自己紹介

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2014年8月31日日曜日

なぜあんな最後に、と、いつも

 
   ( ‥)そういえば
       エヴァンゲリオンの
       主要メンバーの名前は
       軍艦が由来だというな
 
 ∧∧
(‥ )赤木リツコ博士は
\‐  漢字は違うけど
    空母赤城が由来だとか
    そういう話でしたっけ
 
   (‥ )つまり、大食いなのか?
 
 ∧∧
( ‥)...ああ、艦これの
    イメージでね
 
 
   ( ‥)倒した使徒を食べちゃう
 
 ∧∧
(‥ )マッドサイエンティストですね
\‐
 
 
   (‥ )オペレーターの
       マヤちゃんは
       カーニバルだよっ! 
       って叫ぶのか
 
 ∧∧
(‥ )それは別のアニメというか
\‐  漫画だよね
    アルペジオだね
 
 
   ( ‥)青葉くんは
       我 青葉
       ワレ アオバ 
 
 ∧∧
( ‥)それは史実だね
 
   (‥ )補完の際に
       綾波レイ軍団に囲まれ
       ワレ アオバ
       ワレ アオバ
 
 ∧∧
(‥ )あの人、かっこいいのに
\‐  好きな人が
    いなかったのですかね...
 
 
 なぜ彼だけがあんな最後に、と、いつも思う
 
 
 そして、時代は変わり、次々に新しい物語が作られ、時は経過し、物事は過去へと押しやられ、しかしそこには新しい意味と価値が付加されるのだと。
 
 
 

どうなっているのか分からんです

 
 ∧∧
( ‥)状況は?
 
  ( ‥)ぱらぱら漫画を
    ‐□ 見るように
      本を流し読みだ
      取りあえず流し読み
 
 ざっと見た感じ、いわゆるガン遺伝子に関しては肝心なことが分かっていないのじゃないのか? という懸念。
 
 ∧∧
(‥ )塩基配列やガン化の過程とか
\‐  染色体上での位置
    そういうのは分かっている
    みたいだよね
 
  (‥ )だが知りたいのは
      ガン化の過程じゃなくてな
      おかしくなる前に
      遺伝子が持っている
      本来の機能のことなんだ
 
 ∧∧
( ‥)なんかよく分からない?
 
  ( ‥)詳しく調べて
    ‐□ 大変な努力を
      傾注しているのに
      問題の真ん中が
      ほぼ空白って印象だね

 
 90年代の本である。本の時点ではそうだった、ということなのか。そもそもこの印象が正しいのか、単に間違っているのか。正しいとしたらなぜそんなことになるのか。あまりにも複雑な物事を扱っているせいなのか、人間ではその解決のための十分な実験系が確立していないせいなのか。実験動物として自在に扱うことが可能で、しかも1世紀の歴史があるショウジョウバエには勝てない、ということなのかどうなのか、あるいは別のことが原因なのか
 
 ∧∧
( ‥)今のあなたにはそれすら
    よく分かりませんよと
 
  ( - -)まあ、調べればね
    ‐□ 良いのだけどね
      なんか疲れたよ

 

 

物語は現実をシェイプ、整形したもの

 
 
  ( ‥)昔、女王の教室という
      ドラマがあって
 
 ∧∧
(‥ )得体の知れない女教師が
\‐  小学生である主人公たちに
    脅迫なども用いた
    統制を強いるが
    それ自体が彼女の計画で
    それによって主人公たちは
    自主性へと至る...
    だかなんだかですか
 
 これに対し、
 
 いいかね、あの物語にはデブがいないのだ、それはなぜか? と力説した奴がいた。
 
 彼の主張は明瞭である。デブは意図的に省かれたのだよ。なぜなら、デブはデブ特有の問題を引き起こすからだ。つまりデブキャラを配置した瞬間から、デブが攻撃対象になってしまう。そうである以上、必ずやデブは話題と事件の中心になる。つまりデブが主人公になってしまうのだ。
 
 物語の方向性がデブを中心としてそれてしまう。それを阻止するためにデブキャラは配置されなかったのだ。
 
 確かにそうである。もしこの処置がなくば物語は変る。
 
 デブの失敗によって連帯責任をとらされた同級生はデブをリンチするだろう。デブは生まれ変わる。デブは努力する。デブは皆を見返す。デブはヒーローになる。そして卒業式の日に女教師を射殺するのだ。
 
 ∧∧
( ‥)どこのフルメタルジャケット
    だよ
 
  ( ‥)でも言わんとすることは
    ‐□ 分かるだろ?
      物語を成立させるために
      現実世界にある要素は
      適時切り落とされ
      あるいは誇張され
      物語世界へと
      整形されるのだ
 
  物語世界はシェイプスされた存在で、接合手術の結果生まれた非現実空間である。持って生まれた四肢を取り除き、機械に置き換えたサイボーグのようなものだと言えば良いか。

 
 これを踏まえるに例えばの話
 
 ∧∧
(‥ )エヴァンゲリオンの
\‐  ネルフ機関がブラック企業では
    ない世界
 
  (‥ )それでも危機感を出すには
      あれかな?
      予算自体はあるのに
      作るものが高価で特別で
      武装の配備が追いつかない
      自転車操業状態の
      町工場みたいな感じに
      なるのかな?
 
 シンジくんの目の前で使徒に倒された零号機、放り出されたエントリープラグから顔を出すゲンドウお父さん。シンジ...やっぱ父さんでは無理だわ、後は頼む、ぐへ。博士、銃とかないんですか? ごめんなさい、開発中でまだチキチキカッターしかないの...。カッターってどこのあぶない人ですか。うわっ、きたー!
 
 ∧∧
( ‥)雰囲気が台無しですな
 
  ( ‥)シンジくんは高額の
    ‐□ 給料をもらっているのだ
      という人もいるけど
      一度でもそういうことを
      示唆したら
      やっぱドラマが
      あらぬ方向へいくよな
 
 シンジくんがケンスケやトウジと買い食いするなんて描写があるのか怪しいものだ。というか、シンジくんは高額の給料をもらっていると知ってしまった視聴者は、その光景をもう素直に見れないだろう。そしてシンジくんがトウジの妹の入院費を出すことになるだろう。そうでなければ人でなしであるし、シンジくんの悩みも葛藤も、全部、空々しく感じて、見てなどいられまい。
 
 ∧∧
(‥ )それこそ妹ちゃんの入院費を
\‐  稼ぐために戦う話に
    なっちゃうかもね
 
  (‥ )使徒1体1000万だー!
      ぴかりん
      あびゃー!
     (正八面体使徒の光線直撃)
      みたいになるのかな?
      物語の中心が妹との関係に
      変るから
      アスカやレイの必要性が
      薄まってしまうよね

 
 さてもさても、物語とは、それを描写したら駄目だよ、ということがよくある。考えてみれば物語とはありうる可能性から起こりうるすべての時間線をのぞいてみて、そうして取捨選択されたものだとも言える。
 
 ∧∧
(‥ )ネルフ機関が理不尽な
\‐  集団であることも
    妹ちゃんの影が薄いのも
    シンジくんの収入が
    描写されないのも
    必然の理由があるのだと
 
  (‥ )少なくとも、制作者は
      ありうる設定から起きる
      それぞれの物語の
      未来と時間線に
      首を突っ込んでみた
      その中から
      破綻が起きないものを
      選んだ
      そういうことだろう
      からね
 
 文章作りもそうだけども、物語もまたそういうものだろう。目前ではいかにもよさげな一手に見えるが、数手先まで読んでみると破綻が起こる、だからその手を打てない、ということがある。
 
 言い換えてしまうと、目前の問題を解決できる、このことに有頂天になって悪手を打つような人は、物語作りにも文章を書くのにも向いていない。というか、あらゆることに向いていないのではなかろうか。そんな彼に出来るのは、今、目前のことをただべらべらと論評することだけだろう。実際、評論家は自分の主張の先が破綻していようがなんだろうが、そんなことはおかまいなしに語る。
 
 ∧∧
( ‥)評論家はともかく
    作り手側として
    むしろ課題なのは
    受取側の状況が変ることで
    物語の解釈や印象や
    連想が変ってしまうという
    ことですね
 
  ( ‥)ネルフからブラック企業を
    ‐□ 連想するようになる
      これは時代が変ったこと
      日本の経済とその構造が
      変ってしまったことを
      示しているわけだ
      解釈と連想が変る
      この状況こそが
      色々な意味で深刻なこと
      なのだよな

 
 これはhilihiliのhilihili: 学校の物語がブラック企業の物語になったの続き
 
 
      

2014年8月30日土曜日

学校の物語がブラック企業の物語になった

 
 最近、見かけるようになった評価
 
 エヴァンゲリオンのネルフ機関はブラック企業
 
 子供にしか扱えないような兵器を作って、子供にそれを説明無しに押しつけるって馬鹿でしょ
 
 ∧∧
(‥ )本来、エヴァンゲリオンは
\‐  大人って理不尽だよね
    という子供の物語なの
    でしょうけどね
 
  (‥ )企業というよりは
      物語全体が学校というかな
      そこから逃げたいけど
      逃げちゃ駄目だ、なのだ
      そもそも少なくとも
      日本の物語の多くは
      学校というこの嫌な
      日常から脱出したい
      というものなんだが
 
 *この日常から脱出したい、というのはシンデレラでもそうなので、これ自体は日本の物語の特徴ではなく、人類が持つ、日常に関する不平不満と向上心の現れだと思った方が良いのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)いずれにせよネルフや
    ゲンドウお父さんのやり方が
    槍玉に挙げられるってのは
    時代が変った証拠ですかね?
 
  ( ‥)低賃金労働で
    ‐□ 成り上がった日本は
      豊かになった時点で
      それが通用しなくなった
      第一次、第二次と進行した
      より派生的で新しい産業は
      ITしかり、Amazonしかり
      apple、googleしかり
      日本でもアメリカでも
      かつて成り上がった
      中間層を支えるような
      豊かで大きな雇用を
      生み出せない

 
 利潤を上げるために止むを得ない措置ではあったが、賃下げを行った。これは低賃金労働者の発明に他ならないし、派遣社員というのは単にそれを体現した、便利で遠回しな言い方にすぎぬ。ブラック企業とは恥知らずにこれを行った老人の悪手にすぎぬ。これは状況がこうなってしまう前に生まれておいしいところを取った、歳を食った正社員たちの勝ち逃げでもあるし、格差の発明でもある。成り上がった年寄りと、しわ寄せを食らった若い世代との断絶でもある。
 
 未来を奪われた人間の失望は深い。もはやそれは理不尽な学校などという生易しいものではない。今となってはセカンドインパクトが起きてほしいと思う人の方が多いかもしれない。実際に起きれば地獄だけども、勝ち組と負け組が確定して覆せなくなると、人は趨勢が決まったゲームの盤をひっくり返そうとする。これは必然。
 
 ∧∧
(‥ )エヴァの一期は1995年
\‐  新劇場版まで10年以上
    2014年の今年
    すでに19年目ですか
 
  (‥ )産業と雇用のあり方が
      変ってしまって
      受け取り方や解釈が
      変ってしまったんだな
      認識に変化を強制する
      現実の変貌
      それを引き起こすのに
      十分な時間だね

 考えてみればエヴァンゲリオンの世界には、少なくとも描写の上では格差というものが見当たらないし、低賃金労働者というものも見えてこない。杭打ち機のハンマー音が響く世界は昭和のそれで、あの音を覚えている人間は40代以下ではもはやいないのではないだろうか? 今では多分、基礎工事に使われる杭とその孔は、ドリルなどで静かに掘る方法に取って代わっているはずだ。あれは復興と発展の記憶で、美しいかもしれないが、もはや色褪せた過去なのだとも言える。時代は変るのだ。
 
 ∧∧
(‥ )どうしたもんですかね?
\‐
 
  (‥ )解釈が変ること自体は
      どうでも良い話なんだ
      問題はこういう産業や
      雇用の変化が
      作り手側に及ぼす影響だな
      実際、すでに
      及んでいるわけで
      解釈の変化はその発露に
      すぎない
 
 消費者がいなくなれば解釈うんぬん以前に作り手は生活ができなくなる。経験は継承されず、もはや作ることはできない。格差が広がれば、例えば極端に考えれば学園ラブコメなどはジャンルとして成立しない。そもそも学校に通える人間が限られてしまうからだ。そうなると存在する消費者の数以上に創作は成立が厳しくなる。格差はかように市場を分断して小さくしてしまう。小さな世界で住める者はごく限られたものになり、その有様は萎縮する。
 
 ∧∧
( ‥)どうしたものですかね?
 
  ( ‥)日本の場合、格差は
    ‐□ 同一集団の
      老人と若者で起こっている
      老人共は死ぬし
      同一集団の中で問題は
      自己解決される
      ニートや引きこもりは
      裕福な親から子供への
      財産の移動だとも言える
      それは問題解決の
      ひとつのあり方でもある
      そうはいっても
      もう一工夫必要だよな
 
 
 

2014年8月29日金曜日

僕らの

 
 青臭い主張と死に損ないの主張が激突した結果、ついに決起した生徒と反撃する教師の間に立ったネゴシエーター
 
 調停のために作られたはずの彼は、だがしかし、完璧なる第三者として戦車を駆って大破壊を開始する。
 
 ∧∧
( ‥)裁定は下されたー
 
  ( ‥)生徒も教師も
      一件落着
      皆殺しー!
 
 校舎どころか、町並みもろとも業火の中で燃え尽きる
 
 これぞ、僕らの火の七日間戦争
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
  ( - -)なんか疲れちゃった
    ‐□ なんでかな?
 
 

二ヶ月で作ったとは無謀な しかし出来たとは驚異

 
 惑星大戦争という映画がかつてあった。
 
 =>https://www.google.co.jp/search?q=惑星大戦争&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=SGr_U6zXB86TuATd9oL4BQ&ved=0CAYQ_AUoAQ&biw=855&bih=683
 
 
 ∧∧
(‥ )公開は1977年ですか
\‐
 
  (‥ )ああ、見た記憶が
      あるなあ
 
 確か、子供心ながらに特撮がちょっとしょぼい、というか、作り物感を感じたというか...
 
 だが、特撮に詳しい人から先日、話を聞いて驚いた
 
 ∧∧
( ‥)2ヶ月で制作したと
 
  (‥ )阿呆だ...
 
 というか、すげー、二ヶ月ってまじかよ。本でさえもこんな速度で作ったら破綻するのに、それを映画でやりますか。しかも、しょぼい、とか色々感じてしまうにしても、きちんと作品になっているわけだし。
 
 ∧∧
(‥ )学生が作る自主制作映画だって
\‐  こんな速度で作ったら
    まあ、どうなるかって
    言ったらね
    げろげろなものか
    適当な自称ドキュメントを
    撮って編集抜きの
    垂れ流し上映会で
    終わりだよね
 
  (‥ )それを公開できる出来に
      してしまうのだからな
      やっぱプロは違うよな
 
 確かに、理屈の上では2時間映画なら30分番組4本分だろ? 週4本の特撮番組制作と同じだろ? だったら一ヶ月だ。二ヶ月なら余裕ー、とか言い放つことは可能なんだろうけども。
 
 ∧∧
( ‥)そんな理屈で
    何でも出来るのなら
    世の中
    苦労はしませんよと
 
  ( ‥)人がいたんだな
    ‐□ 背景、小道具、衣装、
      メカ、これらを作る人
      材料を調達する人
      調達先と仕入れる人
      それぞれの人に
      指示を出す人
      指示を出す人のために
      デザインを描く人
      その人のために
      お話を考える人
      さらに役者と事務方と
  
 必要な人をそろえられたってことは、それだけの人々がいて、彼ら全員がとにかく生活できていた、ということを示している。

 ∧∧
(‥ )作る、売り上げる、
\‐  支払いが出る、生活できる
    それでも儲けが残って
    それを次回作への予算に
    振り当てられる
    経済が回っていたんだね
 
  (‥ )言い換えるとさ
      これが一回破綻すると
      以上の前提が全部
      壊れちゃうんだよな
 
 生活ができなくなり、必然、人はいなくなり、ゆえに人をそろえられなくなり、経験の蓄積がなくなり、どうすれば良いのか分からず、そして良いものを作ることなどできない。
 
 ∧∧
( ‥)一回崩壊して
    それっきり
    立ち上がれなくなった
    組織とか軍勢とか
    分野、ジャンル
    色々とあるからね
 
  ( ‥)かつて出来たことが
    ‐□ 今はもうできない
 
 こういう時、人はしばしば精神論で説明する。出来たのだからかつての人は偉大だった。出来ないのだから今の人は堕落している、根性がない、やる気がない、と。
 
 ∧∧
(‥ )でも実際はもっと
\‐  単純なのだろうね
    一度回転を止めたら
    人はいなくなり
    業者は仕事を止め
    発注先はなくなり
    材料はそろわず
    経験は継承出来ず
    あるいは忘れ去られ
    どうすれば組織化できたのか
    必要なものは何か?
    それすらも理解できない
 
  (‥ )そもそもそれを
      理解できないから
      精神論で説明しちゃうの
      だろうからな
 
 必要なものが分からない人間は、無知を精神論で説明するしかないのだ。知らないものを説明するために、無知の空間に存在しない精神と魂というものを挿入して説明した気になる。人間がよく陥りがちな行動である。
 
 
 ∧∧
(‥ )...あなたはゲームの
\‐  艦これに批判的な
    軍オタがいると聞いて
    ぎょっとした
    わけだよね
 
  (‥ )質をそろえた擬人化を
      時間内で成立させよ
      という課題は
      無茶苦茶な話でな
      個人技ならどうにかなるが
      集団作業でそれをやるのは
      無謀も良いところでな
      というかだね
      実際に死屍累々なんだよね
 
 それを成立させ成功せしめた、というのは恐るべき組織力があったことを示す。少なくとも成功へ導いた不可欠なパーツと動作と知識と経験と対応があったことを示す。
 
 ∧∧
( ‥)これぞ組織力
    そして組織力の頂点こそ
    軍隊と軍事なり
    これなくば軍隊は
    移動することもできぬ
 
  ( ‥)軍オタたるものが
    ‐□ 組織力に目を向けない
      そこに注目しない
      だとするのなら
      ちょっとぎょっと
      させられる話でな
     
 物事の背景には何かしら組織的な問題と課題がある。それは必ず目の前にある。単に我々がそれを見ないだけだ。 
 
 
 
 

2014年8月28日木曜日

所属ではない構成だ

 
 ∧∧
( ‥)メールの文面を
    打ち込むのに
    1時間ですか
 
  ( ‥)ただの事務的な
    ‐/ やり取りではなくて
      どうするのこれ?
      どうしましょうね?
      だからな
      打ち合わせに近いわけで
      当然と言えば当然よ
 
 メールをかちかち打って、参考資料にぱらぱらっと目を通しているうちに思いついた。
 
 具体的に作ってしまえば分かるじゃない!
 
