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2013年7月31日水曜日

海水売りがへこへこと歩く

 
 
 理解出来たが、理解が正しいのか分からん。
 
 ∧∧
( ‥)ありがちですね
 
  ( ‥)理解は理解自体を
    ‐□ 保証してくれないのだ
      当然だよね。
 
 
 さて
 
 hilihiliのhilihili: どんな誤差を次世代にの続き
 
 
 例えばある掲示板で鳥の進化を論ずる俺様理論屋くん。神様が生物を作った、というのは頭ごなしに馬鹿にするくせに、生物は目的を持って進化している、そう思い込んでいる。
 
 ∧∧
( ‥)進化が目的を持とうが、
    神様が生物を作ろうが
    目的を持つ、という
    点では同じですね
 
 ( ‥)宗教を馬鹿にしているのに
   ‐□ 信仰者と同じなのだよな。
     教科書を読まない愚か者とは
     こういうもんよ
 
 これはつまるところ、人間は宗教や神を馬鹿にするくせに、思考方法は馬鹿にされる方も馬鹿にする方もまるで変わっちゃいない、ということでもある。
 
 そりゃあ、変わるわけないのだ。同じ人間なのだから。それにホモ・サピエンスは宗教を信じる猿なのだ。種族的にそうなのだからどうにもなるまい。神を否定しても、そいつは自分の神を作っているだけなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )進化に目的がある。
\‐  生物はデザイナーが作った
    ものである。これは、
    世界は調和的で目的と
    役割を持つ、という
    考え方ですよね
 
  (‥ )興味深いことにさ、
      ナウシカって
      目的と役割の強制から
      脱出する話である一方で、
      目的と役割を強調した
      話でもあるのよね。
 
 世界浄化計画を押し進める墓と、それを拒否して計画を破壊し、人類が進化する可能性にかけるナウシカ。
 
 ∧∧
( ‥)これだけ見ると、杓子定規に
    計画経済を押し進める指導部に
    自由市場を認めろ、と
    収穫した野菜を持って
    詰め寄る田舎のお姉さんの
    対立に見えますね
 
  ( ‥)その一方ではさ、
    ‐□ 腐海は調和と共生と
      揺るぎない目的に
      向かって進む生態系として
      描かれているのだよね
      事実、腐海で暮らす人類、
      森の人も、虫の卵は虫に
      お願いして、
      分けてもらうんだ、
      とか言ってるからね。

 
 いやあ、いくら腐海が人工生物による人造の生態系で、なおかつ浄化という目的を果たすように作られたからといって、そんな調和だの共生だの、初期の目的だの、1000年も保持するわきゃあないでしょう。
 
 ∧∧
( ‥)人造でも生物なら繁殖時に
    コピーミスが生じるし、
    変異が発生して、必ず
    進化が起きますからね。
 
  (‥ )1000年もあれば
      浄化なんていう役割を
      放棄して、
      コストパフォーマンスが
      良くなった変異体が
      腐海の大部分を
      占めてるよね。
 
 浄化計画なんか、一瞬にしてぱーである。
 
 ∧∧
(‥ )変異を起こさないように
\‐  調整するって言ってもね
 
  (‥ )そんな単一クローンの
      集団なんか、
      寄生虫や病原体の前に
      ひとたまりもないからね
      安定して存在なんか
      しないよね。
 
 仮に病原体には免疫系で対抗できる、としても、結局はうまくいくわけないのだ。変異を起こさないようにする、と言っても、確率は0ではない。そしてごくごく低くても起きればそれが突破口になる。
 
 ∧∧
( ‥)”変異を起こしやすい変異”が
    生じたら、その一回の変異、
    それだけで終わりですから
 
  ( ‥)だからあれだよね、
    ‐□ 遺伝子操作で生じた
      粘菌の暴走を
      食い止めるため、
      腐海が自ら食われることで
      粘菌を自分たちの系に
      取り込んで調和を
      取り戻す。あれは
      作者である監督さんの
      世界観や自然観が
      現れた場面だよなあ。
 
 *戦争のための遺伝子操作で生じた粘菌の変異体。すべてを食い尽くして拡大していく粘菌を阻止するかのように突進したオームたちは食われるが、それと同時に粘菌に取り込まれた腐海の胞子が発芽、逆に粘菌を食って成長し、粘菌は一気に拡大した新たな森に取り込まれて世界は均衡を回復する。オームの目的は粘菌の打倒ではなく、自分たちの世界にむかい入れることだった。これが作中の展開。
 
 だが、実際にはそんなこと、あろうはずがない。
 
 一見するとそう見えるようなことは事実として起こりうるけども(例えば侵入生物が初期は大量にはびこるが、やがて数を減らして現地の生態系に取り込まれていくように見える場合)、実際にそこにあるのは生態系の役割や目的や調和ではない。生存競争と力の均衡だ。
 
 **これは要するに同じ物事を説明する仮説や理論は複数ある、ということでもある。例えば、今西進化論が自然を説明できるからといって、今西進化論が正しいわけではない。ただし、一見すると正しい理論と似た解答を与える場合があるので、結果だけは正しい場合がありうる。
 
 ***天動説と地動説はどちらも天体の動きを説明できるが、両方とも正しいわけではない。だが、結果はどちらも正しい。たぶん、あの監督さんが以上のような自然の理解をしているにも関わらず、物語のオチ、それ自体はダーウィニズム的だった、という不思議な展開は、これが原因ではないかと個人的には予測する。
 
 
 ∧∧
(‥ )宮崎駿さんの自然観って
\‐   今西進化論的ですかね
 
  (‥ )マルクス主義の
      決定論と目的論から
      逃れようとする一方で
      調和、共生、全体主義を
      掲げる今西進化論に
      向かう。
      なんというかね、
      これは人類の業だよね。
 
 人類の歴史の中では、
 
 目的に向かう、とか、世界の本来あるべき姿は調和である、とか、人間はそこから外れた調和を乱す存在だ、だから調和の世界に向かわねばならない、
 
 そういう世界観が長く続いた。
 
 ∧∧
( ‥)今も続いているでしょ
 
  ( ‥)そういう点ではね、
    ‐□ ダーウィンの進化論は
      人類史における転換点
      なんだよな。
 
 目的論を排除し、種の誕生を論じていながら、種という概念をも破壊して、機械的に淡々と世界を説明する。
 
 ∧∧
( ‥)それも確率的にね
 
  ( ‥)確率とか統計学とか
    ‐□ これも目的論の排除と
      同じぐらいに画期的な
      ことだったのだよな。
      人間が確率を自在に
      理解できないのは、
      放射能騒動を見れば
      よく分かるからね。
 
 *この放射能がどのぐらい影響するのか? という効果の話と、どれがこの症状の原因なのか? という因果関係の推論の話と、これが原因だと言えるのか? という統計的に検証する話がごちゃまぜになってる。
 
 言い換えると、今でもダーウィンの自然淘汰説をまるで理解できない人がいるのも、今西進化論とかマルクス主義的に解釈された進化論を信じる人が、今もなお存在するのも、当然と言えば当然。

 目的論の排除と種の概念の破壊、統計学の使用。これは人間の思考と相容れない、そういうことなんだろう。
 
 それを考えると、ナウシカの最後に、ええっ、と思う人がいるのも、納得できる。
 
 *ナウシカたちは汚染に対抗できるよう遺伝的に調整されているので、浄化された環境では死んでしまう。つまり腐海が世界を浄化し尽くした時に絶滅する運命。計画の遂行者である墓だけがその運命を阻止する技術を持っているけども、ナウシカは、もはや現実と齟齬をきたしている浄化計画に従うことを拒否。人類絶滅のリスクをあえて増大させる代わりに、墓を殺して計画という牢獄から解放される道を選ぶ。
 
 
 ∧∧
( ‥)決定論的に考えれば
    人類絶滅確定なんですよね
 
  (‥ )でも、あれは
      たいした危機じゃ
      ないんだよな
 
 人間には新たな変異も生じれば、メンデル遺伝に従って変異のストックが大量にある。浄化にしたがって必要な汚染物質が少なくなれば、それでも生き残れる個体が増えて、人類は浄化された環境に適合するだろう。単純にそれだけの話なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも、そう考えない人から
\‐  すれば、ナウシカの決断は
    いわゆるバッドエンドに
    見えてしまうと
 
  (‥ )なんか想像しちゃうのよ
      あの時代、
      海は汚染物質が集積して
      死の世界になって
      いるのだよな。
      だからさ、浄化が進んだ
      さらに未来。
      人々は新しい環境に
      かなり適合しているの
      だけど、それでも
      汚染物質がまだ必要で、
      腐海の植物を庭に植えたり
      海水を売って歩く人とか
      いるんだろーなーって。
 
 
 ∧∧
( ‥)すごい牧歌的な雰囲気
    だったりしてね
 
  (‥ )氷売りや金魚売りの
      おっさんみたいなのがな
      村々や家々の間を
      へこへこ歩いてるの
      かもしれん。
 
  
 子供電話相談室では、ヒソクサリと一緒にしたらクワガタが死んだけど、なんでー? という質問に、あのね、僕らと違って、クワガタは腐海の菌類と一緒にはできないんだよ、とか、そんなやり取りしてるんだろう。
 
 
 

どんな誤差を次世代に

 
 
 誰か他人を話題にする時は、ネタが尽きた時でもある。
 
  ( ‥)宮崎駿さんって
    ‐□ いるよね
 
 ∧∧
( ‥)おや、ネタ切れですか
 
 昨今は、零戦の設計技師を映画の主人公にしたり、憲法9条を擁護してみせたり、あるいはスタジオジブリは原発でない電力を、と述べてみたり。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは、アイドルは嘘でも
   「私は処女です。彼氏なんて
    いません」と言わなきゃ
    いけない、そう言いますよね
 
  ( ‥)あの監督さん、
    ‐□ 見れば分かるけど、
      絵がうまいんだよなあ
 
 ∧∧
( ‥)あなたじゃ太刀打ち
    できませんと
  
  ( ‥)絵は数だからねえ、
    ‐□ 自分の場合、
      描いている数は
      年間100枚ぐらいだ。
      勝ち負けうんぬんなんて
      荒唐無稽だけども、
      勝てる道理が無いのは
      明かよな。
 
 ∧∧
( ‥)あの人はアニメの人ですからね
    描いている枚数は圧倒的に
    多いでしょう
 
  (‥ )世界観も興味深いよね
 
 初期の未来少年コナンにあったような、巨大な工業社会が自滅して、旧世代は滅び、新しい無垢な世代によって豊かな農村が作り上げられるという、楽観的というか空想的な世界観は鳴りを潜めて、ナウシカとかに見られる、陰惨で、絶望的な現実の中をもがき苦しみながら這い進む、あきらめとも失望とも、あるいは単に現実的とも取れる世界観に変わる。
 
 ∧∧
( ‥)ジョージ・オーウェルとかと
    似てると思います?
 
  ( ‥)1984年の作者
    ‐□ オーウェルも監督さんも
      どちらも
      マルクス主義者だよね。
      でも、どっちも
      マルクスに予言された
      楽園が来る、だなんて
      いつまでも無邪気に
      信じていられるような
      人ではなかったみたい
      だよね。
 
 ああ、「動物農場」という小説がある。これはオーウェルが書いたものだけど、農場で動物たちが反乱を起こすという話だ。つまりロシア革命ごっこなのだけど、ロシア革命だけに、それは約束された楽園になるはずもなく、農場は、人間に取って代わった新たな支配者たる豚に搾取される。

 絶対権力者である豚のリーダー、その名はナポレオン。まあ、スターリンのことだ。
 
 ∧∧
(‥ )ベンジャミンという
\‐  ロバさんが出てきますよね
    上辺は偏屈で皮肉屋でね
 
  (‥ )あれ、作者の分身だよな
 
 人間という支配者を追い出したはずなのに、新たな支配者に搾取される。どう思う? どうだった? どうなっているのか? 鈍くて無教養で、文字も読めない動物たちだけど、それなりに漠然とした疑問を抱く中、同士であるベンジャミンは、ロバってのは長生きなんだ、お前たちは死んだロバを見た事ないだろ? そう答えるばかり。
 
 ∧∧
( ‥)オーウェルさん、
    スペイン内乱の時、
    左翼勢力の義勇兵として
    参加してますよね。
    上官に対してもサーを
    つけない組織だけど、
    少なくともオーウェルさん
    から見れば、それは
    不合理で、素人っぽく、
    しかし無邪気で素朴で
    平等で、目的意識を持ち...
 
  ( ‥)それがスターリンと共産党
      によってつぶされ、
      オーウェルも母国の
      イギリスへ
      逃げ帰るはめになる。
      でも左翼知識人はそういう
      策謀があったことを全て
      もみ消してね。
 
 ああ、そしてベンジャミンじいさんは文字が読める。そして、長生きなのだ。
 
 労働者階級でもないオーウェルが勝手に絶望しただけだろ? と意地の悪いインテリなら言うだろうけど、やったからこそ、その絶望は机上の空論よりさすがに重い。
 
 ベンジャミンじいさん。前の革命が失敗したことを覚えているんだよね? なぜなら、それに立ち会ったからだ。革命が生まれてから、それが死ぬまで。
 
 そうだ、偉大なマルクスが予言した楽園は、地上には降りてこない。
 
 なぜならそれは前にも失敗したからだ。そして今度も失敗するだろう。
 
 ∧∧
( ‥)そして現実世界でソ連は崩壊し、
    ユーゴスラヴィアでは内戦勃発
    ナウシカの中では
    二大超大国の一方、ドルクが
    瓦解して民族紛争と泥沼の
    殺し合いが暗示される
  
  ( ‥)あの監督さんの世界観
    ‐□ いいよねえ。
      汚染され資源の無い大地、
      それでもおびただしい
      人口を維持しなければ
      ならず、その状況下で
      人々は諸々の宗教にすがり
      果てしない紛争によって
      ついに文明が瓦解した世界
      それでもなお、
      廃墟になった惑星の上で
      戦争を止められない
 
 ∧∧
( ‥)愚かだと?
 
  (‥ )愚かもなにも、これが
      人間だろ?
      戦争しない人間なんて
      そんなもの、
      もはや人間じゃないよ
 
 イースター島はかつて人口が増え、森林を伐採し、繁栄し、モアイを競って建造し、島を丸坊主にして、やがて部族間同士の戦争が激化してモアイは倒され、人口は減って、新しい得体の知れない宗教が作られたという。
 
 ∧∧
( ‥)大きさが違うだけで、
    島も地球も逃げ場の無い、
    閉じた世界という
    点では同じ。
    イースター島の過去は、
    地球とあなたがたの
    未来ですよね
 
 ( ‥)確定された未来なのだ。
   ‐□ 僕らの文明は数世紀の間に
     人口が急減し、
     新たな調整を余儀なくされる
     たぶん、今の僕らからは
     理解しがたい得体の知れない
     文明に変貌するのだろうな。
     言い換えれば、現代が人類の
     黄金時代、絶頂期だよね。
 
 嘘か本当か、地震で原発がぱーんした時、外国の人でこんなことを言ったアホがいたという。日本人はナウシカとか作っているのに、どうして原発なんかを建造したの?
 
 ∧∧
( ‥)愚かな問いですか?
 
  (‥ )本当だったら実に愚かよな
      我々は確定された歴史に
      沿って事態を進めている
      だけだよ。
 
 地震が無ければ、あるいはもっと別の対応をしていれば、あのぱーん自体は無かったんだろう。事実、そうはならなかった原発がある。だが、たとえそれが日本で起きなかったとしても、遅かれ早かれ、もっとひどいことになるのだ。事故の確率自体が低くても、数が増えればそれは確実に起こる。
 
 あるいは事故が起きなくても結果は同じだ。核分裂燃料をすべて燃やし尽くして、それでおしまい。核融合を達成できないまま、石油も石炭も燃やし尽くして現代の文明は維持が不可能になり、縮小し、変質し瓦解し、異形なものになる。
 
 ∧∧
( ‥)そして資源の無い、
    汚染されて荒廃した
    大地と、支えられない
    人口だけが残る。
 
  ( ‥)すべては確定的だ。
      誤差もぶれも可能性も
      あるが、大枠は変わらん。
 
 すべては予定された通り。マルクスの予言は外れたが、これは外れない。
 
 ∧∧
(‥ )諸々が起きた時、
\‐  監督さんは衝撃を受けたの
    でしょうかねえ?
 
  (‥ )まず間違いなく、
      予測していたことだろ?
      それが来たら、衝撃だよね
      さんざん作品で描いてきた
      世界なんだからな。
      時計の歯車ががちゃりと
      動き、
      時針が、かちっと回る。
      避けられない未来は
      避けられん。
 
 楽園は降りてこない。なぜならそれは現実から眼をそらした希望だからだ。そんなもの、降りてくるわけがない。
 
 だが現実はやってくる。現実を構成する重要な要素が巨大な歯車として機能している限り、未来と時間に誤差があってもすべては予定通りだ。運命に抗ったところで、それは歯車に轢きつぶされるのみ。ましてや進行を阻止することなど出来やしない。
 
 ∧∧
( ‥)絶望は深いと思います?
 
  (‥ )絶望してるかどうかは
      知らんけどもさ、
      さもなきゃ
      ナウシカとか
      ミラルパとか
      ナムリスとか
      ヴ王とか出てこんだろう
 
 絶望的に事態が推移する中、たったひとりで世界を救おうとする少女や、ぼろぼろになっていく肉体を必死で支え、これが帝国と民のためだと、もはや妄執と勘違いと化した義務感で国家の舵取りをする権力者や、そうかと思うと、それをすべてあざ笑いながらやることやってさっさと退場する皮肉屋や、単行本の時には変えられた台詞、こんなくだらん世界で不死など望まん、と思わず言ってはいけない本音をもらす王なんて出てこないだろう。
 
 
 ∧∧
(‥ )この先、方々はどうするの
\‐  でしょうねえ
 
  (‥ )どうもこうも、
      確定した未来の中で
      ぶれを作り出そうと
      やってみるのみだろ
 
 40越えたら時代遅れの老人なのだ。いかに経験が多く、それが圧倒的でも、どうしても時代遅れな部分が生じる。なぜなら周辺の事態、それそのものが変わっているからだ。
 
 ∧∧
(‥ )安倍さんも、時代遅れ、
\‐  ですかねえ
 
  (‥ )他が時代遅れどころか
      時代錯誤だから新進に
      見えるけど、
      美しい国って言っちゃう
      ことからすると、
      安倍さんもやっぱ、
      もう古いよな。
      それでも仕事はちゃんと
      やっているからね、
      そこを評価されてこその
      躍進だったのだろうな。
 
 
 何事もパーフェクトってわけにはいかぬ。それならそれで評価すれば良いだけの話。それだけだ。
 
 でも、あれだ。個人的に思うに、せめて、適切な国、にしてくれませんかねえ
 
 ∧∧
( ‥)小泉さんじゃん
 
  (‥ )適切って良いだろ?
      適切に対処しますって
      あんなの体のいい
      ごまかしだっ!
      そう怒る人もいるけどさ
      美しいよりは適切の方が
      いいと思うけどね。
 
 まあ、なにはともあれ
 
 ∧∧
( ‥)とにかく今のあなたは
    絵を描く事ですよ
 
  ( ‥)40過ぎて、人生は下り坂
    ‐□ もはや立場は老人だのに
      俺の評価、それ自体は
      ただの若造だからね
 
 それに、仕事は数をこなさいといかんのだ。いくら丁寧に時間をかけても、がんがん描かないと、がんがん仕事しないと、ああいう人々にはなれない。
 
 
 ∧∧
( ‥)描かないと誤差も
    作れませんしね
 
  ( ‥)確定した運命の中で
    ‐□ 何をするのか?
       そこだよね。
 
 
 さあ、無駄と知りつつ、どうあがいて、どんな誤差を次世代につなげましょうか。
 
      
      
 

2013年7月30日火曜日

不屈さも勝利も、それは体力あってこそ

 
 もしゾンビが、人間のように”充分な食事”をしないと動くことが出来なかったら。
 
 ∧∧
( ‥)脅威度は半減、あるいは
    それ以下ですか?
 
