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2009年9月29日火曜日

月がチーズでないことを示せ

 
 ところで

     (‥ )月がチーズでないことをどう示せばいいのかね?
 ∧∧
( ‥)簡単です。

:すべての衛星は岩石で出来ている
:月は衛星である
:ゆえに月は岩石で出来ている

     ( ̄  ̄ )・・・・
 ∧∧
( ‥)冗談ですよ

 距離が分かれば大きさが分かり、そこからまあ、なんだ、望遠鏡を通してみれば月面にのびる影からかなり高い山脈やらクレーター外縁があることが分かるわけで

 ∧∧
( ‥)そこまでくれば、チーズの強度では支えられないとは
    言えるでしょうね。

     ( ‥)反射光のスペクトルとか使えたっけ?
       -□

 でもまあ、そんな近代的な方法はどうでも良い。問題は

     (‥ )中世や古代の人々はなぜ月がチーズだと
         言わなかったのだろう?
 ∧∧
( ‥)天上界は特別だ、地上と違うと
    考えていたからじゃないですか?

 月は特別である(つまり言外にチーズその他もろもろではないという意味も含む)と結論した。それだけかいな?

 いやいやこんなのはどう?

:すべてのチーズは人間が作ったものだ
:月は人間が作ったものではない
:ゆえに月はチーズではない

 ∧∧
( ‥)月は人間が作ったものではないって
    どうして知っているんですか?

     (‥ )うーん、こう?

:人間Aは月を作ったことはない
:人間Bは月を作ったことはない
・以下略

 ∧∧
( ‥)帰納ですか。

    ( ‥)チーズであると言わなかったことを
        積極的に正当化するには、あーなんだ
        具体的にはこんな程度の理屈しか使えないかな?
 
 古代人はチーズであるとは言わなかったが、多くの人は岩石だとも言わなかったっぽい。


 

もしかしてよくできてる?

 
 いやいや、まてまて。こう考えてみる

:分岐学は種をOTUにして(っていうの?)系統解析を行っている
:種はしばしば側系統群である
:ゆえに分岐学は側系統群を認めている

 ∧∧
( ‥)三段論法になっているんですかね?

   (‥ )論理的に証明されたことになるのかね?

 なるほど、考えてみればよくできた議論かもしれない。

 ∧∧
( ‥)でも、こういう論法って最初の言い出しが”含んでいる”
    事柄を結論の形式で述べているだけでしょ?

   (‥ )側系統でありうる種を単位にしているという前提からは
       それを単位に使うものはすべからく側系統群を
       認めているという結論を導くってことになるかな。

 というかそもそも前提がそうだからそうなのだって、それだけの話なんだけど。

   ( ‥)まあ、証明なのかもねえ。
    
 ∧∧
( ‥)正しい証明には”そこには矛盾がありません”
    ということしか言っていないんじゃないですか?

:すべての衛星はチーズで出来ている
:月は衛星である
:ゆえに月はチーズで出来ている

うん、矛盾なく前提から答えを導けた。ゆえにこれは真実である。


さてはてどうなんだかね

 
 こんな意見、種を単位として系統解析をしている限り、分岐学は進化分類学(最節約法+類似度による折衷案)と同じなんだそうだ。

 はあ、まあねえ、ある解析を行ったさいに種を単位として使っていた(つまり暫定的に”このA種というグループ”に関しては問題は解決済みとして扱っていた)、ということを”結果的に側系統を認めていたではないか”と見なす(ような状況であることが分かった)のならば、そこに関しては”共通点になる”のでしょうねえ。

 ∧∧
( ‥)?? 個体を単位に解析をやればすむだけの話でしょ?

    (‥ )個体どころか遺伝子座でもかまわんでしょ。

 解像度上げれば色々なものが見えてくるんでしょうね。それは個体群とやらの遺伝的な交流の様相を見ているのかもしれないし(交雑しているA種とB種の間でミトコンドリアゲノムだけがA種からB種へ浸透しつつあるとか)、あるいは、種と呼ぶものではなく、その遺伝子そのものの系譜を観察しているのかもしれない(いわゆる”種”と人間が呼称するものと遺伝子の系譜はかならずしも一致するわけではない)。

 ∧∧
( ‥)まあ、以上の文章のA種/B種もそうですけども人間がカテゴリーを
    用いて意思疎通/あるいは解析を行うさいに”結果的に/意図的に
    側系統群、あるいは多系統群を含むカテゴリーを用いることがある”
    という点では分岐学と進化分類学の間に共通点はあるんでしょうね。

    (‥ )まあそうだね。

 問題はだから同じだと言えなくもないんじゃね? といっちまうことで。

 ∧∧
( ‥)何が問題なんでしょうね?

    (‥ )解像度が悪いんじゃねーの?

 100点ではないのだから75点と40点は同じじゃね? なんかこういうのって後退的な議論をする人が(結果的に例えば創造論者とかが/いや人間の誰しもがか/時々してしまう)よく使う手じゃなかろかね。

例:オレのも矛盾はあるがお前らのも矛盾があるのだからオレ様の仮説もお前らのものと平等に扱え。

 あともうひとつ気にかかるのが。

 ∧∧
( ‥)なんですか?

    (‥ )側系統群を認める。それが進化分類学の売りだったかしらね?

 あれは色々な意味でかなり難解なテクニックなんじゃないかと思ったことがあったのだけども、その認識は間違いだったのだろうか。改めて調べねばならぬ。

 

アニサキス

 
 先日の講演でお客に見せたアニサキス。アルコール漬けになっていたけども、それもグリセリンにつけて観察。

 
   ( ‥)おおー、すばらしい、よく見える
     -□
 ∧∧
( ‥)なんというんですか、口器になるんですかね、
  -/ 面白い形をしていますね。

 なんか色々とそれなりに構造が見えるじゃありませんか。うむ。時間をかけて把握していこう。

 ∧∧
( ‥)ところでイントロヴァート(陥入吻)は把握できそうですか?

   (‥ )ぱっと見、あるようには見えないなあ。そもそもアニサキスに
       Introvertがあんのかね?

 一応、ネマトーダには Introvert を持つものがいることはいるのだそうだ。とはいうものの・・・

   ( ‥)ネマトーダには関心もってなかったからなあ
       解剖学に関しては何にも分からん。
 ∧∧
( ‥)アニサキスも一応は幼虫ステージですしね。
    あるんだかないんだか。

 イントロヴァータの共有派生形質(でいいんだろうけども)には消化管をリング状に取り囲んで3つの部位に分かれる脳というものもあるそうだ。でもこれ、確認できるかね?

 ∧∧
(‥ )HPのコンテンツも修正、加筆していった方がいいでしょうね
 □-
 
   (‥ )仕事があるから少しずつにだな。

 

 

グリセリン

 
 戦争に次ぐ戦争で、2回も壊滅的な大戦争をしたあげくにやむを得ずしぶしぶ共同体になったものの、今だに反目の絶えないEU。

 それを考えると東アジア共同体って何それ? 効果がどのくらいあるの? 頭の方はどのくらい正気? と疑問は尽きず。

 閑話休題

 サンマに寄生する鉤頭動物ラジノリンクス。色が赤いので内部構造がよく見えず。そこでアルコール漬けにしていたものを本日、薬局で購入したグリセリンにつけてみましたところ。

    ( ‥)おおー見える見える。
      -□
 ∧∧
( ‥)透明とまではいきませんけど
    中身がちゃんと見えるようになりましたね。

 体内を何か管のようなものが通っているように見えるけども消化管なのかどうなのか。

 ∧∧
( ‥)肛門みたいな末端のくぼみも
    産卵する穴だったりして

    (‥ )体の後半になにかあるみたいなんだけど
     □-  消化管の内容物なのか、あるいは卵巣なのか
        あるは別の何かなのか・・・・

 ちょっと見たぐらいではさっぱり分からない。

 

2009年9月28日月曜日

ラジノリンクス

 
 サンマには鉤頭動物の一種、ラジノリンクスが寄生している。おおー、アカントケファラさんがいらっしゃるとですか!!

 
   ( ‥)あこがれの存在、それはアカントケファラ

 ∧∧
( ‥)はあ、、そうなんですか?

