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2014年1月31日金曜日

いつから眼をそらしていた?

 
 例えば引用するに曰く
 
 進歩的であること、つまり全体社会に急速な改革をもたらす政治体制を支持し、反対勢力を認めるのろまな昔ながらの民主政治を軽蔑しがちであることが、インテリの本性に備わっている傾向なのです。
 
 過去を打ち砕いてしまって合理的な未来を築く国家機構。それはインテリらしい知的な考えです。
 
 ファシストでなかったインテリは、たいがいは共産主義者で、国家権力とか、抑圧とか、一党独裁制とかいった点からいうと、いずれも同じ穴の狢(むじな)だったのです。
 
 ファシズムとか共産主義という言葉は、両者間に戦争があったにもかかわらず、本当の意味での両極性を表わしてはいない。いずれも少数独裁集団主義といった名称のもとに一括できるのだ、とそうオーウェルは考えたわけです。
 
 「1985年」サンリオ文庫 pp271 アントニー・バージェスの言葉より引用。
 
 ∧∧
(‥ )「1985年」
\‐   作家バージェスさんが
     オーウェルさんの
     「1984年」の
     向こうを張って論評と
     共に描いた小説だよね
 
  (‥ )もう29年前の本か
   □‐  原著は1978年に
      出ているんだな
 
 384ページに、
 
 小説家は未来小説を書くのをあきらめた
 
 と彼が書いたように、この本はオーウェルの「1984年」を論評すると共に、現実のイギリスをパロディ的に描いた中編小説「1985年」が掲載されているという、珍しい形式の本。
 
 原著が出た1978年当時から見た7年後の近未来である1985年のイギリス。そこは労働組合がすべてを支配する社会。組合長が命じればたちまち大規模なストが発生して社会が機能麻痺を起こす世界。主人公は消防士たちがストライキを行っているため、火事が延焼するのを見守るしか無く、その果てに妻を失うのである。焼けこげた死体も同然の妻が死に際に言った言葉は「奴らをあのままにほおっておかないで!」という怒りと憎しみの叫びだった。そこから始まる物語。
 
 ∧∧
(‥ )当時のイギリスって
\‐  ストライキだらけ
    でしたからね
 
  (‥ )おらあ子供だったけども
      伝え聞くイギリスの
      有様と景色は
      悲惨なもんでな
 
 サッチャーを党首に据えた保守党が選挙で勝利するのは、「1985年」が出版された翌年の1979年、それ以前のイギリスのイメージたるや、社会を麻痺させる勢いのストライキに次ぐストライキで、ひどく暗く陰惨だった記憶がある。
 
 ∧∧
( ‥)2013年の春に
    サッチャーさんが
    亡くなったとき
    組合系の人たちですかね?
    彼女の死を揶揄するような
    珍妙な人形で練り歩き
    ましたよね
 
  ( ‥)サッチャーのせいで
    ‐□ 生活が苦しくなった
      良く言われることだな
      まあ、小説を読んで
      伝聞を聞いただけの
      こっちが何か言うこと
      ではないのだろうな
      なんといっても、
      当時の自分は
      子供だったからね
 
 そうは言うけども、では、労働党がそのまま政権にいた時代が続いた未来は、果たしてどうであったのか?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、揺れ戻しがあるから
\‐  永続的に同じ政策と政党が
    続くわけないのですけどね
 
  (‥ )どっちを選んでも
      未来は誤差でしか
      自由がない
      行き着く先はいつも
      収束するのだ。
 
 そういう意味でいうと、サッチャーのせいだ、と他人のせいに出来るのはとてもとても幸せなことではないか。
 
 ∧∧
( ‥)他人のせいにしようが
    なんだろうが、
    どうせ、同じ未来が
    来たはずではないか
    そういうことね
 
  ( ‥)現実ってのは
    ‐□ こっちが望みもしない
      やってきた未来だからね
 
 未来に希望など馬鹿馬鹿しい。未来は誤差の範囲で決定済みで、既に周囲にあふれておるではないか。
 
 ∧∧
( ‥)だからこそ希望を
    夢見るのだと?
 
  (‥ )出来もしない理想の人生
      輝ける理想の社会を
      夢見るのだな
 
 そして言葉は冒頭に戻る
 
 ∧∧
(‥ )理想を夢見て、
\‐  それをすぐに見たくて
    少数独裁制を夢見る
    理想社会を建設できると
    信じ込む
 
  (‥ )実際には自分の挫折を
      投影しているだけ
      なんだがな
 
 ああ、だから、
 
 こうすれば良いのにお前らは馬鹿だから分からない、俺が全権を掌握すればこんな腐った社会なんてあっという間に….
 
 そう、恨みを抱えて絶叫するインテリたちが、みじめに挫折し、崩れ落ちていくそのさまたるや、これがもうたまらない。
    

 しかしそれでもなお、幸せなはずなのだ。
 
 なんといっても、ここに来てしまったのは自分ではなく、他人のせいである、そう信じ込んで眼をそらしているのだから。
 
 
 
 

2014年1月30日木曜日

錬成が可能

 
   (‥ )金があれば幸せを
   ‐   錬成することが可能
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そのためにこそ
    作ったものですからね
 
 
 金で幸せを買おう、とか言うから、買えるか買えないか? という意味不明な議論になる。
 
 
 
 
 

その信念はこの計画こそが正しい計画だ

 
 みんなが考えて、一致団結すれば世の中が変わるはずなんだ!
 
 ∧∧
(‥ )...というお怒りの声が
\‐
 
  (‥ )その一方で彼は
      この法案は政府の謀略だ 
      国民生活への介入だ!
      これは思想統制だ!
      と、先ほどまで
      叫んでいたんだがな
      これは一体、
      どういうことなんだろうな
 
 
 そこには、
 
 この計画こそが唯一正しく、それ以外は計画を妨害する陰謀である
 
 この計画には皆が賛成するはずだし、反対する人間は思想統制を目論む敵であり殺しても良い
 
 そういう信念があり、そして多分、信念しかそこにはない。
 
 ∧∧
( ‥)信念は信念の正しさを
    保証しない
 
  ( ‥)人間は宗教を信じる
    ‐□ サルだでな
      一度信じると、
      どうにもならんのな
 
 
 

即物的な世界の振る舞いの前にはヒトラーとて無力

 
 ∧∧
( ‥)ヒトラーが現れたとき
    ドイツは悲惨な
    状況にあった
 
  (‥ )悲惨なだけではない
      神聖ローマ帝国しかり
      歴史的に長く
      中央集権化に失敗し
      それゆえに戦争に破れた
      そういう反省と渇望が
      強いリーダーを求めた、
      そうだと言うのなら
 
 強いリーダーが望まれただけで、その時、選ばれたのがたまたまヒトラーであった、ということになる。
 
 別に彼の力でもなんでもない。
 
 事実、選ばせたのはヒトラーなのか? 
 
 否、選んだのは人々ではなかったか?
 
 もっと言えばむしろこう
 
 選ばせたのは歴史であり、土地であり気候ではなかったのか?
 
 選ばせたのは言葉でも意思でもない。
 
 そもそも人間に一体どんな自由があると言うのか?
 
 ∧∧
( ‥)言い換えればですよ
 
  (‥ )タイムマシンで
      ヒトラーを
      現在に連れてくるとする
 
 彼に一体、何が出来るというのか?
 
 ∧∧
(‥ )人々が不満だらけで
\‐  強いリーダーを求めている
    そういう同じ状況なら
    再び政権を獲得できる
    のかもしれないけども
 
  (‥ )でも、そうでないのなら
      単に意識高い系を
      こじらせたおっさんで
      終わるんだろうな
 
 考えてみれば、あの手の意識高い系をこじらせて世間を絶望と怒りと義憤で眺め、そうしてくだを巻いているおっさんは、見渡せばいくらでもいるんである。というか、居酒屋でも覗いてみればいい。ごろごろ転がっておる。そんなおっさんの無駄な与太話を聞きたくないから、若者は飲み会にいきたくないのだと人は言う。
 
 だとしたら、ヒトラーが現在の世界にやってきて、なにが出来るというのか?
 
 ∧∧
( ‥)ヒトラーが現在にやって来たら
    彼は再び摩訶不思議な演説で
    政権を掌握し、
    独裁制を確立し
    再びガス室を作るだろう
    そういう懸念を抱く人は
    いっぱいいますよね
 
  ( ‥)それは言葉の魔法を
    ‐□ 信じすぎているよね
      言葉で世界が変わるか?
      それは否だな。
 
 言葉で世界が変わるか?
 
 彼女に、愛している、と言えば、給料が上がるか? 金が手に入るか? 生活が楽になるのか?
 
 ∧∧
( ‥)気は楽になるでしょうね
 
  (‥ )言葉をかけずに破局するは
      世の常
      それは認めようじゃないか
      しかし、言葉だけでは
      打開できぬは
      世の理よな
      常と理、どちらがより
      重要かって話よ
 
 聞けば先日、食品に農薬を混ぜたという容疑で逮捕された人がいたという。なんでも契約社員で低賃金で買いたたかれて、それにも関わらず、会社側は何が不満か分からない、と言ったとか。
 
 ∧∧
(‥ )人間の行動を決定制限するのは
\‐   金銭であり、経済であり
     食事である、そのことを
     無惨にも無視した
     発言ではないのか?
     そういう意見がありますね
    
 
  (‥ )人は全員同じではなく
      個性もあるし、
      選択肢にぶれもある
      だが、それ以上にだ
      金と経済、食事は強烈な
      影響力を持つ因子として
      ふるまうのだ
      腹が減っては戦ができぬ
      それを考えると
      その通りだろうな
 
 言っていることはまさに正しい。
 
 ところでしかし、次のようなこともある。
 
 派遣社員をそんな低賃金で酷使しておいて、どうして彼が不満を持たないと、考えたのか????
 
 このように、即物的な要因にちゃんと眼をやっているように見える人が、その一方では、
 
 ヒトラーのような人物が大衆を煽動して管理社会を築くかもしれない...
 
 このように、魔法の言葉で世界が悪に染まるかもしれない、そういう恐怖を語る場合がある。金と経済こそが人を制限する、と言っている一方で、人が言葉だけでコントロールされる可能性に怯えている。おかしな話なんだが、こういう矛盾した理解や言動をする人がいるのは事実。
 
 真面目に考えると、これはかなり奇妙。
 
 
 
 

 

2014年1月29日水曜日

人間にしか出来ないことがある

 
 ∧∧
(‥ )機械化が進む中、
\‐  人間でしか出来ない仕事を
    身につけましょう
    という圧力
 
  (‥ )人間でしか出来ない
      仕事を追求すれば
      するほど
      人間が切り捨てられる
      困った事態
 
 
 

直接民主制とはまるで前向きな婚活のような

 
 ∧∧
(‥ )都知事選がはちゃめちゃだ
\‐  って話、どう思います?
 
  (‥ )直接民主制は
      婚期を逃した人間の
      婚活みたいな
      ところがあるからな
 
 収入はあるけど顔が駄目、普通だけど収入が、どうして王子様がいないのかしら?
 
 こいつは顔が気に入らない、あいつは処女にみえねーし 料理へたそうだしー
 
 ∧∧
( ‥)ということを
    やっていると
 
  (‥ )口先がうまい悪党に
      詐欺られるってわけよ
      意識高い系の
      民主主義なんて
      そんなもんだでな
      ありがちありがち
 
 
 ∧∧
(‥ )どうしたもんですかね?
\‐
 
  (‥ )人生と同様
      消去法だろ?
 
 こんな理想の人を探すまであきらめないぞ、そういう無駄なポジティブシンキングをするから人生が詰むのだ。
 
 選択肢は絶えず消去法である。
 
 ∧∧
( ‥)長所ではなく
    短所で人を選ぶべき
 
  ( ‥)人間はすべからく
    ‐□ 馬鹿なんだが
      馬鹿にも色々あってな
      一本線の馬鹿もいれば
      多角経営の馬鹿もいてだな
      相手の欠点は、積極的に
      評価すべきだよね
 

 例えばの話、
 
 いかがわしい漫画なんて規制です、コミケなんて潰しましょう! 
 
 というような、この手の人間が相手なら、
 
 そうか、ならばよろしい戦争だ! 
 
 と言えばいいけども
 
 ∧∧
(‥ )なんというか欠点が
\‐  多角経営な人だと
    どこから手を付けて
    良いかわからなく
    なりますからね
 
  (‥ )でっかい穴が
      一つ開いてるよりも
      穴だらけであちこちから
      水漏れしてたら
      どうしようもないからね
      そもそも攻撃しようにも
      民衆は一個体じゃないから
      分散してしまうからな
 
 
 つまるところ欠点が明瞭で争点にしやすい人が良い。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えればですよ
 
  (‥ )なんか欠点が見えづらい
      としたら、そいつは
      危ない奴かもしれんな
 
 多分、口先だけの詐欺師である可能性がある。そして政治家とはしばしばそういうものであったりしないか。
 
 
 
 

2014年1月29日の月と金星



 夜が明けようとする中、外へ出てみると三日月と金星が並んでいた。
 
 ∧∧ 撮影に行きますか
( ‥)
 ‐( ‥)散歩をかねて
      いってみよう
 
 アップロードすると画像がひどく荒くなってしまうけども、こんな感じ。













 
 金星と三日月の距離は520:36、角度にすると3度57分といったところ

 *追記:もう少しきれいな画像はこちら=>Untitled Document
 
 ∧∧
(‥ )つまりこの時の月と金星の
\‐  距離はほぼ4度だね
 
  (‥ )来月の26日にも
      接近するみたいね

 
 夜はあっという間に明け始めて、東の地平が青に染まっていった。








2014年1月28日火曜日

透明な部屋が喧噪に包まれる

 
 核燃料は確率的に崩壊してアルファ粒子を放出し、安定した状態へと移行していく。
 
 ∧∧
( ‥)だが、ごくまれに原子核が
    ほぼ二分裂する場合がある
 
  ( ‥)大きな水滴が不安定で
    ‐□ あるように
      大きな水滴が雫を
      飛ばして安定するように
      だがごくまれに
      水滴が割れるように
      原子核はそのように
      振る舞い、
      現象は起こるのだ
 
 二分裂した原子核は、構成物であった中性子を幾つか放出する。
 
 ∧∧
( ‥)さらにごくごくまれに
    放出された中性子が
    他の原子核に吸収されて
    次の核分裂を引き起こす
    場合がある
 
  (‥ )だがそんなことは
      ごくまれだ。
 
 中性子にとって世界はガラスのように透明でわずかな曇りがあるだけだ。彼らはすべてを通過してしまう。
 
 だが、中性子の衝突。その可能性を引き上げる方法がある。中性子を減速させれば良い。
 
 物体は極微の世界では波としての性質を持っている。減速した中性子は見た目が”大きくなり”、他の原子核と相互作用する確率が高くなる。
 
 ∧∧
( ‥)減速させるには軽い原子を
    使えば良い
 
  (‥ )大きな壁にボールを
      当てても勢い良く
      跳ね返るが
      バスケットボールに
      ボールを当てれば
      相手は動き、その分、
      ボールは減速する
 
 核分裂の連鎖反応を引き起こすには水を使うか炭素を使えば良い。西側世界は水を選んだ。ウラン燃料の核分裂が暴走しても、高温で水が蒸発すれば中性子の減速は行われなくなり、暴走が自動的に終息するからだ。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、分裂で出来た
    燃えかすが自然崩壊するから
    熱は急速に冷めつつも
    ずっと発熱するけどね
 
  ( ‥)東側は水ではなく
    ‐□ 炭素を選んだ
      炭素は蒸発しないし
      燃えるから、
      いざ暴走した
      チェルノブイリは
      原子炉がむき出しのまま
      ぼーぼー燃えた
      まあ、これは別の話だな
 
 条件が整うと分裂で生じた中性子は次の分裂を産み、それで発生した中性子が次の分裂を産む事になる。それでもほとんどの場合、中性子は燃料を通過して何の反応も引き起こさない。世界は相変わらず透明だ。だが減速によってわずかな曇りが出来た世界では、数が多ければ分裂が分裂を産み、状況は以前とは異なるフェーズへ移行する。
 
 次々に起こる持続的な連鎖反応。
 
  (‥ )これが臨界だ
 
 ∧∧
( ‥)でっ? この例え話から
    何を?
 
