自己紹介

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2016年5月31日火曜日

お前は単なる廃熱生成機械

 
 大宇宙を舞台にした物語でも、作り方次第ではCGもなにもいらない。ただ単に未来かな? 異世界かな? 異常事態かな? と思える部屋と衣装があれば良い。
 
 ∧∧
(‥ )エイリアンのように
\−  宇宙人は着ぐるみですむし
    キューブのように
    部屋は一個でもいい
 
  (‥ )まあどっかでCGや特撮を
      使うにしても
      最小限度ですむし
      それなら日本のちっこい
      CGでも十分対応可能だな
 
 とはいえしかし
 
 ∧∧
( ‥)そんな海の物とも山のものとも
    つかないような地味な企画が
    通るわけないよね
    そもそも
    エイリアンもキューブも
    無数の低予算駄作の中から
    たまたま売れただけのものだし
 
  (‥ )スポンサーもそんな
      売れるか分からないものに
      金を出したくないからな
      俺だっていやだよ
 
 
 だったら、すでに売れている漫画やラノベを原作にした実写映画を作れば良い。
 
 賭けをする余裕がないのであれば、他人の成功に寄生すれば良いではないか。これは恥じる必要のない選択肢であるぞ。
 
 問題があるとしたら、売れている漫画やラノベの多くは、それをまじめに再現するとCGと特撮に膨大な金と時間と人員をかけねばならない、ということで。
 
 ∧∧
(‥ )かくて役者をそろえただけの
\−  なんかしょうもない実写が
    出来上がりますよと
 
  (‥ )進撃の巨人とか
     テラフォーマーズとか
     それを日本で実写化しちゃ
     駄目でしょ
     否、ハリウッドでも
     不可能じゃね?
     みたいなことをしちゃうのは
     単純にそのせいだろうな
 
 
 それでも金は回る。金が回るのならそれで良しとすべし。
 
 少なくとも関係者にとってはそれだけで十分だ。
 
 言って見れば日本の映画界とは、というか今時の業界は大概そうだけども、かつて栄えた門前町のようなものだと思えば良い。

 以前は観光客や参拝客でにぎわっていたが、競合する門前町が他に幾つも出来て来る人が少なくなり、さりとて町内会としては門前に並ぶすべての業者に万遍なく利益が出るようにしなければならない。それに基づいて地域振興策が決定される。
 
 ∧∧
(‥ )そして
\−  そういう地域振興策って
    概して評判が悪いものだよね
    独りよがりで見当はずれで
    内輪ネタで加齢臭がする
 
  (‥ )でっ批判されると
      おっさんたちが
      お前ら部外者に
      何が分かる!! と
      怒りだすんだよな
 
 
 おっさんが怒るのは分かる。だがその怒りは所詮は内輪ネタであり、おっさんの怒りでしかないのも事実。

 まあ、業界がおっさんになるとはこういうことだ。特に業界が大きくなると昨今のシャープが作ったコピー機のように、どう考えてもコピー機を使ったことが無い人間が作ったとしか思えない製品が出来上がったりする。その前の機種が普通にまともなものだったにも関わらずだ。

 そしてこれは成長の必然なんだろう。
 
 例えば10人の人間関係は9×10で90だが、100人の人間関係は99×100で9900だ。つまり人数が増えれば、人間関係はほぼその平方で増大する。人間関係は調整を必要とする事柄であり、それ自体を調整するエネルギーを必要とする。

 要するに人間関係それ自身が予算を必要としている。そしてこの予算は制作の質を維持するには必要不可欠だが、制作そのものとはまったく関係がない。この予算は単純に機械の運用と人体の呼吸で消費され、最終的に廃熱となって発散され、失われてしまう。

 かように、組織や業界は大型化するとそれ自身の廃熱だけでほとんどの予算を消費してしまうだろう。
 
 つまるところ、映画評論家などという寄生虫のごとき存在が大手を振って歩いている時点で、映画業界が予算のほとんどを廃熱で失う非効率に陥っていることは明らかである。
 
 ∧∧
( ‥)出版界もあなたも
    他人のことは言えませんぞ
 
  (‥ )ああ、でもあれだよ?
      出版界は個々がずっと
      小さいし
      無数たくさんの集団だから
      未知を持って帰ることは
      可能だぞ?
      我らはたくさん
      すなわちレギオンなりだ
 
 実際、漫画やラノベはその無数でもって有望なコンテンツをもぎとってきているであろう?
 
 反対に、巨大な映画界は漫画やラノベに依存し、それに寄生しなければ生きていけないばかでかいナメクジに成り果てているであろう? 

 もちろん巨大組織の部品になった人間は、そうは考えない
 
 私は花形の一員である。すなわち私は偉大のひとつであり、偉大の部品であり、偉大の部品でないお前たち下々の者とは違う。

 彼らはかように巨大組織の部品となった自らを誇らしげに語る。
 
 しかしこれは誤りだ。

 実際、これ自体、お前が無用無意味の廃熱生成機械になっているという証拠なのだ。

 それすら自覚しないのならばその認識に論ずる価値無し。
      
     

    

どうにもならない話

 
 
 ∧∧
(‥ )映画評論家ってなに?
\−
 
  (‥ )変な映画を撮る人の
      ことだろ?
 
 シベリアを見れば明白
 
 
 ∧∧
(‥ )技術も金も蓄積も無いのに
\−  無駄にCGを使いたがるのは
    なんでですかね?
 
  (‥ )昔、知ってる奴に聞いたら
      CG屋に金を渡さないと
      いけないから
      嫌でもCGを使うって
      言ってたな
 
 
 ∧∧
( ‥)それではやむを得ませんな

  (‥ )ぶっちゃけCGを
      使わなくても
      大宇宙を舞台にした
      物語だって
      作れるけどね
 
 例えばマイク・レズニックの小説「アイボリー」。この小説、銀河を舞台にした遠い未来の話で、色々な場面が出てくる。例えば宇宙人が集う賭場であったり、人類帝国の外縁部で勝手に領土を作って争っている将軍たちであったり。
 
 ∧∧
(‥ )でもあれだよね
\−  将軍たちの話でも
    宇宙戦闘の場面なんかなくて
    登場人物がほとんど4人
    
 
  (‥ )会話と陰謀と
      駆け引きだけで
      物語が進むのだよな
 
 とまあ、このように大宇宙を舞台にした物語をCG抜きで作ることは可能だ。というかこれ、舞台劇でも成立するだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもそんな
\−  朗読劇みたいなものを
    観客は望んでいないでしょうな
 
  (‥ )しかしあれだよ?
      デスノートって
      ほとんどこれに近いだろ?
      しかもあれは
      実写化では成功してるべ
 
 ∧∧
( ‥)死神にCGは必要だけど
    最小限ですみますしなあ
 
  (‥ )とはいえだ
      そういう都合の良い
      物語ってのはそうはない
 
 しかも制作に都合が良いだけではだめだ。成功する見込みがあり、スポンサーが金を出す根拠を持つものでなければいけない。
 
 そしてそれは日本において漫画とラノベしか存在しない。
 
 ∧∧
(‥ )日本の映画界に
\−  自力でコンテンツを作る能力は
    もはやないんでしょうなあ
 
  (‥ )金かかる集団作業だと
      冒険できないからな
      試行錯誤はできず
      どうしてもコンテンツは
      外注しないといかん
      ハリウッドでさえも
      そうであるし
      英語圏より市場が小さい
      日本映画ではどうにも
      ならないよねえ
 
 
  
 

2016年5月30日月曜日

遺伝子は神託ではない ゆえに滅すべし


 時々曰く、次のように言う人がいる
 
 人種間の遺伝的差異などほとんどない。

 人種は存在しないし、人種という概念は否定されている。
 
 
 ∧∧
(‥ )...これ自体は正しいこと
\−  なんですけどねえ
 
  (‥ )問題は
      これを言う人たちが
      科学は道徳や倫理を
      正当化する道具だと
      思い込んでいるらしい
      点だよな
      
 科学は道徳や倫理を正当化したりはしない。現実はこう振る舞っているよ、と教えるだけである。
 
 ここを勘違いするとおかしなことになる。
 
 例えば、生物は自分の子孫を残すようにふるまっている。そのためありとあらゆる残忍な行動が進化してきた。
 
 遺伝的に道徳的が正当化されるのであれば、子殺しも容認されよう。
 
 ライオンの子殺しは有名である。ライオンは雌の群れが狩りをする。雄ライオンは雌の群れにくっついた紐のような存在で、雌ライオンを妊娠させる役割を果たす。まあそういう役職だと思えば良い。
 
 ∧∧
( ‥)でもそうであるから
    若い雄ライオンたちが
    その地位を目指して
    挑戦を挑んでくるのである
 
  (‥ )だからライオンの群れに
      おける
      雄ライオンの地位は
      非常に不安定だ
 
 どのぐらい不安定かというと、雌ライオンの妊娠、子育ての長さとほとんど変わらない。
 
 つまりライオンの雄には雌ライオンの子育てが終わるのを持っている時間がない。
 
 ∧∧
(‥ )だから雄ライオンは
\−  前の雄を追い出して
    群れを確保すると
    前の雄の子供たちを
    殺してしまう
 
 (‥ )生物には子供をどれだけ
     残すのか?に原因した
     残忍な行動が
     幾つもあるのだ
 
 ライオンのような例が他の動物にもあるし、ライオンと反対に、子育てをする雄を襲って、前の雌の子供たちを雌が皆殺しにしてしまう場合もある。
 
 あるいは、育児放棄や虐待が起こる場合もある。血縁でない子供を放棄したり、飢え死にさせたり、あるいは自分の子供でもそれが失敗した繁殖で、子供を殺した方がお得な場合にはつつき殺したり、そりゃあもうやりたい放題だ。
 
 ∧∧
( ‥)人間の児童虐待も
    動物のそういう事例と
    あまり変わらないのだよね
 
  (‥ )というか同じなんだよ
      人間も動物だからな
 
 もし冒頭の人の言い様のように、遺伝的な決定論で道徳を正当化しようものなら、我々は子殺しや児童虐待、育児放棄、ネグレクトを正当な道徳として認めねばならないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )人種差別はいけませんよ
\−  と言うのは
    別にかまわないけど
    人種は遺伝的な根拠が薄い
    概念だから
    人種で物事を考えてはいけない
    などと
    道徳を遺伝的に正当化すると
    人間の道徳は木っ端みじんに
    なってしまうであろう
 
 
  (‥ )それにさ
      人種は遺伝的な基礎が
      存在しないから
      人種差別に意味はない
      というのは
      諸刃の剣なんだよな
 
 地球上のいかなる人種も、遺伝的にはほぼ無視できる程度の違いしかない。
 
 これを知って、言って、ドヤ顔をしている人間は次のことを見落としている。
 
 ∧∧
( ‥)実はわずかな遺伝的な差異を
    手がかりに
    仲間を認識した結果
    できたものが人種
    だとすると
    遺伝的差異の多い少ないは
    問題の本質ではない
    自分たちが重視する
    ほんのわずかな差異だけで
    根拠は十分である
 
  (‥ )設計がほとんど同じ車でも
      色や外見のパーツが
      違うだけで
      別の文化圏とグループを
      作るからな
 
 派手に彩色され飾られたデコトラは他のトラックと同じはずだが、それは別の文化圏を作り、まったく異なる人間関係を構成するであろう?
 
 かように、遺伝的にほぼ同じだから区別などないし、区別する必要も無い、というのは正しい指摘であると同時に、まったく見当はずれなのだ。実際、問題となっているのはそこではないのである。

 そうである以上、人種差別を否定するのに遺伝的な根拠を使う必要などない。

 汝ら寛容であれ、それが汝をまた寛容に扱ってくれる根拠となろう。

 なれば、寛容でないもの、かつまた、裏切り者は滅すべし。

 道徳なんてものは、動機も根拠もそんな程度で十分。
 
 ∧∧
(‥ )それにしてもなんで
\−  ”人種は遺伝的に
    意味が無いという”
    正当化だけが一人歩きして
    いるんですかね?
 
 
  (‥ )見当はずれの指摘だけど
      事実であることが
      その理由のひとつだろう
      そしてもうひとつは
 
 非常に失礼な言い方をすれば、この正当化が阿呆向けだからだろ。
 
 ∧∧
( ‥)もう少し穏便に
 
  (‥ )安易に分かりやすい
 
 人間は遺伝子に神秘性を感じている。実際、遺伝子が人を規定するのは事実である。それゆえ、遺伝子的に人種は存在しない、という指摘は論理主義者にとって神託も同じ。
 
 それに彼らはひれ伏す。
 
 というかそんな程度のことでひれ伏してしまう人間が人種差別をしているのだとも言えるし、人種は遺伝的に存在しないと言っている人間も、神託にひれ伏しているのだから、その根っこは人種差別主義者と変わらない、ということでもある。
 
 つまるところ、人種なんて遺伝的には意味なんかない、とドヤ顔をしている人間も、裏を返せば平気で人間を優生学的に選別、抹殺するということでもあろう。遺伝的根拠を神託のごとく扱うとはそういうことだ。
 
 
 ∧∧
( ‥)なればどうする?
 
  (‥ )滅すべし!
 
  
 
      

2016年5月29日日曜日

太陽演算機械は太陽になるか、否か?

 
 コップ一杯の水をシミュレーションするには、コップ一杯の水が持つよりも多くのエネルギーが必要となるだろう。
 
 この理屈に従えば、宇宙をシミュレーションするには宇宙全体が持つよりも大きなエネルギーが必要となる。
 
 ゆえに宇宙をシミュレーションすることは原理的に不可能。
 
 つまりこの話の続き=>hilihiliのhilihili: シミュレーションされた宇宙はありえない
 
 
 ∧∧
(‥ )この論にあらがあるとしたら
\−  その理屈でいうと
    太陽をシミュレーションすると
    そのコンピューターは
    太陽以上の熱を発することに
    なるけども
    それは果たして正しいのか?
    という問いかけですかね
 
 
  (‥ )むう確かにな
     原子のベクトル
     それは向きと速度
     速度が増大すると
     熱が大きくなる
     では熱の大きなものを
     シミュレーションすると
     それ以上の熱が発するのか?
     発しないよね???
     という問題であるな

 
 
 毎秒あたり、その原子がA点からB点まで移動する。エネルギーが大きいとはA点からB点を越えて、さらにC点まで移動することを示す。
 
 ∧∧
(‥ )演算だと距離の移動は
\−  単に数字の切り替えですよね
 
  (‥ )うーむしかしこれは
      ちょっと難儀な問題
      でもあるよな?
 
 ごく単純に、真空中を原子アがA点からスタートしてC点まで移動したとする。
 
 ∧∧
( ‥)この時、現実の宇宙では
   原子アは
   A点からC点まで直進するだけで
   他は何も起こらない
 
  (‥ )一方
      シミュレーションでは
      A点からC点まで移動した
      そこまでは同じだが
      原子アが持つ
      運動エネルギー自体は
      シミュレーション内部には
      存在しない

 
 つまり、この時点では、現実の宇宙の方がシミュレーションされた宇宙よりもエネルギーが大きいことになる。
 
 少なくとも移動して運動エネルギーを持っている”原子ア”についてはそうだ。
 
 ∧∧
( ‥)? すると
   宇宙をシミュレーションする
   機械を動かすには
   宇宙が持つよりも小さな
   エネルギーで十分だ
   ということですかね?
 
  (‥ )原子アについて
      考えるとそういうことに
      なるね
 
 だけども次に原子アがC点で原子イとぶつかったことを考える。
 
 ∧∧
(‥ )向きや速度は変わるけども
\−  エネルギーの総量は
    現実の宇宙では
    変化しないよね
 
  (‥ )でもさ
      シミュレーションだと
      この時に演算するから
      その分
      エネルギーが必要になる
 
 するとつまりこうならないか?
 
 宇宙をシミュレーションしている機械は、その動作の最初において、宇宙そのものよりはエネルギーが少なくてすむ。あるいはそうでありうる。
 
 だがしかし、何か新たな現象、それはこの場合、単純に原子や素粒子同士の衝突を想定しているけども、それが生じるたびに、シミュレーションは新たにエネルギーを要求し、そして熱を発散するのだと。
 
 ∧∧
( ‥)これようするにあれだよね
    宇宙をシミュレーションする
    機械が要求するエネルギーは
    最初のうちこそ
    現実の宇宙よりも小さいが
    演算が進むたびに
    エネルギーをどんどん要求する
    そういうことだよね?
 
  (‥ )どこまで
      要求するのだろうな?
 
 それはついに宇宙全体のエネルギーを越えてしまうであろうか?
 
 例えば次ぎのように問いかけることができる。
 
 太陽を完璧にシミュレーションする演算装置が演算の過程で必要とするエネルギーは、太陽自体が放つエネルギーを越えるか否か?
 
 ∧∧
(‥ )太陽が放つエネルギーは
\−  核融合である
    しかるに
    シミュレーション内部では
    核融合など起こっていない
 
  (‥ )だから最初
     演算装置が使っている
     エネルギーは
     太陽よりも小さいはずだ
     だけど原子が衝突する現象を
     計算するそのたびに
     新たにエネルギーを要求する
     それが累積すると
     どうなるんだろうな?
 
 
 太陽を素粒子に至るまでシミュレーションしたコンピューターがその演算を完了するには、太陽そのもののが放つエネルギーよりも大きなエネルギーを必要とするであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )これはちょっと
\−  手に負えない問題ですなあ
    どう計算したら
    良いのでしょうかね?
 
  (‥ )核融合で生じた光子が
      太陽の外に出るまで
      プラズマガスの中で
      吸収、放射を延々と
      繰り返して何十万年も
      かかってようやく
      表面に出てくるだろ?
      あの膨大な回数を
      再現する演算に
      必要なエネルギーが
      光子を生み出した核融合に
      匹敵するかどうか
      そこが目安になるかな?
 
 

シミュレーションされた宇宙はありえない

 
 時々、言われる。
 
 コンピューターで宇宙をシミュレーションして仮想の宇宙を作る
 
 その仮想の宇宙にいる人間も宇宙をシミュレーションするだろう 
 
 そしてその仮想の仮想の宇宙にいる人間も宇宙をシミュレーションするだろう
 
 するとオリジナルの宇宙がひとつあるだけで無数のシミュレーションされた宇宙が誕生することになる。
 
 つまり存在する宇宙のほとんどはシミュレーションされたもの
 
 だとすると我々の宇宙、これもシミュレーションされたものである可能性が高い
 
 という意見。これ意外と人気があるらしい。
 
 だがしかし...
 
 ∧∧
(‥ )宇宙をシミュレーションする
\−  なんてできないですよね?
 
  (‥ )まあ無理だよな
 
 
 無理だという根拠は幾らでもあるが、ふと思った。
 
 コップ一杯の水の振る舞いをシミュレーションした時、そのシミュレーションに必要なエネルギーはいかほどか?
 
 ∧∧
( ‥)コップ一杯の水を
    シミュレーションするのに
    必要なエネルギー量は
    コップ一杯の水が持つ
    エネルギーよりも大きいのでは
    ないだろうか?
 
  (‥ )コップ一杯の水が持つ
      エネルギーをどう
      考えるのかという問題も
      あるのだけども
      単純にコップ一杯の水と
      その水分子が持つ
      熱で考えてみようか
 
 この場合、比較が非常にしやすい。
 
 つまりこの問題は単純に次の問いに言い換えることができる。

 コップ一杯の水の分子が持つすべてのベクトルを計算し、その振る舞いを予測できるコンピューターが放つ熱はコップの水をどうするであろうか?
 