 さっそくサンマを買って調理しつつアカントケファラの一員、ラジノリンクスを探す。最初はスカかな? と思ったが見つけましたきれいなオレンジ色のちょろ〜〜〜んとした生き物を。顕微鏡で見てみると見える見える。彼らのトレードマーク。逆棘がついた伸縮自在の吻部。おーすばらしい。でも体の各部の細かい構造はよくわからず。尾端のくぼみは肛門? いやそうなの?? 寄生虫なのにそんなのあるわけ? 本はまだ読んでいないので詳しいことは分からず。

 ともあれ

 ∧∧
(‥ )手持ちの資料によると鉤頭動物は脱皮動物ではなくて
 □-  ロフォトロコゾア(冠輪動物)ですね

    (‥ )?? あれ?? そうなの??

 鰓曳動物とかと同じく脱皮動物で、しかもイントロヴァータなんじゃねーの? とか思っていたのだが。そうなんですか??

 ∧∧
( ‥)理解するまで大変そうですね

    ( ‥)むうう・・・・
      -□


 

2009年9月27日日曜日

公式を導く


 与えられたデータを最節約に/もっともうまく説明するグラフを描く。

 ∧∧
( ‥)グラフは公式なり方程式なりで示すことができますね。

   (‥ )しかり、ゆえにそのグラフにある値を入れれば
       しかるべき答えがでる。

 このような答えは予測になる。そして予測が立つから検証できる。

   ( ‥)でっ、これが系統解析、あるいは最節約法なり
       分岐学出現後に研究者が行っていることであって。
 ∧∧
( ‥)それ以前の人たちとは様相が一変したみたいですよねえ。

 それ以前の人々は以上のような考え方をしなかった。

 どんな考えをしていたかというと、現実の進化は実際にこうだっただろう。だからこんな結果が出るはずだ、というのが古典時代の人々の発想だったらしい。

 この考えに問題があるとすると、元データをどう解析したのか不明で、元データのある部分をなぜ他よりも重く見たのかその根拠が不明で、そしてどうしてそういう結論が導けるのかが不明であった、ということだけであって。

 ∧∧
( ‥)データを見て恣意的にグラフを引いてしまっているわけですね。

   (‥ )しかもグラフを公式にして値を入れるというような
       そういうきめの細かいことをやっていなかったのだ。

 *例えば祖先形質の最節約な復元を(意図的には)していないということ


 データを解析してグラフを描き、公式にして値を入れて予想を導き、それを実際に検証する。今となってはまあ、教科書を読んでいれば高校生でもできるような/理解できるようなことなのだけども、大の大人でさえもこんなことができなかったりする。

 というか、そもそもそういう本を読む手間もかけずに、聞き知って集めたちんけなデータのさらに一部だけを過剰に重み付けしてそれを通るグラフを恣意的に描き、なおかつそのグラフをなんとなく眺めてこうなんじゃねーの?と適当ーに答えを出して、あげくの果てにこれを”証明である”とか言い出すありさま。

 ∧∧
( ‥)えらいこっちゃですね

    ( ‥)まーねえ。

 例えば”こうやって鳥は進化したに違いない”とか新説(?)を語っちゃう前に、ちゃんと教科書読めばいいのに。

 ∧∧
( ‥)でも教科書や論文ぐらい読めよって
    この場合、理不尽な言い方かもですね。

    (‥ )まーねー

 教科書を読まなくてもオレは自力で答えにたどり着けると思い込んでいる人間でもなければ、わざわざ”新説”なんか唱えやしない。だいたいそんな発想とっくの昔に提案されているか、駄目だこれって棄却されたかのどっちかなんだ。ちゃんと調べていない間抜けでもない限り、新説なんかそうそう思いつきやしない(新説を思いついたらまず調べよう、大概の場合、それはただのゴミだ)。

 とまあ、そんな状況なのだから、だとしたら教科書読めよという要求は、この手の彼にとって理不尽な要求以外の何者でもない。

 ∧∧
( ‥)でもそういう人って意外といるんですよね。

    (‥ )教科書読みたくない、論文読みたくない、英語読めないもん
        辞書を引きたくない、オレの論文を乗せてくれない学術誌が
        いけない、学会は保守的だ、こういうこと平気で言うやからは
         どっこにでもいるからな。

 こういうのがごろごろいるのが実は世間だったりする。1万人に一人のあれな奴だって日本全体なら1万2000人いることになるわけだし、そんなもんなのだ。

 

 

それは心の仮説次第

 
 ふと読んだ本にあったこんな話。記載されたイカを探そう。そうしたら異なる2つのイカが採取される。一体全体どっちが原記載のA種とB種だろうか? 調べて見ると外套膜腹面のストライプで識別できることが分かり、さらに原記載論文にもその特徴の記述が見つかった。標本を採取し、なおかつ記載を読み直す時は目から鱗が落ちる思いだったそうで。

 ∧∧
( ‥)観察とは心に思い描いていた作業仮説次第だ
    そういうことですね。

    (‥ )そういうことだね。

 現物を見て、論文と照らし合わせないと論文の意味なり、現実感なり、内容の把握なりは従わない。

 ∧∧
( ‥)ヌスビトハギ属の葉脈は葉の縁に届く/届かない
    もそういうことになるんですかね?

    (‥ )葉脈が届いていない種類はまだ見ていないんだけども
        まあそうだね。

 言われるまで、そんなところは見ていなかった。すぐれた観察者による原記載なり検索表なりは当たり前だけどもやっぱり役に立つということか。さて、その一方ではとんでもない記載もあるそうで。

 ∧∧
( ‥)”白い”って記載があるそうですね。
  -□
    (‥ )正気とは思えないな。

 その記載者は「2色、丸い」とかそんな記載をする人だったそうで、しかもあっちこっちの生物/昆虫とかでそんな新種記載をしたそうな。

 ∧∧
( ‥)系統学どころか分類が混乱しそうですね。

    (‥ )するだろうね。

 その人だったんだっけ? タイプ標本の保存と管理が悪いので、少なくとも幾つかのものは完全に虫に喰われて、あるのはラベルとピンだけだという恐ろしい結果が。もうずいぶん前の人(19世紀とか?)らしいけども、しかし業界では(当然ながら)今でも有名人。


ヌスビトハギ

 
 ヌスビトハギのスケッチをアップ。こんな作業に2時間も時間をとられているのだから、仕事が忙しくなるとHPの更新が滞るのも当然か。

 ∧∧
(‥ )ともあれ、だんだんとマメ科植物の資料が
\-   そろってきましたね

    (‥ )ジャケツイバラとカワラケツメイが欲しいな。

 まあそういう話は抜きにしても現在、近所の公園には花が咲いているものだけで、後、4種類、マメ科植物がいる。たぶんそのうちのひとつはフジカンゾウというやつなんだろう。

 ∧∧
( ‥)基本的に本に頼らないことにしても
    さすがに同定の段階で目を通しちゃいますね

    (‥ )HPにアップする時にはどうしてもねえ。

 なんか知らんけど、これ見てねってわけにもいかんので、取りあえず該当の箇所だけ目を通すと、基本的な造りはヌスビトハギに似ているけども、もっと大造りで花のきれいなこの植物はなんじゃらほい? と思っていたあれが、ああヌスビトハギと同属の別種(フジカンゾウ)だったのか・・・と分かってしまうこともある。

 他にもヌスビトハギの検索表を見たら、葉脈が葉の縁に届いているか/いないか、というものがあった。そこですかあ、そこを見ますかあ、、、さすがにそんなとこ見ていなかったよなあ。

 ∧∧
( ‥)観察するって容易なことじゃないですね。

    (‥ )スケッチしていても色々なものを
     □-  見逃しているんだろうな。

 

2009年9月26日土曜日

しるえっと


 先日の夜、夕刻の日も落ちた公園の帰り道、ふと空を見上げたら見たこともない鳥のシルエットが見えた。公園にいるアオタカではないらしい。妙に翼が長くて、というよりも翼の長さに対して前後長がない。細長い板のような翼。胴体は短めで、尾羽は短く、頭はなんか丸っこい。ツバメでもアマツバメでもなく、サギでもカラスでもカモでもなく、小さな小鳥でもなく、さりとてカラスほどにまで大きいわけでもなく、ハトでもないし、ツグミでもなく、ヒヨドリでもムクドリでもなく、フクロウとも感じがまるで違う。なにか滑空するかのように飛んでいた。

 ∧∧
( ‥)ヨタカとか?