  (‥ )たぶんね。
 
 とにかく住人の避難を急がせればいい。というか住人は自主的に遠くへ遠くへと逃げていく。そして相手に知能はないのだから道路をバリケードや鉄条網などで封鎖するだけで良いのではないか? 
 
 ∧∧
(‥ )生身の人間と同じような
\‐  活動能力だったら、
    食事がない状態で
    1日以上歩くのは...
    ちょっと無理っぽい
    ですよね。
 
  (‥ )餓死するまで人間は
      どのぐらい歩けるのか?
      よく分からないけど、
      食事抜きで
      1日、2日歩き通し、
      体力を消耗した相手を
      阻止する。これは
      難しいことではないよな。
 
 食事抜きで12時間歩き通して、直線距離にすると50キロ弱ってとこだろうか? しかし、知能がないのなら歩く方向はでたらめになる。封鎖された地域の外、つまり人のいる場所に向かってまっすぐ歩ける保証はない。
 
 ∧∧
( ‥)つまり、道路を封鎖して
    障害物を置き、さらに
    数十キロの距離をおいて
    封鎖して緩衝地帯を作る
    そこを移動するゾンビを
    見つけ次第、
    遠距離から始末する
    そんな感じになりますか
 
  (‥ )封鎖された直径数十キロの
      円内の人間を食い尽くした
      ゾンビはそのまま餓死、
      あるいは餓死する前に
      運良くたまたま
      障害物を突破しても、
      数十キロの無人地帯を
      さらに運良く直線距離で
      歩き通せる奴はそうは
      いないだろうからね。
 
 10日もすれば全滅。確実を期したかったら一ヶ月待てばいい。そんなとこではないか?
 
 ∧∧
(‥ )それを考えれば
\‐  フィクションで描かれる
    ゾンビさんが補給の必要なしの
    設定になっているのは
    当然ですね
 
  (‥ )心臓や脳を破壊しない限り
      活動できる、
      かまれると同類になる、
      というのも脅威だけど
      本当に恐ろしいのは
      食事がいらないこと、
      補給の必要がないこと、
      稼働時間は永久、
      体力が無限大だって
      ことだよな
 
 ゾンビに補給の必要があったら、ゾンビは足で殺せる。逃げればいい。だがゾンビに補給の必要がなかったら、足で殺される。知能がなくとも、無限の体力を持つ彼らは遅かれ早かれ封鎖線を数で突破する。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えればですよ
 
  (‥ )補給や体力さえあれば
      馬鹿でもアホでも
      無謀でも勝てるって
      ことなんだよね。
 
 そういえばプルターク英雄伝、ピュロス王編では、ピュロス王の幕僚の一人が、ローマを不死身と再生のヒドラに例える場面がある。
 
 ∧∧
( ‥)それなりな人口がいて
    いくら敗北しても
    新たな軍団を編成して
    送り込んでくるから、
    ですね
 
  ( ‥)ローマってさ、
    ‐□ 戦士の文化が残っていた
      せいなのかな?
      自軍の兵士に対して
      優しくないんだよな。
 
 ハンニバルによって大敗させられた時、敗北し逃げ延びた兵士をローマは許さなかった。戦争に勝つまで彼らがイタリアの地を踏む事を禁止している。
 
 ∧∧
( ‥)切腹しろ、とまでは
    言わないけど、
    なんか旧日本軍を
    思わせますよね
    せっかく生き延びた兵士なのに
    懲罰を与えてしまう。
 
  ( ‥)でもさ、旧日本軍は
    ‐□ 兵士の損耗を考えなかった
      馬鹿だアホだって言う人は
      数多くいるけど、
      ローマ軍を馬鹿だアホだと
      言う人はまずいないのよな
 
 ∧∧
( ‥)結果論ですかね
 
  (‥ )それもあるけど、
      ローマって自分よりも
      体力のある敵と戦った事
      たぶん、ないだろう?
 
 カルタゴはハンニバルを支援もしないで、事実上見捨てていたわけだし、豊かなヘレニズム諸国は金のかかる傭兵をかなり使用していたわけだし。
 
 ∧∧
( ‥)日本は人口でも工業力でも
    圧倒的に勝るアメリカに
    戦いを挑んじゃいました
    からね。
 
  ( ‥)車も見た事ない田舎者と
    ‐□ 自動車の大量生産を
      実現した工業社会だろ?
      数でも質でも負けている
      わけだからね、
      体力的に勝てる訳がない
 
 体力的に勝る相手に戦いを挑む、それ自体が愚かだと言えばそうだが、そこだけを見て、置かれた状況を無視し、同じ短所や特徴を真逆に評価する、これはいかなることか?
 
 ∧∧
( ‥)単純に体力の有無と状況で
    評価が180度変わっている
    だけだったら、
    笑っちゃう話ですか
 
  (‥ )最低限、そういうことは
      念頭に入れておいても
      良いと思うよ。
 
    
 別の世界では、ローマはカルタゴ海軍とハンニバル兄弟に最後まで無謀な戦いを挑んでイタリア半島を焦土にして滅びた愚かな人々、という評価で終わっていたかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )一般的にローマはその不屈さを
\‐  評価されるのですけどね
 
  (‥ )不屈さも勝利も、それは
      体力あってこそのものだと
      思うけどもな。

 
      
 
 

2013年7月29日月曜日

賢い人間はすぐ絶望する

 
 
 ∧∧
(‥ )もう一週間が過ぎましたけど
\‐   このたびの選挙では
     うひゃーな人が当選したから
      絶望している人も
      多いみたいですね
 
  (‥ )おかしな人が
      当選するのはいつもの
      ことだけどね。
 
 実際、おかしな連中が幾人か当選したとはいえ、選挙で民主党が政権を取った時ほどの深刻さはなかろう。
 
 ∧∧
(‥ )...まあ、あれは事実として
\‐  大失敗でしたから。
 
  (‥ )事実、あの失敗を反映して
      揺り戻しが起こったわけだ
      つまり、試して改める。
      解を探索する過程として
      ちゃんと動作してるよね
 
 なんの問題もない。結果を予想できた人からすれば、迂遠極まりないだろうけど。
 
 ∧∧
( ‥)迂遠な。つまり迂回して
    しかも遠い。
    分かりきった道を
    最短距離でいけばいいのに、
    馬鹿は余計な回り道をしないと
    分からないのか? と
    人によってはお怒りです。
 
  ( ‥)人間は所詮、人間。
    ‐□ 集団は平均。
      平均は平均。
      平均は同じ。
      それでもなお、
      答えは出せるのだ。
 
 答えが出た、という現実から眼をそらし、ちょっと頭が良いぐらいで、平均という現実を前に絶望してしまうとは、
 
  (‥ )天才らしからぬ絶望よな
      いや、それで絶望するのが
      天才なのか?
  
 ∧∧
( ‥)賢いとは、そういうものだ
    それもまた現実なのでは?
      
 賢い人間はすぐ絶望する。だから、そんな絶望、いちいち聞いていられない。
 
 
 
 
 
 

人生スリリング

 
 
 ∧∧
(‥ )そういえば突如引退を決意し、
\−  全然違うジャンルに
    チャレンジして、その後、
    舞い戻った人がいましたよね
 
  (‥ )マイケル・ジョーダン
      とかな。
      でもいいんじゃね?
 
 ∧∧
( ‥)おや、意外にも好印象?
 
  (‥ )どんな理由があれ、
      人生は大いなる遊戯よ。
      仕事は真面目にやるべき
      かもだけど、
      遊戯は真剣にやるものよ
 
 なにを真面目だ、なにを真剣だ、とするのかは、人、それぞれだけども。まあ、そんなところなんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、あなたは
    セカンドライフとか、
    そういうのはひどく嫌うよね
 
 ( ‥)セカンドライフって、
     見方を変えれば、
     それまでがファーストライフ
     だった、
     そういうことなのよな。
 
 第一の人生をリセットしたい、というのなら話は分からんでもないけども、第一の人生の成功体験であわよくば第二の成功を納めたい、というのなら、
 
 うはっ! お前、超ー、楽観。
 
 ∧∧
( ‥)成功体験を誤解していると
 
  ( ‥)成功するのに20年。
      だったら次の成功に
      20年かければ良い、
      つまり前半に出来たことを
      後半にもう一度出来る
      そう思っているのだろうな
 
 成功の要素のうち、時間と努力は考慮しているが、だがしかし、若さと体力を忘れておる。
 
 ∧∧
( ‥)人はいつまでも若くは
    いられない。それを
    忘れた人は痛い目を見る
    あなた、それが見たいんだね?
 
  ( ‥)セカンドライフと挑戦が
    −□ 挫折し、惨めな失敗に
      終わるたびに、私の理論は
      確からしさが増大するのだ
 
 頑張って成り上がった経営者が、勘違いのあげく、政界へ打って出て当選して議員になる。
 
 ∧∧
( ‥)本来、指揮官として
    後退、指導するべき人が、
    己の体力を忘れて前線に
    一兵卒として参加する
 
  ( ‥)ぞくぞくするねえ。
    −□
 
 人生が無駄に終わる瞬間はいつだってじわじわと進行し、まるで劇的でなく、ゆえにくだらなく、そして無様で必然的にスリリングだ。
 
 これがもうたまらない
 
  (‥ )生きてるって
      実感するだろ?
 
 ∧∧
( ‥)まあ、生きるって
    死ぬことだからね。
 
 影がなければ光は認識できぬ。
 

2013年7月28日日曜日

瓦で頸椎が砕けた

 
 俺様理論家。
 
 色々な奴がいる。鳥の進化を勝手に想像するもの、あるいは人間の進化、あるいは数学の証明をなし得たと主張し、あるいは相対性理論の間違いを指摘し、一昔前なら、私は湯川博士を超えたと自称研究所(自宅)を作り、あるいは地球の中身は液体だと考えて独自の地震理論を語る講演会を開く。
 
  ( ‥)愚かよな、
    −□ 健康論とか吹聴すれば
      詐欺師になって
      楽に暮らせたのかも
      知れないのに。
 
 ∧∧
( ‥)あなたたちお猿さんにとって
    重要なのは、
    健康、金儲け、地位の向上
    ですからね。
 
 そこんところを突かないようでは、駄目だね。ほら、そんなんだから人生があっさりと詰むんだよ。
 
 ああ、だから諸君。君らの人生はまったくの無駄に終わるのだ。
 
 それは君が俺様理論屋だから、だけではない、おまえがきちんと論文を読まなかったから、それだけじゃない、そこを全部突破しても、それだけではどうにもならんのだ。
 
 ∧∧
( ‥)生きる方向性というか、
    人生という商売において
    販売戦略が間違って
    いたから。ですね。
 
  (‥ )生きるためには売らねば
      ならんわけよな。
      何をどこに売るのか?
      人生には販売戦略が
      あるのだ。
      ここんところ間違えると
      人生は容易に詰む。
 
 人生とはそれ自体が販売で商売なのだ。何を売るか? 体力を売る、時間を売る、危険を売る、才能を売る、色々あるけども、どんな場合であれ、同じは同じ。売り先、売り方を間違えると破滅だ。

 ほんのわずかなずれでしかないのに、自分はそう思っているのに、自分は勝手に才能があると思い込んでいるのに、自分は努力したと思っているのに、隣は馬鹿売れで、自分は閑古鳥、ということになる。
 
 ∧∧
( ‥)あなたも人のことは
    言えませんよね
 
  ( ‥)もし、才能とやる気が
    −□ あって、萌絵とかの方向で
      突き進んでいれば、
      ひょっとしたら今よりは
      収入面で楽、だったかもね
 
 もっとも、そんなこと、想像の域を出ないし、想定するだけ無駄だ。
 
 ∧∧
( ‥)無駄ですね。年齢35を
    超えたら、もう第二の
    選択肢を試すなんて
    ほぼ不可能でしょうから
 
  ( ‥)可能だと、安易に言う
      連中もいるけどな。
      だがそこがいい。
 
 例外をいくら積み重ねても例外は例外だ。分子をいくら増やしても同じ割合で分母が増えるのなら、結果は同じ分数だ。いくら積み重ねても不利は改善しない。無駄なあがきだ。
 
 だが、それがいい。
 
 無駄に終わる人生、これがもうたまらない。
 
 ∧∧
( ‥)人生の終わりに、
    自伝を書く人もいますけどね
 
   ( ‥)聞いてみればいい。
 
 あなたは他人の自伝を読みたいですか?
 
 ∧∧
( ‥)答えは、否、でしょうね
 
  (‥ )馬鹿げたあがきだ
      自分が欲しくもないものを
      他人に売りつけとる。
 
 そしてhilihiliのhilihili: 首都を守るために敵国の首都を陥落させるの、最後の部分の続き
 
 ∧∧
(‥ )ピュロス王さんですね
\−  プルタルコスの英雄伝、では
    ピュルロスで表記されてますが
 
 *プルタルコスの英雄伝。幾つか和訳があるが、「プルターク英雄伝」岩波文庫 全十二巻が、やや古いけども良い感じ(ただし絶版である)。和訳は他にもあるが、ものによっては抜粋であるのみならず、人物名や地名、都市名などが英語読みで、誰だお前? 状態で訳が分からない。
 
  (‥ )岩波版だとピュロス王は
      第六巻で登場。
      前3世紀の人物で、
      読み直したら、
      石じゃなくて瓦だったね
 
 アレクサンダー大王の死後、マケドニア本国に今だに残る王家の威光は色あせて、いまや大王の将軍たちはそれぞれ王を称し、互いに争う乱世の時代。一地方部族の王子として生まれたピュロスは自力でのし上がり、勝ち抜いて、この時代、それなりな地位を築く。
 
 ∧∧
( ‥)歴史的にはまったく
    マイナーな王様ですけど
    ローマと最初に戦った
    ギリシャの軍事指導者ですね
 
 
  ( ‥)ほんのかすかにだけど
    −□ 古代の大数学者、
      アルキメデスの人生を
      かすめた人でもあるの
      だよな
 
 たぶん、アルキメデスは子供時代にこの人の軍隊を見ている。
 
 勇猛で軍事的にすぐれた王であったという。だがおそらく、いくら武勇にひいでていても諸王が割拠する地中海東部に限界を感じたものか、ピュロス王は地中海の西部へ手をのばし、ローマと戦い勝利する。しかし被害は甚大。最終的には撤退せざるをえなかった。そしてギリシャの都市アルゴスを攻め落とそうとしている最中に死んだ。
 
 当時、状況の不利を見て取り、後退を指示。都市から出ようとしたところ、命令が誤って伝わったため、救援部隊が外から殺到。混乱状態に陥った。身動きがとれない道での乱戦中、自分に投げ槍を当てた兵士に切り掛かった際、その兵士の母親が屋根の上から投げつけた瓦が王の兜を直撃、頸椎が砕けたという。
 
 ∧∧
( ‥)即死ではなかったけど
    こいつピュロス王じゃん
    そう気づいた敵兵が、
    動けない王を物陰へ
    引きずり込んで、
    首を切り落としたと
 
  (‥ )なんかさ、王がおっかない
      から、手元が狂って、
      一撃で切れずに、
      何度もがんがん斬りつけた
      らしいよね。
 
 あんまりな死に様である。
 
 ああ、しかし、だからすばらしい。
 
 ∧∧
( ‥)才能も経験も実力も実績も
    あるのに、それでもなお
    あっさり、
    しょうもない死に方をする
    これが人生ですか
 
  ( ‥)人生は無意味でくだらん
    −□ それを教えてくれるだろ?
      実にいいね。
 
 みんな、しなびるように死ぬのだ。努力だ、頑張った、僕を見て、まったくもって馬鹿げている。



 
 
 

2013年7月27日土曜日

理念の破壊者

 
 hilihiliのhilihili: ゾンビウォーズの続き
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )ようするにあれだ
      ゾンビってのは、
      あらゆる理念を
      打ち砕く存在だって
      ことだな。
 
 憎悪がなくとも戦える
 宣伝されなくとも殺せる
 愛国心がなくとも踏みとどまれる
 敵意がなくても破壊できる
 知性がなくても侵入できる
 論理がなくても突破できる
 
 愛国心を煽る右翼も、美しい国と熱弁する理想主義者も、知能こそが何にもまして素晴らしいと信じる左翼も、問題は計画と理論でこそ解決できると信じるマルクス主義者も、民族と血と歴史の誇りを連呼するファシストも、憎しみと武器さえなくなれば平和が到来すると信じ込む博愛主義者も、イデアに接近することが勝利だと思い込んでいる知性主義者たちも、
 
 ∧∧
( ‥)これら皆の想いを
    無惨に打ち砕く存在
    それがゾンビ
 
  ( ‥)まあ、これ、
    −□ 昆虫とか病原菌が
      普通にやっていること
      なんだがな。
 
 知性がなくとも数と生産力さえあれば問題を解決し、すべてを圧倒できる。
 
 ∧∧
(‥ )確率と機械的な淘汰
\−  これだけで十分機能する
    なんのこっちゃない、
    ゾンビの恐ろしさは
    ダーウィン的な解探索の
    威力と脅威ですよね。
 
  (‥ )考えてみれば、
      右翼も左翼も、
      ダーウィニズムを
      理解できなかったのは
      意味深だね。
 
 右翼や左翼の知識人が飛びついたのは、ダーウィニズムではなくて、ファシズムだったり、あるいは今西進化論やルイセンコ主義や断続平衡説だった、というのは意味深だ。要するに、彼らは理性という上っ面に飛びつく連中で、腹が減っては戦はできぬ、とかそういう地味なことに眼を向けないんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)そしてゾンビはそれら
    知性主義者に
    対する挑戦であると
 
  ( ‥)人の形してるけど、
    −□ もう死んでるから
       撃っても良い。
       そういう理由で
       シューティングゲームの
       世界で普及した
       そう思っていたけども、
       意外におもろいアイデア
       なのかもしれんね。
 
 ゾンビを、蔓延する死者とあふれる死の世界、と見ればホラーだが、ホモ・サピエンスであることをやめ、集団として解探索を行う巨大な演算装置へと変貌した人類、と考えると意味合いはずいぶん違ってくる。
 
 ∧∧
( ‥)まさに終末の形、
    しかしそれは最後の審判、
    死者の復活ではなく、
    人類の新たな変貌という
    SF的な意味合いを
    帯びてくると。
    さながら幼年期の終わりの
    ように。
 
  ( ‥)人類の新たな一歩。
      これ自体はダーウィニズム
      ではなくて、
      中世的な上昇の梯子の
      イメージなんだけどね。
      ゾンビは人類が
      ダーウィニズム的な
      演算装置に変貌する、
      という物語であることを
      考えれば皮肉な話だな。
 
 
 以上、こんなことは荒唐無稽な話ではあるけども、だが、戦争は結局、体力だってことは言えるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)機械化が進んだ軍隊は
    体力よりもむしろ工業力だと
    言う人もいますけどね
 
  (‥ )社会的な、という意味では
      工業力こそ
      体力そのものさね。
 
 いや、まさにそうではないか? ほんの70年前まで軍人貴族に支配されていた国家が慌てて開国し、列強に追いつこうと努力したが、しかしどうにもならなかった。それがWW2における日本の敗北だというのなら、まさにそうではないか。
 
 社会的な体力がないから勝ちようがない。
 
 ∧∧
( ‥)大出力のエンジンが作れない
    から、ものすごく軽い構造の
    零戦を作ったり、
    それを牛さんで運んだりね
 
  (‥ )工業力ってのは
      天才的な技師がいる
      だけじゃ意味ないんよね
      技師を育てる学校や、
      工業それ自体を支える
      色々な事柄、電気、ガス、
      水道、運輸、道路、
      さらにそれら自体を
      使用し、整備する人々、
      それらを支える伝統、
      これ全部必要。
 
 武器や戦術や愛国心を人間は注目しがちで、それを支えるのは社会そのものだってことを、すぐに忘れる。
 
 ∧∧
(‥ )パソコン買えば明日から
\−  クリエーターだ。
    言うのは勝手だけど、
    そんなわけにはいきませんし
 
  (‥ )社員にはっぱかければ
      生産効率が上がるかって
      言うと、そんなことは
      ないからね。
 
 ゾンビはそういう人間の思い上がりを破壊してくれる使者だ、とも言える。たいがいは、ぱんぱん撃たれてばたばた倒れるだけだが。
 
 
 

2013年7月26日金曜日

ゾンビウォーズ

 
 
 人間は戦争をする動物だ。
 
 この意見に、激怒して論破しようと必死になるのも人間だ。
 
 ∧∧
( ‥)すなわち闘争だ
    これぞ人間だ。
 
  ( ‥)平和論者は人を殺す
      そして、人が集団である
      からには、人は必然的に
      陣形をもって戦争する
      それが人間だ。
 
 戦争をする。
 
 アリに匹敵する能力を得た、唯一の脊椎動物。それが人間だ。
 
 自分たちが何者なのか? それを忘れちゃあいけないなあ。
 
 ∧∧
( ‥)鏡を直視しろと
 
  ( ‥)気持ちは分かるよ、
    −□ 40歳を超えると、
       体は衰え、肉体は
       崩壊しかかっている
 
 鏡を見るがいい。醜く、正視に耐えない。だから隠しても良い。
 
 しかし、見なければならぬ。美しい理念や道徳や倫理なんていうどぎつい厚化粧の下に隠した自分たちの素顔を。
 
 ∧∧
(‥ )憲法改正したって
\−  どうせ馬鹿なことをして
    負けるんだ。
    そういう意見。
 
  (‥ )軍事オタクっぽい
      意見といえば
      意見なのかもね。
 
 *ここでの軍事オタクとは、こんな武器でこんな計画を立てれば、と考えてしまうほど知識がある人のこと。
 
 ∧∧
( ‥)どう思います?
 