 ∧∧
( ‥)コップの水をあっさり
    蒸発させちゃうぐらいの熱が
    生じるんじゃね?
 
  (‥ )つまりさ
      シミュレーションは
      シミュレーションされる
      物体が持っているよりも
      はるかに大きな
      エネルギーを必要と
      するんじゃねえの?
 
 つまり、宇宙を正確にシミュレーションするには、宇宙全体よりも大きなエネルギーを投入しなければいけないのではないか?
 
 ∧∧
( ‥)だとすると
   宇宙のシミュレーションは
   ありえないであろう
 
  (‥ )まあそういうことだよな
 

 
 
 *ただし次へ続く=>hilihiliのhilihili: 太陽演算機械は太陽になるか、否か?
 

2016年5月28日土曜日

先がけ

 
 ∧∧
(‥ )取りあえず仕事は
\−  一件終わったんだよね
 
  (‥ )最後は…ちょっと
      ガタガタになって
      しまったけどな
      まあしょうがない
 
 参考文献も上げていないが、こればっかりはどうしようもない。
 
 ∧∧
( ‥)書くことが多すぎて
    参考文献のページが
    ないというのも
    さることながら
 
  (‥ )参考文献な
      どうしろっていうんだよ
      という本でな
 
 そりゃ片っ端から上げればすむ話ではあるが、こんなのどうしろと? という話でもあった。
 
 ∧∧
(‥ )分野が広すぎますよね
\−  地質学、全生物学、系統学
    分類学に集団遺伝学に統計学
 
  (‥ )もー知らん
 
 さて
 
 〆切に追われる中、数日前から警官がうろうろしてるなー、と思っていたらサミットだった。
 
 ∧∧
(‥ )サミットは終わって
\−  オバマ大統領が広島訪問ですか
 
  (‥ )快挙なんだろうけど
      これから日本とアメリカは
      確実に仲が悪くなるから
      印象的ではあるね
 
 ∧∧
(‥ )トランプさんもオバマさんも
\−  言うこと真逆に思えて
    やること同じだよね
 
  (‥ )どっちも
      アメリカ帝国を放棄し
      合衆国へ戻ろう
      ってことだからな
 
 そして遠交近攻。
 
 アメリカが帝国であることを止めて合衆国へ本気で戻るのなら、日本はアメリカ帝国の支配圏ではなくなる。

 つまり日本はかつてのようにアメリカ合衆国の敵対国家、ということになる。
 
 ∧∧
( ‥)となれば遠交近攻
    敵の敵は味方で
    アメリカは今以上に
    中国に接近するであろう
 
  ( ‥)日本は中国とアメリカを
    −/ 背後から脅かす
       ロシアやインド
       さらにはイランと
       結ぶのだろうな
 
 まあ色々と簡単ではない。ロシアとは領土問題があるし、ロシアの南進を中国も日本も望んでいないし、インドは中国以上に付き合うの難しくね? 時間感覚からしてあまりにも違いすぎるべ、という国でもある。

 それにそもそも日米の軍事力が違う以前に、日本はアメリカから武器を買っているわけで、今すぐ対決しましょうってことにはならないし、なりえない。全世界に展開しているアメリカ軍だって、そんな事態をすぐに望むとも思えないし。望んだところで、じゃあ今すぐ帰りますね、ばいばーい、なんて出来るわけもない。
 

 ∧∧
( ‥)でも20年なのか30年なのか
    100年なのか
    時間の問題でしょうね
 
  (‥ )これから仲が悪くなる
      矢先に
      アメリカ大統領が
      広島訪問って
      なんかこう皮肉だよな
 
 ああ、そういえば、日本人はね、神風を美化するけどね、アメリカ人に言わせれば、自爆攻撃なんて野蛮なことをする奴は人間じゃないんだから原爆を落としてもいいんだーと思ったんですよーとか、いけしゃあしゃあと抜かしているインテリがいたけども
 
 ∧∧
(‥ )そんなの嘘っぱちで
\−  もともと民間人の上に
    落とす気満々でしょ?
 
  (‥ )先住民皆殺しにして
     建国して
     奴隷で発展して
     奴隷を解放しても
     人種隔離政策して
     50年代に入っても
     黒人が白人と一緒に
     登校するとなれば
     反対運動が起きて
     人種を混ぜるな!
     混ぜるやつは共産主義者だ!
     とか言ってた連中の
     口先だけの言い訳を
     信じるなんて馬鹿ですよ

=>https://www.google.co.jp/search?q=little+rock+nine&biw=1039&bih=790&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0ahUKEwixx7WzofvMAhUF5qYKHSX4DOYQ_AUI…


 インテリというのは、自分は道徳的に優れている、神風特攻隊を美化する奴らと違って知性派の俺様は冷静なのだ、という自分自慢をしたいばかりに時としてトンデモな曲解をするから極めて危険だ。
 
 あるいは恥知らずの嘘つき。
 
 だが残念、世界は知性や理性では動かない。
 
 ∧∧
(‥ )世界は知性などではなく
\−  もっと即物的
    物理的な要因で動くのである
 
  (‥ )とっなれば
      未来は確定的であるな
 
 直接民主制では民衆の意向があまりも強く反映される 
 
 そしてアメリカは島国で防衛がかなり楽である 
 
 それに対して現在のアメリカの勢力圏はあまりにも広大すぎる
 
 アメリカ国民は帝国の維持に悲鳴を上げている

 そして人は低きに流れ、安きを選ぶ
 
 なれば答えは必ず収束する。アメリカは帝国であることを止めて合衆国へと帰還する
 
 ゆえに、さあ、トランプ議員よ、救世主としてやってくるのだ。汝はすべての先がけぞ。
 
 ∧∧
( ‥)なんかさヒラリーさんが
    すでに無視されてるのなんで?
 
  (‥ )理由は知らん
      だがこの現実が未来を
      語っていると思わないかね
 
 
 なんかもう、みんなすでに見極めがついてるんじゃねえの? 
    
 
 

1000キロレース

 
 ∧∧
(‥ )スポーツをやる人間は
\−  しょせんは短時間勝負で
    すぐ休んでるくせに
    努力すれば成果が出ると
    勘違いして
    その誤った成功体験を
    スポーツよりもはるかに
    長時間の耐久レースである
    仕事に応用してしまい
    そうして人を殺すのである
    ...という意見があるね
 
  (‥ )言い得て妙だな
      では新たなスポーツ
      1000キロ耐久レースを
      考案し義務づけよう
 
 ∧∧
( ‥)1000キロでいいんですか?
    短くね?
 
  (‥ )レース中の食料と飲料は
      全部自分で運ぶのだ
 
 
 ∧∧
(‥ )一歩間違えれば死ぬな
\−
 
  (‥ )1日50キロ歩いても
      20日間続行
      体力もさることながら
      補給と休養の計算
      これ重要ね
      1日1リットルの水で
      換算しても水だけで
      20キロは必要だし
      食料を入れたら
      40キロぐらい背負って
      行軍することになると
      思うけども
 
 少なくとも、兵站の重要さを念頭に入れる役には立とう。
 
 
 

即物的なことには霊感が降りてこない

 
 例えば曰く、

 日本人が賢いのは、ひらがな、カタカナ、漢字、訓読み、音読みを使うからだ!

 
 ∧∧
(‥ )こういうことを言う外国人は
\−  実際にいるし
    これを真に受ける日本人も
    いるし
    日本スゲーで
    今でも引用される
    事柄でもあるよね
 
  (‥ )しかしこれ自体は
     日本が高度経済成長して
     向かうところ敵なしで
     破竹の進撃をしている時にも
     言われたことなんだよな

 
 30年あまり前、そう言われた当時、思ったものだ。
 
 ああ、世の中、馬鹿が多いんだよな、そんなわけないじゃん。
 
 そして日本はバブルが崩壊し、そして今の現状である。
 
 ∧∧
( ‥)日本の躍進は単に
    人件費が安かっただけである
 
  (‥ )もちろんそれ以外にも
     理由はあるな
     人件費が安くても
     工業化が進んでいなかったり
     その基礎がなってないと
     先進国にはなれん
 
 とはいえ、以上の日本スゲー論がたわ言であることは確かだろう。まあ実際に特異な表記方法ではあるのだ。表意文字と表音文字がごちゃまぜになっていて、日本本来の読みと中国由来の読みが並立しているという言語は、確かにちょっと珍しい。
 
 *そういえば昔、日本の漫画に興味のあるイタリア人に日本語の表記を説明したら驚かれたことはある。表意文字があり、表音文字があり、表音文字にも2種類あり、漢字には読みが複数あり、そして漢字を表音文字として使うこともできる。だから例えば、よろしく、でも良いし、ヨロシク、でも良いし、夜露死苦、でも良いのだ、夜露死苦はイレギュラーな使い方でマフィアの子分が使うものだが、読みと意味は分かる、と説明したら、相手は目を丸くしていた。確かに表音アルファベットだけを用いる文化では考えられないことではある。だからこそ、日本語のこのような表記に驚いて、なにかしら霊感を受けてしまう人間がいること、これ自体はもっともなことではあろう。
 
 ∧∧
(‥ )珍しい表記であること
\−  これ自体は事実なんだよね
    かつては
    古代メソポタミアのように
    表意文字と
    表意文字を表音文字として
    使って送り仮名をつける
    という表記も
    あったのだけど
   *日本語で言うと漢字で漢字の
    送り仮名をつけるやりかた
    これは日本でも一時あった
    表記方法
 
  (‥ )だけどアケメネス朝
      ペルシャ帝国が
      成立した時には
      楔形文字を用いた
      表音文字だけに
      置き換わっちゃった
      みたいだよね
 
 かつてメソポタミアにあった日本語のような表記は既に失われた。だから日本語の表記が特異であることは事実。しかし特異だから優秀だってことはない。
 
 そして日本語の表記が特異だから日本はすごい、というのは霊感によるたわ言。
 
 なれば、このことを踏まえれば、逆にこうも言える。
 
 これだからアメリカは優秀である。
 
 これだから中国は優秀である。
 
 あるいは反対にこれだから日本は駄目である。
 
 これら全部もまた、ただの勘違いで、霊感に打たれて思いついた、たわ言でしかないのだと。
 
 ∧∧
( ‥)世界を支配するのは
    人件費とか
    そういう即物的で
    つまらない事柄なのである
 
  (‥ )人間おかしなもんで
      そういうものには
      霊感が働かないのな
 
 どういうわけか、人間は即物的なことではなく、どうでもいいことに霊感を刺激されるらしい。なぜなのかは分からないが、どうもとにかくそのようである。
      
  

2016年5月27日金曜日

最強の政治家と駄目なお母さん

 
 僕の考えた最強の政治家ならここで90点取れるのに、こいつは60点しか取れない! 馬鹿だ馬鹿だ!
 
 ∧∧
(‥ )...というような怒り方を
\−  する人って多いですよねえ
 
  (‥ )インテリって
      駄目なお母さんぽいよな
 
 
 
 
 

5人1組子さん

 
 
 ∧∧
( ‥)なに?
 
   (‥ )思いついたのだ
 
 女の子、5人の体にひとつの意識、ひとつの記憶、ひとつの遺伝子。
 
 
   (‥ )どうだね?
       これならハーレムが
       無理なく成立するぞ
 
 ∧∧
( ‥)...5人分の食費を
    男性一人が支えるのか?
    死ぬんじゃね?
 
 というわけで、5人1組子さんには役割分担をしてもらいます。
 
 労働担当
 頭脳担当
 
 という感じで
 
 ∧∧
(‥ )二人しか
\−  いねーじゃねーか
 
  (‥ )労働・運搬・家事
      偵察・頭脳って感じの
      割り振りで
 
 ∧∧
( ‥)何人かは人型じゃ
    ないよね?

 
 多分、そう。
 
 
      

インチキ癌医療に人間は対抗手段を持たない


 
 薬物療法など無意味です。切る必要もありません。こうすればガンは治ります。
 
 そうやって患者から金を巻き上げるインチキ癌医療。
 
 ∧∧
(‥ )騙されて死ぬ奴が悪いのだ
\−  馬鹿が死ねば
    馬鹿が淘汰される
    賢い奴だけが残る
    そう述べる人もいるよね
 
  (‥ )まあ淘汰はされるけど
      実際には
      何も起きないけどな
 
 若い時分にガンが発生することもあるが、普通、ガンは年齢の経過と共に確率的に生じ、その可能性は増大していく。
 
 つまり、大まかに言えばガンが発生した時にはすでに子育てが終わっている。おおむね。
 
 ∧∧
( ‥)そもそも多細胞生物には
    必然的にガンが発生する
    それが淘汰の結果
    ガンの発生を極力抑え
    子孫を残せるだけの
    時間をかせぐことに
    成功している
 
  (‥ )逆に言うと
      子育てが終わった後の
      個体の運命なんて
      どうでもいいんだよな
      少なくとも進化の網には
      ひっかからない
 
 進化にとっても、子孫を残すことに成功した生殖細胞にとっても、個体が老人となりガンになることはもはやどうでもいい。それは遅かれ早かれくる群体の必然の崩壊が来た、というだけの話。

 個体がガンによる死を回避し、寿命を5年伸ばそうが10年伸ばそうが、あるいはしなかろうがもはやどうでもいい。
 
 だとすれば、インチキ医療でどれだけの老人が犠牲になろうが、やはり進化は感知しない。
 
 ∧∧
(‥ )騙された人が死んで
\−  騙されなかった人が
    生き残っても
    何も起きないのである
 
  (‥ )そしてこれはつまり
      インチキ癌医療に対し
      人間はまったく
      対抗できないって
      ことだよね
      最低限
      人間がこのことに関し
      インチキと妥当解を
      識別する能力を持つことは
      ありえない
 
 ∧∧
( ‥)おーつまり
    人間はインチキ癌医療に
    対抗することはできず
    搾取されるだけですか
 
  (‥ )まあそういうことだよね
 
 

 異なる時間尺度を持つもの、つまり進化と社会情勢を関連させて語るのはまったく無意味なことだろうけども、少なくとも、理屈の上ではそういうことになるであろう?
 
  

2016年5月26日木曜日

乱数の悪魔

 
 偶数は右、奇数は左。そうして0は直進として乱数表を元にグラフを描く。

















 ∧∧
(‥ )まるで方向性があるかのごとく
\−  左へずれていきました
 
  (‥ )これ例えば
      体を明るくする遺伝子が右
      暗くする遺伝子の頻度が
      左でも成り立つ話だよね
      サイコロの目でも
      成り立つ話でもある
 
 ∧∧
( ‥)つまり乱数のようなまったく
    でたらめな変化でも
    一見するとあたかも
    方向性を持っているように
    見えるのである
 
  (‥ )まあ色々と示唆的では
      あるよな
 
 例えば人によって、これはギャンブルにおける”流れ”なのだと解釈するであろう。
 
 あるいは、これが乱数と聞くと、そうかある時点でまた右へ戻り始めるのだろうな、そうも思うだろう。そこには乱数は50/50だから、偏りはいずれならされるに違いない、という思い込みがないか?
 
 ∧∧
(‥ )そうやって人は
\−  破滅するんでしょうな
 
  (‥ )進化理論に大きな転換を
      与えた! と
      一部の人が思い込んでる
      グールドの断続平衡説も
      この問題を抱えているの
      だよなあ
 
 実際、特に以上の乱数では、初期にほとんど直進していたグラフが、いきなり左にずれはじめる。これは平衡状態からいきなりある方向性を持った動きを示しているように見えるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でもこれはただの乱数だぞと
 
  (‥ )おっかねえよな
      いきなり方向を
      左に変え始めて
      あれよあれよと
      方眼紙の外へいって
      しまうのだからな
      俺もびびったよ
 
 これを見るとギャンブラーが流れとやらに身を任せて破滅するのも分かるし、ありもしない方向性に意味を見いだして。理論を考えてしまった人たちの気持ちも分かる。
      
 かようにこの世界には恐ろしいものが潜んでおる。
 
 

無味無臭な日

 
  ( ‥)googleってさ
    −/ 今日は何の日?
      今日はこの有名人の日ー!
      って人畜無害な人を
      取り上げては
      ロゴに使うよな
 ∧∧
( ‥)...お前、怒られるぞ
 
 
 だがそうでなければ多分、いけないのだ。英雄は誰かしら殺している。英雄を国際企業が取り上げるとは、それは殺し殺されたどちらかの立場に立つということに他ならぬ。

 ∧∧
( ‥)そんなことできなーい
 
  (‥ )限りなく無味無臭が
      望ましいのだ
 
 そんな人間などいるわけがないが、外見上ならばそれに限りなく近づけることは可能だし、そういう人間を探すこともできよう。
 
 ∧∧
( ‥)でもつまらない?
 
  (‥ )というかね
      脳がね今ね
      駄目になりかかっててね
      無味無臭は駄目なのだ
 
 このままでは、俺の機能が消える。
 
 
 ∧∧
( ‥)そして頭がぱーに
 
  (‥ )ぱー!!
 
 
 

2016年5月25日水曜日

進め! 強行軍!

 
 ∧∧
( ‥)強行軍だ! 強行軍だ!
 
   ( ‥)かゆ うま
 
 
 
 ∧∧
(‥ )そこからスタートかよ
\−
 
  (‥ )末期! 末期!
 
 
 
 なんだか良くわからなかった〆切がいきなり眼前にワープアウトしてきた感じで
 
 
 

2016年5月24日火曜日

パッチワークの世界

 
 キリスト暦1403年、スペイン王からティムールに派遣された使節の見聞録、それが「チムール帝国紀行」。
 
 ∧∧
(‥ )この紀行文
\−  黒海南岸に当時あった
    トレビゾンド帝国の首都から
    現在のトルコ東部を抜けて
    イランに入るわけだけど
 
  (‥ )アルメニア人が
      いっぱいいるんだよね
 
 現在の国家、アルメニアはもっと東、トルコ共和国の東にあるが、現在のトルコ国内にも大勢のアルメニア人がいたのだ。

 皇帝や独裁者が中心となった多民族国家はかつては幾つもあった。しかし、そうした帝国は西欧民主主義が影響力を強めた19世紀後半になると、ナショナリズムの高まりと民族紛争で内乱や瓦解を始める。ハプスブルク帝国しかり、オスマントルコ帝国しかり。
 
 ∧∧
(‥ )この時、トルコ国内で
\−  アルメニア人と内戦
    さらに虐殺が起こったと
    言われているよね
 
  (‥ )それより500年前
      チムール帝国紀行の
      1403年当時
      とても複雑な状況が
      書かれているんだよな
 
 アルメニア人の町で、長官もアルメニア人。あるいはアルメニア人の町だけど統治するのはイスラム教徒の長官。あるいはアルメニア人の村とイスラム教徒の村が隣り合っていたり、はたまた、アルメニア人の中になんとローマカトリックを信仰する集団があったり、はたまたイスラム聖者が集まった変人だらけの村があったりと、なんとも複雑、てんでばらんばらんである。
 
 ∧∧
( ‥)そもそもトレビゾンド帝国
    からして
    キリスト教徒だけど
    イスラム教徒の
    ティムールに服属しているし
 
  (‥ )アルメニア人キリスト教徒と
      イスラム教徒との仲も
      なんともいえないものだ
 
 ティムールはキリスト教徒に対して不信感を持っていた。なぜならオスマントルコと戦う時、共同戦線を申し出てきたローマ帝国(ビザンチン帝国)が、約束を果たさなかったからだ。そう作者であるクラヴィホは述べている。
 
 ゆえにティムールはキリスト教の寺院を破壊することもしている。
 
 あるいは、イスラム教徒に先住のアルメニア人の多くが追い払われた町もあったという。
 
 ∧∧
(‥ )でもトレビゾンド帝国は
\−  キリスト教徒のまま
    ティムールに服属しているし
    ティムールさんも金を奪ったり
    教会を壊しただけで
    大虐殺しているわけでも
    ないですよね
    スペインの使節だって
    スペイン王を
    我が弟呼ばわりだけど
    丁寧に迎えてくれるし
 
  (‥ )イスラム世界では
      イスラム教徒が一級市民で
      異教徒はいわば
      保護下にある
      二級市民なんだよな
 
 だから、彼らの”共存”を過大に評価してはいけないだろう。

 これが共存共栄の多文化共生、見目麗しい平和の世界だと言うのなら、アメリカに人種差別など無いことになるだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)でもだからといって
    民族浄化があったわけでも
    ないのである
 
  (‥ )状況が悪化していくのは
      国家が民主主義化した
      後なんだよな
 
 考えてみれば分かるように思う。
 
 同じ日本人でも違う村同士では仲が悪いことがある。
 
 だが違う村であればやっていけるだろう。
 
 イスラム教徒優勢とはいえ、アルメニア人なり、あるいはキリスト教徒なり、それぞればらばらに村で暮らしていればなんてことはないだろう。
 
 実際、多くの人は村から一生でないで終わるのかもしれないし、いくにしても親戚の村へいく程度かもしれない。
 
 独裁者の意志だって、そんな大層なものじゃない。独裁者は金が欲しいだけだ。それは遊ぶ金かもしれないし、外交という接待費かもしれないし、維持費かもしれないし、建設費かもしれないし、軍隊を運営する費用かもしれない。
 
 ティムールだって教会を救いたかったら金払えと言って、金を奪ってから教会を破壊したりするのである(しかしだからといって殺しているわけでもない)。
 
 ∧∧
( ‥)軍隊や国家の接待交際費を
    かせぐのは大変ですからな
    金さえもらって
    気に入らない連中の
    教会を破壊してすますのは
    暴虐と言えば暴虐だけど
    暴虐だというだけの
    話ですなあ
 
  (‥ )ところがさ民主主義は
      選挙という
      もっとひどいことを
      始めるんだよ
 
 今まで様々な条件、状況、立場だけどもお互いにそれほど関わりを持たず、閉じた世界でそれぞれやってきた人たちが、いきなり選挙結果という定義を、しかも上から一律に押し付けられたらどうなるか?
 