   (‥ )こんなところにいるかね?

 よく分からん。



2009年9月25日金曜日

そんな解決するから業績にならんのだね

 
 恐竜から鳥が進化した。というか、鳥って普通に恐竜で爬虫類でしょ? というのがもはや系統学の世界の話。実際、鳥が恐竜でないのならアンキロサウルスは爬虫類(ディアプシダ)じゃねえ。

 それでもなお、これに反対する人は、というか反対し続ける(しかない)人たちは今もいる。創造論者もそうであるし、一部、”鳥の飛行の起源は樹上にあった”という古典的な仮説を唱える研究者もまたそう。

 そして彼らが提示したスタンダードに対する反論の1つが、鳥の指は2、3、4であるが恐竜の指は1、2、3ではないか!!というもの。

 ∧∧
( ‥)主張の半分は正しいわけですよね?

    (‥ )発生学のデータと外部形態のデータがコンフリクトしている
        そこに”解決すべき問題がある”という点ではまったく
        その通りだと思うよ。

 問題は、彼ら、つまり創造論者や一部の古典的な鳥進化仮説に拘泥する人々が、”解決すべきコンフリクト”は”解決不可能なコンフリクト”であるから、ゆえに我々の仮説が正しいと”解釈”したことであって。

 ∧∧
( ‥)まあ、解決すべきを解決できないにしたってのは
    飛躍ですね。

    (‥ )推論過程に飛躍が入っても、ことと次第によっては
        かまわないと思うけどね。

 もちろん、彼らの主張は根拠の根拠が不明なのでまともな科学者はだーれも相手にしなかったのだけども、ともあれ、ここでひとつ思うことがある。

 解決すべきコンフリクト、というのは、実のところそこに論文のネタがあることを示している。しかるにそれを解決不可能であるから、、、としたのは

 ∧∧
( ‥)論文のネタを自ら潰したと。

    (‥ )そうなりうるし、結果的にそうなっちゃったね。

 まあ、彼らは解決不可能だから、ゆえにコンフリクトが起きない俺たちの論文が正しい、という形式では解決策を提示したし、論文を書いたわけだけど。

 ∧∧
( ‥)でも”解決不可能”と飛躍した時点で元もとあった
    ネタは自分から潰したわけですよね

    (‥ )実際、このあいだ、あの人にかっさらわれたからなあ。

 解決不可能だから、、とさじを投げた時にネタを潰していたってことだった。

 おかしなもんで、というか面白いもんでというか、あるいはむしろ当然というべきか。

ここにこそネタがある!!

と思った人は何人もいたっぽい。というか北村の知り合いでも”これって結局こういうことじゃないの?”と、今思えばかなり良い線いっていた推論を述べた人もいたくらいだし(そうなんだよね、何かおかしなことが起きるとしたら、それはケラトサウリアとテタヌーラの分岐点、ネオテロポーダの根っこのあたりということも確かにそうなのだ、テタヌーラも当初は”あれ”だったらしいし)、そして後は材料に巡り会う運と能力次第なわけだけども。

 ∧∧
(‥ )でもそれが現実になるとびっくりしますよね
 □-
    (‥ )さすがにね。

 
 ともあれ、見極めねばならぬ。

 さて

 そういえば以前、昆虫の成体の系統樹と幼虫の系統樹がコンフリクトを起こしている例を上げて、やはり系統解析には限界があるのだ、と述べている人を見た時には、まあなんというか。

 ∧∧
( ‥)ネタをスルーしてますよね

    ( ‥)その人が仮に学生だったら良い論文、書けないだろうなあ。

 コンフリクトしているから駄目だって、その考え方が駄目なんだってばよ。

 

2009年9月24日木曜日

それなりにうけたっぽい

 
 某所で寄生虫の話をすることに。もう一人の演者の方は寄生虫をよく知る人である一方、自分は寄生虫に関してはほぼ知らず(おまけに遅刻。すいません)。そういうわけで、話すよりはと現地でイカを切って、まずはニベリン条虫を探したら

 ∧∧
(‥ )真っ先にアニサキスが見つかりました
 〜-
    ( ̄  ̄;)あう・・・・

 いつも思うけども、アニサキスはどうしてこうも頑丈なのだろう?? ぴんぴんと暴れるアニサキスをシャーレに入れてお客に回す。そいでもってその間に見つかりましたニベリン条虫。

 ∧∧
( ‥)ニベリン条虫も回しますね
  -゜

    ( ‥)おっ、例のTetraphyllidea? らしきものも出てきた
      -□

 というわけで、全部で3種類の寄生虫をお客に見せることができました。線虫類であるアニサキスはともかくとして、条虫であるニベリンくんとTetraphyllidea? らしきものの共有派生形質は消化器官がないことらしい(他にもあるが)。

 でっ、そこでなぜダーウィンは種の起源の中で”一部、獲得形質を認めたのか?”をからめて解説。

 ∧∧
( ‥)あなたの理解では、あってもなくてもどうでもいい、
    そういう中立的な状態にまで退化した変異がなぜ”消失”という
     状態に固定されているのか、それを説明するために
     ダーウィンが用不用説の一部を残した、そういう理解ですね。

     ( ‥)彼の著作「家畜・栽培植物の変異」ではこれをより仮説的に、
       -□ つまりパンジェネシス仮説に基づいて
         説明しているようなんだけどね。

 まあ、寄生虫とダーウィンをからめて話してね、というお題だったのでそういう話に。この辺りの話はhilihiliのコンテンツ、種の起源を読むでまたおいおい補完の予定。

 ともあれ、小難しい話はともかくとして、生きている寄生虫を見せたのはそれなりに受けたっぽいので、まあ、良しとしていい感じ。

 ∧∧
( ‥)食品の中の寄生虫に関しても心配ご無用と言っておきましたしね

    (‥ )イカに寄生虫がわんさかいると言っても、
        みんな気にしないだろう。

 そんなことでどうかなるなら我々はそもそもイカを食べたりしないのだ。

 
     

2009年9月23日水曜日

ばらけていたんですか

 
 イカを解剖、というか調理して、米つぶ虫(ニベリン条虫:Nybelinia surmenicola)を採集。

 ∧∧
(‥ )イカを延長宿主にする寄生性の扁形動物ですね。
 □-
 
    (‥ )後、内臓の中から別の扁形動物を見つけた。

 どうもよくわからんけどもTetraphyllideaなるグループに所属するものらしい。4つ、あるいは5つ?の吸盤を持つふにゃふにゃしたレースのような形の頭部と、ピンク色の左右対称の線が走る上半身(?)と体節っぽい構造がずらっと並ぶ、変幻自在の下半身。

 とはいえ、手持ちの資料を見てみたら

 ∧∧
( ‥)Tetraphyllideaは側系統群として分解してますね
  -□
    (‥ )分解能いかんによっては(一カ所3分岐の場所がある)
     □-  多系統にもなりうるのかな。

 ニベリン条虫が所属するとされるTrypanorhynchaも分解する可能性があるっぽい。この図だと一部のものが他の派生的な単系統群の姉妹群になりうる可能性もあるってことらしい(3分岐状態)。

 それにしても扁形動物の分岐図には100以上もの形質がデータとして使われているらしく。いや? あんな単純な形態の生物にデータがそんなにあるの?? と思っていたら

 ∧∧
(‥ )すべてのステージで消化器官を持たない、脊椎動物の宿主
 □-  最初の宿主でアピカルピットフォームをとる・・・

   (‥ )細胞の各種構造、特徴、特定の細胞が発現する時期、
       ホックを6つ持つ、体の形態は葉っぱ状、などなど
       色々あるんだねえ。

 細胞の形態、特質、種類、様相、配置、発現、宿主の種類、外部形態、器官の数。確かに言われればいっぱいあるよなあ。

 ∧∧
( ‥)なんかもっのすごくたくさんの分岐図が編まれているようです。

   (‥ )扁形動物とその研究者、あなどりがたし。 




 

2009年9月22日火曜日

確かに手触りは枝豆だった

 
 公園にいってヌスビトハギ(たぶん)をスケッチ。面倒くさいけども、これも一応仕事。そして改めて見てみました公演のツルマメ。前にスケッチした時は9月の上旬。もう花は終わってマメを実らせており、その様子は

 ∧∧
(‥ )小さいだけでダイズですね
 ゜-
    (‥ )見事にダイズだな。

 触り心地はどういうわけか枝豆そのもの。莢の大きさが指先ぐらいしかないのを抜かすとまんまダイズ。

 ∧∧
( ‥)もさもさしてます
  -゜
    (‥ )莢の大きさは変われども、毛の大きさや長さ、
        毛が生える密度は変わらないってことかね?

