく天国へ
      いくみたいね。
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )みんな薄々だけど
      気づいているんだろ?
 
 本当は、なにもないってことを
 
 
 
 

2013年8月20日火曜日

大日本帝国の終焉

 
 
 ∧∧
( ‥)どう思います?
 
  ( ‥)そうねえ、半島って
    ‐□ 経済とか、
      軍事的緊張とか
      それらを抜きにしても
      時限爆弾を抱えている
      状態だろ?
      遅かれ早かれ、
      事が起こるよね。

 ∧∧
( ‥)どうということもない
    規模かも知れないけども
 
  (‥ )でもきっかけって
      そういうものなんだよな
      そして規模がなんであれ、
      きっかけは事態を
      大きくし、流動化させる
 
 ∧∧
( ‥)流動化したら、状況は
    平衡状態に向けて
    動きだすだろう
 
  ( ‥)だとしたら、歴史的に
    ‐□ 長く必然だった状況に
       向けて落ち着くよね。
       つまり、半島は中国に
       呑み込まれるわけだ
 
 ∧∧
( ‥)単純に、それがいつ
    起こるか、ですか
 
  (‥ )もちろん、以上のような
      平衡状態を阻止する
      ことも出来るのだよね
      事実、半島では
      東西冷戦がそのまま
      残っている。
      そう言われるとは
      今がその状態だってこと
      だからな。
      そしてそれを維持して
      いるのは大日本帝国を
      継承したアメリカだ。
 
 
 ただ、それには経済的にも軍事的にも大量の投資が必要なのだろうし、アメリカにその覚悟なり、能力なり、決意なりは今どのぐらいあるの? という問題に
 
 ∧∧
( ‥)行き着くだろうと
 
  ( ‥)世界最強のアメリカ軍も
    ‐□ 規模がでかければその分、
      金食い虫になる。
      大きな組織の必然だよね
      無敵であっても、
      出来ない事がある。
      半島を維持できるのかね
 
 もちろん、半島を失うのは断固として阻止しようとするのだろう。朝鮮戦争で費やした人命もさることながら、西側の武器や技術を持った国をみすみす相手に渡すわけがない。
 
 とはいえ、これはあくまでも意気込みの話。現実として、それが出来るのか? 
 
 ∧∧
(‥ )...なんか、アメリカは半島を
\‐   放棄する決意を固めていて
     技術も資本も相手に
     渡さないために経済的に
     焦土にするつもりだ、
     という意見がネットに
     ありましたけども
 
  (‥ )そりゃあうがちすぎだろ
      典型的で頭でっかちな
      陰謀論じゃねえか?
 
 自分自身や周囲のことを考えたって、人間に深謀遠慮なんか出来やしない。人間の深謀遠慮なんてせいぜい、良い大学に入って良い会社に入る、あるいは公務員になる、国家官僚になるとか、そんなもんだ。
 
 ∧∧
( ‥)しかも、それって現状の組織や
    状況が継続するだろう、
    という前提に基づいたもの
    なのですよね
 
  ( ‥)言い換えれば
    ‐□ 事態が次の平衡状態へ
      移るという状況では
      深謀遠慮なんか
      できないってことだよね
 
 実際、仮に”半島は中国に呑み込まれる”と予測したとして、さらにそれが結果的に正しかったとする。だが、これがいつ、どのぐらいの速度で、どんな過程をへて起こるのか? そこまでは現時点では分からない。
 
 これでは深謀遠慮もなにもへったくれもない。言い換えると、そんな深謀遠慮や計画なんて無いし、仮にあっても意味がないだろう、そういうことになる。計画が立てられない深謀遠慮とはたわ言だ。
 
 ∧∧
(‥ )アメリカはどんな気なの
\‐   でしょうね。
     オバマ大統領は安倍首相を
     避けているとも伝えられて
     いますけども。
 
  (‥ )ああ、オバマっちが
      リベラルだから、
      安倍っちを嫌っていると
      解釈されている話な。
      でも、個人の思惑や好悪は
      状況には影響を与えないよ
      あるいは与えても
      無視できるレベル
 
 願えば事態が変るなんて、そんな馬鹿なことはない。リベラルだから、保守主義だから、それで世界が変ると考えるのは、悪しき心が世界を闇に変えるのです、と言っている宗教やゲームの台詞と同じだろう。


 言い換えてしまえば、次の平衡状態に至る、という大きな流れを個人の思いが阻止できるわけがない。二人の仲が良かろうが、悪かろうが、どんな思想を持とうが日米関係とやらが良好であろうがなかろうが、結果は同じだ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、遅かれ早かれ、
    アメリカは半島から退き、
    日本が最前線となり、
    日本の軍事力と
    役割が大きくなる
 
  ( ‥)今、アメリカは
    ‐□ 民主党政権で、
      リベラルな民主党は
      日本を軽視して、
      くだんの相手と接近する
      傾向がある。
      そう言われるよね。
 
 じゃあ、大日本帝国が復活するかのように、日本の軍事的な拡大はないのか? と言えば、そんなことはないんだろう。
 
 現在のような状況では、日本は、ああ、じゃあ自国のために勝手するね、という方向に動くだけだろうし、反対の共和党政権になれば、じゃあ軍事的以上の外交でも親密になりましょうか、という方向に動くだけではないのか? するとつまり、
 
 ∧∧
( ‥)ベクトルの向きは
    ぶれているけども、
    均衡状態という最終解が
    ある以上、
    行き着く先は同じだろうと
 
  (‥ )いくら最強でも、
      アメリカ一国で
      欧州の戦線や
      北アフリカの戦線、
      ペルシャ湾の戦線や
      南アジア、そして
      フィリピンから北海道へ
      至る各種戦線を
      維持できるわけが
      ないからね。
      だったら答えはひとつだ
 
 リベラルだろうがなんだろうが、東西冷戦という構図は、それこそモンゴル帝国時代から続いてきたような大きな構図なのだ。変えられるわけがない。
 
 リベラルだろうが保守主義者だろうが、軍国主義者だろうがファシストだろうがマルクス主義者だろうが、いかなる抵抗をしても行き着く先は同じだ。人間に自由意志はあっても、自由などありはしない。
 
 つまり、何がどうあれ、日本は、経済的、技術的な規模が許す限りの範囲内において軍事力を増大させる、ということになる。たぶん。
 
 ∧∧
(‥ )でもこれ、実は大日本帝国の
\‐  復活ではないですよね
 
  (‥ )大日本帝国っていうのは
      海洋を防衛ラインにする
      のではなくて、
      内陸にまで戦線を
      押し出した試みだからね
      むしろ以上のような
      歴史的均衡状態を
      崩してみせようとして、
      そして失敗した事例だよな
 
 考えてみれば、半島分断はその最後の名残だとも言える。だとすると、半島が中国に呑まれるだろう、という未来は
 
 ∧∧
( ‥)リベラルな人が恐怖し嫌悪する
    大日本帝国の復活ではなく
    むしろ大日本帝国の終焉ですか
 
  ( ‥)それを考えれば面白いよね
    ‐□ 戦前の軍国主義の亡霊の
      ように言われる安倍っちが
      このまったく新しい状況で
      支持され
      日米開戦の時と同じ
      民主党のオバマっちが
      リベラルらしく、
      これに否定的。
      これは興味深い。
 
 *実はどちらも時代錯誤なんだけども、この状況下でむしろ状況と要請に対応できているのは、結果的に安倍っちなんじゃねえの? という意味で。
 
 ∧∧
(‥ )時代錯誤でも、状況によっては
\‐   時代に支持されることが
     あると
 
  (‥ )人間の思想は色々な断片の
      集合体だから、
      手札の役は駄目だけど、
      その人が持っている
      ただ一枚の手札が
      今ここで必要なので
      支持される。
      そういうことがあるって
      ことよな。
 
 *例えばの話、ご本人は事実上の戦後世代で軍隊経験もないし、華やかな若者時代を羽振り良く過ごして、しかし今や、若者を鍛えるために徴兵制をと言ってしまう石原都知事(元)。軍隊がプロ化したこの時代にそんな時代錯誤な発言をするこの人が人気なのも、対外進出を活発化した中国という脅威のもと、その一点をこそ望まれてのものだろう(これは幸か不幸か、残念なことながら、この要請さえ別件で満たされてしまえば人気は消滅する、ということでもある)。
 
 ともあれ、本当の意味で大日本帝国が消滅する日が近いうちにやってくるとしたら、それは感慨深い。
 
 ∧∧
(‥ )オバマさんはそれに対応
\‐   できていないってこと
     なんですかねえ
 
  (‥ )状況はもう次に動きつつ
      あるように見えるからね
      そういうことじゃねえか?
 
 そういえば、ほとんど関係ないけども、アメリカが親米政権のパーレビ王朝を失ったのは、民主党のカーター政権の時だったよな。
 
 
 ∧∧
( ‥)あなたが子供の時、
    初めて覚えた
    アメリカ大統領ですよね
 
  (‥ )当時、レーガンに負けて、
      無念、と目を閉じた
      写真が印象的であった 

 
   
 

化粧に舞い上がるか、素顔に絶望するか

 
 
 日本人は勤勉で真面目であり、そして秩序を重んじる。これは嘘だ。お互いの目が気になって、同調圧力が強いだけじゃないか。
 
 という意見。
 
  (‥ )おしいよね。これは
      お互いに監視しあうこと、
      これこそが道徳を駆動する
      原動力だ。
      そういうことを示して
      いるのだけどな。
      だのに結論がおかしくね?
   
 ∧∧
( ‥)せっかくそれに気づいたのに
    道徳という上っ面の名称に
    惑わされてしまった、
    そういうことですかね?
 
 相互監視こそが道徳の根源で原動力であり、駆動力なのだ。

 見目麗しい道徳などという美名はエンジンにくっつけた薄っぺらいラベルでしかない。
 
 これは、単純な事実だ。
 
 ∧∧
(‥ )でも? みんな騙されるな!
\‐   このきれいな見た目の下は
     がたぴし言って排気ガスを
     吐き出すこのエンジンだ!
     そうあばいてみせた、
     冒頭の言葉は
     そんな感じですか?
     なんか絶望を感じますね
 
  (‥ )でも本当にやるべきはさ
      道徳って見た目は
      きれいだけど、
      これはハリボテなんだよね
      大事なのはこれ。
      そう言ってハリボテを
      取り除いて、それから
      エンジンの講習を
      始めるべきなんだけどな
 
 まあ、あれだ。かわいいなあ、と思っていた女の子が化粧を落とした。その素顔を見て衝撃を受ける、というのは分からんでもないのだけども、見るべきは化粧ではないだろう。
 
 ∧∧
( ‥)逆に言うと、お化粧も
    大事だってこと
    なんですけどねえ
 
  (‥ )困ったことにな、
      化粧を信じて舞い上がる奴
      素顔を知って絶望する奴、
      この両極端が多くて、
      エンジンの構造と性能、
      そして調整を議論する人は
      少ないんだよね。
 
 化粧をいくら議論してもエンジンの動作は調整できない。
 
 つまり道徳教育さえすれば問題は解決できる、と言っている奴は見てくれだけしか見ていない阿呆だ。キャバクラであっさり騙されるタイプ。
 
 しかし、素顔を見た時に絶望する奴は、それはそれで使えない。
 
 どっちもエンジンの構造に興味を示さないのだから、現実のコントロールなんか出来るわけがない。
 
 エンジンを見ないか、エンジンを見て絶望するか。そんな人間が、現実という機械を動かそうなどと片腹痛い。どちらも笑える冗談だ。
 
 
 ∧∧
(‥ )生物学や進化学の世界でも
\‐  道徳に関する研究は
    最近の話ですからね
    これからですかねえ
 
  (‥ )化粧に舞い上がるか
      素顔に絶望するか、
      どちらもエンジンには
      興味を示さんわけでな
      そういう意味では
      どちらさまも同じよな
      


2013年8月19日月曜日

別にラノベを読んでいても問題なかろう

 
 
 官僚や政治家は漫画を読まないことに成功した人たちだから漫画文化を擁護するわけがない。
 
 と言う意見。
 
 ∧∧
( ‥)仮にそうだとしたら
 
  (‥ )東大生とかがラノベを
      読んでいるっていう
      嘆きの声はむしろ
      福音だよね。
 
 若人よ、おおいに漫画やラノベを読むべし。そして萌え上がれ。
 
 そんなことが出来るのは若いうちだけだからね。
 
 というか、教科書を読める人間でないと漫画やラノベは読めないだろう。岩波文庫ウンヌンなんて知るか。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも実際はどうなの
\‐   でしょうねえ?
 