 それは言って見れば、その地域の投票で決定されたご飯と味付けを全家庭に強制するようなものではないのか?
 
 そりゃ、戦争起こるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )各家庭それぞれに
\−  匂いがあるように
    各家庭それぞれに
    実は異なる文化が
    ありますからなあ
    嫁姑戦争もそういうものだし
 
  (‥ )それを考えると
      中東のような世界で
      民主主義なんてやったら
      殺し合いが始まるの
      当たり前だよね
 
 そもそも民主主義は小さく均一で相互監視が激しい都市国家から始まったし、西欧諸国だって民主化の前の長い時間、何世紀もかけて国内の異教徒や異端を西欧内部で十字軍して片っ端から殺し続けた歴史がある。
 
 ∧∧
( ‥)悪く言うと西欧は
    民主化に必要な民族浄化を
    何世紀もかけて
    すませてきた歴史が
    あるのだと
 
  (‥ )それを考えると
      トルコは人権を軽視して
      いるというEUの批判を
      トルコが怒るのは
      当たり前かもね
 
 もちろん、EUの批判は少なくとも正しい。民族浄化はしてはならぬであろう。
 
 だが、トルコの言い分も正しかろう。少なくとも何世紀も民族浄化し続けて民主主義の下地を作ってきた西欧にいけしゃあしゃあと言われたくはあるまい。
 
 ∧∧
(‥ )でもこういう問題も
\−   終わっていくのでしょうね
 
  (‥ )民主主義は今
      終焉の道を
      歩み始めたからな
 
 
 民主主義終焉まで、何年かかるのか? それは知らないけども少なくとも言えることはある。独立した社会が点在するパッチワークの世界。そういう世界は民主主義を否定しない限り、いつまでたっても不安定であるし、いつまでもたっても不安定であるとしたら、独裁という安定解へ平衡するであろうと。
 
 ∧∧
( ‥)問題は誰が王者になり
    どういう独裁をするかですね
 
  (‥ )フセイン政権は
      相手の足が千切れるまで
      叩き続けるような拷問を
      したって話があるが
      そういう痛いことは
      止めて欲しいよね
 
 
 ティムールはどうであったのか? 過去の王者たちはどうしたであろうや?
 
 

2016年5月23日月曜日

大魔法モーゼ召喚

 
 氷河は白いので当然反射率が高い。氷河が拡大すると太陽光線を反射するので気候が冷える。
 
 気候が冷えると氷河が拡大するのでますます気候が冷える。
 
 すると氷河が…
 
 ∧∧
(‥ )条件次第では
\−  この負のフィードバックが
    止まらなくなって
    惑星は凍結してしまう
    これが全球凍結
 
  (‥ )最初これが指摘された時
      一回凍結した惑星は
      二度と解凍されないから
      地球が全球凍結したことは
      ないと考えられて
      いたんだよな
 
 実際には、地球には持続的な火山活動がある。火山から放出される二酸化炭素は、土壌や岩石、液体の水などと触れると究極的には固定されて石灰になって大気から取り除かれる。

 しかし、全球凍結して大地が氷河に覆われ、液体の水が存在しなくなるとこの過程が止まる。
 
 ∧∧
( ‥)最終的には大気中に
    蓄積した二酸化炭素の
    温室効果で全球凍結が
    解除される
 
  (‥ )これに気づいた時に
      全球凍結は受け入れられる
      仮説になったわけだが

 
 さて、ナルニア国物語みたいに100年も冬が続いたら、氷河の拡大と負のフィードバックが暴走して、ナルニアの惑星は全球凍結しそうだ。

 そして、いざそうなれば二酸化炭素の蓄積で凍結が解除されるまで、何十万、100万年とかかりそうである。当然、ナルニアの世界ではバクテリア以外、ほぼすべての生物が全滅するだろう。
 
 これを阻止できる人は、一体どこにいるだろう?
 
 考えてみれば、古今東西、世界中のフィクション、ノンフィクションのキャラクターを総動員しても、全球凍結を阻止できるキャラって誰も思いつかん。
 
 ∧∧
(‥ )そもそも比較的現実的な手段で
\−  気候を温暖化させた
    キャラ自体がいませんよね
    宮沢賢治のグスコーブドリは
    例外的なものでしょうねえ
 
  (‥ )幼い時に襲った冷害で
      生活が壊れて家族離散
      妹と生き別れ
      そこから這い上がって
      技術者になって
      再び冷害が来た時
      活火山を噴火させて
      その二酸化炭素と
      温室効果でわずかだけ
      温暖化を引き起こして
      冷害を阻止するのだよな
      実に希有な
      キャラ設定だよね
 
 ただ、そのために彼は死んでしまう。噴火しうる火山を人為的に噴火させる。これを引き起こす最後の過程で、どうしても誰か一人、残る必要があったためだ。言って見れば冷害に狂わされた自分の人生とトラウマに、決着をつけようとするかのような自爆であった。
 
 だが、噴火寸前の活火山を噴火させる、というのはまだしも、人間の力で、火山を0から噴火させることなど出来ないだろう。
 
 ∧∧
( ‥)白い女王による
    全球凍結の危機を防げる
    キャラクターって
    いますかね?
 
  (‥ )んんんんんー…
      旧約聖書のモーゼとか?
 
 ∧∧
( ‥)モーゼになにを
    やらすんじゃい?
 
  (‥ )海を割って深海底を
      露出させてもらいます
 
 深海底にはメタンハイドレートがある。低温高圧の条件だとガスは水と複合体とでもいうか構造物を作って固体化する。メタンハイドレートはメタンガスが固体化したもので見た目は氷かドライアイスだ。深海の圧力では安定だが、海を割って減圧すれば気化を開始する。
 
 メタンガスは非常に強い温室効果を持つし、酸素と反応して消えてしまうが、その産物は二酸化炭素だ。つまりどう転んでも温室効果が出るから御の字のはず。
 
 モーゼこそ、全休凍結を阻止できる男!
 
 ∧∧
(‥ )とっ言いたいけれど
\−  問題はあれだね
    海を割るのはモーゼさんの
    力じゃないってことだよね
 
  (‥ )あれはあくまでも
      神ヤハウェ(仮称)の
      力だからなあ
 
 グスコーブドリによってナルニアに召還されたモーゼーは怒り狂う。
 
 阿呆か馬鹿か。あれは俺の力じゃなくて神の力なの! おまけにここどこよ? 神がいないじゃん。お願いもできないし、海なんて割れねえし、メタンハイドレートも気化できねーよ!
 
 お前らの神は全知全能偏在ユビキタスなんだろう!
 
 俺たちの神話体系は天動説なんだよ! こんな地球外の天体なんか存在と創造の範疇外だ!
 
 ∧∧
( ‥)てな具合になりそうですな
 
  ( ‥)やっぱ眠り姫の魔女に
    −/ 眠らせてもらって
       全球凍結解除まで
       眠るが唯一の策なのかな

 
 これはhilihiliのhilihili: ブドリの冬の続き
 


 

2016年5月22日日曜日

ブドリの冬

 
 100年の冬に凍えるナルニア。春を奪った元凶、白い女王の宮殿の防御を打ち破り、ついに攻め込んだ人々が見たのは、氷河の暴走的な拡大を必死で食い止めようとする白い女王の姿だった。
 
 最初の10年でもう魔法は解いていた。
 
 疲れ果てた白い女王の口から語られる意外な言葉に皆が戸惑う。
 
 だがすでに手遅れだった。

 降雪が氷河になり、氷河が太陽光線を反射すると気候は冷え、それが氷河の拡大をまねき、それがさらに気候を冷やして氷河の拡大を招く。氷河のアルベドによる負のフィードバックはすでに暴走状態に陥り、ナルニアはおろか、この惑星が全球凍結し、赤道まで凍りついて生物が全滅するのはもはや時間の問題。

 ここで思いついた者がいた。かつていたではないか。冷害を阻止するために自らの命と引き換えに火山を噴火させた男が!

 困り果てたナルニアの人々が召還したのは宮沢賢治作、「グスコーブドリの伝記」。その主人公たるグスコーブドリその人であった。
 
 えっ? 阿呆か馬鹿かお前ら。俺だって噴火寸前の活火山を自爆で噴火させ、二酸化炭素の温室効果による温暖化をわずかだけ促進、冷害を防いだだけだ。0から火山噴火で全球凍結を止めるなんて、俺でも核自爆でも出来るわけねえだろアホンダラ!
 
 白い女王の顔面にグーパンチを叩き込みつつ、グスコーブドリは考える。しかしどうする? 自爆で死んだと思ったら、今度は凍結死かよ。考えろ、考えろ俺!
 
 どうする、どうなるグスコーブドリ
 
 ∧∧
(‥ )どうします?
\−  隕石衝突をもってしても
    火山噴火の誘発なんか
    不可能だよね?
 
  (‥ )白亜紀末の天体衝突で
      すでに噴火していた
      インドのデカントラップと
      その噴火が活性化された
      という論文があったけど
      あれだって
      あらかじめ栓の開いた
      コカコーラが隕石衝突で
      揺れたら
      いつもよりも泡立って
      吹き出す量が増えました
      ぐらいな話だからな
 
 0から噴火を起こして、大気中に放出される二酸化炭素とその温室効果によって全球凍結を阻止せよ、というのは無理だろう。
 
 ∧∧
( ‥)どうしましょうかね?
 
   (‥ )もう回避不可能だから
       全球凍結で行き場を
       失って
       大気に蓄積するCO2と
       それによる
       暴走温室状態が発動する
       数十万年後を待って
       冷凍睡眠するしか
       ないんじゃねーの?
 
 かくて、眠り姫の魔女が召還される。
 
 阿呆か馬鹿か? 惑星全部の生きものをあたい一人の魔法で何十万年も眠らせられるわけねーだろ! 
 
 やれ、さもなくば死ね。というか死ぬ。どっちか選べ。
 
 
 グスコーブドリと魔女が罵り合いをしながら駈けていく。
 
 
 
 
 

2016年5月21日土曜日

ならば理性主義者の諸君はその欲望に従い公開オナP-を

 
 人間というものは無駄自慢をする動物だ。
 
 ∧∧
(‥ )セックスすることまで我慢して
\−  自分の立場と地位を
    誇ったりするよね
    すごいよね
 
 
  (‥ )世界中どこでも
      坊主は禁欲だし
      坊主がいない社会でも
      神事の際には
      女を断つからな
 
 
 生物界も人間と同様、無駄自慢だらけである。だけどもセックスとか繁殖を断ってしまうことが社会的な地位を誇示することになる生物というのは聞いたことがない。
 
 ∧∧
(‥ )まあ反対に王様は
\−  富を誇示するようにハーレムを
    つくるんだけどね
 
  (‥ )でもあれも無駄自慢だよな
 
 美女、美少女、あるいは美少年まで集めてハーレムを満たす。男のロマン!と言いたいが、実際にはこれ、私はこれだけの女性(美少年を含む)を養うだけの富がありますよ、という無駄自慢でもあろう。
 
 ∧∧
( ‥)少なくともあれだよね
    おっさんが数十人
    あるいは100人も
    女性を抱えている状況は
    明らかに
    無駄自慢でしょうね
 
  (‥ )政略結婚で妻が5人いるよ
      とかいうのは真面目な
      ハーレムだろうし
      美女を10人集めただと
      色ぼけかな? で
      100人とかになると
      ああ上様はすごいなあ
      そんな余裕があるのか…
      になる感じかな
 
 そしてこれとまったく逆方向への無駄自慢が、清貧と肉欲断ちをした隠者や僧侶であって、それは時として、王者をも越える社会的地位を持つのである。
 
 ∧∧
(‥ )人間というのは…かっ飛びな
\−  動物ですなあ
 
  (‥ )もしかしたら
      年中発情しているから
      交尾の否定に意味が
      あるのかもしれないけど
      いずれにせよ
      セックスを否定することで
      地位を誇示する生物は
      聞いたこと無いし
      かなり異様な動物だよね
 
 だがここから明白なことがある。
 
 否応無くわき上がる欲望と快楽を、そして楽しむことを否定する。これは社会的地位を誇示しているだけにすぎないのであると。
 
 つまるところ、燃え上がる案件の周囲で囲む暴徒たちを、お前ら悪魔だー! と理性主義者が叫ぶ時、それを言っている汝自身が悪魔のごとき自己顕示欲で身をこがしているのだと。
 
 ∧∧
(‥ )お前ら悪魔だー! 
\−  とか
    理性を失った獣めー!
    とか
    糾弾するのは
    本人にそのつもりがなくとも
    結局のところ
    悪魔にならない俺すごい!
    理性を失わない俺すごい!
    俺様をみてみて、見てー!
    でしかないのである
 
  (‥ )実際
      悪魔だー!とか
      理性がー! とか言っても
      問題解決していないしな
      炎上する案件を前に
      放火魔共め!
      だが俺様を見よ!と
      言ってるだけで
      消火活動している
      わけでもない
      むしろ炎上を
      自己顕示に利用してるがな
      
 炎上すら自己顕示に利用する。理性を重んじる連中とは、なんと浅ましく欲深き獣であることか?
 
 そんなに炎上を止めたければ、自らを炎上させるが良い。例えばみんなの前でチンコ握りしめて、公開オナニーだ!
 
 ∧∧
( ‥)...最悪です
 
   (‥ )でも悪魔がー! とか
       理性がー! とか
       わめいているよりは
       ましだよ?
 
 まあ、残念ながら、そこまでしてもあまり効果ないんだけど。

 とはいえ、悪魔が、とか理性がとかわめいているよりは、有言実行であること確実。
 
 さあ、理性主義者の諸君。自らを捧げ、焼き焦がすのだ。虎に我が身を与えた仏の故事のごとく、これこそが自己犠牲最大のステータスとなろう。口先だけでなく、有言実行してみせるがよろし。
 
 これはhilihiliのhilihili: 楽しむことは悪だという思想の持ち主なのですね?の続き
 
 
 
 それにしても、禁欲はこれほど世界的なステータスなのに、では、なにゆえにキュベレー教徒の、”自分のチンコを切り落とし、去勢する”、はあまり良いものと見なされなかったのであろうか?
 
  ( ‥)自分を去勢する...
    −/ 最大の無駄自慢なのに
       なにゆえ?
 
 ∧∧
( ‥)痛そうだからじゃね?
 
 

生きる価値など所詮は幻

 
 ∧∧
(‥ )人の価値は需要と供給で
\−  決定されるわけだよね
 
   (‥ )ただの経済ですね
 
 だが人はこれだけに満足する動物ではなかった。多分、社会性動物なので、どうしても順位が気になるのだろう。鶏が互いにつつき合って順位を決めるように、人は自分の社会的な価値をどうして作りたい。そういう欲望を持っている。
 
 ∧∧
( ‥)だがそれは
    経済的な裏付けもない
    単なる認識の亡霊である
 
  (‥ )人間には価値があるんだ
      生きる価値があるんだとか
      そういうことを
      言った時点で
      嘘つきの始まりですよ
 
 
 あるいはこう言えば良い。それを言った瞬間、現実の世界から虚構の世界に旅だってしまったのだと。
 
 
 
 
 

一人ひとり順繰りに

 
 
 ∧∧
(‥ )我がオリエント急行で
    殺っつ人事件ー!
 
  (‥ )ポアロでーす
 
 ∧∧
(‥ )おおー死体に12…ではなく
    13の刺し傷が???
 
  (‥ )おほほほほっ
      何? ひとつ多いってか?
 
 ∧∧
( ‥)….
 
  (‥ )なんですかこの皆の視線?
      俺様注目の的ですか?
 
 
 一人ひとり順繰りに。
 
 
 
      
      

2016年5月20日金曜日

マジカル殲滅ゴルゴンゾーラ〜♪

 
       
  ( ‥)☆ マジカル殲滅
    −/  ゴルゴンゾーラ〜♪
 
 ∧∧
( ‥)まあ怪獣的ではあるね
 
 
 巨大なイソギンチャクにライオンの足がついた大魔獣ゴルゴンゾーラを召還し、辺り一帯を殲滅する大魔法。
 
 
 
 リリカル・マジカル殲滅 ♪ ゴルゴンゾ〜ラ〜〜 ♪
 
 
 ∧∧
(‥ )ああっ敵の皆さんが
    容赦なく頭から丸呑みに…
 
  (‥ )あくまでもにこやかに!
      あくまでもにこやかに!
 
 
 
 

前向きに生きるとは許されざる大罪なり

 
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  (‥ )生きることが
      不自然である以上
      前向きに生きるなんて
      もはや犯罪でしょ
 
 
 実際ほら、前向きに生きてる人間は、
 
 人生はこんなに素晴らしい
 
 世界はこんなに素晴らしい
 
 命はこれほど価値あるものだ
 
 とか、嘘ばかりつきよる。
 
 
  (‥ )ほら犯罪ですよ犯罪
 
 ∧∧
(‥ )まあガンになったら途端に
\−  精神に価値があるとか
    精神を認めない唯物的な
    科学は間違いだとか
    世界を弱肉強食でしか
    見ない進化論は
    間違いだとか
    平気で言い出すからね
 
 なればやるべきことは明白である。

 前向きに生きる人間とその思想、ことごとく滅すべし。
 
 
 ∧∧
( ‥)あなたは死ぬ間際
    なんていいます?
 