 (‥ )ブッシュ(馬鹿息子の方)が
     イラクに攻め込んだけども、
     アメリカは瓦解しては
     いないよな。
 
 つまり戦争って体力だよね。
 
 ∧∧
(‥ )WW2の時、日本は
\−  体力が無かったですしね
 
  (‥ )体力があれば
      頭が馬鹿でも
      なんとかなるんよ。
 
 イラク戦争の犠牲者(軍人、民間人を問わず)を軽く見るものではない。しかし、事実はそうだ。
 
 事実はいつだってろくでもないものではなかったか? 戦争なんて大きな話でなくて良い。自分の人生を見直せばそれは明瞭ではないか。
 
 ∧∧
( ‥)技術、兵站、飯、休憩
    なんにせよ、体力が勝負だと
 
  (‥ )すごい馬鹿な話だけど、
      ゾンビが脅威なのは
      彼らが計画を立案し、
      賢く、組織的で
      ミスを犯さず、
      揺るぎなき愛国心を
      持つからじゃないよね
 
 ゾンビが架空の存在でしかないとしても、彼らが脅威になりうるのは、知性でも立案でも信念でもない。
 
 ∧∧
( ‥)設定上、食料を食べなくても
    活動可能で、人間を使用して
    数をいくらでも増やせるから
    ですね。
    兵站も補給も全部問題無し
    迷路も経路も数で突破する
 
  ( ‥)体力と数さえあれば
    −□ 馬鹿でもどうとでもなる
      そういうことよな。
 
 絶望した知性主義者には耐えられない話だろうけども、たぶん、これが宇宙の原理。
 
 ∧∧
( ‥)意地悪な言い方をすれば
    ですよ
 
  (‥ )知性主義者が現実に
      絶望して声を上げるとは
      それ自体が論証なのだ。
      彼らの絶望は、
      宇宙が知性的には
      ふるまわないってことを
      示しているわけだからな。
 
 だから大胆に言ってしまうと、この仮説は正しい。
      

 

2013年7月25日木曜日

占星術と医者

 
 hilihiliのhilihili: 12の12分割の続き
 
 ∧∧
( ‥)状況は?
 
  ( ‥)1枚描けた。
    −□ 一日一枚
 
 ∧∧
( ‥)悪くないペースだけど
    悪くないだけだよね?
 
  ( ‥)とはいえこれ以上は
    −□ 速まらないわけでね
      どうしたものかな。
 
 「西洋占星術の歴史」を読んでいると、占星術の初期の記述はしばしば医者が行っているらしいことに気づく。
 
 ∧∧
( ‥)意外に思えるけども
    考えてみれば当然ですか
 
  (‥ )アジアでも陰陽五行説で
      医療を論じたりして
      いたわけだからね。
      おかしな話じゃないな。
 
 ただ、これは逆かもしれない。伝播の証拠自体はないものの、多分、陰陽五行説の元は西方世界だろうし。
 
 *中国は偉大な発明を幾つもしたが、文明発祥の地はなんだかんだいってメソポタミアで、基礎の元ネタはここにあると考えてよい。そういう意味。
 
 それを考えれば、”アジアだって五行説で医療を論じているくらいだから、西方世界だって占星術と医療が融合しててもおかしくない”、というのは根拠と結論が逆かもしれぬ。
 
 ∧∧
( ‥)でもどっちが先にしても
    人体と自然と宇宙と天体が
    関連しているという
    考えが背景にあるのだろうと。
    それを考えれば医者が
    占星術に言及するのは
    当然だろうと。
 
  (‥ )バビロンの占星術が
      ギリシャに来たとき
      アリストテレスとかが
      考えてた、元素説や
      熱や寒さ、湿気や乾燥、
      そういう万物の流転を
      説明する理論と
      合流したって感じに
      見えるね。
 
 宇宙、神、元素の流転、そして人体。
 
 これらすべてを統一する理論が誕生すれば、その応用は農業、冶金、化学にも当然及ぶだろうけども、
 
 ∧∧
( ‥)まず第一は
    占いと医療でしょうよと
 
  (‥ )健康と未来、自分の地位
      人間の最大の欲求だな
 
 ∧∧
( ‥)いずれにせよ、ギリシャ時代の
    医学の本にも眼を通しますか
 
  ( ‥)まあ、なにはともあれ
    −□ 読まねばならない本は
      どれか、まずそれを
      把握せねばならんなあ。
 
      
 
 

2013年7月24日水曜日

12の12分割


 
 ∧∧
( ‥)どう?
 
  ( ‥)うん、一枚ようやく終了
    −□ 最終仕上げは作業にして
      1時間半程度だったから
      まあ、ちょろいもんよ
 
 ∧∧
( ‥)そーれーまーでーに二日も
    かかっておるでしょうに
 
  ( ‥)さーて、遅れを可能な限り
    −□ 拡大しないようにするか
 
 ∧∧
( ‥)遅れを挽回、ではなくてね
 
  ( ‥)世の中、無理なことが
    −□ あるもんさね。
      速く走って追いつけって
      言ったって、そうは
      間をつめられんからな。
 
 なにか工夫できる余地があれば、いいんだけどねー。
 
 さて
 
 ∧∧
( ‥)「西洋占星術の歴史」ですか
     恒星社厚生閣。
     原題は A History of
     Western Astrology ですね
 
  ( ‥)著者はS.J.Tester 
    −□ テスターさんって
       読むのかな。
 
 ∧∧
( ‥)どうよ?
 
  ( ‥)まだ読み始めたばっか
    −□ だけども、そうね、
      占星術の起源と目的は
      時刻や暦を知ることに
      あった。
 
 暦を知る、とは未来を知ることでもあるから、そこから星占い、つまり未来予測に向かうのは当然なんだろうけども。
 
 ∧∧
(‥ )...読む限りでは、どうも
\−   最初からはちゃめちゃだった
     みたいですね。
 
  (‥ )占星術それ自体は
      理論として成立はするけど
      因果関係がはっきりしない
      せいなんだろうな。
 
 というか、当たり前なのだ。惑星の位置と人間の未来に関係などないのだから。
 
 しかしだからそれゆえなんだろう。現在でも占星術の理論体系は占い師によってかなりばらばらなイメージがあるけども、それは星占いが成立した紀元前4から3世紀でも同じだったらしい。

 どうも当時からして人によって理論がばらばらなんである。
 
 ∧∧
( ‥)予測が正しい、正しくない、
    それが分からないと
    理論が駄目だ、あるいは良い
    なんて言えませんからね。
 
  (‥ )予測はするし、
      つじつま合わせも
      できるだろうけど、
      失敗したから
      理論は棄却します、
      とかは無理だろうなあ
 
 結果と照らし合わせて妥当か妥当じゃないか判定できないのなら、それは制限や淘汰がない、ということだ。だったら枠組みがゆるまった理論はとめどなく変異を増大させ、姿がぶれるだろう。
 
 あと、
 
 占星術が精密な天文学に刺激的な影響を与えた、という天文学史における非常にポピュラーで陳腐な決まり文句を証明するものはどこにもなかった。pp64
 
 という意見があることは分かった。
 
 *注:これ自体は著者ではなく、著者により引用されたノイゲンバウアーさんとファン・フーゼンさんの意見。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはどう思います?
 
  ( ‥)証拠がないのはともかく
    −□ 影響がない、という
      結論自体は正直言って
      信じがたいね
 
 だがそれより驚いた、というか驚愕したのが古代世界において占星術師の一人が
 
 12星座が乗っている黄道、それを12分割して宮にするのみならず、さらにその”宮”自体を12分割しよう、と述べていることで...
 
 ∧∧
( ‥)しかも1世紀の初頭にね
    ようするに、
    プトレマイオスさんより前に
    それを言っちゃうのね
 
   (‥ )正直、お前、何を
       言い出したんだ?
       と思ったけどな。
 
 12の12分割って簡単にいってくれるものだ。どう分割するんだよ?
 
 ∧∧
( ‥)目分量じゃね?
    というか、そもそも
    ただの思いつきなんじゃ
    ないの?
    それを書き残してる
    マニリウスさんって
    なんか、かなり
    混乱的なことを書いて
    いるらしいじゃない。
 
   ( ‥)おそらくはそうよな
     −□ プトレマイオス自身は
       この12の12分割を
       無視しているらしいけど
       ここんところ、
       気になるね
 
 ∧∧
( ‥)プトレマイオスさんなら
    理屈の上では惑星が
    12の12分割のどこに
    いるのか、それを
    観測から判定できますよね?
 
  (‥ )道具次第だけど、多分ね
      だが、それ以前の他の
      人はそれが出来ないはず
      なんだよなあ。
 
 12の12分割って...
 
 知らんのに言うのもなんだが、いや、プトレマイオス以前だから言うのだけど、これ、ただの中二病みたいなもんじゃあなかろうな?
 
 ∧∧
(‥ )あるいは正確さを犠牲にして
\−   かなりてきとーに
     やったかですね
     あるいはそれすらもせずに
     本当にポーズだけ。
 
  (‥ )一方、それができる
      プトレマイオスが
      12の12分割に
      言及しない。
 
 これはいかなることか?
      

 

2013年7月23日火曜日

雄だ、多分。

 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  ( ‥)この画像、雄だ、多分
    ‐□
 
 なんか妙に眼下の発光器が大きいなあ、と思っていたけども。
 
 ∧∧
(‥ )このお魚さんは性的二型が
\‐  かなり大きいのですよね
 
  (‥ )最近になって知ったよ
      なんか個体によって
      ずいぶんイメージが
      変わると思っていたけど
      個体変異とかじゃ
      収まらないものなんだな
 
 
  ただ、これがどんな性淘汰で生じるものなのかよく分からない。
 
 
 ∧∧
( ‥)それにしても1枚の絵を
    描くのにずいぶん
    時間を食ってしまい
    ましたね。
    ほぼ完成したけども、
    まだ作業があるでしょ。
 
  ( ‥)この魚、ディテールが
    ‐□ 面倒くさくてね
      どうしても手間が
      かかってしまう。
 
 

2013年7月22日月曜日

首都を守るために敵国の首都を陥落させる

 
 
 見れないから直接確認したわけじゃないが、宇宙戦艦ヤマトのリメイクがやっている。
 
 ∧∧
( ‥)なつかしい?
 
 
  ( ‥)子供の頃、見てたなあ
      船底をドメル将軍の
      自爆でふっ飛ばされても
      翌週には何事も無く
      航海していて、
      どうなってるんだ?
      そう思ったもんだけどね
 
 
 あれはなにか記憶に残っている。将軍の自爆に気がついて退避するのだけど、間に合わずにみんな吹き飛んで、船底はがっぽりそげ落ち、死体の断片なのか遺品なのか知らんけども、なにか納めたカプセルをごろごろ宇宙に流して葬式を上げる。
 
 しかし、今にして思えば、補給なしの戦艦。しかも自分たちの技術ではなく技術供与された知識で作ったがゆえ原理的に構造がよくわからない、そのたった一隻の船で大帝国の奥深く入り込み、あまつさえ、首都星を陥落させるというすごい話。
 
 ∧∧
(‥ )でも、リメイク版だと
\‐   色々と工夫されているみたい
     ですね。
     ネットで見る限りでは
     集結したガミラスの艦隊が
     バラン星の崩壊で
     首都星から遠く
     孤立してしまうという
     困った状況らしく。
 
  (‥ )相手の大国が首都を
      防衛できない状況に陥る
      一隻で敵国に攻め入る
      条件をストーリー上、
      整えたわけだな。
      それでも御都合主義は
      否めないだろうけども、
      物語ってのは本来は夢で
      夢は基本的にそういう
      無茶ぶりを強引に
      押し通すものだからね
      そこがフィクションに
      必要な工夫よな。
 
 例えば、容易に敵の侵入を心臓部まで許し、そこを戦闘機に攻撃されただけで大爆発してしまうスターウォーズのデススター。
 
 そんなものは...まじめに考えるのなら作らないよね。
 
 だが、そうする。あえて。
 
 ∧∧
( ‥)あなたがヤマトの旧作を
    見たのは
    再放送時みたいですね
    ちょうどスターウォーズの
    映画が公開された時でしょ
 
  ( ‥)田舎だったからかな
    ‐□ あれが地元では事実上の
      本放送になるのかも
      しれないけども、
      あれよね、
      日本の制作者も
      アメリカの制作者も
      無理な設定であっても
      物語とストーリーのため
      あえてそういう展開にした
      それが分かる二作だよね。
 
 それが同時だったというのは、どうでもよいことだけども、感慨深い。
 
 物語をそういう展開にしないと、デススターを陥落させるために3本ぐらい映画を撮ったり、ガミラス帝国の首都星を陥落させるために、地球艦隊を長距離遠征させなきゃならんわけで、一隻の船の話でもなんでもなくなる。当然、人間関係も国家や組織のあり方さえも根本から変わらざるをえない。
 
 それはそれで面白いかもしれないけども、番組や映画にするのは、うーん、だろう。
 
 ∧∧
(‥ )現実世界の話でいうと
\‐  7世紀、東ローマ帝国皇帝
    ヘラクレイオス1世さんは
    自国の首都を敵にさらしながら
    敵国の首都をついた人ですよね
 
  (‥ )まだ原典を読んでないけど
      聞く限りはそうなのよな
      東ローマ帝国の首都、
      コンスタンティノープルの
      城壁は、古代の技術では
      打ち破れないから
      包囲されても
      持ちこたえられる。
 
 そして敵の軍隊を退かせるために、敵の軍隊を打ち破る必要性はかならずしもない。
 
 ∧∧
( ‥)中国の春秋戦国時代の話
    でしたっけ?
    大国に攻められた小国を
    救うために、その大国の
    首都を突く、という。
 
  (‥ )たしかそうよな。
      ヘラクレイオス1世も
      ペルシャの首都を突いて
      勝利を納めて、
      奪われた国土を取り返し、
      英雄として帰還する。
 
 ∧∧
(‥ )昔の軍隊はその点、
\‐   良いですよね。
     現地で略奪すれば
     補給できますから
 
  (‥ )昔の軍隊って何年も
      敵国内をうろうろしたり
      するからね。
      今みたいに機械化された
      軍隊だとちょっと
      厳しいよね。
      未来技術で機械でも
      現地略奪でオッケーだと
      したら...、なんかどんな
      世界なんだろうね?
 