 ネットの案件を見て不快感や許せないという感情を持つ人がいても、それだけでは何も起きない。その人が「私は許せません」と大声を上げても、誰も聞いちゃいない。
 
 声は素通りだ。
 
 世界は声に対して透明だ。
 
 だから一部の人々は思い込んだ。ここではなにをしゃべっても良いのだ。ここでは自由なのだ、そう思い込んだ。
 
 事実、調子に乗っておちょくっても、何も起きない。
 
 誰かが自分の声に許せません!と大声を上げて反応しても、その声は時には次の反応を引き起こすが、それだけだった。
 
 広く広大な部屋で遠くの壁にむかって叫ぶようなむなしさと爽快感。世界はまるで透明。はてしなく透明。
 
 ∧∧
( ‥)時には誰かが声を返し
    2、3人の反応を引き起こす
    その時、初めて気づく。
    こんなところに声を返す
    壁があったのか、と
 
  ( ‥)実際には壁も
    ‐□ 反応する存在も
      最初からそこにあるのだ
  
 反応しないから、一見すると透明に見えていただけだ。
 
 だがそれはそこにある。
 
 ある時、同じようにすると、反応が5つ現れる。それは2、3人ではなく、10人の反応を引き起こす。その声はただちに透明な世界へ拡散して雲散霧消してしまうが、それでも消え去る前に20人の反応を引き起こす。40人、80人、160人、320、640、1280…
 
 突如、それまで自分の声にまったく無関心で透明だったはずの世界が、反響し増幅を続ける声と壁と喧噪と騒音に包まれる。
 
 ∧∧
( ‥)臨界だ。
 
  (‥ )世界は別のフェーズへ
      移行するのだ
 
 時に人はいわく。ネットの創成期はもっと静かだった、こんなことはなかったと。
 
 ああ、それはそうだろう。だが、それは最初からそこにあったのだ。
 
 ∧∧
( ‥)ただ、量が一定数を越えたとき
    臨界が発生する
 
  (‥ )我らついに、
      次なるフェーズへの移行に
      成功せり
 
 全員、望んでもいないのに、いつの間にかここへ来てしまった。いつ臨界が起こるか分からない、自分にまったく無関心で他人にまったく興味のない、茫漠とした透明な広い広い世界。
 
 だがこの世界にはわずかな曇りがあり、すべてがそこにある。そして条件さえ満たせば、透き通った世界が突如として臨界し、燃え上がる。
 
 
   

2014年1月27日月曜日

携帯電話がない世界とタプリジオットコンタクト

 
 攻殻機動隊の世界には携帯電話が無い。
 
 ∧∧
( ‥)荒巻部長さんはiPhoneサイズの
    無線機らしきものを
    持っているけどね
 
  ( ‥)荒巻部長は電脳化して
    ‐□ いないのかなあ?
      コードが
      接続している描写が
      彼が登場する最初の
      コマにあるんだけどね

 *注:これは連載時の話で、単行本では第2話の二コマ目がこれに該当する。
 
 ∧∧
(‥ )他の皆さんは電脳化で
\‐   無線でもおしゃべりを
     するんだよね
     だから携帯電話がいらない
     だけど携帯電話がない
 
  (‥ )第3話だと公衆電話から
      ハッキングをかける話が
      あるくらいだからな
      携帯電話がないって
      ことだよね
 
 もちろん、現在と同様、携帯電話が普及しても公衆電話自体が残っているように、電脳化で直におしゃべりするようになっても、公衆電話が存続することはあるのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、実際には話は単純で
    漫画の連載当時は
    まだ携帯電話が
    普及していなかったからだと
 
  ( ‥)携帯電話が
    ‐□ 普及し始めたのは
      90年代の中頃だ
      攻殻機動隊の単行本は
      91年に発行
      連載はもっと前だよね
 
 これ、同じ士郎正宗さんの作品、アップルシードだともっとはっきりしている。
 
 ”人類を理想的な種族に改良しましょう。そうでないとこの狭い地球で人類は絶滅の道を歩む” 
 
 この提案がなされた時、オリュンポスを管理するコンピューターであるガイアはこれを人類に対する”災害”と見なして、提案と討論を阻止すべく行動を開始する。ガイアのコントロール下に置かれた戦車が攻撃を始める中、人々は連絡をとろうと、公衆電話に列を作るのだ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、明らかに
    携帯電話が存在しない世界
 
  (‥ )自立機械、調整された人間
      サイボーグ、
      パワードスーツ、電脳
      これらを予測して描いても
      携帯電話の普及は
      予想できなかった
      そういうことでもあるね
 
 もちろん、災害時なんで電波が通じないのです、と説明することは可能だけども、よりシンプルな解釈は、携帯電話がない、というものだろう。
 
 携帯電話がない未来であるにも関わらず、攻殻機動隊に違和感を覚えないとすれば、それは電脳で直に無線しているからに他ならない。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えれば携帯電話は
    現在世界における
    予想外かつ、驚愕の
    発明品であるのだと
 
  ( ‥)携帯電話やネットを描いた
    ‐□ SFは幾つかはあるそうだよ
 
 だが、携帯電話は予測できても、その結果がこんな世界だとは誰も思っていなかった。これはテレパシーが普及したのと同じことなので、へたなことを言うと炎上して失職する場合もある。こんな世界はまったくの予想外だ。
 
 ∧∧
(‥ )あなたとしてはこの手の
\‐  予言と的中の是非って
    どう思います?
 
  (‥ )どうでも良いよね、
      話は面白ければ良いのさ
      そして現実を越えるには
      狂気にコンタクトする
      必要がある
      そういう感じかな
 
 例えば砂の惑星を書いた作者ハーバードは小説「鞭打たれる星」を書いた。
 
 *原題[Whipping Star] 1970年の作品。
 
 ずっと未来。人類も含めて数多くの知的生物が連合を築いた世界。幾つかの種族は妙な力を持っている。それらは原理こそ不明なれども、どれも基本は同じらしい。時間と空間を越えてなんらかのコンタクトや接続、操作を行えるのだ。光年単位の距離をものともせずに空間を接続し、長距離移動を可能ならしめるカレバン。五体で一つの自我を共有しており、いざとなればそれをやりとりできるパンスペッチ。肉体を元の状態に接続、復元できるらしきビューティーバーバーズ。
 
 ∧∧
( ‥)そして心と心の直結と
    通信を可能ならしめる
    タプリジオット
 
  (‥ )タプリジオットたちが
      提供するサービス
      それは思い描けば
      その望む相手が
      どこにいても自在に
      着信して通信できる
      タプリジオットコンタクト
 
 
 だが、問題がひとつある。銀河ですら横断できるテレパシーと言えば聞こえは良いが、このタプリジオットコンタクト、着信した人間はトランス状態になってしまって体はがくがく痙攣して白目をむいてもごもご言い始めてしまうという困った代物。おまけに着信拒否が出来ない!
 
 ∧∧
( ‥)ようするに着信したら最後
    人間が
    バイブレーター機能付きの
    携帯電話に強制的に
    させられちゃうサービス
    なんだよね
 
  ( ‥)ハーバード、
    ‐□ いかれてるよな
 
 こういういかれた発想こそが予想外の未来を切り開くやり方でもあるのだろう。しかもこれ、笑うに笑えない話なんである。やってきた現実が少しこれと似たところがあるからだ。
 
 ∧∧
(‥ )それにしてもハーバードさん、
\‐  どっからこんな発想を
    得たのだろうね?
 
  (‥ )なんかタプリジオットから
      秘密を聞いたと
      書いてたけどな
 
 
 
 
 *予言が的中するか否か、というのは関係ない、話は話で見るべきだ。それはこちらの話hilihiliのhilihili: うろ覚えではあるが、少佐の話はそういう事ではないと思うに関連することでもある。
 
 **攻殻機動隊のアニメに関してはこれを論じない。
 
 
  

2014年1月26日日曜日

明けの明星、来れり

 
 明け方、外に出てみると、夜中に降っていた雨は止んでいた。
 
 ∧∧
(‥ )南からまとまった雲が来て
\‐  駆け足で雨を降らせて去った
    みたいですね
 
  ( ‥)風が暖かいな
 
 というわけで散歩へいく
 
 丘の向こうの広場から見ると、北は晴れているが、白み始めた南東の空には通り過ぎた雲が影となり、南と南西の空は暗く、分厚い雲が風に流されてせわしなく動いていくのが見えた。
 
 ∧∧ 夏の大三角が見えますね
( ‥)
 ‐( ‥)夏の星座が見える
     頃合いになってきた
     というわけだな
 
 帰り際、東の空低く、ぎらつく天体を見る。
 
 ∧∧ 金星ですかね?
( ‥)
 ‐( ‥)この前まで夕暮れの空に
      見えていたけども
      こっちに移動したのだな
 
 地球から見て太陽に近い内惑星である金星は、この前まで夕暮れの空に見えていたけども、そのまま太陽に近づいて、横切って、太陽の西側、つまり明け方、登り始める太陽とりも先駆けて輝く星、明けの明星になったというわけ。
 
 望遠鏡でのぞいたら、きれいな三日月が見えた。
 
 

2014年1月25日土曜日

次の中二病的な宗教はなんだ?

 
 ∧∧
(‥ )神州不滅 鬼畜米英
\‐
 
  (‥ )まあ、スローガンってのは
      中二病的なものだ
      というか、そうでないと
      高揚なんか出来んからな
 
 
 それがどんな理論でも、それが間違っていても、たとえそれが中二病的なものであったとしても、それでもなお、役に立つことがある
 
 ∧∧
( ‥)民主主義を守るために
    悪と戦うのは
    神から与えられし
    聖戦士の勤め
 
  ( ‥)まあ、アメリカの場合は
    ‐□ そういう中二病だろうな
 
 太平洋を挟んだ大日本帝国を敵とみなし、ファシストとみなし、スローガンを掲げて動員し、戦争で勝利した。
 
 しかし、スローガンを能天気に信じ込んで日本を武装解除して無力化させたら、今度は自分たちが共産中国やロシア、さらにはベトナムで戦う羽目になった。
 
 ベトナムの痛手で消極的な国民を、これは石油のための戦争ではない、民主主義を守るための戦いなのだ、と奮い立たせてパパブッシュは勝利した。
 
 だが、現実的な選択肢として敵の本陣であるイラク内部には緩衝しないでいたら、なんのための戦いだったのか? と今度は反対に国民から突き上げられる始末。
 
 ∧∧
( ‥)国民の皆さん、
    調子に乗った?
 
  (‥ )手厳しい言い方だけども
      まあそういうことだよね
 
 盗まれた勝利を取り戻すのだ! 今度は調子ぶっこいてほとんど単独でイラクに攻め込んで大失敗。アフガニスタンもどうにもならず、戦争を終わらせる努力というと聞こえは良いが、もはやすべてを無責任に放り出して現実逃避の引きこもり状態。多分、ベトナム同様、一世代は立ち上がれない有様。
 
 ∧∧
(‥ )中二病に振り回された
\‐  70年とも言えますし、
    これだけ紆余曲折しても
    より妥当なスローガンや
    もっと良い中二病を
    発明できていないとも
    言えますよね
 
  (‥ )スローガンにせよ
      中二病にせよ、
      ああいうものには根本的な
      問題があるよな
 
 当たり前の話だけども、中二病的なスローガンは口実と高揚感を与えるためにある。
 
 言い換えれば、スローガンや中二病的な設定は、自分で自分を改良したり、あるいは新しいより適切な枠組みを発明することにはまったく役に立たない。
 
 民主主義の聖戦だろうが、神州不滅だろうが、それは勝利へと至る計画を示してくれない。
 
 ∧∧
(‥ )新しい枠組みを見つけ出す
\‐   こともできぬままに
     これからまた戦いに
     駆り出されるわけですかね
 
  (‥ )見れば分かるけども
      状況は厳しくなる一方
      なのだ
      安い豊かな労働力は絶え
      兵器の高度化は進んで
      必要性は増しているのに
      戦争はひたすら金のかかる
      ものになってきておる
 
 もう今更、徴兵制とかはないにしても、状況はなお悪い。戦争が終わったからもう良いのだ、なんてことはない。訓練された兵士と高度な機械群を維持、運営するために国民はますます負担しなければならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)その重すぎる義務を
    民主主義という高揚感で
    果たしてどこまで
    維持できるかですか
 
  (‥ )ブラック企業とかの
      やり口を見れば分かるけど
      もはや手がないとなると
      精神的なカンフル剤を
      打つしかないんだが、
      しかし、その効果には
      限界がある
      そのうえさらに
      マンネリ化するとなると
      どうにもならないよね
 
 ∧∧
(‥ )どうしたものですかねえ?
\‐
 
  (‥ )ローマ帝国がキリスト教を
      採用したみたいに、
      なんか新しい宗教が
      必要なんだろうな
      でも一体それは
      なんだろうね?
 
 共産主義の熱狂も社会主義の夢物語も嘘まみれの瓦礫に消えて、さりとて愛国心は日本では少しばかり新鮮だが、それもこれも左翼の所行に対する反動でそう見えるだけ。実際には時代遅れになりつつあり、民主主義も民族主義も手あかにまみれて輝きはとうの昔に失せている。
 
 
 

火星が白く輝く世界

 
 もし火星が地球なみのサイズで海を持ち、水の作用で火山噴火を持続できて、プレートテクトニクスがある星になっていたら。
 
 ∧∧
( ‥)まったく違う世界ですよね
    例えば太陽系最大の火山
    オリンポス山なんて
    ないでしょう?
 
  (‥ )あんなばかでかいもの
      地球のマントルが
      支えられるわけが
      ないものなあ
      流れちゃうよね
 
 その代わり、地球と同様にヒマラヤのような巨大な褶曲山脈があるんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )海と大気があるから
\‐  青く見えるだけじゃなくて
    表面積が大きいから
    ずっと明るく見えるの
    でしょうね
 
  (‥ )地球なみだったら
      今の火星に対して
      直径がおよそ2倍だよね
      表面積は4倍だな
 
 ∧∧
( ‥)火星の砂漠と違って
    雲や大気がある分、
    光の反射率も
    高まるのでは?
 
  ( ‥)光度って1等級上がると
    ‐□ 2.5倍だよね
      表面積4倍で、
      反射率がさらに上がるなら
      火星の光度は
      1〜2等級弱上がるわけか
 
 現実の火星は最大光度が-2.8等。これが2等上がれば-4.8等。現実世界で一番明るい惑星、金星の最大光度は-4.3等。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、地球のような火星は
    最接近時には
    最大光度の金星に匹敵する
    明るさを誇り、
    夜空で輝くということに
 
  (‥ )金星よりも遠いのに
      そうなるかな?
      と思ったけども、
      金星の最大光度って、
      あれが内惑星である関係上
      地球から見ると半月や
      三日月の時に起きている
      わけであって、
      満月じゃないんだよね
 
 外惑星で絶えず満月状態で見える”地球サイズの火星”はそりゃあ明るいだろう。特に最接近の時となればなおさらだ。
 
 ∧∧
(‥ )色はブルーなんでしょうけど
\‐  もしも火星が氷河期に
    入っていたら、
    もっと見物でしょうね
 
  (‥ )地球より遠いわけだろ?
      地球よりも氷河期が
      厳しそうだよね
 
 例えば地球は、ここ6億年ばかし全球凍結、すなわち極地だけでなく、赤道付近、あるいは赤道まで完全に氷に覆われる事変には見舞われてはいない。
 
 ∧∧
( ‥)でも、火星では何度か
    起こるかもしれない
 
  (‥ )真っ白で凍り付いた
      火星だったら、
      明るく輝くだろうね
      夜空に燦然と輝く
      白い巨星だ。
      しかもかなりな速度で
      動くわけだろう?
      人類の神話体系も
      占星術も
      違っただろうな。
 
 あるいは赤道付近が凍らずに残っていたら、望遠鏡で覗くと、青いバンドをしめているように見えたのだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもさすがに陸上動物は
\‐  全滅ですかね
 
  (‥ )今の南極みたいに
      アザラシやペンギン、海鳥
      のような、陸上由来だけど
      実質的には海洋動物に
      なった動物群や
      一部の氷に覆われていない
      土地に昆虫やコケ、
      ごくわずかな矮小化した
      維管束植物が残るだけ
      なんじゃないかな
 
 しかし、星が生きている限り、マントルに水が供給されて火山が噴火する限り、全球凍結はいつか終わる。
 
 ∧∧
( ‥)火山噴火による二酸化炭素
    それと温室効果の発動で
    一気に温度が上昇、
    今度は暑い惑星になる
 
  (‥ )生き残った陸上動植物は
      全滅するか
      あるいは、寒冷な気候が
      残る極へ移動していくの
      だろうね。
 
 そうして今度は暑さに適応しながら、氷の下から現れた大陸へと再度上陸していくんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)1000万年もあれば
    生き残りの維管束植物から
    樹木が進化して、
    森が生い茂っているでしょうね
 
  (‥ )南極だと昆虫は
      ユスリカとかトビムシとか
      そういうのだけだけど、
      そういう生き残りから
      陸上動物相が再構築される
      わけだな
      あるいは海洋にすんでいる
      ヨコエビとかカニのような
      節足動物が上陸して
      くるのだろうね
 
 もちろん、昆虫とか節足動物が増えれば、ペンギンのような海洋動物も陸上で暮らすようになるのだろう。海鳥だって、飛ぶ事をやめた種族が出現するかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )充分な餌があればアザラシも
\‐  陸上動物へと進化するのじゃ
    ないですかね?
 
  (‥ )イモムシみたいにへこへこ
      這い回る動物から
      再スタートを
      切るのだろうな
      ウサギみたいに飛び跳ねる
      肉食獣がいたり、
      大型化した飛べない鳥が
      それと戦ってたり
      するんだろうね
      どっちが勝つのかなあ
 
 もちろん、こういう空想上の火星に脊椎動物がいるわけがないが、お話を膨らませると、こういう感じになるんだろう。
 
 そしてこういう想像からふと気がついたことがある。
 
 ∧∧
( ‥)もし、全球凍結の火星が
    あったら...むしろ植民するには
    好都合だったかもしれませね
 
  (‥ )かつての光合成の
      産物である酸素が
      残っていて、
      陸上動物はおらず
      場合によっては南極の
      ドライバレーのように
      ほぼ無菌状態ですらある
      入植するには良い感じ
      だよね
 
 もしも完全な凍結をまぬがれていて、赤道だけに海があったら、人類にとっては比較的汚染が少ない環境で異星の動植物を眺める機会があったのだろう。
      
 これはhilihiliのhilihili: 火星の農夫の続き
 
 
 

2014年1月24日金曜日

すでに半分絶望している

 
 ∧∧
(‥ )これだから日本人は
\‐  と言う人もいますよね
 
  (‥ )それって要するに
      こういうことだよな
 
:私は問題点が分かっている
:だが愚かなお前たちはこれに気がつかない
:外の世界にはこれに気がついたすばらしい国がある
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  ( ‥)負けて夢を見ている
    ‐□ そういうことに
      聞こえるよね
 
 ∧∧
(‥ )正しい部分もそれなりに
\‐  あるのですけどね
 
  (‥ )それはそうだ。
      とはいえ、そのままだと
      アイドルに自分の理想を
      押しつけるファンと同じ
      現実を見たら
      これは嘘だと
      自己欺瞞するか
      現実に絶望するかだよな

 
 というか、すでに半分絶望しているのである。そうでなければここではないどこかにすばらしい場所がある、などと言い出したりはしない。
 
 

本音を言っている振り

 
 ∧∧
(‥ )日本は本音を言っては
\‐  いけない国なのです
    そういう意見がありますね
 
  (‥ )それはおかしいな
      本音を言う人間なんか
      いるわけないからな
 
 というか、人間が本音を言い出したら殺し合いになるだけだ。

 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )国や地域や時代や
      あるいは場所によって
      言って良い事悪い事
      言わなければいけないこと
      言ってはならないこと
      それが違うってこと
      だろうね
 
 
 本音を言ってはいけないとしている地域もあれば、本音を言っている振りをしなければならない地域もあるんだろう。
      
 ∧∧
(‥ )それを考慮して
\‐   しゃべりなさいと
 
  (‥ )見方を変えればあれよ
      海外へいった時、
      あるいは何かの会合に
      出席した時、
      ここでは本音を
      しゃべって良い
      そういう話を
      そのまま受け取るのは
      危険だってことでもあるね
 
 本音として語って良いのはここまでである、そういう暗黙の了解はどこにでもある。そしてその了解は暗黙であるがゆえに部外者には語られぬまま、”本音を語っていることになっている社会”というものも当然ありうる。
 
 
 

何かが、足りない!