  (‥ )うん?
      我が人生に一片の悔い無し
      とか
      たわ言ほざけば
      いいんじゃね?
 
 ∧∧
(‥ )その台詞
\−  あのシチュエーションで
    ラオウさんが言うから
    様になるんだよね
 
  (‥ )俺たちが言っちゃ
      駄目なんすよ
 
 言ってもいいけど様にならん。
 
 なればやはり明白である。
 
 前向きに生きる人間。人生に価値ありとすがりつく言葉。そのすべてに一片の価値なく、そしてまったく様にならないのだと。
 
 
 
 
    

男の宇宙は宿業なり

 
 余談めいた話をすると。
 
 世界にはそれぞれ文化があり、その文化はそこのルールだ。だから嫌でもなんでもそのルールに従わないと人は動いてくれない。
 
 ∧∧
(‥ )たとえおかしなルールでも
\−  それに従わないといけないし
    そのルールはおかしいから
    変えましょうといっても
    反発されるだけである
 
  (‥ )おかしなルールを
      変えるにしても
      それには
      そのおかしなルールに
      従わなければいけないのだ
 
 つまりこの話、hilihiliのhilihili: 勇者は酒盛りを開始したの続きでもある。
 
  
 例えば世の中には自分から見ておかしなルールを
 
 こんなのおかしいよ!

 と叫ぶ人がいる。それ自体は当然なんだが、彼らは叫ぶだけ、口先だけでうまくいかない。それは反発するだけでルールを利用しないからだろう。
 
 *こういうと、そういう風に旧弊を擁護する人間がいるから変革できないのだ! といつも他人のせいにするのもこの連中の特徴だ。
 
 これは要するに、ルールを使わないとそのルール自体を変えることができない、ということでもある。
 
 つまるところアメリカがイラク統治に失敗したのも同じような理由であろう。
 
 あるいはルールを変えるには、社会を変えねばならぬ。それには何世代もかかる。短期的な試みでは、変えようという力に対して、本来の勢いがまさって、短期的な試みが終わればすぐ元に戻ってしまうだろう。
 
 もしやるなら何世代も同じことを続けねばならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)砂の惑星の神皇帝は
    それをやってしまう
    物語ですよね
 
  (‥ )3500年も暴政が続けば
      そりゃあ社会も変わるよな
 
 砂の惑星は作品時間内で5000年が過ぎ去っている。最初の主人公がいた世界は運輸を独占するギルドと諸惑星を統治する王家、そして抜きん出た軍事力を持つ帝室コリノ家、この三大勢力が均衡している状態だった。そしてこれはカーストによって凍結した世界でもある。

 移動はギルドに独占され、そのギルドは必要なスパイスの供給に制限され、それを管理する大軍事力を持つコリノ家の統治が続き、権力者はほとんど統制経済としか思えない状況を人々に強いている。

 最初の主人公ポウルは砂の民を率いることでコリノ家を打ち破る。こうしてポウルは、軍事に優れた民族でありながら圧政を強いられてきた砂の民に反抗の機会を与えることで、彼らの救世主となる。そしてコリノ家を破った以上、いまや彼こそが帝国最強の軍事集団だ。さらに砂の民の故地でありスパイスの供給源である砂漠を押さえた以上、ギルドも必然的に彼に屈服した。

 ギルドを意のままに操り、好きな時に好きなだけ、好きな場所に宇宙最強の軍隊を送り込める救世主。

 こんな恐ろしい宗教指導者が神としてこの世界に誕生した以上、その結果は明白である。あるいはこの世界の仕組み、それ自体が生きた聖者を生み出す恐ろしい可能性を秘めていたのだとも言えよう(メタ的に言えば、小説、砂の惑星は救世主ポウルを生み出すように設定された小説なのだ)。

 そして、政治と宗教が同じ車に乗り、それが生きた聖者によって動かされる時、何人もそれを阻むことはできない。

 聖戦が荒れ狂い、神たるポウルが開始したジハードによって数百億の人類が殺された。
 
 ∧∧
(‥ )でもポウルの息子である
\−  神皇帝はこれをも上回る
    暴政を行うのである
 
  (‥ )その目的はいわば
     砂の惑星という小説の設定を
     破壊することなのだな
 
 神皇帝はスパイスの供給を事実上、破壊してしまう。ギルドはその力が衰え、ほとんどの人類は生まれた惑星に孤立した。

 なんとかしてスパイス抜きで宇宙航行を出来るようになれないか?

 神皇帝の圧倒的な権力ですべての王家は事実上、消滅した。そして宇宙全体に渡る均一な圧政と強制的な平和。

 逃げたい。そしてもうこんな支配は嫌だ。
 
 3500年の暴政の果てに、ついに神皇帝が打倒された時、残された人類は宇宙飛行が制限されて孤立する一方で、新たな宇宙航行技術をついに完成させた。

 もう移動の自由をギルドに独占されることはない。
 
 しかも孤立した惑星はすべて一からそれぞれてんでバラバラに自立、発展した。これでは統一など不可能だ。それができないほど世界は多様になってしまった。

 こうして均一だった帝国は解体し、さらに皆が好き勝手に逃げ出した。3500年の暴政は全人類の記憶となった。もうあんな圧政は嫌だ。
 
 次々に人々は出て行き、そこで異なる集団がそれぞれ合流し、あるいは分岐し、あるいは融合して、さらに外へ外へ外へ…

 ∧∧
( ‥)こうして神皇帝打倒より
    さらに1500年後
    人類は均一などとは
    とうてい言えない
    異形の集団だらけとなり
    もはや唯一の支配に
    服することなく
    自由に宇宙を移動しそして争う
    混沌かつ多様な種族に
    なりましたとさ
 
  (‥ )まあ、言い換えればだ
      固定されて
      凍結してしまった社会から
      人類を解き放つ
      たったこれだけのことを
      するために神皇帝は
      3500年を生き抜いた
      わけなのよね
 
 正直言って、実にくだらない人生である。

 やらねばならぬことかもしれないが、人類を救うなどというくだらないことのために自分を犠牲にしたのみならず、3500年、配下も友人も次々に死んでいく中、たった一人で統治し、計画を遂行し、残るは自分を神と崇める信者のみ。

 これは狂気の沙汰だ。
 
 実際、神皇帝は自ら選んだこのくだらなさから逃れたいがために、見え透いた罠にはまり、そして打倒される。
 
 でっここまで踏まえて思う。
 
 ナウシカは砂の惑星のぱくりだと言う人がいる。
 
 もちろんそれは言い過ぎだろう。二つの作品に共通点などほとんど無い。
 
 とはいえ確かに、初期のスケッチには砂漠をいくユパ様のような人と、その後ろに妙に長いオームの原型らしきものが描かれていて、それにはサンドオームと書かれている。
 
 ∧∧
( ‥)砂の惑星の
    スパイスを生産する惑星
    アラキスにいる
    巨大な怪物サンドウォームを
    模したことは事実なの
    でしょうね
 
  (‥ )でもそれでぱくり
      言われてもな
 
 ともあれ、以上を考えてみれば面白いことに、砂の惑星の神皇帝と、ナウシカの土鬼帝国皇弟ミラルパは立ち位置が似ているかもしれぬ。
 
 ∧∧
(‥ )ミラルパさんも不死で
\−  100年は生きているよね
    そうして土鬼帝国を
    必死で切り盛りしてて
    でも体がもうぐだぐだに
    なってしまっている
 
  (‥ )正直者の兄である
      ナムリス皇帝に言わせれば
      最初はナウシカによく似た
      本当の名君だったけど
      民衆の馬鹿さ加減に
      うんざりして
      暗黒面に堕ちたんだよな
 
 神皇帝は3500年を耐えた
 
 考えてみれば、この設定、あまりにも非現実的だ。


 皇弟ミラルパは暴政とは言え義務を100年果たした
 
 こっちの方が現実的かもしれぬ


 神皇帝はついに人類の進路を偏向させることに成功した
 
 しかし、そんなことを彼がする必要はあったのだろうか?
 
 
 皇弟ミラルパは血を吐き、そして言う。余の苦しみは帝国の苦しみだ。

 いや、そんな義務を負う必要が、あなたにあったのだろうか?
 
 
 ∧∧
(‥ )似てると言えば似てるね
\−  そして神皇帝よりは
    ミラルパさんの方が現実的
    ですかねえ
 
  (‥ )神皇帝は設定を破壊する
      ためのキャラだ
      いっぽう
      皇弟ミラルパは
      ソ連をモデルにした
      土鬼帝国の
      スターリンだよな
 
 
 神皇帝とミラルパの違いは、作者の違いでもあるし、作品世界の違いでもあるんだろう。
 
 片や、救世主を生み出すためだけに作られた世界と、その救世主に破壊された宇宙を救うため、救世主を二度と出さない世界を! と立ち上がった暴君
 
 片や、ある年齢の知識人なら誰でもあこがれた地上の楽園ソ連とそれを統べる偉大なる指導者の栄光。そしてその真実の姿と大粛清によって、リベラルを気取った若者たちに挫折の苦い味をかみしめさせたその姿
 
 ∧∧
(‥ )この違いが
\−  両者の現実感の違い
    なのかもしれませんね
 
  (‥ )でもさ
      おかしなもんでよ
      両方とも女性に
      救われているんだよな
 
 神皇帝はそのためだけに作られた女性フウイ・ノレイに出会って救われ、そして破滅する。
 
 皇弟ミラルパはナウシカによって退けられ、ついには兄に殺される。しかしナウシカによって救われてその魂は成仏する。
 
 ∧∧
( ‥)なんだ?
    おっさんの世界観とは
    こういうものなのか?
 
  (‥ )ほほほほほっ
      宿業よのう
 

 
 
 

2016年5月19日木曜日

勇者は酒盛りを開始した

 
これの続き=>hilihiliのhilihili: 啓蒙入力万事解決! はあくまで娯楽
 
 ∧∧
(‥ )「チムール帝国紀行」を読むと
\−   スペイン使節のクラヴィホさん
     サマルカンドでは
     ティムールさんと
     延々と宴会だよね
 
 
  (‥ )夏のイランを必死で踏破して
      4名が(熱中症で?)
      死んでいて
      命からがら
      ようやくサマルカンドに
      ついたら
      今度はそこで延々と
      宴会漬けにされるのだよな
 
 さっきまで飲み水にも事欠いて仲間も死んでいくような場面だったのに、首都についたら一転、食い物と酒の話が延々と続く。
 
 もちろん、サマルカンドの様子やしきたり、ティムール帝国の人々がどれだけ巨大で豪華な移動式テントを持っているか、ティムールがどれだけ建築に情熱を傾けたのかも語られるのだが。
 
 ∧∧
(‥ )でもこのすさまじい宴会ぶりは
\−  ただごとじゃないですよね
    一人では運べぬ皿に
    もられた様々な肉
    そして盃の馬乳
    大宴会では
    肉を荷車に乗せて運び入れ
    酒をふんだんにふるまい
    馬や羊の丸焼きや
    お菓子や果物が
    ぞくぞくと用意される
 
  (‥ )しきたりとかあるし
      お遊びじゃないけど
      わー
      なんか俺も参加してー
      思わせるものだね
 
 宴会というと、最近は上司の愚痴につきあわされる飲みニケーションと揶揄されるけども、この宴会では、客は酔っぱらい楽しむことが求められる。

 まあ、酒をがんがん飲まないといけない、というのはどこの世界でも同じなんだけど。
 
 ∧∧
( ‥)でもこういう宴会はどうも
    接待というか
    社交儀礼のような感じ
 
  (‥ )実際、
      主であるティムールは
      最後まで残ったりする
      わけだしなあ
 
 王者ティムールの年齢はもう70近く。毎日のように各国の使節や国内の有力者、貴族たち、様々な人々を招いて宴会である。こう考えると、これはなかなか厳しい社交儀礼だ。実際、スペイン使節クラヴィホたちが訪れてしばらく後、彼は亡くなるのである。
 
 まあ、節制して長生きするよりは良い人生かもしれぬ。
 
 しかしそれはともかくとして
 
 ∧∧
(‥ )異世界に転生したら
\−  宴会を延々と開催しなければ
    いけなくなった勇者とか
    あまり聞きませんね
 
  (‥ )あるにしても
      聞いたことねえな
 
 異世界にいって主人公が活躍する。それが近年のはやりのものであれ、あるいは一昔前のSFであれ、あるいはさらにそれ以前の植民地や未開の地で白人が大活躍する話であれ、異世界を訪れた主人公は現代文明とその文化のすばらしさを説き、人々を啓蒙し導こうとする。
 
 ∧∧
( ‥)つまるところあれですか?
   ティムール帝国に転生したら
    宴会文化は野蛮ですとか
    勇者が言い出すんですか?
    辛気くさいやつですな
 
  (‥ )そう考えるとさ
      異世界転生
     (非常に広い意味で)が
      どれだけ傲慢で
      すかしてるか
      良くわかるよな
 
 そして、そんな啓蒙なんて事が出来るわけないこと、以上の宴会を見れば明白であろう。
 
 ∧∧
(‥ )宴会で歓待するがしきたりなら
\−  それをしなかったら失礼だし
    禁止したら人望は失墜し
    反乱でしょうなあ
 
  (‥ )紀行文を読んでると
      宴会で富を誇示したり
      宴会で序列を示したり
      宴会で貨幣をばらまいて
      富を還元したり
      そういうことをしている
      みたいなんだよね
      これを禁止したら
      大混乱だろうな
 
 毎日宴会なんか馬鹿げています!
 
 ティムール帝国で勇者がそう主張するとしたら、それはおおいに滑稽であろう。
 
 だが、実のところ異世界転生小説(非常に広い意味で)の傲慢さとはここにある。
 
 そしてこう考えれば、文化的啓蒙なんてことが出来ないこと、明白だ。
 
 アメリカがイラク統治に失敗したことだって、根っこはこれと同じことである。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも反対に転生したら
\−  そういう文化に
    すっかり染まっちゃって
    延々と宴会している勇者
    というのはちょっと
    見てみたいですね
 
  (‥ )ティムールも最初は
      部下数人だけの
      下っ端武士だったけど
      盗みや略奪で獲物を
      捕まえて
      それを食べて酒盛りして
      手に入れたものは
      みんなで分けて
      人のあしらいがよくて
      それで人が集まってきて
      大集団になって
      ついに帝国を築くわけよな

 
 そういえばチムール帝国紀行には、この国のしきたり通りに酒を飲むスペイン使節たちに対し、ティムールが気をきかせるという場面が出てくる。使節たちにある庭園にいくように命じ、そこに料理と酒を運ばせる。ここで自分たちの作法で、好きなように、飲み、かつ、食べよと。
 
 ∧∧
( ‥)あらティムールさん
    首の塔を作る一方で
    意外と配慮してくださる
 
  (‥ )酒盛りで人のあしらいが
      うまくて
      徒手空拳から成り上がった
      大帝国の創始者とは
      こういうものかもな
 
 以上を考えると、ティムールが死ぬほんの少し前まで宴会三昧だった、というのは当然のことなんだろう。それで命をわずかに縮めたにしても、それは単に必然の代償で、代わりに帝国を手に入れた、そういうことなのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)というかティムールさん
    まんま勇者じゃないですか
 
  (‥ )後に皇帝になるんだけど
      異世界に転生した当初は
      泥棒して酒盛りしてる
      勇者ってのが
      本来のあるべき姿なのな
 
 
    
 

2016年5月18日水曜日

共存共栄とはただの殺し合いである

 
 ∧∧
( ‥)まあようするにですよ
 
  (‥ )世の中には競争と共存を
      対義語だと思っている
      連中がいるんだよな
 
 
 だが実際のところ、我々人間だろうが動物だろうが植物だろうがバクテリアだろうが、比較されているのは収入なんである。
 
 ∧∧
(‥ )もっと正確にいうと
\−  収支決算ですかね?
    収入は多いのに
    赤字って人もいるからね
    
  (‥ )結果的には子孫という
      財産を残せれば良い
 
 つまり、収支決算が黒字でありさえすれば、競争しようが共存しようが寄生しようがひもになろうが、どうでもいいことなのである。
 
 ∧∧
( ‥)でもそれって
    黒字でないものは
    消滅してしまうから
    結局は全部競争なのである
 
  ( ‥)共存共栄もただの
    −/ 競争競合なんだよな
      そこんところを
      勘違いするから
      理解が狂い始めるのだ
 
 端的に言うと、共存共栄共生も殺し合いの一形態に過ぎない、ということでもある。ここんところを見誤って、競争と共存を勝手に対義語にしてドヤ顔するから理解が混乱する
 
 ∧∧
( ‥)世の中の生物を見ると
    そこまで必死に子孫を
    残そうとしているとは
    思えないって言う人いるよね
 
  (‥ )そういうことを言う奴はな
      彼女の化粧や
      もて男の努力にだって
      気づきはしないものだぞ

 
 努力と投資が我が眼に見えるものだけだと思ったら、それは大間違いであろう?
 
 
 
 
 

啓蒙入力万事解決! はあくまで娯楽

 
 
 異世界に転生する。こういう小説は昔からあった。ロビンソンクルーソーが遭難して無人島という異世界へいき、あるいは植民地時代華やかなりし頃、小説の中で白人たちは遅れた未開の国へいって大冒険をし、あるいは無知蒙昧な未開人相手に文明と道徳とキリスト教の素晴らしさを啓蒙したのであった。
 
 日本の漫画、冒険ダン吉もこれに連なる話であろうし、物語の舞台は技術の発展と共に宇宙にまで広がった。

 それはSFになり、技術の限界が見えた後はファンタジーに転向し、異世界へいく話になった。
 
 ∧∧
(‥ )でも基本は変わらない
\−  無知蒙昧な未開人に
    文明人のすばらしさを
    啓蒙するのである
 
  (‥ )でだ
      例えばこう考えよう
 
 異世界にいったら自分は勇者になっていた。いかなる軍人、武人にも及ばぬ無敵の力の持ち主だ。
 
 そしてその異世界はティムール帝国だった。
 
 さて? 主人公に何ができる? 何をする?
 
 つまりこれはhilihiliのhilihili: ティムール紀行 怒りのサマルカンドの続き
 
 
 ∧∧
( ‥)どうします?
    首の塔を作り
    人間を壁に塗りこめる
    暴君を倒して成り代わり
    善政でも敷きますか?
 
  (‥ )成り代わる言われてもな
      預けられた
      3000頭の馬をきちんと
      管理できずに
      その咎を問われたら
      6000頭にして返します
      とか言い出す人間が
      大貴族やってる世界だぞ?
 
 こんないい加減な人たちがいる世界で、いや、むしろこれが常識かもしれない世界で、善政どころか、我々の常識の政治が敷けるだろうか?
 
 ∧∧
(‥ )現在の統治なんかしいたら
\−  なめられてあっという間に
    反逆の嵐ですかね?
 