 自分たちの母星が包囲されているのに、敵国の首都を陥落させるという物語を(歴史的な、あるいは現実的な意味で)まじめに作ったらこうなってしまうのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)それが面白いか
    面白くないかはともかく
 
  (‥ )物語の意味がまるで
      変わってきちゃうよな。
 
 ある人、曰く、宇宙戦艦ヤマトはなすすべもなくアメリカに敗北した、という日本の経験と望みから来た物語であると。
 
 ∧∧
( ‥)陥落寸前、爆撃、
    起死回生

 
  ( ‥)ヘラクレイオス皇帝の
    ‐□ 話にしたら、
      そういうものは
      なくなっちゃうよね
 
 現実の話をすれば、それは悲惨なものだった。だからこその物語である。
 
 そして、もはや関係ない話だけども、悲惨と言えば、それはヘラクレイオス1世もそうだった。ローマ帝国とペルシャ帝国。何世紀にも及ぶ宿敵同士の最終決戦が始まったその時、それはヒジュラ暦元年。勝利を納めた皇帝の前に、やがて信仰に燃えるイスラームの軍勢が砂の彼方から現れる。最終戦争で疲弊した二大超大国はもはや抵抗できず、ライバルのササン朝ペルシャは瓦解。ローマ帝国も取り返したばかりのエジプト、シリアを奪われ、皇帝は人生をかけたすべてが崩れ去るなか、病に倒れ不遇のまま死ぬ。
 
 ∧∧
(‥ )なんか、現実って
\‐   そういう、いやーんな話が
     多いですよね
 
  (‥ )英雄たちは、みんな戦場を
      駆け巡ってるからなあ。
      引退して静かに死ぬ人も
      いるけど、
      そうでない人が多いよね。
 
 ∧∧
( ‥)プルタルコスさんの
    英雄伝なんかを
    読んでますとね。
 
  (‥ )なんか、皆さん、
      たいていはしょうもない
      悲惨な死に方するんだよな
      市街戦と乱戦のさなか、
      おばちゃんだか誰だかが
      投げた石が、がつっ、と
      当たったりしてな。
 
 だが、それがたまらなくすばらしい。
 
 
 
 少し続く=>hilihiliのhilihili: 瓦で頸椎が砕けた
 
 
 
 

努力に金は払えん

 
 ∧∧
( ‥)あなたは努力する人が
    大嫌いですよね
 
  ( ‥)あの手の連中はな
    ‐□ 努力という消耗に
      対して、やたらと
      対価を求めたがる
      からね。
 
 努力しようがなんだろうが、無駄なものは無駄なんだよ。そんなものに対価だの料金だの払えるわけねえだろ。
 
 ∧∧
( ‥)お腹すいたから
    食費をよこせ
 
  (‥ )もろもろの維持費は
      認めようじゃないか。
 
 だが、努力に金は払えん。
 
  
 
 
 
      

まあ、人生とは無駄で、儚く消えるものだ

 
 ∧∧
(‥ )民主党結党以来の惨敗。
\‐  小泉旋風が吹き荒れた
    選挙よりも悪い結果、
    そういう評価もありますね
 
  (‥ )有能な敵より
      恐ろしいのは
      無能な僕ちゃんだった
      そういうことね。
 
 ∧∧
(‥ )例のブラック企業の社長さんも
\‐   当選は果たしましたね
 
  (‥ )比例区、下から二番目か。
      まあ、これであれかね、
      あの会社は社長から
      解放されるわけかね。
 
 ∧∧
(‥ )...なんかすごい人も当選して
\‐   ますけどもねえ。
 
  (‥ )当選したぐらいじゃ
      何も出来ないけどな。
      組織あっての政治さね。
      一人じゃ一人。
      任期6年。
      ご苦労なこった。
 
 ∧∧
( ‥)人生とは
 
 ( ‥)人生とは無駄に終わるものよ
     ちょっと成功したって
     無駄は無駄。
     血と汗の努力の成果も
     無惨に、あっという間に、
     夢のように儚く消える。
     無駄なものは無駄。
     そこんとこ自覚してないと
     人生行き詰まるぜえ。
 
 
 
 

2013年7月21日日曜日

キジも鳴かねば無職にならなかったろうに

 
 ∧∧
(‥ )2013年参院選、
\‐   選挙は開票途中ですけども
     大方の予想通り、
     自民圧勝、民主惨敗。
 
  (‥ )与党にならなかったら
      万年野党のまま
      口先だけでずーっと
      給料もらえただろうにな
      愚かな話よ。
 
 与党なんかになったばっかりに、仕事が出来ないことがばれて、口先だけであることがばれて、呆れられて、憎まれて、落選して、そして失業する。
 
 ( ‥)それ考えると、民主党の
     人たちって本当に
     自分たちは仕事ができる、
     自分たちは日本を変えられる
     そう思い込んでいたの
     だろうな。
 
 ∧∧
( ‥)売国奴だの敵国のスパイだの
    ではなくて、本気だったの
    だろうと。
 
 政治家ってのは、異常者だからね。
 
 ∧∧
( ‥)えらい言いようですね
    それを言ったら
    怒るでしょう
 
   (‥ )身近で政治家になりたい
       なんて思ってる奴が
       どれだけいるんだよ?
 
 自分の理想や想いを政治の世界で実現しようだなんて、まともな人間じゃあねえだろ。
  
   (‥ )どうしてもそれがしたい!
       そんな欲望で仕事と
       職業を選ぶ。
       イラストレーター
       みたいなもんですよ
 
 ∧∧
( ‥)んー、イラストレーター
    なんかと一緒にされたら
    先生方は激怒するね。
 
 あるいは、ライターだね
 
 ∧∧
( ‥)ぶち切れるね
 
  ( ‥)物書きなんぞと
    ‐□ 一緒にされたら
       怒るだろうねえ。
       物書きだの小説家だの
       ジャーナリストだの、
       異常者の代名詞みたいな
       ものだからな
 
 
 それを考えたら、エロ漫画家ってのはずいぶん健全なもんだ。
 
 ∧∧
( ‥)エロ漫画を規制しようとする
    政治家よりもまともだと
   
  (‥ )エロい絵を描く、
      お金を儲ける。
      それは自然なことよ。
 
 だが、そんなものは汚らわしい。汚らわしいものを許しておくことはできない、いっさい無くそう。
 
 それはまともな人間のやることじゃあねえ。明らかに異常者だ。
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ? どうよ?
 
  ( ‥)うん、アルキメデスは
    ‐□ 書けた。問題はむしろ
      ピタゴラスだなあ。
 
 まあいい、もう一度文献を読み直そう。
 
 

2013年7月20日土曜日

老人は己の老いからすぐ逃げる

 
 hilihiliのhilihili: 人の素晴らしさなんぞどうでもよろしいの続き
 
 ∧∧
(‥ )でも、中国は、数年前いった
\‐   時点ではすごく活気が
     ありましたよね
 
  (‥ )都会だと人、人、人、
      あっちは車の
      クラクションを
      鳴らすのが普通らしくて
      赤信号でも、人や車が
      いないと人も車も
      平気で渡るし、
      みんな道路の横断を
      普通にやるしね。
 
 
 日本だってそれはそうなんだけども、あっちの方はそれをやる人が多くて、クラクションを鳴らすから、町がものっすごい賑やか。
 
 日本に帰ってきたら、あまりの静かさに驚いたくらい。
 
 ∧∧
( ‥)あと、日本は少子高齢化
    社会だから人間の姿が
    老いている。
 
  (‥ )あっちの人は田舎の
      肉体労働から出てきた
      ばっかりだから、
      人の体型がぴちぴち
      なんだよね。
      さらに若いのだ。
      そして、
      人間のピークは39歳
      後の人生は下り坂。
      日本の平均年齢は40を
      超えているから
      そこが深刻なんだよな。
 
 つまり、日本は国全体が下り坂だということになるし、中国どころか、このままではアメリカに追いつくことすらできないことは明白。そしてそれは若者のせいではない。老人のせいなのだ。

 *中国の一人っ子政策による今後の影響などはここでは考慮しない。
 
 ∧∧
(‥ )平均年齢なんか意味はない
\‐  そう、言う人もいますけど
 
  (‥ )ピークをすぎた
      下り坂人間の割合が
      増えている時点で、
      集団の有様に
      影響がないわけない
      そうだろう?
      じじいの会議で
      何ができるって
      言うんだい?
 
 老人、この場合は40歳以上のことだけども、老人の最悪の欠点はぼけていることではないだろう。むしろ自分の老いを自覚していないことだ。存在や思考や動作、ありとあらゆる部分が逃げに走っているのに、それが逃げだと思わない。おまけに、もっともらしい理論武装と言葉をつむぐ無駄な知性だけは残しているから、たちが悪い。
 
 漫画を規制しようとか、そういうなにかルールを押し付けて現状を維持しよう、社会を理想化しようってのも、そういう下り坂の社会だから、老いてもう走れなくなった人間が多くなったから、それを反映した結果なのかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )でも、たぶん、
\‐  今度の選挙では自民党の
    圧勝なんですよね
 
  (‥ )安倍首相や、
     自民じゃないけど
     徴兵制を言ってる
     石原都知事(元)を見れば
     分かるけども、
     票を伸ばしそうな人々は
     あるいは立ち位置を確保
     しそうな人たちは
     実はもう時代錯誤なんだよね
 
 だから、たぶん、ブラック企業の社長とかに出馬を要請してしまうんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもあの社長さんは
\‐   むしろ成功者でしょ?
 
  (‥ )その成功は、
      人件費を下げて
      がむしゃらにだろう?
      効率はいいけど、
      それだけだ。
      そんなローテク、
      時代の寵児でもなんでも
      ないさね。
      それだけで、この先も
      やっていけると思うかい?
      新しいアイデアも何も無い
      ただの時代錯誤だべ。
 
 
 当選したところで何が出来るわけでもあるまいし。
 
 ∧∧
( ‥)でも、自民党は圧勝するし
    都知事さんの維新の会も
    それなりだろう、と
 
  (‥ )反対勢力がそれ以上に
      時代錯誤というか、
      時代錯誤以前に
      非武装中立論とか
      トンチンカンで、
      ゆえに自民党が
      相対的に株を圧倒的に
      上げた、そういうこと
      だと思うけどね。
 
 ∧∧
(‥ )日本どころかアメリカにも
\‐   追いついた、
     そうと思っている中国
     それを信じる無邪気な人々
 
  (‥ )自分が老いているのも
      分からぬままに
      徴兵制や
      労働の幸せや尊さ、
      すばらしい心の教育
      美しい国と言う。
      そういう老いた人々。
 
 
 
 科学や技術や国力は何世代もかけるものだ。延々と持続して伝えなければならない。そうである以上、それは必然的に老人のものではない。
 
 ∧∧
( ‥)大号令と人件費の安さで
    成り上がった現代中国
 
  (‥ )負けじと安い労働力と
      美しい国という大号令で
      対抗しようとする
      日本の老人たち。
      そう考えると、すごく
      馬鹿っぽいだろう?
 
 片方は基礎がない成り上がりだし、片方はせっかくの基礎を無視して相手と同じ武器を使おうとしている。
 
 つまるところ、どっちも未来があるとは思えない。
      
  
 ∧∧
( ‥)そして日本にとって
    深刻なのは、中国よりは
    日本の老人であろうと
 
  (‥ )中国は自分のことで
      手一杯になっちゃうからな
      それも、そんな先の話じゃ
      ないわけよ。
      そしてマラソンで
      重要なのは、相手も
      さることながら、
      自分の体力だろ?
 
 いくら相手をライバル視していても、体力がなければ負けるのだ。相手が勝手に素っ転んでも、体力が無ければ引き離すこともできない。中国よりもはるかに深刻なのは日本の老人たちだ。
      

 

人の素晴らしさなんぞどうでもよろしい

 
 日本は嫌いな国だけども、人はすばらしく、町はきれいで、100年費やしても人間性に関して追いつけないのではないか?
 
 ∧∧
(‥ )とっ、いう中国の方の
\‐  ご意見、、あるいは感想ですか
 
  (‥ )いやあ可能だと思うよ。
 
 こうせよ、と指示を出し、そうしないと損をする状況を作り出し、そこから外れる者は片っ端から殺せばいい。
 
 ∧∧
( ‥)上に政策あり、下に
    対策ありの国でも?
 
  (‥ )失敗したらこう
      言おうじゃないか。
 
 まず、あなたの指示に従わない身内を真っ先に粛清しましたか?
 
 
  ( ‥)単なる暴力ではだめだ
    ‐□ 原理原則を通さないと
      公平も理念も達成できん
 
 ∧∧
( ‥)なんだ、身内には甘いじゃん
    とか、
     原理主義者の風を
     よそおっているけど、
     原理じゃなくて、
     実は暴力と権力を
     信奉しているだけだよね、
     と思われると、
     誰もルールに従いません
     からね
 
 これをせよ、こうせよ、このルールを守れ、守らないものはつぶせ、その与えられた行動をとる事が戦略上有利である、という状況にする。その行動を選択する人が多数を占め、なおかつ裏切り者はみんなでよってたかってつぶす、という状況にまでもっていけば、後はその状態が自動的に固定化される。
 
  ( ‥)日本は秩序で固定化されて
    ‐□ 平和である一方で、
      無駄な残業を拒否する人を
      皆でつぶすから効率化が
      達成できない
      なかなか難儀なもので、
      こういう不自由はどこでも
      あるものよな。
 
 ∧∧
( ‥)どっかの国のように
    お人好しからは金を
    むしり取って良い、で
    固定化されちゃって
    社会がむき出しのエゴと
    巨大な格差と
    極貧と不正で固定化されている
    社会もあって、変えられない。
    不自由なものですね。
 
 一回、ある行動を取る、という状況が多数を占めて、それが安定解になると、必然的にそう固定化される。それは明らかだ。この状況が困ったものであることは確かだが、独裁的な指導者がいれば、変えること自体は可能だろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも一世代以上かかります
\‐   けどもね。
 
  (‥ )それでも一世代、
      二世代で固定化される
      ならしめたもんだよ。
 
 科学技術はそうはいかない。
 
 ∧∧
(‥ )韓国は衰退するアメリカから
\‐   躍進著しい中国に
     乗り換えようとしている
     という観測がありますよね
 
  (‥ )冗談でなく、本気で
      言っているのなら正気じゃ
      ねえけどな。
 
 あるいはこう。
 
 科学技術をなめすぎだ。
 
 日本は鎖国したばっかりに、西欧に遅れをとって、開国70年でもそれを挽回できずに負けた。それから70年経ってもなお不十分な部分がある。
 
  ( ‥)アメリカが衰亡って
      それ自体は長期的に見れば
      事実だけども、だから
      追いつける、
      むしろ追いついた、
      と本気で思うのなら
      アホだよ。
 ∧∧
( ‥)日本が150年かけて
    できなかったことを
    日本がやるにはさらに
    時間が必要だろう。
    中国韓国がそれを達成するには
    さらに時間が必要だろう。
 
 西欧だって、ローマ帝国が達成した統一国家を維持することもできないげろげろな底辺からはいずりまわって、1000年かけて世界に追いつき、追い越し、ユーラシアの片隅から飛び出して、5世紀の黄金時代を経て、ここまで来たのだ。先進文化を学べばすぐに問題解決なんて、そんなことはないんである。
 
 ∧∧
( ‥)衰亡し、がたがただけど
    それでもなお、
    今だに世界の列強である
    それが西欧1000年の
    歩みの成果、ですか。
 
  ( ‥)連中は1000年かけた
    ‐□ 日本は200年の鎖国を
      取り戻すのに、
      150年かけてなお
      不十分。
      まだ100年はかかるよね
      当たり前よな、
      欧米だってこの150年
      走り続けたわけだし、
      これからもまだ
      走り続けるわけだからね
 
 ああ、だから思う。
 
 人心だ、なんてちょいと勘違いしとりませんか。むしろ人心で追いつく方がまだしもたやすい。
 
 勘違いしておりませんか、模倣で繁栄を達成できたから、基礎も継続もなくても大丈夫、後は人だけだ、心だけだ、と勘違いしておりませんか。
 
 ∧∧
(‥ )中国の論文には明帝国の
\‐   内向きな政策が
     ターニングポイントだった
     そう述べたものがあったと
     聞きますけどもね。
 
  (‥ )元帝国とモンゴル時代に
      海に進出したのに、
      明で全部放棄して、
      西欧に全部取られたからな
      しかもこれ、多分、
      他人事では
      ないんだよね。
 
 アジアの覇王である中国が朝貢貿易なんていう統制経済みたいなことをしていたら、そりゃあ、周囲の国々も人の移動とか海外進出とかしなくなるよなあ。
 
 ∧∧
(‥ )朝貢貿易の性質はよく知らない
\‐  から、あまりうかつなことは
    言えませんけど、後に
    西欧世界が貿易の窓口を
    広げることを中国に
    要求したのは事実ですよね
 
  (‥ )たぶん、アジアって
      豊かだから内向きに
      なりやすいんじゃないかな
      だから統制したがるし、
      保守に走る、
      社会の現状維持を
      もくろむ。
      豊かさと幸せは
      引きこもりをまねく。
 
 ああ、しかし、近代以前ならそれでもよかっただろうけど、機械化が進んだ現在では、駄目だ。
 
 ∧∧
( ‥)機械と科学は現状維持を
    許しませんからね。
 
  (‥ )機械と科学は社会を
      変革し、破壊する。
      変革と破壊がないと
      機械と科学は
      進歩しない。
      変革と破壊が進む
      この世界で勝ち残るには
      機械と科学の
      進歩が必要で、
      進歩した新しい機械と
      科学は社会を変革し、
      そして破壊する。
 
 
 ぱくって模倣して、それで繁栄して、そんなものいつまでも続かない。これで満足、これでいいやと社会を固定化できる世界でもない。
 
 世界は地獄だ。血を吐いてするのがマラソンであり、血を吐いていられるだけまだましな世界。それがこれからの未来。僕らが歩む世界。
 
 
     
 

2013年7月19日金曜日

知ってるガラクタにしか見えない人もいるだろう

 
 一緒に深海生物の本を作った編集の人が「深海展」へいってきたという。
 
 今、上野の国立科学博物館でやっているやつ。
 
 ∧∧
( ‥)我々は昨日、
    いきましたけども
 
  ( ‥)編集の人言ってたな
    ‐□ 本当に、ホテイエソには
      帯状に発光器があるの
      ですねって。
 
 ∧∧
( ‥)縦に見えるけど、
   たしか横縞ですよね
 
  (‥ )人間の横縞は胴体を
      垂直に切断するような
      感じで入る模様を言う
      でも魚と人間は
      体軸の向きが
      90度ずれてるから
      横縞は、いわば縦に
      入るのだよね。
 
 ともあれ、編集さんは感慨深かったらしい。
 
 ∧∧
( ‥)あなたも食い入るように
    見ていたじゃないですか
 
  (‥ )あの発光器はさ、
      小さいから通常は
      図示されないんだよね
 
 論文の記述や標本写真では知っていても、実際に見れば、おおーっと思う。
 
 
 ∧∧
( ‥)本を作ったからこそ
    見て分かる標本の特徴
 
  ( ‥)僕らは目の前のものから
      可能な限り、情報を
      抽出しないといけない。
      ただ、予備知識がないと
      抽出のしようがないの
      だよ。
 
 ∧∧
(‥ )一般の人はグロい標本を見て
\‐  興味津々ですよ
 
  (‥ )反対にそれなりに調べると
      知らないから興味津々
      なんてことはもうない。
      その代わりに、
      ああ、ここ、こうなって
      いるんだっ! と
      色々なことに気づける。
      編集さんの反応を
      聞いてると
      それがよくわかるね。

 本を作るってのは、こういうことかもしれん。作れば知識は頭に入る。そうすれば、それまで見えなかった色々なことが見えてくる。
 
 ああ、本当に顎が外転するんだ。とか、ああ、二次的な発光器ってここのことなんだ、とか、これが噂の腹の構造か! とか。
 
 ∧∧
( ‥)でも? どっちでもない人は
    不幸かもしれない、と。
 
  (‥ )すでに知っているから
      興味津々になれない
      しかし、知ってる以上の
      予備知識がないから
      標本から情報を
      抽出できない。
      標本はただの色あせた
      知ってるガラクタにしか
      見えない。
      それは、幸せって
      言うのかね?
 
 ∧∧
(‥ )まあ、自分は十分に知っている
\‐  それを信じることは
    幸せでしょう。

 
  (‥ )今度はいついこうかなあ
 
 

 
 
 

HENTAI

 
 HENTAI
 
   (‥ )ああ、日本の漫画とか
       アニメとかAVとか、
       そういうもので
       「すげー変なエロー」
       って思わせるものに
       つけられた俗称ね。
 
 ∧∧
( ‥)変態のローマ字表記
  ‐□ みたいですね。
 
 とはいえ、よくは知らないし、外国の人が使っている言葉だから使い方も様々なんだろう。俗称ってのはそんなもんだ。たぶん。あんまり知らないのに書くのは気が引ける。
 
 とはいえ、
 
 ∧∧
( ‥)とはいえ?
 
   (‥ )なんか、感慨深いよな
    □‐  昔、エログラビアの
       解説でこんなのあったよ
 
 アメリカのポルノでは、よく女優にミルクをかける。これが彼らにはたまらないらしいのである。
 
 ∧∧
( ‥)本当?
 