 考えてみれば当たり前だと言えるし、奇妙なことだとも言える。

 

まあ、分かる感じ

 
 ざっくり調べてこう。

:現在の裸子植物は一応単系統という意見あり(本当ですか?)
:絶滅種まで含めると”裸子植物”はまあ明らかに多系統(あるいは側系統?)
:被子植物は一応単系統らしい(結構手堅い仮説)
:被子植物の中でもいわゆる/あるいは古典的なモクレン亜綱が原始的な分岐群である
:とはいえ、モクレン亜綱はばらけていて、側系統群であるらしい
:キンポウゲ亜綱はより派生的な被子植物(真正双子葉植物の中核群)よりは原始的でちょいとばかし中間的っぽい
:被子植物の”花びら”は起源がばらばらっぽい

 ∧∧
( ‥)まあ、なんか頼りない理解ですねえ

    (‥ )そうねえ。でも分かるっちゃ分かるよな。

 現生の裸子植物が単系統と言われると、本当かよ?? と思うけども(グネツムとか抜きにしてもあれのどこが単系統群なんだぞなもし??)、まあ絶滅群まで入れた”裸子植物”は明らかに多系統、かあるいは側系統ですというのは納得。

 さもなきゃ被子植物が”裸子植物”に包含されるという意味で裸子植物を単系統群にするしかない。先日の本はほんの少し、こういう考えを持っている気配があった(ただし、明白に明言と言えるほどの指定はしていない)。

 モクレン亜綱にされていたスイレンとかが((モクレン+コショウ+ドクダミ)他の被子植物)の姉妹群になっちゃって、モクレン亜綱が側系統群としてばらけちゃうのは、まあ、ありがちっぽい話(よく知らんけども将来的にはキクよりもモクレンに近い系統群がモクレン亜綱なり/あるいはモクレン類なりでございますとか再定義されたりするんだろか?)

 ∧∧
( ‥)あるいは暫定的に側系統群の
    モクレン亜綱を認めるとかですね。

    (‥ )それもありだけど、あんまり系統学を無視すると
        分類学って本当にただの”キャビネットの番号”
        になっちゃうから、それ却下。

 まあ、そんなよそ様の話はともかくとして。

 キンポウゲ亜綱が真正の双子葉植物の中核グループ(Core eudicots)の姉妹群で、ちょっと原始的っぽいというのは、なんか納得。

 ∧∧
(‥ )そういえば以前ニリンソウを見た時、なんだこれって
 □-  思いましたよね。

    (‥ )なんかなあ、雌しべが適当ーに螺旋状に配置されていて
        雑というと可哀想だけど、そんな印象を受けたよなあ。
        きれいな花なんだけどね。

 もっとも、それが本当に原始形質かどうかは知らない。

 ∧∧
(‥ )Core eudicotsの共有派生形質とおぼしきものは
 □-  花の構造が5の倍数、萼片と花弁が明確に異なる、
     雄しべの数が花弁の2倍、などなど

    (‥ )ようするにモクレンやキンポウゲよりも
        すっきりシンプルってことかね?

 まあ、いわれればそうか。手持ちの資料をざっと斜め読みした限りでもそれでいいっぽい。5つの花びら、5つのパーツ、あるいは5の倍数。ようするに典型的には桜とか、ああいうやつ。

 ∧∧
( ‥)とはいえ、解剖学的により詳しい理解に
    至るのは大変そうですね。

    ( ‥)いつでもそうだけども、あまり知らない分野を
        正しく/妥当に理解するのは容易なことではない。

 

2009年9月21日月曜日

自己循環型無限暴力機関

 
 進化を論じた映画の上映を宗教が/あるいは宗教的な理由が拒否する。

 ∧∧
( ‥)問題ない?

    (‥ )問題は生じているが、宗教にとって問題ない。

 宗教は元来、殺戮兵器であった。有史以来、何億人の命を奪ってきたのかわかったものではない。殺人、暴力、殲滅、拷問、虐殺、奴隷化、抹殺、それらすべてを肯定する力を持ち、実際に肯定してきた道具、それが宗教というものだ。映画の上映禁止ぐらいどうということはない。

 ∧∧
( ‥)宗教は人を救うものじゃあないんですか?

    (‥ )人を救える道具であるというのであれば
        命を奪うことも容易であろうなあ。

 使い勝手が良い道具なのだから、そりゃあ誰もが使う。

 ∧∧
( ‥)あなたも使います?

    (‥ )異端を殲滅するのに理由はいらない、とか?
 
 異端殲滅の目的とはなにか? 正統を正当化することか? 否、否。異端殲滅の目的とは異端殲滅なのだ。理由なんて存在しない。拷問の目的は拷問そのものであり、権力追求の目的とは権力に他ならぬ。理由も正当化も何もまったく必要ない。目的そのものさえ必要ない。目的の目的は目的そのものであって、正当化の目的とは正当化そのものだ。戦争の目的は勝利することでもなく、敗北することでもなく、休戦でも停戦でもない、戦争の目的とは戦争そのものだ。息することには原因があってもその行為それ自体には説明がいらないように、殲滅することにも説明はいらぬ。
 
 ∧∧
( ‥)それはまったくのファンタジーだし
    もはや宗教でもないですね。

    (‥ )ファンタジーである。その意見に関しては
        まったくその通りであるな。

 人間にこんなことはできません。

 ∧∧
( ‥)というか、仮にそんなものが現れても
    淘汰されて消滅しちゃいますよね?

    (‥ )あまりにもコストがでかすぎるからね。
        戦いの無限継続なんて、不利以外の何物でも
        ないから消滅する運命にあるな。

 だが、”宗教でない”とは言えないかもしれぬ。実際、宗教だろうが道徳だろうが、それらは何かを正当化すると規定したものではあるが、自分自身を正当化はしていない。

    (‥ )というか、正当だから正当だ、としか
        言っていないんだよな
 ∧∧
( ‥)はあ、、だから殲滅の目的は殲滅だ、というのと
    宗教は同じだと? そうですかねえ???

 でもまあ、そこんところは少なくとも共通しているんじゃないの? 

    ( ‥)だから危険なんだな。
 ∧∧
( ‥)まあ、危険人物が使ったら危険でしょうね。


人を救えるほどの力があるのなら、命をいくらでも奪えるだろう
自分自身を正当であると規定しているのなら、いかなることも正当化できるだろう
自分自身を良いと規定したのであれば、いかなることにも制限はなくなるだろう

    (‥ )異端殲滅の無限継続、無限闘争
        これ問題なし。
 ∧∧
( ‥)馬鹿に刃物って言葉、知ってますよね?


 
 

本当に言ったのかどうなのか

 
 こんな話。種の起源が刊行されたその翌年にあたる1860年、オックスフォードでかわされた論戦でウィルバーフォース大司教はおよそ次のようなことを言ったという。

1:ダーウィンは自然選択と競争によって”優れた変異が集積する”ことを示さなくては行けない
2:品種改良で新しい種が誕生したことはないのだから、品種改良を自然の説明に使うのは誤りである

 ∧∧
( ‥)はあ、実際にこんなこと言っちゃったんですか?