  (‥ )まあ反乱者を次々に
      殺せばいいんだろうけどね
 
 ∧∧
( ‥)そういうの現在の統治って
    言わない
 
  (‥ )要するに無理って
      ことですね
      だって社会常識が
      そうじゃないんだから
 
 現在の先進国の統治は、次々に軍事集団が反乱を起こさない、そういうことをしたら面子がつぶれて、むしろ袋だたきにされる良い口実になる、だから反乱しない。それゆえに、反乱者を殺す必要がない、という約束事があるから成り立っているだけの話。
 
 世界が変わり、社会の常識が変われば動態も、取るべき選択肢も変わる。

 例えば転生者がティムールを倒してしまう。

 遊牧民はしばしば大会議と根回しで君主を決めることがあるみたいだけども、そうなれば最強である主人公が選ばれるかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )一見すると民主的な選出で
\−  めでたしめでたしだけど
    それはあくまでも
    力あってこその選出
 
  (‥ )当然隙を見せれば
      反乱が起こる
 
 反乱が起きた時、相手を殺さなかったらどうなるであろうか? 殺さなかったばっかりに相手に殺されるということは歴史上、よくある話。
 
 暴虐と言われるティムールとて、記述を見れば、例えばアク・コユンルたちを倒した後でも彼らの命は奪わなかったという。

 しかし新たにアク・コユンルたちが反乱すると皆殺しにし、アク・コユンルを見つけたら誰でも殺せと命じた。

 兵士たちはそれに従い、こちらで10人、あちらで20人、あちこちで二人、三人と殺され死んでいるを見つけられる状態になったという。
 
 結果的にアク・コユンル6万人を殺したと言われる。
 
 かようなことが現実の歴史であった。

 なれば、ティムール帝国への転生者も同じ状況に追い込まれるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ティムール帝国に転生した
\−  主人公も同じことを
    やることになるであろう
 
  (‥ )可能性は大いにあるな
      実際、ティムールは
      一度は見逃しているのに
      反乱されて虐殺に
      およんだわけだよな
      転生した主人公が
      二度見逃しても
      やはり反乱するし
      全滅させるまで
      続くことになる

 もちろん、反乱した側にも言い分があろう。

 だがもちろん、抹殺した側にも言い分がある。
 
 つまるところ問題は道義の是非ではない。

 そういう力学で人間たちが動く世界では、その常識と力学に従わざるをえない。

 その世界にいけば誰でも嫌でもそうならざるをえない。ここに問題の根深さがある。
 
 ∧∧
( ‥)ティムール帝国に転生した
    主人公も人々がそういう力学に
    従っている以上
    自分もそれに従わなければ
    ならないだろう
 
  (‥ )こういう大規模な
     殺す殺されるという話に
     限ったことではないのだ
     3000頭の馬を預けたら
     頭数が足りない
     なぜちゃんと管理しない?
     そう問うたら
     6000頭にして返します
     そういう返事が返ってくる
     そんな世界で
     善政以前にそもそも
     まともに統治することが
     できるのか?
 
 ティムールは不手際を犯し、さらにこう弁明して慈悲を乞うた貴族を孫の結婚式で公開処刑にした。
 
 つまるところ、ティムールとて、それ以上のことはできなかったということではないだろうか?
 
 実際、これ以上のことをどうすれば行えるであろうか?
 
 以上のようないい加減な弁明がこの世界の常識やありがちな話であるのなら、これを偏向させるには、転生者は、ティムール以上の暴君にならねばならないのではなかろうか?
 
 転生で得た無類の力とそれを用いた暴虐で人々を支配し、規律を一から教え、何が問題であるのかを提示し、しかも不老不死でこの計画を何世代にも渡って行使する。

 暴君として人々を幾世代も統治し、不変の方針で社会のあり方それ自体をあるべき方向へと、少しずつ調整する。

 
 ∧∧
(‥ )もうほとんど砂の惑星の
\−  神皇帝ですなあ
 
  (‥ )砂漠の怪物砂虫と
      共生融合することで
      無類の力を得て
      圧倒的な暴力を振るい
      なおかつ事実上の
      不老不死
      神皇帝は
      3500年の暴政を
      敷いて人類の未来を
      本来の進路から
      偏向させるという話だが
 
 もうほとんどそういう存在にならないとティムール以上のことなどできないと見るべきではないのか?
 
 ∧∧
(‥ )でも異世界転生もの...
\−  これは
    19世紀あたりの文学から
    現在のゲームに至るまで
    非常に広い意味で使って
    いるけども
    そのほとんどはそういう
    現実の統治や現地の事情
    人々の価値観や考え方を
    まったく無視して
    啓蒙すれば万事解決と
    安易にも
    設定しているのである
 
  (‥ )まるで人間は
      啓蒙を入力すれば
      それで万事問題なく動く
      機械のように
      考えられているのだな
 
 いやこれ、創作の世界に限らない。

 だってイラク戦争を決断し、フセイン政権を倒し民主制を樹立させればイラクが親米のすばらしい同盟国になる! そう考えて攻め込んだ為政者たちもこのように考えていたであろうから。
 
 ∧∧
( ‥)アメリカの為政者は
    異世界転生小説を読みすぎた
    中二病患者でしたぞと
 
  (‥ )言い換えればそういう
      安易な世界観を人類が
      普遍的に抱いているから
      古今東西の物語は
      啓蒙入力万事解決!
      という形式になっていた
      ということだろうなあ
      プラトンだって
      阿呆みたいに荒唐無稽な
      理想社会の青写真を
      あちこちの為政者に
      売り込んだわけだからね

  
 そして当然、そんな世界観、うまくいくわけでないこと、イラク戦争の結果を見れば明かである。
 
 あの時、アメリカはイラクを民主化すれば(戦後日本がしたように)、我々はイラク製の自動車に乗っているだろう、と述べた。
 
 実際にはどうだ? ISISが誕生してアメリカは尻尾まいて逃げ帰り、問題はシリアと難民とEUに押し付けて、自分たちはトランプ議員に熱中して引きこもろうという案配ではないか。
 
 つまるところ、啓蒙入力万事解決! など、小説の中でやるべきことで、娯楽以上の意味をもたせてはいけない。
 

  

2016年5月17日火曜日

ティムール紀行 怒りのサマルカンド

  
 
 「チムール帝国紀行」クラヴィホ著 桃源社
 

 モンゴル高原を統一したチンギス・ハーンが即位したのが1206年。

 チンギス・ハーンの孫であるフビライがハーンに選出されたのが1260年。

 ここでモンゴル帝国はいわゆる分裂状態、ロシア方面を支配するジョチ家、イランを支配するトルイ家(イルハン国)、サマルカンドなどを押さえるチャガタイ家、モンゴル高原と中国を支配するフビライ家が並立する。*実際にはゆるやかな連合体であったという。

 その後、それぞれの地域でそれぞれの家の支配が衰える。
 
 例えばフビライ家は1368年、紅巾の乱から頭角を現した朱元璋(明帝国の太祖)の攻撃により、首都大都を放棄する。

 一方。内乱状態に陥ったチャガタイ家の所領の中から現れたのがティムールであった。1370年に支配権を握り、そして征服を開始する。

 
 ∧∧
(‥ )キリスト暦1403年
\−  そのティムールのもとへ
    派遣された
    スペイン王家の使節
    クラヴィホが書いた紀行文
    それが「チムール帝国紀行」
    
  (‥ )仕事の合間に
      ぱらぱら読んでるけども
      ずいぶん詳しい内容だ

 この時代、紀元前より続くローマ帝国は、もはや風前の灯であった。残ったのは首都コンスタンチノープル(現イスタンブール)と、その周辺のみ。押し寄せるオスマン家率いるトルコ帝国に抗いようが無い状況である。しかも当時のオスマン家の当主はスルタン・バヤジット。雷電の異名を持つ君主。
 
 ところが、このスルタン・バヤジット、1402年、ティムールに破れてしまう。こうしてローマ帝国(ビザンチン帝国)は1453年の滅亡まで51年、なお命脈を長らえることとなった。
 
 キリスト教国を圧倒するオスマントルコを背後から撃破したティムールに、キリスト教徒が注目するのは当然であった。
 
 ∧∧
(‥ )なんかあれね
\−  クラヴィホさんの
    紀行によると
    バヤジットさんが決戦場へ
    向かったら
    ティムールさん、ぐるーっと
    迂回して避けちゃったみたいね
 
  (‥ )ティムールは臆病なのか?
      そう思って
      バヤジットが追撃を
      開始したらぐるぐる
      引き回されて
      いざ決戦となったら
      トルコ側は疲れ果てて
      いたと書いてあるな
 
 当時、オスマントルコは火縄銃を用いた奴隷軍人による常備軍イエニチェリ軍団を持っていたはずだけども
 
 ∧∧
( ‥)ティムールさんだって
    銃は持ってるけどね
 
  ( ‥)あれかなあ歩兵主体と
    −/ 騎兵主体で
       機動力が違ってたのかな
 
 よく分からない
 
 スペイン使節を案内するティムール配下の人々は、主君に拝謁する使節に丁寧である一方、支配下の人々に対しては暴虐である。夜だろうがなんだろうが、出会った人々に必要なものを無慈悲に要求し、歓待せしめ、気に入らぬことがあれば容赦なく殴り、あるいは杖で打つ。
 
 ∧∧
(‥ )まさに暴虐非道
\−

  (‥ )権力者って本来は
      そういうものなのかなあ
 
 それとも、そうでもしないと、人々は従わないってことなのだろうか?
 
 ティムール帝国の首都サマルカンドに到着した使節たちは、ティムールの孫の結婚式とその祭典を見ることになる。遊牧戦士たちを大集合させサマルカンドの平原に整然と張られる2万のテント。そしてそこにサマルカンド市民も参集させられる。あらゆる商人がそこで商いを行い、あらゆる工人、職人がその技を振るい、人々に見せることを要求される。
 
 ∧∧
( ‥)見てみたい大祭典だね
 
  (‥ )でもそこで
      公開処刑も行われる
      のだよな
 
 理由。サマルカンド市長在任中、ティムール留守の間に不正をしたから。
 
 理由。ティムールからあずかったはずの3000頭の馬が、足りない。
 
 これらいずれもティムールに重く用いられた貴族たちであるが、孫の結婚式と遊牧戦士、そして貴族、商人、職人、平民が集まる中、容赦なく縛り首にされるのである。
 
 ∧∧
( ‥)まさに暴虐
 
  (‥ )でもこれってさ
      この人たちが
      いい加減なんじゃね?
 
 3000頭に足りない! と怒られた大貴族が述べたのは、6000頭にして返します! という言葉であったという。
 
 ∧∧
(‥ )...そういう問題じゃ
\−  ないよね
 
   (‥ )少なくとも現代人から
      見れば
      お前は何をいってるんだ?
      という話だよな
 
 確かに王者ティムールの怒りは当然かもしれぬ。
 
 例えば、

 どういうことよ、お前に3000頭預けたのに数が足りないじゃん?

 と相手の怠慢を詰問した時に、

 申し訳ございません、6000頭にして返します

 と言われたら、うん、お前、死刑、ぐらいは言うかもしれん

 *もちろん、死刑だ、と言われた後に6000頭にして返しますからお慈悲を! といった可能性もある。その場合、以上はなりたたない。だがしかし、さりとて怒りが収まる理由にもならぬであろう。むしろ火に油を注ぐ可能性もありうる。
 
 いずれにせよ、ちょっとこの世界の人たち、ずぼらじゃねえのか? というふしはあちこちにある。例えばティムールがスペインの使節を宴会にまねく。それは使節のためだけの宴会であり、それは歓待であり、彼の自慢の建築物を使節に見せたいからなのだが
 
 ∧∧
( ‥)通訳がなかなかこなくて
    使節が滞在先で
    通訳を待っている間に
    ティムールさん
    お食事を終えちゃうんだよね
 
   (‥ )当然、お怒りになる
       わけですよ
 
 通訳がこないからといって宴会に遅刻するとは何事か?(ただし使節に対しては怒りを向けず、見逃してくれた) それに侍従たち! お前たちもただ通訳を待つだけで、通訳を探しにいかないってどういうことよ? なんでお前ら便宜はからないの?
 
 だいたいこういう内容。
 
 ∧∧
(‥ )ティムールさんのお怒り
\−  ごもっともでございます
 
  (‥ )まあティムールの怒りが
      恐ろしくて部下たちは
      融通の利くことが
      できなくなってるという
      可能性も当然あるけども
      なんていうかね
      ちょっと皆さん駄目だよね
      ティムールの主張の方が
      かなりまとも
 
 ∧∧
(‥ )常識や融通さが今と違う
\−  仕事の仕方も違う
    それを考えると
    ティムールさんの暴虐を
    どう論ずるべきか
    というのは
    難しいところですなあ
 
  (‥ )ティムールは
      話を聞いていると
      約束を平気で反古にしたり
      そうかと思うと
      約束を守ったり
      なんとも言い様がない
      でも一見混乱して
      見えていても
      当人には当人の理由が
      あるだろうし
      それをあずかりしらぬ
      こちらとしては
      容易には心中推し量れない
 
 
 有名な首の塔の話も出て来た。

 イランを支配したトルイ家(フレグ家:イルハン国)が崩壊した後、一時、大きな勢力を持った遊牧民、白羊族。彼らはティムールに撃破され連行され、居住地を東へ移された。故地に戻ろうと反乱を起こすも、ティムールによって抹殺されてしまう。彼らの首と粘土を重ねて作った塔がこれである。使節が見た時、それは石を投げれば届くほどの高さに積まれた、頭蓋骨と粘土になっていた。

 
 ∧∧
( ‥)まさに暴虐の極み
 
  (‥ )でもさ
      最初は領地を移し替えた
      だけで命はとって
      いないわけだ
      でもその後、反乱で
      結果的に大虐殺だ
      何がいけなかったの
      だろうねえ?
 
 
 白羊(アク・コユンル:後に白羊朝を作る)の人々が単に帰りたかっただけで起こした愚かな反乱であったのか、あるいは移し替えられた領地が生活しにくい土地であったから必然の反乱であったのか

 移し替えて良しとしたのはティムールが寛容であったことを示すのか、あるいは無思慮であったことを示すのか、あるいは単に、それは個人の限界であったのか


 これだけでは判断のしようがない。
 
 
      
 
    
 

2016年5月16日月曜日

名言がうまくいくはずがない

 
 
 ∧∧
( ‥)つまるところ
 
  (‥ )世の中の名言って
      あれは要約された
      皆にとって
      都合の良い話だろ?
 
 要するに、あなたの言っていることは正しい、あなたは間違っていない、というだけのこと。
 
 ∧∧
(‥ )まあ都合が良いから
\−  需要があるわけで
 
  (‥ )需要があるから
      売値が上がって
      名言になるって寸法よな
 
 だが、こうあって欲しいという都合の良い話は、現実がそうでないから需要があるわけであって。
 
 ∧∧
( ‥)つまり名言なんて
    うまくいくわけねーじゃん
    ということになりますな
 
  (‥ )世の中には現実を
      うまく要約した
      名言もあるけどさ
 
 とはいえ、都合の良い名言と、かなり適切に現実を要約した名言と、どっちが多いかと言われたら、事態は楽観的には考えられぬ。
 
 むしろ状況は否定的であろう。

 あるいはこうである。楽観視するにはどうにも分が悪すぎやしないかと。
 
 
 
 
  

夢における最大の危機とは何か?

 
 ひさしぶりにひどい夢を見た。

 ここはホラー風のゲームです、という言葉があったようにも思う。
 
 確かにホラーである。だが困ったことに、バッドエンドしかないようだった。いわゆるクソゲー?

 それに登場人物の全部がなにかどこかしら異形で狂っている。
 
 主人公がいた。自分ではない。その彼がこれまでのことを画像付きで説明してくれた。
 
 ここでこのキャラに話しかけると殺されるのです。
 
 ここでこういうことをすると別ルートに分岐するが、やっぱり殺されるのです。 
 
 殺されるのです。
 
 あきれたことに、殺されるづくし、出口が無い無いづくしであった。
 
 彼が見せてくれた画像は色々なものだった。ある場所で頭のおかしな警官にあることを言うと、ゴンドラの場面に分岐する。その時の画像は、主人公がゴンドラに乗って手詰まりの場面。あるいはさらに別ルートで手に入れた死体の頭を抱えてゴンドラの中でぼーっとしている姿を見せられた。
 
 ゴンドラには幽霊が出るらしく、腕が無数に現れる。死体の頭を抱えていた場合、死体が無数の手を出して幽霊に応戦してくれる。
 
 あるいは死体がふくれあがって布団のようになって、ゴンドラの中を半分満たし、主人公が死体と一緒に仲睦まじく、埋もれるようにして寝ている場面もあった。
 
 それにしてもなんで主人公は貧相で眼鏡をかけたイギリス人なんだろう?
 
 いずれにせよ、どうにもならないな、これ。
 
 そう思っていると周囲から雲があらわれた。つむじ風のようなもの、あるいは入道雲のようなもの。
 
 彼らと会話できるとイベントが良い方向へ向かうそうです。主人公がそう教えてくれるが。いやその、雲と話すってどうするの?
 
 適当なでたらめ言語を話していると、どういうわけか効き目があった。雲が掻き消え、代わりにぞろぞろおかしな連中が現れた。大小様々、形も色々。人間そのものな連中もいれば、人より小さく、反対に人より大きく、ぞんざいなデザインの連中もいる。そいつらがめいめい勝手にしゃべりだし、そうして自分にも話しかけてくる。
 
 いや、これイベント明らかに悪化してるよね?
 
 もうめちゃくちゃだ。あるキャラに話しかけられると死ぬイベント発動、あるキャラに叩かれると死ぬ発動。あるキャラと関わりを持つと死ぬ。だから逃げる、しかしこちらが無視して逃げても追いかけてきて、強制的にイベントが発生する。
 
 こんなものどうするんじゃい? と思っているのだが、自分はどういうわけか死なない。いや、死なないというよりはイベントが発生して、うお! 死んだー! と思っても、その瞬間に設定が適当になってイベント発生、でもイベント中断、ゲームを続行しまーす、になるらしい。
 
 おかしな女もいた。とにかく他のキャラを見境無く殺すのだ。なんか熱線を放つらしい機械のようなものを背負ってこちらも狙ってくる。
 
 キャラ全員がもう好き勝手だ。言って見れば新宿前のような過大な人ごみのすべてが異常なキャラで、互いに殺し合ったり、あるいは追いかけたり逃げたり、めちゃくちゃだ。勝手にどこかの誰かと戦争している迷彩服、というか全身緑の男もいれば、砲塔の無い戦車が走り回り、あるいはピカソやミロが描くような珍妙なキャラが燕尾服を着てかけ回る。
 
 ともあれ、あの熱線だかなんだかを放つ女をどうにかして殺すべきだ。あれがどうも一番強いらしい。例えば背後に回って卑怯にも不意打ちを食らわしてやろう。そう思って回り込むのだが、どこへいってもおかしな連中にからまれる。
 
 例えば売り出し中のお笑い芸人ですと派手なたすきを身につけ、マネージャーと共に名刺を配っている変人。これの名刺を受け取ると死ぬイベント発生なのだ。しかもしつこい、押し売り、ほぼ強制。
 
 あるいはTシャツを着た小太りのおっさんが絡んでくる。これがうっとうしいことに、絡まれると、こいつをこちらが殺すイベントが強制発生する。
 
 あるいは体の一部を欠損した怪物が恨み言をこぼしながら人を襲うために歩いている。

 おおよかった。俺は足が無い代わりに足をもらった足無し男だ! 俺を連れて行け、というとそやつが途中まで運んでくれる。
 
 そうかと思うと黒服で派手な化粧をした、しかしどこか男顔な女が口に含んだレモン水をあたりかまわず吹きかけてくる。そうして口の水が無くなると手に持った水差しで補給だ。
 
 ともあれ、背後に回るために道に入ると、そこはいつのまにか木造の建物で、あちこちで宴会がもよおされている。
 
 なにやらトイレに入りたいな、と思っていると手洗いがあり、しめたと思って扉を開けると、そこはトイレのようだが、畳は敷いてあるし、宴会の膳も並んでいるし、おまけに奥の個室から氷をかじるような、こもったボリボリガリガリという音がした。
 
 これ、手洗いじゃないよね?
 