   (‥ )いや、知らんよ、
       受け売りだからな。
 
 もう20年は前のはずだし、ライターってのは原稿料という売り上げから、取材という必要経費を捻出しなければならぬ。いくら90年代まではライターがウハウハで大儲けできたからといって、そんなまめに取材なんかしてたのか? という疑惑。
 
 ∧∧
(‥ )あなたも神保町の某所で
\‐  「性風俗ライターの何々さん
    取材しないでてきとーに
    記事書いていたんだよね」
    という会話を聞いてますしね
 
  (‥ )そりゃなあ、海外の
      性風俗なんかいちいち
      取材なんかいけるかって
      話でな。いっても費用を
      回収できるか怪しいし。
 
 ともあれ、確かに時々は目にしたよな、アメリカのポルノ女優がどういうわけか体にミルクをかけているグラビア。
 
 それに、エログラビアとかAVだったら、そんな費用はかからないだろう。ライターがこんなとこまで嘘を書いているとは思えない。
 
 そしてミルク、ミルクねえ
 
 ∧∧
( ‥)...今から考えれば、
   そのミルクって精子の
   メタファーだよね?
 
  (‥ )まあ、暗喩というか
      比喩というかね。
 
 なんだろなー、と思っていたのが当時。
 
 しかし今では日本でもそういう白い液体を女性キャラにかけて楽しんだり、液体をかけるエロ描写をしたり、白い液体を封入した「ぶっかけ定規」なるものが現れたりする昨今。
 
  (‥ )ついに日本は世界に
      追いついた!
      むしろ追いついたのだ!
 ∧∧
( ‥)はあ、まあ、実はそうかも
    しれませんね。
 
 HENTAIと言われているけども、そこまで変態なんだろうか。
 
 ∧∧
( ‥)いや、十分におかしいでしょ
 
  (‥ )まあ相対的にはそうだね。
 
 
 

説明するのは嫌いだし、説明するのは面倒くさい

 
 
 ふとこんな話をネットで見た。
 
 安倍内閣の支持率は先月から10.1ポイント減らして46.4パーセントでした。
 
 ∧∧
(‥ )元ネタはテレビ朝日の
\‐   ニュースですね
 
  (‥ )調査は7月14、15日
      有効回答50.9パーセント
      ねえ。
      10ポイント減らしたって
      本当かよ。
      そんな短期間で急落って
      なんか、そんな
      雰囲気感じないけどな。
 
 ∧∧
( ‥)先日、かかってきた電話は
    朝日新聞の世論調査、
    でしたね。
    日時も昨日おととい。
    テレビ朝日のものとは
    違う日付でした。
 
 =>hilihiliのhilihili: 長い槍、いない騎兵
 
  (‥ )まあ、ともあれ、
      少なくとも
      向こうの言い分では
      朝日新聞であって、
      電話の応対が不愉快
      なんだよね。
 
 なんかあれね、新聞臭がするんよね。俺たちが聞くのは当然で、お前らが答えるのも当然だ、という安易なエリート臭。
 
 ネットでも、朝日新聞、世論調査、電話、で検索かけると「しつこい」というキーワードが出るように、作業中でよく聞こえなかったけども、電話がりんりんりん、20回以上もコールしてたし、何度もかけてきたのは確かに事実だ。
 
 ∧∧
( ‥)あなた、人と話すの
    嫌いだしね
 
  ( ‥)いちいち説明するのがな
      めんどくせーんだよな。
 
 
 ともあれ、思うのだけども、ああいうしつこいアンケートしたら、結果や答えにもおかしな影響がでやしないか?
 
 ∧∧
(‥ )今となっては詳細は
\‐  分かりませんが
 
  (‥ )とはいえ、あれさ。
     ああいうしつこい対応で
     ある割合が不快感を
     感じたり、面倒くさいと
     感じたら、
     答えに影響出てもおかしくは
     なかろう。
 
 なぜああいうしつこいことをするのかは分からないけども、もしかしたら有効回答の割合を高めたいのかもしれない。
 
 とはいえ、もはやよくわからないことだ。
 
 ∧∧
( ‥)アンケートに答えてみれば
    分かったかもしれませんよ
 
  ( ‥)やなこった。
 
 なぜかというに、いちいち説明するのが面倒くさいのである。説明の手間ひまを考えて、その効果を予想すると、どうしても相手の間抜け面が出てくるので、どうにも嫌になる。
 
 ∧∧
( ‥)説明するのが仕事なのに?
 
  (‥ )時々勘違いされるけど、
      俺の仕事は説明することじゃ
      ないよ。
 
 仮説を単純化して書く、それだけである。
 
 ∧∧
(‥ )科学の仮説は自然現象を
\‐   単純な要素でざっくりと
     説明するものですね。
 
  (‥ )その仮説、それ自体を
      ごく単純化して
      ざっくりと説明する。
      説明の状況に応じて
      単純化の方向性を変える
      それが仕事さ。
      書く内容によってどこを
      切り捨てるか、残すか
      それ自体が変わるからね。
 
 ∧∧
( ‥)今、説明って言葉を
    使ってるよ?
 
  (‥ )他に説明のしようがなければ
      説明って言葉を使わざるを
      得まいよ。
      便宜的だよ便宜的。
 
 仮説を単純化する。これは多分、良い説明ではないし、ある意味では説明ですらない。
 
 そもそも良い説明とは、詐欺、のことを言うのだ。

 
 

2013年7月18日木曜日

長い槍、いない騎兵

 
 
 
 冒頭はhilihiliのhilihili: 識別できないなら同じだの続き
 
 ああ、つまんねえなあ、つまんねえなあ。
 
 ∧∧
(‥ )さっき、電話がりんりん
    鳴ってたみたいだよ
 
  ( ‥)例の朝日新聞の世論調査
    ‐□ かもね。
 
 くだらない仕事だねえ。まったく、くだらない。
 
 ∧∧
( ‥)ネットでも書いてあったけど
    詐欺じゃないのなら
    なんで同じ電話番号に
    かけ続けるんだろうね
 
  ( ‥)最初決めた番号から
    ‐□ 何が何でもアンケートを
      とらないと正確な結果を
      得られないに違いない。
      そういうユニークな
      統計学をお持ちなんじゃ
      ないかね?
 
 劣った連中だ。
 
 誰かが言った。マスコミはこれまで積み重ねてきた信頼をすべて有り金賭けて、政権交代に突っ込み、そして失ってしまったと。
 
 ∧∧
( ‥)恣意的で希望的観測に
    基づいて記事を書き続けた
    つけですか?
 
  ( ‥)希望的観測は眼を
    ‐□ くもらせる。
      まさにその通りだよね。
 
 というか、単なる手抜きなのだ。これが正しいことだ、これが反権力だ、それがマスコミの正しいあり方だ。それは単にあらかじめある答えに情報を合わせただけだ。これは手抜きでしかないんである。楽なのだ。馬鹿でも記事を時間通りに書く。それだけの技でしかない。楽を選んだつけ、それは人間になるということだ。
 
 人間になるとは、人生の残骸になるというに等しい。人間になるくらいなら、死んだ方がましだ。
 
 ∧∧
( ‥)なんか不機嫌だね?
 
  ( ‥)アリスタルコスを読んで
    ‐□ 絵を描き終わった
      からかもね。
      ちょっと疲れてるんだ
 
 ああ、くだらないなあ、なんか面白いことはないものか?
 
 ∧∧
( ‥)面白いことは自分で作るしか
    ない、そうでしょう?
 
  (‥ )ああ、困ったね。
  
 「プルタークの英雄伝」10巻によると、アレクサンドロス大王に屈服し、大王の死後には自立した将軍たちが割拠するヘレニズム時代の地中海。かつての黄金時代はとっくに過ぎ去り、絢爛豪華だが色あせたギリシャのポリスたち。そのひとつスパルタの王クレオメネースは軍隊を改革し、投げ槍の代わりに長い槍を両手で扱い、革ひもで盾を持つ重装歩兵軍団を組織したという。*岩波文庫版のpp39
 
 ∧∧
( ‥)それ、マケドニアの
    ファランクスのぱくり
    じゃないの?
 
  ( ‥)なんか、そう見えるね
    ‐□ これだけでそうだと
      言うのはなんだけども、
      そう見えるよなあ。
 
 ∧∧
( ‥)遅ればせながら当時の
    最新鋭に合わせて軍制改革
    ですか?
 
  (‥ )多分、そういうことだよね
      手遅れだろうけどね。
 
 ∧∧
( ‥)そして、事実負けた
 
  (‥ )理由は色々あるけど
      結局、都市国家って
      しょせんは小国だからな
      遠征してきた大軍を
      迎え撃って撤退させる
      とかならともかく、
      大国に勝てる道理は
      どこにもないよね。
 
 ましてや、一人の王の改革でどうこうなるわけもない。
 
 ∧∧
(‥ )でも、その支配者たる
\‐   ヘレニズム諸国もローマに
     屈服することになる。
 
  (‥ )まだ確認してないけども、
      まずローマは
      人件費が安いみたいだし
      軍役が長いし、
      そして分離攻撃が出来る
      レギオン。勝利の鍵は
      それってことで
      良いのかもね。
 
 後、「古代ローマの戦い」エイドリアン・ゴールズワーシー著 2003 東洋書林 pp77 によれば。
 
 ∧∧
(‥ )ヘレニズム諸国の軍隊は
\‐  騎兵が不足していた、と
 
  (‥ )納得がいくんだよな。
      なぜレギオンが
      ファランクスを
      打ち破れるのか?
 
 ファランクスは正面から打ち破ることなんか出来ない強固な軍勢だけども、自在に動けるとはいえ、重装歩兵の塊。本来は敵を釘付けにして圧力を加えることが役目。槍ぶすまであり、壁だ。
 
 ∧∧
( ‥)敵を叩いて打ち砕く槌の
    役割は騎兵が負うと。
 
  (‥ )その騎兵が不足してちゃ
      ちょっと困るよね。
 
 レギオンとの戦いの時も、なんか騎兵の描写が少ないか重要でないなあ、と思っていたのだけども、それを念頭に置いて改めて読み返してみれば「古代ローマの戦い」にはちゃんと書いてあったのだ。
 
 ∧∧
(‥ )問題はむしろ原文に
\‐  あたること、ですか
 
  (‥ )一般の啓蒙書を読んだ
      ぐらいじゃなにも
      分からんからな。
      というかこの著者さんは
      研究者だから、この人の
      もっと専門的な著作物か
      論文、論文の参考になった
      当時の記録や証拠が
      必要だよね。
 
 ∧∧
( ‥)どうよ? 少し機嫌直った?
 
  (‥ )まあ、少しね。
 
 

 

2013年7月17日水曜日

識別できないなら同じだ

 
 
 ∧∧
( ‥)朝日新聞の世論調査って
□‐  ところから電話だよ?
 
  ( ‥)忙しいから今、無理
    ‐□ そう言って
      切っちゃって
 
 はて? 先日もそういう電話があったような気がする。選挙、というか投票が近いから、それを口実にして電話をかける詐欺行為、あるいは悪質な電話営業ではなかろうか。
 
 ∧∧
(‥ )でも朝日新聞、
\‐  世論調査、で検索したら
   ”しつこい”という
   キーワードが出てきました
 
  (‥ )なんかあれな、
      夜でもかけてくる
      こっちの迷惑を考えない
      俺様たちの質問に
      答えるのが当然だ
      という不遜な態度、
      色々な不満がひっかかって
      くるなあ。
 
 
 単なる一企業のくせに答えるのが義務、聞くのが俺たちの権利と言わんばかりの傲慢な態度など。色々言われている模様。やっぱり悪質な電話営業だろ、という感想もあったけども、すこぶる評判が悪い、ということは分かった。
 
 ∧∧
( ‥)なんでそうなるんですかね?
 
   (‥ )わからんなあ。
       ただ、なんていうの?
       この前、電話があった時
       直感的に、これは悪質な
       電話営業だろ、と
       感じたからね。
       そういうものだって
       ことじゃねーか?
 
 なにか、人に不快感を与えるものがあるってことかもしれない。それが何なのかは知らない。我々はすばらしいことをしている、という考えがあるとそれが言葉に現れるのかもしれない。協力するのが当然です、という態度は音程や単語にも現れるものだけども、それを聞き手が感じ取っているのかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )一応、本当に調査してるか
\‐   朝日新聞に問い合わせて
     みますか?
 
  (‥ )いやあ、詐欺でも
      世論調査でも同じだよ
  
 不快感の点で識別できないんじゃ、それはどっちでも同じだ。確認してもしなくても意味はない。
 
 
 そういえば直接関係ないけども、こんなことがあった
 
 ある日、携帯電話の店にいくと、じいさんが怒り狂っているのである。相手は20代の男性で、気弱そうだが、ぼそぼそ話していて返事はほとんど聞き取れない。じいさんは怒っていて、怒鳴っていて、周囲の社員は、しかし、何事もないように無視している。まるでいつものことだ、という感じ。近くの席で別のお客に説明しながら、表情にも口調にもまったく反応を示さない。しかし、手が空いた別の社員がじいさんに説明しだすと、
 
 ∧∧
( ‥)あら不思議、おじいさんは
    あっという間に態度を
    変えて、「ああ、そういう
    ことなのね」と納得。
 
  (‥ )はて? 彼のなにが
      いけなかったの
      だろうか? 
      その時は
      そう思ったな。

 
 後日、今度は自分がその社員に対応されることになった。
 
 切れるまで1分かからなかった。
 
 ∧∧
( ‥)あれをどう説明すれば
    いいものですかね。
 
  ( ‥)さてねえ。
      ありゃ才能だよ。
 
 

角が二等分されるなら

 
 
 ∧∧
( ‥)どうよ?
 
  ( ‥)あーうーん、
    ‐□ ようするにあれね
      ユークリッドの原論
      第6巻の命題3が
      鍵なわけだな。
 
 ユークリッド「原論」第6巻、命題3
 
 三角形のひとつの角が二等分され、角を分ける直線が底辺をも分けるならば、底辺の二部分は三角形の残りの二辺と同じ比を持つであろう。
 
 ∧∧
( ‥)これで
    アリスタルコスさんと
    アルキメデスさんの
    該当箇所は分かると
 
  ( ‥)こればっかりやっている
    ‐□ わけにはいかないんだけど
      やらないわけにもいかん。
 
 ∧∧
( ‥)なんかもう、最近、
    ひっちゃかめっちゃかだね
 
  ( ‥)三角法の歴史、
    ‐□ 把握するのは
      やっかいだよねえ。
 
 
 
 

2013年7月16日火曜日

読み方が分からないと、明白な記述でさえ、まったく読めなくなる

 
 
 コラムの11枚目のイラストをどうしたものか
 
 ∧∧
( ‥)でっ? 分岐図の読み方
    の説明を入れるわけですか
 
  ( ‥)一般的には分岐図の
    ‐□ 読み方は知られていない
      からね。
 


_____A
 |___B
  |__C
 
_____A
 |___C
  |__B
 
 ∧∧
( ‥)同じ分岐図ですね
 
  ( ‥)ところがこれを
    ‐□ 違う分岐図だと
      思っちゃう人が
       いるんだよな。
 
 あるいはこういう例。分岐図に形質をプロットする。
 
________0
 |______?
  |_____0
   |____0
     |__1
      |_1
 
 問題:?に入るのは0か1か?
 
 ∧∧
( ‥)0でしょ
 
  ( ‥)これが分からない人が
    ‐□ いるわけよ。

 知らないのはしょうがない。知らないのは知らないだけだ。
 
 ∧∧
( ‥)問題は分岐図を聞いたことが
    あるけども、
    読み方が分からない人、
    ですか
 
  ( ‥)そういう人はねえ、
    ‐□ 分岐図や分岐学を
      肯定するにしても
      否定するにしても、
      とんちんかんなことを
      言い出すからね。
 
 とんちんかんな例は例えばこれ=>分岐学 - Wikipedia

 遺伝子の水平電波や種間雑種による進化過程を記述する場合には、分岐は適切ではない。
 
 これ、文章的に言うと、
 
 人間という集合名詞は親子関係を記述する能力を持っておらず、適切ではない
 
 という意味に等しい。
 
 ∧∧
(‥ )...まあ文脈次第では正しい
\‐  言い方にもなるけども、
    以上のリンク先の文脈から
    考えると、まったく
    間違った理解でしょうね
 
  (‥ )これも分岐図の読み方が
      分かってない例だな。
      こんなこと、
      教科書の冒頭に出てくる
      ような内容なんだけどね。
 
 本を読んでいないことは明白である。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、wikiの記述が間違いで
    ある、ということは
    今度の本の本文で
    すでに書いている
    ことですけども。
 
  ( ‥)分岐図の読み方までは
    ‐□ 説明しきれん。だが、
      分岐図がグラフであり、
      過去も未来も予測可能だ
      ということは
      書いていいだろう。
      それをコラムの11枚目で
      示す。
 
 だいたい、予測がたつから検証できるのだ。例えば分岐図を作れば過去、どんな進化が起こったのか、それが予測できる。予測できればそれに該当する化石が見つかるだろう、そういうことが予測できる。
  
 過去を将来において発見できるものとして予測する。
 
 ∧∧
( ‥)それができなきゃ
    科学じゃないですからね
 
  ( ‥)そして祖先形質と
    ‐□ 復元の話を
      簡単に書くつもり。
      まあ、それですぐに
      どうこう
      なるわけじゃないが、
      まあ何事も一歩ずつだな
 
 だいたい、分岐図の読み方を知らないから、俺様、こんな進化を考えた、と言い出したり、反対に過去は再現不可能だの、進化の過程は分からないだの、と間抜けなことを言い出すのだ。
 
 そういう人は、分からないのは自分の理解がまったくだめだからだ、ということを理解していない。

 あるいは”分かってしまった”のは、自分の理解がまるで駄目だからだ、ということを理解していない。
 
 ∧∧
(‥ )昔、古代ギリシャの人たちは
\‐  無理数を示すルートもないし
    0もマイナスという概念も
    持たなかったのですよね
 
  (‥ )だから、
      あの人たち、二次方程式を
      十分に解く事ができないの
      だよね。
 
 多分、彼らは二次方程式を自在に解くために僕らが使う、ルートも、マイナスも0も理解できないし、嫌悪するだろう。だが、それが無いと解く事はできないし、解くためには新しい概念を理解しなければならない。
 
 ∧∧
( ‥)過去の進化を理解するには
    系統学や分岐図の読み方
    これを知る事が必要だ。
 
  ( ‥)それができないとさ、
    ‐□ 論文も理解できない
      わけなのさ。
 
 人間は、人間や、あるいは鳥の進化に興味を持つ。どういうわけか進化を否定する者も、肯定する者も興味を持つが、だがしかし、肝心な系統学や分岐図の読み方にはまるで理解を示さない。だから論文がまったく理解できていない。
 
 これは別に鳥や人間の進化に限ったことではないけども、そういうことなのだ。
 
 
 そういえばどこぞで鳥の進化を論じている俺様理論屋たち、致命的な勘違いもさることながら、面前にある分岐図を読めないから、明白に物語られていることが理解できないらしい。
 
 ∧∧
( ‥)あなた、そのことずーっと
    黙ってますよね
    本にも書いていない。
 
  ( ‥)いやあ、だって
    ‐□ ささやかだけど、
       ネタなんだもん。
 
 だが、ネタだから黙っているとはいえ、実はみんな知っていることでもあるのだ。
 
 だって、ある研究者とこんな会話をしたことがあるから。
 
 「ああは言われていますけども、個人的にはあの仮説は好きですが、でも、分岐図見ると実際にはこうなりますよね。」
 
 「そうなりますね。だから僕はあの仮説を支持しない。」
 
 ∧∧
( ‥)みんな分かっているのだと
 
  (‥ )まあそういうこっちゃ
      分かんないのがいかんのさ
 
 
 読み方が分からないと、明白に述べられていることが、まったく読めなくなる。
 
 
 *鳥の進化については、半年以上先に出す予定の本で少し触れる。たぶん、さっきの研究者との会話に触れる内容も一言程度は書けるだろう。なんてことはない内容ではあるが。
 
 ∧∧
( ‥)本当に、半年先に出せるの?
 