  (‥ )官僚はともかくとして
      政治家はむしろ
      異常者がなるもの
      だからなあ
      漫画を読む読まないの
      問題ではないだろうね
 
 ∧∧
( ‥)異常者ね
 
  (‥ )身近に政治家になりたい
      なんて奴がいるか?
      いるにしても、それが
      まともな人間だったかい?
 
 思い出せば、ごくわずかにいたそういう連中は、どれもろくでもない人間だらけだったと思う。
 
 曰く、自衛隊は違憲だからぶっつぶすんだ
 
 曰く、民衆は馬鹿だから洗脳するんだ、薬物で
 
 曰く、改革のために官僚は邪魔だ。皆殺しだ
 
 ∧∧
( ‥)...まあ、ピーだね
 
  ( ‥)なにか政治的なことを
    ‐□ したいってのは、
       なにかしらいかれている
       わけだよ。
 
 選挙という現実の前にこういうたわけた理想論は摩耗し、丸くなっていくが、それでもこんな連中から立候補者が出るのだ。政治判断にいかれた見解が混ざることは必然だ。
 
 実際、選挙ポスターを見れば、通常からは考えられないほどおかしな人間の比率が多いことは、一目瞭然である。
 
 自発的に政治家になりたいなんて、まともな人間じゃあない。まともじゃない=間違っている、ではないが、まともじゃない=ゆえに正しい、でもない。

 それを考えれば当然なのだ。
 
 漫画はいかがわしいから、これを抹殺すれば清く正しく美しい世界が実現するはずだ、そういう妄想を抱く議員が現れるのは必然だ。
 
 そして、そういう妄想を共有するのは彼一人ではない。そんな議員に投票する人間がいるのも、また必然。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えますとね
 
   ( ‥)いやでも政治家に
     ‐□ ならなければ
       いけなかった、
       二世、三世の方が
       意外とまともってことも
       あるだろうな。
       世襲制を固定化しても
       困るが、
       世襲制だから頭ごなしに
       否定、というのも
       まともな話じゃないね
       
 
 もちろん、この見解を覆すような反証例を持ち出すこともまた、比較的容易ではある。とはいえ、まあ、こんなところじゃなかろうか。直接選挙さえすれば物事が良い方向へ向かう、というのは現実的ではないし、間抜けで有害な理想論だろう。


 
 

imperfectゆえにperfect

 
 これと=>hilihiliのhilihili: 仏教徒もまた啓典の民
 
 これの=>hilihiliのhilihili: 論理をご本尊にしてはいけない
 
 続き
 
 つまり、この当時の状況はなんだったのか? というと
 
 ∧∧
( ‥)食事の席でムスリムの人と
    無神論者が議論を始めたと
 
  ( ‥)無神論者というよりは
    ‐□ 無神論教徒というか
      論理信仰者という
      べきだろうけどね
 
 神は説明に必要ない。これは感覚的には”神は存在しない”と言うに等しい。実際、そのように受け止められたことは歴史的な事実。
 
 しかし、
 
 神は説明に必要ない
 
 神は存在しない
 
 この二つは実のところ等価ではない。
 
 ∧∧
(‥ )天動説において重力は
\‐  天体の運行を説明する際に
    必要がありません。
 
  (‥ )ゆえに重力は存在しない
      そういうことになるよな
      説明に必要ないから
      神は存在しない、とは
      こういうことなんだがね
      
 
 *もちろん、まったく逆のことも言えるんだろう
 
 重力は天体の運行を説明する際に、きわめて有効なアイデアである
 
 重力は存在する
 
 この二つもまた等価ではない。
 
 ともあれ話を戻すと
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも、彼は
    神は説明に必要ない、
    イコール、
    神は存在しない、
    そう信じていた。
    それゆえに
    存在しない神をあがめる
    ムスリムは間違っている
    そう信じていたわけですね
 
  (‥ )そう信じていた、つまり
      意地悪な言い方をすれば
      無神論教徒なわけだ。
      だから、別に相手が
      ムスリムの人で
      あろうがなかろうが、
      相手がカトリックだろうが
      仏教徒であろうが
      同じことを言っただろう
      けどもね。
 
 というか、どうも言ってるらしい。
 
 そして彼は、進化論があるから神などいない、と言った。
 
 そうでしょう? とこちらに振るので、いや、進化論は神の必要性を消し去っただけだ。それが存在の否定だというのならそうだが、実際には、必要性が無い=存在しない、ではない、と答えた。
 
 するとムスリムの人は言った、進化論もパーフェクトではないはずだ。
 
 そこで答えた、いや、パーフェクトだ、なぜなら...
 
 ∧∧
( ‥)そこで、話題が変っちゃった
    のですよね
 
  ( ‥)なんというかなあ、
    ‐□ 相手が間違っているのは
      明白だから、そんな
      まどろっこしい言い方や
      説明はどうでもいいと
      言わんばかりの勢いでね
      どんどん話題を変えて
      次々に攻撃して議論を
      吹っかけるから、
      深みが出ないのよ。
 
 いや、進化理論はパーフェクトだ。なぜならimperfectゆえにperfectだからだ。そう言うはずだったのだけども。
 
 ∧∧
( ‥)理論が完全だったら
    それで終わりで、
    論文なんてもう出ないはず
    ですからね
 
  (‥ )真理なんて人間には分からん
      僕らが分かるのは
      非常に悲観的にいうと
      証拠からして
      この仮説は駄目でした、
      とか、
      これはまだ駄目でないです
      とか、
      それだけだよって話でね。
 
 ∧∧
(‥ )科学は真理を追求する学問じゃ
\‐  ないですからね
 
  (‥ )真理を追求したって
      かまわないけど、
      それが真理であるかどうか
      それを判定する方法が
      ない状況では、
      これは否定されました、
      しか分からないからね。
 
 *真理を追求するのが科学です、と言っても、真理の判定基準がないんじゃ、否定的なことしか分からんだろう、という意味。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、これは悲観的な見解で、
    楽観的に見れば
    これだけ長く検証されて
    これだけうまく説明できて
    いるのだから、
    この理論は大丈夫じゃね?
    ぐらいは言えますよね
 
  (‥ )まあ、そういう大雑把で
      なんとなーくな意味で、
      進化理論は真理だ
      と言うのは、ありっちゃ
      ありなんだろうけどね
 
 ありなんだろうけども、少なくとも本を書く時には、いかなる科学理論も、これが真理でございます、と書くべきではないんだろう。
 
 いや、書いてもいいのかもしれないが、安易にこういうことを言うと宗教と科学の区別ができなくなるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ともかくあれですね
\‐  imperfectであること自体を
    積極的に自覚している科学と
    これが真理であり
    perfectであると考える宗教、
    あるいは信仰者とは
    お互いに相容れないでしょうね
 
  (‥ )というかね、
      コミュニケーションも
      うまくいかないと思うよ
      真理、という言葉に対する
      感情や価値や意味すら
      違っているわけだし。
 
 信仰する人はこれこれは真理だと信じているから、科学者とか科学理論を支持する人も自分たちと同様にその理論を真理だと信じている、そう受け取るらしい。
 
 だが、科学者とか、あるいは科学理論を支持する人にとって、真理という言葉は非常に漠然としたもので、真理と言いつつ、壊れることもあるっしょ、ぐらいにしか受け止めていない場合が多いし、真理は宗教の用語だと言って使わない人も、もちろんいる。
 
 だから、同じ文章を正反対の意味で受け取ることさえあるだろう。
 
 
 それを考えると、神は否定された、と信じていた彼は科学には向いていないよなあ。別に科学者じゃないからいいんだけど。
 
 ∧∧
( ‥)神が存在しないことが真理だ
 
  (‥ )それはあからさまに
      宗教だからね
 
 ∧∧
( ‥)あなたには信仰がある?
 
  (‥ )俺は自分が何を
      信じているか
      それがよく分からんのだ
      判断を下す以上、
      自覚的にせよ、
      無自覚にせよ、
      なにか前提や仮定が
      あるはずだよな
      だが、それが何なのか
      把握しきれておらん
 
 
 そうだ、あの時はつたない、というか変な英語でこう言ったのだった
 
 I cannot believe I am not believe.
 
 ∧∧
( ‥)? 通じましたかね?
 
  (‥ )どうだろね
      というか、
      意味通るのか?
      オレはなんて言えば
      良かったんだ?
 
      
    

2013年8月18日日曜日

論理をご本尊にしてはいけない

 
 その人は、神なんて存在しない、神を信じるなんておかしい、そう信じていた。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、神様が存在するか
    しないのか、
    どうでも良い話なんですが
 
  ( ‥)問題は神がいないと
    ‐□ ”信じていること”
      だったな。
 
 彼にとって、神がいない、は論理的で、神がいる、は非論理的で非科学なのであった。
 
 ∧∧
( ‥)神はいる。これが非科学なら
    ダーウィン以前の科学は
    全部非科学じゃ
    ありませんかね?
 
  (‥ )全部かどうかは知らんけど
      科学から神という部品が
      消えたのは
      つい最近なんだよね。
 
 確かにダーウィンは神殺しの男であった。少なくとも科学の世界ではそうだった。そしてダーウィン以後がそうだと言うのなら、神様抜きの科学の歴史はわずか150年しかない、ということになる。
 
 ∧∧
(‥ )そしてじゃあ、
\‐  それ以前の科学が
    非論理的かというと
    どうなんでしょうね
 
  (‥ )というかね、科学から
      非論理を抜いたら
      科学なんて成立せんのよ
 
 科学には明らかに、論理では正当化できないおかしな思いつきや思い込みや経験則や突飛な発想、飛躍的解釈、根拠不明な信念が混ざっている。これを抜いたら科学なんてギリシャ時代止まりで、それ以上の発展なんかなかっただろう。
 
 そもそも、
 
 データを追加して仮説を検証しよう
 
 科学の中核と言っても良いこの動作自体、証明だの論理だのと呼べるものではない。
 
 *一体、どこの世界に新しい三角を見つけたから、三角形の内角の和が180度であるかどうか、それを改めて検証しよう、とか言い出す奴がいるだろうか?
 