 そこから慌てて飛び出て、さらに進むと先ほどのTシャツ男がまた現れた。例の接触するとこちらが強制的に相手を殺さなくてはいけないイベントを発生させる奴だ。全く同じように絡んでくる。そうしてこちらが相手の拳銃を奪う。おかしなものでそれは銀玉鉄砲なのだが、それを三発撃つ。するとTシャツ男は恨みがましい眼をしてこちらを見上げ…、どういうわけか身長は自分より低く、160センチ程度なのだが、妙にスタートレックのカーク船長のような顔をしている...そしてそいつがこう言うのだ。
 
 なんで僕を殺すんですか・・・?

 私だって殺したくはない。なぜ、あなたは私に自分を殺させるのですか?
 
 自分はそう答え、眼に涙があふれる。

 とっここで、急激に覚醒が始まった。これは夢だ、という自覚が起こる、現実の肉体の感覚が夢の世界に入り込んでくる。
 
 あっ、やばい、俺は夢を見て現実の布団の中でも泣いてしまっているのか? と慌てたが、涙など流していないことに気がついた。
 
 ああ、そうか、これは全部茶番だ。こいつを殺して悲しい、という感情も、流れた涙も、これは全部作られたものだった。すべてがまったく自分が作り出した幻。感情さえもまがいものなのだ。
 
 そう気づいた瞬間。目の前の男を半分にしてやった。厳密に言うと胸部から上を削除した。もう夢が終わるから人体の切断面はよく見えなかった。多分、実際に知らないから詳細な夢の状態でも再現は難しかっただろう。それに夢から覚める途中で、風景は線画になっていた。それでも、切断した男の胸部とその断面に脊椎や肺らしきものがあるのは分かった。どうでもいいのだ。こいつらはすべてただの設定だ。

 
 そう思うと一瞬だ。例の女も夢から目覚める前に始末しなければならぬ。そう思って走り出す必要もなく、影のようになってしまった女を頭部から股間までまっ二つにした。周りにいた人影はもう動かない。しん、として、流れたしずくのような形をした影になってこちらを注視しているらしい。
 
 茶番は終わりだ。もうお仕舞い。そう言うと、眼が醒めた。 
 
 ∧∧
(‥ )でもこの長い夢の
\−   最大の危機って
     手洗いに入ったことだよね
 
  (‥ )あっぶねーよな
      あのボリボリ言う
      きもい音は
      警告だったんだろうな

 
  
 
 

2016年5月15日日曜日

物書きとはガラクタ売りになることである

 
 例えば世の言説に曰く、

 チョウチンアンコウの雄は雌に寄生する。寄生すると雄は雌と一体化して、眼も脳も心臓もなくなり、睾丸だけの存在に成り果てる。
 
 
 ∧∧
( ‥)これはまず色々と
    間違いですよと
 
  (‥ )チョウチンアンコウの雄は
      雌に寄生しないんだよな
 
 チョウチンアンコウ類の魚たちは雄が雌よりずっと小さい。そして種類によっては雄は雌に寄生する。
 
 ∧∧
(‥ )だけど皮肉なるかな
\−  チョウチンアンコウ類の代表たる
    チョウチンアンコウは
    雄が寄生しない種類である
 
  (‥ )少なくとも
      寄生するという証拠は
      ないんだよね
 
 
 冒頭の説明はその後も色々と間違いである。チョウチンアンコウ類の寄生する種族であっても、雄は寄生後もなお頭蓋を残している。当然、脳もある。眼も退化するが残ってる。確かに雌と雄が一体化することは事実である。少なくともあろうことか血管が共有されてしまう。当然、雄の心臓は必要ないし、酸素を取り込む鰓も必要ない。ところがそれにも関わらず雄には心臓も鰓もちゃんと残っている。ほぼ完全に痕跡的になってしまうのは消化器官だ。
 
 ∧∧
( ‥)かようにチョウチンアンコウの
    雄は雌に寄生すると
    脳も心臓も鰓も眼もなくすとは
    間違いなのである
 
  (‥ )でも一般的にはこういう
      言説がまかり通って
      いるのだよな
 
 実際、以上の解説を聞いても、誰も考えを改めないであろう?
 
 眼は退化する。
 
 雌と一体化する。

 脳は必要ない。
 
 心臓も鰓も本来は必要ない。
 
 消化器官を事実上、失い、発達するのは精巣、すなわち睾丸、キンタマのみ
 
 この事実をおおまかに翻訳したのが、

 チョウチンアンコウの雄は雌に寄生すると眼も脳も心臓も鰓もうしなってキンタマのみなる、という言説なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)でもこの翻訳は間違っている
    近似解ですらない
 
  (‥ )だけどこれを皆は
      近似解だとみなすんだよ
 
 ガンダムに興味のない人間は、アムロは強化人間でエスパーで名パイロットで戦争の英雄である、という話で理解するだろう。ニュータイプだの宇宙における人の可能性だの、過剰な機械オタクで軍事兵器を即座に動かせる引きこもり気味の異能者だとはいちいち理解しないであろう。
 
 ∧∧
(‥ )私たちの理解はこういう
\−  雑で歪んだ把握で
    構成されていて
    正しい部分などほとんど
    ないのである
 
  (‥ )そしてもっとましな理解を
      提示されても
      頑として
      それを受け入れないのだ
 
 我々の理解はことごく間違っている。そしてもっとましな理解を見てもめんどくさいから拒否する。そういうガラクタで我らの認識は構成されている。これを直視しなければならぬ。
    
 
 ∧∧
( ‥)つまり物書きとは
    意図的なガラクタ売りに
    なることなのである
 
  ( ‥)困った事態だねー
    −/
 
 チョウチンアンコウなんてそんな浮世離れした話題だから理解がいい加減なんだよ、とか言ってはいけない。原発がぱーんして、世の中がパニックになったとか言っている時でさえ、図書館には放射線医学の本がそのまま残り、貸し出されたのはどうでもいいトンデモ本だったのだ。命が心配だと自称する時でさえ理解に手を抜く。それが我々であった。
 
 理解したいなどという言葉を信用してはいけない。理解したいのです、などというやからはただの嘘つきである。
 
 
 
  

話を分かりやすく

 
 
 葡萄酒を神の血とみなしてそれをすすり、神の血をすすることでその神のしもべとなる。
 
 ∧∧
( ‥)...キリスト教のことだろうけど
   誤解をまねく言い様だな
 
  (‥ )とはいえ事実だろ?
      これは他の一神教徒の
      皆様に突っ込まれますよ
 
 人間が復活しちゃったり、預言者を神そのものとみなしたり。
 
 ∧∧
(‥ )でも神と預言者を正確に
\−  分けるっていう発想がない
    人たちには受けるでしょうな
 
  (‥ )世界の最後にあるはずの
     復活というイベントを
     個人的に
     特別に前倒ししたのも
     そのためなんだろうな
 
 世界の最後に復活があります、という世界観が無い人間相手には、あの人は復活しました! と言った方が分かりやすかろう。
 
 
 

2016年5月14日土曜日

人の理解には謎めいたものがいる

 
 
 ∧∧
(‥ )進化の中立説は
\−  しばしば非常な勘違いを
    されているのである
 
  (‥ )弱肉強食の無い世界へ
      脱出できる
      いわば天国への
      パスポートだと
      思われているんだよな
 
 つまりこの話hilihiliのhilihili: 中立説は平等世界への切符などではないの続きである。
 
 
 確かに人は当初、遺伝子の構造を知らなかった。そのせいなのか、有利、不利、という二者択一で考えてしまう傾向が非常に強かったようである。つまり存在という点は白になるか黒になるかしかない。

 あるいはこうである。1文字はアであるかンであるか、そのいずれかであるはずだと。

 実際には、自然界を見れば分かるように同一種の中で複数の特徴が並立する多型現象はよく見られることであり、有利不利では推し量れない特徴と変異が存在することは明らかであった(言っておくと、ここに最初に注目し検討したのはダーウィンである)。

 しかし、ダーウィン以後、研究者はそういう事実から目をそらしたようなふしがある。

 
 ∧∧
( ‥)でも実際には
    遺伝子は白黒のはっきりした
    点ではなく
    1文字でもなかった
    遺伝子は一次元であり
    冗長な文章であった
    あちこち変わっても
    総体が大きく変わるとは
    限らなかったのである
 
 (‥ )そういうことが分かり始める
     ちょうどその時に中立説が
     木村博士から提案されたから
     大きな議論を呼んだのだよな

 
 
 そう言う視点から眺めれば、実のところ木村博士の中立説は、パラダイムシフトの中核ではなかった、という言い方もできよう。

 
 ∧∧
(‥ )実際には遺伝子の転写翻訳
\−  蛋白質の三次元構造と
    その機能の解明の方が
    思考の大きな転換を
    もたらしたのかもね
 
  (‥ )木村博士はそれ以前に
      それを成し遂げた
      異才の人だと言えるかもな
 
 しかし、どうやら世間の人はそうは考えぬ。彼らはほとんどが中立ならすべてがイコールだと飛躍する。
 
 もちろんこれは間違いだ。冗長な文章で生じうる変異の大部分が中立だと言っても、遺伝子とそれが司る蛋白質の中核部分に起こる変異は実に致命的だ。例えばラス遺伝子。細胞内部における情報伝達を司るこの遺伝子のたった一カ所、たった一文字が変わると、その細胞はガンになる。
 
 もしすべての変異が中立で平等だというのなら、このたった一カ所の変化とその致死的な結果の不平等さとは、一体なんであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )すべての変異が平等でないこと
\−  かように明白である
 
  (‥ )だけどそういうことを
      平気で無視して
      中立説ですべての変異が
      中立平等であることが
      明らかになったと
      素っ頓狂なことを
      言い出しよる連中が
      多いことよ
 
 これは無論、ほとんどの変異は中立である、を、すべてが平等だ、と拡大解釈したことで生じた誤謬なんだろう。論理的な人間がよく犯す勘違いである。
 
 あるいは、世界は平等であらねばならない、という世界観がその背景にあるのだろう。

 そうでなければ、ほとんどはどうでもいいよー、という言葉を、これはすべてがイコールであるという神託なのだ! とは言い出すまい。
 
 だがどうもそれだけではない、人間にはなにかもっと奇妙な世界観が理解の背後にある。
 
 例えば人は言う、ここに茶色い変異がある。それがここでは有利である。ゆえに黒い変異が生じても、黒は排除される。かように、自然淘汰とは悪いものを取り除く役割しかしない。つまり優秀なものを見つけるわけではないのである...
 
 ∧∧
( ‥)90点以下の人は
    退席してくださいというのは
    90点以上の人を見つける
    作業ではないという主張ですか
 
  (‥ )何を言っているのか
      分からんだろ?
 
 なにか人間の思考と世界観には、得体の知れない誤謬がひそんでおる。これが何なのか、それは謎めいたものだ。


 
     

2016年5月13日金曜日

中立説は平等世界への切符などではない

 
 
 遺伝子は一次元の構造で、まあ文章に近い。
 
 この文章がゴム印を押すように転写され、さらに転写された文字に対応してアミノ酸が配置される。
 
 しかしこの段階でも一次元。
 
 ∧∧
(‥ )それがくしゃくしゃっと
\−  まるまったりして
    三次元の構造を
    持つようになると
    蛋白質ができます
 
  (‥ )これが機能を果たして
      生物は生きている
 
 遺伝子という一次元の文章が変化すると、それは三次元の構造を持った蛋白質に影響を及ぼし、さらには生物の性質、特徴、性格、行動に至るまで影響が出る。
 
 この一方で、遺伝子は非常に冗長と言えばいいのだろうか? ちょっと内容が変わったぐらいでは何の影響も及ぼさない。つまり生じうるあらゆる変異のほとんどはどうでもいいものなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)人間の作った機械でも
    似たところあるけどね
 
  (‥ )電池と電線と電球があれば
      それは懐中電灯に
      なるからな
 
 確かに反射板があった方が光が前に集光されるだろう。
 
 スイッチがあった方が便利だし、持ち手がある方が使いやすいだろう。
 
 しかしなくても一応機能する。
 
 ましてや色や形、素材となるとほとんど千差万別どうでもいい。
 
 かように人間の機械でさえも冗長で、そこで生じる変異の多くはどうでもいいものだ。
 
 とまあ、こういう知識を踏まえていると、

 遺伝子の変異のほとんどは有利でも不利でもない

 という話を聞いても、はあ、それで? としか思わないであろう。
 
 
 ∧∧
(‥ )でもこれを過剰に喧伝する
\−  人たちが世の中には
    いるんだよね
 
  (‥ )でっ言うのだ
      木村資生の中立説で
      ダーウィンの進化論は
      否定されたと
 
 つまりようするに、この手の人の発想はこうである。
 
 優秀な変異が生じることで進化が起こるというけども、実際には、遺伝子の変異のほとんどは中立で、有利でも不利でもないんですよ??

 なっ、なんだってー!!!

 
 ∧∧
( ‥)知ってる人からすれば
    何を言ってるんだお前?
    というやつで
 
  (‥ )この手の連中はさ
      さらに恣意的に
      この話を拡大解釈
      するんだよな
 
 遺伝子の変異のほとんどは中立です。と聞いた瞬間に、そうかすべての変異は等価なのだ! と受け取ってしまう。
 
 そうしてすべての変異は等価で平等なのだから、すべてを普遍に愛しましょう。弱肉強食のダーウィニズムよさようなら〜と、あっちの世界へ旅立ってしまう。
 
 ああ、しかしこれ、どっから突っ込んで良いのか分からないぐらいひどい勘違いで
 
 ∧∧
(‥ )遺伝子って機械と同じで
\−  ここだけは変えちゃいけませんよ
    という部分があるんだよね
 
  (‥ )電池が無い懐中電灯
      タングステンが切れた
      電球
      断線している回路
      もうこれだけで
      後がどれだけ正常でも
      機能を喪失して
      しまうからなあ
 
 実際、そういう機能喪失が顕現することで人は死ぬこともあるし、ガンになることもある。ほんのわずか一カ所で良いのだ。ここだけは壊れちゃいけない、という箇所が一文字変わっただけで致命的なことも起こりうる。
 
 ∧∧
( ‥)結局すべての変異が
    等価であることはありえないし
    そこにこそ
    自然淘汰が効いてくる
    わけである
 
  (‥ )木村博士の中立説を
      平等主義の福音だと
      勘違いした連中は
      どこまでも勝手なことを
      言いよるのよ
 
 さらに言えば、木村博士の業績は偉大で、もし生きていたらノーベル賞ものだったはずだけども、実のところ淘汰に中立な変異は自然淘汰とはまるで違う挙動を示す、ということに歴史上、初めて注目して検討し、その解決を試みたのは、ダーウィンであった。種の起原を読むと、それが良くわかる。
 
 ∧∧
(‥ )結局皆さん
\−  ダーウィンさんの手の上ですか
 
  (‥ )彼が残した未解決問題を
      解決したのが
      木村資生博士や
      ハミルトン博士や
      フィッシャー博士だった
      そう考えるべきだろうな
 
 そしてこうも言える、木村博士の中立説をダーウィニズムから自由になれる平等世界への片道切符だと有頂天に勘違いしている連中は、遺伝子の構造が十分に理解される以前の世界。今から50年あまり前の遺物のままなのであると。
      
 
 
    

2016年5月12日木曜日

こんな良い商品がありました

 
 
 物を作っていると、こう思う。

 これが良いものなのになんでお前たちは買わないの?

 お前たちはどうしてこんなくだらないものを買うの?

 客とか消費者って頭おかしいんじゃね?
 
 実際、どう考えても体に悪いものを健康に良いと信じて客は買うし、しかもそれが売れている。

 これではまともなことをやっている俺たちが馬鹿みたいじゃないか。
 
 いくら作ってもまともな物は売れない。
 
 客が買うのは悪いものばかり。
 
 客を騙す商売ってぼろいよなあ。お客の願いをかなえて、あげくに大もうけだからな。

 俺たちもまねしてえ
 
 とはいえしかし、いくらお客が無知蒙昧で頭がおかしい底抜けの馬鹿だとしても、そんな体に悪いものを売りつけるわけにもいかぬ。だが現実は非情で、今日もまともなものは売れず、悪いものだけが売れていく。どうしたものか….
 
 ∧∧
( ‥)とっ思い悩んでいた
    皆様の前に
    燦然と現れた救世主
    それが水素水
 
  (‥ )無害にも関わらず
      効能があると思われ
      高く売れるが
      実態はただの水!
      原価が安い!
 
 おまけに水素水の効能を本気で信じている人間が、騙された! と仮に文句を言っても、何の問題もない。周囲は自称被害者たちを冷たい軽蔑のまなざしで見て、同情しないどころか、馬鹿は黙ってろとよってたかって袋だたきにするだろう。これほど色々な意味で安全な商品がかつて存在したであろうか?

 実際、水素水で死ぬような人間なら水道水でも死ぬだろうし、水道水でも死なないのなら水素水でも死なないだろう。こんな安全かつ無害で、しかもただ同然のものを高額で売りつけられる商品を、皆が見逃すはずが無い。
 
 ∧∧
(‥ )それを考えると
\−  各メーカーが水素水を
    ぞくぞくと販売してるのも
    分かるよねえ
 
  (‥ )俺だって
      売りたいですよ
      こんないいもの
      他にないだろ
  
 
 
 それを考えると、水素水を売っている企業を批判する気にはなれないのである。
 
 
 ちなみに
 
 ∧∧
(‥ )水道水を水素水と称して
\−  売ったら
    それは犯罪なんでしょうなあ
 
  (‥ )まあそうなるな
      やりたいけど
      やるわけにいかんのな
      世の中、理不尽ねー
 
 
     

2016年5月11日水曜日

2016年5月11日のオオタカとツバメ

 
 風が強く、暑い日だ。空を見るとツバメたちが舞っていて、中にはずいぶん大きそうなツバメがいた。荒れる風の中、灰色の空を背景に風に逆らい空中で静止している。
 
   と思ったら
 ∧∧ あれは猛禽ですね
( ‥)
 −( ‥)多分、オオタカか
     何かだね
 
 オオタカは一時、何かを見つけたように高度を下げたが、その先にいたのはツバメだ。ツバメはオオタカが高度を少し下げると、ひょいと避けるように舞い飛んでいく。悠々としたものだ。オオタカはあきらめたように上昇した。
 
 
   オオタカでは
 ∧∧ ツバメに勝てません
(‥ )
 −( ‥)その話
      以前に書いたよな
 
 
 調べたら2012年。もう4年前の話であった=>hilihiliのhilihili: ツバメ VS オオタカ
 
 
 
 
 

2016.05.11 温度25度湿度90%

 
 
 ∧∧
(‥ )お外の天気
\−  温度25度、湿度90%だよ
 
 
  (‥ )なんだろうな
      台風とまではいかないが
      南風が強いし
      じめじめだし
      なんとも不快な天気だぜ
 
 
 
 
 

配られた手持ちの札で未来が決まる

 
 ∧∧
( ‥)運命はあらかじめ決まっている
 
  (‥ )というか手持ちの札から
      勝負するので
      その札から進める経路しか
      人間は進めないと
      言えばいいかな
 
 この理解なら、原子のベクトルさえ分かれば未来も過去も分かるという、根深い、かつおそらくは間違った世界観からは自由でいられるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもこの結論って
\−   基本的には悲惨なものだよね
 
  (‥ )手持ちの札の選択肢に
      制限される上に
      不利な手は選べない
      つまり
      ほんのわずかな手しか
      人間は打てないし
      行き着く先も決まってる
 
 まあ、人生は決まってなんかない! と力説する奴もいるが、これは言っていることが正しい一方で、実のところごまかし、あるいは悪質極まりない詭弁なのだ。人間には不幸になる自由しかないし、それ以外の道はすでに決定されている。確かにごくごくまれに、不幸でもなく決まった経路でもなく、なおかつ以前より良い道を歩むものもいるが、これは無視してもかまわない頻度でしか起こらない。

 つまり、人生は確かに決まっていないが、選べない手しか残っていない、ということだ。

 つまるところ人生は決まってなんかいないという主張は、悪手も含めれば自由があるよ、ということを言っているだけのこと。要するにこれはペテン以外のなにものでもない。
 
 
 ∧∧
( ‥)まあそもそも生きるってことが
    そういうことでしょうからね
 
  (‥ )無理しないと存続できない
      それが生物であり命だ
      無理している時点で
      命とは
      この宇宙の不自然だからな
      そりゃうまくいくわけ
      ないからな
 
 呪うなら、生きていること自体が間違いであるという、こんな明快な事実に気づかぬ己の理解を呪うがいい。
 
 まあ、そんなどうでもいいことは取りあえず置くとして。
 
 ∧∧
(‥ )手札から未来の可能性が
\−  決定される
    ギリシャは帝国になれずに
    ローマは帝国になれた
    なぜか?
 