 ∧∧
(‥ )編集者さんの懸念は
\‐  偏ってしまわないか?
    ですからね
 
  (‥ )それ分かるのだよな
      描いていて
      これやばくね? と
      こっちも懸念を
      感じたからね
      しかしだ
      ならば具体的に
      全部作ってしまえば
      分かることなのよな
 
 アイドル大集合の時に、人はアイドルの事務所を気にするか? 
 
 否!
 
 だがしかし、ジャニーズやAKBはどうなるのか?
 
 否! 人はイケメンの男の子と、どこにでもいそうな、しかし可愛い素人っぽい女の子を指し示す時、その呼称として彼らが所属するグループ名を用いたにすぎぬ。そこにあるのは事務所ではない。その呼称が指し示すものは、むしろ戦略である。
 
 ならば諸君。重大なのはもはや所属ではない。並んだアイドルたちの事務所に偏りがあるかないかではない。今、眼前に立つアイドルたちが視聴者を飽きさせない構成になっているか、いないか、それこそが問題となるのだ。
 
 普通のアイドルをただ並べるだけでは駄目だ。
 
 そこに巨乳はいるか? 眼鏡はいるか? ツルペタはいるか? ロリはいるか? 男の子、いや、男の娘がいるか? 男装の麗人はいるか? メイドがいるか? 人妻はいるか? メカがいるか? 宇宙人がいるか? 男が憧れるような戦士は混ざっているか?
 
 諸君、問われるのはここである!
 
 ∧∧
(‥ )なにを言っているのやら...
\‐  でも、構成が良いか悪いか
    それは具体的に
    描いてみなければ
    分からないからね
 
  (‥ )ならば描け
      それだけの話よ
      それをしないと
      懸念するだけになって
      しまうからな
      それでは前に進めん
      そして具体的に描くは
      作り手である俺の仕事
 
 ∧∧
( ‥)でっ? あなたにそれが
    出来るわけ?
 
  ( ‥)俺より下手な奴だって
    ‐□ やってるんだよ?
      あれを見て
      僕ちゃんできません
      なんて言えるかよ
 
 ∧∧
( ‥)無謀な
 
  ( ‥)仕事とはそういうものよ
    ‐/ それに自営業だしな

 
 やるしかないなら、やればよかろう。
 
 

 
 

輝ける国

 
 
 ∧∧
(‥ )アメリカは中東問題を
\‐  どう解決すれば
    良いのでしょうね
 
  (‥ )みんなでイスラームに
      回収して
      中東を征服
      パレスチナは解放
      イスラエルは
      ”聖典の民”として
      ”保護下”に置けば
      良いんじゃね?
 
 ∧∧
( ‥)無理じゃんよ
 
  ( ‥)じゃあもう永久に
    ‐□ 戦争して
      防衛線が破られる
      数百年後まで
      軍事力を
      維持するためだけの
      国家に変貌するしか
      ないよね
 
 例えばの話、日本に太平洋西岸とインド洋周辺までまかせるということは、彼らには出来まい。原爆を落とし、東京など主要都市で民間人を焼夷弾で虐殺したのだ。日本を自由にしたら復讐されると思っているだろうし、そう思われるのは当然でもある。
 
 *言い換えると、アメリカは実際のところ中国とか韓国とか朝鮮半島の裏切りとかを、日本と比較すれば脅威とは思っていないということやもしれぬ。
 
 ∧∧
(‥ )じゃあ突っ走るしかないね
\‐
 
  (‥ )先住民を虐殺した
      新世界を抹殺した
      アフリカの人々を
      奴隷化した
      世界中から富を奪った
      そうやって西欧が築いた
      富から生まれたのが
      民主主義だろ?
 

 民主主義は統治に一回も成功したことがないし、事実としてイラクの統治に失敗した。民主主義は虐殺と奴隷化しかできない。そう考えることもできる。
 
 統治できない
 虐殺は出来ても皆殺しには出来ない
 しかし征服もできない
 
 これが正しいとすれば、もう未来は決まっているのだ。和平はない。戦争を継続しなければならぬ。次々に出現する新たな敵と永々と戦わなくてはなぬ。問題は解決できず、解決できない問題を封じ込めれば問題はさらに悪化する。まるで破綻へと無自覚に突き進む夫婦生活のように状況は悪化するのみ。
 
 つまり、いつか防衛線は破られる。いつか押さえ込んでいた腕をふっとばして蓋が爆発する。それを避けることはもはや出来ぬ。しかしその時を遅らせることは可能だ。そのためには国民全員を統制し、強大な軍事力を維持するためだけの消耗品として人々を使いつぶさなければならぬ。国民の命を守るために国民を燃料として消耗しなければならぬ。このためには宗教への熱狂と膨大な低賃金労働者が発明されねばならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )事実、アメリカの中間層は
\‐  壊滅してしまった
    次は宗教の復権ですかね
 
  (‥ )素晴らしいだろ?
      今、アメリカは
      確実に輝いているのだ

 例えばの話、あれを観察すれば、ローマ帝国の末期に何が起こったのか、皇帝たちが何を苦しみ、何を必死に模索したのか?
 
 ∧∧
( ‥)それを理解できるのでは
    ないだろうか...と?
 
  ( ‥)少なくとも
    ‐□ 問題の根幹は
      多分同じだよね
      軍隊には金がかかり
      人件費が膨大で
      しかしそれを維持すべき
      農村の生産力には
      限界があり
      しかし維持できる軍隊が
      存在しないと
      農村それ自体を
      防衛できなくなってしまう
 
 広大な国境線の向こうには敵がいてゲリラ戦を挑んでくる。相手はこちらよりも人件費が安くて、敵を殺しまくって勝ってもなお、見返りが無い。金だけが出て行ってしまうし、しかしその金をケチると大変なことが起こる。
 
 ∧∧
(‥ )帝国は最後は
\‐  統制されて組合化して
    さらには階級が定められて
    義務の重圧だけが残った
    そう評されたことも
    あったのだよね
 
  (‥ )それ自体は
      言い過ぎにしても
      当時の農業生産力で
      万だの十万だの
      それ以上だの
      そんな大規模な軍隊を
      維持するには
      相当なことをした
      だろうからね
      社会に与えた負担が
      なにかしら不平や不満の
      記録になって残るのは
      当然だよな
 
 そして、いくら工業化してもこういう制約から国家が自由になることはありえない。それを思うに、アメリカとその未来は、今、世界のどこよりも素晴らしい。
 
 
 
 
   

2014年8月27日水曜日

薄い本と薄めた本

 
 曇り空と小雨がぱらつく天気。本日2014年8月27日は涼しい一日であった。
 
 ∧∧
(‥ )20時現在の気温が
\‐  ここ神奈川の中央で
    21度だね
 
  (‥ )室内よりも外が
      涼しいのは
      ひさしぶりだな
 
 ただし、湿度は100%である。
 
 ∧∧
( ‥)洗濯物が全然乾かないから
    お昼に取り込んだけど
 
  ( ‥)小雨がぱらつくし
    ‐□ 涼しいけども
      歩き回っても
      あまり嬉しくない天気だな

 
 
 室内は25度、湿度は80%。エアコンは除湿状態で稼働中だけども、センサーの感度と温度設定から考えるとほとんど動いていないかもしれない。
  
 ∧∧
(‥ )窓を開けるにはちょっと
    嫌な天気だよね
 
  (‥ )人体と機械がある室内は
      どうしても外気温より
      数度以上高くなるからな
      湿度が高い外気が入ると
      外よりも蒸し暑い状態に
      なってしまう
      部屋を閉め切って
      一時的にでも除湿した方が
      快適だよね
 
 さて
 
 薄い本を作らねばならない。
 
 ∧∧
( ‥)そのままだと同人誌の話に
    聞こえちゃうよね
 
  ( ‥)同人誌は発行部数が
    ‐□ 少ないからかな
      1冊を現実的な値段で
      押さえるために
      ページ数が
      20とか30とか
      そんな程度になるみたい
      だよね
 
 1冊700円とか1000円だとか。値段だけで流通している単行本と比較すれば、7000円とか1万円の本に相当するような金額であるし、同人誌とは必然、物理的な意味で薄いものだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも、今ここであなたが
    言っている”薄い本”とは
    内容が薄い本だよね
 
  ( ‥)内容を濃くする
    ‐□ 情報を圧縮すると
      売れないんだよな
 
 読み手の心を考えろ、という陳腐でお決まりで抽象的な方法論から考えれば、情報があまりに多いと読者の頭がパンクする。そう表現すれば良いか。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、スープを注文したのに
\‐   固体の何かが出てきたら
     みんな困るからね
 
  (‥ )みっ、水をくれ
      悪いな
      あるのはミルクだけだ
      じゃあ...ミルクを頼む
      あいよ
      ごろん
      チーズじゃねえかよ
      しかも固てえ
 
 ∧∧
( ‥)せめて刻んでお湯で煮て
    出してくれと
 
  ( ‥)でもそうするとさ
    ‐□ 肝心なことが全然
      書けなくなっちゃうの
      だよな
 
 ∧∧
(‥ )話題をひとつだけにする
\‐  それを理解するために
    必要な事柄を延々と語る
    それだけで一冊の本にして
    しまう
 
  (‥ )そういう手もあるな
      ひとつの話題だけに
      特化した
      薄めた本を
      次々に出して
      理解全体を完成させる
 
 一冊の本ですむところを、10冊、20冊にしてしまう。そういう方法。
 
 ∧∧
(‥ )全体を説明した1冊書いた
\‐   では次の2冊目は
     内容をもっと掘り下げる...
     ではなくて
     ごくわずかな深層だけを
     薄めて出す
     そうして2冊目は
     その隣にある深層を
     薄めて出す
     その繰り返しですか?
 
  (‥ )そんな感じかな?
      ただ、これは面白いのか?
      という問題があるね
 
 というか、これは言って見れば雑誌の特集号に近い話で、あるいは毎号ついてくるパーツをそろえると完成します、みたいなもので、魅力的なのかどうか問題だ。
 
 ∧∧
( ‥)というか読みやすい
    読みにくいは
    魅力とはあまり関係ないよね
    読める読めないで
    魅力を語るのは
    駄目かもですよ
 
  ( ‥)今回はネジの話しましょ
    ‐□ 今回はフレームの話を
      しましょ
      全部読めば自動車のことが
      わかるよ
      そう言われてもな
      なんかぴんとこないしな
 
 それだったら、ネジから見た車の本、フレームから見た車の本、という方がまだましであるようにも思える。
 
 ∧∧
(‥ )取り上げるものは毎回
\‐  自動車で古今東西色々なものが
    出てくるのだけど
    本自体の切り口は
    ネジだったりフレームだったり
    ブレーキだったり重量や
    素材だったりすると
 
  (‥ )これも掘り下げて
      薄めているのだけどな
      今回はポルシェの
      この車種だけを
      徹底紹介しますとか
      そういうのよりは
      敷居が低いかもね
 
 ∧∧
( ‥)どうしたもんですかね?
 
  ( ‥)どうしたもこうしたも
    ‐□ やれば良いだけの話でな
      
 やっても結果がよく分からないことはあるが、そもそも、やらないと結果は分からんのである。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも本当にコアな話題
\‐  物事の奥底
    芯にある話題って
    どうしたものでしょうね
 
  (‥ )そういうのは...
      それこそ薄い本でやれ
      そういうことに
      なるのかもな
      ただ、それだと
      本を出せるだけで
      売れないよね
 
 ∧∧
( ‥)売ってさばかないと
    生活できないも
    さることながら
    話が伝わらないからね
 
  ( ‥)物事の芯の部分
    ‐□ これを売るには
      もう一工夫
      必要だろうね


 
 

それが出来るなら詐欺師をやっているはずでしょう

 
 
 ∧∧
(‥ )読み手のことを
\‐  考えて書きましょう
 
  (‥ )そんなもの分からんし
      確認のしようもない
      それにそんなことが
      出来るのなら
      俺は詐欺師をやってるよ
 
 
 
 

脳のそこだけを鍛える

 
 
 ∧∧
(‥ )納得できる本を
\‐  読むものではない、と
 
  (‥ )ああ、言われれば
      確かにそうかもな
 
 脳みそも筋肉と同じ。同じ場所を使い続けると、そこだけが鍛えられる。
 
 ∧∧
( ‥)自分が納得できる本を
    読んでばかりいると
    脳みそのそこだけが
    鍛えられる
    理解どころか情報を処理する
    脳みそ自体がいびつになる
    そういう理解しか
    出来なくなる
    そのいびつさも
    認識できなくなってしまう
 
  ( ‥)UFOの本ばかり読んで
    ‐□ 天文学や物理学や
      地学や生物学の本を
      読まぬままに
      宇宙人を論ずるような
      ものだな
      でもそれと同じくらい
      いびつなことを
      僕らは知らず知らず
      無自覚のうちに
      やっているのだろうな
 
 
      
    

愛こそすべて

 
 ∧∧
(‥ )...自分を裏切らない彼女が
\‐  欲しいそうですよ
 
  (‥ )彼女の体内に爆弾でも
      埋め込めば問題解決
 
 
 ∧∧
(‥ )そういう非道ではなく
\   本当の愛情が欲しいそうです

 
  (‥ )本当の愛などと
      そんなたわ言を
      ほざいとる奴が
      爆弾ごときで
      何いうちょるんじゃ
 
 
 
 

2014年8月26日火曜日

幸せの物語を書いた以上、ハーレムものを批判できまい

 
 ∧∧
( ‥)科学技術を放棄することで
    みなが幸せになることは
    可能ではある
 
  ( ‥)低賃金労働者を
    ‐□ 確保しなければ
      いけないから
      階級制がある社会に
      なると思うけども
      そっちの方が幸せかもな

 生まれつき、人々が生き方を指定された世界だ。実際、こうでないと地球の持続的な使用など不可能である。そして多分、この世界の方が今の世界よりも楽だろう。なにもかも決まっているのだ。考える必要はない。もちろん、新しいことは一切禁止されるだろう。道徳と宗教でがんじがらめの、静かな世界だろう。娯楽もワンパターンで、どれも同じだろう。どっちかというと若者向けではなく、死に損ないの老人向けの世界ではあるが、美しい世界ではあるはずだ。スリルもなく、悪徳もなく、ごみかすのような世界だ。もちろん、上辺はきれいだが、暗闘も暗躍もあるだろう。だが、それでもきれいな世界には違いない。単にきれいなだけだが、まあ、悪いわけじゃない。

 
 では...この手の話の何がいけないのかというと、それは良い悪いの問題ではなく、科学技術を放棄したものから食われるのが現実である以上、こんなものは夢物語以下でしかない、というだけの話であって
 
 ∧∧
(‥ )世界は人間が幸せに
\‐  なることを
    認めていないとも言えますね
 
  (‥ )まあ、そんなところ
      だろうな
      僕らに選択の余地は
      ないわけだ
      世界はこう述べている
      お前ら苦しんで死ね、と
 
 
 もちろん、科学技術を放棄することで皆が幸せになった世界を構想することも、夢想することもできよう。ある日突然、平凡な僕がもてもてハーレム状態に突入することを夢想するように。
 
 ∧∧
(‥ )夢想することは自由だし
\‐  それが商品にもなるしね
 
  (‥ )とはいえ言えることはある
 
 科学技術を放棄して人々が幸せになるのだ、そういう物語を書いた人間にハーレムものを批判する権利など無い。
 
 
      
 

2014年8月25日月曜日

もうそこまで来ている

 
 低賃金労働者を発明しなければならない。そうしないと富という”偏り”を生み出せない。
 
 ∧∧
(‥ )農奴、奴隷、移民
\‐  それぞれ
    階級で、武力で、
    あるいは海外との格差で
    低賃金労働者を
    作り出した試みだよね
 
  (‥ )西ローマ帝国の崩壊以来
      1000年
      地を這いずり続けた
      西欧世界は
      たまたま新世界を発見し
      大陸丸ごと奴隷化したのだ
 
 それからさらに500年。今度は自分たちの農奴を解放し、これらを兵士とすることで武力の飛躍的な発展を遂げた西欧世界は、ついに世界征服を成し遂げた。しかし、結局は植民地の大部分と奴隷の多くを失った。代わって移民を新たな低賃金労働者と定めた。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そんなとこだろうと
 
  ( ‥)連中は我々と同じ人間だ
    ‐□ 彼ら西欧人が
      非西欧人よりも
      賢いなんてことは
      原理的にありえないからね
      成功の原因はごく単純な
      物理的な事柄に
      還元しなければならん
 