   ( ‥)言ったという話なんだが、本当かね?
     -□

1に関してはダーウィンは品種改良によって”現実に変異が累積すること”を示したので、ようするに大司教の主張は2に関してのみ意義がある(2は1を包含するっていうの?)。

 問題は、新しい種が誕生したことはないのだから・・・という彼の2における指摘が進化理論に対する深刻な問題として成り立つ条件であって、それは

 ∧∧
( ‥)それは”種が特別である”という前提が正しかった時のみ
    成り立つことですね。

   (‥ )でも実際には”種は特別なものでもなんでもない”からなあ。
       というか、それを示したのが種の起源のひとつの重要な
       部分なんだが。

 ようするに例えるのならこう

1:あなたは地震の時にまれに起きる隆起でアンデス山脈が生成したというが、隆起が集積して山脈ができることを実際に示さなければいけない
2:地震による隆起で山脈ができたことはないのだから、身近な現象から山脈を説明することは間違いである

 ∧∧
( ‥)大司教さんが言ったことは
    こういう主張と構図的には変わりませんね。

    (‥ )この主張が妥当なものになるには
        次のような前提がたぶん必要。

1:山脈は特別なカテゴリーである
2:ゆえに他のカテゴリー(例えば丘や隆起によって波間から顔を出した海底)を説明する理論(この場合は断続的な隆起によって高い地形の由来を説明する理論)を適用して説明することはできない

 たぶん、こういう場合にのみ、アンデス山脈の生成は地震による隆起で説明することはできなくなる。

 ∧∧
( ‥)同じように、種が特別なカテゴリーであるという場合にのみ、
    品種改良による品種の出現の説明が種にまで波及してしまう前に
    シャットアウトすることができますよね。

    (‥ )品種で適用された説明が”種”の領域にまで
        及ぶのを止めるには”種が特別である”と主張して
         それを保護する必要があるわけさね。

 逆にいうとその保護を破壊したのが種の起源のひとつの文脈であって

 ∧∧
( ‥)するとウィルバーフォース大司教さんが言ったことは

    (‥ )種の起源を読んでないか、理解できなかったか、
        あるいは理解した上で、あえてそれを無視したのか
        いずれかであることになるだろうね。

 理解できなかったとすればお馬鹿さん。あえてやったとしたら悪質なアジテーター。


 ∧∧
( ‥)そもそも本当にいったんでしょうか?

    ( ‥)そこんところはあまり調べていなかったのでねえ

 ともあれ、次のことは言える。ちゃんと調べていない時点で、お馬鹿さんかあるいは悪質なアジテーターであると解釈されうる発言を”彼がした”と安易に信じるわけにはいかない。
 
 ∧∧
( ‥)まあ、相手に対して失礼ですからね。

    (‥ )実際、”品種改良で別種はできていないから進化理論は間違いだ”
        という発想はちょっと賢いが、特別頭がいいわけではない
        そういう人間(仮称:B群)がよく陥る罠であるね。

 ありがちな意見である一方で、根拠不明、というかあからさまに間違った主張でもある。例えばセイヨウタンポポと日本のタンポポはいかなる意味で”別種”であるとすることができるなりや?

 ∧∧
( ‥)まあ、、、別種ではあるんでしょうね

    (‥ )まあ、別種ではあるんだろうなあ。

 明らかに”識別できる”異なる集団で、すんでいた場所も生態も性質も特徴も違っているから別種で、それでもって侵入種であるセイヨウタンポポが在来種を駆逐していると思っていたら、実際には雑種が生じていて、しかも雑種と親種を人間が混合して”セイヨウタンポポ”であると認識していて、現実には”雑種”の方が多かったというオチ


 *一応、大司教さまの名誉のためにいうと、個人的には彼はお馬鹿さんやアジテーターというよりは普通の人だったんじゃないの? と(現時点では)思うのだけども。

 ∧∧
( ‥)立場上、進化論? 別にいいんじゃないの?
    とも言えませんしね。

    (‥ )積極的に進化理論を
        否定しなくちゃいけない立場だからなあ。
 

 

つるまめ

 
 3ヶ月ぶりにHPを更新。生命の樹にツルマメとガガイモをアップ。ガガイモはまあいいとして

 ∧∧
(‥ )ツルマメ。もうじき実がなるのでしょうか
 □-
    (‥ )なるはずだけどね。

 大豆の原種という話。そりゃあ確かに体の構造はダイズもツルマメも基本的に同じらしいけども見た目はずいぶん違う印象。

 ∧∧
( ‥)ほんのちょっとした遺伝子の違いで
    見た目に大きな変化が起きているということですよね?

    (‥ )たぶんね。

 インゲンの無限ツル性のものと、矮性のものとがあること(両者を交雑すると中間的なツルではあるが成長が途中で止まるものが出るそうな)からしても、多分そうなんでしょうねえ。

 しかし、それにしたって驚きだ。そういえば今日は公園でこれまた違うマメ科とおぼしき植物を見つけた。鑑賞目的の外来種かなと勝手の思ったけども、葉柄と花柄の根元にちいちゃいけども立派な葉っぱがあるじゃないですか。

 ∧∧
( ‥)ハギとかツルマメでは痕跡的な何か突起のような
    ものがある部分ですね。

    (‥ )よしよし、いい感じではないか。

 マメ科、これは使えるっぽい。

 

2009年9月20日日曜日

現実だけで組立てよう

 
 ヨーロッパで民主主義や近代文明が発達したのはなぜか? それはキリスト教があったから、という意見。

 ∧∧
( ‥)どう思います?

    (‥ )現象AとBがあった場合、それは原因と結果であるに違いない
        という推論だね。

例1:こぶを作ってぶったおれている人の脇に折れたバットがあったら、それはバットが原因に違いない
例2:こぶを作ってぶったおれている人の脇に砂糖がちらばっていたら、それは砂糖が原因に違いない

 
 ∧∧
( ‥)あなたはどう思います?

    (‥ )1000年間、戦争し続けたからだろ?
 
 なぜヨーロッパでは戦争が絶えなかったのか? ということにたいする即物的な意見はダイヤモンドの著作が参考。

 
 ∧∧
( ‥)後はガスキンさんとか?

    (‥ )参考になると思うけどね。

 
 

出来はたいして変わらない

 
 仕事がひとつ終了。さすがにすべてを潰すことはできず。

 
   ( ‥)とはいえ、さすがに明日は休んでもいいよねー

 ∧∧
( ‥)はあ、まあ

 ダーウィンの生涯を描いた映画「クリエーション」、アメリカでは上映拒否だかなんだか。はあ、まあそうねえ、そりゃあ宗教ってのはそんなもんだし、それに

 ∧∧
( ‥)それに、日本人だって似たりよったりかもですね。

   (‥ )進化論は資本主義的だとか、欧米の競争社会に基づいた
       非道徳的な理論だとか、アジアにはなじまないとか
       日本には独自の科学があるんだとか、そういうこと
        平気でいう連中がいるしなあ。

 道徳とか宗教で現実世界を語る。思えば世界を変えられる。念じれば、信じれば、そうすればスプーンが曲がると言うのと似たり寄ったり、アメリカ人も日本人も所詮は人間、ただの普通のありきたりな人間だ。頭の出来はそんなに違いやしない。
 


2009年9月19日土曜日

作業は続くよ細々と

 
 いろいろ、本業やら絵を描く約束やら、それらのすべてがストップ

 ドイツでおとなしく、まっているかい? まっていないとオレは怒る。

 ∧∧
(‥ )ゲラを見たら色々と出てきましたね
 □-
 
    (‥ )著者ではないのに、本にかかわるだけで
        こんなに大事になるとはねえ。

 監修というか確認作業というか、編集の手伝いでこんな有様。書いた本人、翻訳した人はもっと大変だったのだろう。ご苦労様である。

 ∧∧
( ‥)ちょっと無茶なくらい野心的な
    本ですよねえ。

    (‥ )考えても、普通はこういうのやらんし、出来んよ。

 それを現実に、本当に書いちゃうんだもんなあ、勢いというか、やれば出来るもんだというか、やっちゃうところがすげー、すげー。確かにあまりにも広範囲すぎるので多少なりとも用語や系統群名/分類群名などに不整合が生じているものの

 ∧∧
( ‥)そんなの気にしちゃだめでしょ?

    (‥ )まーね。

 こういう本を読んで、うん?? と疑問に思ったら、まずは自分で調べなきゃあだめだ。

 ∧∧
( ‥)英語の原著があって、論文も背景にある時は
    特にそうですね。

    ( ‥)例えば単肢類と裂肢類と汎甲殻類が出てくるけど
      -□ これはどう考えるべきだろうか?