 
 
   ( ‥)おおおおおおお….
 
 ∧∧
( ‥)なによ? また
    食事をしたら覚醒した
    ネタか?
 
   (‥ )まあ聞きなさい
   ‐   ここのところずーっと
       同じものを
       食べていたよね
 ∧∧
( ‥)ごはんとひき肉とキャベツと
    時々、チーズでしょ?
 
 特に問題はなかったのだが、ひとつの〆切をほぼ終えて、別件を処理していくも、なんか具合が悪い、というか眠い、というか作業中や資料を見ている時も寝てしまう、口内炎も出来てるようだし、さすがに疲労の処理が追いつかなくなったか…

 こういう時はなんだ何を食えばいいんだ? 
 
 すると脳内に天啓のごとくトマトの姿がひらめいたので、買い物にでかける。こんな時間でもまだ野菜をまがいなりにも売っている店があるのはありがたい。
 
   (‥ )トマトと卵と煮物を
       食べた途端に
       脳内がぴかー、ですよ
       ぴかー
       トマトすげーよ
       ミラクルだよ
 ∧∧
( ‥)なあ、致命的に何かが
    足りないんじゃねえの?
 
 
 

2014年1月23日木曜日

火星の農夫

 
 火星にいく人を募集
 
 ∧∧
(‥ )いったまま帰還出来ず
\‐  それを了承できる方
 
  (‥ )そもそもいけないと
      思うし
      いってもすぐに全滅
      しそうだし
 
 というか、火星へいくなら南極に自給自足できる居住区を造り、定住し、最終的には独立を宣言しよう、とか言う方がまだ現実感がある。
 
 ∧∧
( ‥)火星にくらべれば
    南極って天国ですからね
 
  (‥ )寒さは同じぐらいか
      あるいは火星より
      暖かいし、
      大気は一気圧
      水も山ほどあるし
      重力も1Gだし
      厚い大気などで
      放射線や紫外線も遮断
      あるいは軽減されてる
 
 南極に入植できるようになってから、火星へいこう、と言うべきなんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )火星定住はテレビ中継して
\‐  金を集めようとか
    そんな話が聞こえて
    きますけども
 
  (‥ )そこんところは
      南極じゃだめなのかな
      南極だとインパクトが
      ないからなあ

 もし、火星が地球並みに大きな惑星だったら。
 
 ∧∧
( ‥)もっと水を持っていた
    でしょうね
 
  (‥ )液体の水があれば
      惑星は死なないですむ
 
 地球の火山は異様に偏った分布を示す。例えば日本は火山列島だが、すぐ近くの朝鮮半島や中国大陸には例外的なものを抜かすと火山がない。
 
 地球の火山は実は水の作用で出来る。地殻の下のマントルは地震波で見れば分かるように固体だ。地球の内部はまだ分かっていないことだらけなのです! とかほざく馬鹿もいるけども、マントルが固体であるかないか、その成分は何か、岩石の組成が何かとか、そういうことが分かっていないわけじゃない。そして固体である以上、地球内部の温度ではマントルが溶けないことは明白だ。火山とマグマの生成を理解するとは、本来は固体であるマントルを融解させる仕組みを考えることでもある。
 
 ∧∧
( ‥)マントルを溶かす一つの方法は
    水を加えて融点を下げること
    である
 
  ( ‥)地球はそれが出来るけど
    ‐□ 液体の水が
      事実上存在しない
      火星はそれが出来ない
      わけだよな
 
 日本が火山列島なのは、水分を含んだ海洋プレートが沈み込む場所だからだ(圧力や温度の上昇による鉱物からの脱水などについては教科書を参考にせよ)。
 
 そして火山があれば二酸化炭素が放出される。
 
 ∧∧
( ‥)二酸化炭素が放出されれば
    温室効果が維持される
    惑星は暖まり、
    水は液体として存在できる
 
  (‥ )火星がもしも地球並みの
      大きさだったら、
      充分な温室効果が
      歴史を通じて
      維持されるような
      惑星だったかもしれない
 
 そうであれば、その火星には海があって、プレートテクトニクスが働いていて、火山列島があって、大陸が移動して、そして生物がいたんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )地球から見る火星は
\‐  たぶん、青く見えるの
    でしょうね
 
  (‥ )火星、ネルガル、マーズ
      古今東西あの惑星の名前は
      火の星、
      あるいは戦闘神の惑星
      だったわけだけど、
      そういう名前では
      呼ばれなかったんだろうな
 
 それこそ水星と呼ばれたり、あるいは女神の名前をつけられたのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)そういう火星がある
    世界だったら、
    人類はもっと熱心に
    火星探査を行っている
    でしょうね
 
  (‥ )もう有人宇宙船が
      到着しているのかもな
      あるいはそれこそ、
      政治的亡命者や
      新天地を求める宗教団体が
      火星に入植しようと
      計画して
      物議をかもしているかも
      しれないなあ
 
 問題はそっから先である。火星の森、火星の海、火星の植物、そして動物。いずれも地球起源の存在ではない。
 
 ∧∧
(‥ )たぶん、同じアミノ酸も
\‐  使っているだろうけども
    異なるアミノ酸や
    人間にとっては有毒な
    化合物を体の基本に
    組み込んでいる可能性
 
  (‥ )食べても消化し切れない
      あるいは有害
      あるいは有毒物質が
      体に蓄積する
 
 森を焼き払って畑を作っても、水にも雨にも風にもそういう化合物が含まれている。栽培する穀物は土壌で火星の微生物と接触するのだから、色々な異常が出てくるかもしれない。あるいは有毒物質を蓄積するということもありうる。
 
 ∧∧
( ‥)もう、土に触れる栽培は
    やめて水耕栽培にするか
    タンクの中で地球の藻を
    育てたり、酵母を培養して
    食料を生産する方が良いのでは
 
  ( ‥)栽培に必要なリン酸とか
    ‐□ 水でさえ可能な限り
      施設内で循環して
      回収、利用できるように
      してね
 
 そうはいっても限度はあるし、野外の生産物を処理して利用する局面もあるだろう。あるいは可能な限り周囲の森を切り開いて、畑を隔離し、最小限の汚染にとどめることでなんとか生活はできる。そういう暮らしの知恵が成立するのかもしれない。
 
 そもそも地球の工業社会から隔離された火星で生活する以上、部品の交換とメンテナンスが必要な、高価な機械に頼った生活は破綻するのが眼に見えている。
 
 ∧∧
( ‥)でも、どうしても微量に
    混入してくる火星化合物で
    体がじょじょに蝕まれたり
    するんですよ
 
  (‥ )なんか、風の谷のナウシカ
      みたいな話だよな
      そういう汚染に
      ある程度なら
      対応できるよう
      体そのものを改造したり
      したらまんまだよね。
 
 青と緑の火星に農夫が入植しても、その生活は非常に過酷なんだろう。
 
 
 そして現実の火星は現在はおとめ座にあり、明け方の空、南に見えている。
 
 ∧∧
( ‥)だんだんスピカに
    近づいてきましたよね
 
  (‥ )そして明るくなって
      きたのだ
 
 今はスピカよりも、さそり座のアンタレスよりも明るい。
 
      
 これはhilihiliのhilihili: 果てしない時間による変貌の続き
 

 

2014年1月22日水曜日

果てしない時間による変貌

 
 昔、まだ学生だった頃、宇宙人が地球に来ているのですって、侵略の目的で来ているのですって、と言う人がいたので、
 
 いやあ..異星人が地球侵略とか、そんな危険なことしないんじゃないの? と言ってみたことがある。
 
 つまりこれは、hilihiliのhilihili: 次の系譜はどの物語? の続き
 
 ∧∧
( ‥)地球人が、生物がたくさんいる
    地球型の星へいったとする
 
  (‥ )まあ、相手もこっちと
      同じく、酸素を呼吸し
      体は水に溶けた
      炭素系の化合物で
      構成されているとする
 
 アミノ酸とかが宇宙にあることからすれば、これは自然に出来やすい化合物なんだろう。他の地球型惑星でも似たようなもので、多分、そこにいる生物も体はアミノ酸から出来ているんだろう。おそらく共通するアミノ酸もあるのではないのか? 食べて、ある程度なら消化出来るかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)問題はそれ以外の成分ですよ
 
  (‥ )地球じゃ実験室でしか
      お目にかかれないような
      化合物が食事に
      しかも大量に混ざっている
      状態だと思うのだけどね
 
 酸素も水もあるのに、大気にも川にも池にも、雨にもそういう化合物が多かれ少なかれ混ざっているはずだ。どんな微量でも、それは人間の鼻に臭うし、当然、それだけでも影響が出るだろう。
 
 ∧∧
(‥ )宇宙服、脱げないよね
\‐
 
  (‥ )そんな世界侵略して
      一体全体どうするんだ
      という話よな
 
 これは相手から見ても同じだろう。こちらはアルカロイド系の化合物とかが毒物だけども、あっちはアルカロイドは平気でも、こっちの何気ないものが有毒になるかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)そんな侵略をするくらいなら
 
  (‥ )隕石を落として、
      地球の生物を抹殺する方が
      良いと思うのだけどね
 
 学生時代には相手にそう言ったものだけど、今から考えれば、宇宙船をぶつければいいのだ。充分に加速し、強大な運動エネルギーを地球にぶつけてしまえばいい。
 
 ∧∧
( ‥)熱に換算すると地球のすべての
    海洋を沸騰させて蒸発させる
    くらいのものをね
 
  ( ‥)生成間もない初期の地球で
    ‐□ 確率的には何度か起こった
      とされる海洋蒸発
      それを人工的に引き起こす
 
 運動エネルギーは粉砕された地殻、ガス化した岩石の猛烈な拡大によってすみやかに地球全体に熱として運搬され、すべての生物は燃え上がり、海洋は蒸発し、真っ赤に焼けた地球は、少なくともその表面は完全に殺菌され、異星人から見て有害な有機物はことごとく分解される。
 
 ∧∧
(‥ )問題は冷えるまで何百、
\‐   何千年と待たなければ
     いけないことですけども
 
  (‥ )さらに蒸発した海洋が
      豪雨になって水に戻って
      嵐が終わるのを
      待たねばならんわけだ
      ご都合主義的に
      冬眠するにしても、
      気が長い話だよな
 
 宇宙船を運動エネルギー兵器として使うにしても、隕石落としでこれを行うにしても、こういう話に相手は、はあ? という顔をするだけだった。そして彼は爬虫類人間が地球に侵入している、という話をするのみであった。そのことを思い出した。
 
 ∧∧
(‥ )ああいう人にとって
\‐  宇宙人ってリンゴを食べたり
    出来る存在なんでしょうね
 
  (‥ )リンゴは地球の生物で
      起源が同一だから
      人間でも食べて
      消化することが
      出来るんだ
      その前提が崩れたら
      結論も崩れる
      そういうことを
      考えたこともないのな
 
 言い換えるならば、一般的な意味で宇宙人を信じる人と話す時には、このようなことを考慮しないといけない。
 
 ∧∧
( ‥)反対にですよ、他の星へ
    入植しなければいけない
    状況に追い込まれて、
    それでいて以上のような
    殺菌と浄化を行えない人たちは
    どうなるんでしょうね?
 
  (‥ )亡命か、宗教的な理由か
      なんにせよ少数で
      移住だよね
      それでいて
      化学工場の廃墟で
      生活するようなものだろ?
      普通に考えれば全滅だよね
 
 それでもなお、生き延びるためにあらゆることをした、というのなら化け物になってしまうのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)地球人の末裔なのに
    地球では生活できない
     生物になってしまう
 
  ( ‥)そういう時間による
    ‐□ 変貌ってのは昔から
      テーマのひとつで
      あったよなあ
      
 宇宙戦争も、タイムマシンも、マン・アフターマンもそうであった。
 
 
 

2014年1月21日火曜日

次の系譜はどの物語?

 
 エヴァンゲリオンは「地球幼年期の終わり」のぱくりであると、人は言う。
 
 ∧∧
(‥ )...二作品の共通点って
\‐  人類が新たな存在になる
    人類がひとつになる
    旧世界は没落する
    それを画策推進する
    存在がいる
    それだけじゃないの?
 
  (‥ )というかだな
 
 「地球幼年期の終わり」がそもそも「ヨハネの黙示録」のぱくりじゃね?
 
 ∧∧
( ‥)異教が支配するローマは
    やがて滅びるだろう
    人類はキリスト教徒のみとなる
    彼らは新たに
    永遠の命を約束されて
    ひとつとなり、そして
    旧世界は没落する
    さらにそれを画策する
    存在がいて、
    彼らは状況を
    推進するために
    使徒を送り込んでくる
 
 
  (‥ )それがヨハネの黙示録
      新約聖書の最終章だ
 
 アーサー・C・クラークの作品、「地球幼年期の終わり」は米ソが宇宙開発競争で宇宙へ行こうとしたその時、異星人が地球にやってくるところから話は始まる。異星人のゆるやかな統治で人類は戦争のない時代を迎え、繁栄するが、異星人には目的、いや、使命があった。
 
 宇宙の物理的な理を自在に操る超絶的な技術を持つ異星人たち。不死と言えるほどに長い寿命。重力を操作する技。慣性を制御し、自在に光速へと到達できる宇宙船。長い歴史を通じ、銀河系をあまねく旅して得た知識。
 
 だがその彼らより上位の存在がいる。物理的な理など超越し、空間も光速も時間の枠組みさえも飛び越えた異形の存在。
 
 その存在に命じられて異星人たちはやってきた。その使命とは人類を完全突破させること。
 
 ある日、ひとりの少年から始まったその現象は瞬く間に全世界の子供に広がる。それはいわばテレパシーに近い能力なのだが、それ以上のものであり、そして個を失うものであった。

 彼ら子供たちは別の存在。全部でひとつの超越的なものとなる。
 
 ∧∧
( ‥)そして子供を奪われた旧世代は
    絶望の中で滅び、
    新たな存在となった子供たちは
    地球を破壊し、吸収し、
    世界を滅ぼして、
    そのより上位の存在へと
    合流する
 
  (‥ )ひとつとなった新世代
      永遠の命
      旧世界の没落と破壊
      それを画策する
      超越的な存在
      彼らに使わされた使徒
      ほら、ヨハネの黙示録と
      幼年期の終わりは同じだ
 
 エヴァンゲリオン以前に幼年期の終わりがぱくりだ、ぱくり。
 
 ∧∧
(‥ )...でも、なんでもぱくりだと
\‐  言うのは感心しませんね
 
  (‥ )しかり、そもそも類似点を
      あげつらえば世界の物語は
      すべてひとつの
      ネットワークで結ばれて
      しまうからね
 
 つまるところ、これはこれこれのぱくりだ、と言うのはあまり意味のない話だと言える。
 
 *注:もちろん、類似点と共通項がある一定数を越えると、ぱくり、ではなく盗作と呼ばれることになることも事実
 
 ∧∧
( ‥)幼年期の終わりも
    エヴァンゲリオンも
    人類の進化と世界の没落を
    扱った物語の系譜
    といったところですかね
 
  ( ‥)まあ、実際の進化って
    ‐□ ああいうものじゃないから
      進化を扱った物語とは
      言えないけどもね
 
 実際、幼年期の終わりの世界観はダーウィンよりもはるか以前、ヨハネの黙示録と同じなのだ。そこにあるのは古典的な存在の梯子、存在は上昇を指向するという世界観で、進化論よりもはるかに古い認識の系譜に他ならない。
 
 ∧∧
(‥ )SFって進化論と相性が
\‐  悪いのですかね?
 
  (‥ )SFの理屈っぽい世界観は
      プラトン的なものが
      あるかもな
      イデア論を破壊することで
      理論を成立させた
      ダーウィンとは
      相性が悪いと思うよ
 
 確かに、ウェルズの「宇宙戦争」も「タイムマシン」もダーウィンの視点から見れば、ハチャメチャな作品なんである。
 
 ∧∧
(‥ )科学史的に見れば
\‐  どっちも興味深い作品ですよね
 
  (‥ )性を持たず機械の体を
      自在に脱ぎ換える
      完全な知的存在である
      火星人
      知性を失い楽園の中で
      享楽と性にうつつを
      抜かす廃墟の未来人
 
 描かれている世界に整合性を持たせようと思えば持たせられないこともないが、かなり無茶があるのは事実。
 
 ∧∧
( ‥)それでもあの世界は
    すばらしいと
 
  ( ‥)原著ではカットされた
    ‐□ という”灰色人”の話
      などは強烈なものが
      あるよね
 
 タイムマシンの冒険にはカットされた話があるという。80万年後の未来、知性を退化させた優雅で無邪気な子供のような人々と、かつて地下に閉じ込められた労働者階級の子孫である夜行性、人肉食の種族モーロック、彼らの世界からさらなる未来へ進んだ主人公が見たのは、浸食で平坦となり、寒冷化して霜が降りる草原の世界。そしてその中を駆け回るのは、小さなカンガルーのように進化した草食獣としての知性無き人類の子孫だった。
 
 さらにその先にあったのは世界の終わり。終末を迎えて赤く冷えた太陽。自転が止まった地球の空はもはや動くことなく凍てつき、寒々しい光景の中に見えるのは地衣類がこびりつく岩と力なく広がる海、そして海岸を跳ねる謎の存在のみとなる。
 
 ∧∧
( ‥)マン・アフターマンなんかは
    そういう知性を喪失した人類と
    世界の没落を描いた物語の
    系譜なんでしょうね

 
  (‥ )環境変動で人類が
      滅び去り、
      地球に残されたのは
      遺伝子改造され
      野生の環境に適応した
      人類のみ
 
 知性を失ったが、新たな人類たちは様々な環境に適応した。大型哺乳類が軒並み滅ぼされた空っぽの世界で自由に進化し、色々なものが現れるのである。水中生活を営む者、肉食に特化したもの、アリを食うもの、樹上で暮らす者。かつて人類によって破壊された地球は、500万年の後に、再び豊かな世界になった。しかも、それら動物相を構成するのは今度は人類なのだ。
 
 だがその時、宇宙から”異星人”がやってくる。彼らは地球を”自分たちに合った環境”に変え、そして必要なものを得て地球から立ち去る。その過程で新たな人類たちは絶滅し、環境は完全に破壊される。地上は不毛の荒野となり、生物は見当たらず、空は異様な色に煙るのみ。
 
 ただ、海の底にわずかな生物たちが生き残った。そしてそこに不思議な動物がいる。それは地球人として最後に残った種族。かつて遺伝子改造でえら呼吸が出来るようになり、そのまま深海に適応した人類の子孫だ。暗黒の世界で視力を失い、新たな器官を持つに至った彼らだが、時間さえあるのなら、自然淘汰によって再び、光の世界と破壊されてしまった地上へと戻ってくるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)そして一方、地上を
    破壊しつくした異星人も
    かつて地球を離れて
    異星へと旅立ち、
    地球と異なる環境において
    遺伝子改造と自然淘汰で
    異形の進化を遂げた
    人類の子孫だったという
    オチでね
 
  ( ‥)こうして物語の系譜は
    ‐□ 伝統を受け継ぎつつも
      新たな要素を加えて
      先へと進んでいくのだ
 
 次の系譜はどの物語?
      