 実際、帝国崩壊以来、巨大な領域国家をついに再建できなかった西欧だ。むしろ連中は底抜けに頭悪いんじゃね? と思わせる証拠の方があるとも言える。

 もちろん、これもまた頭が悪いわけではなく、やはり別の外的な要因があると見るべきなんだろう。人間はうまくいかないと、あるいは反対にうまくいくと、成功の原因を、あるいは失敗の要因を、頭の良し悪しや努力や精神の高潔性、あるいは堕落へと転嫁したがる。人間の発想は元来、オカルト的である。
 
 ∧∧
(‥ )ともあれ西欧世界は
\‐  世界中から富を集めましたよと
 
  (‥ )まあ、ようするに収奪だな
      言葉を選んでも
      しょうがないからね
 
 収奪した富は、しかし、これを消費すれば高い場所から低い場所へと流れ込む。
 
 ∧∧
( ‥)日本人がやったことは
    自らを発展途上の
    低賃金労働者として使い
    西欧が築いた富を
    こちらへ流れ落ちるように
    したことだった
 
  (‥ )厳密に言えば
      戦後の高度経済成長時代の
      日本人がそうだった
      それだけの話だがな
 
 つまり以上の視点からするとこうなる
 
 欧米の自画自賛と誇り。すなわち民主主義と自由な社会と成功、これはほぼまったく嘘だ。彼らの成功は単純に戦争だ。大陸丸ごとの奴隷を見つけた事と、戦争ばかりして培った軍事文化が彼らの富と自由を可能にならしめた。
 
 日本の、特に戦後の高度経済成長時代に働いた人々の成功体験、つまり努力は、これもまた、まったくなんの意味もない。それは本来、別世界の極貧の人々が奴隷にされ、収奪された富がこちらへ流れ込んできただけだった。そして高低差がなくなればすべてはそこで終わる。
 
 ∧∧
( ‥)つまり民主主義と努力とは
    どちらも何の意味もない
    ただの幻想
    幻の成功体験
 
  ( ‥)実際、アメリカは
    ‐□ イラクを民主的に
      統治しようとして
      失敗したよね
      というか、そもそも
      民主主義は他国を
      奴隷化するだけで
      統治したことないしな
      そして日本では努力努力と
      馬鹿の一つ覚えを連呼して
      成功体験者たちは
      低賃金と首切りを
      繰り返すだけで
      何一つ解決できていない

 
 
 ほら、これぞ皆が大事に抱えている成功体験と信念の正体だ。そこには何も無いし、そもそも何も無かったのだ。
 
 ∧∧
( ‥)ようするにですよ
 
  (‥ )僕らのやっていること
      信じていること
      これら全部、
      まったく何の意味もない
 
 時代についていけない、時代に取り残される。人はそういうことは知っているが、では、今の自分のどこが時代遅れなのか分からない。
 
 分からない以上は、それはすでにそこにあるのではないか?
 
 見えないというのなら、それはすでにそこにいるのだ。そうではないか?
 
 

もうね、体力ないんすよ

 
 
 ∧∧
(‥ )ジャーナリズムは
\‐  反権力であるべきです
 
  (‥ )まあ、その方が
      楽だからね
 
 ∧∧
( ‥)結論に合わせて
    お話をつくるお仕事です
 
  ( ‥)ようするに
    ‐□ ああいう連中は
      もうそういう
      歳なんだよな
 
 人間の行動は合理的なものだ

 ∧∧
( ‥)楽をしたい?
 
  (‥ )それはまだましな
      方かなあ
 
 
 楽をするかしないかではない。体力が無くて、もはや楽なことしかできない。
 
 これがおっさんの現実。
 
 だが、それでも面子だけは欲しいのだ。
 
 そこに現れたるは反権力というまばゆい輝き!
 
 しかも、反権力という結論ありきで書けば楽に記事が埋まる。一粒で二度美味しい、なんという素晴らしさ。
 
 おっさんたちが”反権力”という金メッキに飛びつくのは、まあしょうがないことではある。
 
 
 ∧∧
(‥ )せめて格好よく
\‐  なりたいからね
 
  (‥ )そこが絶望的に
      格好わるいのだがな
 
 
 
   

2足す2は5であると言う自由

 
 小説家アンソニー・バージェスは小説「1984年」について次のように述べた。
 
 本当の1984年はこんな風にはならない、と
 
 これを知った人は言った。
 
 この人は北朝鮮を見たら一体なんと言うのか??
 
 ∧∧
( ‥)なんて言うと思います?
 
  (‥ )具体的になんと言うかは
      知らんが
      あれだろ
      北の指導者たちは
      イングソック党の
      インナーパーティーたちに
      及びもつかない
      そういうことを
      言うのじゃないか?
 
 イングソック党:英国社会主義の略称で、オーウェルの小説「1984年」において世界を統治する3超大国のひとつ、オセアニアを支配する政党のこと。インナーパーティーはイングソック党の中枢メンバーでいわば貴族階級にあたる。エレベーターのあるマンションにすみ、ワインを飲み、召使いを抱えた人々だ。
 
 ∧∧
(‥ )ずいぶん慎ましい貴族階級も
 □‐  あったものですね
 
  (‥ )まともな娯楽もないし
      レジャー施設もない
      そもそも永久戦争続行中
      戦時体制の世界だ
      それを考えれば
      大変な贅沢だが
      現実世界の我々からすれば
      あまり嬉しくない
      程度だよね
 
 ついでに言うと、インナーパーティーたちの面々にはものっすごい量の仕事があるし、国民に餓死者が出ないように細心の注意を払っている激務の日々である。

 
 まあ、こういう話は抜きにして。
 
 1984年の世界における最大の特徴は独裁でも管理社会でもない。
 
 2足す2は5である
 
 この自由を行使する。それだけのために作り上げられた世界。それが1984年だ。
 
 ∧∧
( ‥)2足す2は4
    ではなくてね
 
  ( ‥)2足す2は5である
    ‐□ そう主張する自由は
      誰にでもあるが
      実際には誰にも無い
 
 2足す2は5である。そういう算術で作られた社会は崩壊してしまうだろうし、敵国によって征服されてしまうだろう。
 
 戦争がある限り、勝敗がある限り、生存競争と淘汰がある限り、2足す2は4でなければならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )それをひっくり返すには
\‐   戦争を無力化すれば良い
 
  (‥ )核戦争のあまりの破壊力に
      恐怖した人々は
      最終戦争を断固として
      拒否した
      そして取り決めによって
      通常兵器による永久戦争を
      無限継続することに決めた
 
 この瞬間。地球を統べる3つの超大国オセアニア、ユーラシア、イースタシアは戦争と征服による恐怖から永遠に解き放たれた。
 
 後は、
 
 2足す2は4にもなるし5にもなる。
 
 そう叫ぶ自由を行使すれば良いだけだ。さすれば、人は認識のおもむくまま、好きなように現実を解釈して生きていくことができる。これが”真の自由”というものではないか? なんといっても現実から自由なのだから。
 
 そして、それこそが1984年。これがイングソック党が目指す世界。全知全能絶対無謬。人が神になれる世界だ。
 
 イングソック党が掲げる3つのスローガン

 War is Peace
 Freedom is Slavery
 Ignorance is Strength
 
 戦争は平和なり
 自由は隷属なり
 無知は力なり
 
 War is Peace まさしく戦争は平和なり。この世界において無限戦争は恒久平和と等価である。
 
 ∧∧
( ‥)そして今や世界は
    戦争と征服と淘汰の
    圧力から解き放たれた
 
  (‥ )現実から解き放たれた
      世界はついに
      自由を手に入れた
      かつてあったような
      現実と向き合って判断する
      自由ではない
      かつての自由だと?
      そんなものは現実に対する
      隷属なのだ
      世界は自由という隷属から
      ついに解放され
      永久に夢の世界で
      生きていく事が
      可能となった
 
 そして無知こそ力なり。知らないのであれば、知る必要のなかった苦しみも認識も知覚しないですむ。こんなこと誰でも知っているはずではなかったか? なぜイングソック党のスローガンに首をかしげるのか。ここに謳われていることは真理。

 
 さあ、諸君、こっちに来たまえ。ここに引きこもれば、君はもう怖い現実と目を合わせないですむんだ。現実世界の自由に良いことなんかあったかい? なんで嫌なことばかりなのだろうね? それはね、現実世界の自由が牢獄の自由でしかないからさ。そんな広いだけで義務だらけの牢獄からこっちへ来たまえ。ここは今の君から見れば小さい世界かもしれない。でも怖い人はもういない。敵はいないからね。皆、君や私たちと同じ人々だよ。だから君は守られる。君の魂はずっと自由になる。そうすればこの小さな世界が何よりも大きく広大になる。認識を変えたまえ。それだけで、たったそれだけのことで君は幸せになれるのだ。幸せはここにあるんだよ。だから、さあ、おいで。
 
 ∧∧
(‥ )...という視点からすれば
\‐  バージェスさんの言いたい事は
    明らかですよね
 
  (‥ )現実の世界は
      こんな良い世界じゃない
      逃げ場なんてない
      この世界は牢獄で
      出口も存在しない
      ここは地獄だ
      永久戦争も
      恒久平和もやってこない
      永久闘争が現実だ
      そういうこっちゃ
 
 そうとも。みんな、あれではまるでビッグブラザーみたいだ、とか、1984年のように管理されてるとか、自由がないとか、資本主義の監視社会だとか言っているが、それは単純に現実が持っている特性なのだ。道徳とは相互監視とリンチと制裁からなりたっているのだ。これは1984年ではない。ただの現実世界の普通の出来事で、現実世界と今の自分の境遇を呪っているだけだ。

 そして、そういう束縛をすべて破壊して引きこもった理想郷こそが1984年だということにお気づきでない。これでは本末転倒ではないか。
 
 君らの不安や怒りや指摘は、1984年とその管理社会に対する恐怖じゃない。
 
 そうではなく、現実世界における自分に課された義務と重圧に恐怖を感じているのだ。お前の言っていることは自分の人生に対するただの愚痴だ。見識でもなんでもない。
 
 そして残念。
 
 楽園など来やしない。世界は恐怖ゆえに最後まで競合し続けるだろう。すべての資源を食いつぶすまで突っ走るだろう。それが競合であり戦争であり、争いというものだ。
 
 1984年のような世界はこの地球では実現できない。実際、そんな世界があったら、僕らが何をするか明らかだろうに。
 
 ∧∧
( ‥)侵略して征服して
    奴隷にするよね
 
  (‥ )実際、1984年の世界は
      技術的に言えば
      時間が止まってしまった
      状態だからな
      核兵器の存在だけが
      問題になるけどね
      人的資源が無尽蔵に
      存在する
      比較的無力な平行世界だよ
 
 
 そんな世界が目の前にあったら、我々は容赦しないだろう。もちろんオセアニアもユーラシアもイースタシアも必死の抵抗を試みるだろうが、彼らが我らに勝てる道理はない。そもそもすぐ勝つ必要もない。外部が存在する、容赦ない征服を目論み、本当の戦争を行う技術的にすぐれた敵がいる。これだけで彼らの世界は前提が崩壊してしまう。イングソック党のスローガンは雲散霧消する。引きこもり共の楽園は木っ端みじんに粉砕される。
 
 そして私たちはオセアニアもユーラシアもイースタシアも征服して全住民を奴隷にするだろう。それが現実というものだ。私たちには低賃金労働者が必要なのだ。事実、それを発明しようと必死ではないか。だったら目の前のものを食い尽くすのは道理。彼らを餓死に追い込んで、我々はひさしぶりの豊かさを満喫出来る。
 
 そして、現代世界でも踏みにじられていない国は単に緩衝国家だったりするのである。理由があって存在するのであって、夢を見れるわけじゃない。彼らは敵国が存在しており、相手は自分に対して容赦しないという現実を見据えている。現実とはそういうもので、1984年は夢物語でしかない。きれいで美しい世界だが、ガラス細工のように繊細で、現実世界で生き抜く事などできないだろう。

 
 現実世界は、1984年のようなものではなく、もっとわくわくするような世界だ。最後に死ぬ権利を、皆が死に絶えた世界にたった一人で立つ権利を得る。それを争って最後の一人まで殺し合う。これこそが我らの未来。我らの現実。
 
 2足す2は5である。そう言い放つ自由を私たちは持っていないのだ。
 
 人は現実世界から自由にはなれない。すなわち、自由は隷属なり。これを忘れてはならぬ。

   
 これはhilihiliのhilihili: 要するに君は最終回が見たくないのだな?の続き
    
 
 

2014年8月24日日曜日

なんかだんだん劣化してますね

 
 以前、こんな話を見かけた
 
 石油は数十年後に尽きる尽きる、そう言われていたけど尽きてないよね。なんでか知ってる? 実は、石油はマントルで無機的に自然に出来てくることが分かったんだ。だから石油は尽きないし、無尽蔵の資源なんだよ。
 
 ∧∧
(‥ )多分、2年ぐらい前に
\‐  見たのでしょうね
 
  (‥ )自分で検索をかけて
      見つけたが
      2012年の2月に
      ネタにしてるからね
 
=>hilihiliのhilihili: それは実にたやすいことだ
 
 *ちなみに今回、リンク先の文字列は、掛け合いの文字を18列以内に収まるように調整しなおした
 
 ∧∧
( ‥)確かiPhonでしたっけ?
    それでこのblogを覗いたら
    改行が収まり切れずに
    文章のまとまりが
    ”壊れて”いたからね
 
  ( ‥)...まあ2年前は
    ‐□ それを知らなかったわけで
      今回、リンクする際に
      調整したわけだ
      こんなことを考慮する
      必要があるのか
      よく分からんけどね
 
 ともあれ、話を戻すと、以上は2年前のことだ。
 
 そして先日見た話ではこうなっていた
 
 石油はマグマから出来るんですよ。でもそれが公になったら産油国が困っちゃうの。
 
 ∧∧
(‥ )...マントルがマグマに
\‐  置き換わっておるがな
 
  (‥ )まあ、語の頭がどっちも
      ”マ”だしな
 
 マントルとマグマ。この言葉の置き換わりは単純な勘違いなんだろう。なぜかというに世の中の人は、地球内部は溶けていると思い込んでいるからだ。だから地球内部の大半を占めるマントルもまた溶けている、そう思い込むのは無理もない。
 
 ∧∧
(‥ )というか多くの人は
\‐  マントルはマグマだと
    思っているんだよね
 
  (‥ )漫画やアニメでも
      地下へいくと無駄に
      マグマの描写があるからな
      根は深いよね
 
 実際には、地球の内部のほとんどを占めるマントルは基本カンラン岩で固体だ。溶けていない。溶けた岩石のマグマはところどころに局在しているだけだ。それは日本列島が火山国である一方で、朝鮮半島や中国大陸に火山が事実上存在しない事からも分かる。 
 
 とはいえ、勘違いだろうがなんだろうが、石油は地球内部で無機的に出来ているのではないか? という仮説は確かに昔からあるし、さらに言えば石油は火山とマグマの熱で出来る、という説自体もあることはあるそうだ。
 
 ∧∧
(‥ )でもまあ、
\‐  先の発言自体は
    単純な勘違いでしょうね
 
  (‥ )マグマで出来る仮説
      それ自体を
      聞いた事があるのなら
      ”マグマの熱で出来る”
      そう書くだろうからな
      ネットで話を
      聞きかじった時に
      マントルをマグマと
      勘違いした
      それだけだろうね
 
 ともあれ、勘違いにせよなんにせよ、この”マグマで石油が出来る説”、素人目に見てもかなり怪しいと言える。だってこの理屈で言えば、火山国である日本が産油国になるはずだ。だが現実はそうではない。
 
 ∧∧
(‥ )地層に貫入してきた
\‐  火山岩は隙間が多いから
    そこへ石油が集積するという
    こと自体はあるみたいですけど
 
  (‥ )まあ、石油は
      生物起源だよね
 
 マグマの勘違いはともかくとして
 
 マントルで石油が出来るという仮説は、根拠自体はあるにせよ、疑問は尽きない。
 
 例えば、
 
 石油が多く出るのは1000メートル〜2000メートルで、それより深い深度ではむしろ減るという。これはなぜなのか? マントルがある大深度から上がってくるというのならおかしくないか?
 
 石油に含まれる化合物には中心の金属元素がマグネシウムからバナジウムに置き換わってこそいるが、これは葉緑素だよね、というものがある。無機起源でこれが説明できるのか?
 
 マントルから上がってくるというのなら、ではなぜ石油は分厚い大陸地殻から産出するのか? マントルまでの厚みが薄いはずの海洋地殻から産出しないのはなぜか?
 
 石油が産出する場所はかつて海の水位が上昇した時に水没した地域の、それも原則として土砂が堆積した場所である。こんな偏りが無機起源説と整合的か?
 
 ∧∧
( ‥)石油は太古の
    植物プランクトンであり
    つまり太陽エネルギーを
    化学エネルギーに圧縮した
    ものである
 
  ( ‥)状況からすると
    ‐□ そう考えるのが
      自然だろうね
 
 石油が尽きる時間が先延ばしになっているのは、単純に掘削技術の発達で説明できる。話題になったオイルシェールだって、掘削した孔それ自体に孔をブチ開けてさらに孔を四方へと伸ばし、岩石を粉砕して取り出すという新技術がもたらした成果であるし。
 
 ∧∧
( ‥)でもネットでは
    噂話が次々に語り継がれて
    内容が変質し
    劣化して拡散している
 
  (‥ )ネットに限った話では
      ないのだよなあ
      本の時代から
      そうだったからね
 
 本もネットもそこは変らない。自分の知らない本に手を伸ばす、あるいはワンクリックしてリンク先を確認する、こういうわずかな動作も人間は節約してしまう。
 
 ∧∧
( ‥)そりゃそうでしょう
    無駄なことをしてたら
    消耗して死んじゃうからね
 
  ( ‥)少し手を伸ばせば
    ‐□ 届く知識や理解
      だがそこへ到達するのは
      絶対的に無理である
      それが僕ら人間だ
 
 どうしても越えられぬ壁があるのだ。それは頭の良し悪しの問題ではない。単純に体力の壁である。
 
 確かに確かに、
 
 本も、そしてネットも、知識と理解の格差を絶望的なまでに生み出す道具であって、正しい知識を広めるためものではなかったのだ。当たり前だ。レストランのメニューが増えたからといって、人は食わず嫌いを直すわけではない。偏食するだけである。
 
 チョコを欲しい子供が栄養と無関係にチョコを食べ続けるように、人は自分に都合の良い理解を選び続ける。ゆえに理解自体も進化する。人が望む理解ほど拡散するのであれば、そこには淘汰が働く。理解は必然的に、より都合の良い、より理解しやすい理解へと変貌し、変質を遂げるだろう。その変貌は正しいとか正しくないとか、そういうことと関係なく進行するだろう。
 
 では、先の言葉を次に見るとき、その時、それはどんな姿になっているのだろうか?
 