 
 ( ‥)おかしなもんでさ、
     経験的に何か論証するのを
     証明とは言わないし、
     論理とも呼ばないよ?
     あるいは経験を論理や証明と
     呼ぶなら、それは一般的な
     使用方法ではあるけども、
     言葉本来の意味としては
     使い方が間違ってるよ。
     数学の時間にそんな証明を
     答案に書いたらどうなると
     思う? そう尋ねるとだな
 
 ∧∧
( ‥)そう尋ねると、その人は
    視線が遠くなって、
    それから全然違うことを
    話し始めるんですよね。
 
 明らかに自分に不都合な現実を前にしてごまかしている。そこには新しいデータに基づいて自分の考えの妥当性をチェックしよう、という姿勢がまるでない。
 
 つまり、皮肉なことなんだが、科学を信じている彼は科学の基本動作を信じていないのだ。
 
 いや、実はこれ、確かに正しい態度でもある。科学を論理的だと思っている彼は科学の非論理的な動作を理解できないのだ。
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ? そういう人が
    神様を信じる人に、
    それは非論理的だ、
    非科学だ、おかしい、と
    議論をふっかけるわけですか
 
 (‥ )ちゃんちゃらおかしいだろ?
 
 いや、それともちゃんちゃら正当なのかもしれない。単に彼の勘違いは論理=科学、というこの公式にあるのかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )でも、そういう人、
\‐  多いみたいですよね
 
  (‥ )なんかなあ、論理的に
      仕事をこなそうとか、
      そういういかがわしい
      ビジネス本や
      自己啓発本が
      あるらしいのよ、
      その影響もあるかもね
 
 論理は、いわば、文章の正しさ、しか述べていない。正しい文章で嘘をつくことが出来るように、論理自体は現実を何一つとして語っていない。
 
 論理は必要な部品ではあるけども論理だけでは意味がないし、ましてや論理をご本尊にしてもらっては、ちと困る。
 
 社内でのプレゼンを論理的にすれば勝てる、とかそう安易に申し述べる本もあるらしい。だが悲しいかな、プレゼンがたとえ論理的でも、論理は企画自体が成功するかどうか、それに関しては一切、何一つとして語ってはいないのだ。
 
 
 
 
 
      

宇宙に目的があったらその過程は理不尽

 
 
 ∧∧
(‥ )そういえば、イスラエルの
\‐   政府関係者が、
     広島、長崎の
     追悼式典を偽善、と
     述べたとか
 
  (‥ )ああ、じゃあ、次回は
      ビザの発給を
      しなければいい
 
 ∧∧
( ‥)虐殺を容認せよと?
 
  (‥ )容認はしないが
      敬意を払わないとは
      これと同じことだろ?
 
 どっちにしても神はおっしゃられるだろう。黙れ、これが私の計画だ、と。
 
 
 ∧∧
(‥ )偉大なラビがその対価として
\‐  虐殺されたことを見て、
    驚いたモーゼが抗議した際に
    神が述べた言葉ですよね
 
  (‥ )原典にはまだたどり着いて
      いないけども、あれね、
      宇宙に目的と計画と
      過程があったら、それは
      理不尽以外の何ものでも
      ないだろうからな。
      この言い様は正当だろう
      そして救いでもあるな、
      抗議する自由、
      それ自体は人間にある
      わけだからね。

 そういえば、故郷を滅ぼされて強制連行の憂き目にあったバビロン捕囚の時にも、選ばれし民であるはずの私たちになぜこのような仕打ちを? という疑問に対して、使わされた天使はおおよそ次のように言ったのである。物事には順番があるから、と。
 
 
 

2013年8月16日金曜日

パパの総力戦

 
 ある書籍の対談でアイドルの女の子が言ったという。パパが戦争に行ってほしくないと。なんかこの書籍とこのアイドルの対談での言葉、一部で話題らしい。
 
 ∧∧
(‥ )アイドルの女の子の
\‐  パパって40代ですよね?
 
  (‥ )一応、確認しようと
      図書館と本屋を覗いて
      みたけども、
      その対談が載っている本は
      見当たらなかったなあ。
  

 それにしても、40代のお父さんも徴兵しなければならない状態って、一体全体どんな状況だろう?
 
 ∧∧
( ‥)お父さんじゃないけど、
    年齢からすれば
    あなたもいくのですよね?
 
  ( ‥)どこいくのかな?
    ‐□ 船でいくにしても
      40代まで徴兵する
      ような膨大な人数を
      どう運ぶのかね?
 
 ∧∧
(‥ )人を輸送するには船や車
\‐   ガソリン、重油、電気、
     食事や水、
     機械を整備する人、
     食事を用意する人、
     トイレや風呂、衛生を
     管理する人や部署、
     さらにそれを統括する
     事務方が必要ですよね
 
  (‥ )それもそうだけど、
      オレは何を武器に
      戦うんだ?
 
 ∧∧
( ‥)AK47とかRPG7でも
    大量に買い入れます?
 
  (‥ )...どこと戦争してるの?

 
 
 とっ、ここまで考えてふと気がついた。ああ、そうか、ラミア戦争でもなんでもそうだけど、アテネ市(都市アテナイ)が総力戦を挑めたのは、戦場が歩いていける場所だったからだ。
 
 =>hilihiliのhilihili: 十分の一でしたの続き
 
 ∧∧
(‥ )確かに、都市アテナイは
\‐  海軍国でもあるけど、
    陸上で総力戦を挑めるのは
    戦場が比較的、お手軽に
    歩いていける距離
    だからですよね
 
  (‥ )昔は、というか、
      アレキサンダー大王以前の
      ギリシャは長距離遠征が
      出来なかったというしなあ
 
 ラミア戦争。都市アテナイから参陣した者。その数5000と騎兵が500。
 
 ∧∧
( ‥)人口2万の都市が出せる
    たぶん、限界ですよね。
    これぞ本当の意味での
    総力戦。
 
  (‥ )だからさ、当然、
      おっさんもいっぱい
      混ざってるはずなのよね
 
 いくら体が現代の都会人より頑丈だと言っても、しょせんはおっさんだ。それでもなお総力戦を挑めたのは。
 
 ∧∧
( ‥)歩いていける距離で、
    なおかつ武器は
    盾と鎧、そして槍
 
  (‥ )武器は安いし、
      扱いも簡単だよな。
      おっさんでも戦えるよね
      市民軍ってそういうこと
      だものな。
 
 ああ、そうか、総力戦ってそういうことなんだよね。
 
 ∧∧
(‥ )船だって、当時の経済規模では
\‐  それなりなもんですけど、
    木造だし、動力源は奴隷だし
    現在の軍艦とは比べ物に
    なりませんしねえ。
 
  (‥ )WW2の兵器でさえ、
      現代兵器に比べれば
      安上がりで、
      簡単だろうしね。
 
 それを考えると、戦争ってのはこの70年でずいぶんと変ってしまった。そういうことなんだろう。 
 
 ∧∧
( ‥)でっ、総力戦で出陣した
    ギリシャのおっさんたちは
    プロのマケドニア軍に
    破れると。
 
  (‥ )そこまで明瞭な構図では
      なかったにせよ、
      ギリシャポリスの凋落って
      基本的にはそういうこと
      だよね。
 
 素人の市民軍がいくらがんばっても、プロの軍隊には勝てない、という単純な事実。おそらく。
 
 
 さて、くだんの本を探しにいった図書館で、プラトンのティマイオスと国家を再び借りてくる。
 
 ∧∧
( ‥)滅びゆく都市の運命と
    自分の師匠ソクラテスに
    憂国を語らせたプラトン
 
  ( ‥)まあ、言いたい事は
    ‐□ 分かるんだよね、
       市民軍じゃ太刀打ち
       できないから、
       プロの軍人階級を
       作ろうという、
       そのアイデアは
       分かるのだけどさ。
 
 ただ、滅びゆく祖国という現実を前にした割には、プラトンの提言は空想的、楽観的、理想的、かつ非現実的すぎる。
 
 
 ∧∧
(‥ )どっちみち、パパの
\‐   総力戦って今じゃ
     考えられませんね
 
  (‥ )ナポレオン戦争から
      WW2まで続いた
      国民皆兵、市民軍、
      これがむしろ異常だった
      そう考えるべきかもな    


 
 
      

8月16日早朝の木星、すばる、アルデバラン

 
 明け方近い公園にいくも、流星は見られず。
 
 ∧∧ ちょっと残念
( ‥)
 ‐( ‥)まあしょうがない
   ‐□ デジカメで遊んでみようか
 
 何枚か撮影した星空のうちの一枚を、帰ってからレイヤーを重ねて明暗を強調してみる。














画面右下は昇り行く冬の星座オリオン。左下の明るい星は木星で、現在、双子座の中にある。中央右上の明るく輝く黄色い星は牡牛座のアルファ星アルデバラン、その上にある小さな星群は”すばる”、つまりプレアデス星団。中央左やや上の五角形はぎょしゃ座、最も明るい星がアルファ星カペラ。画面上の方にはペルセウス座の一部が見えている。

 
 ∧∧
(‥ )あら、意外と写ってますね
\‐
 
  (‥ )PENTAX Optio RZ10
      安くて小さなデジカメで
      とてもじゃないが
      星空を写せるような
      ものじゃないけども、
 
 それでも、夜景モードで、なおかつMENUで感度を選び、6200か、むしろ3200を選択、露出補正を+2.0で撮影。
 
 ∧∧
( ‥)そのままだと星は写れど、
    暗い夜空が白んだ、
    朝焼けの空のように
    明るくなってしまうけど、
 
  ( ‥)それをPhotoshopで
    ‐□ レイヤーとして重ね、
      上のレイヤーを
      乗算モードにしたのだ。
      明るいのはそのまま、
      暗い場所は暗く、
      たったそれだけなんだが
      意外とね、
      映ってくれたね。
 
 一応、元画像もアップしておくと以下のようになる。









 
 



 光と闇の加減がたまたま良い案配だったせいか、赤色巨星アルデバランがきれいに黄色く、そして若くて青い星、すばるがちゃんと青く写っている。他の画像はここまで明瞭ではなかったし、また、レイヤーを重ねた画像だとすばるの青がよく分からなくなっている。
 
 ∧∧
(‥ )今度はもっと良い装備で
\‐   挑戦ですね
 
  (‥ )ああ、もっと星の
      きれいな場所に
      引っ越したいなあ。
 
 
 



2013年8月15日木曜日

言うだけ言って金を出さない貧乏人

 
 
 ∧∧
(‥ )言うだけ言って
\‐  金を出さないのは
    オタクじゃない、
    そういう言葉を
    見つけましたよ
 
  (‥ )...ああ、ごめん、
      そういうのがオタクだと
      思ってたよ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはオタクですか?
 
  (‥ )どうだろね?
      あるのは仕事、作業、
      検証、検討、反復、
      それだけだからね
      この無限の作業が
      オタクかと言えば、
      どうなんだろうねえ
 
 なにをもってオタクと言うべきか、それは、ここでは問うまい。定義の問題は絶えず無意味な問題提起だ。
 
 ∧∧
(‥ )ただ、少なくとも、
\‐  文句を言うけど
    金を出さない
    ってのは最低ですね
 
  (‥ )まあ、確かにそれじゃ
      ただの人間だからな。
 
 確かに。ただの人間だったら、そんなもの、オタクと呼ぶ必要は確かにない。
 
 ただの人間なんかどうでも良いのだ。それがいやなら人間やめろ。
 
 ∧∧
(‥ )ともかく、こういう
\‐   口だけ金しぶりな人は
     ここ数年で増えたそうですよ
 
  (‥ )あれかね?
      夏のコミックマーケット
      とやらがあったから、
      そのことかい?
 