 
   

真っ先に言えば良い

 
 ∧∧
(‥ )対案がないと
\‐  発言しちゃいけないのか?
    と怒る人いますよね
 
  (‥ )発言したって良いさ
 
 単に評価されないだけである。
 
 ∧∧
( ‥)自由と評価は違う
 
  ( ‥)自由と評価を
    ‐□ ごちゃまぜにするのは
      考えた割には良い提案とは
      言えないだろうなあ。

 
 
 ∧∧
(‥ )それでも対案無しで
\‐  評価されたい人は
    どうしたら良いでしょうね
 
  (‥ )真っ先に言えば
      良いんじゃね?
 
 運と見極めが良いと、みんなの気持ちを代弁してくれた! と評価される。対案抜きで。
 
 ∧∧
( ‥)最初のうちだけだね
 
  ( ‥)あぶく銭みたいな人生だが
    ‐□ 悪くないかもね
 
 ただ、じわじわと破滅する可能性がありそうだ。
 
 ∧∧
(‥ )対案がないとは選択肢を
\‐   探索していないということ
 
  (‥ )思いだけじゃ状況は
      切り抜けられんのでな
 
 
 

取りあえず対案を出せ

 
 ∧∧
(‥ )100パーセント負けると
\‐   分かっていたのに、
     なぜ戦いを挑んだのか?
     という批判
 
  (‥ )そう言うのだったら
      対案を出せって
      聞いてみ
 
 大概、もっと悪い提案をしてくる。
 
 

2014年1月20日月曜日

ビッグブラザー(女の子)

 
 声優さんでもアイドルでも、彼氏がいたことが分かったり、あるいは結婚すると取り乱す人がいる。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、ファンってのは
    そういうものですかね?
 
  (‥ )ビッグブラザーの
      ようなわけには
      いかないのかね?
 
 必要なのは、二重思考、そして犯罪停止だ。
 
 ∧∧
( ‥)二重思考とは矛盾する事柄を
    脳内で並列させて扱うこと
    虚偽を本当といい
    本当を虚偽だと信じ込む
 
  (‥ )犯罪停止とは思想犯罪を
      自動的に停止する
      思考のこと
      例えば、
      虚偽を虚偽と暴露する
      この行為は思想犯罪で
      あるとみなされるだろう
      そう認識した瞬間に
      その行為を思考すること
      それ自体を
      自主的に停止すること
 
 
 犯罪停止は思想犯罪と表裏一体だ。思想犯罪を認識しないと犯罪停止はできない。
 
 ∧∧
( ‥)犯罪停止には思想犯罪そのものが
    必要である
    思想犯罪と犯罪停止を同時に
    行わなければ、犯罪停止は
    完全には機能しない
    そしてそれには
    二重思考が必要だ
 
  (‥ )これは虚偽だから真なり
      これは本当であるから
      虚偽である。
      二重思考とは
      そういうものだ
 
 だからその世界におけるスミスはある時、逮捕されるのである。
 
 理由は明白だ。
 
 ビッグブラザー(この世界では女の子)が結婚してしまった、スミスがそう”信じ込んだ”からに他ならない。
 
 なんという許されざる大罪か!?
 
 ∧∧
( ‥)さあ、泣く子も黙る愛情省へ
    連行だー!
 
  ( ‥)101号室に連行だー!
 
 尋問に当たったオブライエンはスミスの病気を解説するのである。君はビッグブラザーが好きだった。彼女が出演する番組、ラジオ、声を当てたアニメ、そのDVD、彼女の歌声、キャラクターソング、金をつぎ込み、楽しみ、仲間との会話で口にして...
 
 だがビッグブラザーを愛して止まない君はある妄想を抱いた。
 
 ∧∧
( ‥)君には寝取られ属性があるね
 
  ( ‥)スミスには寝取られ属性が
      あったのだ
 
 愛する彼女が別の男に寝取られる。その衝撃に脳神経がノックアウトされてしまい、パンチドランカーのごとく麻痺して、さらに興奮してしまう者がいる。そういう同人誌があることも知っていよう。もちろん我々も知っている。というか、君が大切にしているあの同人誌は私が描いたものだ。許しがたい趣味かね? だけどね、あれは単なる虚偽、作られたお話でしかない。
 
 だが、君はいつの間にかそれを信じ込んだ。同人誌から得た妄想は肥大化し、彼女が演じるキャラクターを飛び越えて、ついに君はビッグブラザー(女の子)本人があろうことか結婚した、その記事をネットで確かに見た、ラジオで聞いた、彼女を寝取られた、そう思い込んだのだ。
 
 ∧∧
( ‥)それは思想犯罪だ
 
 
  (‥ )思想犯罪は万死に値する
      だが死ぬ前に、
      異端者は本心から悔い改め
      自分の間違いを認識し
      思考を改め、
      己から死を懇願せねば
      ならぬのだ
 
 異端者を異端者のまま殺す事などしない。異端者は同化され、それから処刑されるのだ。
 
 異端者であるお前は我々にされてから消去されるのだ。
 
 スミスの病気は癒される。それが愛情省の仕事だ。薬物と暴力により彼の心は真っ白に漂白される。だから彼は自分の過ちに気づく。彼は自分の妄想が思想犯罪であることを認識し、自分の病気を直そうと必死に抗う。スミスを尋問するオブライエンは別に処刑人でもないし、拷問官でもない。彼はスミスの心の病気を癒す医者であり、看護婦であり、生まれでる新しいスミスを取り上げる助産婦だ。
 
 そうして二重思考を身につけ、己の非と”妄想”をしっかりと認識したスミスは悔い改めることになるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも処刑の前に通過儀礼が
    あるよ
 
  ( ‥)公開裁判、大粛清だー!
 
 犯罪人は裁判の被告席に立たねばならない。ビッグブラザーが結婚したなどという”認識”をただの一度でもしてしまった不埒者は、いかに悔い改めても、その罪から逃れる事は出来ぬ。
 
 否! 悔い改めているからこそ罪を認め、その醜態を世界にさらさなければならぬ。それがただの一度でも彼女に恋した者の勤めではないのか? そして誰でも良いからかたっぱしから共犯者を名指ししなければならぬ。告発する相手は友人であろうが同僚であろうが親であろうがどうでもいい。それが世の理というものだ。連座するもの数百名。そのことごとくをくびり殺す大粛清。
 
 ∧∧
(‥ )さあ、最後は愛情省の
    真っ白な廊下で銃殺だ
 
  (‥ )壁を覆う、永遠の17歳
      ビッグブラザーの巨大な
      ブロマイドを見上げながら
      背後から頭蓋を銃弾で
      撃ち抜かれるのだ
      一度でも彼女をうたがった
      信徒に対する、これは
      大いなる慈悲。
 
 彼は、歓喜の涙を流し、幸せに抱かれながら死ぬだろう。
 
 
 ∧∧
(‥ )でっ、結婚なさった
\‐  ビッグブラザーはいつ産休に
    入るのですかね?
 
  (‥ )さあ? 
 
 永遠の17歳はたとえ人妻になって娘が17歳になっても17歳のままであろう。それがビッグブラザーというものであり、彼女は永遠なる不死。彼女が死ぬ事はなく、あり得ないことだが、たとえ死んだとしても次の彼女が現れるだろう。そしてそれを支えるものこそ二重思考なり。
 
 
 
 

2014年1月19日日曜日

金属質な夜の空気と月の空

 
 曇天の夜と打って変わり、起きてみると神奈川は青空だった。まさに晴天。
 
   一仕事して買い出しすると 
 ∧∧ もう日が落ちました
( ‥)
 ‐( ‥)冬至を過ぎて太陽は
     北に帰りつつあるが
     まだ絶望的に夜は長く
     昼は寒いのだ
 
 しかし、昨晩は曇りのせいもあってか比較的温度が高く、そして湿度が上がったからだろうか? 空気は雨が降る直前のような匂いを放っていた。それでいて冷えていたからどこか鋭く、金属質な香りがする風。
 
 気晴らしに散歩へ出てみると曇天の空が月の光を良いあんばいに遮る夜更け
 
 ∧∧
( ‥)でっ、その時に撮った
    写真を15時間ぐらい
    遅れているけど
    アップしましょうと
 
  ( ‥)更新こそが生きてる証
    ‐/
 

















 ∧∧
(‥ )露出時間10秒あまりの間に
\‐  雲が動いたから
    なんか油絵のように
    ぬめーってしてるね
 
  (‥ )案外と面白い写真が
      撮れるのな

 
 後半の2枚に写っているのは、大きく育ったシラカシの樹。
 
 

ぽじてぃぶしんきんぐ

 
 
  (‥ )考えてみれば
      ポジティブシンキングって
      相当追いつめられた状況
      なのな
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そういう止むに止まれぬ
    事情の時もあるでしょうね
 

 
 

2014年1月18日土曜日

煽るとは安全パイである

 
 ∧∧
(‥ )15日、海上自衛隊の護衛艦
\‐  おおすみと釣り船が
    衝突した件
    マスコミの報道が
    頭おかしい、という揶揄が
    あったり、
    メディアの姿勢が
    色々と話題になってますね
 
  (‥ )大きな船にそんな
      動きできるの?
      自衛隊をただ悪者に
      したいだけじゃないの?
      そう思わせる無理な
      解説をしてるとか
      まるで報道が素人だとか
      技術に関してまったく
      分かってないとか
      色々と言われてるみたいな
 
 ∧∧
(‥ )どう思います?
\‐
 
  (‥ )震災で原発がぱーんした時
      たまたま仕事で話をした
      新聞社の人間に、
      あなたたちの報道、
      科学的におかしくね?
      と聞いたらだな
 
 困っている人がいるんです! 心配な人がいるんです! それを無視しろというのですか??
 
 と言っていたので
 
 ∧∧
( ‥)ようするに
 
  ( ‥)これって、妥当性や
    ‐□ 客観性じゃなくて
      心配する人に
      あなたの心配は正当です
      あなたは正しいですよ
      そうささやく事によって
      相手に付け入る、
      そういう商売なんだよな
 
 
 なんのこっちゃない、煽っているだけなのだ。
 
 これには幾つかメリットがある
 
 例えば
 
 真面目な報道、つまりこれこれは実際にはこうです、という報道をすると、自分の不安や正義感を否定され、侮辱されたと思い、怒る人は多い。
 
 原発自体がそうではなかったか?
 
 これこれな理由でこれこれな地域にいる人が不安に思う必要はありません。
 
 そう説明された時、涙を流して怒り狂う人が事実としていたであろう。
 
 まあ、あれを思い出せば真面目な報道にはクレームがつきうる。そういうことは予測できる。
 
 こう言うとやはり怒り狂う人がいて放射能がーと色々と反論してくるが、そういう反論には数値やデータがないし、そこにあるのは、私は不安に思います、私の心は痛いです、という叫びだけだ。
 
 以上を反対に考えれば物事は単純。
 
 不真面目で煽り立てる報道の方が、視聴者からクレームをつけられる危険性が減る、ということを示している。
 
 ∧∧
( ‥)煽るとは実のところ
    安全パイであると
   
  (‥ )煽るというのは
      消費者の不安や正義感を
      肯定するという作業でな
      特に積極的に
      クレームをつけたがる
      ような
      不安定で過敏な層には
      効果的であるとも言えるね
 
 もちろん、煽ることで売る、という利益が見込まれるからそうする、ということでもある。そもそも売れなければクレームがあろうがなんだろうがやらないのだから。
 
 そして不安定で過敏な層は購買層にもなりうる。一石二鳥だ。
 
 ∧∧
( ‥)そしてもうひとつは
 
  ( ‥)楽なんだよね
    ‐□
 
 煽るというのは正義感や思い込みに当てはめるということである。人間は機械じゃないが祖先は共有しており、かなりな部分、反応も考えも発想も同じであり、物事をどう自分の思い込みに当てはめるのか? そこんところも同じだ。
 
 ∧∧
( ‥)同じ発想の正義感や
    同じ発想の思い込みに
    当てはめれば
    記事にしやすいし、
    分かりやすい
 
  (‥ )分かりやすいってのは
      自分の思い込みに
      当てはめやすいという
      ことでな、
      それは動作としては
      非常に楽なんだよ
 
 思い込みで記事を書くのは物書きにとって良いことだ。
 
 なんといっても、巨大な物体が水上を移動する際の慣性とか、実際の操船にはこういう制限が出てくるとか、GPSを見れば挙動が分かるからそこを調べようとか、船舶や釣り船、漁船の実際の動態は現実にはどういうものなのか、とか、そういうことをいちいち取材したり、把握したり理解したりしないですむ。
 
 そんなことしなくても記事が書けるではないか。
 
 そしてこれが分かったということであり、分かったとは煽りでしかない、とも言える。
 
 ∧∧
(‥ )分かったとは手抜きである
\‐
 
  (‥ )分かったとは
      ぶっちゃけた話、
      思想犯罪ぐらいに
      思った方がいいだろうね
 
 多分、マスメディアの報道とは、体力が無くなって調べる気もやる気も失ったが、自信と確信だけはついていて、世の中をそねみ、思い込みだけで字数をかせぐ老いたライターだと考えると、挙動が分かりやすくなるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)というか、それただの
    おっさんじゃん
 
  (‥ )そりゃあこの世は
      おっさんで構成されて
      いるわけだからな
 
 おっさんを大量に集めて錬成しても、そうしてできるのは平均化された巨大なおっさんであり、そこには怠惰と疲労と自己欺瞞と思い込みと”分かった”しかない。
 
 
     
 

分かりやすい教科書と言う矛盾

 
 僕でも分かるような、そんな内容の教科書を書いてくれたらいいのに。なんでそんな簡単なことも分からないのだろう?
 
 ∧∧
( ‥)残念、そんな簡単なことは
    誰でも思いついて
    そして大勢が試みて
    全員が失敗したのです
 
  ( ‥)だから冒頭の言葉は
    ‐□ とてつもなく楽観的な
      発言だよね
 
 
 自分は誰も考えつかないような凄いアイデアを思いついた。そのすごさたるや、教科書を作るような馬鹿な連中には思いもつかないような途方も無いものである。
 
 ∧∧
( ‥)...冷静になって読み直せば
   矛盾だらけですね
 
  ( ‥)まあ、
    ‐□ 分かりやすい教科書を
      作ること自体は
      簡単なんだけどな
 
 嘘を書けばいい。分かりやすい、たわいもない嘘を。きれいな言葉をかけると水がきれいになると、そういう美しい嘘。
 
 いや、世界が醜いものである以上、嘘とは美しいものではなかったか? 
 
 ∧∧
(‥ )試験で落とされるけどね
\‐
 
  (‥ )だからほら、
      試験が無くなった
      大人どもは人生が
      嘘まみれになっとる
 
 これもすべて、分かった、分かりやすい、という犯罪行為に走った報いだ。
 
 
 
 

集合意識という前提は仮説の説明能力を削ぐ

 
 その集合を構成する個々のものは別に全体を考えているわけではないのに、遠くから見ると、まるで全体がひとつの生き物、あるいは意思を持つ存在であるかのように見えることがある。
 
 ∧∧
(‥ )例えば鳥の群れって
\‐  そうですよね
 
  (‥ )ねぐらを決める時、
      たくさんいる小鳥が
      猛禽類に襲われた時
      そういう風に見えるよね
 
 youtubeで検索したら、例えばこんなのが出てくる
 
=>Falcon Attack: Peregrine Divebombs Flock of Starlings - YouTube
 
テレビ番組かなにかだよね? というものも出てくる

=>Earthflight (Winged Planet) - Peregrine Falcon Hunts Starlings in Rome (Narrated by David Tennant) - YouTube
 
 ∧∧
(‥ )ローマって冬になると
\‐   小鳥がわんさと
     押し掛けてくるの?
 
  (‥ )暖かさに惹かれるだか
      なんだか、
      そこに猛禽類が
      襲いかかって見事で
      奇妙な運動が開始される
      わけだな
 
 他には例えばなんかうろうろしている動画

=>starling murmuration Gretna 2013 - YouTube
 
 ∧∧
(‥ )なにしてるんだか知らないけど
\‐  遠目から見ると、巨大な
    アメーバーかなにかのように
    見えますよね
 
  (‥ )なにか手探りで考えてる
      生き物のように見えるよね
 
 でも、あくまでもこれは個々の鳥が単純な規則や反応に従って動いているだけで、これ自体が意思のある生物、というわけではない。
 
 ∧∧
( ‥)あるいは意思、というのは
    こんな程度のもの、
    鳥たちが周囲と仲間を見て
    あっちいってわー
    こっちいってわー
    と右往左往するだけの
    物でしかないとも言える
 
 
  (‥ )すると例の話だな
      ドワンゴの会長さんが
      3年前に言ったとされる
      人間はいまやネットを
      媒体とする
      巨大な演算装置の部品と
      化していて、
      いわば集合意識みたいな
      ものがあるという発言
      でも、その集合意識って
      こんな程度の
      話じゃないの?
      ということよね
 
 
 以前も引用したけどもこれ=>4Gamer.net ― 「ひろゆき」みたいな人間が増えていくと,人類は滅亡する!――川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」年末特別号
 
 ∧∧
(‥ )なんかそういう巨大な力と
\‐  社会の剛直性と関連させている
    かのような発言も見られますが
 
  (‥ )会長さんは起業家さんだ
      新しいことをするってのは
      波のないところで
      波を起こして
      サーフィンするような
      無茶ぶりが必要だろう
      からね
 
 なんでこの企画を分かってくれないんだ、と思うのは当然だろうし、世界の剛直さを突破するのが仕事だろうし、そこで苦しむのだろうし、考える以上、考えないことは許しがたいだろうし、頭が良ければネットの煽りサイトとそれに煽られたユーザーの相乗効果による炎上、というようなものを見ると、嫌悪したり呆れたりするだろう。そしてその有様を説明するために集合意識とかそういうものを仮定するのは...
 