  (‥ )そうねえ、あの仕事、
      少しやっかいだからね。
      どうなるかなあ。
 
 

2013年7月15日月曜日

質問だの反語だの、そんな小手先の問題ではない。資料が間違っている。

 
 ∧∧
(‥ )2位じゃいけないんですか?
\‐   この発言には弁護の余地が
     あるのではないか?
     そういう考察ですね。
 
  (‥ )ほう?
 
 
 事業仕分け。この時の有名な台詞「2位じゃだめなんですか?」は
 
 2位で駄目な理由を説明してください

 という意味かもしれないし、
 
 私は2位で良いと思います
 
 という意味かもしれない。
 
 どっちとも受け取れる。
 
 ∧∧
( ‥)しかも会議場での質問だから
    むしろ、駄目な理由を説明
    してください、そういう
    質問であろう、
    そう受け止めるべき、
    という見解。
 
  (‥ )...いやあ、疑問文なのか、
      自分の見解の表明で
      あったのか?
      あれはそういう小手先の
      問題ではないんだけどね。
 
 例えば2009年に事業仕分けされた掘削船「ちきゅう」。
 
 後に中国との緊張が高まる中、日本周辺の海底にあるメタンハイドレート、その産出実験を成功させたことで報道された船。仕分けされても、なんとかやりくりした結果だ。
 
 この船の事業仕分けにおける質疑応答は以下
 
 =>‎www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/h-kekka/pdf/nov13gijigaiyo/3-19.pdf
 
 この中では、まず「ちきゅう」を管轄する文部科学省の人が事業内容を説明
 
 次に財務省の人が主計局からの立場として、
 
 「ちきゅう」の目的のひとつであり、海底下7000メートルにあるマントルまで掘削、マントルの岩石を採集することは現実的か? という指摘を財務的な立場から行う。
 
 船の竣工から現在(2009年当時)に至るまで、掘削できた深さが1600メートル。7000メートルを掘り抜くのにいったい、何年かかるのか? 維持費は年間155億円。これは無駄ではないのか?
 
 ∧∧
(‥ )こうした説明の後、
\‐  2位じゃいけないんですか? 
    の蓮舫議員さんも含めて
     質疑が続く。
 
  (‥ )蓮舫議員、彼女は言って
      いるのだ。
 
 3年間で1600メートル掘ったものが、どうして4年間であと4,400m可能なんでしょうか?
 
 ごもっとも。理屈の上では10年以上もかかる。確かに予算の無駄だ。
 
 と言いたいが、実はこれ、そもそもまったくの勘違いなんである。
 
 3年間で1600メートル掘ったわけではない。1回の航海でちゃちゃっと掘ったそれぞれの掘削孔。その中で一番深いものが当時1600メートルだったというだけなのだ。別に4年間がりがり掘って、ようやく1600メートルなのではない。実は一ヶ月もあれば掘れるんである。
 
 *2011年にはそれまで650メートルまで掘っていた穴(低気圧の直撃で現場を離れざるをえなかった)をもう一度掘り進めて、2466メートルまで掘削した。これが現時点における海洋掘削の世界最深記録。これだって一回の航海の掘削だ。
 
 **では、「ちきゅう」が今でもマントルまで掘っていないのはなぜか? 別にマントル掘削だけが目的でない、例えばメタンハイドレートや地震と断層の解明ということもある。しかし、それもさることながら、実はマントル掘削は国際プロジェクトなのだ。どこでマントルを掘るか、欧米アジアその他含めて、研究者の間でまだ審議中。
 
 ∧∧
(‥ )でもやむを得ない勘違い
\‐  なんですよね。だって
    当時配布された資料と、
    財務省の人の説明が
    間違っているんですから
 
  (‥ )だがな、これは
      言い訳できないんだよ。
 
 本来、財務省が、「あなたがたはこれだけの予算をくださいとおっしゃるが、これはどういうことでしょうか?」、そういう問いを書類で出して、それに対して文部科学省が「いや、これはこれこれだからです」そう書類で回答するのが筋なのだ。
 
 自分の金を湯水のごとく使える大富豪とかならともかく、国家の予算なんである。
 
 年間100億以上かかる事業を口頭だけでやりとりする馬鹿が近代国家のどこにいるというのか?
 
 ∧∧
( ‥)つまり、本来、こういう
    勘違い、
    ”4年間で1600メートルしか
    掘っていない”、は
    書類のやり取りで是正される
    はずのものである。
 
  (‥ )そういう官僚のやり取りに
      だな、口先だけで参加した
      のは、誰か? 
      それを自ら望んだのは
      誰なのかって話よ。
 
 資料は間違っていた。
 
 ゆえに理解も間違っていた。
 
 だから事業仕分けも間違っていた。
 
 そんなことになったのは官僚のせいではない。彼らはそれを是正する手続きを進めるためにこそ、書類を作る。
 
 間違えたのは、自ら望んで、書類ではなく、口頭だけでええかっこうしいをした政治家、本人たちが負うべきことだ。
 
 ちなみに
 
 ∧∧
( ‥)あなたは資料が間違っていると
    どの時点で気づきました?
 
  (‥ )どうもおかしい、そう
      思ったのが検索開始から
      3時間後だね。
      確信したのはもう少し先
 
 しかし事業仕分けは一件につき30分程度の時間しかかけなかった。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ不可能だ。
 
  (‥ )だからさ、書類で正式に
      担当者とやり取りするのが
      筋なのよ。
      官僚いやだ、書類は
      官僚主義のごまかしだ、
      とかじゃ駄目なんだよ。
      そこまで社会は複雑で
      巨大化しているんだ。
      村の公民館じゃないんだよ
   
 
 30分、口頭で。これで、一体全体なにができる? なにもできやしない。
 
 事実、こんな時間で資料の間違いも探せというのは無理だ。
 
 だが、それを自ら望んでやったのは、政治家本人なのだ。
 
 だから言葉が足りませんでしたとか、そんな問題ではない。
 
 言葉が是正されても、そんな小手先では根本的な誤りを直す事などできやしない。小手先の勝負では、自分の愚かさは是正できないのだ。
 
 

      

原因の候補は無限大に存在し、選定と検証は混乱する

 
 hilihiliのhilihili: 似ているようで、この議論、重大な相違点があり、混合されているの、さらに続き
 
 ∧∧
( ‥)逃げる逃げないはともかく
 
  ( ‥)僕らは単純にこう
    ‐□ 考えるよね。
 
 再現実験できるものが科学である
 
 これは言い換えるとこういうことだ。
 
 物事には再現できるものがある。私はそれを信仰しています。
 
 という宣言。
 
 *これは再現できるものが科学で扱えるものである、という主張でもある。
 
 **この主張は、「私の人生は再現できないので、私の人生にも経験にも、ましてやそれに基づいた研究も科学ではありません」というかなり間抜けな主張に聞こえる。だから内容それ自体にはあまり意味はないけども、ともかく、話の導入としてここで取り上げる。少なくとも、経験的に検証するには実験がひとつの手でしょう、という意味では正しいのだろう。
 
 ***言い換えると、検証方法は発見、観測、観察、発掘、整合性など色々な方法があるのに、実験だけを取り上げて振り回すから議論がちんちくりんになるんだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ、問題はですよ
 
  (‥ )再現って簡単に言うけどさ
      何を再現したのさ? 
  
 水に塩を入れると塩水が出来る
 
 ∧∧
( ‥)
  ‐□□ コップの水に塩を入れました
     ボウルの水に塩を入れました
 
  (‥ )はい、容器が違いますね。
      どこが再現ですか?
 
 というか、実は何もかもが違っているんである。容器も違う、部屋も違う、塩も水も、それらは化学式で書けば同じであるが、産地も違えば、違う分子で構成されている(ごく微量だが同じ分子が入っている可能性はある)。
 
 ∧∧
( ‥)時刻も違えば、場所も違うし
    天気も温度も気圧も、
    周囲にいる人や物品の配置、
    天体の位置や地球の座標も
    違っている。
 
  (‥ )これの何が再現なんだい?
 
 どこが再現なんだよ、何もかも全然違うじゃないか。
 
 ∧∧
( ‥)水に塩を入れるときには
    そうした違いはほとんど
    まったく関係ない、
    そう指摘されるでしょうね
 
  ( ‥)ということを、僕らは
    ‐□ 経験で知っているのだ。
      塩水を作る時は、
      容器、水、使用する塩、
      作る人、地球の座標、
      天体の位置、いずれも
      関係ないとね。
 
 
 ∧∧
( ‥)馬鹿げた話に聞こえるけども
 
  (‥ )実はこれ、結果に影響を
      及ぼしうる原因の候補は
      無限大に存在するって
      ことなんだよね。
 
 単に私たちは、無限大に存在する原因の候補のうち、それらの中のひとつ、あるいはせいぜい2、3のものだけが原因そのものである、と経験的に知っているだけなんである。
 
 ∧∧
( ‥)...というのは実は多分、
    間違いで。
 
  (‥ )無限大にありうる候補から
      なにをどうしたものか、
      幾つか選んで、
      原因はこれだろ? って
      当たりを付けて、確認を
      しただけなんだよね。
      確認するという意味では
      経験的なんだが、
      経験的だ、だけですむ
      話じゃあないね。
 
 
 実際、純粋に経験的に行うのなら、私たちはひとつの事柄について、無限にありうる原因の候補を全部しらみつぶしに確認しなくちゃいけないことになる。
 
 しかし、そんなことはしていない。本当にそんなことしたら原因を探り当てる前に死んでしまう。
 
 原因を知る前に死んでいないってことは、経験的うんぬん以前に、何らかの方法であたりをつけたのだ。
 
 ∧∧
( ‥)人によっては天体や地球の
    座標なんか関係あるかって
    言うかもしれませんが
 
  (‥ )しかしだな、
      実験の種類によってはさ、
      さっき述べた要素が
      実際に影響を及ぼすのよな
 
 水からいつもよりも多く光が発せられたのは、大マゼラン星雲の超新星爆発のせいかもしれない。星の位置がわずかにずれて見えるのは太陽に対する地球の位置が原因かもしれない。化学反応がどうもうまく進んでくれないのは室温が低いせいかもしれない。おかしな年代が出たのは過去の核実験による放射性物質の汚染かもしれないし、変な値が出たのはビーカーに残っていた指紋のせいかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)あなたがたは因果関係の
    候補をあらかじめ
    絞り込んでいる
 
  ( ‥)僕らは前もって
    ‐□ 取捨選択している
      わけなんだ。
 
 水に塩を入れる。それが水がからくなる原因である。
 
 ∧∧
( ‥)水はそのまま放置すると
    水のままだが、
    塩を入れたときだけ
    からくなる
 
  ( ‥)他の要素は変動しているのに
      水はそのままでは
      からくならない。
      しかし、塩を入れると
      からくなる。
      だから塩が味をからくする
      原因だろうとあたりをつける
      多分、そんなところだよね。
 
 ∧∧
( ‥)そういう意味では
    経験を使っているわけですけど
 
  (‥ )でもこの場合はあれだよね
      原因ではないものを
      候補から消去することに
      経験を使うわけだ。
 
 考えてみればそりゃあそうなのだ。初めての出来事が起きたとき、それは初めての経験であって、経験を積み重ねたものではない。
 
 ∧∧
( ‥)あぶり出された
    特異なものを関連づけている
 
  (‥ )だから...なんだろうな。
      初めてのものでも
      これとこれが
      原因と結果ではないか?
      とあたりをつけることが
      出来る。
 
 経験を使ってはいるけども、経験的にこれが原因です、という論法とはちょっと違うと言えばいいか。
 
 ∧∧
(‥ )初めて遭遇する病気、
\‐   そして環境中から見つかる
     工場から放出され、
     魚介類に含まれる
     重金属化合物の存在。
 
  (‥ )初めての経験だけども、
      この二つの関連を
      疑うわけだね。
      そもそも関連を
      疑わなければ
      調べないからな。
 
 
 ∧∧
( ‥)これを考えると、
    因果関係の選定は推論としては
    非常に大胆じゃないですかね?
 
  (‥ )これとこれが重要だろう
      そう当たりを付ける。
      しかも、
      初めてのものでも関連を
      疑うわけだから、
      単純に経験とか言えるもの
      では当然ないよね。
      では論理か、というと
      どうなんだろうねえ。
 
 塩を入れると水はからくなる。
 
 塩を入れないと水はからくならない。
 
 周囲のものは色々と変化している。だが水はからくならない。
 
 周囲のものは色々と変化している。水に塩を入れるとからくなる。
 
 ∧∧
( ‥)だから塩が水をからくした
    原因であろう。
 
  (‥ )ところがさ、
      こういうことがあるのよな
 
 周囲のものは色々と変化している。地震は起きない。
 
 周囲のものは色々と変化している。地質調査で掘削を行ったところ、地震が起きた。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、日本海側のどこだかで
    実際にあった、という話ね
    おかげで地元で悪い噂や
    デマが流れて、掘削調査が
    出来なくなったという。
    でも、これ、たまたまでしょ
 
  ( ‥)問題はさ、地震の経験や
    ‐□ 地震のメカニズムを
      知っていると、そうは
      思わないけども、
      理屈の形式としては
      塩水がからいのは塩が
      原因であろうと、
      同じなんだよね。
 
 少なくとも、初めて遭遇した場合はそうだ。あるいはこう。その場所で、という限定がつくと多分、これは成り立つ。
 
 つまり信じている人は塩水がからいのは塩のせいだ、と思うのと同じぐらいの強さで、掘削調査で地震が起こる、そう考えているんだろう。少なくとも推論の形式は同じだ。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ、掘削と地震に
    因果関係がある、と言えるか
    それを統計的に調べるべき
    ですね。
 
  (‥ )そこで気づくことがあるな
 
 
 掘削と地震に関連はあるか? それを統計的に調べる。これはもはや因果関係の選定ではない。これとこれが原因と結果じゃね? というすでに選定された因果関係が、本当に妥当であるか、それを調べているのだ。
 
 選定ではない。あたりをつける、ではない。選んだものを検証するのだ。
 
 ∧∧
( ‥)経験を超越した推論。
    今度はその推論を
    経験的に検証しよう
    という話になりました。
 
  ( ‥)ところがだよ、
      すでに因果関係を導いた
      人たちは統計なんか
      知ったこっちゃない、
      そう思うだろうな。
 
 慌てて逃げ惑って引っ越しを繰り返したあげく、我が子のじんましんは放射能のせいだ、と思っている人は、統計なんか知ったこっちゃないだろう。事実、電話をがちゃんと切ったのはそういうことだ。
 
 ∧∧
( ‥)逆もありえますね
    工場排水の重金属が
    病気の原因だという
    因果関係は統計的に
    検証されていない。
    だから因果関係の選定、
    つまり、
    特異な病気に特異な汚染が
    関連している、
    この推論は正しくないと
    主張する。
 
  (‥ )理屈の形式としては
      どれもありうるのだ。
      形式だけを見たら
      識別できない。
      だからだろうけど、
      こう考えるとだよ、
      因果関係の選定と
      因果関係の検証を
      ごちゃまぜにした
      混乱は実はものすごく
      多いと思うのだよね。
      
 
 

2013年7月14日日曜日

危険から逃げたのか、背景に何もないから逃げたのか?

 
 hilihiliのhilihili: 似ているようで、この議論、重大な相違点があり、混合されているの続き
 
 あるいは2011.03.16の書き込み、hilihiliのhilihili: 3つの選択肢から、あなたならどれを選ぶ?の続きでもある
 
 
 地下鉄がトンネル内で突然止まり、網棚の荷物が爆発した、ということが分かったとき、乗客の反応は3つに分かれた。
 
 1:その場所から動かない
 2:爆発があったという前の車両から後ろへ移る
 3:車外に出て、線路を歩いて移動する
 
 ∧∧
( ‥)あなたは1を選んだ
    なぜです?
 
  ( ‥)本当にテロをしたいのなら
    ‐□ 客が移動した後ろの車両に
      2番目の爆発物を仕掛ける
      そう思ったからさ。
 
 次に念頭にあったのは、地下鉄はすべてではないが、幾つかの路線では送電線が下にあるという、うろ覚えな知識だった。つまり、何も知らない素人が勝手に歩くのはどうだろう、という懸念。
 
 ∧∧
( ‥)こうして選択肢、2、3は
    断たれた
 
  (‥ )だから動かなかった
      そういうこと。
 
 結果的にいうと話題にもならなかった事件で、爆発音もしなかったからおそらく発煙筒だけだったのだろう。つまりあくまでも皇族の方のイベントに合わせた意思表示であって、テロごっこであって、テロではなかった。ひょっとしたら、人が車外へ出て歩いても大丈夫なことまで計算にいれていたのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)でも、当時、その時、
    そういう発想はなかった
 
  ( ‥)ラッシュの時刻でも
      ないのに地下鉄が止まる
      前の車両から人がぞろぞろ
      歩いてくる。
      網棚に注意した方が
      いいですよ、と言う
      荷物が爆発した、とも言う
      状況が分からない、
      一人、ひとり、と人が
      後ろへ移っていく
 
 
 あげくに、アナウンスが「みみみみ、皆さん、おおおお、落ち着いてください」ときたもんだ、パニック寸前になるし、地下鉄のトンネルを隣駅まで歩き出す人が出たのも当然なんだろう。
 
 安全確認のため、列車は30分以上、立ち往生した。
 
 ∧∧
( ‥)その後、韓国の地下鉄で
    放火事件が起きて、
    逃げ遅れた人が出た事件を
    見た。
 
  ( ‥)すぐに逃げるのが
    ‐□ よいのか?
       動かないのが良いのか?
       それは状況次第だよ。
 
 そういえばこんな話を読んだことがある。ウサギ狩りだかなんだの話だ。網を山の斜面に仕掛けて、勢子たちが下から追い立てるのだ。逃げ出したウサギたちはかたっぱしから網にかかっていくが、時々、反対に勢子に向かって猛烈な勢いで突っ込んでくるやつがいる。
 
 ∧∧
( ‥)でっ、そういう個体が実は
    生き延びることができる
 
  ( ‥)これは危険の中にこそ
      活路がある、という
      例え話だったよ。
 
 この手の例え話は、それこそいかがわしいビジネス書や自己啓発本に書いてあるような話かもしれないが、一応、いたそうである。天下分け目の合戦は敗北。もはや味方が総崩れとなった時、その人は部下を率いて敵の本陣に突撃。驚く相手が守りを固める中、方向をそらしてその脇を通過して戦場を離脱。母国まで戻った、という話。
 
 ∧∧
( ‥)逃げるのが良いのか
    逃げるにしてもどちらへ
    逃げた方がいいのか?
 
  (‥ )それは状況次第で
      変わっちまうのさね。
      そしてその選択肢は
      当人が責任を負う。
      死ぬか、生きるか、
      損をするか、
      得をするのか。
      まあ、色々だな。
 
 だから例の話。
 
 原発がぱーんした時、そのお母さんは避難するべきと見なされた領域にはいなかった。ずっと遠くにいた。だが逃げた。あちこちへ、幾度も引っ越しをした。
 
 ∧∧
( ‥)そして子供はじんましん。
 
  ( ‥)当時いたよな。
      今もいるだろう。
      逃げれるなら
      逃げるべきです。
      とにかく逃げるべきです
 
 ああ、そうは簡単におっしゃるが、どこへ? なにをしに? 
 