 
 確かに、金を出すにしても、出した金額以上の口出しをする奴は、素直に言えば、
 
 死ね
 
 って思うよな。
 
 ∧∧
( ‥)しかも出した以上ではなく
    そもそも金を出さない、
    一体何が?
 
  (‥ )本当に数年でおかしく
      なったというのなら、
      世代間の違いとか
      人が劣化したとか、
      母集団が増大したとか
      そういうことじゃないよね
      時間が短すぎる。
      つまるところ、
      金がなくなったんじゃね?
      景気悪かったし。
 
 ∧∧
( ‥)どうしましょ
 
  (‥ )取りあえず、民主党の
      せいにしとけばOK
 
 
 ともあれ、しかしあれか、あくまで推論ではあるが、金がなければオタクもただの人、ということか。多分、なりたくもないと思っているただの人と。
 
 
 

仏教徒もまた啓典の民

 
 
 タリバンに撃たれた少女、国連で演説
 
 ∧∧
(‥ )先月7月12日のことですか
\‐   パキスタン出身のマララさん
     ですね
 
  (‥ )なんか演説の抜粋を
      ネットとかtumblrで見てね
      念頭にひっかかっていたの
      だけども
 
 This is the compassion I have learned from Mohamed, the prophet of mercy, Jesus Christ and Lord Buddha.
 
 この慈愛の心を、私はムハンマド、そして慈悲深き預言者イエス・キリスト、ブッダから学びました。
 
 以下のyoutubeだとちょうど7分の時点からがこの部分
 =>BBC News - Malala Yousafzai speech in full - YouTube
 
 ∧∧
(‥ )Lord Buddhaって
\‐   どういう意味でしょうね?
 
  (‥ )ブッダは王族だったから
      ブッダ王と言っているの
      じゃないか?
 
 まあ、ブッダ王というのはともかくとして
 
 以上、この一文を奇異に、あるいは感慨深く受け取った日本人がいたらしい。
 
 例えば、本当の宗教者は他の宗教にも敬意を払うのだ。
 
 あるいは曰く、キリスト教の平和の心をこそ、このイスラム教徒は評価している
 
 ∧∧
( ‥)あなたとしては?
 
  (‥ )ああ、イスラム教徒の人に
      とって、やっぱり、
      イエスもブッダも
      預言者なのだな、
      という感想だよな。
 
 イスラームといっても広い。環境も場所も民族も言語も国も共同体も違っている。だから全部がどこでも同じなわけはないだろうけども。
 
 ∧∧
(‥ )少なくとも、大征服を
\‐  成し遂げたイスラームは
    征服したその地の宗教を
    いわば二級市民として
    扱ったわけですよね
 
  (‥ )こういう表現をすると
      すさまじい暴虐に
      聞こえるけども。
 
 イスラームの人々にとって、イエスは当然として、ブッダもまた預言者の一人であった。
 
 アダム、ダビデ、モーゼ、ブッダ、ゾロアスター、イエス、そしてムハンマド、いずれも連綿と連なる預言者たち、すなわち神から言葉と啓示を与えられた人々。
 
 ∧∧
( ‥)最後の預言者ムハンマドで
    啓示は完成されたが、
    それ以前の預言者も
    また等しく敬意を
    払われるべき人々である
 
  ( ‥)だから仏教も
    ‐□ キリスト教も
      ユダヤ教も、
      下位ではあるけども
      イスラームの支配に
      そのまま組み込まれる
      存在だったのだよね。
 
 考えてみれば現代社会でも、外国人や国籍を取得していない人は、なんだかんだいって二級市民である。それを考えるとこれはそんなおかしな話ではない。イスラームがひとつの共同体だというのなら余計にそうだろう。
 
 とっ、言う話は前から本で読んでいたけども、ある日、あちらから来た人と話をしていたら、ブッダも預言者である、と彼は言っていた。
 
 ∧∧
( ‥)つまり本で書かれていた
    ことは正しかった。
    イスラームの人々、
    つまりムスリムにとって
    ブッダもイエスもまた
    ムハンマドに連なる
    偉大な預言者である。
    少なくとも彼らは
    そう考える。
 
  ( ‥)このマララさんという人も
    ‐□ そういう世界観の持ち主
      なのかもね。
      少なくともそう見えるよね
 
 預言者ムハンマドは、イエスは預言者であり、自分はそれに連なり、そして最後となる預言者である、そう述べたのだから、イスラーム教徒にとってこの発想はむしろ当然、正統なんだろう。
 
 *言い換えると、本当の宗教者は他の宗教にも敬意を払う、とか、イエスの慈悲をこそ、この少女は評価したのだ、というのは、あまり正確な解釈ではないってことになる。少なくとも前者はともかく、後者は勘違いもはなはだしいだろう。
 
ただ、prophet、という表現は気になるところ。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、一応、これも
    預言者って訳されるけど
    むしろ”予言者”ですよね
 
  (‥ )預言は神からの言葉を
      預かる。
      予言は未来を
      予め(あらかじめ)言う、
      意味がずいぶんと
      違うんだよな。
 
 多分、メッセンジャーと言った方が、むしろいいのかもしれない。神の言葉を預かるとはそういうことだ。
 
 ∧∧
(‥ )ともあれ、印象的ですよね
\‐   イスラーム教徒のすべてが
     そういう発想をするわけでは
     ないかもしれないけど、
     あなたが会って話をした人、
     このマララさん、どちらも
     ブッダを予言者とみなし、
     そしてどちらもほぼ同じ
     地域出身ですよね
 
  (‥ )イスラームがイランを
      越えて大征服を行い、
      さらにイスラーム化した
      トルコ人、モンゴル人が
      インドを征服した時、
      少なくとも当地の
      イスラーム教徒の人々は
      仏教徒も啓典の民と
      みなしたってこと
      なのだろうな。
 
 イスラームにはカフィール、つまり異教徒、無明の民、という言葉がある。
 
 あいつらはカフィールなんだ。そうタリバーンのことを話す彼に、
 
 「えっ? カフィールって僕らのことじゃないの?」
 
 と言った時、彼は次のように返した。
 
 「君らはカフィールじゃない。ブッダは預言者であった。だがタリバーンはカフィールだ!」
 
 ∧∧
( ‥)もちろん、日本人や
    仏教徒をカフィールと呼ぶ
    ムスリムの人もいるのでしょう
    けどもね
 
  (‥ )だが少なくとも彼にとって
      日本人や仏教徒は
      カフィールではなかった
      そうではなく、
      タリバーンこそ
      カフィールだと怒った
      わけだね。
 
 その時に使われたカフィールという言葉は、異教徒なんていう使い方ではなかったと思う。タリバーンはムスリムだが真のムスリムではない、という言い方でもなかった。無明の民という言葉から感じる、どこかダークヒーローを思わせるようなものでもなかったし、ムスリムの世界における魔人や悪鬼、悪霊に該当する霊的な存在、つまりジーニーでもない。
 
 あのカフィールという言葉は、血塗られた悪魔、という言葉に多分、近い。
 
 
 
 

2013年8月14日水曜日

理想主義者は有害

 
 理想は現実を否定することから始まる。
 
 現実は現実を直視するところから始まる。
 
 理想論者は現実を受け入れた現実主義者が許せないし、現実主義者は現実を破壊して空っぽの夢しか語らない理想主義者を危険視する。
 
 
 ∧∧
(‥ )より正確には、
\‐   現実を記述する理論を
     手にした時、何をするか?
     なんですけどね
 
  (‥ )問題点を是正するのか、
      あるには何もしないのか、
      理想主義者の悪いところは
      ”現実を説明する理論”と
      現実の問題の肯定を
      ごちゃまぜにして
      どっちも攻撃する点だな。
 
 理想主義者は現実を否定するあまり、”現実を説明する理論”を克服すべき現実の問題点を肯定するものだ、と勘違いする。
 
 ∧∧
( ‥)でも、実際には現実を
    説明できる理論がないと
    現実の問題を是正できない。
 
  ( ‥)エンジンの問題を
    ‐□ 克服するには、
       そのエンジンの仕組み、
       さらには広く、熱力学や
       使用の目的や用途までも
       把握しないといかん。
 
 理想主義者がいかれているのは、エンジンの問題点と、エンジンの問題点を発見できる理論を、どっちも是正すべき現実であると誤認するところにある。
 
 誤認というか、どういうわけか、彼らはこれらを区別できないのだ。
 
 ∧∧
( ‥)なんででしょうね?
 
  (‥ )さあねえ?
 
 なんといえばいいのか、理想主義者がどういう思考回路で動くのか、彼らの思考や考えや誤認や固執がどんな原因で生じるのか。原因が神経に由来するのか、内分泌系の何かに由来するのか、あるいはもっと別の何かなのか、どの要因に支配されているのかは知らない。それを説明する理論があるのかもしれないが、個人的には、聞いた事はない。
 
 つまり、理想主義者の奇妙な振る舞いを説明する理論はない。
 
 とはいえ、しかし
 
 ∧∧
(‥ )まあ、最低限、
\‐  ただすべき現実と
    現実を説明する理論とを
    区別できない人がいるのは
    確実だと。
 
  (‥ )しかもな、おかしなもんで
      この手の奴に限って
      無駄に賢くて、本とか
      よく読むんだよね。
 
 本を作る側から見れば金づるではあるのだけども、以上のように、明らかに有害であるという側面がある。
 
 エンジンの騒音を取り除こうとしている時に、エンジンの騒音を理論的に説明するとは何事だ、と言い出すので、理想主義者ってのは邪魔とかうんぬん以前に有害なのだ。
 
 だが売れるので売るのだ。
 
 理想主義者の心の琴線を奏でることがうまい人がいるので、そいつに書かせるのだ。
 
 書いている連中が、あるいは作っている奴らが今でも理想主義者なのかどうかは知らない。仮に理想主義者であったとしても、もはや売れる理想を製造するだけの自動機械に成り果てているのかもしれない。
 
 理想主義者に、役にも立たない嘘っぱちな理想を売る仕事。それがこの世界にはございます。
 
 ∧∧
(‥ )出版界って罪作りなことを
\‐  してますよねえ
 
  (‥ )まあ、なんでもありな
      業界なんでな。
 
 相手が馬鹿だろうが、無駄に賢かろうが、自尊心が過剰に肥大化したおこちゃまだろうが。あるいは単に疲れた会社員だろうが、勉強の合間に一服の清涼剤を求めている学生だろうが、秘かなエロを欲している男女だろうが、売れるものはなんでも売る。それが混沌たる本の世界。これが理想ではない現実。
 
 そして現実を肯定する現実主義者め、と罵倒しつつ、与えられる理想をただただ食い続け、いまや理想とはほど遠い何かに成り果てている理想主義者がごろごろいるのもまた現実。
 
 現実ってのはそういうものだ。
 


 
 