 ∧∧
( ‥)立場や立ち位置を考えると
    そんな突飛な発想では
    ないだろうと
 
  ( ‥)最低限、人間個人個人が
    ‐□ 原始的なオンオフの
      部品である
      リレースイッチとなり
      ネットで接続されて
      巨大な演算装置と化す
      それが炎上や、
      集団の剛直性を産む、
      この仮説は
      物事を理解する時に
      便利ではあるかもな
 
 実際、ある程度、世界を説明できる仮説は有意義なものだから、それはその人の指針となるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)ただ、説明できる=正しい
    ではないんですけどね
 
  (‥ )プトレマイオスの天動説が
      1400年の長きに渡って
      採用されたのは
      性能が良かったから
      だからね
      だが正しくなかったわけだ
 
 有意義だからといって、その仮説が正しいとは限らない。
 
 もちろん、有意義だから間違っているわけでもない。
 
 そして有意義であれば、たとえ結果的に間違っていても役に立つのだ。仮説とはそういうものだ。
 
 ∧∧
(‥ )ともあれどう考えるべき
\‐  なんでしょうね?
    鳥の群れの行動が
    個々の鳥の単純な反応の
    累積でしかないのなら
    意識なんてそこにはないし
    反対に、意識なんて
    こんな程度のもんだろ?
    そう思えば鳥の群れは
    全体として情報を処理して
    反応を出力していることに
    なる
 
  (‥ )意識うんぬん、という
      難しい単語を使うから
      理解が混乱するんじゃね?
 
 ∧∧
( ‥)解答の探索は集団を構成する
    個々のメンバーのごく単純な
    行動と反応、相互作用で
    充分に計算することができ、
    出力が可能である
 
  ( ‥)そうねえ、集合意識仮説の
    ‐□ 悪い点はここにあるの
      だろうな
 
 意識という単語は、具体的な演算の過程やどんな入力があったのかをまったく語っていない。
 
 つまり、意識という言葉は文章中においてごまかしとして機能してしまう。
 
 ∧∧
(‥ )そもそもこのパソコンには
\‐  意識があるから性能が良い
    あるいは反対に
    意識があるからバグる
    なんて言いませんからね
 
  (‥ )集合意識って単語を
      排除した方が
      仮説は説明能力が
      高まるのだろうね
 
 人類集団に集合意識がある、という前提は多分、仮説の説明能力を削ぐだろう。さらに言えば、そもそも私たち自身に意識があると考えることがおそらく間違いだ。
 
 ∧∧
( ‥)人間に意識なんてない
    意識は錯覚だ
    あなたの昔からの持論だけど
    そのままだと根拠のない信念
    だよね?
 
  ( ‥)人間は無意味な信念を
      持つものさ
 
 ではどちらの説明能力が高いか? それが争点になりうる。
 
 
   
     

2014年1月17日金曜日

ハンマーで、そーれぶっ叩け♪

 
 自分が正しいと思った時、人は最も攻撃的になれる。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、確かにね
\‐  そうでしょうね
 
  (‥ )正しさの問題はだ、
      正しいと
      自分がそう思っていても
      それが間違いである場合が
      しばしばあって、
      自分の正しさだけという
      確信で突き進むと
      犯罪行為に至ったり、
      大虐殺のあげく
      全部失敗でしたー、てへ
      みたいなことになる
      点だよね
      まさに言わんとする
      通りのことだな
 
 
 正しさは自分自身の正しさを保証しない。だから正しさ単体ではそれが結果的に正しいかどうか分からない。正しさは正しさと全然関係ないとも言える。
 
 だから、虐殺しておいて、失敗でしたー、てへ になるし、これは普通に起こる。例えばの話、己の無謬性を信じて止まないマルクス主義者はそれを行って死体の山を築いたし、ブッシュJrはイラクに攻め込んであの有様。
 
 冒頭の言い様も、そうしたものゆえの言葉なんだろう。正しいという確信は暴力的で、しかも結果を保証できないからたちが悪い。
 
 ここで、少し話を変えると。
 
 ∧∧
( ‥)科学もまた攻撃的
    ですよね
 
  (‥ )ただ、科学の場合、
      確信もさることながら
      これはテストを
      切り抜けたので、
      取りあえずこれでいいや
      と考えるがゆえの
      攻撃性だよね
 
 自分の仮説はテストを受けて、その性能が保証された。
 
 こういう世界観だと、他人の仮説もテストを受けるべきだ、そう考えるのは当然である。
 
 つまりこれはお前たちのものよりもずっとすばらしい! と吹聴しながら、自家製の仮説を得意げに持ってくる奴がいたら、まず、その仮説をそいつから取り上げてなんの遠慮もなくテストする、ということを示している。
 
 それは当たり前なんだが、だがしかし、他人の眼には科学の無慈悲な暴力性と写る。
 
 ∧∧
( ‥)そーれ、ハンマーで♪
  ‐
    (‥ )そーれ、ぶっ叩け♪
    ‐
 
 ガンガンガンガンガン
 
 ∧∧
(‥ )木っ端みじんだね
 □‐
 
   (‥ )ごみかすだな
       返してきなさい
 
 ∧∧
( ‥)なんか怒ってるよ?

   ( ‥)こっちの仮説にしたのと
     ‐□ 同じ事をしただけだから
       気にすることはない
       こっちの仮説も
       べこべこだしな
 
 完璧な仮説などありえない。完璧な仮説はむしろ毛嫌いされる。テストでべこべこになってもちゃんと動けるシンプルで頑健で使い勝手の良い仮説。それが重宝される。ガラス細工みたいな仮説なんて、いくら美しくてもそんなものはゴミだ。泥だらけでも動く、そういうものこそが必要だ。
 
 ∧∧
( ‥)そういう意味では科学と
    その正しさも攻撃的だと
 
  (‥ )代わりにテストは
      平等だけどな
 
 ∧∧
(‥ )そういうテストを受けない
\‐  自由が俺たちにはあるんだ
    という反論もありますね
 
  (‥ )500キロの悪路を
      走り抜けるテストを
      私は拒否するけども
      それでもなお、
      俺の作った四輪自動車は
      世界最高の自動車だ
      そのはずだ
      テストを受けろというのが
      そもそも理不尽だ
      そういう理屈だよね
      文化人に多いへ理屈だけど
      そういう主張をしても
      自動車の性能自体は
      保証されないけどね
 
 つまり、正しさという言葉は解像度が悪い単語だとも言える。事実、以上二つの違う事例、検証の有無とその異なる結果、そして性能の保証があるかないか? 正しさという言葉はこの違いを識別できていない。
 
 
 
 

反知性主義者め! という金切り声は無惨なり

 
 ∧∧
(‥ )眼を覆わんばかりの
\‐  反知性主義…
 
  (‥ )自分は知性があるという
      主張でもあるが、
      それにはまず
      知性とは何か?
      自分に知性があるとは
      どういうことか?
      それを論証して
      もらわんとな
 
 つまるところ、
 
 ある行動を反知性主義と批判する。

 それは、その行動が知性的でない、と言っているだけで、そんなもの説明ではない。
 
 それは、”僕ちゃんが反知性主義と呼ぶ行動”をその人々がなぜしているのか? その説明に彼自身が失敗しているということに他ならない。
 
 ∧∧
( ‥)ようするに自分にとって
    気に入らない人々の行動を
    反知性主義と言っている
    だけなのである
 
  (‥ )人々の動態を記述する
      理論を作る事が
      彼には
      出来なかったのだ。
      だから
      気に入らないそれを
      具体的に説明できない
      彼は、
      反知性でしょ?!
      そうでしょ! としか
      言えないわけだね。
      無様なことだな。
 
 
 こんなものは反知性主義だ、と叫ぶのは、こんなものは悪魔に取り憑かれた証拠だ、と言っているのと大差ない。どっちも説明ではない。単なる感想だ。
 
 知性を標榜する人間が説明に失敗して絶望の叫びを上げる。その稚拙な表現が”反知性主義者め!”という罵倒。
 
 ∧∧
(‥ )知性論者を自認して
\‐  おりながら
    この有様でございます
 
  (‥ )これが本当の
      反知性主義者って
      ところかな?
      あるいはただの
      未熟者か?
      それともぼけたか?
 
 理論を作れ
 
 データを集めろ
 
 理論とは関係のない検証方法で理論それ自体を確認しろ
 
 ∧∧
( ‥)それが出来ないとなると
 
  ( ‥)ポエムな言葉しか
    ‐□ 出てこなくなるものよ
 
 反知性主義者め! ああ、なんという切羽詰まった絶望の叫びか。物事を記述できない劣った脳が金切り声でポエムを叫ぶしかないとは、なんと無惨な有様。
 
 
 
 

ゾンビは実在しないかもしれない

 
 人間は自立した計算機ではない。演算を行う巨大な装置の部品でしかない。選択肢Aを選ぶかBを選ぶか? その結果は生か死か? 二進法のオンオフとは意味は違うが、生死のオンオフで演算を行うための部品、それが我々人間。あるいは私たち生物。
 
 ∧∧
( ‥)そしてそれこそが
    進化である
 
  (‥ )ただ注意しなければ
      ならないのは
      演算装置が装置として
      実在しているとは
      言えないんじゃないか?
      少なくとも、実在には
      条件がある
      ということかなあ
 
 例えばの話、ゾンビは実在するか?
 
 ∧∧
( ‥)実在しないよね
 
  (‥ )仮に実在するとしよう
 
 ゾンビは人間を遅い、襲われた人間はゾンビになる。こういう単純な仕組みで成り立っている。
 
 *実際には歩いて障害物を避け、人間を認識して追ってくる時点で、ゾンビは相当に高度なことをしているはずなんだが、そういう話は取りあえず脇に置く。
 
 ∧∧
( ‥)ゾンビは無限の体力を持ち
    知能は無いが、
    数と時間で侵入経路を見つけ
    シェルターに隠れた人間に
    せまってくる
 
  (‥ )侵入経路を発見する
      いわばゾンビは
      迷路を解いているわけだ
      問題を解いていると
      言っても良い。
 
 だがしかし、
 
 ゾンビは問題を解く能力をそなえた、ひとつの演算装置と見なせるのだろうか? 
 
 ∧∧
( ‥)ある意味ではそうですよね
    実際に、うがー、うがー
    言いながら侵入してくる
    つまり侵入経路の探索という
    問題を解いている
    わけですからね
 
  (‥ )ところがだ、ゾンビを
      単一の存在、つまり
      全体でひとつの存在である
      とみなしてよいのか?
 
 たぶん、見なせないだろう。
 
 ゾンビと呼ばれる個々の個体は
 
:人間を見つける
:人間を自分と同じものにする

 この二つの動作を淡々と行っているだけだし、連携すらしていない。
 
 ∧∧
( ‥)小さな容器の穴を見つけるには
    どうすればいいの?
 
  (‥ )まあ、水に沈めればいい
 
 水分子がわーっとあらゆる箇所から侵入しようとして、その結果として穴が見つかる。それは容器内部の空気と水が置き換わる過程で生じる、泡が出る場所として特定される。
 
 ∧∧
(‥ )個々の水分子さんは
\‐  無意味に動き回って
    密度の違いがあれば
    空気の下へ動くだけ
    お互いに連携していないね
 
  (‥ )水分子の集合体を
      僕らは水と呼ぶけども
      あれを計算機などとは
      呼ばないよな。
 
 アナログな計算機、というのは色々とありうる。例えば3点から等距離の場所を探すのに、地図上の3点に穴をあけて三つ又の紐を通し、紐の先に重りをつける、というのがあった。
 
 ∧∧
( ‥)これは個々の部品が
    ちゃんと連携してるね
 
  (‥ )ゾンビや水よりは
      計算機だよな
 
 これは一体であり、これは演算する装置として実体だ、と言って良いのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)反対にゾンビや水は
    問題を解いているけども
    装置として存在している
    わけではない?
    そういうこと?
 
  ( ‥)ゾンビと呼ばれる存在が
    ‐□ 実際にいたとしても
      ”ゾンビ”が実在かというと
      凄く怪しいとも言えるよね
 
 だが、もしもある程度連携できるゾンビだったら?
 
 ∧∧
( ‥)A地点で人間を発見、
    それも多数
    こういう信号を
    ある程度共有できる
    ゾンビさんですね
 
  (‥ )こうなるとひとつの
      計算機になってくる
      そんな感じだよね
 
 ∧∧
(‥ )人間や生物はほとんどの場合
\‐  遺伝子の交換を何らかの形で
    行いますよね
    そういう意味では連携、
    網目状につながった実在
    ですかね?
 
  (‥ )ふむ。つまりあれだ
      人間や生物は、
      ゾンビや水よりは
      なんらかの実体に近い
      計算機としての存在が
      より固い、
      そういうことが
      言えるのかな
 
 言い換えれば、ゾンビは仮にそれが存在しても、全体としての実在は無い、とも言える。
  
 
 *ちなみに
 
 そういえば2013年はこのhilihiliにおいてゾンビねたが多かったのであった

=>hilihiliのhilihili: ゾンビウォーズ
=>hilihiliのhilihili: 不屈さも勝利も、それは体力あってこそ
=>hilihiliのhilihili: ゾンビ民主制
=>hilihiliのhilihili: ゾンビは健脚、賢者は残骸
=>hilihiliのhilihili: 隊伍を組むゾンビは脅威ではない
 
 ∧∧
(‥ )そして今度は
\‐  ドワンゴ会長さんの言葉に
    触発されて、また色々と
    考えているわけですか

つまりまたこのネタ=>hilihiliのhilihili: 解探索にはリレースイッチで充分でしょう
 
  (‥ )ゾンビは演算しているが
      計算機そのものではない
      人間を含めて生物は
      演算しており、なおかつ
      系統全体として見た場合
      解探索の計算機として
      機能している。
      そういう理解を
      暫定的にしておこう



 
 

2014年1月16日木曜日

16日の青空と猛禽類

 
 昨日の神奈川は曇天=>hilihiliのhilihili: 西と北は晴れていた
 
 本日は打って変わって、晴天の青空
 
   一仕事したから
 ∧∧ もう三時
( ‥)
 ‐( ‥)ひなたぼっこには
     ちょっと遅いけども
     体を動かそう
 
 枯れ葉が青空の中、風に揺れている。












 
 青い空を眺めやり、すこし日当りの良い場所でひなたぼっこしてから図書館へ向かう。早くも夕暮れ。目当ての本を借りて帰る途中。道向こうの樹の上に小さな猛禽類がいることに気がついた。
 
 ∧∧ オオタカさん?
( ‥)
 ‐( ‥)なんかそうだって
   ‐□  話を聞くな
      先日は小鳥を襲って
      失敗するのを
      見たよね
 
 撮影してみるも、さすがにポケットサイズのデジカメの望遠では厳しい。日が既に落ちていること、より正確には落日が雲に隠されている状態であることもあって、画像は荒い、荒い。












 
 ∧∧
(‥ )まあ、でも、
\‐   猛禽類さんだって
     ことは分かるよね
 
  (‥ )以前、ツミだと
      思っていた猛禽も
      オオタカだったのかな?
 
 この話=>hilihiliのhilihili: むしむし
 
 もう4年近くも前のことになる。
 
 




利便さゆえに簡略化された次元は牢獄になりうる

 
 ∧∧
( ‥)ネットで困ること
    と言いますと
 
  ( ‥)そうねえ
    ‐□ 自分で広がりを
      作らなければ
      いけないところかな?
 
 検索すれば良いじゃない。
 
 ∧∧
( ‥)検索のキーワードは
    どこから出るの?
 
  (‥ )これが自分の”知ってる”
      からしか出てこないの
      だよね
 
 知っているから出たキーワードで検索されたものは、自分が知っていることであったりする。
 
 ∧∧
( ‥)自分が持つ、
    知っているという
    牢獄から外へ出る事が
    出来ない
 
  ( ‥)不可能ではないが
    ‐□ 出るには
      一工夫必要なんだ
 
 だがその工夫、例えばこのキーワードとこのキーワードの組み合わせで検索してみよう、というその発想、それ自体がやはり自分の”知っている”から出てきたものだったりするから、やっぱり最初の牢獄から出ようとしても出れない、という問題。
 
 ∧∧
(‥ )図書館とか本屋さんでも
\‐  これは生じますよね、
    自分の好きなジャンルや
    興味のある棚にしか
    いかないという
 
  (‥ )だけどもネットよりも
      楽なんだよね
      棚の裏に回れば
      良いだけだからな
 
 頭の中に思い描いてみれば分かりやすい。図書館のすべての蔵書とその内部の単語を全部検索できたとする。
 
 ∧∧
( ‥)検索された情報を全部
    線でつないでみると
    考える
 
  (‥ )図書館を縦横に走る
      バーチャルな線を
      考えてみるのだ
 
 途端、検索というものの便利さと共に、その広がりのなさを認識してしまう。
 
 ∧∧
( ‥)次元が低い、とも
    言えますかね?
 
  (‥ )まあ、そんな感じだな
 
 次元が低い、とは日常会話では愚かな、とか劣っているという意味で使われるが、ここではそういう意味ではない。縦、横、高さ、あるいは一次関数、二次関数、三次関数、というように要素の広がり、空間の広がりのことを示す。
 
 ∧∧
(‥ )図書館という厚みのある
\‐  空間が線という一次元に
    なってしまう
 
  (‥ )厳密には分岐したり
      交わっているから
      一次元よりは広いわけだ
      でも二次元でもないよね
      1.5次元とか1.2次元かな?
 
 もちろん、次元が低い、というか、単純である、だから便利なのだ、ということでもある。
 
 ∧∧
( ‥)地図は三次元世界を
    二次元に押しつぶして
    簡略化して
    その代わりに
    便利に使えるように
    したものです
 
  (‥ )ネットの次元、
      検索の次元が
      現実より低い
      これは問題でも
      なんでもない。
      そうしたがゆえの
      便利さだろうね
 
 実際、検索機能が無かった場合の資料の探索を考えてみれば分かるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、その代わり我々は
    検索機能に特化し
    簡略化された次元の世界に
    閉じ込められてしまったと
 
  ( ‥)地図は便利なんだが
    ‐□ その二次元の世界に
      封印された
      高さの無いこの世界で
      上に向かう出口を
      探すような状況に
      追い込まれるって
      感じかな?
 