 
 *2年後、2016年10月10日のhilihiliのhilihili: その分からないという言い訳であなたの脳はどれだけ節約したの?へ続く
 
 
 
 

2014年8月23日土曜日

要するに君は最終回が見たくないのだな?

 
 科学はもう発展しない方が良い。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、正論かもね
\‐
 
  (‥ )農薬と化学肥料で
      食料生産は飛躍的に
      伸びたけども
      医学の発達で
      死亡率は下がり
      人口がひたすら増える
      農業と工業力が
      維持可能な許容一杯まで
      増加する
      貧困は根絶不可能で
      我々に未来はない
 
 状況は悪化するだけで、それは時間の問題だ。
 
 技術が引き起こした問題を解決するために新しい技術が、その技術が引き起こした新たな問題を解決するためにより新しい技術が。技術を維持するたびに状況は複雑化し、しかし問題自体の根本的解決はなし得ていない。
 
 ∧∧
(‥ )そりゃあ物理的な制約が
\‐  あるからね
 
  (‥ )このひた走る状況を
      是正するには
      科学技術を放棄して
      昔に戻るべきだ
      そう考えるのは
      当然だろうね
 
 医学を放棄して死亡率を上げれば良い
 
 化学肥料と農薬と品種改良を放棄して作物の生産量を激減させれば良い
 
 石油も石炭も放棄して物流の強大な力をそいでしまえば良い
 
 地球人口は急減して、状況の速度ははるかにゆるやかになる
 
 ∧∧
( ‥)後は極貧と多数死による
    安定した世界が
    残される
    少なくとも状況の進展は
    1万分の1ぐらいにまで
    落ちるでしょうね
 
  (‥ )問題はだ
      ”そのユートピア”は
      実現不可能である
      そこだよね
 
 科学と技術と医学と農業技術と化石燃料を放棄しよう。
 
 これ自体は簡単だ。
 
 だが、その取り決めを守らないものが一人でもいたら、彼が世界の覇王となる。彼が覇王となるのを阻止するために他の誰もが技術を放棄しない。
 
 つまり話は単純だ。放棄したものから食いつぶされ、残されるのは絶えず放棄しなかった者たちだ。状況は整理されるが、残されるのは爆走する国家群だけである。というか、今、起こっているのがそれではないか。
 
 ∧∧
(‥ )それでもユートピアを
\‐  建造するとしたら
    逸脱をゆるさない
    暴虐の
    管理社会になるしかない
 
  (‥ )1984年のようにだね

 
 一般的には誤解されているが、小説1984年の世界はディストピアを描いた小説ではない。あれは完璧なユートピアを描いた小説だ。核戦争とその破壊力に恐怖した人々が、もう二度とこんなことは御免だ。そう考えて集い、通常兵器による戦争を永久に継続しよう。そう取り決めた世界だ。
 
 戦争の永久継続によって勝ち負けがない世界にしよう。生存競争と淘汰のない永久に続く楽園を作り出そう。負け組がない世界を作ろう。最低の労働者も、最高の指導者も、誰もが平等に過労死できる社会にしよう。社会を変革してしまう科学と技術を放棄しよう。みんなでこの楽園に永住しよう。それを乱す異分子は細心の注意を払って取り除こう。そうしないと、このガラスのような平和とユートピアは崩れてしまうから。
 
 戦争の無限継続に基づく絶対平和
 絶対平和に基づく無謬の管理
 無謬遍在の管理に基づく楽園の永劫継続
 
 これが1984年、科学と技術を放棄して、前に進む事を諦め、引きこもりの道を選んだ人類が維持する永久と諦めのユートピア。
 
 ∧∧
( ‥)でも実際は1984年なんか
    実現するわけがない
 
  (‥ )誰か、必ず裏切り者が
      いるのだ
 
 1984年の指導者たちは現実的に言うと楽観的すぎるとも言える。彼らがしていることは敵を信頼し、仲間を信用する甘い考えでしかない。愚劣。
 
 ∧∧
(‥ )人間はそんな動物ではない
\‐
 
  (‥ )我らは全体主義などと
      ロマンチックに
      呼称してもな
      個体は集合には染まらん
      どんだけ甘っちょろい
      考え方をしているのだかな
 
 言い換えると、人間の未来に1984年はないのだ。
 
 ∧∧
( ‥)すると残された道は
    破滅の道だね
 
  (‥ )地球全体の植生を破壊し
      気候を変え
      農業それ自体で
      農業を破綻させ
      人間以外のすべての
      動物を抹殺してしまうのだ
      これ以外の未来は
      我らにない

 
 
 そして、タンパク源が人体しかなくなった未来では、人肉食が成立することになろう。
 
 ∧∧
(‥ )植生を食い尽くしたり
\‐  家畜を喪失した
    孤島で起きたことだよね
    さすがに地球規模では
    起こらないだろうけど
 
  (‥ )家畜の喪失は
      地球のような巨大な
      世界では起きにくい
      だろうからね
      でも状況は近似だぞ
 
 他の生物を構成する元素をことごとく人体に変えているのである。人間の死体を構成する元素からほぼ直結して食料を生産しなければ食料生産が間に合わなくなる。
 
 こういう状況は破滅的で、ついには複雑で高度化した社会を維持できなくなることは確実だ。社会は流動している。水が容器一杯にあふれて内部で渦を巻き、乱流を作り出したら何が起こるか道理であろう。物事は安定なんかしないのだ。そうではなく、物事は安定解へと崩壊しようとする。
 
 そもそも、社会を維持することも、生きていることも、その維持には膨大なエネルギーを費やさねばならない。生きた人間と都市ではなく、死んだ人間と都市の廃墟こそがエネルギー最低に近い状態であり、これこそが安定解なのだ。
 
 つまり、死体と廃墟へと至ること、これこそがこの世界の道理。この道理には、なんびとも逆らえない。
 
 ∧∧
( ‥)つまりあなたたちは
    生き延びるために
    今、戦っているわけではない
    最後に死ぬ権利を求めて
    殺し合いをするのである
 
  ( ‥)これは楽観的な世界観でな
    ‐□ 物事にすっぱりとした
      終わりがある
      視聴者に安心を与える
      価値観なのだ
 
 
 古今東西、すべての人ではないにせよ、世界には終わりがある、人はしばしばそう言ってきた。それを考えれば、以上のような未来への展望は、人々に対して希望を与えるものであること疑いない。
 
 言い換えれば、現在の工業社会は発展の限界と繁栄の頂点から崩れ去り、世界は破滅へ下る、この未来像はあまりにも楽天的なのだ。実際、正確には以上のようにはならないだろう。現実はもう少し複雑だ。事実、何でも誰でもだらだらと続いて見苦しいではないか。私たちは死体と廃墟でいることが安定解なのに、楽に死ぬ権利すらない。
 
 ∧∧
( ‥)でもあなたはそれでも
    この未来を現実的であると
    確信していると
 
  (‥ )方向性は正しい
      それを確信しているし
      望んでいるのだな
      というかだな
      最後に死ぬ権利を
      勝ち取る戦いに
      是非とも貢献いたしたく
 
 
 なんといっても、最後に死ぬ権利を手にするとは、最終回を見れる、ということなのだ。最終回を見れぬままに死んでいった、あまたの勇者たちを思い出せば良い。彼らには申し訳ないが、この特権を手放すのはあまりにもおしい。
 
 ∧∧
(‥ )...まあ、あなたの一生では
\‐  ちょっとたどり着けないけどね
 
  (‥ )そうかもね
      でもひるがえれば思うな
 
 技術と科学を捨てよ。ああ、もう歩くのに疲れたのは分かるし、膝を抱えて座り込みたくなるのも自然だろう。だがしかし、それはちょっとつまらない。それ以上に、現実的な選択肢でも認識でもない。というか、あなたは最終回が見たくないだけだ。なぜそんなことになってしまったのか?
 
 
 
 
 

未だ邂逅無し

 
 
 ∧∧
( ‥)なに?
 
  ( ‥)人付き合いが
    ‐□ ないせいかな
      ”着やせ”という現象は
      未だに目撃したことが
      ないなあ
 
 ∧∧
(‥ )...具体的には錯視のこと
\‐  なんでしょうけど
    真面目に考えれば
    トンデモ物理ですね
 
  (‥ )深刻に考えると
      途方も無い言葉だよな
 
 
 
 
      

ヤニ宇宙

 
 ∧∧
( ‥)でっ?
 
  ( ‥)オスカル...
    ‐□ この場合のオスカルは
      「ブリキの太鼓」の
      主人公が由来だね
 
 確実な確認はまだだけども、まず間違いない。
 
 ∧∧
(‥ )収穫としては
\‐  大きくはないけどね
 
  (‥ )やむをえまい
      仕事ってのはこんなもんよ

 
 
 さて
 
 日付も変ってすでに昨日、22日のことだけども、公園へいくと妙にヤニだからけの木があった。
 
 ∧∧ どうしたのでしょうね?
( ‥)
 ‐( ‥)なんだろうね
      あちこち
      吹き出して固まった
      ヤニだらけだな
 
 まあ、樹脂と言った方がまだ聞こえが良いのだろうか。でも近くによって大きく撮影してみると、単なるヤニが雰囲気をずいぶんと変える。
















 ∧∧
(‥ )...意外とうねってるね
\‐ 
  
  (‥ )なんかチューブから
      絞り出されたみたい
      なんだけどな
      植物のどこにこんな
      圧力を生み出す力が
      あるのだろうな
 
 
 

やっていることはお互いに自然なのです

 
 例えばこう考えてみればどうか?
 
 男性の方々に問う。例えば、あなたの知り合いに自分よりもかなり年上の女性がいるとしましょう。思い浮かべてください。彼女の外見はですね、なんて言うかな、年上だとか年齢がいってるとか、そういううんぬん以前に、失礼ながらぱっとしないのですよ。
 
 そんな人を思い浮かべてください。 
 
 ∧∧
( ‥)それがどうでしょう
    ある日、突然
    その彼女がですよ
    若くて
    スタイルが良くて
    その容姿は
    アイドル顔負けに
    なりました
    髪も肌もつやつやです
 
  (‥ )化粧とか整形ではない
      容姿もスタイルも
      身長や骨格まで変っている
      さらに
      本当に若返っているのだ
      細胞まで若くなっている
 
 そればかりじゃない。胸が大きくなっている!
 
 ∧∧
( ‥)さて、みなさんどうします?
 
  (‥ )そりゃあもうね
      手のひらを返しますよ
      男ですからね
      当然ですよ
 
 だがしかし
 
 ∧∧
(‥ )女の人は...
\‐  怒るだろうね
 
  (‥ )色々な反応がありうるが
      言いよる男性に対して
      彼女が軽蔑や疑いを
      抱くことは確実だ
 
 もちろん、こんなことは起きない。
 
 だがしかし、実はこれと同じ状況が、男性では起きるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)もちろん、男性が
    若返るわけではない
 
  (‥ )女性の売りは若さと胸だ
      一方
      男性の売りは金だ
 
 老化は不可逆な現象で、逆戻りすることはありえない。
 
 だが、金だったら逆転が可能である。ごくごくまれではあるが。
 
 それを考えると、まあ分かることがある。
 
 ∧∧
(‥ )金ができたら
\‐  急にもてるようになった
    だから
    自分に言いよってくる
    女の子の中で
    ”一番若くて
    一番胸の大きな子を
    選ぶのだ”
    そういう割り切った話が
    あったよね
 
  (‥ )どうせどの女の子も
      金目当てだ
      自分を評価している
      わけじゃない
      詐欺師や浪費家は
      論外にしても
      愛情なんてそもそも
      ないわけだ
      だったら品物と同じように
      一番良いものを
      選べばいいじゃないか
      そういう割り切りだな

 
 冒頭の仮想的な女性の話がそうであるように、もてること自体は男であれ、女であれ嬉しいだろう。
 
 だがその一方で、
 
 自分自身に価値があるわけではない
 自分に言いよる人たちは自分を見てくれているわけではない
 
 こういう醒めた冷たい感覚は脳裏から離れないであろう。
 
 そしてこれを非難することはできない。こう感じるのは当然の反応なのだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも見方を変えれば
\‐   言いよる方も
     自然なんだよ
     そういうことだよね
 
  (‥ )男が胸しか見ないのなら
      女は金しかみない
      価値観が違うだけで
      やってることは同じよな
      無神経にひどいことを
      するわけだよ
      まあ、価値観がずれている
      わけだからな
      どうにもならんね
     
 
 価値観が違う。たったこれだけでお互いが相容れないし、お互いが理解できない。そういうわけで、今日も殺し合いが起こることとなる。
 
 
 
     

2014年8月22日金曜日

アシナガバチな日々

 
 スイレンは水生植物だ。バケツに水を張り、そこにスイレンの鉢を沈める。そのバケツをふと見ると
 
 ∧∧
(‥ )ハチさんが来ているね
 
  (‥ )おう
      アシナガバチだなあ
 
 見ているとひっきりなしにやってくる。
 
 気がついたのは昨日21日だけども、今朝になり日が上がって撮影するとこう。












 飛んでくるとスイレンの茎を伝って水面まで降りる












そうして頭を水面につけては、何事かをしている。水を飲んでいるのだろうし、腹部がヒクヒクと動くのが見える。
 
 そうして、しばらくすると飛んでいくのだ。
 











 
 ∧∧
(‥ )見ていると数分置きに
°    やってくるね
 
  (‥ )2分置きぐらいだな
      のどが乾いたとかじゃ
      なくて
      水は巣を冷やすのに
      使うのだろうなあ

 
 暑いとき、アシナガバチは水を採取して、それを巣につけて、さらに羽ばたくことで送風し、巣を冷やす。そうしないとこの暑い季節だ。子供たちが死んでしまうのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)近くに巣があるんだね
 
  ( ‥)でもスイレンの水には
    ‐□ もうボウフラが
       湧いてるよ
       後で捨てて
       水を入れ替えて
       退治しないといけないな

 
 カの発生源になってはたまったものではないのだから。
 
 ∧∧
(‥ )夜に交換しましょうか
 □‐
 
  (‥ )まあ、今は使っている人が
      いるわけだからね

 
 *飛んでいくアシナガバチの行き先を調べたら、数十メートル先の民家の軒先に巣があった。手の大きさ、つまり”手のひら+指の長さ分”はあろうかという立派な円い巣だ。しかし、高い場所にあるし、羽音もしないので、誰も気がつかないだろう。
 
 


長いから一国では無理だよねえ

 
 シーレーン、つまり海上交通路は長過ぎるがゆえ、これを一国で防衛することは不可能。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、そうでしょうね
\‐  アメリカは例外かもだけど
    それでも単独の防衛は
    無茶だよね
 
  (‥ )つまり中国に勝ち目は
      ないわけだな
 
 それを考えるに、なぜにああまで中国は周辺諸国に対して衝突と軋轢を頻発させてしまうのか、なんとも不思議ではある。
 
 
 ∧∧
( ‥)しかもインドとか
    ベトナムとか
    海上交通路の要所
    あるいはその近辺にある
    国に対して派手に衝突
 
  ( ‥)元々陸軍国だし
    ‐□ そうなればお隣と
      喧嘩するし
      そもそも
      海外貿易とかの考えが
      希薄だったからかな
 
 あるいは、陸軍国として喧嘩したお隣のベトナムやインドが、実はユーラシアの縁辺で、海洋交通に干渉出来る位置にあったという結果論かもしれぬ。中国は事実上、内陸の国であったというのが巡り合わせの悪さというべきなのか。
 
 
 

 

2014年8月21日木曜日

なかなかに鼻息が荒いじゃないか

 
 私は傷つくのです。これは悲惨な出来事だから。しかし一見するとそうは思えない。だからだろうか、邪魔しやがってと吐き捨てる人もいる。でも、それは普通の人間じゃない、ただの馬鹿だ。普通の人はその悲惨を感じ取ってひっそりと傷ついているものなのです。
 
 ∧∧
(‥ )...だそうです
\‐
 
  (‥ )うはっ、今すぐにでも
      人間の選別を始めて
      ガス室送りにしようって
      勢いだな
 
 それは普通じゃない
 馬鹿だ
 普通の人ならこうだ
 俺がそうだ
 
 ここまであからさまに自分の価値観の正しさを歌い上げ、そうでないものを一方的に唾棄出来る。
 
 ここまで来たのだ、ここから人間の選別、そしてガス室まではそんなに遠くない。少なくとも狂気の根幹は共通しているだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)理想は拘泥であり
    型を求めることであり
    それは必ず人間の選別と
    抹殺を開始する
 
  ( ‥)理想的な理想とは
    ‐□ ガス室のことなのだ
      理想など歌い上げる
      ものではないよ
 
 理想を歌い上げる詩人は、死体とあまりにも簡単にダンスを踊りすぎる。
 
 
 
 
 

20日のうねった雲:そして彼は記憶力が良かった

 
 もう日付も変った昨日20日、夕方近く、急激に西空へ広がった雲は、底面がうねっていた







 






 
 さて
 


 ∧∧
(‥ )...その人は、記憶力が
\‐  良かったと
 
  (‥ )危険な兆候であった
 
 
 見聞きしたことをそのまま覚えることが出来るのなら、問題ないだろう。
 
 ∧∧
( ‥)でも、そんな人は
    まあいないでしょうね
    
  ( ‥)つまり危険な兆候である
    ‐□
 
 記憶する、とは、記憶しやすいように脳内で物事を配置している可能性がある。
 
 というか、そうだろう。
 
 ∧∧
( ‥)図書館の本のようにね
 
  (‥ )問題は、
      図書館の本とその配置は
      理解そのものではない
      ということだ
 
 当たり前だ、図書館の本は整理整頓でしかない。それは知識の便宜的な配置であって、それは理解ではない。
 
 ∧∧
(‥ )でも理解したと思い込む
\‐
 
  (‥ )覚えている
      整理している
      自在に取り出せる
      操作できている
      この感覚ゆえに
      私は理解できている
      そう誤解するのだな
 
 もちろん、その理解はあからさまな間違いだ。そもそも自分の外部に存在する知識が、自分が覚えやすいようにあらかじめ配置されているわけがないのだから。
 
 その配置は便宜であり、その配置は虚構である
 
 彼の膨大な知識は実はからっぽなのだ
 
 ∧∧
( ‥)つまり記憶が良い
    たくさんのことを知っている
    自在に答えられるとは
 
  (‥ )危険な兆候だねえ
 
 仮に、それぞれの知識自体は虚偽ではないとしよう。しかしそれでも全体は壮大な嘘になる。
 
 そして現実の話をすると、知識の中にはあからさまな勘違いがあるのだ。
 
 壮大な嘘に勘違いと間違いが混ざっている。記憶力が良いとはそういうことではないのか?
 