お茶濁しに人工衛星を

 
 
 hilihiliのhilihili: 曇りで流星群極大は見られずの続き
 
 日付も変って14日の午前3時。公園の広場までいってみるが、流れ星は結局、見られず。
 
 ∧∧
(‥ )最初は雲があったけど
    4時前には晴れたの
    ですけどねえ
 
  (‥ )まあ、無念だなあ。
      また来年だね。
 
 とは言うものの、
 
 
 去年、2012年は15日の午前に流星を2つ見ている
 =>hilihiliのhilihili: 最後の人類
 
 2011年には、これもどういうわけか15日に見ている
 =>hilihiliのhilihili: 明け方
 
 ∧∧
(‥ )でもどっちの年も極大日は
\‐   12とか13日ですね
 
  (‥ )流星群は極大日に多い
      だけで極大日以外でも
      見れるからな。
      今年も今日の深夜とか
      のんびり見てみるか。
 
 ペルセウス座流星群の流星は緑色で明るく、ぽろーんと流れるから、印象的だ。輻射点がどうのもさることながら、見た目がなんか分かりやすい。
 
 ∧∧
(‥ )2010年にはこんなことも
\‐  書いていますね
 
=>hilihiliのhilihili: シグモイドに尻尾を走る
 
  (‥ )途中からハクビシンの話題に
      なっているけどね
 
 
 しかし、それにしても自分のblogをざっと見るに、2011年、2012年、どちらも極大日にペルセウス座流星群を見ていないらしい。
 
 ∧∧
( ‥)高温と湿気で、この時期、
    この地域の天気は
    ぐずつきがちですからね
 
  ( ‥)今年は、昼間は
    ‐□ 晴れていたし、
      夕方の豪雨も回避。
      期待してたんだが、
      夜になって雨と雲でね、
      だから、
      見れなかったなー
      という印象が強いだけ
      だったのかもしれないね。
 
 ともかく、14日の早朝、晴れるには晴れたが流星は目撃できず。その代わりというわけでもないけど、冗談半分に持っていった小さなデジカメを暗闇の中でいじくっていたら天頂を人工衛星が通り過ぎていくので、面白半分に撮影してみる。









 
 
 ∧∧
(‥ )ああ、ぶれてるけど、
 □‐  一応、写ってますね
 
  (‥ )おや意外。
 
 画面の右の星はカシオペア座、中央を縦に三つ並ぶのはアンドロメダ座(切れているが、画面下にあたる領域にはペガサス座がある)。そしてやや左にある二つ並んだ星座がおひつじ座。
 
 アンドロメダ座とおひつじ座の間にある、小さく、短い、かすかな暗い線が人工衛星。
 
 ∧∧
( ‥)ひっかき傷みたいです
    
 
  (‥ )もっと良い装備なら
   □‐  すぱーんと夜空を切る
       直線になるんだけど
       このデジカメじゃあ
       これが限度かな。

 
 
 星の写真ではよく使われる手法だけども、ネガに反転した方が多分、分かりやすい。












 
 ∧∧
(‥ )...もっと良い装備が
\‐  欲しいですよね
 
  (‥ )天体も月も肉眼で見る
      主義だったから、
      カメラとか持ってないの
      だよな。考え直すか。
 
 例えば今年、2013年2月16日の話だけども
=>hilihiliのhilihili: そして去りゆく2012 DA14
 
 
 ∧∧
( ‥)2012DA14は、望遠鏡の視野を
    動く様がとても印象的でした
    けども
 
  (‥ )そうねえ、装備と経験が
      あったら動画とか写真とか
      自分で残せたのだよね
      ちょっと考えてみるか。
 
 星の写真を残せるだけでも、それは楽しいものではあるに違いない。
 
 ともあれ、本日以降の夜にも期待しよう。
 
 
 


2013年8月13日火曜日

美しいなんてのは後の話だ

 
 美しい国、日本
 
 
  ( ‥)だが残念、美しさ、では
      戦に勝てないのだ
 
 ∧∧
( ‥)美しさ、誇り、
    守るものは必要でしょ?
 
 確かにそうではあるんだろう。
 
 汚いものを守りましょう、と言うのはちときつい。倒れても、名誉がないのは死に損だ。
 
  (‥ )だが、美しさでは
      腹はふくれないし、
      弾は補充されないし、
      エンジンは動かないし、
      必要な、訓練された
      兵士もそろえられない
 
 ∧∧
( ‥)まあ、美しさ、では
    勝てませんねえ。
 
 危機に直面すると必ず、美しさ、とか、誇り、そして楽園を約束する者が出る。
 
 ∧∧
( ‥)国土と心の美しさ、
    その保証ですか
 
  ( ‥)だがね、こういうのはね
      老人のたくみな嘘なのだ
 
 老人は、腹黒いか、あるいはすっかり世間擦れしてしまったか、あるいはよりありそうなことだが、ボケているせいで、自分の薄汚いエゴイズムをひそかに公衆に混ぜ込むのがうまい。しかも、無自覚にやっている。
 
 ∧∧
( ‥)美しい国、とは
    老人のエゴイズムですか
 
  ( ‥)美しい、とは
      調和だろ?
 
 調和。なんのこっちゃない、それは既得権益の防衛だ。それもあからさまな。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えれば
    調和では戦に勝てない。
 
  (‥ )戦は調和の破壊だ。
      そもそもこの世界に
      調和なんてないのさ。
 
 人と人のエゴのぶつかり合い、国家同士のぶつかり合い。
 
 戦が起こるとはそういうことで、調和はこの世界の本質ではなく、うごめき、流転するのが世界の姿だということに他ならない。
 
 世界にあるのは調和ではない。均衡だ。
 
 ∧∧
( ‥)すなわち調和とは不自然
 
  ( ‥)じじいはな、すぐに
      調和とか言って、自分が
      手にしたものを次世代に
      渡す事を拒否するのだ。
 
 美しいとは、死にかけた老人の薄汚い欲望の隠れ蓑でしかない。
 
 ∧∧
( ‥)本当に必要なのは
 
  (‥ )死と闘争、そして
      次世代だ。
 
 ∧∧
(‥ )でもまあ、破壊された
\‐   国土よりもきれいな土地を
     後に残す方が望ましい
     でしょうね
 
  (‥ )それは当然、だが、
      その時でさえも
      美しいは役に立たんぞ。
 
 まずは勝たねばならぬ。美しいなんてのはその後の話だろう。
 
 
 
      

その理論は人生の言い訳ではなかったか?

 
 ∧∧
( ‥)?
 
  ( ‥)疲れちゃってね
    ‐□ なんでかな
 
 ∧∧
( ‥)夏バテじゃねーの?
 
  ( ‥)まあ、多分そうだろうけど
    ‐□
 
 さて
 
 その人は、日本が嫌いだった
 
 ∧∧
( ‥)日本人でしょ?
 
  (‥ )まあそうね、だから
      日本が嫌いなんじゃなくて
      社会が嫌いなんだね。
 
 というか、実は人間が嫌いなのだ。
 
 アメリカに産まれたらアメリカを憎んでいただろうし、中国に産まれたら中国を、ロシアならロシアを、イギリスならイギリスを憎んでいたのだろう。ただ、それだけの話だ。
 
 社会を憎むってのは概してそんなもんだ。
 
 ∧∧
(‥ )どんな国でも他国人には
\‐   思いもよらない暗部や悲惨や
     欠点がありますからね
     批判しだしたら
     きりないでしょう。
 
  (‥ )ちょっと頭が良いとな、
      物事の欠点が眼につくし、
      愚痴を通り越して
      批判だけになる。
 
 だが、実は頭が良いわけでもないんである。
 
 もし頭が良ければ起きている出来事の良い悪いに関係なく、現実を見据えるはずだ。
 
 そして現実を記述できる理論を作り出し、その理論に従って事を起こすだろう。
 
 例えばの話、年々、売り上げがへっていく。なぜか? この街は小さく、人口が40万人しかいない。もともと市場自体が小さい上に、少子高齢化だ。これでは予測するに確実に破滅だろう。
 
 ∧∧
( ‥)商売を変えるか、あるいは
    都会に移住するか。
 
  (‥ )決断と選択には、
      現実を説明する理論が
      必要なのだ。
 
 売り上げが減少しているのは、人口が小さく少子高齢化が進行しているからである。
 
 理論がそう告げているのなら、その条件に当てはまらない場所へ移動するべき。そう予測が立つ。的確に説明できている理論は予測も必然的にもたらすだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、人が思いつく理論には
    不適切な説明をするものも
    ありますよね。
 
  ( ‥)説明というか、
    ‐□ 言い訳のための理論が
      あるんだよな。
      これが悪いもんでねえ。
 
 なぜ売り上げが減少するのか? それは日本人が文化的に劣っていて、愚かだからだ。しかも近年はゆとり教育とネットの普及で若者はますます馬鹿になり、俺の商品を買うほど眼の肥えた客もいない。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、売り上げ減少の
    説明にはなっていますか
 
  ( ‥)説明できている=正しい
    ‐□ ではないんだけどね
      だけどやっかいなことに
      表面的にではあれ、
      物事を説明できていると
      人間はその説明に
      逃げ込もうとする。
 
 説明、と言えば聞こえはいいが、こんなもの、ただの言い訳だ。
 
 ∧∧
(‥ )しかも、なにがいけないって
\‐   この説明は、
     これからどうすべきか
     それについて何も答えて
     くれてないってことですよね
 
  (‥ )ただの言い訳は
      役に立たないんだよな
 
 ああ、冒頭の彼は日本が嫌いだった。社会を憎んでいた。世の中は不正だらけだといっていた。
 
 ∧∧
( ‥)しかし、だからどうしよう
    とはしませんでしたと
 
  (‥ )そりゃな、
      出来るわけがない
      悪いは全部他人です、
      そう言っているのと
      同じなんだからな。
 
 これでは予測も選択肢の決断もできない。いや、なお悪いのだ。この理論は何をやっても駄目だ、としか予測しないからである。何をやっても駄目ならやらなくても良い。
 
 ∧∧
( ‥)まさに言い訳の理論
 
  ( ‥)世の中間違ってる
    ‐□ というのはやべーんだ
       理論の性質上、すぐに
       ただの言い訳になる。
 
 
 世の中間違ってる。それを言うのを止めろとは言わないが、このエンジンは調子が悪い、と言ってもエンジンは直らない。それと同様、必要なのは欠陥の指摘ではない。仕組みの解析だ。
 
 ∧∧
( ‥)欠点をあげつらうけど
    肝心の仕組みは解析しないと
 
  (‥ )だから口先だけで
      終わるわけさね。
      せいぜいそうね、
      「世の中間違ってると
      言うだけでは何も出来ない
      そうはおっしゃるが、
      そういう考えそれ自体が
      世の不正を見過ごしてきた
      ことが分からないのか!」
      そう鼻息荒く
      反論するだけで
      終わるだろうなあ。
 
 鼻息荒く義憤とやらにかられて言うのも結構だけど、それで? どうするの? 
 
 次に何を、そもそも自分自身が生き延びるために何をどうするの? 
 