  (‥ )訓練された世襲議員
      軍役がやたら長い
      事実上、職業軍人の軍隊
      めちゃくちゃ安い人件費
      色々あるだろうけど
 
 実は単純な話で、みんなで国家を私物化してたからじゃねーの?
 
 もちろん、ローマを絶賛する人たちは、ローマ人は政治家が権力を私物化することを許さなかった! と力説するけども
 
 ∧∧
(‥ )そういう時代も確かに
\−  あったのでしょうけどね
    でもあれだよね
    ローマ最大の英雄
    カエサルさんなんて
    権力の私物化の真骨頂だよね
 
  (‥ )役職も軍団も私物化した
      あげくに
      最後は国家を
      私物化しようとして
      それで殺されたわけ
      だからな
      それが最大の英雄な
      わけだしな
 
 だが、言い換えればこうなんだろう。国家を私物化していいのは誰? 取りあえずカエサルでよくね?
 
 ∧∧
( ‥)まあ支持があったのは
    確実でしょう
 
  (‥ )そもそも有力者がみんなで
      国を私物化して争って
      何十年も内乱して
      それでようやくカエサルに
      落ち着こうとしていた
      わけだからな
 
 こう考えると、ローマが世襲議員とはいえ、一応は共和制から独裁体制の大帝国になれたのは、みんなで私物化したからじゃねーの? と言うことだってできようぞ。
 
 ∧∧
(‥ )でも結果的にそれが
\−   多民族、多宗教の帝国を
     統治することに成功して
     しまうのである
 
  (‥ )それを考えるとさ
      直接民主制のアメリカって
      大帝国には
      絶対なれないって
      ことだよね
 
 配られた手札で勝負するしかない。だとすると、やはり、未来は最初から閉鎖されていたってことになる。
 
  
 
      

2016年5月10日火曜日

すべては登山道に沿って起こること

 
 
 hilihiliのhilihili: 多分、もうアメリカは時代錯誤の遺物より続き
 
 ∧∧
( ‥)でっむしろこっちが
    本題で
 
  (‥ )アメリカは時代錯誤に
      なったまま歴史の中に
      消えてしまうんじゃないか
      という推測、あるいは憶測
 
 要するに、アメリカは新しい事態への対応が原則的に不可能なんじゃないのか? という思いつき。
 
 ∧∧
(‥ )あなたは
\−  当選すれども統治せず
    とでも言えばいいのか
    立憲議会制とでも言うべき
    方向へアメリカは
    舵を取るんじゃないかと
    考えてましたよね
 
  (‥ )直接民主制はあまりにも
      政策がぶれすぎるからな
      緩衝しないと駄目だろ
 
 
 例えば東京都は、その規模で言えばちょっとした国家に相当する。そしてその最高責任者は直接選挙で選ばれる。
 
 その結果はどうか?
 
 ∧∧
( ‥)なんか微妙?
 
  (‥ )なんかな
 
 ましてやアメリカは自民党というでっかい軸があるのではなく、二大政党で左右にぶれる。しかもそれで海外にまで軍隊を展開している。

 事実、民主主義を打ち立てるんだと調子ぶっこいてイラクを攻めたと思ったら、もういやだよーと大混乱するイラクから尻尾まいて逃げ出して、あげくにISIS、シリア内戦を放置する有様。これは無責任の極みだ。
 
 
 ∧∧
(‥ )同じことを東京都が
\−  やっているとしたら
    そりゃあどえらいこと
    でしょうなあ
 
  (‥ )でっ知事選で選ばれた
      知事たちの有様を
      考えたり
      有権者の選挙における
      動向を考えると
      これはあまりにも
      不安定だよね
      国力がどんどん
      消耗してしまう
      しかもアメリカは
      WW2以後ずーっと
      負け戦だしな
 
 これを是正したり、あるいは緩衝するとしたら、日本のように間接選挙にしたり、派閥政治にしたり、今以上に強固な官僚組織を持つようになったり、あるいは最高責任者の権限を弱めたりするべきなんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )アメリカでも
\−  格差は増大してるし
    ブッシュ家やクリントン家や
    ケネディ家みたいな
    いわば貴族層があるし
    アメリカは官僚たちに
    乗っ取られてる!! みたいな
    ことを言う人もいますけどね
 
  (‥ )だからこそ
      その部分を強化すれば
      立憲議会制へ移行できると
      思ってたんだけどねえ
 
 つまり軍人と官僚と世襲議員がすべてを決定していて、大統領が完全なお飾り、名誉職になった世界帝国アメリカ、という展望。
 
 ∧∧
( ‥)でも実際にはそれが
    できないんじゃないか?
    ということですか
 
  (‥ )人間には自由がないのだ
 
 人間には自由意志がある。だがそれは登山道を外れて死ぬ自由はありますよ、という程度のことでしかない。
 
 確かに世の中には頭が良く、自由を信じていて、熱弁を振るう者がいる。
 
 彼らは言う。
 
 見なさい! 目的地はあの山頂だ。しかるに登山道はそちらへ向かっていない。これは陰謀です! 因習です! 政治家と官僚が我々を騙しているのです! まっすぐ目的地へ向かえば最短ではないですか! 
 
 ∧∧
( ‥)死ぬがな
 
  (‥ )死ぬね
      普通に死ぬね
      思いっきり死ぬね
      というか
      実際に死んでるからな
 
 まあ、賢しい人が言うことにも一理あるのだ。登山道がそっちに向かっているのは、確かに政治家とか官僚とか、それを選ぶ民衆の因習とか、そういうくだらない理由もあるのだから。
 
 ∧∧
(‥ )でも因習もまた
\−  考慮すべき地形なんだよね
    
  (‥ )さらにいうと
     因習だけじゃない
     物理的な理由があって
     一見すると迂回路にしか
     見えない登山道を
     歩むしか無いってことがある
 
 というか、むしろそっちの方が多いだろう。登山道が設定されたのは地形という物理的な制約があるからこそゆえだ。
 
 そしてその道から外れる者は死ぬのである。
 
 つまりこれを踏まえて言えばこうである。アメリカが立憲議会制とかに移行して世界帝国になる道は地形的にありえないのではないか、と。
 
 ∧∧
( ‥)なぜに?
 
  (‥ )あの国、島国で
      引きこもっても
      やっていけるじゃん
      実際、昔から
      引きこもり傾向が強い
      国家だしな
 
 今、外に出ているのも、WW2の結果、三つの帝国、大英帝国、ドイツ帝国、大日本帝国の支配地域を継承したからだろうし、さらに中東の安価な石油を確保したい、という理由もあるのだろう
 
 ∧∧
(‥ )だけどそれでも
\−  国内のシェールガスを
    輸出出来る国ですしねえ
 
  (‥ )厳密な計算じゃないけど
      思いつきで
      言ってしまえばだ
      アメリカの最適解って
      多分引きこもりだよな
      可能だしそれが一番楽
 
 むしろ、日本の方が侵略的、外交的にならざるをえないだろう。
 
 いずれにせよ、人間というものは楽に流されるものである。そして位置エネルギー最低の状態に落ち着こうとする。
 
 引きこもりなるのは本人の責任ではない。単に地形がそうなっているのだ。
 
 ∧∧
( ‥)それを考えると
    アメリカは世界帝国になる
    道を選ばずに
    アメリカ合衆国という
    島国に帰還するのが
    彼らの登山道
 
  (‥ )だとすると
      オバマ大統領も
      トランプ議員の躍進も
      これは運命だと考える
      べきなのだろうな
 
 すべては定められた通り、登山道に沿って起こるのだ。人に出来るのは登山道から外れて自殺する自由と、その行使だけである。なれば未来はすでに確定したも同然ではないだろうか?
 
 
    
 
  
 
 

多分、もうアメリカは時代錯誤の遺物

 
 ∧∧
(‥ )トランプさんが
\−  大統領になったら
    アメリカが世界帝国としての
    覇権を失う可能性が
    あるわけだよね
 
  (‥ )というかオバマ大統領の
      時からそうだったし
      オバマっちとトランピーは
      正反対に見えて
      方向性が同じだしなあ
 
 どっちも、窮乏した国民を助ける! という方向性。

 これ、民主国家としては当然なんだけど、
 
 ∧∧
( ‥)世界帝国としては
    もう成立しませんよと
 
  (‥ )アメリカって多分
      存在がすでに時代錯誤
      なんだろうな
 
 民主制は、国民が戦力になる時代にどうやら成立するらしい。
 
 素人の市民が総出で戦場に立つ古代ギリシャがそうであった。
 
 しかし、戦争がプロ化していくに従って古代ギリシャはヘレニズム諸国に押されるようになり、ついにやたらめったら軍役が長いローマに征服される。
 
 ∧∧
(‥ )ローマ軍も本来は国民皆兵
\−  だったけど
    とっくの昔に貧乏人を集めた
    事実上の職業軍人に
    なっていたみたいだよね
 
  (‥ )ローマが滅びたのは
      豊かになって
      国民の国防意識が
      失せたからだ
      という人いるけど
      あれ嘘だよなあ
 
 そして職業軍人に素人が勝てるわけがない。

 こうして市民を主人公にしたギリシャは敗北し、当然市民は力を失い、力を失えば権利を失い、民主制は地上から消えた。

 さらに歩兵から騎兵有利の時代になり、ユーラシアの支配者は遊牧民や遊牧民から買われた奴隷軍人の時代になる。つまり軍人貴族による支配。
 
 ∧∧
( ‥)そうして火器が発達して
    だいぶたった後
    再び市民を火器で武装して
    戦列を組ませる時代が
    到来するのである
 
  (‥ )そこで民主制が再び
      地球に帰ってくるのだな
      そして
      そこで誕生したのが
      アメリカ合衆国
 
 ところが建国より240年あまりがすぎ、状況は大きく変わりつつある。
 
 まず、もはや市民が突撃する時代ではない。
 
 現に徴兵制が意味を無くして、訓練された軍人が高度かつ高価な機械を使わないといけない時代になっている。
 
 ∧∧
(‥ )はい、これで民主制の必然性が
\−  失われました
 
  (‥ )今のアメリカの民主制って
      あれはもはや惰性かつ
      時代遅れの
      化石なんだよな
 
 もちろん、化石になった制度も、それが化石であるが故に、建前であるがゆえに、ずーっと続くこともある。ローマ帝国だって何世紀も前に市民の力も元老院の力も失われたのに、ビザンティン帝国に至ってもなお、皇帝陛下万歳を叫ぶ”市民という役職”が存在したという話だし、そればかりか、いざという時には役職ではない、実際の市民が政治になだれ込んでくることが幾度もあった。
 
 だが、アメリカはまだそういうものではどうもない。建前ではなく本気でそれをやっている。
 
 実際、ブッシュjr大統領の時代にイラク戦争を支持したのはアメリカ国民ではなかったか?
 
 イラクの統治に失敗し、金がなくなって無責任にも逃げ出す決断をオバマ大統領がした時、それを破廉恥にも支持したのはアメリカ国民ではなかったか?
 
 
 ∧∧
(‥ )直接民主制だから
\−  政策がぶれぶれなんですよね
   オバマさんと正反対に見える
   トランプさんも実態は
   アメリカ帝国反対
   アメリカ合衆国万歳
   島国に撤退しよー
   有権者を救おうだからね
 
  (‥ )民意を反映するのは
      結構なんだが
      ここまで極端に
      ぶれると
      信用できねえよな
 
 実際、イラク戦争に反対する西欧のやつらなんかにイラクの復興事業は渡さないぞー! とか調子のってほざいていたくせに、それから20年もしないうちに、イラク戦争から波及したISISやらシリア内戦で一番割り食っているのは西欧だ。

 ではとうの首謀者たるアメリカはどうしているかというと、ほとんど知らんぷりの無責任ぶり大絶頂で、あげくに帝国統治を放棄して、僕、島国で静かに暮らします、逃げますとかほざきだしおった。
 
 ∧∧
( ‥)直接民主制の弊害?
 
  (‥ )ほら事実上の世界帝国に
      なってしまっているのに
      統治の形式が古びてて
      時代にも状況にも
      対応できていない
      アメリカはもはや
      なにもかもが絶望的に
      時代錯誤なんだよ
 
 そしてたぶん、是正は不可能なんだろう。
 
  
 

2016年5月9日月曜日

病は気から

 
 
 ∧∧
(‥ )でもトランプさんが
\−  大統領になったら
    具体的には
    どうするんでしょうね?
 
  (‥ )見た目は鳴り物入りだけど
      限りなく無害なことを
      すればいいんじゃね?
 
 
 ∧∧
( ‥)それでどうすんじゃい
 
  (‥ )後はプラセボ効果で
      国民が勝手にだな…
 
 
 

 
 

2016年5月8日日曜日

理性とは憤怒であるゆえに理性主義者よおおいに怒れ

 
 
 ∧∧
( ‥)どう思います?
 
 
  (‥ )最近
      こういう事例があったよな
 
 確かインドからのニュースだ。女性をレイプした男が捕まった。人々は激高して警察署を襲撃、犯人は引きずり出され、彼はリンチのあげく殺された。
 
 ∧∧
(‥ )欲望のままにレイプした
\−  男性が
    欲望のまま炎上する人々に
    殺された事例ですな
 
  (‥ )つまりな
      犯罪も犯罪の抑止も
      どちらも
      ”快感”で決定されている
      そういうことなのだ
 
 人間が行動を起こす時、それが性欲であろうが怒りであろうがなんだろうが、快感のスイッチが入るから前向きに行動するのだ。
 
 しかもこのニュースの困ったところは、実のところこの男性、女性とはつきあっていただけでレイプしたわけではないらしい、という話がついていることで。
 
 ∧∧
( ‥)ということは
    理性的に落ち着いて
    裁きは司法にまかせるべきでは
    なかったか?
 
  (‥ )まあ名目はそれで良い
 
 名目はそれでも良い。皆、理性的になりましょうと。
 
 人によっては言うであろう。つまるところインドは野蛮だ、理性的な日本ではこういうことは起きないと。
 
 だが、実態は多分、違うであろう。
 
 例えば日本でレイプ犯を引きずり出してリンチしよう、と誰かが言い出した場合、どうなるであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )むしろその人が炎上して
\−  しまうでしょうね
 
  (‥ )つまるところ日本で
      リンチが起こらないのは
      それをやったら自分が
      リンチされるから
      その恐怖で抑止されている
      そう見るべきでは
      ないだろうか?
 
 実際、ネットの炎上を見れば分かるように、日本人であろうとインド人であろうと、結局のところ人間は裏切り者を探し出し、抹殺することを快感としているようである。
 
 なれば日本で上記のことが起こらないのは、それをやること自体が裏切り者と見なされるので、やりたくても出来ない、と見るべき。
 
 ∧∧
(‥ )でも条件次第では日本でも
\−  同様のことは起こる
 
  (‥ )大津市で以前いじめ…
      というか
      学園内における殺人の
      隠蔽が起きた時
      教育委員会の人間が
      襲撃されたよな?
      あれ多分そうだぜ
 
 日本人もインド人も同じ人間である以上、変わりはない。

 つまるところ日本でも、”リンチする権利”は、実は国民全員が保持していると考えるべきだろう。

 単に日常それが起こらないのは、全員がそれをやったら大混乱に陥って利益を失うために、裁きの権利を警察や司法のような信用されるべき代行者に一時的に貸し与えているにすぎない、と見なすべきだろう。

 実際、未開社会と言われる世界では、殺人の発生率が非常に高いのだ。日本人の犯罪発生率が極めて少ないのは、そうあらねばならぬという相互監視と代行者に一任しないものは裏切り者である、という抑制の結果にすぎぬ。
 
 そしてこれはまた、代行者が裁いてくれるから我慢しよう、という信用の現れでもある。
 
 ∧∧
( ‥)ということは代行者が
    信用ならずということに
    なった場合
    人々は一斉決起しかねない
 
  (‥ )大津市の一件は
      そこに至る一歩手前
      深刻な事態だったと
      考えるべき
 
 代行者が信用を失うというのはかように極めて危険だ。

 そうか、信用できないのなら俺、好き勝手するわ。皆がそう考えるのは当然である。そうなったらすべてがお仕舞いだ。
 
 ∧∧
(‥ )つまるところ日本がインドと
\−  違うのは
    ルールが違うだけで
    基本は同じだってことに
    なるでしょうな
 
  (‥ )そしてルールは皆の信用で
      成り立っている
      それは貨幣のようなもので
      信用を失うと紙くずになる
      このことを忘れたら
      どえらいことになるのさね
      皆様ー
      信用できなくても
      ルールには従うべきですー
      私、委員長ですよー
      とか言ってると
      価値は暴落し
      リンチが当然のことになる
 
 人間は言って見れば個人で核兵器を所有してお互いにお互いを脅し合っている国家の集合体のようなものであろう。
 
 人間は、相互監視と恐怖があるから均衡状態を保っており、恐怖と必要性と信用があるから代行者が成り立つ。
 
 つまり何のことは無い、恐怖と相互監視とリンチと炎上があるから我々は文明社会を保っていられる、ということになる。
 
 日本とインドの違いは、実のところ、何をもってリンチするべきか? という基準が違うだけでしかないのだとも言える。
 
 ∧∧
( ‥)ということは
 
   (‥ )理性な
       あれはな
       意味ねーんだ
 
 
 理性というのは結局のところ、皆がリンチしている中でそれに参加しない俺様すごいでしょ! ねっねっ?? という我慢自慢、無駄自慢でしかない。
 

 しかしそれは、それがゆえに、相互監視と恐怖で成立した現実世界とまったく関連が無い。
 
 ゆえにこのような混乱の場で理性というものに有効性がないことは明白。
 
 実際、理性を言い立てる人間たちは暴徒に対して、お前たちなにをしてるの? 俺様の我慢を見習えよ、というだけで、効果がない。
 
 
 ∧∧
(‥ )そういうと理性主義者は
\−  激怒するけどね
 
  (‥ )だけど激怒した時
      こんなだから世の中が
      駄目なんだ! と
      奴らは世界を呪うだろ?
      お前らは悪魔だー!
      とか中二病で叫ぶだろ?
      ほら
      結局これは
      理性が世界を見ていない
      証拠じゃないか
      どこまでいっても理性は
      自慢ばっかりしよる
 
 そして理性を重んじる人は、いつも怒っている。あえて皮肉な言い方をすれば、まるで理性的ではない。
 
 ∧∧
( ‥)矛盾ですかね?
 