 図書館を走る検索の線、その世界に閉じ込められた。
 
 ∧∧
(‥ )より煩雑な高次元の世界で
\‐  あれば、すぐ隣にある世界、
    すぐ隣にある情報に
    たどり着けなくなる
 
  (‥ )世の中の人がネットで
      掲示板やまとめサイト、
      炎上案件
      あるいは雑学のコンテンツに
      飛びつき群がるのは
      気持ち分かるな
      簡略化されたがゆえに
      手に出来た利便さと
      引き換えに失った事柄
      新しい出口、
      新しい刺激、
      知らなかったこと、
      牢獄からの脱出経路に
      飢えているんだろう
 
 では?
 
 本を読んでこれらネットの振る舞いを馬鹿にしている賢しい知識人は次元が高い人種なのか?
 
 ∧∧
( ‥)どうよ?
 
  ( ‥)あいつらは
    ‐□ 自分で作った
      牢獄の中にいて
      自分の牢獄が最高だ
      と言い立てている
      連中だろ?
      論ずるようなものでは
      ないよね
 
 分かったしかないから、どんな事態にも分かったような意見しか述べられないし、それゆえに一向に実行されることはなく、文句と言葉と言い訳だけである。連中は分かっただけの囚人だ。
 
 我は高次元の住人なりと世の中を見下しながら、実際には自分で作った、簡略化された狭い狭い”理解という名の牢獄”に引きこもっておる。
 
 ∧∧
(‥ )他人様のことは放っておいて
\‐   我々はどうすべきですかね?
 
  (‥ )さてねえ、調べものを
      している時
      散歩している時、
      そういう時が一番
      ぞくぞくするから
      やっぱあれだね、
      知らないものを探しに
      いくのが一番だね
 
 
 以下はこの話=>hilihiliのhilihili: 解探索にはリレースイッチで充分でしょうの続きでもあるのだけども

 リレースイッチとコンピューターについて調べようと、図書館から「コンピューター開発史」を借りて読んでいたら、こんな話を見つけた。
 
 リレースイッチ、すなわち、電磁石でオンオフを行う装置を用いた初期のコンピューター、ハーバードマーク1(Harvard mark1) これのプログラミングを担当していたグレース・ホッパーさん(Grace Brewster Murray Hopper)。
 
 1945年、彼女がハーバードマーク2(Harvard mark 2)を使用中、このコンピューターが動かなくなった。調べたらリレーに蛾が挟まっていたという。
 
 ∧∧
( ‥)これがプログラムの間違いを
    指す、バグ:bugという名称の
    由来であると
 
  ( ‥)このコンピューターは
    ‐□ 海軍で使われたせいか
      きちんとメモと蛾が
      残されているのな
 
 =>https://www.google.co.jp/search?q=harvard+mark+2+bug+moth&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=rc7WUtftO8nlkgWlg4HIDw&ved=0CAcQ_AUoAQ&biw=1233&bih=…
 
 ∧∧
(‥ )調べると、
\‐  この話や逸話、画像
    それ自体はwikiにも載って
    いることだけども
 
  (‥ )プログラマーや
      バグに興味を抱いて
      調べた人にとっては
      既出だろうね
 
 だが、知らない人や興味の無い人にとっては簡略化された次元の隣にある見知らぬ情報だろう。
 
 ∧∧
( ‥)ドワンゴ会長さんの
    何気ない言葉から
    ここにきましたか
 
  (‥ )まあ、何事も
      つらつら調べて
      みるもんさ
 
 
     
 
      

2014年1月15日水曜日

西と北は晴れていた


 
 昨晩からの深い曇り空。
 
 ∧∧
(‥ )気象衛星の画像を見ると
\‐  南西の方角から関東にかけて
    厚い雲が伸びてますね
 
  (‥ )南の雲ってことかな
      確かに西の彼方と
      北は晴れているんだよね


 
 午後をしばらく回った15:00ごろ散歩にいくと、西空の向こうには傾きかけた太陽を隠して輝く雲が











 
一方、北西に眼をやれば青く透ける遠い空が










 
しかし、頭上を仰げば分厚く伸びる一枚板のような雲











 
 ∧∧
( ‥)曇り空で今日もひなたぼっこは
    不可能であったと
 
  (‥ )関東南部ってさ、
      列島の折れ曲がった
      角っちょにあたるせいか
      南から伸びた雲に
      覆われちゃうことが
      結構多いよね。
      周囲は晴れてるのに
      ここだけ雨降ったり
      曇り空だったり


 
 さすが秀吉がいやがらせで家康を送り込んだだけのことはある、というべきか。
  
 ∧∧
(‥ )ひなたぼっこができなく
\‐  なったら、それは南から
    雲がきたということ
 
  (‥ )それが冬の終わりの
      天気なんだけどな
      なんかいつもよりも
      早くきてる感じかなあ 






海上も地上の道路とそこは同じらしい

 
 以前、小さな船に乗る機会があった。長さは50メートルぐらい。瀬戸内海を航行中、甲板に出て春の嵐の合間に広がった青い海と行き交う船を眺めていると、右前方45度ぐらいから小さな船が猛烈な勢いでやってくるのが見えた。
 
 *あるいは左だったかもしれない。後で船長さんから「ルール上こちらに問題はないのだけど、当たるわけにはいかない」というような発言があったと記憶しているから。
 
 ああ、木造の古式ゆかしい漁船だ。それにしても速い速い。波を切り、跳ねるように向かってくる。というか、これ、衝突コースじゃね? 直行する道路で同じ十字路に向かう同じ速度の車が、一見止まって見える。それに近い状態だ。相手の船はみるみる大きくなっていくが、視界の中ではその位置、ずっと45度。おいおい大丈夫か? ぶつかっても、あっちは木製、こっちは鉄製、沈みはしないだろうが、一体どうなる? ひょっとしたら俺、甲板から振り落とされたりしないだろうな?? こっちの船は速度を落としたように思えたが、なにぶん水上だ、別に止まったりはしない。一方、あちらはむしろ速度を上げたように見えた。
 
 ∧∧
( ‥)そうしてこちらの前方を
    ほとんどすり抜ける形で
    波をかき立てて横断して
    いったと
 
  ( ‥)後で船長さんに聞いたよ
    ‐□ 
 
 さっき、危ない船ありましたよね?
 
 ああいうのはもう避けようがないんだよ。ぶつかってもこっちは大丈夫だけども。それで終わりじゃないしねえ。
 
 
 ∧∧
(‥ )結構そういう事例は
\‐  多いようであると
 
  (‥ )自分が乗った船は目的地を
      目指して
      瀬戸内海を航行して
      いたわけだ。
      つまり東西に移動する
      わけだね

 
 だけども、そうでない人もいる。勢い横断することになる。それは当然なのだけども、海上も地上の道路と同様、色々なことが起こりうる。慣れから危ない運転をする人や、暴走する人、居眠りする人、不可解な運転をする人、そういう人々が出るのは道路と同じらしい。しかも、海は二次元の世界で、地上の道路のような線で制限された世界よりも危険を広げる余地はどうも多い。ルールはあれども信号機があるわけではない。長い道路を運転していると眠気や睡眠状態、幻覚を見ることもあるように、自由度があって広く単調であるとは安全であるように思えて、そういう危険性すらはらんでいる。
 
 ∧∧
( ‥)ああいうのを見ると
    物事に対する見方が
    変わる?
 
  ( ‥)ぎょっとする経験が
    ‐□ あるとそれは
      印象的なんでな
 
 
 端的に言うと、大型船に漁船が沈められたとしても、じゃあ大型船が悪者に違いない、ということにはならない。そういうことである。
 
 

民主制も愛国心もついたり消えたりする

 
 外へ出てみると昼間とは打って変わって曇天。月がどこにあるのかさえも分からない深い雲。
 
   
 ∧∧ その割には寒いですね
( ‥)
 ‐( ‥)曇りの夜は放射冷却が
     弱いはずなんだけどな
 
 まるで雪でも降りそうだけども、実際にはそんなこともなく、雲は高く、遠く仰ぐ丹沢の山なみはてっぺんまではっきりと見えた。
 
   雪が上にあるのなら
 ∧∧ 山までかかるからね
(‥ )
 ‐( ‥)雪が降りそうになると
      街の灯で空はもっと
      明るく、近く見える
      ようになるからね
 
 さて
 
 非民主的な未開で野蛮な社会。
 
 この手の発言は、民主主義は人類が築いた社会の頂点であり、その進化の最終形である、という発想がおそらく背景にある。
 
 ∧∧
( ‥)進化って…それ、
    進化じゃないじゃん
 
  (‥ )世間一般的には
      これが進化なのだ
 
 鉱物からキノコが、キノコから植物が、植物に運動と神経が芽生え、昆虫が、魚が、獣が、そして魂を持つ人間が産まれた
 
 こういう”進化観”は根強い。
 
 ∧∧
( ‥)それ進化じゃねーよな
 
  (‥ )だが、これが一般的な
      進化観なのだ。
 
 だから、苦もなく騙されたのだろう? 資本主義は自動的に社会主義になりそして共産主義へと進化する。こんなたわいもない嘘っぱちを真に受けたのはなんのこっちゃない。人間がこういう”進化観”を脳内に持っているからだ。
 
 ∧∧
(‥ )なんでなんでしょうね?
\‐  そもそもダーウィンさんが
    進化理論を形作る前から
    あった発展の概念なわけで
    ”進化観”は進化理論と
    全然別ものであることは
    確実なんですけど
 
  (‥ )分からん。ただ、
      歴史を個人の成長に
      見立てているのかも
      しれない
 
 あるいはこの”進化観=発展観”、実際にはそんな古くない可能性もある。人類社会は黄金時代から銀に、銀から青銅に、さらに鉄へと堕落した。かつてはそういう、時間の経過=劣化、という世界観もあったわけだから。人間の思い描く歴史像は必ずしも、未来=発展、とは言えないのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)だけどもこういう進化観
    というか発展の思想
    つまり、
    後から出たものが
    すぐれているのだ!
    という思想は現代社会では
    根強いですよね
 
  ( ‥)そのひとつが
    ‐□ 民主主義が最終形態だ
      という世界観で、
      我々の現代社会は野蛮で
      未開な封建主義から
      進化してきたものだ、
      という世界観だな
 
 うはっ、笑わせてくれる冗談だ。ギリシャの直接選挙制はローマの世襲制議員たちに滅ぼされ、そのローマも元首制から帝政へ移行した。これは学校の授業で習ったことではなかったか?
 
 ちょいと物忘れがひどすぎやしませんか? 民主制はついたり消えたりする。そんなはかない代物だ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、人間社会は
    発展するのではなく
    文字通り、進化するのだと
    ダーウィニズム的な意味で
    解を探索したその結果だと
 
  (‥ )皮肉な話だけどね
      ドワンゴ会長さんの
      言い様は正しいのだ。
      会長さんは否定的な
      意味でいっていたけどね
      あの人の主張は、
      実は正しい。
 
 人間はリレースイッチである。機械的な動きでオンオフを動作するのろまな演算部品でしかない。しかし、それゆえに様々な試行錯誤の果てに思わぬ解を発見する。
 
これ自体はこの話=>hilihiliのhilihili: 解探索にはリレースイッチで充分でしょう
 
 
 ∧∧
(‥ )単純に言えば、
\‐  ギリシャの直接選挙制は
    素人の愚かさゆえに
    ローマに敗北した
    しかしローマも議員同士の
    争いを終息させるには
    独裁制に移行するしか
    なかった
 
  (‥ )なんかそんな感じ
      なんだよな
      今の僕らのように
      官僚がいたらそんなことに
      ならなかったのかも
      知れないけど、
      それこそそうは
      ならなかったわけだ
 
 彼らには彼らの制限や限界や受け継いだ枠組みがあった。考えてみれば誰だって枠組みの中でしか自由や可能性を行使できないんである。あるいは完全な自由を求めようとして枠組みを破壊すると….
 
 ∧∧
( ‥)取り返しがつかないことに
    なるか、あるいは
    反発を食らって殺されると
 
  ( ‥)枠組みは一人のものじゃ
    ‐□ ないんでな
      そりゃ当然だよね
 
 ∧∧
( ‥)あなたがたに自由はない
 
  (‥ )あってもリレースイッチ
      としての自由しかないのだ
      オンかオフか?
      生か死か?
      成功か失敗か?
      物事はしばしば
      白黒ではないけども、
      結果は概してそういう
      ものよな
 
 そして人間というリレースイッチのオンとオフ、つまり正否を決めるのは、その選択肢から利益が出るか出ないか。単純にそれだけだろう。民主制は最高。反民主的な社会は野蛮。そんなずさんな理解や理念なんぞ、生きる死ぬの前にはひとたまりもない。
 
 ∧∧
( ‥)例えばギリシャの市民軍は
    士気は高いだろうけども
    力任せの素人集団だとも
    言える
 
  (‥ )実際、勇ましい社会
      だったわけだよ
      だけどさ、
      プロの軍人が出てきて、
      戦争が複雑化して
      それと同時に
      落ち目になっていった
      みたいなんだよな。
      素人は舞台から退場し
      そして民主制は終わりを
      告げる。
 
 当たり前ではなかろうか?
 
 反対に素人でも容易に扱えるが強力な武器、銃が開発されると、素人の市民を大量動員して銃剣をそろえ、何度も突撃を繰り返すようになり、愛国心を煽り、市民はそれこそ市民権を得て民主制が確立し、同時に、敵国民に対して残虐で不寛容になった。
 
 当たり前ではなかろうか?
 
 民主制も愛国心もはかないもの。そんなものついたり消えたりする代物だ。
 
 ∧∧
(‥ )利益が出るか出ないかで
\‐  制度が決定される
    そういうことですかね
 
  (‥ )それを考えると、
      冒頭の言葉
      非民主的で未開で野蛮な
      社会って言葉はさ
      やっぱ、
      ちゃんちゃら笑える
      精神論だろ?
      精神論のくせに、
      いや精神論だからか
      根っこが腐って
      基礎がありゃしない
      ニートの大言壮語と
      変わりやしねえ。
 
 思えば、賢しい知識人は言うのである。民主主義は寛容であると。そうであろうか? 自国民ではない、という理由だけで差別し、敵国民を抹殺し、あるいは平然と奴隷化してきたのが民主制ではなかったか?
 
 賢しい文化人は言うのである。愛国心は民主的ではないと。そうであろうか? 愛国心を煽り立て、一般素人を戦争に送り込む仕組み。これこそが民主制の恐ろしさと力の源ではなかったか?
 
 そして彼らは言うのである。愛国心はいらない。寛容が必要であると。
 
 ああ、それは矛盾ではないのか? 仮にそうであるなら、それはもう民主制ではない。
 
 ∧∧
( ‥)愛国心がなく
    寛容である
    おそらくそれは
 
  (‥ )プロの軍人に支えられた
      独裁制だろ?
      独裁制って言うと
      昨今の連中はすぐに
      ファシズムを連想するが
      あんなもの、
      民主制の鬼子だからな
      そうではなく、
      プロの軍人と君主制だ。
      
 
 確かに実際、過去においては公用語は存在せず、言語の強制もなく、愛国心とかそんなものもおそらくは希薄な、異民族と異言語が無数に使われる君主制国家が存在したのであった。その帝国はいまや瓦解して、それこそファシズムっぽい民主国家やら民族紛争の地へと変貌してしまったけども。
 
 ∧∧
(‥ )今の社会は、どこへ
\‐   むかうのですかね? 
 
  (‥ )さてねえ、今は
      演算の最中だからな
      みんな解を求めて
      もがき苦しんどる
 
 
 これはhilihiliのhilihili: 自由な意見は別に妥当性を意味しているわけではないの続き
 
 
 
 

2014年1月13日月曜日

自由な意見は別に妥当性を意味しているわけではない

 
 よく考えてからものを言うべき
 
 もっとよく勉強してからものを言うべき
 
 これらは、民主主義の世界では根拠のある正しい議論だけを行うべきである、そういう主張だが、これ自体が野蛮で未開な反民主主義的な考え方であって…
 
 ∧∧
(‥ )...この意見どう思います?
\‐
 
  (‥ )ソクラテスが政治家に
      なろうとした若者に
      尋ねる話を思い出すな
 
 ソクラテスは聞くのである。
 
 政治家になるってことは国防を扱うのだから、防衛に必要な兵士の数とか分かっているんだよね?
 
 えっ? 知らない?
 
 政治家になるってことは予算を扱うわけだから、予算の額とか知っているんだよね?
 
 えっ? 知らない?
 
 少なくともこういう物事を知る必要性があるから、それを知ろうという予定はあるんだよね?
 
 えっ?? そんなこと考えたことない?
 
 こうして若者は政治家になることをきっぱりとあきらめるのであった。
 
 ∧∧
( ‥)ソクラテスは
    反民主的な人ですかね?
 