 反論はこの問いにまったく答えていない。
 
 でも彼にはそんな必要が無かったのかもしれない。なぜなら、彼は生き延びる事が最初から最後まで保証された立場だったからだ。*親に反発しているが実家住まいのままだった、という意味で。
 
 ∧∧
( ‥)だからこんなことが
    言えたのかもしれない
 
  (‥ )今も死んではいないはずだ

 
 ただ単に、業界から消えた、というだけの話である。
 
 

 

曇りで流星群極大は見られず

 
 hilihiliのhilihili: 東から降る夕暮れの続き
 
 
 12日は東京は局地的に豪雨で、日付が変わり、13日になると神奈川中央も激しい雨だった。
 
 ∧∧
(‥ )午前2時にはあがったけど
\‐   空は雲でいっぱいでした
 
  (‥ )3時も4時も雲でな
      ペルセウス座流星群の
      極大日だったのだけど
      見れなかったね。
 
 ∧∧
( ‥)昨日の午前に一応
    空を眺めましたが
    流星はひとつだけ
    でしたしね
 
  ( ‥)まあ、一応、今夜も
      見てみるか。
 
 
 
 

2013年8月12日月曜日

東から降る夕暮れ

 
 夕方7時も近い頃、ふと雨量情報を眺めてみる
 
 ∧∧
(‥ )...東京は午後5時代から
\‐  豪雨みたいです。
   落雷も壮絶ですね
 
  (‥ )雷雲、見えるかな?
 
 外へ出てみるとなにかおかしい。夕日はとっくの昔に沈んでいるのに、夕暮れの光が、西ではなく東から差している。見上げると東京方面に沸き立つ雷雲の頂上がはるか上空、神奈川中央のここから見てもほぼ天頂にまで広がり、反射された夕焼けが東の空から降り注いでいた。












 
 ∧∧
(‥ )地上にはもう日光は
    届いていないけど、
    上空にはまだ届いている
    わけですね
 
  (‥ )ちょっと見に行ってみるか
 
 見晴らしの良い場所までいくと東の空は黒くかすみ、ぴかぴかと稲妻の光で雲が輝く。印象的ではあるが、少し遠すぎて、写真にするにはちょっと厳しい。
 
   最近、夕方になると
 ∧∧ 東京は雨じゃないですかね?
(‥ )
 ‐( ‥)都心は暑いからなあ
     上昇気流大噴火
     幸いにもここらは
     夕立はさほど降らない
     わけだけど。
 
 神奈川近辺だと、東京方面か、あるいは多摩丘陵沿い、あるいは西部の山沿いでよく夕立が降るようである。
 
 あちこちの雲が雷電で輝く中、そそくさと家まで帰った。
 
 

自然数と科学史は、無理数と歴史は

 
 さらにhilihiliのhilihili: 私たちは自然数主義者でしたの続き
 
 
 ∧∧
(‥ )単純に言ってしまえば
\‐  ピタゴラス主義が
    長く使われたのは
    自然の要素が個数だった
    からかもしれませんね
 
  (‥ )自然科学が扱ったもの
      探求しようとしたもの
      太陽系の惑星の数、
      元素の種類
      素粒子の種類
      いずれも個数だった
      だからこそ自然数主義
      とでもいうか、そういう
      考え方でよかったのかも
      知れない。
 
 単純に、それだけ、の話ではあるのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも? それだけで
    すむのかと
 
  (‥ )数の比が自然界にはある。
      ボーデの法則とかは
      そういう信念が
      現れたものに見えるね
 
 ∧∧
(‥ )ボーデの法則は現在では
\‐   支持されているようなもの
     ではないですよね
 
  (‥ )だから今の科学者は
      ”比が無ければならない”
      とは考えていないの
      だよな。
      それは明らかだ。
 
 ∧∧
( ‥)一方、この世界で
    無理数はどんな働きを
    しているのか?
 
  ( ‥)物理的な定数が
    ‐□ 循環小数にならない、
      少なくともそう見える
      とか、
      なんらかの値を示す式で
      無理数が現れる、とか
      それはまあ、分かるのよ
 
 
 ∧∧
(‥ )先日、目にした水中での
\‐  光の減衰を示す式には
    自然対数の底eが登場
    していましたし
 
  (‥ )そういうのは、なんか
      分かる気するんだよね
 
 分かる気がするってのはひどく怪し気なもので、これ自体が検討の対象だけども。
 
 ∧∧
( ‥)あなたが知りたいのは
    自然科学において
    無理数はどんなところで
    顔を出してくるか、
    ですかね
 
  ( ‥)少なくともね、
    ‐□ 統計学と同様、
      無理数と自然数、
      この人間にとっては
      長く対立的だった
      考えがどんな影を
      落としているのか?
      あるいはいないのか?
      それを念頭に入れて
      科学史を見直して見る
      のも悪くないかもしれない
 
 ∧∧
( ‥)まったくの無駄かも
    しれないけども
 
  (‥ )人生は大いなる遊戯なり
      少し脱線的な発想で
      遊戯のごとく見るのも
      悪くはなかろう。
 
 例えば、ふとネットを覗いていたら、現象を確実に説明できないのなら、確率論に頼るしかないではないか、というような文章がひっかかってきたことがある。
 
 ∧∧
( ‥)言いようからすれば、
    世界は確実、確定的だけど
    人智は全能じゃないから
    確率論で近似解を得ている
    そういう発想なのでしょうね
 
  ( ‥)確率論は実は近似的な
    ‐□ 解答を得るための
      便宜的な方法論でしか
      なくて、
      ”自然界に確率は無い”
      そう考える人は実際に
      いるからね。
      その人もそうなのだろうな
 
 そして世界は確定的だ、という考えには”世界には自然数しかないのだ”という前提があるように見える。
 
 実際、無限に続くがゆえに、正確な値が正確に分からない無理数が念頭にあったなら、こんな発想をするだろうか?
 
 正確なシミュレーションが出せる、という発想は、無理数を切り捨てていないか? 穏便当然に見えて、実は”過激な自然数主義”ではないのか?
 
 
 ∧∧
(‥ )統計学と決定論、
\‐  ピタゴラス主義と
    自然数と無理数ですか
 
  (‥ )みんなそんな真剣には
      考えていないんだ。
      だけども人間の理解の
      背景になにかしら
      このあたりの議論が
      影を落とす。
 
 そういえば、電子の軌道が整数倍、というのは無理数とは逆な話であり、面白い話なんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)なぜ整数倍なのか?
    考えてみれば
    電子が波なら必然だよね
    そういう話であると
 
 (‥ )別にこの理解の背景に
     ピタゴラス主義があった
     なんて言わないけども、
     無理数みたいな値をとっても
     おかしくないのに
     必然的に整数値しか取らない
     ことが自然界では起こる、
     というのは面白い話で
     あるよね。
 
 もちろん、波とその共鳴が整数値になる、というのはピタゴラスの時代から(結果的には)知られていた事実であって、確かに、この世界には必然的に自然数になることもあるのだ。 
 
 ∧∧
( ‥)でもこれを延長して
    すべてが自然数だ、と
    言い始めると、
    おや?? になる
 
  ( ‥)ピタゴラス主義者は
    ‐□ 無理数を発見して絶望した
      僕らはそれを見て、
      しばしば笑うが、しかし、
      実際には笑えるのだろうか

 
 

私たちは自然数主義者でした

 
 hilihiliのhilihili: 自然数の比というイデアはどうすれば良いのかの続き
 
 ∧∧
( ‥)考えてみれば、
    状況の深刻さは
    明白ですね
 
  (‥ )自然の背景には
      数の比がある
  
 なんてことだ、ピタゴラスからプラトン、ケプラー、ニュートン、メンデル、現在の物理学者に至るまで、主張のこの時点で気づくべきだった
 
 ∧∧
( ‥)数の比で示せる
    つまり自然数ですよ
 
  ( ‥)みんな無理数を
      最初から無視していたんだ
 
 つまり我々人類はおそらく全員、意図的にせよ無意識にせよ、自然数主義者だ。
 
 たぶん、僕らはその意味においてクロネッカーのことを笑えない。おそらく我々自身、円周率が存在することを信じていないのではないか?
 
 ∧∧
( ‥)少なくとも数だとは
    思っていないだろうと
 
  (‥ )自然数=数なら
      πは数じゃねえからな。
      筋道自体は通ってる。
 
 考えてみれば、πだの円周率だの、という言い方自体がひどく不穏当である。これは円周率を私たちは数だと思っていません、という無自覚の現れだったのかもしれない。
 
 
 次へ続く=>hilihiliのhilihili: 自然数と科学史は、無理数と歴史は
 
 
 
 

自然数の比というイデアはどうすれば良いのか

 
 物理学は科学の中でもプラトン主義の影響を色濃く残した特異な分野である。
 
 そんなようなことを言った人がいる。
 
 まあ、実際のところは、
 
 ∧∧
( ‥)別にプラトン主義を
    受け継いだわけじゃ
    ないですよね
 
  (‥ )単純に、世界の背景には
      数学的な実体が隠れている
      そういう世界観が
      研究でも発見の上でも
      有効だったから、
      そういう考えが
      そのままだった。
      それだけの話だろうな。
 
 というか、これはプラトン主義でもなんでもなくて、むしろピタゴラス主義と呼んだ方がいいんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )プラトンさんは
\‐  ピタゴラス学派の影響を
    強く受けてますからね
 
  (‥ )世界の背景には
      単純な数の比が隠れている
      自然科学において、これは
      長きに渡って有効で、
      今でも有効な考えなのだ。
 
 あまりにも自然な考えなので、伝統であるかどうかすらもよく分からない。
 
 ∧∧
( ‥)物理学、化学、生物学でも
    これは有効であった。
 
  (‥ )ただ、状況が複雑に
      なるに従って、
      ”きれいな数の比”という
      考えがあまり有効で
      なくなるんだよね。
 
 生物学だと、たぶんメンデル遺伝の発見が”自然の背景にはきれいな数の比があるはずだ”という信念が大きく貢献した例だと思う。だが、それ以外、それ以後では、さてどうだろうか?
 
 ∧∧
(‥ )そこで現れるのが
\‐  統計学ですね
 
  (‥ )それを考えると、
      ボルツマン、ダーウィン、
      フィッシャーという人々は
      科学史と人類史の転換点
      だと思うのだけど。
 
 言い換えると、知の歴史においてきわめて新しいこの考え、せいぜい2世紀しか歴史がない、は大部分の知識人には理解不可能なものだ。進化学を全然理解できない人は、まあその意味では自然だし、頭の出来が普通であるとも言える。
 
 というか、たぶん、人類の脳が認識できない考えだと言った方がいいかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )あなたたちお猿さんは
\‐  認識、定義、論理、
    無矛盾であれば、
    それは真理である。
    そう考える
    傾向がありますよね。
 
  (‥ )そこに数が侵入したのだ
 
 数を発明し、数を認識した時。リンゴも小石もパンもすべて共通の数で数えられる、それを知った時に、思い込んだのではないか?
 
 世界を数え上げる数は世界の普遍であり、世界の背景にある究極的な存在は数ではないか? と
 
 ∧∧
( ‥)文系、と呼ばれる人も
    そうであると?
 
  (‥ )数は認識だ。
      認識、定義、論理、真理
      この流れは文系であろうが
      理系であろうが人間なら
      ほぼ共通だろ?
      数が認識なら、数は
      以上のような理解、つまり
      ”真理という理解”に容易に
      組み込むことができるよね
 
 数を組み込むか、そうしないか、それだけの話で、その背後には認識、定義、論理、真理という流れがある。そう考えれば数を振りかざそうが、そうしなかろうが、結果は同じではないか?
 
 しかも、全員、誰もが、数えられるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)数えられる以上、
    ”真理の理解”に対する
    数の侵入を
    人は容易に許す。
 
  ( ‥)たださ、悲しいことにさ
    ‐□ みんなが言う数って
      これは実は数そのものじゃ
      ないんだよね。
 
 みんなが言う”数”とは、これは実は自然数だよね?
 