 
 

2014年8月20日水曜日

スイレンの中で倒れる

 
 スケッチのために買って来た青いスイレン。この手のものは熱帯種らしい。
 
 スケッチしようと覗いてみると...

 ∧∧
(‥ )ハチさんが花の中で
    倒れているよ
 
  (‥ )えっ? なぜに?
 











スケッチする前にちょこちょこ訪花していたハチだと思うけどもなにゆえか、今はスイレンの花の中でぴくりとも動かない











 
 ∧∧
( ‥)スイレンの花に毒とか
    ないよね?
 
  ( ‥)誘引する花にそんな
    ‐□ 機能があるとは
      思えないけどな
 
 暑い日だけども、別に暑さのせいでもあるまい。虫は炎天下でも皆さん元気である。
 
 とはいえ暑かった。13:00に出かける前、36度をやや越えていたが、15:00に帰ってきたら、外に置いた温度計によると気温は37度、湿度55%だった。

 スイレンは午後になると花を閉じ始める。最後に見た時も、ハチはほとんど閉じかけた花の奥、ライトの光に照らされて、そのまま転がっていた。
 
 


コンクリートから人へ

 
 コンクリートから人へ
 
 このスローガンが馬鹿げているとしたら、他の国はどうだか知らんけど日本のように自然災害の多い国では、コンクリートがなければ人命を守り、保持することすらできない、そういう事実であった。
 
 大震災はそれを私たちに突きつけた。
 
 ∧∧
(‥ )と言えば良いですかね
\‐
 
  (‥ )でっかい堤防を作ることに
      意味があるのかどうか
      そういう問題以前に
      業者と機材と
      人員が維持されていないと
      災害後の復旧が
      そもそもできないからな
 
 
 災害復旧と復興は別だ、復旧はしたが復興はしていないではないか、そう激怒する人もいるだろうが、復興は復旧がないとどうにもならない。 

 そして復旧を可能ならしめるには常日頃から土木関係の業界を大規模に維持することが必要だ。そういうことになるんだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そのせいで
   ”公狂事業”なんて揶揄される
    ようなことも
     起こるのだろうけどね
 
  ( ‥)とんでもない場所に
    ‐□ 意味不明なものが
      建設されている場面は
      田舎へいくとよく見る
      光景だからなあ
 
 もちろん、これとてなんの能力もない田舎と地方自治体を維持する”無駄”である場合もあるわけで、無下に否定して良いかどうか。
 
 ∧∧
(‥ )筋トレは普段から
\‐  しておきなさい
    ですかね
 
  (‥ )冒頭のスローガンを言った
      民主党は
      ”筋トレはやめて
      自堕落に遊ぼうぜ
      楽しくデブになろうよ”
      と言ったようなものかもな
 
 
 
 

2014年8月19日火曜日

あっ、すげー! って思うん

 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  (‥ )科学論文ってさ
      ”私、こんな検証方法を
      思いつきましたー!
      どやあ”
      という内容だよね
 
 まあ、別にそういうのだけではないし、そういうのだけになるはずもないんだけども、そんな感じだよなあ。
 
 ∧∧
(‥ )少なくとも
\‐  アプローチの仕方で
    勝負をかける人や論文は
    時々見かけますよね
 
  (‥ )それ見てみんな
      あっ、すげー!
      って思うん
 
 
 議論だけしている連中は、こういう驚きを感じた事がないんだろう。
 
 
 これはhilihiliのhilihili: 議論をしている時、お前は何から逃げたのだ?の続き
 
 
 
 

議論をしている時、お前は何から逃げたのだ?

 
 下手の考え休むに似たり
 
 ∧∧
(‥ )会議をしても意味は
\‐  ありません
 
  (‥ )考えるな
      議論するな
      馬鹿なら調べろ
      そして試せ


 考える、というのは当たりをつけることだとも言える。
 
 私たちは世界を観察して、これはこうだと思う。
 
 だがしかし、それは解釈でしかない。その解釈が正しいのかどうか? それを実際に確認すること。これこそが重要だ。
 
 これで良いはずだ、矛盾はない、これは解釈だ。
 
 ∧∧
( ‥)だからこそ
    下手の考え休むに似たり
    まあ、この場合は
    考えるは休むに似たり
    というべきですかね
 
  ( ‥)考えること自体は
    ‐□ 当たりをつけることだ
      それは良い
      考えは仮説を作る上で
      重要ではある
      だがしかしだ
      それゆえにこそ
      考えたことで
      満足しては意味がない

 
 実際、分かったこうだ! そう思い込んで予習問題の答え合わせをしなければ、テストで赤点を取ること必定。
 
 つまり、考えるとは確認作業があってこそ初めて意味が出てくるし、それがなければ考えることに意味はない。
 
 だがしかし、人は考えたことで満足する。意見を戦わせたことで満足してしまう。そればかりか考えるという動作は、しばしば”調べないこと”の言い訳となる。
 
 ∧∧
(‥ )会議をしても意味はなし
\‐
 
  (‥ )会議ってのは往々にして
      責任逃れや
      あるいは自分の地位を
      誇示するための場になる
      それでは意味がない
      そういうことだね

 
 ああ、どこぞの掲示板で議論とやらをしている馬鹿を見れば分かるというものだ。議論に夢中になっているだけで調べていない。そんな議論自体に意味などない。
 
 議論も会議も逃げ場になる。自分は考えたから十分なのだ。そう言って確認作業を怠る逃げ口上となる。
 
 議論をしている時、お前は一体全体、何から逃げ出したのだ?
 
 
      
 
 

接近する木星と金星とイモムシの話

 
 ああ、そうか、今の明け方の空は金星と木星が接近して見えるのか
 
 ∧∧ 撮影にいきましょう
( ‥)
 ‐( ‥)今朝、神奈川の中央は
   ‐□ よい天気であるからして
 
 夏至はもう2ヶ月も前にすぎて、昼はじょじょに短く、夜は少しずつ長くなってきている。朝の4時には本が読めるような明るさだった季節は過ぎて、今はようやく夜が明け始める時間。
 
 東の地平にお目当ての金星と木星を見る。下の明るい星が金星、上の星が木星。













 
こちらは画面左下が金星と木星。上に写っているのがふたご座のポルックス。右下の星はこいぬ座のプロキオン。












 
 ∧∧ もう冬の大三角も見えるね
(‥ )
 ‐( ‥)さーて帰るか
   ‐□
 
 さてはて
 
 以前見たこんな文章。
 
 カバが絶滅したら、あの長い牙から肉食動物だと思われるだろう。

 ∧∧
(‥ )そんなわけないと
\‐
 
  (‥ )あの歯と骨を見て
      そんな推理する奴は
      いないからな
 
 この話=>hilihiliのhilihili: カバの話 ゾウの話 問題提起の話
 
 あるいは曰く
 
 昆虫の幼虫と成虫を見たら、それぞれ別の生物だとされると
 
 ∧∧
( ‥)それ自体はありえる
    わけですよね
 
  ( ‥)現代の生物でも
    ‐□ 親子で別々の学名を
      つけられていた例は
      色々あるからね
 
 もちろん、そういう事柄もデータが増えるに従って親子関係が判明し、是正されていくのである。子供と大人の写真がそれぞれ1枚ずつしかないと分からないが、もっと多くの写真がそろうと、実は同一人物の子供時代と大人時代を撮影したものであることが分かる。そんな感じだ。
 
 ∧∧
(‥ )
\‐  化石になって残る生物は
    ごくわずかだから
    例えばチョウの幼虫と成虫を
    別物と見る可能性は
    大いにあるでしょうね
    というか根拠も無く
    一緒にしたらそれこそ
    大問題だよね
 
  (‥ )とはいえだ
      なんか変だぞ?
      と気づく人はいると
      思うのだけどね
 
 例えばの話である。チョウの化石が見つかったとする。昆虫が変態するということを知らない、最低限、完全変態昆虫を知らない未来人でも、これは明らかにおかしいと気がつくだろう。
 
 ∧∧
(‥ )例えばチョウなら
\‐  ある定まった大きさでしか
    存在しない
 
  (‥ )子供が見当たらないわけだ
 
 子供から親へと成長する連続を描けない。生物が持つ、本来あるべき成長の曲線が眼前でぷっつりと途絶えている。
 
 ∧∧
( ‥)子供と大人の間に
    断絶があることは
    明らかであり
    しかし子供が見つからない
 
  ( ‥)もちろんイモムシの化石が
    ‐□ 残っていたとしても
      それがチョウの子供だとは
      すぐには思わないよね
      多分、別の学名をつけて
      いるはずだ
      だけどチョウには
      どこかに子供がいるはずだ
      そこには気づくわけだ

 
 
 一方では、イモムシに関してもそのおかしさに気がつくだろう。
 
 ∧∧
( ‥)例えばイモムシさんの
    あの足
 
  (‥ )短すぎるよな
 
 足自体は3対ある。すると昆虫だろう、ということは分かる。しかしあの足だ。活動的に動くような造りじゃない。それゆえ、あまり動き回らず、周囲に豊富にある餌を食う動物だということは推論できるだろう。
 
 例えば寄生虫ではないか?
 
 ∧∧
(‥ )でもあの頭部は
\‐  寄生する事に向いた
    器官とは思えないよね
 
  (‥ )突き刺して
      体液を吸うような
      そういう顎じゃないな
 
 だとすると、例えば植物の上で生活する動物だ、これは分かるだろう。ではあれが成体なのか?
 
 ∧∧
( ‥)成体なら交配相手を
    探すはずだよね
 
  (‥ )しかしだ
      あの足では探せないな
 
 イモムシの姿は交配相手を探して分散したり移動したりするような姿ではない。
 
 ∧∧
(‥ )そもそも交尾器官が
\‐  見当たらないよね
    雌雄の違いもないし
    性的装飾もない
 
  (‥ )ペニスや産卵管が
      見当たらないのだ
      
 
 確かに明瞭なペニスや産卵管のようなものを持たない動物もいるが、それにしてもここまで証拠がそろうと怪しさは倍増だろう。だいたい、運動器官に対して他の器官。例えば内臓が詰まっているであろう腹部が妙にでかいのだ。
 
 この動物は変動する環境で移動し、交尾し、生殖して子供を残すような形をしていない。このイモムシというものは移動と繁殖を考慮した構造ではない。ゆえに成体ではありえない。むしろ成長に特化した何かの幼体ではないだろうか?
 
 未来人もこのことに気づくだろう。少なくともあの形を見て疑問を抱く奴はいるはずだ。
 
 ∧∧
( ‥)ただ、チョウとイモムシを
    関連づける明白な証拠が
    無い限りは
    これ以上の推論は
    冒険だよね
 
  ( ‥)でもさ、形を見れば
    ‐□ ここまでの推論は
      出来るはずなんだよな
 
 そして
 
 大きいだけで幼体が見当たらないものがいる。
 
 もう一方には成体とはとうてい思えない奇怪な幼体らしきものがいる。
 
 明瞭ではないにせよ、疑う状況はそろっているだろう。


 ∧∧
(‥ )まあ、そもそも
\‐  こういう推論を可能にするほど
    化石が見つかってくれるか
    という問題がありますけどね
 
  (‥ )とはいえだ
      これは言えないかね?
 
 先の話、チョウとイモムシの化石を見たとき、未来人はそれを別の動物だと思うだろう。この推論はあまりにも早く物事をあきらめすぎだと。
 
 
 たわむれに検索をかけてみるとこんな=>https://www.google.co.jp/search?q=caterpillar+amber+fossil&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=f5DyU4nFMoKNuAS95YKQBw&ved=0CAYQ_AUoAQ&biw=1117&bih=7… 
 
 *ちなみに類似の話でオタマジャクシとカエルの例え話もあるのだけど、これに関しては実際に変態の過程を追える化石が見つかっている。

 

2014年8月18日月曜日

2014.08.18 気温35度 湿度60%

 
 神奈川県中央部は
 
 ∧∧
(‥ )13:30の時点で
\‐  気温35度 湿度60%
 
  (‥ )36度とか7度とかに
      比べたらましだけど
      なんか室内にいても
      疲れちゃうよなあ...
 
 熱が外部から浸透してくるこの感覚。
 
 

アンモナイトラビリンス

 
  ( ‥)俺はアンモナイトのことを
    ‐□ 何も知らん
 
 ∧∧
( ‥)あれは種類が多いからね
 
 というか貝殻から手に入れられる特徴はかなり限られている。少なくとも、脊椎動物のように数百個のパーツからなる骨とは比べ物にならない。
 
 ∧∧
(‥ )アンモナイトさんの骨格は
 °‐  この貝殻ただひとつ
    だからね
 
  (‥ )内部構造があるから
      ひとつの骨よりは
      情報があるんだがな
      いかんせんこれではな
 
 識別はできるのだ。特徴に限りがあっても、その組み合わせが無限に近いほど多くなることがある。なれば、組み合わせさえ見れば識別出来るは道理なり。
 
 ∧∧
( ‥)順列組み合わせみたいな
    ものですかね
 
  ( ‥)まあ、そうなると
    ‐□ 系統解析は無理になるな
      あらゆる形質が別々の
      系統を支持して
      多分岐になってしまって
      解析不可能になる
 
 それ自体は良い。残念なことではあるが、状況は分かる。
 
 ∧∧
(‥ )むしろ
\‐  これは順列組み合わせである
    そう断じて良いのか?
    という問題ですか
 
  (‥ )系統解析が
      多分岐してしまうという
      ことからすれば
      それに近似だと言って
      良いのかも知れんけどね
      
 
 問題はそれをちゃんと言えるほどに自分はアンモナイトを見たか、知ったか、文献と論文を読んだか? ここなんだろう。そういって良いよ。それは良い。では具体的にこうである、そう言えるか? 言えない。言うほど知っていないから。
 
 ∧∧
( ‥)そしてしかも、この状況下でも
    アンモナイトの
    系統に関する議論は
    すでになされている
    これはどう考えるべきか?
    その論証はどう
    評価されるべきなのか
    そこがまるで分からないと
 
  ( ‥)例えばアンモナイトが
    ‐□ バクトリテスから由来する
      というのは
      分かりやすい話であるね
 
 確かに根拠があるから。少なくとも素人目にもそう見える。
 
 ∧∧
(‥ )でもなんかアンモナイトじゃ
\‐  ないんだけど
    例えばの話
    オウムガイって系統が
    良くわかっていない
    みたいな感じだね
 
  (‥ )オウムガイは...
      なんていうかな
      顕著な派生形質が
      無いって言うのかな?
      過去へ向かって系統を
      追跡すると
      起源に近い辺りで
      よく分からなくなる
      っぽいのだけど...
 
 これ、意外と困った話なんだと言える。オウムガイとアンモナイトをどう区別すれば良いのか? それは例えば体管の特徴であり、あるいは縫合線の複雑さである。しかし、アンモナイト絶滅後の新生代にいたオウムガイには、縫合線の特徴が初期のアンモナイトに少し似たものがいた。
 
 ∧∧
(‥ )でも殻を貫通する管は
\‐  オウムガイなんだよね?
 
  (‥ )まあそうだね
 
 でもその一方では通常のアンモナイトから逸脱した管の配置を示したアンモナイトも実在する。
 
 ∧∧
( ‥)それをアンモナイトと判断した
    その論証と根拠は何か?
    それをオウムガイと判断した
    その論証と根拠は何か?
    
 
  ( ‥)俺は何も知らんのな
    ‐□ まあ、調べれば良い
       だけの話なんだが
 
 把握するには論証を把握しなければならぬ。
 
 しかし、論証が同定であった場合、その同定が正しいかだけではない、その同定がどんな意味を持ちうるものなのかを考えなければならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)そこで途方に暮れている
    わけですか
 
  ( ‥)ちょっと頭がパンク状態
    ‐□ なんだな
      少し休むか

 
 

ここではないどこか、とは遠き夢

 
 日本は島国です。日本人の思考は島国根性なのです。外にはもっと広い世界があります。アメリカを見てください。こんな素晴らしい...
 