  (‥ )まあ、違うだろうな
 
 というか、ソクラテスは民主的に殺されたのであった。素人から選出された裁判官による評決で、民主的に死刑判決が下され、そしてソクラテスも民主主義国家の戦士らしく、それに従ったのであった。
 
 ∧∧
(‥ )むしろギリシャの民主制は
\‐  素人政治で滅びたと
    考えるべきですかね
 
  (‥ )ソクラテスを殺し、
      戦勝した将軍を処刑する
      そういう政治を行った
      アテネ市は最終的に
      ローマに屈服するけども
      それはそういうこと
      なんだろうなあ
 
 産まれた時から政治家として軍人として経験をつんできた世襲制議員団と、彼らが率いる、徴兵期間が15年以上に渡るほとんどプロ化した軍隊。
 
 それがローマ。
 
 素人から構成される政治と軍隊を持つギリシャが、これに勝てるはずもない。
 
 ∧∧
( ‥)民主制において
    意見を述べる自由はあっても
    その意見の妥当性は
    自由とは関係ない
    自由で素人な判断は
    最終的に現実に破壊される
 
  ( ‥)つまり、冒頭の主張は
    ‐□ 詭弁くさい内容なんだよな
      自由と権利がある
      を
      だから価値がある
      にして、さらに
      妥当性がある
      にすり替えてる
      それっぽい内容だよな
 
 確かに詭弁なんだろう。
 
 そもそも野蛮で反民主的な、という表現自体がおかしいとも言える。
 
 ∧∧
( ‥)ギリシャの民主制は
    文明の中心地、
    メソポタミアから遠く離れた
    場所で誕生した
 
  (‥ )それもひどい話でさ
      先住のギリシャ系民族が
      建設した文明を
      後発のギリシャ人が
      滅ぼして、
      しかも文字まで
      一度失っちゃうのだよね
 
 ミケーネ文明で使用されていた線文字Bは失われ、記録も官僚も消え失せた。そうして、文字も官僚も持たない状態から再スタートを切って再建されて出来たのがギリシャの民主制。現在知られているギリシャ語のアルファベットは、全然別の言語であるフェニキア文字を借用したものだ。
 
 ∧∧
(‥ )その民主制をもう一度
\‐   復活させたのは
     戦乱に明け暮れる西欧
     であった
 
  (‥ )文明の中心地である
      インドでも中国でも
      ましてや中東でもない
      むしろ民主主義こそが
      野蛮な地で産まれる
      原始的な政治形態だと
      言えるよなあ。
 
 もちろん、今の民主制はかつての滅び去った民主制とは違う。官僚制度とプロの軍隊の存在はその最たるものなんだろう。しかし、それとて民主制が発明したものではなく、むしろ王朝から受け継いだ遺産なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると
 
  ( ‥)冒頭の主張は
    ‐□ そうとうきてると
      思うけどもな。
      
 
 

選択肢の迷宮の中で大勢が死んだという可能性

 
 ∧∧
( ‥)考えて切り抜けた人は
    その経験から
    考えて切り抜けたこと
    それが唯一の解決策だと
    みなすようになる
 
  ( ‥)それは当たり前だよな
    ‐□ 人は成功体験を
      繰り返すことで
      行動を強化し、反復し
      確信を得るのだ
 
 過去の経験から解決策を与えてくれる人を皆が尊敬し、あこがれを持つのは当然。
 
 だがしかし思う

 
 ∧∧
( ‥)もしかしたら、その人が
    切り抜けてこられたのは
    実は運なのかもしれない
 
  (‥ )同じことをやって失敗し
      消えた人が、彼以外に
      何十人、何百人も
      いたのかもしれない。
 
 実際そうだろう。仕事でも生きていく上でも、選択肢は無数にある。
 
 ∧∧
(‥ )選択肢のどれかは破滅に
\‐   つながっている
 
  (‥ )どの選択肢を選ぶか?
      それ自体が考える能力だ
      正しい選択肢を選び
      生き抜いた以上、
      私には考える能力がある
      そう主張することは
      出来るのだけども
 
 確かに、いわば打率を上げることは可能だ。それ自体は能力だ。しかし、打率という言葉から明らかなように、この時点でかなり分の悪い勝負になっているのも事実。
 
 ∧∧
( ‥)五割、六割打者という
    わけにはいかない
    すべてを予見することは
    不可能である
 
  (‥ )つまりだ、選択肢の
      迷宮を突破するには
      突破する能力が他人より
      高い、
      それだけでは不十分だ
      そういうことだよね
      少なくとも一人では
      分が悪すぎる。
 
 突破には数が必要だ。精鋭を選んだとはいえ、それでもなお、選択肢を選ぶたびに仲間が半分以上消える迷宮ならば、とにかく数を増やせばいい。数さえあれば、誰かがゴールにたどり着く。
 
 ∧∧
(‥ )先の書き込みで引用した
\‐  ドワンゴ会長さんの言葉は
    演算装置の部品になっては
    ならない
    考える個人であるべきだ
    そういう主張だと
    解釈しましたが

=>hilihiliのhilihili: 解探索にはリレースイッチで充分でしょう
 
  (‥ )起業家さんだよね
      起業家ってことは
      似たような仲間が
      大勢出て、大勢死んだ
      そういうことだと
      思うのだけどな。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、会長さんが
    言わんとすることは
    分かるけども、
    実際には考える人も
    演算装置の部品にすぎないと
 
  ( ‥)他の部品よりも性能は
    ‐□ 良かった、
      打率は高かった
      だけども
      似たような性能を持つ
      部品は他にも大勢いて
      そしてみんな
      選択肢の迷宮の中で
      死んだ
      ただひとりだけが
      ゴールできた
      そう考えるべきじゃ
      ないのかな
 
 
これはやはり集団による演算の結果であり、その枠内にある。原理上、誰もここから逃れることはできない。そう考えるべきではないのか。
  
     

2014年1月12日日曜日

解探索にはリレースイッチで充分でしょう

 
 ∧∧
( ‥)人間はCPUじゃなくて
    リレースイッチ?
 
  ( ‥)ああ、さっきネット上で
    ‐□ 見た表現
 
 より正確に引用すると、
 
 人間はもうCPUじゃないんですよ。人間はCPUじゃなくてリレースイッチか何かで、その事実に気がついていないんです
 
 という言葉
 
 ∧∧
(‥ )リレースイッチってあれだよね
\‐   電磁石で回路を切ったり
     接続したりする機械のこと
     だよね
 
  (‥ )この場合は
      コンピューター関連だから
      演算に必要なオンオフを
      電磁石で行う部品のこと
      だな
 
 ∧∧
( ‥)進化を解探索の過程だとすると
    人間にせよ生物にせよ
    それぞれの個体は
    解探索のための
    演算回路の一部だよね
 
  ( ‥)だからそもそも
    ‐□ 最初っから人間は
      CPUでもなんでも
      ないんだよな
 
 人間も、他の生物も、進化という過程全体から見たら、真空管とか、あるいはそれこそリレースイッチでしかない。最初から自立して解探索を行えるような存在ではそもそもないんである。
 
 そういう意味で見ると、先に引用した言葉はかなり的外れだとも言える。人間が知的生物であったことなど、この意味においてただの一度もなかったし、人間が巨大な演算回路の一部でしかない、これも先刻承知の単純な事実だ。別に珍しい話でもなんでもない。
 
 だいたい、人類よりもはるかに急速な進化を可能ならしめたインフルエンザウイルスが人類と熾烈な争いをしている時点で、知能なんてものが解探索において必要ないことは明白。
 
 ともあれ、しかし


いそいそと図書館に出かけて「コンピューター開発史」大駒誠一 2005 共立出版 を借りてくる。
 
 ∧∧
(‥ )例えば1943年に完成した
\‐  ハーバード・マーク1は
    電話交換機で使われていた
    リレースイッチを
    使用したコンピューター
    だけども、当時、すでに
    時代遅れであったと
    *上記文献pp99を参照
 
  (‥ )電磁石で金属片を
      吸い付けて
      オンオフする以上
      動作に時間がかかる
      必然的に計算速度自体が
      遅くなる
 
 安定した性能を持つためにハーバード・マーク1自体はこの後15年も使われたそうだが、電磁石のオンオフという仕組みは真空管やトランジスタに取って代わられていったそうな。
 
 こういう知識を知ると、先の言い様も見方が変わる。
 
 ∧∧
( ‥)そんなこと自分で
    考えればすぐ分かるのに
    なんで電磁石のオンオフの
    ような動作しているの?
    なんで真空管以前なの?
    なんで自分で考えないの?
    脳みそもってるんでしょ?
    そういう指摘ですね
 
  ( ‥)まあ、普通に考えて
    ‐□ そうなんだろうな
 
 考えればすぐ分かることなのに、なぜ考えずにちんたらのろまな演算をしているのか?
 
 検索してみたら、これは2011年、年末におけるドワンゴ会長さんの言葉だったらしい=>4Gamer.net ― 「ひろゆき」みたいな人間が増えていくと,人類は滅亡する!――川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」年末特別号
 
 ∧∧
(‥ )もう3年前なんだね
\‐  3年前の記事が引用され
    引用され、引用され...
    そうしてあなたの眼に
    触れたわけだ
 
  (‥ )興味深い発言が
      多いよね。
      ロジックで考える
      合理主義者はコピーを
      増やせるから
      ネットの発展で人間が
      均質化する
      家畜は脳が小さくなって
      いるから自己家畜化で
      人間も脳が小さくなる
      人間はいわば
      リレースイッチになる
      全体で考える
      考えない個人の集合になる
      そういう感じかな
 
 
 その局面で最大の利益を出せる個体が数を増やす。その原理からすれば、確かに個体群は最良個体のクローンで埋め尽くされる。
 
 それは正しい
 
 ∧∧
(‥ )そういうクローンを
\‐  食い物にする連中が現れるから
    すぐに全滅しちゃうけどね
 
  (‥ )そもそもだから人間は
      色々な変異の集合体で
      均一でもなんでもない
      ものなわけだがな
 
 人間が均一になったら全滅する、というのは正しいが、均一になると全滅するがゆえに、人間が均一になることはありえない。なるんだったらそもそも進化の過程ですでになっているはずだ。だがそうではない。現実とはそういうものだ。
 
 家畜化で脳が小さくなる。人間も使わないから脳が退化するに違いない。
 
 ああ、ここは獲得形質を信じているらしいうんぬん以前に気がつくべきだったのだ。脳が小さくなるとは、脳は小さい方が良いことを示しているのだと。脳は不経済な存在で、できれば小さい方が良いのだ。そこにこそ気づくべきだった。
 
 ∧∧
( ‥)あなたたち、無駄に脳が
    大きいから、無条件に
    脳が大きい=素晴らしいと
    考えるんだよね
 
  ( ‥)んー、でもこれは
    ‐□ あれだよね
      多分、自分で考えて
      道を切り開いて
      走り続けた人らしい
      発言だとも言えるよな
 
 考えて道を切り開いたのなら、考えることがいわば至上命題になるだろう。のろのろちんたら、分かり切ったことすら計算できない、真空管以前のぽんこつコンピューター、というか、その部品でしかない代物に他人が見えてくる、というのは必然。
 
 このような人からすれば、脳が小さく退化していく、という未来像は恐怖
 
 確かにネットの煽りサイト、つまり考えない人間のために考えない記事を書き、それを考えない人間が鵜呑みにして炎上するという相乗効果を見れば、人間にはもはや個体としての知能はなく、むしろ集合自体にこそ意識と演算能力があり、巨大で無自覚でおぞましい悪魔的な集合意識のようなものが芽生えたように見える。それを嫌悪するのは当然。
 
 ∧∧
(‥ )この会長さん、あなたより
\‐  ひとつ年上なだけだよね
    ずっと地を這いずってる
    あなたとはえらい違いだよね
 
  (‥ )走り抜いてきたんだろう?
      起業するのみならず
      企業をつぶさずに
      維持してきた
      そのストレスと労力たるや
      我々には想像もできない
      ようなしろものよ
      それに耐え切って
      解決策を考え
      そして走り抜いたなれば、
      以上のように考えるは
      必然よな

 
 だがしかし、こういう憂いは、はるか太古から、賢い人たちによって繰り返されてきた話でしかないとも言える。そうではないか?
 
 ∧∧
( ‥)そして残念、
    解決策は有能な人ではなく
    国を憂える知識人でもなく
    考える人でもなく
    そうではなくて、
    阿呆で馬鹿で無名で
    暴虐で惨めで
    無様に死んだ人々こそが
    成し遂げたものであった
 
  ( ‥)集合は巨大でいわば
    ‐□ 慣性を持つがゆえに
      簡単には変わらない
      変えるには死が必要だ
 
 集合を変えるには部品である人間の死と置き換えが必要だ。死が必要なのは当然。
 
 そして演算するにはやはり死が必要だ。失敗か成功か? そのオンオフは死で表現されるから。
 
 そして結果でしか正否が判断できないのであれば、馬鹿でもなんでも試みるしかないんである。そして死んでゆく、それだけの話。
 
 死ぬ以上、個人では解探索が出来ないのは道理。個人は死んだらそこで終わりなんである。
 
 考える個人とは無力な存在でしかない。
 
 考えるとは、実はなんと非力なことか。
 
 ∧∧
(‥ )考える人は何も出来ず
\‐  憂いは杞憂で終わり、
    無名の人々は
    命と引き換えに
    正しい解を発見する
 
  (‥ )ただ、その解答は
      考えて得たものじゃない
      だから異様な解なのだ。
      だからこそ、考えても
      出てきやしないのだ
      困難に直面したローマの
      最終解がキリスト教帝国で
      あることなど、
      一体誰が予想できたか?
      これは昔からそうだった
      ネットの時代になっても
      何も変わりやしない
 
 
 考えて走り抜き、切り抜けた人からすれば、リレースイッチでしかない凡人は許しがたい存在かもしれないが、残念。解を見つけるのは彼らなのだ。

    
 

2014年1月11日土曜日

長所は実在ではなく、周囲との比較で決定される

 
 ∧∧
( ‥)一仕事終了ですか
 
  ( ‥)さすがに疲れたなあ
    ‐□
 
 今日は、もう日付が変わってしまって正確には昨日10日だが、時々、晴れ間から日が差し込むものの、南の空は雲が続き、当然、空気は冷えたまま。北の空は晴れ渡ってそこから風が吹き付け、冷えた空気の中で雪がちらちらと舞っていた。すぐにも融けてしまうが、しかしぼた雪というほどでもない、どちらかというと乾いているような雪。関東にしてはよく冷えている。しかし、冷えてはいるが南の空に雲とは、やはり冬のを終わりを思わせる天気。
 
 ∧∧
(‥ )夜になったら一転して晴れて
    散歩先の広場は
    霜柱だらけでしたね
 
  (‥ )良く晴れているけども
      半月が出ていて
      空は明るくて、
      星はよく分からなかった
 
 さて
 
 滅びる時、長所が足をひっぱることになるという。
 
 ∧∧
( ‥)それまで成長を支えてきた
    長所が、ある時から
    短所に変わってしまう
 
  ( ‥)長所はいつまでも
    ‐□ 長所であるわけじゃない
 
 長所は周辺の状況の中で比較した時に長所となるものだ。別に長所は長所だけで実在しているわけじゃない。
 
 ∧∧
( ‥)日本は物作りと努力が
    強さの秘密と言われた
    けども
 
  (‥ )実は単に比較的真面目な
      低賃金労働者が
      そろっていた、というだけ
      なんだよな
 
 もちろん、本当はそれだけでも充分すごいことだし、事実として躍進できたのだが。
 
 ∧∧
(‥ )賃金を上げたら、
\‐  その長所は雲散霧消した
    低賃金労働者として
    若者を切り捨てたら
    未来が消えた
    切り捨てられない老人たちは
    努力=成功というぼけ老人の
    妄執を夢見るのみ
 
  (‥ )なるほど日本は物作りで
      滅びるわけだ。
 
 もちろん、対処はするし、その過程でおそらく、まるで違う国になっていくのだろう。伝統は受け継がれるが、変わるものは変わる。日本は日本だが、今の日本とは違う国になる。
 
 さて
 
 
 ∧∧
( ‥)歴史のうんちくを語る人は
    しばしば嫌われる
 
  (‥ )というかね、単にね
      何かの単語が
      自分の知識の琴線に触れた
      その時、
      かき立てられた単語を
      べらべらしゃべる人が
      いるんだ。
      空気読まずに臆面も無く
      しゃべるんだよな
      けたたましく話すんだ
 
 オタク趣味でも、フェミニストでも、あるいは歴史マニアでも変わらない。かきたてられた単語をべらべらとしゃべる。それは単なる知識かもしれないし、単なる主義主張かもしれないし、あるいはただの連想だが、まあ、どれも似たようなもんだ。周囲を見ていない。
 
 本筋と関係のない知っている知識を自慢げに語られても、みんなは白けるだけだ。
 
 ∧∧
(‥ )でっ? あなたは
\‐  なにを連想したんです?
 
  (‥ )直接選挙制のギリシャは
      世襲制議員のローマに
      屈服した。
      これは意味深よな。
 
 パパブッシュは経験からクウェートで勝利した。しかしクリントンに破れ、勝利したにも関わらず、二期は無理だった。
 
 ∧∧
( ‥)アメリカの政治って
    政権の中枢にいればいるほど
    大統領になれないって
    言われますよね
 
  ( ‥)パパブッシュは長かった
      からなあ
 
 クリントンはぱっとせず、内向きで外交上の失態は多かった。ブッシュjrの時代になってイラクに攻め込んで、そして国は疲弊し、オバマ大統領になったのだが、今度は逃げることしか考えない。気のせいか、たまたまなのか、あるいは事実なのか、クリントンを尻にしいて影の大統領といわれ、オバマ政権一期の国務長官でもあったヒラリーが抜けてからなーんかそんな感じ。考えてみればヒラリーだって、長くいたが、初の女性大統領になれるチャンスを失った人でもある。
 
 ∧∧
( ‥)長くいたからこそ
    ですかね?
 
  (‥ )そして選ばれた素人さんは
      今、絶賛、珍妙な外交を
      展開中でね
      直接選挙ってのは
      素人の大衆が選ぶ以上、
      こういう弊害があるって
      ことだよな
      権力臭のするプロを
      素人が嫌う
      健全だが青い発想よな
 
 アメリカは民主主義で成長したという。なれば
 
 ∧∧
( ‥)アメリカの滅びは
    直接選挙制ですか
 
  ( ‥)なんでみんな
    ‐□ なすすべもなく
      滅びるか、
      分かりやすいよね
 
 成功体験そのものがまやかしで、それゆえに破滅の原因になるのだとしたら、これは阻止できない。
 
 ∧∧
( ‥)長所は実在でも実体でもない
    周囲との比較で決定される
    相対的なものでしかない
 
  (‥ )これは、忘れがちな
      ことだからね
      回避は困難だよねえ
      
 
 

2014年1月10日金曜日

お前はセックスの対象ではない

 
 人は望んでいながら手に出来なかったものを渇望する。その有様たるや食い物に群がる獣のごとく。
 
 ∧∧
(‥ )人工知能学会の学会誌表紙
\‐  背中にケーブルをつけた
    女性らしき人物が
    本を持って掃除をしている
    それにフェミニストが
    噛み付いた
    これは性奴隷であると
 
  (‥ )その推論は論理では
      正当化できず、
      そういうかっ飛びの
      連想を再現することが
      人工知能のひとつの
      到達点なんだが

 
 その推論や連想の評価、それ自体は置いておくとして、これは非常に奇妙なことなんである。
 
 仮に機械の、理想的な異性を模した人工知能が望みに応じて作られた場合、解放されるのは誰か?
 
 ∧∧
( ‥)自分を都合の良い家政婦としか
    みなさない男から解放される
    自分を生きている財布としか
    みなさない女から解放される
 
  ( ‥)だが女たちは、あるいは
    ‐□ 女たちの一部は怒りだした
       なぜだ?
  