  (‥ )どうだろう?
      実は怒り
      憤怒にかられる
      これこそが理性では
      ないのか?
 
 例えば次ぎのように考えてみる。
 
 僕は皆が激高する時に激高しない。

 かように理性とは無駄自慢である。
 
 そして無駄自慢であるから価値があるのだ。
 
 なればこの時、
 
 理性なんて無駄でしょ? お前、すかしてんじゃねーよ
 
 こう罵られることは、理性主義者にとってどういう意味を持つであろうか?
 
 ∧∧
(‥ )自分の自慢の一品を
\−  否定されちゃった
    ということですかね?
 
  (‥ )というか
      あなたの資産と株券は
      無価値です
      と言われたような
      ものであろうなあ
      そう考えると深刻でしょ?
      理性主義者が
      肉を奪われた犬みたいに
      吠えだすの当然じゃね?
 
 自分の資産がただの紙くずである、と言われて慌てない人間はいないであろう。

 なれば、理性主義者が理性の価値を否定された時に怒り狂い、激高するのは当然であった。それは防衛本能である。
 
 それは溺れた時に誰かを踏み台にして水面に顔を出すようなものである。

 それは人の本能であってとがめられることではない。
 
 つまるところこうである。理性なるもの、肉を目の前にしてこれは絶対渡すまいと周囲にうなり立てている飢えた野犬のようなものであると。
 
 そして理性の価値を否定された理性主義者の諸君。

 あなた方が獣のように怒り狂うことはまったく正しい。なぜならそれこそが理性であるがゆえ。
 
 だから理性主義者の皆々、おおいに怒り、憤怒せよ。
 
 
 
 
 
 これはhilihiliのhilihili: 楽しむことは悪だという思想の持ち主なのですね?の続き
 

2016年5月7日土曜日

完成する世界、循環する世界

 
 歴史は発展する。王制、帝政、そして民主制で歴史は完結する
 
 あるいは資本主義、社会主義、そして共産主義で世界は完結する
 
 
 ∧∧
(‥ )こういう物事が必然
\−  ある方向へ発展するという
    世界観は根強いですよね
    マルクス主義は言うに及ばず
    それに対峙したアメリカでさえ
    民主主義で歴史は完結する!
    みたいなことを本気で
    言っていたわけだし
    信念とも宗教とも言えますな
 
 
  (‥ )もともと人間が持っている
      世界観なんだろうな
      特にこの現象が
      一種の物理法則で
      必然的にこの世界には将来
      ユートピアが出現するし
      ユートピア実現のためには
      革命が必要で
      革命する俺たちすげー
      革命に反対するのは
      物理法則に反対する
      愚者だから
      殺して良いと述べた
      マルクス主義が人々に
      受けたのは当然だろうな
 
 民主主義最高ー! のアメリカ的世界観は、残念ながら、その性質上、アメリカでしか受けないのでファンの獲得は結果的に限られたものとなった。
 
 つまりファンの数で言うと、マルクス主義の圧倒的な勝利だったのである。

 ただ、マルクス主義はファンが貧乏になってしまったのでファン倶楽部が解散してしまい、結果的にアメリカ民主主義最高ー!が勝利することになった。いや、アメリカ最高!の寿命が結果的に長かったので単に生き残った、というべきか。
 
 ともあれ、ここには物書きとして見るべき点がある。
 
 まず書き手は読者をほめるべきだと言われる。
 
 つまり書き手は、
 
 皆の偏見や思い込みを肯定しなければいけない
 
 皆の偏見や思い込みを肯定することで、皆の望みも肯定しなければいけない
 
 それが書き手というものである。これはハーレムむふふのラノベ作家からカール・マルクスに至るまで、何も変わっちゃいなかったのだ。
 

 では肯定されるべき皆の望みとは何か?
 
 君は今のままで良い、間違っているのは君以外である、それが真理である、その真理こそがここで述べられているものである、この真理を分かった君は偉大であり、分からない連中は愚か者であり、彼らに暴力をふるっても良い。それは真理の元に正当化されるであろう。
 
 これが皆の望みであり、これが書き手から読者へと提供されるべきものであった。
 
 ∧∧
(‥ )娯楽ってのは殺人ショー
\−  だからね
    これは正当な殺人ですと
    言ってあげるのは
    クリエーターの基本でしょうな
 
  (‥ )マルクス主義に限った
      ことではないけども
      マルクス主義は
      娯楽だったわけだ
      なおかつ人類が持つ
      歴史が前進し発展する
      という世界観に合致した
      娯楽であった
      見事な娯楽だな
 
 それを考えると、マルクス主義が地球に一大旋風を巻き起こしたのは当然だと言えよう。少なくと一時とはいえ、世界の半分をファン倶楽部にし、さらに残りの世界にもファンを増殖せしめたのだから。
 
 ∧∧
( ‥)でもそれは間違いであろう
 
  (‥ )そもそも発展なんか
      するわけないからな
      所詮は娯楽の悲しさよ
 
 娯楽とは所詮は嘘なんである。すべては残骸に成り果てるは必然。

 歴史が発展する、という世界観もまた同じであった。
 
 確かに物事は伝達される過程で派生的になり、改良はされるであろう。しかし、改良されてもなお、性質は結局同じだ。改良された世界は以前の世界を大規模にしたか、緻密にしたか、そういうものになるのがせいぜい。
 
 そしてむしろ物事を支配する条件とは発展と全然別のものだ。ゆえに発展ではなく、別の事柄と条件が社会の形を決めると考えた方が良い。
 
 ∧∧
(‥ )民主主義を生み出した条件が
\−  崩れてしまうと
    民主主義が地球から消えて
    しまうことも十分にありうる
 
  (‥ )実際
     消えかかっているんだよな
 
 これからの世界がどうなるのかは分からない。企業と封建制が合体したような嫌な世界になるのかもしれないし、全国民を軍事産業に従事させて専門家の軍隊を必死に維持するようなファシズムに走るのかもしれないし、あるいは官僚と軍人と世襲議員が対立しながら形作る一種の独裁制に移行するのかもしれないし、そこんところは分かりかねる。
 
 とはいえ、こういうことを考えると思い出すのが
 
 ∧∧
( ‥)ギリシャの歴史家
    ポリュビオスの循環政体論
    ですかね
 
  (‥ )民主制は衆愚制になって
      瓦解し
      一部の人間よりなる
      貴族制になるがそれも
      寡頭制になって暴政化し
      結局王制になるけど
      王は暴君になって
      独裁制となって打倒され
      民主制に戻るが
      それはまた衆愚制に…
      というやつだな
 
 初めて知ったのは中学生の時に本で読んだ、ごく短い一文だったけども、それがポリュビオスのものであるのを知ったのはかなり最近だ。
 
 循環、というのは循環自体を法則化しているようなものなので、先の、”世界は発展するぞ論”と似たようなものではあろうし、同じ誤謬を内在してはいるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも完成するぞ! と
\−  えー、どうせ戻っちゃうよ〜
    とではえらい違いですよね
    未来に対する展望も
    現状に対する評価も
    これだけで正反対になる
 
  (‥ )古代ギリシャって
      官僚がいないせいかな?
      政体がまるで不安定に
      みえるんだよな
      でもそれだけに
      その不安定な実験世界から
      提案された世界観には
      価値があるかもしれん
 
 まあ、いずれ原典を読もう。
 
 そして改めて自分を顧みるに、なんということであろうか? 結局、自分が回帰するのは中学生の時であった。
 
 ∧∧
( ‥)悲しいもんだな
 
   (‥ )世の中はそんなものよ
 
 そして思う。
 
 人生は完成するものだと人は思っている。

 だから歳を取った自分は偉大なはずだと、人々は思っていよう。

 だが、循環してしまうと考えたらどうだ?
 
 その世界観で自分を見た時、今の自分を完成型であり究極なのであると、肯定できるか?
 
 我は十全なり。そう自負をした人々のすべては、単なる虚構であった。
 
 
     

2016年5月5日木曜日

2016年5月5日の水素水

 
 
   町へ出て
 ∧∧ 画材を買って
( ‥)
 −( ‥)例の自販機の水素水
     買ってみるか
 













 改めて見直せば、意外なことに伊藤園だった。
 
 ∧∧
(‥ )あそこはチャレンジする
\−  会社ですからね….
 
  (‥ )砂糖無しのお茶を売るとか
     地味だけど
      素っ頓狂なことするからな
 
 おーいお茶も、最初は砂糖が入っていないことから、業者などから馬鹿な商品だと思われていたという。伊藤園さん、これ、砂糖が入っていないじゃないか! と文句を言われたそうだ。
 
 それが今では日本のお茶飲料の基本になっている。冒険とはこういうものだろう。

 
 そして今回、この水素水、1本410mlで200円なり。

 ∧∧
(‥ )2リットルで1000円
\−  じゃねーか
 
  (‥ )人畜無害な上に
   □−  素晴らしい商売ですよ
 
 そして原材料は水、水素
 









 
 
 ∧∧
( ‥)...これ、笑えばいいのか?
 
  (‥ )嘘が何一つ無いにも
   □−  関わらずこの破壊力
      良い! 良いぞ!
      世間のクリエーターは
      これを見習わなくちゃ
      いかんよ
 
 なお、

 開封後は水素がじょじょに抜けていきますので、2〜3時間を目安にお飲み頂くことをお勧め致します

 と注意書きがあるのも素晴らしい。
 
 ∧∧
( ‥)どうだ? 味は?
 
  (‥ )水ですね
   □−  ただの普通の水ですよ
 
 
 まあ、どこから汲んで何をしたんだか分からないミネラルウォーターがばんばか売られているこのご時世である。それを考えたらこの水素水なるもの、渾身のジョーク商品と考えるべきだろう。
 
 今日、初めて声を出して笑った。ずいぶんひさしぶりな気がする。
 
 世のクリエーターよ、これに続け!

 
 ついでにいうと、いかにも高圧なボンベを思わせる、ほぼ銀色一色の容器というもの素晴らしい。
 
 ∧∧
(‥ )ただのアルミ缶だがな
 □−
 
  (‥ )見た目って大事なんだよ?
 
 
 
 正確に言うと、アルミ缶に巻いた包装が透明で、アルミ缶にそのまま印字されているように見えるだけなのだが、簡略かつ極めて効果的。
 

 

謎が謎を呼ぶとはすなわち魅せる


 エヴァンゲリオンというと謎が謎を呼ぶ物語であった。
 
 だが、実のところこれはこうも言える。
 
 謎が謎って、それって要するに、設定とか筋道とか考えてなかっただけじゃね?
 
 ∧∧
(‥ )少なくともそう言う評価は
\−  あるんだよね
    つじつま合わせよりもむしろ
    庵野監督さんは
    見せることに特化した
    人なのだ、という意見
 
  (‥ )最初の放送の後の
      再放送だったかな
      たまたま女の子と一緒に
      見る機会があってだな
 
 特にアニメに興味のある子ではなかったし、なにこれ? 変なの? と言っていたけども
 
 ∧∧
( ‥)15分後には食い入るように
    見入っていましたと
 
  (‥ )多分、あの監督さん
      見せ方の力が尋常じゃ
      ないんだよ
 
 最後の方、予算が切れたのか時間がないのか知らないが、ほとんど止め絵になってしまっているのに、あの妙な緊迫感は一体何であろうか? 
 
 ∧∧
(‥ )エヴァンゲリオンの後
\−  ああいう止め絵で見せる
    演出がちょっとだけ
    多用された感あります?
 
  (‥ )個人的にはそんな感想が
      あるんだよな
      そして結局どれも
      エヴァンゲリオンには
      及ばなかったというか
      庵野監督さんに至る人が
      誰もいなかったと
      言うべきか
 
 それにしても、あれほどの才能、能力、実行力、そして実績を持つ人が、主人公を通してとはいえ、

 僕はいらない子なの?

 とか
 
 そうか僕はここにいても良いんだ!

 とか
 
 ∧∧
( ‥)そういうことを
    言われるますとね
 
   (‥ )はあ? あなた一体全体
      何を言っているんですか?
      としか言いようがないがな 
 
 
 とはいえ、以上、かくのごとく、見せ方の能力が過大とも言えるほど尋常でない一方で、設定とか話のつじつま合わせは二の次なんじゃね? と疑惑をもたれるのは当然と言えば当然。
 
 
 ∧∧
(‥ )どうなっちゃうのですかね
\−  新劇場版
 
  (‥ )いやもうあれ
     なんとかインパクトが
     大絶賛に発動して
     ゲンドウ父さん大歓喜で
     死んじゃった人たちは
     全員、新人類になって
     再起動してよみがえって
     おー我らが救世主
     シンジ様だーどうぞこちらへ
     と特等席を用意され
     無数の新人類が彼の周囲に
     円座ではべってケチャを踊り
     これ絶対間違ってると
     頭を抱えるシンジ君の肩を
     まあ気にするなと
     カヲル君が叩いて微笑み
     ミサトさんたちorzとか
     どうよ?
 
 ∧∧
( ‥)あんたには才能がない
    ということは分かるぞ
 
  (‥ )なんにせよ見せ場を
      重視した展開と完結になる
      ということは
      疑いないだろうな
 
 
   
 個人的にはカヲルくんとシンジ君が幸せになれば、後はどうでもいいと思うけども。
 
 ∧∧
( ‥)あなたカヲル君すきだよねえ
 
  (‥ )人間を模倣し
     誰よりも繊細なのに
     人間を全然理解できていない
     ところがね
     なんか良い
 
 
      
 
 あと一応、ケチャ=>https://www.google.co.jp/search?q=kecak&biw=998&bih=787&tbm=isch&source=lnms&sa=X&ved=0ahUKEwj9s9nYvsLMAhUJ42MKHR0IAOMQ_AUICCgC&dpr=1 
 

あるいは大英帝国がそうであったように

 
 ∧∧
(‥ )アメリカの大統領選
\−  共和党の指名候補は
    トランプさんが確実
    だそうだね
 
  (‥ )遅かれ早かれ
      国民窮乏の声を受けて
      ああいう撤退的な
      選択肢が出るのは
      確実だから
      今のうちに
      トランプ議員が
      大統領やるべきだよねえ
 
 ∧∧
( ‥)大失敗してもまだ立ち直れる?
 
  (‥ )今のうちならな
      確かにアメリカは偉大だ
      大失敗しても
      失地を回復できる体力が
      今はまだ
      残ってるだろ?
      馬鹿をやるなら
      今のうちってことよ

 
 それに、日本もそうだったではないか。自民党はあきたから、取りあえず民主党にやらせてみようと考えて、そうして大失敗して、ようやく、ああ駄目だと今の道を歩み始めたわけで。
 
 ∧∧
(‥ )試行錯誤ってこういうこと
\−  だからね
 
  (‥ )日本はアメリカよりも先へ
      いっていて
      アメリカも日本の道を
      歩むんですよ
 
 ああ、だめだ、この道はだめなんだ。僕らにはあきらめの道しかない、そう覚悟を決めるには、まず、美辞麗句と理想を試し、それが挫折するのを目の当たりにしなければならぬ。
 
 あきらめの先に現実主義が待っているのである。
 
 
 ∧∧
( ‥)そうやってアメリカは
    直接民主制を形骸化させて
    立憲議会制とも言える
    存在になる
    真なる帝国の道
    軍人と官僚と世襲議員による
    大帝国への道を
    歩み始めるだろうと
 
  (‥ )とっ思っていたんだけど
      大英帝国みたいに
      覇権を自ら
      放棄してしまう
      可能性もあるんだよな
 
 
 おかしなもので、人類の歴史上、民主国家は大帝国を築いたことがどうもないらしい。

 ギリシャのポリスは結局、都市国家だったし、近代の民主国家は他国民をことごとく奴隷化させ、文化を破壊するだけだった。破壊と衰退をもたらすだけで、統治できないのだ。

 奴隷化と衰亡しか能のない主義。それが民主主義であった。

 そうしてついに大英帝国は真なる帝国になることはなかったし、所詮はユーラシアの島国の暴虐な略奪者だけでその歴史を閉じた。
 
 ∧∧
(‥ )真なる大帝国を築いた
\−  唯一の民主国家はローマだけど
    あれは共和制と言いつつも
    貴族による世襲議員制
    だからね
 
  (‥ )おまけに
      それじゃ駄目だから
      結局、独裁制に
      移行しちゃうしな
 
 あるいは見方を変えればこうである。オーストリア帝国もオスマントルコ帝国も民主主義の台頭と共にその統治を失い、あるいは西欧民主主義をまねて民族主義を標榜することで支配の正当性を失ったと。

 そして出て来たのは民族同士の果てしない殺し合い。
 
 ここから出てくる結論はたぶん、ただひとつ。
 
 ∧∧
( ‥)民主主義は統治能力が
    まったくないのであると
 
  (‥ )そもそも帝国統治に
      必要な一部の能力を
      ”同じ民族と文化”という
      大前提に
      丸投げしてるからな
      要するに
      言うことを聞く社員に
      負担を丸投げした
      ブラック企業と同様
      民主主義は
      無能だったんだよ
      事実
      イラク統治に失敗した
 
 民族のるつぼと自称するアメリカでさえ、所詮はホワイト・アングロサクソン・プロテスタント、略称WASPによる支配。つい最近まで事実上の人種隔離政策を敷いていた植民国家でしかない。一見すると多民族国家に見えるのは、先住民を抹殺して奴隷をつれて来た結果にすぎぬ。
 
 あるいはこうも言える。1000年殺し合いを続けた西欧で発展した火器はついに総動員という形で民主主義を復活せしめた。すなわち民主主義とは戦争の息子であり、大量破壊兵器なのであると。
 
 実際、だからではないのか? 民主化した国家はことごとく内乱状態に陥るであろう?
 
 ∧∧
(‥ )これは民主主義が持つ
\−  大量破壊兵器としての側面が
    強調されて発揮された
    結果であると見るべき
 
  (‥ )民主主義は統治能力が
      無い無能で
      危険極まりない
      大量破壊兵器である
      これを念頭に
      入れねばならぬ
 
 もちろん、人間の多くはこうは考えない。人間は古来より、歴史を発展するものと考えてきた。マルクス主義しかり、現代人の多くも、歴史は王国、帝国、そして民主制へと至り、そこで発展が完結すると考えているであろう。
 
 そして発展する以上、民主主義が善であると誤解しているであろう。
 
 あるいはこうである。

 ローマのようになぜ民主主義が帝政に取って代わられたのか?
 
 それは民衆が堕落したからである、そう考えてはいまいか?
 
 これは要するに、精神が物体を支配するというオカルト思考で、堕落さえしなければ会社の没落は無い、敗北は無い、と言っている間抜けな経営者と同じだ。
 
 ∧∧
(‥ )つまるところ
\−  歴史は発展しないし
    民主主義で世界が完成する
    わけでもないのである
 
  (‥ )今多分、世界が次の
      フェーズへ移行しつつ
      あるんだ
      民主主義も終焉を迎えうる
      そして次の世界が現れる
      それは
      我々の歴史の延長だから
      我々と似ているけども
      違う世界でもある
 
 
 言い換えれば、歴史は発展し、民主主義が最終到着点である、という世界観では未来もこれからも、何もかも見誤るだろう。
 
 あるいはこうである。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはアメリカが
    立憲議会制へ移行して
    民主主義を事実上放棄し
    帝国になると
    思っていたけども
 
  (‥ )人間って保守的で頑迷な
     猿だからさ
     アメリカは民主主義に
     こだわってすべての覇権を
     自ら放棄してしまう可能性も
     十分にあるんだろうな
 
 
 大英帝国がそうであったように。
 
 

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