 ∧∧
(‥ )この手の意見って
\‐  どう思います?
 
  (‥ )典型的な島国の発想だろ?
      というかだな
      ここではないどこかに
      自分の理想の世界がある
      これは
      傷ついた引きこもりが
      理想の恋人やお母さんや
      理想のクラスメートを
      想像するようなものだよね
      あるいは
      引きこもりが外へ出たら
      有頂天になりました
      そういう痛い世界観だよな
 
 ああ、しかしだ。ここではないどこかへ行ったところで、そこにあるのは人間の社会だ。ここには無い何かがあるが、別の何かがあるだけだ。
 
 ∧∧
( ‥)ここにはない自由がある
 
  ( ‥)だがここにある自由が無い
    ‐□ そういうことは
      ありがちだ
      というか必然だな
 
 例えば曰く、ここでは本音でしゃべることができます。
 
 ああ、そんなことは人間である以上ありえない。狩猟採集民ですら本音を言えずにストレスに苦しんだり、酒を知って本音を言ってしまって大喧嘩や殺人に発展すると言うのだ。本音を言える社会など、この工業世界でありうるはずがない。本音を言う社会とは殺人が横行する社会のことだ。嘘だというのなら上司や同僚や部下や、あるいは妻や夫や親や子供や、あるいは友人や恋人に自分の”本音”とやらを語ってみるがいい。
 
 ∧∧
(‥ )本音が言える社会とは
\‐  建前上、本音を言っている
    ことにする社会であると
 
  (‥ )本音が言える社会
      こんな上っ面の建前を
      信じるのは
      底抜けの馬鹿だけだよ
      むしろだな
      うっかり本音をしゃべって
      ぶち殺されないように
      僕らは注意するべきさね
      いつどんな世界に
      いこうともね

 
 社会も組織も、それぞれ造りが違う。自由のあり方が違う。そこからどんな利益を受け取れるのかも違う。そこにはこちらには無い自由がある。ではこちらにあった自由と可能性がそこにあるのかというと、そんな保証はない。
 
 ∧∧
(‥ )外国へいって
\‐  日本を悪く言う人も
    いますよね
 
  (‥ )反対の人もいるけどな
      まあ、
      分かりやすい反応だよね
 
 つきあってみたら良い人だった(とその時は思った)。それならのろけ話を四六時中吹聴し、前の恋人の悪口を言い続けるだろう。
 
 でもやっぱり嫌な人だった(結局そう思った)。実家に戻って、ひたすら悪口と憎悪を言い立てるだろう。
 
 ∧∧
( ‥)それが人間だと
 
  ( ‥)こうでなければ
    ‐□ 人間とは言えんからね
      正気を保つために
      人がとる防衛行動だよ
      
 
 移民したとか移住したとかは結婚のようなものだ。実際、結婚はしばしば移住である。当然、この結婚は幸せだったと言い続ける人もいれば、正反対の人もいるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )いやでも同化しないと
\‐   いけないからね
 
  (‥ )同化しないと
      失敗した移民政策のように
      移民は侵略者になる
      後は排撃されるのみ
      では反対に
      同化しようとすれば
      今度は自分の出自を
      ひたすら否定しなければ
      いけないわけだ
 
 現地の悪口を言い続けるか、さもなければ母国の悪口を言い続けるか。どっちかに振れる。やはり結婚のようなものだ。
 
 ∧∧
( ‥)でもしょせんはよそ者だと
 
  ( ‥)同化をアピールし
    ‐□ 母国の悪口を
      言い続けてきた
      皆に受け入れてもらった
      それでもいきなり失脚して
      よそ者として
      処刑されることが
      事実としてあるからね
 
 つまりである。どうあがこうがお前はギロチン台にかけられた囚人なのだ。人間に自由などない。少なくとも人から自由になれず、出自からも周囲の圧力からも自由にはなれない。どこまでいっても物理的な圧力がそこにあり、自由などしょせんは遠き夢。では君なら、あるいは自分なら、どこへ逃げて、どんな死をとげようか?
 


 
 
 

おっさんの人生がすっからかんであるように

 
 気弱になった集団の多数意見は往々にして誤る
 
 ∧∧
(‥ )元は南極観測隊の人が
\‐  申し述べた言葉だとか
 
  (‥ )でも下に天声人語って
      ついているんだよな
      それでreblogされて
      いるから
      どういうこっちゃ? と
      思ってみたら
      朝日新聞のコラム
      天声人語に引用されて
      それがさらに引用されて
      いたのな

 
 朝日新聞というと、先日、慰安婦問題の火付けネタは我が社の誤報です、というか捏造? そんな告白をちっちゃく認めて大ひんしゅくを買ったメディアだけども。
 
 ∧∧
( ‥)気弱になってる?
 
  ( ‥)今はそうだよね
    ‐□ 図体はでかいのに
      か細くひ弱で
      取り繕っておる
      でもやった当時は
      強気で誤報をし
      強気で捏造をしたって
      ことになるんだろうなあ


 強気で捏造したことが時の経過と共にばれてくる。つまり強気でも誤るってことなのだ。しかし、彼ら自身が今そうであるように、そして引用してみせたように、気弱になった集団の意見が誤るとは、先の言葉ですでに示されたこと。強気で捏造、弱気で破滅。だとすると、もはや何もかもどうでも良いことのように思えてくる。引用された言葉が本来持っていたであろう重みが、雲散霧消して空の彼方へ飛んでいってしまいそうな軽薄感。これが朝日新聞クオリティー。
 
 捏造であろうが誤報であろうが、その時にすべきことを果たせない。それはこういうことである。
 
 ∧∧
(‥ )そういえば天声人語を
\‐  書き写すノートがあるよ
    そんな広告を駅のホームで
    見かけたことがあったよね
 
  (‥ )あれを見たときは
      写経かよ?
      ジャーナリズムとやらは
      宗教になったのか...
      ずいぶんと
      堕落したものだな
      そう思ったけど

 
 これは本来的な意味におけるジャーナリズムとしては致命的なことだ。ここには文言を真実であるとして、これをコピーせよ、という指示がある。
 
 ∧∧
( ‥)ジャーナリズムは検証では
    ないのか?
 
  ( ‥)残念ながら
    ‐□ ここから分かることは
      ジャーナリズムとは
      真実だと自分が思った
      事柄を吹聴する行為だ
      そういう現実だろうね
      ジャーナリズムとは
      妥当性とか検証とか
      そんな動作ではないわけだ
 
 そして、だからこそ、あの誤報なり捏造なんだろ? そう言うと確かに整合的なのである。
 
 ∧∧
(‥ )...まあ、でも気持ちは
\‐  分かりますよと
 
  (‥ )あらかじめある物語に
      合わせて取材する
      これが真実だと思い込む
      捏造でもこれが道徳的に
      正しいことだから
      これで良いのだと言い張る
      こういう動作はねえ
      記事を書くときに
      楽なんだよね
  
 
 データを恣意的に配置するだけである。ごくわずかなデータで十分なのだ。取材する必要はないし、検証するという手間もいらない。というか、そもそも検証できないのだ。検証とは、集めたデータを整合性とか最節約とかそういうアルゴリズムで解析する場合でないと成り立たない。お話に合わせてみました、という方法論では検証が原理的に不可能になる。


 しかし、検証する必要がない、とは実に都合の良いことである。その分、手間がはぶけるからこんな楽なことはない。ジャーナリズムといっても、しょせんは時間に追われる会社員でしかない。余計なことなどしていられない。そして何よりこれは楽なのだ。あらかじめ頭の中で考えたお話に合わせているだけなのだから。こんなことなら馬鹿でも出来る。誰でもできる。


 真実の追求。つまるところこれは都合の良い愚劣な言葉だと言える。真実は終着であって検証足りえない。これは検証の放棄というに等しい。つまりジャーナリストが口にする使命感は手抜きの口実になる、それだけの話。
 
 真実とは頭の死なんだとも言える。真実は仕事と思考を楽にする頭脳の終着点。
 
 ∧∧
(‥ )仕事が楽になる
\‐  この誘惑には耐えられないよね
 
  (‥ )というかな
      人生が楽になるのよ
      おっさん見れば分かるだろ
      おっさんはなぜ固まるか?
      おっさんは体力ないからな
      もう、ぼーっと
      同じことを繰り返すしか
      ないんだよね
 
 頑固になれば、楽だ。
 
 頑固とは、私は同じことしかしたくありません、であって、私は同じことしかできません、である。
 
 そして真実とは固いのである。頑固なおっさんが頑迷に真実にしがみつくのには理由がある。ただし、真実とは固いだけで中身は空っぽだ。おっさんの人生がすっからかんであるように。



 
 

2014年8月17日日曜日

お前のしていることはただのダブルスタンダードだ

 
 WW2における日本軍の特攻は、日本では国を守るための自己犠牲として敬意を評される。しかし敵国であったアメリカ人からすれば、こんな馬鹿なことをする連中は獣に違いない。原爆を落としても良いのだ、そう考えたのである。
 
 ∧∧
(‥ )嘘か本当か
\‐  そういう見解があるそうで
    これ、どう思います?
 
  (‥ )ああ、それは
      典型的な人間の意見だろ?


 
 ダーウィンのビーグル号航海記にこんな話がある。1832年。南米に到着して調査を始めた若き日のダーウィン。当時の南米は征服者である白人、白人と現地人の混血、抵抗するインディオ、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人。これらが相争い、あるいは脱走し、あるいは虐げられる世界だった。今と同じと言えば同じかもしれないが、わずか200年あまり前、奴隷制度と人買い、人狩り、大量虐殺が堂々と行われていた時代であった。
 
 ダーウィンは途中、花崗岩の丘を通過した。聞けばここは以前。脱走した奴隷たちが隠れ住んだ場所だという。しかし、兵士が送られ脱走奴隷たちは次々に捕まった。最後の一人は老いた黒人の女性だった。彼女は奴隷生活に戻ることを拒否して、丘の頂上から身を投げて死んだ。
 
 ダーウィンはこれを次のように書いている。
 
 もしこれがローマの女性であれば自由を愛するがゆえの尊い行為であると言われただろう。だがこれが、老いた黒人の女性のこととなると、手に負えない強情な奴だと言われるだけなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )ビーグル号航海記
\‐  第2章の冒頭で出てくる
    話だよね
 
  (‥ )ダーウィンの言いたい事は
      明らかよな
      お前たちが言っている事は
      ダブルスタンダードだ
      そういう批判だよね

 
 
 だが、人間は、こういうダブルスタンダードを平気で行うし、無神経に申し述べる。拷問で悲鳴を上げないインディオを見て、ああこいつらには神経が無いんだな、そう信じ込んだ白人征服者のように。
 
 これは古代人でも同じであったらしい
 
 ∧∧
(‥ )今読んでいる本だと
\‐  4世紀のローマ貴族
    シュンマクスは
    息子の祝いで殺し合いを
    させようと
    ゲルマン人を連れてきた
    だけど彼らが自殺してしまう
 
  (‥ )公衆の面前で
      仲間同士の殺し合いを
      強制されるくらいなら
      互いを絞め殺す自殺を
      彼らは選んだ
      そういう話なんだそうだな

 
 これは自分たちの名誉を守る行為だろう。そして、ローマ人だって同じような名誉は持っているはずだけども、シュンマクスはそういうことを全然感じなかった、むしろ不愉快な奴らだと思った。そういう話。
 
 *「ローマ帝国の崩壊 文明が終わるということ」ブライアン・ウォード=パーキンズ 白水社 pp51より
 
 **端的に言うと、当時のローマ人にとって現代ヨーロッパ人の源流でもあるゲルマン人こそが、殺しても構わない劣等な動物扱いだったし、名誉の自殺も馬鹿にされ、軽蔑された、ということでもある。
 
 ∧∧
( ‥)まあ人間はしばしば
    自分たちが所属する
    集団以外の人々を
    人間とは扱いませんから
    
 
  ( ‥)特攻するのは獣だ
    ‐□ 獣には原爆を
      落として良い
      その発想は
      ただの人間だよ
      ただの普通の人間だ
      しかしだな、
      だとすると
      相手も同じことを
      考えるはずなんだよな
 
 例えばの話である。アメリカは勢力を拡大しすぎて、ついに工業社会とか国民国家というものが無い、文明の縁辺部とでも言うべきところにまで拡張してしまったように見える。つまり敵は今や部族社会だ。そうである以上、部族社会との戦争を今後も続けなければいけないだろう。部族社会はばらばらゆえに交渉というものが成立しない。すると戦争は自動的に永久に継続されることになる。そして多分、部族社会の方が息が長い。それに対して組織化され、工業化された国は強大ではあるが社会を支える重大な動線がやられたら、崩壊してしまう。そして崩壊が始まったら再建まで時間がかかる。
 
 ∧∧
( ‥)部族社会と戦争をするとは
    そういうことである
    戦争は無限に続き
    ついには防衛線を突破される
 
  (‥ )部族社会の人々に
      攻め込まれたアメリカ人は
      何をすると思う?
      特攻でもなんでもするよな
 
 というか、ある意味ではすでにしたのだ。アメリカで同時多発テロがあった時、占拠された旅客機のうち少なくとも一機について言われているのは、この旅客機とテロリストたちもまた体当たり攻撃をしかけるつもりだ、このままでは私たちが死ぬだけじゃない、他の人々まで道連れにしてしまう。どうせ死ぬなら、せめて身をもって体当たりを阻止しよう、そう自発的に動いた乗客たちの決断であると。
 
 ∧∧
(‥ )つまり広義の意味における
\‐  自殺攻撃であると
 
  (‥ )テロリストはカミカゼと
      罵倒されるが
      乗客の自己犠牲は
      奉られるわけだ
      それ自体は当然なのだけどね
 
 味方の犠牲を弔い賞賛する。これは当然。敵を否定する。これも当然。
 
 しかし、これ自体が当然であるのなら、では? 予測するに部族社会の軍勢に攻め込まれた未来のアメリカ人ならどうするだろう?
 
 ∧∧
( ‥)決死隊、自殺攻撃、自爆、特攻
    妻や子供を守るために
    なんでもするだろうね
 
  ( ‥)でも、部族社会の人々は
    ‐□ なんだこいつら? と
      思って軽蔑するだろうな
      彼らは言うのではないか?
      300年前、アメリカ人は
      我々の祖先を殺した
      これは敵討ちである
      だがしかしそれ以上に
      こんな卑怯な獣共は
      皆殺しにしてしまえ
      そう言うだろうね
 
 人間は共同体に所属する生き物である。味方と敵で価値観を切り替えて、ダブルスタンダードなことをするのは当然だ。だがしかし、これを分からずに無邪気に言い立てるようではまだ青い。冒頭の話はあまりにも若いのだ。
 
 
 
 

2014年8月16日土曜日

考えてみれば僕らは判断を外注している

 
 例えばこの薬には効果がある、ということを示すには統計的な調査をしないといけない。
 
 ∧∧
(‥ )たまたま効いたり
\‐  たまたま効かなかったり
    するからね
 
  (‥ )こういうのは論理では
      どうにもならないのだよな
      効いたから効くはずだ
      効かなかったから
      効かないはずだ
      そういうことには
      ならないのだ
      論理では扱い切れない
      領域なのだ
 
 言い換えれば人間は、個人個人では論理の徒であって、それができない。だから、効いたから効くはずだ、効かなかったから効かないはずだ、としか判断できない。そういうことでもある。
 
 ∧∧
(‥ )統計的な効果の有る無しは
\‐  個人ではなく
    集団が判断することである
 
  (‥ )失敗した者は数を減らし
      成功した者が数を増やす
      進化的な過程は
      個人が行うものではない
      集団が行うのだ
 
 端的にいうと、集団が統計的な判断を下す以上、個人がこのような判断能力を持つ必要は本来無かった、そういうことになる。
 
 つまり、人間にそんな能力は本来、必要なかった。そういうことになる。
 
 ∧∧
( ‥)統計的な判断は
    むしろ個人の外へ
    外注されている
    人間個人には
    統計処理をするような
    能力は
    本来実装されていない
 
 ( ‥)政治家が漫画を規制しよう
   ‐□ そう言い出すのも
      多分そのせいだろうな
 
 彼らはただの一人の人間だ。人間には統計的な因果関係を判断する能力がそもそも無いし、そのような必要性もなかった。だとするのなら、彼らが”あるに違いない”、”そうでなければならない”と考えて、まるで機械のように信念に基づいた行動を愚直に反復するのは人として当然だと言える。
 
 機械的に反復する。それが私たちだ。それは知的な行為かもしれないが、判断ではなかったのだ。
 
 ∧∧
(‥ )進化的なアルゴリズムが
\‐  個体には実装されていない
    だとすると
    解探索を行うことさえ
    個人には無理だ
    そういうことだよね
 
  (‥ )これは極論ではあるな
      人間は個人でも
      試行錯誤できるからね
 
 とはいえ、限度があるのは否めない。だから近似的な意味として、こう言えばどう?
 
 人間個人に出来ることは思いつきに固執して、自滅するか生き延びるか、そのどちらかを選ぶのみであると。
 
 人間個人では統計的な判断や解探索さえも不可能であると。
 
 近似的にはそうなのであると。

 そしてこの近似解から個人が逃れることは、ほとんど無理であると。
 
 ∧∧
( ‥)これが人間が持つ
    最大の弱点ですかね?
 