 仕事も仕事をするための機材も会社も畑も牛もここにあるのに、それをどうしろと?
 
 ∧∧
( ‥)でもその人たちは言うでしょう
    そんなことより命が
    大事でしょう、
    それも分からないのですかと。
    これが権力を鵜呑みにして
    会社に従う日本人かと、
    そう嘆くでしょう。
 
  (‥ )ああ、だが、結局のところ
      これは因果関係の
      推論なのだよね。
 
 別に放射線に限った話ではないけど、これこれな量にさらされると、これこれな事がこのぐらいの頻度で起きる。
 
 ∧∧
( ‥)それを計算すると、
    逃げた方が損をする。
    それが分かったとき、
    だったら動かないでおこう。
    そう判断する余地がある。
    というか、他はともかく
    我が家の避難指定はやめて
 
  ( ‥)反対に、同じ条件だのに
      逃げよう、と
      決めた人には、
      これこれは危険だ、
      今すぐ逃げないといけない
      そういう無条件に
      強烈な前提があるのだな。
      量を考慮していないから
      雑なだけだとも言えるが。
 
 問題は、前提は前提自身の正しさをまったく保証しない、という点にある。

 
 ∧∧
( ‥)この前提が正しい、とは
    ”この前提が正しいこと、
    それ自体を前提にした”
    話ですからね
 
  ( ‥)前提が正しいかどうかは
    ‐□ 経験や統計的な処理に
      基づかないと保証されない
      最初の、例のお母さんは
      それが分かっていないの
      だよね。
 
 言い換えてしまうと、お母さんは自分自身の前提が妥当であるのか? それを検証することから逃げたのだ。逃げたから確信できたし、確信できたから逃げたのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)逃げにも色々あるのです、と
 
 (‥ )逃げればいいじゃないですか
     気楽に、あるいは真摯に、
     どっちにせよ、そう言う時、
     発言者自身は何を前提にして
     何から逃げたのだろうな?
 
 逃げれる時に逃げれば良いじゃないですか。
 
 ああ、しかしそれは状況による。
 
 そしてその状況の時、お前は何から逃げた? 危険から逃げたのか? それとも自分が信じた前提の背景に実は何にもない、ということから逃げたのか? 
 
 どっちだね?
 
 
 *2013.12.15に追記:以下へ続く
 =>hilihiliのhilihili: 信念とはすっからかん
 
 

2013年7月13日土曜日

理性はすばらしい、これは理性的な説明ではない

 
 
 hilihiliのhilihili: 主張:人間は理性的な動物であるの続き
 
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  ( ‥)理性はすばらしい、
      これのどこが
      理性的な説明なんだい?
 
 ∧∧
( ‥)僕はこの漫画が好きです、
    と言っているのと
    変わりませんね。
 
  (‥ )どうしても裸で町を
      走りたい!! と
      言っている変質者と
      理性の賛美者は主張の
      形式が同じなのだ。
 
 素晴らしいから素晴らしいのだ。この文章に矛盾はないが意味も根拠もない。そこにあるのはこれが良い、という断言、これが好きだ、という欲望だけだ。
 
 ∧∧
( ‥)理性はしばしば欲望と
    相反するものとされています
    けどもね
 
  (‥ )ああ、そこにヒントが
      あるよな。
 
 欲望を抑制しなければいけない、とはどんな状況か?
 
  ( ‥)食料が欠乏した状況で
      食べたい、とはいかなる
      欲望か?
 
 ∧∧
( ‥)それはお腹がすいただけでしょ
 
 食料がなかなか見つからないのなら、欲しい、という欲望に何の問題もない。
 
 ∧∧
(‥ )あなたがた人間は脂肪、塩分、
\‐   糖分を好むのですよね。
     自然界で生きていくには
     どうしても必要なものを
     欲しがるように出来ている
 
  (‥ )本来はそれでいいんだ。
      だが農業、都市、豊かさ、
      今では我慢しないと
      不健康なデブになるし、
      かつては豊かさのシンボル
      だった肥満は、今や軽蔑の
      対象になっておる。
 
 ∧∧
(‥ )野生から豊かで人工的な環境に
\‐   移ったけども、
     脂肪、塩分、糖分を好む
     遺伝子は昔のままで、
     適合していないんですね。
 
  (‥ )じゃあ、理性が賞賛される
      のって言わずもがなだよな
 
 ∧∧
( ‥)ごく単純化して言えば、
    我慢できない人からデブに
    なって脱落する社会。
 
  (‥ )ようするに世界全体、
      すんでいる環境全体が
      我慢大会状態なわけだろ?
  
 世界全体が我慢大会の会場ならば、理性とは社会的ステータスを高めたいという欲望そのものだ。理性は欲望とは相反するわけではない。欲望が回りくどい形に変形しただけではないか?
 
 ∧∧
( ‥)理性は欲望そのものである
 
  (‥ )理性は理性的なものでは
      ありえない。
 
 
 人間は本能が壊れた動物だ、そう言う人がいる。いやあ、遺伝は同じなのだ。確かに、色々なことはありうるが、これはむしろ、こうではないか? 野生環境では適合していたはずの動作が、それではうまくいかない檻の中に閉じ込められている。本能が壊れたのではない。環境が壊れたのだ。
 
 反対に人は獣を理性のない愚かな動物と見なす。なんのこっちゃない、これは理性が社会的ステータスを保証するものであることを示している。
 
 ∧∧
( ‥)かくて世界は我慢大会の
    会場に成り果てました、と。
 
  (‥ )理性とは、檻に幽閉された
      それゆえに動作がおかしく
      なってしまった僕らが
      作り出した檻の作法でしか
      ないのではないか?
 
 少なくとも、理性はすばらしい。それは理性的な説明ではない。
 
 
 
 
      

似ているようで、この議論、重大な相違点があり、混合されている

 
 2011年の震災で原発がぱーんしてからしばらくして、その人のところに知人から連絡があったという。子供がじんましんを出しているの! きっと放射能の影響だわ、どうしよう!!
 
 聞けばその知人、放射能が怖くて、まだ小さな赤ん坊を連れてあっちこっちへ幾度も引っ越しを繰り返していたらしい。
 
 ∧∧
( ‥)...原因それじゃね?
 
  (‥ )とっ、その人がいったら
      がちゃんと電話を切られて
      それっきりだそうだ。
 
 一方、知り合いの奥さんはこういった。幼稚園のお母さんたちの中にもすごく心配性な人がいて、野菜は放射能の心配がないこの商品を選ばなきゃいけない! と言う、そうなの? と思って最初はそうしていたんだけど、めんどっちーし高いからやめちゃったー、とのこと。
 
 がははははっ、と笑っていたその笑顔がまぶしい。
 
 
  ( ‥)まあ、こういう姿勢が
    ‐□ 良かったわけだよ。
 
 ∧∧
( ‥)本当に危ないなら、みんな
    逃げるだろう、
    そういう判断ですね。
 
 ああ、もちろん、地下鉄が放火されて煙が充満するまで逃げなかった客がいる、それで亡くなった人もいる。あれは周囲を見て大丈夫だ、そう思い込んだ心理的な失敗で、今の日本もそれと同じではないか!! そう力説した人が、原発ぱーん当時にいた。それはそれで、事実の、あるいは解釈の一側面なんだろう。
 
 *だが、多くの場合、人間、周囲に流されてればいいんである。それに、言わせてもらえば、逃げるという選択肢に勇気がいるのは彼らが言う通りだが、”動かない”という選択肢も実のところかなりな努力が必要だ。人間はすぐに浮き足立つ。
 
 **2011.03.16に書いたこの後半の話=>hilihiliのhilihili: 3つの選択肢から、あなたならどれを選ぶ?
 
 ***あるいはこちら=>hilihiliのhilihili: 危険から逃げたのか、背景に何もないから逃げたのか?
 
 
 ともあれ、
 
 ∧∧
(‥ )でも、逃げるには
\‐   危険性を把握しないと
     いけませんよね。
 
   (‥ )どのぐらい危険なのか?
       困ったことにそれは
       統計学的なものなのだ。
 
 例えば冒頭の人は冒頭のお母さんにこう言うだろう。あるいはそれこそ、まま、こう言ったのかもしれない。
 
 これまでの知見を照らし合わせて考えるに、この放射線の量で、そんな影響は出ないだろう、出るとしたら、生まれて間もない赤ん坊をあちこち新しい環境につれていってストレスを与えているせいじゃないのか?
 
 ∧∧
( ‥)でも、お母さんは放射線の
    影響だってことを確信して
    いるわけですよね?
 
   (‥ )統計学は確率的なもの
       だよね?
 
 だとしたら、一般にはたとえ影響が出る量ではないとしても、我が子はそうではないかもしれない。そう主張することが出来る。確率のより高い方、ではなく誤差に逃げるのだ。

 それにしてもこの議論の背景にあるのは、
 
 ∧∧
( ‥)因果関係があるかないか、
    それをどう判定するのか、
    という話ですね。
 
  ( ‥)弱ったことにな、
    ‐□ こういう話になると、
       必ず、万が一を
       考えて頭ごなしに
       否定してはならない、
       という主張が出てくる
 
 まあ、確かにそうなんだろう。因果関係がまだ不明瞭だから規制できない、規制しなかった、そうやって被害を拡大させた例はいくつもある。
 
 ∧∧
( ‥)でも、それ、ちょっと
    違いますよね?
 
  ( ‥)例えば水俣病は
    ‐□ 特異で固有な病気だよね。
      特異な事例には何か他では
      考えられない
      特異で固有な原因が
      あるのではないか?
      例えばメチル水銀と
      相関関係があるか?
      確かめてみよう。
 
 という議論と、
 
 じんましんというかなり広く見られる症状と、自然界や人工環境下ではかき消されてしまうようなごく微量な放射線との間に、因果関係を”そもそも想定する必要”があるの? という議論は
 
 ∧∧
( ‥)同じには扱えないだろうと。
    前者は論証の話、
    後者はそれ以前の、
    仮説を選ぶ選定の話
 
  ( ‥)特異な2つの事例がある
    ‐□ この2つには因果関係が
      あるかも知れない。
      こうした強い関連が
      示唆されるのならば、
      実験的な裏付けがまだ
      ない状況であっても
      規制するべきではないか?
      後知恵ではあるが
      重大な結果を招いたことを
      考えれば、
      水俣病はそうすべきでは
      なかったのか?
 
 だが、冒頭のじんましんはどうだ?
 
 ∧∧
( ‥)冒頭のお母さんは多分、
    言うのですよ。
    原発ぱーんと放射線の
    わずかな増加は特異な
    事例であると。
    2つには因果関係があると
 
  (‥ )だが、対して答えた人は
      こう言っているわけだ
      「短期間に何度も
       引っ越しを繰り返した
       これもまた特異な
       事例であり、私はそれが
       原因だと思います」とね
 
 ∧∧
(‥ )2つの特異な事例に因果関係が
\‐   あるだろうとあたりをつけた。
     では実験的に論証する前に
     事態の重大さを鑑みて
     検証される以前に
     対処すべきか否か?
 
  (‥ )それに対して、
      そもそもなんでその2つを
      因果関係で結びつけたの?
      もっと簡単な原因と結果が
      あるんじゃね?
      で食い違いが起きている
      これが冒頭の話。
 
 一見似ているようで、この議論、重大な相違点がある。
 
 片方は選定済みを論証しようという話
 
 もう片方はそもそもなんでそんな選定をしたの? という話
 
 
 ∧∧
( ‥)特異な事象2つを結びつける
    という因果関係の選定は
    少なくともイメージ的には
    かなり強烈、
    かつ強固なものが
    ありますよね。
    これに対して、
    原因になりうる事柄が
    明らかに複数あって、
    しかも結果や症状が
    ありきたりだと
    論証以前に因果関係の
    選択自体に疑問の目が
    向けられる。
    
 
  (‥ )因果関係の選定は
      因果関係の論証とは
      また違うのだよな。
      あるいは同じではない。
      でもまったく関係ない
      わけでもない。
      ここで混乱が起きている
      のだと思うけどね。
 
 
 次に続く=>hilihiliのhilihili: 原因の候補は無限大に存在し、選定と検証は混乱する
 
 

2013年7月12日金曜日

その本の著者の言うこと真に受けて死んどるがな

 
 hilihiliのhilihili: イデアは破滅の逃げだったのか?の続き
 
 本を読むべきです。それも良い本を。高額所得者の読んでいる本を見てください。こんなですよ? 恥ずかしいと思いませんか? 金ではないのです、収入でもないのです。教養です!
 
 とっ、言う主張。
 
 ∧∧
( ‥)...でっ? プラトンさんから
   教えを受けた人たちは、
   徳でその名を響かせたけど
   それゆえに敗北し、
   無惨に死にましたとさ。
 
  (‥ )プラトンと言えば、
      日本では岩波文庫ですよ
      いーわーなーみー文庫!
 
 日本の最高学府の人が新入生に言ったとか、若人諸君、岩波文庫を読みなさい。
 
 うっは! その文庫に納められた著者の教えを真に受けたやつが、死んどる、死んどる! 無惨に死んどる。無様に死んどる。
 
 押し掛けた敵たちに首しめられて短剣で突き刺されて、友人たちもいたのに見捨てられて殺されとる。
 
 あるいは、まんまと煽られて恩人を殺し、市民に追い立てられて逃げ出し、ストレスで悪霊を見るまで追いつめられて、それでもなお、合戦ではもはや勝利まであとわずかまで手をのばしかけて、しかしそこで絶望して自殺しておる。
 
 何をしたかったんだか、訳分からん死に様。
 
 面白いじゃないか。たまたまとかじゃない。徳ゆえに必然的に死んでる。ひーつーぜんてーきにっ!
 
 ∧∧
(‥ )...まあ、欠陥のある理論でも
\‐  価値がないわけじゃない
    ですからね
 
  (‥ )歴史的な価値があるからな
      そして失敗したこと、
      それ自体も価値なのだ。
 
 ああ、しかし、失敗した理論だから、ではなく、これはすばらしい古典である、としばしば述べられることから察するに、このことは次のことを示している。
 
 人間はその理論が使えるか使えないか、ではなく、その理論を知っていることでステータスが高くなるか、どうか、むしろそっちのほうを気にしてる。
 
 ∧∧
( ‥)たぶん、ね。
 
  ( ‥)でも、これは色々な
    ‐□ 事を説明できると
       思うよ。
 
 はあ...、なにはともあれ。
 
 ∧∧
(‥ )いずれにせよ、複数の本を
\‐   付き合わせてチェックする
     必要がありますね。
     そして妥当性を把握
     しなければならない。
 
  ( ‐ ‐)それとさ、
        今日はもう疲れたから
        機材の買い出しは
        明日にするね
 
 魚一匹を仕上げて、機材を調整して、もはや元気なし。
 
 ああ、でもクセノフォンが書いたソクラテスの思い出は良かったな。プラトンが書くソクラテスよりもずっと良かった。
 
 

固有名詞が出てきた時点で負けっぽい

 
 二位など誰も覚えていない。
 
 否!
 
 ∧∧
(‥ )二位争いこそが熾烈だった
\‐  そういう事例がある、
    これがその試合。
    その争いの前に一位は
    かすんだのだ。
    そういう事例。
 
  (‥ )その事例を外した場合、
      普通に一位しか覚えて
      もらえなかった試合を
      数え上げてみる。
      それは全体の何割を
      占めるのかね?
 
 天気予報が外れた、そういう事例がある。
 
 では、それをもって天気予報はすべて外れる、そう言って良いか?
 
 ∧∧
( ‥)だめでしょうね
 
  ( ‥)いくら事例を列挙しても
    ‐□ 全体の傾向がすべてを
       決定づける。
       重要だよね、これを
       見誤ると、掛け金を
       全部持ってかれる
       からな。
 
 ∧∧
( ‥)つまり
 
  (‥ )こういう事例がある。
      そういう固有名詞を
      出した時点で負けだと
      思うけど、違うかね?
 
 1位の栄光を2位争いが食ってしまう。そういうことがしょっちゅう起こるなら、何々の試合がそういう例だった、とは言わないだろう。そういう現象を一括して指し示す集合名詞かなにかがあるのが筋ではないかろうか。
 
 
 

2013年7月11日木曜日

政治家は家畜で、新しい哲学が必要なんだろう

 
 理想を唱える政治家は現実を見ていないし、労働者を守るはずの組合は既得権益を守るばかりで会社員のむしろ敵だし、保守派は経験があるけども時代錯誤でブラック企業や徴兵制とか言い出すし、漫画とかまで規制しようとする始末。 
 
 
 ∧∧
(‥ )政治家ってどうして
\–   ああいうことをするの?
     そういう意見。
     庶民の味方や代弁者が
     どこにもいない、
     そういう意見。
 
  (‥ )家畜ってのは、
      思い通りにならない
      そういうことさ。
 
 政治家は、支配者ではあるが、結局のところ大衆という集団によって、いわば飼われている家畜でしかないと言える。実際、支配者は民衆をたくさん殺すが、民衆は集団だけに、結局は不死身だ。だから最後は支配者の墓をあばき、あるいは面白半分に政治家を殺す。事実、殺すのが楽しくてやめられない。次の新しいおもちゃは誰かと、いつも探してる。
 
 ∧∧
(‥ )でも、家畜たる政治家は
\–   なかなか思い通りにならない
     あちらを選べば
     こちらが立たず
     こちらを選べば
     あちらが立たず
 
  (‥ )品種改良ってのはそういう
      ものさ。あっちとこっち、
      両方の良い所取りってのは
      なかなかうまくいかない。
      別なものをくっけるわけ
      だからね。
 
 カレーとラーメンを食べたいけど、どっちにしよう?
 
 ∧∧
( ‥)そうだ、カレーラーメンに
    すれば良いじゃない。
 
  ( ‥)と、言うのは簡単なんだが
    –□ 薄く溶かしたカレーに
       ラーメンを入れた、
       あるいはラーメンに
       カレーをかける、
       そんな簡単な動作じゃ
       すまないよね。
 
 ただくっつければ良い、というわけじゃない。2つの異なるものが統合されるのだ。しかもどちらも機能して、なおかつそれで全体として動作しなければいけない。
 
 カレー+ラーメンから、どうすれば良いものを作れるのか? こんなことにも探求やテストや試行錯誤が必要であるように、あるいは、どんなくだらない人生にも哲学があるように、そもそも2つのものをくっつけるには、新しい哲学が必要なんだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)...新しい理論体系が必要だと
 
  (‥ )馬鹿馬鹿しいだろ?
      でも、人間ってそんな
      ものよな。
 
 地面を這いずる人生にさえも哲学があり、薄汚れたおっさんたちが口を開けば言葉をいくらでも紡ぎだすのだ。
 
 漫画と、徴兵制ではないプロフェッショナルな軍隊が両立する世界、次世代に引き継がせる知識と、知識を引き継いでもらうための次世代の育成を実現する仕組み。そのための金と調達と経済。これを実現するのはいかにも大変だし...
 