 
 仮に掃除をする人工知能が良く出来た機械仕掛けのダッチワイフだとする。
 
 この場合、解放されたのは誰?
 
 ∧∧
( ‥)女性でしょうね
 
  (‥ )だが怒る
      これは失業問題か?
 
 ロボットが普及したら、困るのは低賃金労働者だ。低賃金労働者はロボットの焼き討ちを行うだろう。昔から言われた未来予測だが、これは機械仕掛けのダッチワイフです! そう、怒りだすのなら、それは…
 
 ∧∧
( ‥)失業問題だと?
 
  ( ‥)だが妙なのだ
    ‐□
 
 フェミニストたちは差別だ、と言うだけでなく、こんなものを好きなのはオタクたちだ。オタクって気持ちわるーい、と言った。
 
 ∧∧
( ‥)なぜオタクに矛先が?
 
  (‥ )初音ミクとか
      気持ちわるーい
     まあ、そう言うのは
     個人の脳神経の問題だが
     なぜオタク批判に走るのか?
     これは、自分はもう
     ダッチワイフをしなくて
     すむのに、なぜ怒るの?
     という問題以上に奇妙だよ。
  
 
 まるで関係ないように見えて、しかし、こんなことがある。
 
 たとえばしばしばオタクとされる人たちの反応で曰く
 
 髪を茶髪に染めた女はビッチ!
 
 あの声優さんは茶髪だ。でも眼を見れば分かる。あの娘は処女だ!
 
 一目惚れの店員さんが黒髪を茶髪に染めた。僕は切れて店で暴れて警察に…
 
 ∧∧
(‥ )最後はネット上で見た
\‐  おそらくは創作なの
    でしょうけども
    茶髪娘は尻軽だ!
    黒髪娘は清楚だ
    そういう色眼鏡は
    一部界隈で盛んですよね
    
 
  (‥ )妙だと思わないかね?
      ビッチ、すなわち
      腰の軽い女性を揶揄する
      俗語だが、こういう憎悪は
      やっぱり妙だよな
 
 その娘が多くの男性とセックスしていても、それは、それを嫌悪する人自身にとって、まったく関係ない話だ。
 
 実際、茶髪娘が嫌いなら茶髪娘と付き合わなければ良いだけの話。これだけだと、好き嫌いはともかく、憎悪する理由にはならない。
 
 ∧∧
( ‥)だが好悪ではすまないで
    憎悪するに至る
    つまり表面的な損得だけでは
    説明のつかないことが
    起きている
 
  ( ‥)人は奪われたもの、
      手に出来なかったものを
      渇望するのだ
 
 ∧∧
( ‥)茶髪はビッチと怒る
    オタク
    ダッチワイフが好きな
    オタクキモい、と言う
    フェミニスト
    どちらも渇望していると?
 
  (‥ )あるいは手に出来なかった
      怒りかな?
 
 これ、どっちもセックスに関連することだよな? それを手に出来なかった怒りというならば、
 
 たとえばこう?
 
 お前はセックスの対象ではない
 
 そう言われた、少なくとも本人はそう言われたと思っているから怒っているのだと。
 
 ∧∧
( ‥)茶髪のお前はなぜ
    イケメンとリア充を
    選ぶのか?
    なぜ僕を選ばないのか?
    オタクのお前はなぜ
    私ではなく、
    初音ミクを選ぶのか?
    なぜ私を選ばないのか?
 
  (‥ )好き嫌いだけでは
      憎悪にまで及んだりしない
      ピーマンが嫌いでも
      憎悪したりせんからな
      好き嫌い以外の理由が
      ないと憎悪は説明できん

  
 なぜ、私ではなくあいつを選ぶのか?
 
 この、なぜ? がないと憎悪は産まれてこないだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)茶髪がいやなら
    その娘と付き合わなければいい
    ダッチワイフが出来たなら
    自分は性的対象から
    外されることを喜べば良い。
 
  (‥ )本当はそうだし
      口でもそう言っているんだ
      だが実際の反応は
      そうじゃない
      これはつまり….

 
 お前はセックスの対象ではない

 そう言われた、そう思っているからこそ怒っているんじゃないのか?
 
 少なくとも、なんらかの別の要因を想定しないと反応が説明しきれない。そうではないか?

 
 
 これは一応、hilihiliのhilihili: 機械仕掛けのダッチワイフと答えたら、その人工知能は本物だの続き
 
 
 

αλογοσ

 
 ∧∧
(‥ )もう日付が変わって
    しまいましたが、
    今日は北風の日でしたね
 
  (‥ )昨日の南風の次は
      北風か、
      めまぐるしいな
 
 日本海から列島を吹き抜ける過程で乾いた風だったのか、散歩に出てみると、先刻まで雨が降っていたはずだのに、森も林もベンチもほとんど乾いていた。
 
 さて
 
 ∧∧
( ‥)logic:ロジック
    つまり論理は
    ギリシャ語の
    λογοσ:ロゴスが由来
 
  ( ‥)αλογοσ:アロゴスだと
    ‐□ 非論理なんだけども
      これが無理数なんだよな

 
 ∧∧
( ‥)まさに、理の無い数
    ですか
 
  (‥ )まあ、なんだ
      ここから霊感に打たれて
      言ってしまえばだよ
 
 なんのこっちゃない。ロジカルシンキングとは√2も扱えないような代物なのだ。

 ロジカルシンキングなんてそんなもの、中学生以下である。
 
 ∧∧
(‥ )なにを馬鹿なことを
\‐  と言う人もいるだろうけど
    論理を体系づけた
    ギリシャの賢人たちは
    無理数を充分に扱う力が
    なかったのですよね
 
  (‥ )だから実はこれ、
      意外と深刻に
      受け止めるべき事柄な
      わけだよ
 
 論理を振りかざした人々は√2を扱えなかった。たとえ彼らが√2は偶数でも奇数でもない数であること、まさにアロゴス(非論理的)な数であることを証明してみせたとしても、これを扱い切れなかった。さもなければプラトンが無理数を抹殺しようとするなんてこと、起きなかっただろう。
 
 ∧∧
( ‥)論理を振りかざした人は
    自ら証明した偶数でも
    奇数でもない数を前に
    途方にくれた
 
  (‥ )無様だろ?
 
 ロジカルシンキングとやらの怪しさもおそらくここにある。
 
 
 *ちなみにσ(シグマ)は語尾にくるとsのような文字になるのだけども、出てくれないので、取りあえずσの形で表記。
 
 
 

2014年1月9日木曜日

民族主義と愛国は馬鹿! とは呪文ではなかろうか?

 
 勇ましいことを言うバカウヨ共は尖閣諸島にいってくれるんですよねwww
 
 ∧∧
(‥ )..っという揶揄は
\‐  意外と根強いのですよね
 
  (‥ )まあ、以前の大戦の
      イメージで考えている
      わけだよね。
 
 民族主義、国家主義、愛国心、奮い立つ若者たち、いかに戦場へ速く、多く、戦力を結集するか? あらゆる運輸手段を用いた総動員と一点集中。連発銃を用いた突撃戦。
 
 ∧∧
( ‥)ナポレオン時代に確立した
    近代戦争は、
    100年前のWW1と
    機関銃、塹壕戦から
    変質を開始して、
    機械化が進んだ現代
    今や時代にそぐわない
    概念になっていると
 
  ( ‥)皮肉なものよな
    ‐□ 時代錯誤の右翼wwwと
      指を差して笑っている
      本人自身がまったくの
      時代錯誤になっておる
      無様な有様よな。
 
 そのへんの若者を率いて戦場へ...って、一体全体いつの時代の戦争だよ。
 
 ∧∧
(‥ )でも罵詈雑言が止む事はない
\‐  馬鹿な若者、馬鹿な右翼、
    勇ましい言葉に煽られる馬鹿
    馬鹿、馬鹿、馬鹿、馬鹿
 
  (‥ )おもろいな
      言葉がひたすら累積しとる
 
 馬鹿を記述できないのは馬鹿がやる事だ。少なくとも、それでは能無しである。
 
 ∧∧
( ‥)馬鹿の動きを予想すると
    馬鹿は煽られやすい
    それゆえ
    馬鹿のせいで日本は再び
    軍国主義に走る!
    暗黒の時代が来る
    だからいやだ
    だから絶望だ
    だから怒る、
    こんな簡単なことも
    分からないお前こそ馬鹿!
    馬鹿馬鹿っ!
    そういう絶望の叫びでは?
 
  (‥ )でも? 戦争の挙動が
      もう変わったことを
      考えていないわけだよね
 
 さもなきゃ馬鹿な煽られた若者を率いて尖閣諸島へいってくれますよね? なんてことを言うわけがない。
 
 ∧∧
(‥ )他人を馬鹿馬鹿言うのは
\‐  自分は頭が良い
    そういう前提が
    根底にあるんでしょうねえ
 
  (‥ )頭良いのだが
      肝心の戦争の挙動が
      良くわかっていないのな
      あるいは考慮しておらん
 
 ∧∧
( ‥)馬鹿はどっちだと?
 
  (‥ )というかだね
 
 魔法を信じてはおりませんか?
 
 例えばこう思っておりませんか?
 
 ヒトラーは演説だけでドイツ国民を動かし、ナチス政権を作り上げたと。
 
 ∧∧
( ‥)言葉だけの力で政権を取った。
    そう考えておりませんかと
 
  ( ‥)魔法を信じては
    ‐□ おりませんか?
 
 敗北、侮辱、奪われた未来、居丈高な要求、屈服せざるをえない悔しさ、そしてなによりも困窮。少ない食事、悪化する経済、見当たらない仕事。こういうものをすべて無視して、言葉だけで世界を動かして政権を取っただなんて、それじゃ魔法でしょうよ。
 
 しかし、もし、そんなことを信じて、なおかつ、今の日本のうねりを見て、馬鹿、馬鹿、馬鹿、と連呼するというのなら、それはまあ、分かりやすい。
 
 魔法を信じている人間は、さて、魔法にどうやって対抗するだろう?
 
 ∧∧
( ‥)魔法の言葉には言葉で
    対抗しようと?
 
  (‥ )ようするに呪文を
      唱えているんじゃないか?
      マジックスペルって
      やつだな
      実際、言葉の累積って
      そういうことだろう。
 
 思っておりはしませんか? 罵詈雑言を100万文字累積すれば世界が救われると。
 
 思ってはおりませんか? 少なくとも罵詈雑言を連呼すれば自分の脳はヒトラーのような黒魔術から無事であると。
 
 考えてはおりませんか? 言論の自由という単語を1000万回連呼すれば民族主義の熱狂に脳を犯されることなく、自分は自由でいられると。
 
 ∧∧
(‥ )現実には言葉は魔法ではないし
\‐  魔法でない以上、
    単語の連呼なんか
    無駄なんですけどね
 
  (‥ )重症なのは
      言葉でどうかなると
      信じてるその頭脳だな
 
 実際、これは逃げなのだ。自分に都合の悪い現実に眼をつむり、都合の良い、言葉だけの嘘っぱちを信じたにすぎぬ。
 
 事実、若者は貧乏で馬鹿だから民族主義に燃えられるんだね? 勇ましいこったwwwと賢し気に笑うくせに、老人たちは自分たちの金をためるばかりで吐き出そうとはせぬ。
 
 なにもかも、矛盾だらけで、こぎれいに着飾っただけの嘘っぱちではないのか? 
 
 そして人は薄汚れた人生の最後を、嘘で取り繕うことで終わるものなのだ。そうではないか?
 
 
 ∧∧
(‥ )でも、次の愛国心って
\‐  どうなるんでしょうね?
 
 (‥ )さてねえ?
     ナポレオン戦争以前だと
     占領されたら相手の王家の
     旗を上げて、奪還されたら
     元の旗を掲げるとか、
     交戦中の相手の国に
     何気なく旅行へいったり
     そういうもへーっとした
     側面があったらしいけど
     まだ、そこまでゆるくは
     ないだろうからなあ
 
 
 
 
     

2014年1月8日水曜日

キッファ・アウストラリス

 
 キッファ・アウストラリス=>Untitled Document
 
 ∧∧
(‥ )てんびん座のα星
\‐  二重星なんだね
 
  (‥ )ちょうど黄道上にあるから
      惑星が近くにきて
      くれるわけだな
      今は土星が通過して
      そのうちにまた
      逆行するわけだ
 
 今日は疲れて寝入ってしまったり、図書館まで本を返しにいったり、本の整理を行ったりで昼間は過ぎた。
 
 ∧∧
(‥ )南風が強かったですよね
    雲が多くて、
    お昼は時々、日が差したけど
    夕方からは雨ですよ
 
  (‥ )なんか本当に、
      冬の終わりみたいな
      天気だよな

 
 さてもさても、仕事をしないといけないのである。
 
 
 

2014年1月7日火曜日

まるで冬の終わり頃のような

 
 日は落ち、暮れて、南の空は曇天。
 
 ∧∧
(‥ )本日、北は晴れて
    青空だったのですけどね
    南は地平線まで
    雲でしたよね
 
  (‥ )先日もそうだったけど
      南から雲がくるんだよな
      関東だと、
      どっちかというと
      これは冬の終わり頃の
      天気のように思えるの
      だけどね
      どうなんだろうね
 
 単にたまたま起きていることを、実際以上に重要に感じているのか、事実としてそうなのか? それは分からない。
 
 

2014年1月6日月曜日

理解の中には確実に致命的な問題が隠れている

 
 ∧∧
( ‥)おかしな思い込みや
    オカルト的な考え
    これを持つこと、
    それ自体は悪いこと
    ではない
    むしろ役立つことすらある
 
  (‥ )ニュートンの
      万有引力の法則なんかは
      良い例だよね
 
 万有引力というアイデアが提案された時、特にデカルトの考えを受け継いでいたフランスの研究者などは、万有引力の胡散臭さに警戒心を抱いたのであった。
 
 空間を越えて作用する力...これ、魔法じゃね?
 
 デカルトの機械論とは、いわば、力は歯車のような形で伝達されると考える。こういう考えからすれば万有引力とはいかにも胡散臭く魔術的だ。しかし、万有引力は天体の運行を計算し、予測できる。それに数学的に記述してみるとシンプルでいかにも合理的だ。これも機械論でいいか。そういうわけで段々と警戒心は薄まり、ついには無くなったのだが….
 
 ∧∧
( ‥)ところがどっこい
    黙っていたけど
    ニュートンはばりばりの
    錬金術士だったのです
 
 (‥ )デカルト派の警戒心は
     実は正しかったのだよね
 
 今でも、
 
 万有引力って何? 力が空間を越えて作用するって一体なんなの? 怪しくね?
 
 と疑問を抱く人がいるが、実はこの疑惑はまったく正しいのだ。元のアイデアがそもそも文字通りの意味でオカルトなんだから当然である。
 
 ∧∧
( ‥)ところが役立った
    
  ( ‥)こういう例は
    ‐□ ケプラーでも、
      多分、
      アインシュタインでも
      見られることなんだよね
 
 つまり、その人の考えの中にオカルト的な要素があったり、あるいは中二病であっても、それだけで、”こんなアイデアは由来がオカルトだから駄目なのだ”、ということにはならないんである。
 
 あるいはアイデアの正しさは、アイデアの源泉とまるで関係ない、と言えばいいか。
 
 ∧∧
(‥ )だからオカルトだから駄目
\‐  なのではない、
    そうではなく、
    駄目であることが
    明らかになっても、
    これが正しいはずだ、と
    思いを防衛することが
    むしろ悪い。
 
  (‥ )間違っていると分かれば
      切り替えれば良い。
      それだけの話。
      でも、これができないと
      間違いを糊塗しなければ
      ならなくなる
      つまり
      自己欺瞞に走るわけだ
      オカルトがトンデモに
      昇格してしまうと
      言えばいいかね
 
 おそらく、”分かった”、という動作が持つ、最大の問題がここにある。
 
 例えば今から1世代前。マルクス主義者は獲得形質が存在し、生物は意のままに品種改良できる。それゆえにメンデル遺伝など嘘っぱちだ、アメリカや日本の品種改良はブルジョワ的で間違いである。それは破綻する。そう主張した。
 
 彼らはなおも言った。それに引き換え我々マルクス主義が浸透した農村の成果を見よ! と。彼らにとってマルクス主義に従えば農業生産は無限に増大するはずだから、無限の増大を保証しないメンデル遺伝は間違い以外の何ものでもなかった。
 
 彼らはメンデル遺伝がマルクス主義的でないから間違っていると”分かっていた”のである。
 
 ∧∧
( ‥)だが残念。
    分かったとは、しばしば
    自分の知の体系に情報を
    当てはめる
    ただそれだけのこと
    でしかない。
 
  ( ‥)そしてそれは、
    ‐□ 知った事柄を
      自分の思い込みに
      当てはめているだけ
      なんだよね
 
 それは現実について一切なにも語ってくれていない。知の体系がそこにあるだけだ。
 
 端的に言えばこうである
 
 知の体系などというものはまやかしだ。ただのゴミくずでしかない。そんなものは破壊しなければならない。
 
 知の体系は構築するものではない、殲滅すべきものだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも知の体系を作り出す
\‐  本人にしてみれば
    物事を自分の思い込みに
    次々に当てはめられるから
    自分の知の体系自体には
    なんの問題も感じないの
    ですよね
    ひたすら理解だけが
    進行してしまう。
 
  (‥ )これが”分かった”が
      持つ恐ろしさだな
      現実とは食い違いが生じ、
      齟齬が拡大しているのに
      本人の内部で矛盾は
      生じていない
      だから気づかないのだ
 
 だから、オカルトであること、それ自体は問題ない。
 
 問題はむしろ、
 
 私は分かっている、これはこうだ

 私は理解している、なぜならこうだからだ 
 
 こうした理解そのものにある。理解の中には確実に致命的な問題が隠れている。
 
 ∧∧
( ‥)そして人は誰しも
    オカルト的な思い込みを
    持っているものだ
 
  (‥ )保守派とリベラルが
      真逆に見えて同じような
      過ちを犯すのは
      たぶん、このせいだよね
 
 彼らは理解しか持っていない。
 
 理解の中には確実に致命的な過ちが隠れている。理解しか無い人間はそれを無自覚のまま振り回すだろう。
 

 これはhilihiliのhilihili: 誰もがトンデモだが、リベラルは魔法を信じているの続き
 
 
 
 

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