  ( ‥)組織が持つ最大の
    ‐□ 弱点かもしれないな
      組織はひとつの集合だけど
      組織化されているだけに
      ひとつの意思を持った
      一つの存在として
      振る舞う事を強制されて
      いるからね
 
 内部で派閥抗争があっても、組織は組織だ。
 
 組織は、個人の集合体であるにも関わらず、効果の有無や妥当な選択肢を見つける解探索さえも出来ない、そう見るべきなんだろう。
 
 実際、会社という存在がどはずれて馬鹿っぽく見えるのはこのせいではなかろうか?
 
 何が正しいのか、何が効果的なのか、どれを選ぶべきなのか? それを見つける能力が会社には本来備わっていない。そう考えれば、会社が見せる、どはずれた馬鹿さ加減も理解できようというものだ。
 
 あれは人が愚かなのではない。人だから、組織だから、組織化されているから、ひとつの存在だからこその限界かもしれぬ。
 
 会社が馬鹿なのではない。会社であるからこその限界だ。
 
 ∧∧
(‥ )エリートの集合体である
\‐  国家官僚でさえ
    そうなのでしょうね
 
  (‥ )国家官僚となるとなあ
      税金を使ってるからな
      書類と組織化と
      手続きが必要なのだ
      そうでなければ
      いけないんだよね
 
 クールジャパンにプロデューサーという顔を据えてしまうのもそのせいなんだろう。AKBを使うのもそのせいだろう。顔を据えなければいけないし、何か具体的な存在を示す固有名詞が必要なのだ。それがプロデューサーでありAKBである。そうでなければいけないのだ。書類とはそういうものであり、血税を使う責任とはそういうものだ。たとえ結果的に税金の無駄になってしまうとしても、税金を使うとはそうであらねばならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)でも、だからこそ
    クールジャパンなんて
    うまくいくわけがない
 
  ( ‥)プロデューサー
    ‐□ AKBという個物
      残念だけど
      それは個体なんだよね
      個体である以上
      なにが有効か
      なにが効果的か
      どの解が正しいか
      そういう判断は無理だ
 
 そうだ。個人である私たちは自分の信念と一緒に自殺することしか出来ない、それを念頭に置くべきなのだ。人間は演算素子でしかない。演算素子は演算に参加こそしているが、自分一人では計算することができないのである。そして僕らはオンオフで計算に参加しなければならぬ。生き残るか、あるいは死ぬか。演算に参加した私たち、唯一の義務がここにある。
 
 これはhilihiliのhilihili: 演算完了のためには死んでもらわないと困りますの続き
      
    
 

2014年8月15日金曜日

演算完了のためには死んでもらわないと困ります

 
 人間は何か信念を持ち、これが正しいのだと確信した上で、それに向かって邁進する。熱狂的に。
 
 ∧∧
(‥ )物事に執着する猿
\‐  それが人間
 
  (‥ )だが、ここには
      大事な要素が
      あからさまに
      欠けているのだ
      統計的な論証が
      まるでないんだよね
 
成功した、とは言っても、それはたまたまかもしれない。
その成功は必然ではないのかもしれない
邁進したのは確かに信念のなせる技である
しかし成功がその信念を保証してくれることはない
成功が必然を保証しない以上、成功が信念を保証することもまたない
つまりである
私の信念が成功を導いたのだと信念することはできる
しかしそれは勝手な幻想だ
そこには一切、何も無い
 
 ∧∧
( ‥)では因果関係を見極めるには
    どうすれば良いか?
    それには統計的な
    確率的な検証が必要である
 
  ( ‥)それさ
    ‐□ ぶっちゃけた話
      個人では不可能なんだよね
 
 これには大量のデータと結果が必要だ。そうである以上、確かに個人でも可能ではあるが、個人では不可能なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)そりゃあみんなでやること
    だからね
    膨大な結果を個人で集めて
    解析すること
    それ自体はできるけど
    データになるそれぞれの
    結果自体を個人一人で
    出力することは不可能だよね
  
  (‥ )つまりさ人間っていうのは
      統計的な動作を
      自分の外へ
      外注しているのだよな
 
 人間は、我々は、私たち一人一人は、単なる演算素子のひとつでしかない。結論を出すのは個人じゃない。集合体全体、私たちを部品とする演算機械が答えを出すのだ。
 
 ∧∧
(‥ )つまり因果関係の
\‐  演算を行うのは
    人間という集合であって
    個人個人は計算には
    参加しているけども
    参加しているだけだ
    ということ
 
  (‥ )つまり
      僕らは因果関係
      統計的な関係
      統計的な論証
      これらの計算を
      自分の外に外注したわけだ
 
 言い換えればである。人間個人個人は己の信念に従って、勝手に死んだり死なせたりしていれば良い、そういうことになる。
 
 ∧∧
( ‥)つまりあんたたちお猿さんは
    統計的な論証なんかしないで
    勝手なことをやれば良い
    そういうことだね
 
  ( ‥)阿呆な政治家や
    ‐□ ちょっと成り上がった
      企業経営者とかが
      訳分からん哲学を
      発明するのは...
      そのせいだろうな
 
 これは言い換えればである。政治家が失脚したり、ちょっと時流が変って企業経営者が首にされたり会社をつぶしてしまったのなら、何も言い訳せずに、死ね、自害しろ、ということでもある。
 
 ∧∧
( ‥)そうでないといけない?
 
  (‥ )そうでないと
      ”これは失敗でした”が
      きちんとカウント
      されないだろう?
 
 死ね
 自害せよ
 
 失敗したら、一心不乱に死ねば良い。自分の成功を勘違いして今の若者はたるんどるとかたわ言をほざいてきたのだ。失敗は断固たる死をもってつぐなわねばならぬ。それが演算というものだ。ご大層に吹聴してきた己の信念に殉じて燃えてしまえば良いではないか。
 
 
 ∧∧
(‥ )本当は逆もまた真で
\‐  失敗したから
    それが失敗であるとは
    限らないのだけどね
 
  (‥ )だから人は
      何度でも立ち上がることを
      推奨されるわけだがな

 
 その結果がどうなるのか、それはまあ、見てのお楽しみだ。僕らはそれを延々と見せ続けられている。死ぬ必要はないとも言えるが、死ぬ事さえ許されないとも言える。だがしかし、いずれにせよ轢きつぶされる運命ではあるのだ。
 
 
 
 
 

本は偏食が推奨されるろくでもない文化なので

 
 進化学において重要なものとは何か?
 
 例えば人によっては曰く
 
 それは分子遺伝学であり分子系統学です。分子遺伝に基づいた系統解析を見てご覧なさい。と。
 
 ∧∧
(‥ )それに比べれば
\‐  古生物学はあまり
    貢献しませんよ、と
    そういう見解を持つ
    人もいるんですね
 
  (‥ )それはあれよね
      古生物学と
      化石のデータ抜きで
      系統解析すると
      素っ頓狂な結論が出てくる
      そういう話を知らんの
      だろうな
 
 例えばの話、化石のデータがないと、哺乳類がワニよりもトカゲに近いことになる。というやつ。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、遺伝子を用いた
    系統解析なら
    化石抜きでも同じ結論へは
    至れるのですけどね
 
  ( ‥)ところがさ
    ‐□ それだけだと
      やっぱり
      分からないことが
      一杯出てくるのだよな
 
 植物の進化なんかがそうである。被子植物が単系統であることはまず確実なんだけども、他が分からない。そもそも種子が一回だけ進化したのか、実は複数回なのか? そういう問題が出てくる。同じことは脊椎動物に関しても結局のところ同様だ。哺乳類よりトカゲがワニに近いことが分かっても、それだけの話である。
 
 というか、そもそも、形態をデータにしようが、遺伝子の塩基配列をデータにしようが、それを使って出してきた分岐図や最尤系統樹に時間という概念があるのか? という問題。
 
 ∧∧
(‥ )そのままではデータの
\‐  分布を可視化している
    だけではないのか?
    という問題ですかね
 
  (‥ )そのままでは
      進化の論証には
      ならないんだよな
      というか
      そのままでは
      系統樹というのは
      血縁関係も示さんよ
 
 これは、そもそも進化論の成り立ちから考えれば、明白ではなかろうか? ダーウィンは論証を行う際に、当時は今のような系統解析というものがないから分類体系を用いたのだけども。
 
 ∧∧
( ‥)ダーウィンさんの論証は
   ”進化を前提すると形質の
   分布パターンをより積極的に
   説明できる”
   というものなんだよね
 
  (‥ )言い換えるならば
      形質の分布パターン
      そのものは
      必ずしも
      進化という結論を
      示すものでは
      ないんだよね
      分布パターン自体には
      時間という概念が
      ないから当然なんだがな
 
 あるいは例えば、ダーウィンがガラパゴスの動物相を論証に用いた時、ここは新しく成立した火山島だから、という論点を使ったことを忘れるわけにはいかないだろう。ここにはあからさまに時間という概念の導入がある。生物と形質の分布パターンを説明する際に、地質学という学問で扱っていた”時間”という概念を用いた、そう考えるのが妥当。
 
 無視されがちだけども、ダーウィンという人は、本来は地質学者であるということを忘れてはいかんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、当時はナチュラリストで
\‐   一括されてて
    細分化もされていない
    わけだけどね
 
  (‥ )だけどな、
      ダーウィンのスタートは
      地質学であった
      これは重要だよ
      そもそも進化論自体が
      地質学の応用だからな
      そして化石は
      示準化石として
      地質学の重要な鍵なのだ
 
 つまり例の話である。チャールズ・ダーウィンという人を生物学者と考えるのはむしろ誤りであると。
 
 そして翻れば、分類どころ系統樹でさえも形質の分布パターンを示すにすぎない、ということを考慮すると、進化という、時間を加味した世界観が分子系統樹や分岐図だけで成り立つわけが無い。これは明白ではなかろうか?
 
 そもそも人間の系統樹はあの人の子供が誰々である、という記述から編まれていることを考えるべきなのだろう。つまり、具体的な親子関係から描かれた人間の系統樹と、系統学が出力する”系統樹”はまるっきりな別物だ。少なくとも無邪気に同じだと考えるわけにはいかない。
 
 ∧∧
(‥ )でも、たぶん冒頭の人は
\‐  同じだと考えているのだと
 
  (‥ )邪推をするとだな
      本を読み過ぎじゃ
      ねえかな
 
 本を読むと馬鹿になるとはよく言ったものだ。実際、本というのは肝心なことについてまるで書いていない、上っ面の集積体なのだから。
 
 ∧∧
( ‥)でも?
    見てくれの美しさに
    夢中になって
    そればっかりを読む
 
  ( ‥)食い物だと
    ‐□ そういう偏りの
      悪影響がすぐに
      指摘されるけど
      本だとなあ
      どういうわけか
      見過ごされちゃうの
      だよね
 
 本とか読書には、文学だの文化だの知的だのという馬鹿げた厚化粧が塗りたくられている。読む者もそれを安易に鵜呑みにしすぎる。
 
 こういう虚構を蹴飛ばして、肝心なことをしなければならぬ。そうでないから私たちの理解は化粧品まみれの嘘となるのだ。
 
 
 

2014年8月14日木曜日

散財は駄目だろう

 
 婚活は夢を売る商売
 
 草食系男子は言い訳を売る商品
 
 
 ∧∧
(‥ )夢を買うか
\‐  言い訳を買うか
 
  (‥ )夢や言い訳は商品には
      なるんだけどね
      手元に残らないから
      基本的に散財にしか
      ならないんだよな
 
 ∧∧
( ‥)買っちゃいかんと?
 
  ( ‥)買うな、とは言わんけど
    ‐□ 何事も度が過ぎたらね
      駄目だからね
 
 もちろん、その散財は経済を回す事になり、誰かの糧となる。その意味では有意義ではあるのだが、我と我が身を生け贄にささげるような行為はいかがなものか。
 
 
 

大人の戦い

 
 物作りを続けていると、どうしても玄人向けなものを作ってしまう。
 
 ∧∧
(‥ )というか以前のものより
\‐   作品を改良する以上
    どうしても玄人向けに
    なってしまうと
 
  (‥ )まあ、玄人向け
      という表現もあれだ
      むしろ
      物を作り続けていると
      次に作り上げるものは
      以前よりも複雑になる
      あるいは
      以前よりも派生的に
      なってしまう
      そう言うべきかなあ
      でもそうなると
      売れなくなるんだよね
 
 物語なら、展開を広げてひねりを効かせ続けているうちに、ついに物語がねじ切れる、みたいな
 
 ∧∧
( ‥)物語じゃないけど
    あなたも本作りでは
    困ってしまうと
 
  ( ‥)一番単純なのが
    ‐□ 一番初心者向けで
      それが客層として
      一番大きいから
      それが一番売れるのだ
 
 しかし、受けるがゆえに売れるものを作る。これではいつまでたっても同じものを作らなければいけない。そしてこれが辛い。というか、くだらないのだ。
 
 ∧∧
(‥ )そりゃあ作る側からすれば
\‐  飽きるからね
 
  (‥ )それに科学の本で
      そういうことをするとね
      いつまでたっても
      次の肝心なことへ
      話が進まないのだよ
      見てくれのよい
      上っ面を反復するだけで
      理解の基礎や
      理解の拡張へは
      向かえないままなのだ


 
 例えばの話
 
 二酸化炭素と炭酸、堆積物の膠結作用の話が退屈で難しい?? だけどお前、これを把握しないとオルドビス紀末期の大量絶滅は理解できないよ? そもそもビッグファイブの詳細を知りたいって言い出したのはお前だろ? 知りたいのに理解したくないって、どういうことよ? えっ? そんな話は聞きたくないから結論を聞かせろ? だからこの結論を把握するためにはだな 
 
 ∧∧
( ‥)まあ、そういうことに
    なりますよと
 
  ( ‥)実際退屈だからな
    ‐□ 文句が出ること自体は
      当然だろうね
      人間は必要なことでも
      そこから目を逸らす
      これもまた
      当たり前ではある
      ...正しいことでは
       ないけどな
 
 人間は神経が命じる好きなことしかできない。カッパエビセンとポテトチップを口にすればそれがよく分かる。
 
 人間は物事を直視する能力がない。直視する体力がないのだ。目の前の困難から目を逸らすどころじゃない、見えているはずなのに見ていないことすらある。脳が認識を拒否しているのだ。
 
 ∧∧
(‥ )どうしたものですかね?
\‐  
 
  (‥ )そういう
      みんなが目をそらす
      退屈な基礎や
      応用を解説した本でも
      売る事自体は可能なのだ
 
 図書館向けの本にすれば良い。図書館向けの本とは、読者のことをあまり考えてない本でもある。それは、”図書館になんで漫画が置いていないのー?”、とか、”図書館にもラノベを置いてよ”、という声を聞けば分かる事。
 
 実際には図書館にだって漫画もあればラノベもある。しかし、図書館の本というものが概して”読みたい本”ではなく、”読ませたい本”であるという事実は変らない。読者を無視しているわけではないが、読者を向き切ってもいない、それが図書館であるし、それが図書館の役割のひとつなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも図書館向けの本だけを
    書いているわけにも
    いきませんよと
 
  ( ‥)図書館向けの本は
    ‐□ 手堅いし
      安定的な需要を
      見込めるのだけどね
      それだけだと
      仕事が限られてしまう
      図書館向けだけに
      特化するのは難しいかなあ

 ∧∧
(‥ )非常にマニアックで
\‐  玄人受けする本が売れるって
    こともあるんですけど

  (‥ )問題はねえ
      マニアック=正しい
      ではないってことだね
 
 マニアックな語り口で分かりやすいと評判のサイエンスライターがかつていたが、実は中身が全部間違い、ということがあった。
 
 さる院生の人は、彼の文章を引用して曰く、”この文章の中から正しい箇所を述べよ”と。
 
 この評価は手厳しいが、まったく正しい。確かにその文章の内部に正しい箇所なんて何一つとして無かったのだから。
 
 ∧∧
( ‥)知っている人からみれば
    正しい部分がないこの文章
    ところがどっこい
    一般の科学好き読者には
    これが分かりやすく思えた
 
  ( ‥)分かりやすい
    ‐□ とか
      分かりやすいから売れる
      とか
      これら自体が
      本に取ってはリスクである
      そういうことなのだな
 
 つまり、今、必要とされていることは、
 
 正しい内容であること
 なおかつ退屈な基礎であること
 あるいは難解で派生的な理解について述べていること
 これらの文章を一般向けに売れ
 それは図書館向けでも構わない
 だが、可能な限り図書館以外でもこれを実行せよ
 
 ということになる。
 
 ∧∧
( ‥)めちゃくちゃだよね
    どうするんです?
 
  (‥ )さてねえ
      どうしたものかねえ
 
 例えば、内容をものすごく薄くする、という手がありうるが、やったことがないので効果は不明だ。
 
 言い換えれば、やったことがないのならそれをやれよ、ということでもある。
 
 ∧∧
(‥ )内容をものすごく薄くね...
\‐
 
  (‥ )人間の把握能力は
      ぎょっとするぐらい低いのだ
      自分を読書家と
      うぬぼれている連中も
      レベルは小学生よ
      水に近いスープにしないと
      飲めないし消化もできん
 
 そして、飲めないものを注文する客はいないのだ。確かに内容自体は理解に必要不可欠でなければならぬ。読者がいやがろうがなんだろうが、内容とはそういうものだ。しかしそれは可能な限り薄める必要があろう。確かに確かに、カルピスを原液で出す店は無い。カルピスというものは、水と氷で可能な限り薄めるものだ。
 
 ∧∧
( ‥)でも薄すぎると
    読者は
    俺たちを馬鹿にするなと
    怒りだすんじゃね?
 