 ∧∧
( ‥)実現以前に、こうすれば
    良いじゃない、と
    皆が思うようにするまで
    もっていく。
    それすらも大変だと。
 
  ( ‥)自民党に戻った、
    –□ それは経済でも外交でも
       今の所、良い結果で、
       支持もされてる。
       だが漫画を規制しようと
       言い出した。
       維新の会が出てきた、
       新しい受け皿が出来る
       これは望ましい。
       だけど、石原都知事が
       徴兵制と言っている。
       なかなかうまくいかん
       ものさね。
 
 時代錯誤といえばそれで終わりだけども、これは、人は成功体験や信念に縛られていて、新しいことはもうできない、ということを示している。人生の後半になれば若い時に培った哲学や考えはもう数十年は時代遅れだ。存在自体がどうしようもなく時代錯誤になるのは当たり前。
 
 そして新しい時代には新しい哲学が必要だ。哲学なんて、響きがいかにもうさんくさいが、こんなくだらないことでさえ、人間には統一的な説明が必要なんである。
 
 ∧∧
(‥ )戦争は時代ごとに様相が変わる
\–   軍隊のありようも国家の
     要求も変わる。
 
  (‥ )規制したいのは分かるが、
      定義できない道理を
      法律という定義で束縛する
      これは必ず無理が生じる。
      理想は破滅の道で、
      混沌と統計学的な振る舞い
      それこそが道を探す
      方法なのだと、これを
      分からせなくちゃいかん。
 
 ∧∧
( ‥)こんなことですら、
    まずは体系化しないと
    いけないのだと。
 
  ( ‥)人間はどうしても
    –□ 人生の指針が必要で、
       しかし、指針を一度
       取り込んでしまうと、
       もう変更効かないの
       だよね。
 
 なにもかも、時間をかけるしかないのだ。
 
 そして、少なくとも、40歳以上はただの時代遅れなおいぼれでしかない。いくら経験でカバーしてもどうしても露呈する。それは直視しなくちゃいけないんだろう。
 
 
 
 

2013年7月10日水曜日

イデアは破滅の逃げだったのか?

  
 
 正午よりも少し前、散歩に出かけると、どういうわけかコウモリ(多分、アブラコウモリ)の左腕がアスファルトの上に落ちていた。
 
 










 
 ∧∧ なにがあった?
(‥ )
 –( ‥)さあねえ
 
 梅雨が開けて今年の夏は強烈で、神奈川県中央はなかなかに暑い。炎天下の中、歩くのがいささかきつい状況。体温は上昇し、まるで走った時のように息が上がる。
 
 ∧∧ なぜこんな状況で散歩を
( ‥)
 –( ‥)いや、なんとなく
 
 公園の木陰で本を読み、そして、なすすべもなく帰る。
 
  (  ̄  ̄)あー疲れた
 
 ∧∧
( ‥)意味ないな、おい
 
 
 木陰で、「プルターク英雄伝」岩波文庫版 11巻 ディオーンを読んだ。
 
 ∧∧
(‥ )シチリア島の独裁者に
\–   仕えたけども、
     プラトンさんを敬愛していて
     彼を呼んで独裁者を
     感化させようとして、
     追放されて、でも故郷の人の
     ために挙兵して戦って
     そして死んだ人ですね
 
  (‥ )なんかな、邪魔者を
      ちゃっちゃとぶち殺せば
      いいのに、
      それを友人たちからも
      勧められているのに、
      それは徳に反する、とか
      そういうこと言って、
      結局、それで身を滅ぼして
      しまうのよね。
 
 ∧∧
(‥ )英雄伝は英雄達の対比ですけど
\–   ディオーンさんは
     ブルートゥスさんと対比
     されているんですよね
 
  (‥ )対比というか、
      ギリシャとローマの
      似た者同士を比べるというか
      まあ、似てるよね。
      どっちもプラトンに傾倒して
      そして徳を重視して、
      ゆえに死んだ。
      作者の評価はまた違うけど
      そういうことだよな。
 
 ∧∧
( ‥)これは、プラトンさんの
    理論の敗北?
 
  (‥ )じゃねえか?
      少なくとも、プラトンの
      哲学を使ったけども
      2人とも、現実を
      コントロールできなかった
      そういうわけだよね。
 
 考えてみれば現実世界の外に理想のイデアがある、そんな前提を敷いた時点で、現実を否定することは出来ても、現実を記述することはできない。ましてやコントロールできるわけがない。
 
 ∧∧
(‥ )破滅は当然だった、
\–   そういうことですかね
 
 (‥ )プラトンのやったことって
     結局、なんだったんだろうね
 
 単に現実世界からイデアなる夢の国に逃げようとした。それだけだったのか?
 
 善かれと思ってやったことだろうけども、それは結局、人を殺しただけだったのか?
 


 この話はある意味、これの続き=>hilihiliのhilihili: そこが謎




そこが謎

 
 
 世界を革新的に変えることが出来る。そう信じている人は、自分のアイデアは斬新ですばらしく画期的だと信じ込んでいるらしい。だが、自分と同じ事を考え、そして失敗した連中が大勢いたことには、どういうわけか気がつかない。
 
 ∧∧
( ‥)それがあなたの意見ですか
 
  (‥ )というか事実だろ?
      太陽がいつも東から
      昇るのと同じぐらい
      事実だべ。
 
 どういうわけか、この手の連中は自信過剰で自分を疑わない。だから自分のアイデアに乗ってこない”愚かな民衆”を憎み、他人と世の中を軽蔑するようになる。
 
 ∧∧
(‥ )自意識が過剰なんですかね?
\–
 
  (‥ )そこが謎なのだ。
 
 
 そろそろ選挙、というか投票なので、こういう立ち枯れる運命にある理想論がネットとかでばんばか芽吹いている真っ最中。
  
 
     
 

2013年7月9日火曜日

謎の扉は、ほら目の前にあるよ

 
 hilihiliのhilihili: 派生形質で派生形質が消えるの続き
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
  ( ‥)以前な、分岐学について
    –□ こんなことを言っている
       奴がいてな
 
 甲虫の分岐解析を見たら、成虫と幼虫で結果が違うのです! がっかりしました。
 
 ∧∧
( ‥)...ああ、たぶん、保育社の
    甲虫図鑑の記述を見たの
    でしょうね。もちろん、
    本の記述は、
    このケースでは
    成虫と幼虫では系統解析の
    結果が食い違うよ、
    ということを言っているだけ
    なんですけどね。
 
  (‥ )食い違うってことは
      そこで何か起きてるって
      ことなんだけどな。
      論文のネタにだって
      成りうるよね。
 
 それは成虫同士が収斂進化したのかもしれない。反対に幼虫が収斂しているのかもしれない。あるいは外群比較がおかしいのかもしれない。我々が暗黙のうちに前提している系統仮説がそもそもおかしい、という可能性だってあるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)いずれにせよ、食い違いは
    究明すべき謎がそこにあるよ、
    そのことを示している。
 
  ( ‥)相対性理論だってさ、
    –□ ニュートン力学じゃ
       説明できない誤差を
       説明できたから
       衝撃を与えたって
       側面があるんだけどな
 
 そういう科学の歴史を知らんわけじゃあるまい?
 
 科学には絶えず、いつも、どこかに、得体の知れない食い違い、奇妙な出来事がある。
 
 名を残した研究者ってのはそれに立ち向かった人々だ。
 
 だのに、食い違うのです! がっかりしました! ってなんじゃあそりゃあ?
 
 だから思った。ああ、この人が学生だったら、もう駄目だ。使い物にならない。あるいはこう、言われるがままに作業をするだけの人間に成り果てるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)一般の人だったら?
 
  (‥ )好奇心がないよね。
      なぜだろう? と
      考えないわけだ。
      知りたいだけなんだな。
      知識、知識、知識、
      詰め込んだだけの
      胃袋じゃないか。
 
 知りたい。
 
 ああ、
 
 だが、知ってどうする?
 
 知ったことの確からしさはどこにある?
 
 なぜ謎に注目しない?
 
 ∧∧
( ‥)知識を覚えたいだけだと
 
  ( ‥)むごい話よ、
    –□ 知りたいと
       願ったばかりに
       目の前の扉に
       まるで気づかない。
       当然、鍵も手にできない
 
 
 知りたい。そして真実を知った。これらすなわち死に至る病。
 
 分かろうとするんじゃない。歩け。なにがなんでも。探せ、扉を。手にしろ、鍵を。
 
 ∧∧
( ‥)そうはいってもね、いつか
    歩けなくなるんですよ。
    謎に関心も示さず、
    分からないに気づく事も
    なくなるんですよ。
    すべてが知った世界に
    閉じていくのです。
    あなただって所詮はそうだ
    そして全員そうなる
    例外は、無い。
 
  ( ‥)...ああ、死ぬっていやだな
 
 

 
   
 
 
 

自分の老いと愚痴を遠回しに言うのは...、やっぱだめじゃね?

 
 我欲の時代だからこそ徴兵制で若者を鍛えるべき
 
 
  (‥ )詭弁だね。徴兵制は数だ
      本当に徴兵制をしたいなら
      若者の給料を上げなくては
      いかん
 
 ∧∧
( ‥)産めよ増やせよです
 
 徴兵制だの国民皆兵だの、それはどっちも数で勝負をする話。それもどっちかというと陸の話だ。海や空で戦わなくちゃいけない時に、まずは機械をそろえなくちゃいけない時代と状況で、徴兵制と言われましてもね、それは現実的なんですか? 一体全体、どこで銃剣突撃するんです?
 
 ましてや老人ばかりぶくぶく太るこの時代に、若者の給料を上げずに徴兵制などと、たわ言ではないのか?
 
 我欲だと言うなら、まず老人から粛正しなければならぬ。
 
 
  ( ‥)現代戦で必須な訓練された
      兵士が必要だというのなら
      鍛えるべき、なんて言葉は
      出てこない。
 
 ∧∧
( ‥)必要なのは技術の習得です。
    体を鍛えるのも必要だけど、
    鍛えるのが目的じゃ
    本末転倒っぽいですね。
 
 
 ということは
 
  (‥ )つまりさ、徴兵制とか
      言っている奴は富国強兵が
      目的でもなんでも
      ないんだよな
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そういうことに
    なりますか。
 
 あと、最近思ったのが
 
 
  ( ‥)あのさあ、
    –□ 軍事について何も
       知らないのに言うのも
       おかしいけど...
       ヘリコプター護衛艦の
       DDH22を空母だ、とか
       言うの、おかしくね?
 
 ∧∧
( ‥)見た目は空母ですけどね。
 
 いや、しかし、空母なら艦載機を乗せなくちゃいけないだろうし、それにはまず、船の装備や甲板の素材とかもさることながら、それ専用の艦載機を調達しないといけないよね? もちろんそれを操縦できるように訓練されたエリートを養成して...
 
 ∧∧
( ‥)艦載機もあれなんでしょうね
    例えば10機積めますよ、
    だからパイロットさんは
    10人育てればオッケー
    なんてことにはならないの
    でしょうね
 
  (‥ )要員を交代させなきゃ
      いけないもんな。
      そもそも飛行機を整備する
      人とかも養成しなくちゃ
      いけないわけだろ?
      でっ、実際に運用を始めて
      何年もかけて、
      しかも一隻でこれだよね?
      実際には数隻必要だよね?
 
 空母だ、空母だと言う人いるけど、わざと言っている人はともかく、ヘリコプター護衛艦をそんな安易に空母だって言ってよいんだろうか?
 
 ∧∧
(‥ )まっ、軍事のことは
\–   良く知らないから、
     もっと調べないと
     いけませんね。
 
  (‥ )世の中難しいこと
      だらけだよ。
 
 ただ、少なくとも、徴兵制で若者を鍛えよーとか、そういう自分の老いと愚痴を遠回しに言うようなことはすまい。
 
 
 
 
 
 

派生形質で派生形質が消える

 
 
 ∧∧
( ‥)どうしました?
 
  ( ‥)困った事態でな、
    –□ 今度の本の説明で、
       外群比較に使った魚は
       この論文では歯が倒れる
       つまり可倒歯だ、
       となっているのだけど
       それとは反対に
       歯は動かない、
       という論文と記述が
       2つ出てきた
 
 こまった。もしそれらが正しい場合、これは外群が持っている形質が派生形質であること、ゆえに共有派生形質で束ねられるべき内群のグループを束ねられない、ということを示している。
 
 ∧∧
( ‥)外群がたまたま派生形質を
    もっていた場合、内群にある
    派生形質は原始的であると
    みなされて消えちゃいます
    からね。
 
  ( ‥)困ったなあ。反対に
    –□ 原始形質が派生形質に
       見える状況も生じて
       くるのだよね。
       このファミリーが
       偽系統群であるという
       話の主旨まで
       壊れてしまう
  
 
 もちろん、一見するとこういう状況だね。だけどほら、外群をもっと増やすとこれが正しい解になるんだ、と説明すべきではある。
 
 しかしこの手は使えない。そんなことをしたら本の3分の1ぐらいはそれで終わりだ。教科書ではなく新書であるうんぬんもさることながら、この本の目的に反する。そんなことはできない。
 
 さて、困りました。最初の論文をまんま信用して、可倒歯です、と断言して書くのも良い。しかし、できればここは外群に選んだ魚の歯が本当に可動するかどうか確認しないといけないところ。
 
 もちろん、著者は徹底的に調べた人だ、他の文献にfixed とか、rigid と書いてあっても、観察して”動く”と確信したからこそ、depressible(あるいはそれが可能でありうるタイプの歯である)とカウントしているんだろう。
 
 とはいえ、そうではあるが確認した方が無難ではないか? なんといっても2つも”固定されている”と書いた文献があるのだから。
 
 歯が動く、あるいは動かない、と書いた他の文献はないか?
 
 例えばこの魚を採集して報告した文献で、歯に関して記述しているものはないか?
 
 
 ∧∧
(‥ )文献やネットで調べたけど
\–   あれだね、このお魚さんの
     歯の可動性に関して
     それ以上の詳しい資料や
     情報は見当たらないね。
     この人の歯に関する研究も
     今すぐ手には入らないよ。
     地道に探すしかないね。
 
 
  (‥ )他に使える分かりやすい
      共有派生形質がないし...
      細かい骨学的な記述は
      ちょっと本の趣旨に
      反するしね、時間もないし
      どうしたものかな?
 
 休んでいたらおかしな夢を見た。なんとも言えない、訳分からん事態を是正しようとする夢。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、睡眠まで考え事に
    浸食されてるのね
 
  ( ‥)でっ、起きてから
    –□ 資料を読んでいてだね
 
 ふと気がついた。
 
  (‥ )以上とはほぼ関係ない箇所
      だけど、自分の勘違いに
      気がつきました。
      かなり根源的な勘違い
 
 ∧∧
( ‥)今さらだな、おい
 
 その勘違いを是正した結果
 
 
  ( ‥)以上の問題も解決、終了
    –□ やったね
 
 ∧∧
( ‥)ひとつの共有派生形質だと
    思っていたら実は2つで、
    それを使ったら、先の
    ”外群が派生状態なので
    使える派生形質が消える”が
    相殺されたわけね。
 
 まあ、これで説明が7000文字程度で収まるのだから半日考えた結果としては良しとするべき。
 
 
 ∧∧
(‥ )とはいえ、最終的には
\–   確認したいですよね
 
  (‥ )そうだねえ。
      地道に探すとしよう。
      できれば触りたいの
      だけどね。ちょっと
      難しいだろうなあ。
 
 

 
 

2013年7月8日月曜日

定義定義と言った時は危険信号

 
 hilihiliのhilihili: 言葉の定義を無駄にしたがる人の続き
 
 言葉の定義をするには、定義をするために定義をしなければいけない。
 
 ∧∧
(‥ )○○を以下、甲とし、
\–   □□を以下、乙とする
 
  (‥ )以下とかするって
      何?
 
 ∧∧
(‥ )以下とは文章中ここよりも
\–   下の意味であり、
     する、とは何事かを
     なすという意味の動詞。
 
  (‥ )下とか、意味とか
      何事かをなす、って
      どういう意味?
 
 ∧∧
( ‥)きりないですね
 
  (‥ )究極的には
      赤ん坊が言葉をどう
      覚えたのか? まで
      さかのぼる必要が
      あるよね。
 
 ∧∧
(‥ )あれでしょ? 動作、仕草
\–   動き、それに対応する音声、
     それを繰り返すことで、
     音AはカテゴリーXに
     音Bは動作Yに対応する、
     ということを覚えていく
 
  (‥ )そういうあたりの認識や
      成長のことは、おれは
      良く知らんけども、
      見る限りは
      そういうことだよね。
 
 動詞、とか、する、というかなり抽象的な単語もある時点で覚えるようになる。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ、言葉の定義集って
    最終的には絵文字になるわけ?
 
  (‥ )より究極的にはやっぱ
      音と動作だよね。
      それを無理矢理、文字に、
      いや、むしろ記号にしたら
      絵文字は使わないとな。
 
 言葉の定義集一例
 
 まる=>○
 
 ∧∧
(‥ )丸はまだしも、
\–   ”する”はどうします?
 
  (‥ )さてねえ?
      動いている色々な人の図を
      学んだ後に、それら全部を
      ひっくるめて”する”かな
 
 ∧∧
( ‥)つまり定義にはカテゴリーが
    必要なわけですよ
 
  (‥ )つまりカテゴリーを作る
      ”能力”が共通でないと
      言葉の定義なんか
      できないんだよな。
 
 幸いにも人間は単一の共通祖先を持っている。つまりその神経構造は共通だ。基本的には。
 
 つまりどの人間も同じカテゴリーを認識できるだろう。基本的には。
 
 ∧∧
( ‥)基本的にはね。
 
  (‥ )個体変異があるからね。
      カテゴリーの能力に
      個体変異があるかどうかは
      知らないけど、
      ない、という保証は
      ないよな。
 
 ∧∧
(‥ )言葉の定義をしよう、
\–   これには
     何の意味があるのでしょうね
 
  (‥ )最低限、あれよな。
 
:言葉の定義をすれば言葉のぶれを0に出来ると思っている
:言葉を正確に定義できると思っている
:すべての人間が共通して受け入れられる定義があると思っている
 
 ∧∧
( ‥)すべての人間が共通の
    神経構造を持ち、ぶれはなく、
    いかなるカテゴリーも
    正確に範囲を指定できるし、
    それは全人類で共通だ。
 
  (‥ )非現実的な仮定だよな
      それにだ、
      言葉を全部定義しよう、と
      言い出す奴はまれだ。
  
 この時点で、人間の共通性、という考えが既に破綻しているのではなかろうか?
 
 しかも、そういうことを提案する人は、割合こそ少ないが、絶対的にはそれなりな数になる。それは、何十万と過去にあったはずの提言が全部失敗しているということを示す。
 
 ∧∧
(‥ )でもこうしよう、と言い出す。
\–   自分を特別視している、
     ということでしょうかね?
 
  (‥ )すごいこと考えちゃった。
      そう得意になる局面は
      誰しもあるけど、
      それはお前で100万人目
      そういうことなんだよね。
      そして全員が失敗した。
      そういうことになるし、
      それに気づいていない
      わけだね。
 
 
 状況は危機的である。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、現実的には、言葉が
    何を示しているか?
    それはその言葉が発せられた
    状況と文脈から読み取るべき
    だってことでしょうね。
    当たり前なことですが。
 
  (‥ )だが、それが出来ない奴が
      少数ではあるが必ずいる。
      それはなぜか、も
      さることながら、
      もしそういう状況に自分が
      陥っていることに
      気づいたら、危機感を持て
      ということだろうな。
 
 ただし、そういう状況に陥る人は、原理的に言ってこの状況に危機感を覚えないだろうと予測できる。
 
 というか、原理的だのそんな小難しい言葉うんぬん以前に、文脈から言葉の意味をきちんと読み取れるなら、そもそもこんな状況に陥ることはないからだ。
 
 つまり状況は極めて危機的である。
 
 
 ∧∧
( ‥)プラトンさん、状況深刻?
 
  (‥ )だからディオゲネスに
      乱入されるんじゃね?
 

 
 

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