 数全体のほんのわずかな領域でしかない。
 
 ∧∧
( ‥)そこに致命的な
    誤謬の余地があると
 
  (‥ )おそらくね。
 
 あるサイエンスライターさんはこんなことを言った。
 
 系統学も分岐学も真理ではない。
 
 もし、すべての素粒子なり原子のベクトルが分かれば、
 
 もし、そのベクトルをすべて演算することが出来れば、
 
 量子コンピューターがそれを可能にすれば、
 
 世界のすべてをシミュレーションできる
 
 未来も過去もコンピューター上で再現できる
 
 絶滅した生物も、化石として残らなかった生物も再現できる
 
 この時、古生物学も進化学も真の科学になるであろう
 
 ∧∧
( ‥)たわ言だと
 
  ( ‥)まずこんな考え役に立たん
 
 そんなコンピューターどこにもないからだ
 
 まあ、それは置いておこう。
 
 こんな考えは役にたたん。なぜならすべての原子のベクトルを正確に測る機械なんてどこにもないからだ。
 
 まあ、これも置くとしよう。
 
 こんな考えは役に立たん。なぜなら、仮に地球を構成するすべての原子のベクトルを測定しても、太陽や月や、太陽系内部の天体をすべて把握しないと、地球の進化は正確に再現できないからだ。隕石ひとつの落下で大量絶滅が起こり、太陽の活動が気候に影響を与えるわけである。再現するには太陽系全体を把握しなければいけない。
 
 まあ、これも置くとしよう。
 
 こんな考えが役に立つ訳がない。仮に太陽と太陽系のすべての原子、核融合もあるからすべての素粒子のベクトルを正確に測定し、それを演算できる機械があっても、まるで話にならない。仮にひとつの宇宙線が地球に突入してきて、それが生物の遺伝子に当たって変異を起こしたとする。
 
 ∧∧
( ‥)宇宙的な規模で加速された
    アルファ粒子や電子やら
    これらは太陽系外からくる
 
  (‥ )観測できるすべての
      範囲の宇宙を再現しないと
      計算は確実に狂う。
 
 いや、これも脇に置くとしよう。
 
 それでもなお、この話はおかしい。
 
 なにがおかしいか?
 
 得られた数値が自然数じゃなかったらどうするつもりだい?
 
 ∧∧
( ‥)無理数だったらどうする?
    無限に割り切れることがない、
    数の比では示す事ができない
    無理数が入ってきたら
    どうするつもりか?
 
  (‥ )というか確実に
      無理数が入ってくるだろ
 
 物理定数とか、循環小数になってるかい?
 
 物体のベクトルが自然数に必ずなるという保証はどこにある?
 
 無限に続く数を便宜的に途中で切って計算して、それを大規模に演算した時、”正確な値”とやらが出るのは演算の何回目までかね?
 
 まあ、以上、これ自体もどうでも良い話なのだ。コンピューター上で世界を正確に再現できるだなんて、そんなことを考えてシミュレーションをする研究者なんて、そもそもいない。
 
 ∧∧
( ‥)それよりもむしろ
    注目したいのは
 
  (‥ )人間はさ、自然数しか
      理解していないんだよ
      これはそういうことだよね
      注目すべきはここだ。
 
 そうなのだ、たった130年前、数学者クロネッカーはπは実在しないと言ったし、無限の無限を研究したカントールの業績をつぶそうとしたのだった。
 
 =>hilihiliのhilihili: πは存在しない byクロネッカー 1882
 
 ∧∧
( ‥)たぶん、クロネッカーさんの
    世界には自然数しかなかった
    そういうことですね
 
  (‥ )クロネッカーが
      おかしいとかなんとか
      じゃなくて、これは
      人間の脳の問題だよ
      おそらくはね。
 
 世界の背後には自然数の比がある。
 
 ∧∧
( ‥)だが、数には無理数がある
 
  ( ‥)世界の背景に自然数がある
    ‐□ それは確かに有効な
      考え方だったのだ。
      事実、それで大きな成果を
      上げてきたわけだよね。
 
 だが、数には無理数があり、物理定数が循環小数になった、という話も特に聞かない。
 
 ∧∧
( ‥)この世界とは何か?
 
  (‥ )なんかさ、これを考えると
      ギリシャ時代から
      連綿と問題が引き続いて
      いるのな。
 
 世界の背景には自然数の比が隠されている。この信念、これ自体は有効であったのに、この状況は一体全体なんだろうか?
 
 
 ∧∧
( ‥)ピタゴラス主義、
    統計学、
    自然数と無理数
 
  ( ‥)やべえな、
    ‐□ これどうすればいいんだ?
 
 一体全体、これをどうまとめれば良いものか。
 
  
 
 以下へ続く=>hilihiliのhilihili: 私たちは自然数主義者でした
 
 

2013年8月11日日曜日

神奈川中央40度

 
 
  ( ‐ ‐)腹減った
 
 ∧∧
(‥ )冷蔵庫の中、
‐   からっぽだよ
 
 しょうがないので買い出しに出かける
 
 ∧∧ あちちです
( ‥)
 ‐( ‥)うーん、なんかすごいね
      14:00というと
      一番暑くなる時間だよな
 
 住宅街。アスファルトの熱気が舞い上がり、ごろごろと遠雷が鳴っている。
 
 スーパーは...真っ昼間だけど、ほとんど人がいなかった。
  
 ∧∧ これだけ暑くちゃね
(‥ )
 ‐( ‥)家から出る気は
     起きないよな
     何買うかなあ。
 
 家に帰って、外の日陰、洗濯機の上に出しておいた温度計を確認してみる
 
 ∧∧
(‥ )気温40度、湿度50%
°
 
  (‥ )...
 
 暗くなってきた、遠雷と共に、黒雲が西の方までかかってきたのである。
 
 
 

それは子供向けの廉価版なので

 
 2012年の秋に出た本
=>Amazon.co.jp: ふしぎな深海魚図鑑―海の底までもぐってみよう
 
 これのいわば廉価版が以下

 2013年の8月(今月)に出た本
=>Amazon.co.jp: 深海魚―なぞのモンスター: 北村 雄一: 本

 ∧∧
(‥ )ハードカバーから
\‐   ソフトカバーになって
     いるんですよね
 
  (‥ )後、終わりの生物の解説
      とかがなくて、
       子供向けのクイズが
       納められている。

 
 
 表紙を見ればある程度、予測はつくのだけど、まったく新しい本だと思われて買ってしまう人がいても困るので、一応、お知らせ。
 
 ∧∧
( ‥)HPでもお知らせしないと
 
  ( ‥)ちょっと待ってね
    ‐□ 今すぐ対応仕切れない
 
 ともかくお知らせだ。
 
 前の本はハードカバーであるとか図書館向けであるとか、そういう条件だったので2415円。
 
 廉価版はソフトカバーで本屋向けで、より子供向けで、生物の情報を全部削って簡略化して、1365円。
 
 ∧∧
( ‥)図書館と本屋では
    需要が全然違うと
 
  (‥ )ぶっちゃけた話、
      小学生が買う事を
      想定して廉価版を
      作った、
      絵本でしばしば
      使われる手法なんだけど
      そういう理解で良い
      みたいよ。
 
 
 
 

8月11日の温度と湿度

 
 2013年、8月10日の夜10時過ぎ 神奈川の中央
 
 ∧∧
(‥ )外の温度は32度
 °‐  湿度は80パーセント
 
  (‥ )日付が変って11日の
      現在、午前1時
      エアコンかけてる室内は
      温度が28度、
      湿度は60パーセント
      扇風機を回すと
      寒いくらいだね。
 
 さっきまでは室内の温度が妙に高かったけども、急に涼しくなってきたので28度設定から30度設定に変更
 
 ∧∧
(‥ )外の気温が下がって、
    室内に熱が
    侵入しにくくなった
    のではないですかね?
 
  (‥ )熱の侵入、熱の放散、
     もう一度、外の温度を
      測ってみるか
 
 そしたら31度で湿度は90パーセント
 
 ∧∧
( ‥)1度下がった分、湿度が
    あがった?
 
  (‥ )難儀なものよなあ
 



2013年8月10日土曜日

十分の一でした

 
 hilihiliのhilihili: 逃げた騎兵をみんなでボコるの続き
 
 ∧∧
( ‥)?
 
  ( ‥)自分の書き込みの
    ‐□ リンクをたどって
      いてだね
 
 アレクサンダー大王(アレクサンドロス大王)の急逝を受け、ギリシャで起こった反マケドニア闘争であるラミア戦争
 
 ∧∧
(‥ )ああ、あなた引用して
\‐  いるんですね。当時の
    アテナイ市が出したのは
    歩兵5000、騎兵500
 
 この時の書き込み=>hilihiliのhilihili: がんばったアマチュア
 
  (‥ )出典はディオドロスの
      著作、第18巻みたいね
      今度、当たってみよう。
 
 前の時は、社会が堕落したことで衰退した、しばしばそう言われる前4世紀のアテナイ市だが、実際には総力戦を行う力と意気込みを持っていたこと、ひいては社会が堕落したからギリシャ諸都市は衰退したのだという精神論は誤りじゃね? ということを示すために引用したのだけど。
 
 ∧∧
( ‥)改めて視点を変えて見直せば
    総力戦で打って出たアテナイは
    歩兵は5000そろえたけど
    騎兵はその十分の一しか
    そろえられなかった
    そこに注目ですね
 
  (‥ )やっぱあれな、
   □‐  文献の理解は
      あらかじめ自分が
      持っている作業仮説に
      左右されるってこと
      なのな。
 
 そして注目すべきは騎兵は歩兵の十分の一しかそろえられなかった、という事実。
 
 ∧∧
(‥ )やっぱり、お馬さんを
\‐  そろえるって大変
    なんですね
 
  (‥ )そういえばエルバ島から
      脱出したナポレオンは
      8000の馬から
      始めて、二ヶ月で
      2万の騎兵をそろえた
      それは奇跡に近い離れ業
      だったという論評が
      あったよね。
 
 *引用:「戦争の起源」アーサー・フェリル 河出書房新社 pp105
 
 **ちなみにこの後、ナポレオンはワーテルローの戦いで最終的に敗北するけども、これには色々な原因、要因が上げられていて、急ごしらえな騎兵隊ではやっぱ無理じゃね? という評価もあるらしい。
 
 ∧∧
( ‥)なんにせよ、騎兵を
    そろえるのは金もかかるし
    時間もかかるし、
    手間もかかる、
    そういうことですね
 
  (‥ )古代世界では騎兵は
      貴族とかだったり
      したのだよね。
      中世でも騎士は
      貴族だし、
      近代でも騎兵は
      貴族階級だよねえ
 
 ∧∧
(‥ )そして騎兵は
\‐   当時の超兵器である
 
  (‥ )時代や地域によって
      騎兵のインパクトって
      ずいぶん違うみたい
      だけどさ、
      基本的に超兵器だよね
      中世期の遊牧民族なんか
      圧倒的に強いよなあ。
 
 ∧∧
( ‥)貧乏人を訓練した大歩兵軍団の
    時代はなぜ終わり、
    そしてどのようにして
    スーパーウェポンと
    軍人貴族の時代が始まったのか
 
  (‥ )いかなる要素がそれらを
      決定するのか、知りたいねえ
      
 
 

2013年8月9日金曜日

逃げた騎兵をみんなでボコる

 
 
 ∧∧
( ‥)なに?
 