 個人的には頭を抱えるけども、しかし、そんな未来の課題よりも、地味だが先にやらねばならない重要なことがある。

 ∧∧
(‥ )cuspate swale ってどういう意味?
 □-

    (‥ )まんま訳すと、”トゲトゲした水はけのわるい土地”
        って意味になるみたいだけどね。

 ∧∧
( ‥)でもこの場合は”形態”に関して記述した
    言葉なわけでしょ?

    (‥ )これに関しては卵パック型とか色々あってだね
     □-





2009年9月16日水曜日

あまりいったことのない場所

 
 誰でもそうだけどもよく行く場所と行かない場所とがある。すぐ近くだけども用事がないとか、障壁になるものがあるとかで行かない/行く必要がない。そんな場所があるもんで。

 ∧∧
( ‥)それは地形だけじゃなくて
    本や情報の世界でも同じですね。

   ( ‥)今回の仕事で分かったのは、現生鳥類と初期陸上植物という
     -□ ”場所”にはあまり”行ってなかった”ということなんだよなあ。

 現生鳥類ってのは素人目には端から見ると不思議なもんで、生態に関するレポート(性選択とか)はよく聞くけども、まともな系統解析の例はこれまでほとんど聞いたことがなかった世界。最近になって分子系統解析の結果が幾つか出てきたものの、それまでは血清反応による体系が(批判されながら)使われたり、形態データによる解析が仮にあっても、概してもっと前の時代の化石種のものだったりと、みょーに片寄っているという印象(とはいえ手元にはカッコウの形態データを用いた系統解析のレポートがあるにはある)。

 ∧∧
( ‥)現生鳥類の”体系”ってこれからどうなるんですかねえ?

   (‥ )(((走鳥類(カモ類(他の現生鳥類)))ってのは
        確からしいけどもね。

 他はどうなんだか。ともあれ、なんか少し懸念(?)するのはカモがここにくるのなら、じゃあ例の”あの形質”は原始形質なのか?ってことなんだけども。

 ∧∧
( ‥)まさか

    ( ‥)そうだよねえ、それはないよねえ。

 まあこんど化石鳥類も含めて、論文、もろもろ資料にあたるとしよう。分子系統に関してもデータの処理が妥当かどうか見極めないといけない。

 ∧∧
( ‥)例の”雪の下”さんに関しても骨をみたいんでしょ?

    (‥ )見る機会は作れると思うのだけど、例のあれが
       ”あったら”すごいよね。
 
 そしてもうひとつは初期の陸上植物。

 ∧∧
(‥ )リニア形の植物というのですかね? 
 □-  なんかばらんばらんになっているみたいですが。

    (‥ )分岐図上で物の見事に多系統

 ゾステロフィルムはヒカゲノカズラにむしろ近いというわけですか。そうですか。

 ∧∧
( ‥)データを理解し、解析の妥当性を判断できるようになるまで、
    ずいぶんかかりそうですが・・・・

    ( ‥)何年かかけてやるさ。

 仕事ってのはそういうもんでござんしょ。


 

2009年9月15日火曜日

 
 深度5000メートル、日本海溝で歌うアイドル。

 ∧∧
( ‥)人類、というか地球の歴史上初めての
    出来事ですね。

    (‥ )やるなあ。

 

Tribe Hominini

 
 監修作業進行中。やってきました霊長類における小さな小さなローカル分岐群。その名はHominoidea。まんま訳すとヒト上科、つまりSuperfamily Hominoidea。ところが弱ったことに原著の説明と分岐点/系統樹/系統群の名称の配置が整合しない。

 ∧∧
(‥ )そればかりか近年の”分類体系”とも
 □-   齟齬していますね。

   (‥ )まあ、分類体系であろうが系統関係であろうが
       独自のものがあるのは当然なんだけどね。

 問題は原著内部において図示と本文の説明とが整合しないということ。直すのは簡単、、、、、のはずなんだけども。

 ∧∧
( ‥)HominoideaをHominidaeに直したら、そこから先の
    分岐点の名称、および、端点の名称がすべて整合しなくなりました。

    ( — —)全部書き直しかよ。こんちくしょー。

 分岐点の名称があからさまにランクを示す語尾になっているので、ランクが変わった以上、影響を受けるすべての名称の語尾を変えなければいけない。当然、テキスト内における固有名詞も同様。めんどくさいったらありゃあしない。類で無視したいけども、ここまで固い、しかも末端の系統群ではそんなこともできず。おまけに他のページと違ってここに関しては入念に分岐点における名称が語尾変化しながらまめに記されているわけで(人間だからですか?)。

 ∧∧
(‥ )Hominini?
 □-
    (‥ )Tribeだね。

 ∧∧
( ‥)Hominina??
 □-
    (‥ )Subtribeだね。

 ∧∧
( ‥)Pongidaeはどう直すんですか?
 
    ( ‥)Tribe Pongiだね
      -□ GorillinaeはGorillinaだな。

 いやはや、ジャック・ゴーティエたちが分類階級という拘束具を否定したのはよくわかる(系統学者が直面するのはこんな簡単な状況ではない)。そしてまた反対に分類学者たちが系統学を無視して古い分類体系を堅持しようとする場合があるのもよくわかる。そりゃあ、系統解析の結果を無視したくもなるよなあ。分類学は安定が命らしいし(分類学は科学であるから体系は絶えず検討すべし、という意見も本によっては書かれてはいるんだけども、安定が命の自然科学とはこれいかに?)。

 やはり科以上の分類階級は指定が無い限りは記述しないで(原著にもそもそも記述がない)よかった、よかった。一歩間違えれば(一歩間違わなくとも)大変なことになっていたところ(例:下目に綱が包含される)。


   ( ‥)まあ、family, subfamily, tribe , subtribe , genus と
       そろいぶみだから、分類階級マニアは泣いて
       喜んでくれるかな。
 ∧∧
( ‥)いやあ.......


 系統樹のトポロジーは変わっていないと言うのになんということなのだ。


2009年9月13日日曜日

ハギ

 
 公園に咲いていたハギ、というかハギ属の何かをスケッチ。本を調べてみたが、なかなか同定できず。そいでもってさらに調べてみて、

 ∧∧
( ‥)どうもヤマハギってやつらしいですが・・・
  -/
     (‥ )あれ? 本に載っていたっけ?
      □-

 とてもポピュラーな種類らしいけども、なんで行き当たらなかったのか? ともあれ、ハギ属には微妙に異なる色々な種類がいるらしい。

 ∧∧
( ‥)タデと並んでマメ、なかなかですね
 
     ( ‥)興味深い。これは興奮させられる。

 問題はこの秋の間に、これらを十分に資料化できるかどうか。

 

2009年9月12日土曜日

ある意味ご立派

 
 参考にひっぱりだした本を見たら、まあその人は系統というよりは思いっきり分類学の人なので、2006年に提示した分類表がなんとまあ20年は昔に使われていたようなしろもので。

   ( ‥)分類表を作る時、この手があるんだよな
     -□
 ∧∧
( ‥)後で絶対文句でますよ。

 だけどもひとつの手であることには違いない。系統の通りに分類階級を割り当てたら破綻するから、じゃあ混乱しないように古い分類体系をほぼそのまま使って分類表を作りました、という手。

 ∧∧
(‥ )しかし今どき、キノドンティアに亜目を割り当てて
 □-  爬虫類に押し込めるとは

   (‥ )まあ、そのまま系統樹に当てはめるとキノドン亜目に
       哺乳綱が入り込んで、しかもそれが爬虫綱に入ることになるな。

 コンフリクトがもう絶頂。

 だけどもひとつの手ではある。ようするに分類と系統はまったく別だから分類体系は系統関係をまったく反映させる必要なんてございません、というスタンス。ある意味あっぱれ。

 ∧∧
( ‥)でも、それって分類学擁護であるように見えて
    すごく危険なことですよね?

   (‥ )そりゃあそうだね。

 このような姿勢に対して、なんだ分類学って整理整頓学であって、つまるところ自然科学じゃないんじゃねーの? という突っ込みが入ってしまうのはもうほんの目と鼻の先。

 ∧∧
( ‥)というか入りましたよね?