  ( ‥)というかだな
    ‐□ 露骨に子供扱いされると
      プライドが傷ついて
      大人は泣き出すのだ
      大人ってそういうものさ
 
 ラノベを毛嫌いする連中を見れば、これがよく分かるというものだ。彼らは自分の社会的ステータスを守りたいだけだし、守らなければならない。
 
 否! 社会的ステータスとは死守しなければいけないものなのだ。
 
 それこそが大人というものだ。大人はこれを恥じる必要はない。やせ我慢こそが大人の根源であり、これこそが大人の戦いなのだから。
 
 ∧∧
(‥ )中身は子供でもね
\‐
 
  (‥ )無理矢理背伸びすることを
      強制されて
      今にも泣きそうなのが
      大人というものだよ
      自分たちを見れば分かるさ
      さもなければ
      風俗へいってまで愚痴など
      こぼすものかよ
 
 本という存在は、大人のこのような有様にねじ込みをするものでなければならぬ。
 
 ∧∧
( ‥)そのひとつの解が
    可能な限り薄く
    ですか
 
  ( ‥)やってみないと
    ‐□ 分からんがね
 
 それを考えると、「失楽園」とか「愛の流刑地」とか、あれは本当に偉大な一歩だったのだろう。なんといっても内容はハーレムラノベなのに、大人の自尊心を満たしてくれる体裁を整えて見事に成功したのだから。読む側が、私はラノベを読んでいるのではありません、文学を読んでいるのです、そう言い訳できるようにしたのだから。今にも泣きそうで崩れ落ちそうな大人たちの社会的ステータスを下げることもないままに、大いなる至福を彼らに与えたのだから。それを考えれば、あれらとその作者は歴史に残る価値がある。
 
 ∧∧
(‥ )あなたはハーレムラノベを
\‐  書くのが仕事ではないけどね
 
  (‥ )方向性もまるで違うな
      だが置かれた状況は
      似たようなものだ
      少なくとも共通点は
      あるわけでね
      
 
 自分の平均余命は残り36年。活動限界はもっと早いはずだ。せいぜい30年ではないか? もう時間があまりない。打てる手の数は限られている。それゆえ、可能な限りのことをしないといけないだろう。
 
 そして、やったことがないから分からないというのなら、それをやれ。それだけの話。手を打つとはそういうものだ。
      
 
 
      

2014年8月13日水曜日

蟻んこランチ

 
 蟻んこたちは解体したアブラゼミを食べなかった=>hilihiliのhilihili: セミクッキング追記参照
 
 翌日(一昨日)、今度はバッタを与えたが
 
 ∧∧
(‥ )見向きもしませんね
\‐
 
  (‥ )今はタンパク質は
      お呼びでないってか?
 
というか、女王蟻を見ると、何日も前に与えたツチイナゴの幼虫の胸部をまだがりがりやっているらしい。

 これ自体は12日夕方のもの
 














 
日付変って13日、さっき見たところだけど、彼女はまだかじっている。











 
 ∧∧
(‥ )...食べる所があるの?
\‐
 
  (‥ )さてなあ?
      前に見た時はすでに
      中身が
      すっからかんだったし
      物自体が6日も前のもの
      なんだけどね
      食って大丈夫なのか??


与えたのは8月7日である=>hilihiliのhilihili: 幼虫の体内が緑色に染まる
 
 ハサミで切って与えたツチイナゴの体のうち、他はすでに捨てられたのだけども、腹部と胸部だけが残り、腹部はなめつくされた残骸が転がり、そして胸部は未だになにかされている模様。
 
 ∧∧
( ‥)言い換えれば
    タンパク質がある限り
    今はそんな餌の補充は
    必要ないのだと
 
  ( ‥)取りあえず
    ‐□ 蜂蜜や昆虫ゼリー
      少しだけ卵黄を与えて
      それでもなにか
      そわそわと探す時に
      昆虫を与えれば良い
      そういうことかな?
 
 

次にマルサスから逃げるのは誰だ?

 
 食料の増産よりも人間の繁殖力の方が大きい。
 
 ∧∧
(‥ )つまり人間は食料生産の
\‐   容量ぎりぎりまで
     数を増やしてしまう
 
  (‥ )そういうわけで
      貧乏が成立します
 
 人間は貧困問題を原理的に解決出来ない。まあ、マルサスがかつて指摘したことのひとつは、要するにそういうことだ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたのこの要約が
    適切かどうかはともかく
 
  ( ‥)人間は原理的に
    ‐□ 貧困を克服できない
      このように表現すると
      見えてくるものがある
      それは事実
 
 かつてマルクス主義者はマルサスを目の敵にした。多分、今でもそうなのだろうが、それはなぜか?
 
 ∧∧
(‥ )...マルクス主義が
\‐  貧困の解決を謳ったことを
    考えると
    そりゃそうだろうね
 
  (‥ )正直な話
      連中がどうしてマルサスを
      目の敵にするのか
      理解不能だったけども
      こう考えると
      分かりやすいかもね
 
 楽園が来ます。実現できます。死後の世界の話じゃないんです。この計画に従って革命を起こせば貧困のない世界を実現できるんですよ!
 
 貧困を無くすって、それは原理的に不可能だよ。人間は食った分だけ増えるもの。貧乏はずーっと僕らについてくるよ。
 
 ∧∧
( ‥)...身も蓋もありませんな
 
  ( ‥)視点を変えれば
    ‐□ ルイセンコ主義者が
      農業の無限増産を
      言い立てたのも
      このせいだよな
 
 スターリン時代のソヴィエトロシアにルイセンコという男がいた。彼は作物はさらされた環境によって遺伝的性質が変ると主張した。いわゆる獲得形質である。ありがちな発想だが、あからさまな間違だ。だがしかし、ルイセンコは自分の発見はマルクス主義的である、反対派である遺伝学者たちはマルクス主義的ではない、とレッテル貼りをすることで粛清、失脚、沈黙、あるいは死へと追い込んだ。
 
 ∧∧
(‥ )そうしてソヴィエトロシアの
\‐  遺伝学を壊滅させ
    農業をめちゃくちゃにした
 
  (‥ )日本のマルクス主義者も
      ルイセンコの農法を
      奉って喧伝した
      それがルイセンコ主義
      かつて日本で猛威を
      ふるった黒歴史だよ
 
 つまり、ルイセンコ主義とはマルクス主義者が採用した農法のことである。しかし、その理論的根拠はごく単純だ。
 
 曰く、これによって農業は無限に増産できると
 
 曰く、無限に増産出来る農業こそがマルクス主義的であり、それゆえに正しいと
 
 ここには実験的な検証がまるでなく、バラ色の未来だから良い、それだけの主張でしかない。
 
 ∧∧
( ‥)めちゃくちゃですね
 
  ( ‥)だが、言わんとすることは
    ‐□ 分かるよな
 
 1人の人間が耕せる畑の面積は人口がどれだけ増加しても変らない。だが養うべき子供は1人以上生まれてくる。人口増加は農業生産に必ず追いつく。そして状況は絶対的に飽和する。
 
 ∧∧
( ‥)ここから逃れるには
    農業の生産効率を
    圧倒的に増大させるしか
    ないのである
 
  (‥ )マルクス主義者たちが
      ルイセンコのいかれた
      アイデアに飛びついたのは
      当然なのだろうな
 
 考えてみれば、人はマルサスが指摘した状況から逃げようと必死なのだ。その必死さは無様としか言い様がない。
 
 ∧∧
(‥ )スターリンの農業集団化
\‐   毛沢東主席の大躍進
 
  (‥ )中国の大躍進では
      密植栽培ってのが
      あったよな
 
 面積あたりに植える作物を2倍にすれば2倍の収量が上がるはずだ、というトンデモ農法なんだが、当時は、密植してたわわに実った麦だか稲だかの上に板を乗せ、そこに子供が乗っても倒れない、という写真まで出回ったのであった。
 
 ∧∧
( ‥)捏造だったけどね
 
  ( ‥)農業集団化も
    ‐□ 大躍進も
      どっちも大失敗で
      大量の餓死者が出た
      わけなんだが
 
 マルサスの冷たい指摘を前に、大勢の理想主義者がそれを拒否し、あるいは農業の生産効率を上げようと、奇策に飛びついた。それがここ150年の歴史であったと言っても良い。
 
 ∧∧
(‥ )好意的に言えば
\‐  人々を食べさせるために
    必死だったのだけどね
 
  (‥ )動機は結果を
      正当化できなけどな
 
 みんな必死だったのだ。腹が減って目が回っていれば腐った肉にも飛びつくだろう。
 
 だが、結果は見ての通り、大失敗である。
 
 さて、思うに、次にマルサスから逃げようとするのは誰だろう? そして今度はどんな奇策を語りだすのだろうか?
 
 これはhilihiliのhilihili: 実はマルサスから一歩も出ていないの続き
 
 
 ∧∧
(‥ )そういえば
\‐  ルイセンコ農法を信奉した
    人たちは
    ルイセンコ失脚後に
    団体名称を変えたのだよね
 
  (‥ )どうも有機農法とかに
      鞍替えしたらしいの
      だよなあ
 
 別に有機農法をしているすべてがそそくさと名前を変えた連中だとは言わないが、これは示唆的な話でもある。
 
 ある人が曰く、左翼の人はスピリチュアルのような胡散臭い話に飛びつきたがると
 
 ∧∧
( ‥)というかむしろ
 
  (‥ )胡散臭い理想論に
      飛びつく手合いが
      選んだ主義
      それが
      マルクス主義なんだろな
 
 事実、彼らは貧困のない世界はありえない、という話に激怒し、理想郷が築けるという話に心酔したあげく、馬鹿な理論にひっかかって大量の餓死者を出した。そして今度はそれを無かったことにしたのである。これを胡散臭いと言う以外に、一体なんと呼べば良いのか?
 
 
 そして付け加えると、農業の生産性を向上させたのは、マルクス主義でもなくルイセンコ主義でもなく獲得形質でもなかった。
 
 その向上を実現せしめたのは農薬と化学肥料と石油と機械と、そしてかつてルイセンコ主義者たちが”マルクス主義的でない単なる観念論!”と罵声をあびせたメンデル遺伝とその応用である。理想論ではなく、現実を記述できる理論だけが世界を制御できるのだ。
 
 
 

2014年8月12日火曜日

実はマルサスから一歩も出ていない

 
 
 
 台風11号は過ぎ去り、昼間は青空、そして夜は曇り空だが風が強く、晴れ間も見えた
 
 ∧∧ 満月がきれーい
( ‥)
 ‐( ‥)散歩へいくか
 
 曇り空の方が面白い写真が撮れるのでやってみたけども、風が強くて動く雲と木の葉がぶれる。写真を見ると目が少し痛くなってくる。
 






















 
 流星を2つ見た。ひとつは緑色で非常に明るかった。流れた方角からして、13日に極大をむかえるペルセウス座流星群のものなんだろう。

 さて

 例えばこんな意見が曰く
 
 マルサスは人口論で、人口は幾何級数的に増えるが、食料は等差級数的にしか増えないと書いた。それゆえに食料危機が起こるというが、それは嘘だ。食料がないと人口は増えないのだから、食料より先に人口増加が起こるわけがない。ゆえに危機も起こらない。
 
 ∧∧
(‥ )だ、そうですが
\‐
 
  (‥ )いや、マルサスの指摘は
      そういう内容じゃ
      ないよなあ
 
 あの話はようするに、
 
 人間はねずみ算式に倍々で増えることも可能だ。しかし、2人が4人になっても8人になっても、たとえ全員が働けたとしても、一人が耕して管理できる畑の面積それ自体は変らない。つまり人口の増加は食料の増産よりも大きい。しかるに食料が支えられる人間の数には限りがある。
 

 
 ∧∧
( ‥)ということは
    畑が養える限界まで
    人口が増える
    我が家には耕作できる大人が
    2人いますが
    養うべき子供が8人いまして
    今やいっぱいいっぱい
 
  ( ‥)マルサスの言ってることは
    ‐□ 人間は永久に
      貧しさから抜け出せないよ
      ということなんだけども

 
 ひるがえれば、冒頭の話は、マルサスの指摘を、食料より”先に”人口増加が起こる、と解釈したのが間違いなのだ。そうではなくて、人口増加と食料増産は同時にレースしている。そして人口増加の方がスピードが速いから、食料増産に必然的に追いつく。そういうことである。
 
 ∧∧
( ‥)そして人口自体は
    食料の生産量に制限されるから
    食うや食わずやの人間に
    あふれることになる
 
  ( ‥)つまり人間は
    ‐□ 永久に貧乏です
 
 
 *冒頭の話は、速度の違いを時系列の違いに、つまり速度の話を順番だと勘違いして生じた誤解だと言える。
 
 
 ∧∧
(‥ )でも、これを打開する方法が
\‐   あるんだよね
 
  (‥ )農業生産の効率自体を
      高めれば良いのだ

 
 
 かつてのような世界。一人の労働で4人を支えるのが精一杯の世界から、化学肥料と農薬の使用、品種改良と機械化によってはるかに多くの人を支えることが可能になった。
 
 ∧∧
( ‥)これなら人口増加も
    怖くない
 
  ( ‥)例えば1人の労働で
    ‐□ 100人を支えられる場合
       家族が100人なんて
       ことはないわけで
       人口増加を緩衝できる
 
 より正確に言い換えればこうかもしれぬ。
 
 一人当たりの食料生産量が人間の繁殖可能な人数以上の人間を養えるようになった場合、この問題は解決すると
 
 ∧∧
(‥ )でも実際にはこれも
\‐   正しくはないですね
 
   (‥ )より正確にはあれだ
       もはや事は
       家族を養う問題ではない
       膨大な食料生産を
       可能にした
       そのインフラ
       これ自体を
       維持するだけの生産が
       農業になければならない
 
 化学肥料を作る工場とそこで働く人を、農薬を作る工場とその従業員、それらの機械を維持する工業群と従業員、それらを運ぶ運輸にたずさわる人々と、それを維持する機械と、それらを維持するための工場と、それを維持するための技術者、そして農業試験場とこれらすべてを維持するための人材を供給する学校と教育者
 
 ∧∧
( ‥)そして発電所と
    送電網と
    水路と水道と
    エンジンと
    道路と
    でも今や農業に必要なのは
    なによりも石油ですよ
 
   ( ‥)我々が直面する
     ‐□ 究極的な問題が
       ここにあるのだ
 
 
 人力よりも畜力よりもはるかに巨大な力を生み出す動力装置、畑を耕し、収穫し、そしてそれを運搬する。それを動かす石油。この石油を我々は猛烈な勢いで消費している。
 
 石油が植物プランクトンの成れの果てであり、数百万年以上に及ぶ光合成の産物であり、太陽エネルギーを化学エネルギーへ転換したものであるとすると、問題点はもはや明白だ。
 
 ∧∧
(‥ )今のあなたたちの
\‐  食料生産の根幹とは
    実は貯金の食いつぶし
    でしかない
 
  (‥ )数百万年以上の貯金を
      数百年で使い尽くす
      勢いなのでな
 
 つまり、我々の偉大なる成果とは、実はただの幻でしかない、ということでもある。これは他のことについても言える。地球の可能な耕作面積は無限ではないし、水の供給量の問題もある。地域によっては農業に使用している地下水は過去に蓄えられたもので、これもまた貯金の食いつぶしでしかない。問題を解決したわけではない。未来へ追いやっているだけなのだ。
 
 *つまり現在の農業の視点でマルサスを否定することは、これもまた正しくないだろう。
 
 ∧∧
( ‥)マルサスさんが指摘した
    限界から
    人類は一歩たりとも
    外へ出たことがない
    出たというのは
    ただの幻
 
  ( ‥)我々が直面する問題は
    ‐□ 物理的な制約でな
      これは覆しようが無い
      ものなのだ
 
 究極的には統制する、という選択肢もありうるんだろう。農業に従事する人間の割合を決め、それを維持するための工業力とそれに従事する人間の割合を決め、それらを調整する官僚たちの割合を決め、すべての子供たちをそれらの役割へと配分し、各自に義務を負わせる世界。
 
 ∧∧
( ‥)技術力が可能ならしめた
    農業の生産効率の拡大枠が
    以上の運営を可能にした場合
    帝国は維持が可能になる
 
  ( ‥)今の僕らの文明と違って
    ‐□ 貯金が無い世界だ
      その状況でこれを
      可能ならしめようと
      あらゆるところが
      統制されるだろうな
 
 人間が作るべき子供の数、人間が払うべき税金の金額、結婚と子育ては義務になり、それは強制されると同時に、数自体は指定されるだろう。少なくとも、推奨されること疑いない。
 
 ∧∧
(‥ )ここでさらに他国との
\‐  競合があるのだよね
 
  (‥ )これを考えるとさ
      後期ローマ帝国の
      軍人皇帝たちが
      本当は何と戦っていたのか
      それが見えてくるよね
 
 確かに敵は国境外のゲルマン人であり、あるいはペルシャ人であった。そしてそれこそが軍隊を維持しなければいけない理由なのだが、本当の問題はそこではなかったんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )キリスト教徒の著述家は
\‐  迫害者であった
    ディオクレティアヌス帝を
    ”軍隊を過剰に増やした”と
    批判したよね
 
  (‥ )多分、今の僕らと
      同じだったんだろうな
 
 おそらく、今の私たちと同じで、最高指導者の立場など著述家は考えもしなかったんだろう。皇帝たちが直面した問題など考慮もしなかったんだろう。農業と農村とそれを維持する諸々を守るために必要な軍隊と、軍隊それ自身を維持するための農民の数と農業生産、そのバランスを計算したこともなかったんだろう。そしておそらく、自分の立場から見た愚痴と不満だけを正論にして批判したのだろう。そこにあるのは理想から現実を否定する行為であり、夢の国を信じる上から目線ではなかったか? 現実と苦闘した人々をそうして罵倒する行為ではなかったか?
 
 ∧∧
(‥ )愚痴と不満を言うのは
\‐  しかたないことですけどね
 
  (‥ )問題はそれを
      ”正論”だとすることよ
 
 
 
 

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