  ( ‥)[WARHORSE]という
    ‐□ 本があってね
 
 [WARHORSE] Philip Sidenell 2006
 
 ようするに古代世界における軍馬の本なのだけど
 
 ∧∧
(‥ )アレクサンダー大王の遠征
\‐  大王の急死、帝国の分裂
    これによってマケドニアの
    騎兵隊はその本来の力を
    失ったと
 
  (‥ )騎兵隊は大王の遠征に
      ついていっちゃったし、
      急逝したんで帰還せず、
      分裂と後継者同士の戦争で
      都市の経済は弱まり、
      騎兵を充分に供給できなく
      なる、そういうことが
      書いてあるなあ。

 困ったことがあるとすると、これらの部分に関して典拠が直接書かれていない、ということで。
 
 ∧∧
(‥ )でも、整合的ではありますね
\‐  ローマ軍がマケドニア軍を
    破った二回の戦い、
    いずれも騎兵の描写が
    ほとんど皆無ですからね
 
  (‥ )「プルターク英雄伝」を
      見ているだけだから
      まだ理解として充分では
      ないんだけど、どうも
      騎兵の数が少ないか、
      運用が良くないらしいの
      だよな。
 
 岩波版の第五巻ティトウス・フラーミニーヌス編での戦いでは、マケドニアの密集部隊を打ち破ったのはローマ軍の歩兵部隊であるし、第四巻アエミリウス・パウルス編でも同様。
 
 ∧∧
(‥ )というか、あれですね、
\‐   アエミリウスに
     ペルセウス王が敗北、
     負けて敗走する
     マケドニア軍の間で
     争いが起きたみたいですね
     騎兵のところを歩兵が
     裏切り者! と罵って
     馬から引きずり下ろして
     殴り始めるという
 
  (‥ )他の文献も見ないと
      いけないけど、
      英雄伝だと、ほんと、
      この二つの戦いには
      歩兵の記述しかないのよな
 
 しかもほぼ全員が脱出できた騎兵を、後から追いついた敗走の歩兵たちが「この、卑怯な裏切り者!」とみんなでボコリ始めるという内容から察するに
 
 ∧∧
( ‥)やっぱ、騎兵の数が
    絶対的に少ないって
    ことですかね
 
  (‥ )しかも台詞と記述から
      すると、
      先に逃げた以前に
      騎兵は結局、
      戦闘に投入されなかった、
      結果的に歩兵を
      見殺しにした
      そういうことじゃねえの?
 
 数が少ない騎兵は戦場では意味がなさそうだし、数が少ないから王様が投入をためらっているうちに歩兵が負けてしまえば、まあ、騎兵としては逃げるしかないだろうし、でも歩兵からすれば許しがたいだろう。
 
 繰り返せば、ほとんどが無事に離脱できた騎兵が、仲間の敗残兵にぼこられるということは、
 
 ∧∧
( ‥)つまり、歩兵が
    圧倒的に多い。
    騎兵は少ない。
 
  (‥ )そういうことだよなあ
 
 
 ∧∧
(‥ )騎兵ってお金がかかるの
\‐  ですよね
    経済的な条件が悪いと
    数をそろえられない。
 
  (‥ )馬がいます。
      馬の維持管理が必要です
      世話をする場所と
      人が必要です。
      もうこれだけで
      金がずいぶんかかる
      からね。
 
 ましてや訓練された騎兵となったら、そりゃあ育成するだけでも金が相当かかるだろう。訓練期間中、人と馬の両方を養わないといけない。
 
 だが、金はかかるし特殊技能だけども、騎兵は強い。
 
 ∧∧
( ‥)なんでしたっけ、
    モンゴル以前の中国、
    金帝国の騎兵17騎が
    南宋の歩兵2000を
    退けたって話がありましたね
 
  (‥ )金帝国は遊牧系の王朝
      騎兵と言っても
      古代世界よりも
      装備がそろっているし、
      複合弓を自在に使う
      長距離攻撃可能な戦士。
      古代世界の騎兵と
      同列に扱えないだろうけど
      騎兵が圧倒的に強力なのは
      分かるよね。
 
 
 ∧∧
(‥ )ローマ軍も6世紀に入ると
\‐  騎兵が主力になると
 
  (‥ )よく訓練された、でも
      数が少ない特殊技能の
      能力者たちだけに
      なっていったわけだ。
      この時代になると
      歩兵はいるけども、
      以前のような規律正しく
      訓練された兵士では
      なかったそうだよ。
 
 ∧∧
( ‥)でも特殊技能者で装備が
    必要な騎兵の維持には
    金がかかる
 
  (‥ )それが極端に現れたのが、
      存続した東ローマの
      対極にある
      西欧世界の騎士だよね
 
 再現なく分裂した西ローマ帝国の残骸にいるのは鎧でその身を覆い、周囲の土地と農民を支配する重装備な騎士たち。
 
 ∧∧
( ‥)民主制と訓練された
    歩兵の時代は終わり、
    お金がかかる超兵器と
    特殊技能を教え込まれた
    軍人貴族の時代が
    やってくる
 
  ( ‥)いつどこで、どういう
    ‐□ 感じでこの変化が
      起きたのか?
      よく分かってない
      みたいだよな。
 
 ∧∧
( ‥)反対に、帝政初期の
    ローマ軍って
    すごい低賃金だったの
     ですよね
 
  (‥ )タキトゥスの年代記を
      読んだりすると
      軍団は人が多くて
      人件費がかかるから
      気持ちは分かるけども
      いくらなんでも
      ひどくね? という
      低賃金でね。
 
 しかし、この、”貧乏人を集め、厳しく長い徴兵期間と訓練を受けさせる事で出来上がっていた大軍団”が、何世紀か経つうちに、金がかかる少数精鋭になって、さらには軍人貴族が誕生する。
 
 一体、これはどういう過程なのか?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、軍馬の本にそこまで
 □‐  書いてあるか、まずは
    それを要確認ですか
 
  (‥ )そしていつも考えて
      しまうのだよね。
 
 我々の時代も、いつか民主制が終わり、恐ろしく高度化した機械を操る軍人貴族の世界へ変るのだろうか、と。
 
 ∧∧
( ‥)機械技術の発展は
    扱いの難しい超兵器を
    作り出す一方で、
    銃を抱えた市民兵
    みたいなものも
    生み出すから、
    未来技術が
    軍人貴族を作るか
    市民兵の大軍団を作るか
    予測しがたいものが
    あるけども
 
  ( ‥)なにがどういう風に
    ‐□ 世界のあり方を
      形作るのか?
      作ってきたのか?
      見極める必要が
      あるよね。
 
 これはhilihiliのhilihili: 人間はすぐに初心忘れるべからずとか言うの続き
 
 
 
  

長い夢だった

 
 
 ∧∧
( ‥)何?
 
  ( ‥)...仮眠したら
     ひどく長い夢を見た
 
 誰かと狭い部屋で話をしていた。彼が言うには最初は趣味で魚と水草を育てていただけだったそうだ。
 
 これと同じぐらいの部屋から店を始めたのです。そう言う彼の前には机と、ラックに重なった水槽があり、裏に回ると実は壁で仕切られていただけで、そこは広いフロアで引っ越し業者が作業をしているところだった。
 
 どこかで見た二人が作業をしている。配線を整え、他の業者に指示を出し。
 
 ああ、思い出した。あの二人は以前仕事をしたイベント業者ではなかったか? はて? そんな彼らがどうしてオーナーの引っ越しの手伝いをするものやら。
 
 二人が話し込んでいたスーツ姿の男が二人、こちらにも挨拶をしにきた。どこかで見た顔だ。よく見れば昔、会社員として短い間だが働いた時の同期じゃないか。確か彼は結婚して、
 
 「子供は何歳?」
 
 「今、産まれた」
 
 ?
 
 いたずらっぽく笑う彼に聞けば三人目だそうだ。
 
 ∧∧
(‥ )...同期だったら今、40歳を
\‐  越えているはずだよね
 
  (‥ )無茶な設定だよな
 
 そこはビルで、先ほどのオーナーがその階のすべてを借り切って店にしていた。どういうわけか古本が安物の金属製ラックにずらりと並び、どれも日と空気に焼けて茶色く変色していた。手に取った一冊は海賊に関するまじめな、そして古い本らしいのだが、中身の3分の2は手書きだった。どうも日に焼けて駄目になったページを前の持ち主が書き写したものらしい。
 
 その裏はいきなりペットショップだったが、そこは一風変ったコーナーで、死んでしまった動物たちの骨がずらっと並んでいる場所だった。頭骨がずらりと並んで販売される一方で、しかしケージの中にバラバラになった骨が並んでいるものもあった。死んでからそのまま虫に食わせたような、そんなぞんざいな展示。哺乳類、爬虫類...皮つきのままのヘビの骨と頭蓋。しかし、妙に臭わない。一体どんな処理をしているのだろう。
 
 カバが子供を産みました
 
 オーナーがそういって診察台にいる動物を見せてくれたが、それは、哺乳類ではあるようだが、どう見てもカバではなかった。二頭の子供を従えたその動物の大きさはイヌぐらいだったし、確かにカバを思わせる姿だが、カバではない何かだった。
 
 ∧∧
( ‥)そこから記憶があいまいだと
 
  ( ‥)さっき、昔の会社の
    ‐□ 同期が出てきたと言ったが
      そやつの若い頃のなにやら
      恥ずかしい写真をめぐって
      争奪戦を展開したと思う。
 
 奪って見てやろうとするのは業者の二人、守ってくれと頼まれたのは、どういうわけか自分。古本雑誌のどこかに挟まれているらしい。もっとも、40の男が、君が彼らよりもその写真を探し出して僕によこしてくれ、と頼むような写真とは、一体いかなるものなのか、そもそもどうしてそれが古雑誌に挟まれているのか想像しがたい。
 
 ∧∧
( ‥)でっ、いきなり場面が変ると
 
  ( ‥)田舎を歩いていたよ
    ‐□ 田舎といっても
      関東圏なのかな
      単線と都会へ通じる私鉄
      広いがほとんど誰もいない
      駅前と、からっぽな
      ショッピングモール。
      そして狭い国道。
 
 歩いていたのではなく、もしかしたら自転車だったかもしれない。線路沿いの国道をずっとどこまでも。そして今度は火薬と弾の実験をしていた。鉛か、あるいは低融点の合金を溶かして小さな弾を作り、それをミニチュアの砲台に入れて火薬に点火して飛ばし、距離を測る。これを繰り返す。最後は地下鉄に乗っていて、自動制御なのか、運転席はなく、前方は全部ガラス張りだった。地下の様子がよく分かる。いや、そもそもここが実験室ではなかったか? 実験室がいつの間にか地下鉄の上を移動している。見ているとひどくアップダウンが激しい路線で、どん詰まりの終着駅、たぶん降りた坂の数からするとずいぶん地下深い場所に着いたところで眼が覚めた。
 
 ∧∧
(‥ )なんかもう色々な記憶や
\‐   イメージがごちゃまぜだね
  
  (‥ )おかしなもんでさ、
      いや、当然なんだろうけど
      20年前にそれっきりな
      同期の顔は、再現しきれて
      いなかったよ。
 
 例えるなら、当時の画像にそのまましわを描いて安易に加齢させたような映像だった。
 
 

 
 

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