   (‥ )入ったねえ。

 それでもなお分類学を堅持するのはある意味ご立派なことである。



結局なくなりました

 
 でっ、監修の仕事でございます。原文と参照し、送られた訳文も検討して結局

 ∧∧
(‥ )使用する分類階級は科、上科、亜科だけですか
 □-

   (‥ )語尾が-dae -oidea とかそういうものは名称として
       分類階級の語尾をつけたが、他は抜くか、あるいは類で統一

 目も門も綱も全部放棄。原文で指定がなかったし、系統樹上にプロットするとコンフリクトしまくりなので。あきらめる。

 ∧∧
( ‥)分類表を作るわけにもいきませんしね。

   (‥ )勝手に作れないし、作ったら作ったで、
       たとえ有名な分類学者が作ったとしても
       どっかから文句でるからなあ。

 なるほど、末端の単系統群で、なおかつ分岐点ごとに階級をあてるという原則を堅持せずに、いわゆる・・・・

 ∧∧
( ‥)修正リンネ式とかを使えばどうにかなるかも
    しれませんね。

   (‥ )魚とか昆虫とかね。

 それでもどっかにしわ寄せはくるし(魚ならテトラポードにしわよせがくる)、個々の生物分野でやっていたことを全部かき集めて組み合わせると

 ∧∧
(‥ )破綻しちゃいますね。
 □-
    ( ̄  ̄ )訳して分類階級を割り当てた人には悪いけど
          無茶なことはできないよ。

 昆虫は甲殻類に包含されちゃうし(汎甲殻類がこの本では採用されている)、節足動物+αで分岐群はできるわで、労作ではあるのだが、分類階級はほぼすべて放棄。原文にもないし、分類階級の使用は原著者の方針とも違うようであるからこれで良いでしょう(だいたい、元は系統学に基づく本なわけだし)。

 ∧∧
( ‥)直しが大変ですね

    ( — —)さっきすべて直し終えました。

 しかし例えばmyomorphaはネズミ形類とすべきだったか? 

 

2009年9月11日金曜日

星占い師に聞かんだろ

 
 創造論のことは創造論者に聞いても無駄。何にも知らないから。

 
    (‥ )考えてみればさ、中世の星占いの体系を知りたい時、
        街角の占い師に聞かないよな。
 ∧∧
( ‥)聞かないでしょうね。

 よくわからんけども、まずはアルマゲストでも読むんじゃねーの? 

 ∧∧
( ‥)それを考えれば創造論を知るには古典を読むべしですね。

    (‥ )しかり。

 創造論者と進化論擁護派の議論って不毛だよなあ。


頭がなまる

 
 いやはやそれにしても、読むべき本も英語文献さえも確認しないで(wikiに頼るにしてもせめて英語版を確認すればいいのに)、そんなありさまで分類VS系統の戦場にひょこひょこでていくとは命知らずな連中だよなあ、と端から見て思ったりする。それにしてもと思うのは

 
   ( ‥)やっぱあれだ、創造論者とかと議論してると
       頭がなまるぞ頭が。
 ∧∧
( ‥)そう?

 だーって自分より頭が悪い、いや失礼、もとい、自分よりも誤差がでかい連中と対峙してどうすんだい?

   (‥ )おっめーのグラフ、データからの誤差がオラのよりも
       でっけーずらよ。そう言っちゃえば終わりだろ?
 ∧∧
( ‥)はあ、まあ、究極的にはそうかもしれませんね。

 見るべき/読むべき/理解すべきは自分よりも賢い研究者の殺し合い。なぜ彼らは殺し合うのか、なにをめぐって戦って争って戦争しているのかを理解せねばいかんずらよ。

 ∧∧
( ‥)創造論者は役に立ちませんか。

    ( ‥)前に話をした時は失望したな。

 キュビエを知らん、バックランドも知らん。あげくのはてに単性論者のキリスト教徒さえも知らん。なんじゃあこりゃあ??? と失望したもんでございますよ。お前ら、ただの思いつきかよ。先人の知恵も言葉も引き継がず、何世紀もの伝統もなにもかもすべてを踏みにじりやがったな??

    (‥ )真の創造論を知るには創造論者と話してはだめだ。
        キリスト教を知るためにキリスト教徒と話してはいかん!!
 ∧∧
( ‥)はあ、まあ、一般のキリスト教徒じゃ
    確かに不十分でしょうねえ。

 もちろん、こんな言い方がものすごくアンフェアだってことは確かなんですけどもね。

 ∧∧
( ‥)そりゃあねえ、そのへんの歩行者を取っ捕まえて
    黒潮の大蛇行のメカニズムを教えてくれって言うようなもんで
    相手が??となったら、あんた日本人だろ? なんでシラナイノー??
    と切れてるおかしな外人さんと同じですよねえ。

    ( ‥)まあ、そういう意味では
        この言いようはねーだろ、なんだけどね。

 神学大全の一巻が見つからん。どこぞのキリシタンの家を劫略するしかないのか。

    (‥ )ドイツ傭兵団が神の都ローマを劫略するがごとく。
 ∧∧
( ‥)でっ、神学者の知恵を手にしようと。

 優秀な神学者は普通のキリスト教徒ではないだでなあ。

 ∧∧
( ‥)西洋科学の祖先でもありますね。

    (‥ )知恵というものには敬意を払わねばいかん。

 そしてもちろん理解し、使用しなければいかん。それを忘れた連中と話たって無駄無駄。頭がなまくらになる一方じゃあないのかい?



 

昔話

 
 昨日、打ち合わせの帰りにこんなことを言われた。北村さんの絵、あの雑誌で見たことありますよ。

 ああ、それはもうずいぶん前の仕事だ。

 そしていわれた、また恐竜の本は書かないんですか?

 ∧∧
( ‥)でっそれは難しいと答えたんですよね?

   (‥ )恐竜の本はね、企画が通りにくいんよね。

 なぜ? 恐竜の本は売れないから、そう答えたら意外そうな顔をしていた。まあ確かに気持ちは分かるけども、恐竜の本は事実として売れない。北村の書いたものが、ではなくて、恐竜の本は誰が書こうが売れない。恐竜の本を出した大概の編集者はそう言う(というか例外を聞いたことがない)。

 ∧∧
(‥ )おかしーなーなんで売れないんだろう?って
 □-  みんなが頭をひねるんですよね。

   (‥ )そして”恐竜の本は売れない”っていう
       経験則だけが残って、ますます企画が
       通りにくくなるってわけさ。

 まだ経験の浅い編集者や出版社を騙すという手もあるけども、まあどうにもなりそうにない(そもそも出版社は多くの場合、持ち込み企画をうけつけない)。

 雑誌は2つ潰れたし、科学のシリーズ物で恐竜を出したばっかりにお金が回収出来ず、シリーズそのものが潰れてしまったケースが少なくとも2件ある。

 ∧∧
( ‥)びっくりするくらい売れないみたいですよね

   (‥ )なんかなあ、2つの事例とも作者が一生懸命なのは
       よくわかったけどね、これが売れなかったらしいんだよなあ。

 そしてシリーズごと消えてしまう。

 理由はだいたい分かっている。消費者の大部分のニーズと制作者の作るものがまったくミスマッチ。ごく単純な話。そもそも恐竜という言葉自体にたぶん問題がある。世間一般で恐竜というと

 ∧∧
( ‥)首長竜や翼竜はおろか、サーベルタイガーとか
    マンモスとかまで含む用語なんですよね。

   (‥ )はなはだしい場合にはシーラカンスや
       ユーステノプテロンまで含まれるんだよな。

 恐竜という用語は一般の人々にとってが”鳥とトリケラトプスの一番近い共通祖先とそのすべての子孫につけられた名称”ではない。

 かつまた、分類学が大好きな人が使う”直立歩行をする陸生の爬虫類”という形質に基づく(不安定な)定義でもない。

 そうではなくて世間一般的には

 ”現生の心理的な分類群に包含できそうにない絶滅脊椎動物(できれば骨で展示されていることが望ましい)”

というような内容、それが恐竜という心理的な”分類群”。

 ∧∧
( ‥)それを考えると恐竜展って
    お客さんからすれば中途半端かもしれませんね。

   (‥ )マンモスやサーベルタイガー、オオナマケモノや
       シーラカンスやユーステノプテロンも展示されていない
       からなあ。

 そして思う。恐竜の本が売れないのは当たり前。だって、皆が認識している恐竜は鳥盤類と竜盤類だけじゃないんだから。

 ∧∧
( ‥)首長竜とか翼竜が恐竜ではない、ということ自体が
    問題ありだということですか。

   (‥ )系統学どころか、古典的な分類学者が提案した分類それ自体が
       世間一般の”分類”と齟齬しているわけさね。

 そういえば恐竜好きの子供たちが首長竜という時、実はその言葉が竜脚形類のことを指していると知ってびっくり仰天していた研究者の方がいたよなあ。

 ∧∧
( ‥)恐竜好きでもそんな認識なんですね。

   (‥ )つまるところこういうことなんだな。

 大部分の(便宜的に言うA群の)消費者が知りたいこと、望んでいること、求めているもの、それがもう、編集者や作者には理解不可能になっている。

 ∧∧
( ‥)まずはそこから調べないといけないわけですか。

   (‥ )言い換えれば、昨日の打ち合わせ相手の人が
       望んでいるような本は書けないってことになるわけさ。

 羽毛恐竜の一覧と鳥の進化、残念ながらものすごく売れなさそう。そして企画は確実に通らない。

 ∧∧
( ‥)なんとかできない?

   ( ‥)ずるっこい手を使えばやれなくはない。
       でも内容は薄いし、しかも2年はかかるぞえ。

 




 

2009年9月10日木曜日

喰う

 
 ネアンデルタール人はクロマニヨン人の到来以後、消滅した。なぜ消滅したのか? 現代人の祖先であるというか現代人そのもので同等の能力を持ち、石器制作でもすぐれていたクロマニヨン人に滅ぼされたとも言われているけども。

 ∧∧
( ‥)戦争に負けたんじゃないですか?

   (‥ )まあ、戦争を人間が陣形を組んで戦うと
       定義すれば、一説によると旧石器時代から
       戦争や処刑があったという説もあるからなあ。

 ネアンデルタール人は軍隊を編成したんだろうか?

 ∧∧
( ‥)冗談半分にそれを示唆した人がいましたよね。

   (‥ )軍隊といっても狩猟採集民の皆様がやるような
      武装した男たちが集まって争いにいくってもんだけど。

 クロマニヨン人も軍隊を編成したか? 現代人そのものなら編成したはずだよねえ。そういう”軍隊”による集落や部落同士の小競り合いが長い間に何度も続いて、そうして

 ∧∧
( ‥)ついにネアンデルタールは滅びると。

   (‥ )そんな程度の説明と前提でネアンデルタールの
       絶滅は十分なように思えるけどねえ。

 あくまで素人から見た感想なんだけども、文科系の科学者というか科学者は軍隊や戦争の役割とインパクトをあまりに過小評価するか、あるいは無視するという論評は意外と本当ではないか、とも思う。

 それにしても

 ∧∧
( ‥)勝ったクロマニヨン人がネアンデルタール人を
    喰ったりしたんじゃないですか?

   (‥ )そんなこともあったかもねえ。

 あんまりいい加減なことは言えないけども、しかし、

 ∧∧
( ‥)コンゴ内戦でアフリカーナの人々がピグミーの人たちを
    喰っているという話があったじゃないですか。

   (; ̄  ̄)いや、さすがにあの話にはどん引きだったが。

 喰うかあ。ピグミーの人たちを食べちゃいますかあ?? いや、だってピグミーの人たちってどう見ても人間だろ? ただの普通の人間だ。彼らを喰っちゃうって一体・・・・・・。

 それを考えると

 ∧∧
( ‥)クロマニヨン人がネアンデルタール人を食べたって
    おかしくないでしょ? ライオンがチーターの
    子供を食べるようなもんですよ。

    (‥ )まあそりゃそうかもしれんけどさ。

 証拠はないけども、そういうこともあったんじゃねーの? という想像。だって、現代人がそうなんだもん。


高い場所

 
 そういえば以前、プロフェシーという映画があった。アメリカにおける都市伝説のいわゆるモスマンを題材にしたんだかなんだかな物語。現在の出来事も未来さえもすべてお見通しの存在からいきなり電話をかけられて困惑する主人公の物語。

   ( ‥)あの中でこんな台詞があったよな。高い場所に登って
       作業している人は何ブロックも先のことが見えるが
       だからといって彼が偉大な存在であるわけではない。
 ∧∧
( ‥)先が見えているからといって、それを教えるからといって
    偉大であるとか、善意に基づいてやっているとか
    警告であるとか、そんなことはないって話でしたね。

 まあ、確かそんな話。先が読める立場にいるから偉大であるわけではない。単に空間的にそういう立ち位置にいるというだけの話。

 なるほど、それは結構面白いかもしれない。

 例えば、何かの事柄を教えてくれるからには、彼/あるいは彼らが善意でやっているに違いない。そう解釈する人もいるけども、それはまったくの飛躍だ。誰かがこちらに対して何か情報を与える時、確実に言えるのはその誰かがこちらに情報を与えてくれているというだけで、その動機についてはまったく何も語っていない。

 彼は善意だがこちらのことが分かっていないのかもしれないし、倫理や動機が異質すぎてこちらのことがまったく理解できていないのかもしれない、あるいは彼の動機が悪意そのものであるということ、これも当然ありうる。

 ∧∧
( ‥)考えてみればジャーナリズムやマスメディアも
    そうかもしれませんね。

    (‥ )彼らもこれから起こることはある程度知っているからなあ。

 もう何年も前、十数年前になるけども大きな事件の捜査が行われる2、3日前に、事件の真相をぼそっとしゃべったやつがいる。彼は新聞社にいたから、事前に記者や社内のうわさ話から何かつかんだんだろう。

 ∧∧
( ‥)でもだからといって彼が高潔であるとか
    皆のことを考えていったわけではないですよね?

    (‥ )ありゃあむしろうわさ話だからな。

実際、情報発信者がそれを善意でやっているとか、義務感でやっているとか、そうであるという保証はない。むしろ違うんじゃないの? そう思う。

 彼らは善意と義務感でやっている、そうであるに違いない、そうであるべきだ、そういう人もいるけどもそれはたわ言だ。あるいはそれは”○○であるべきだ”という自身の信念を語っているだけで、どっかの怪しげな宗教とそれでは何にも変わらない。あるいは区別ができない。つまるところ根拠がない。

 誰かが、ジャーナリズムやマスメディアは消費者のために何かしているのだ、そう考えているとしたら、それはおおいなる勘違いだ。そればかりか、

 ∧∧
( ‥)悪意そのものであることもありえますよね?

    (‥ )当然。

 しかも、弱ったことに、同じものがある人に対しては善意になり、事実そのように働きうるが、別の人に対しては一転してまったくの悪意になることがある。

 

2009年9月9日水曜日

 
 船頭が多いと船が山に登るという

 ∧∧
( ‥)どんな原理ですか。

   (‥ )とはいえ、現実に起こりうること。

 でっ、いつまで続くんだか。

ロボコンカ

 
 Loboconcha まんま読めばロボコンカ。The Tree of life に照らし合わせて見るとDiasoma に対応する系統群(あるいはそれにつけられた名称/呼称)らしいのだけども。

 ∧∧
( ‥)どう訳すんですか?

    (‥ )さあ?

 意味というかEtymologyも不明。conchaはラテン語で貝殻、しかしloboって何ね? ラテン語でlobusというと小葉というか突起物というような意味になるらしいけども、単語を合成した時にどう変化するのか分からないので、これが妥当なのかが分からない。

 ∧∧
( ‥)まあロボコンカの皆さんは
    頭部が退化している面々ですよね。

    (‥ )頭が殻に隠れ、神経系は二次的に
     □-  その中枢を失う、というか神経節の
        二次的な退化を従う。

 なんだろ? もしかしたら無頭殻類とか、無神経節殻類とかそういう意味なんだろか? とはいえ、用語が提案された出典までさかのぼらなければどうにもならないので、現時点ではロボコンカで表記する予定。

 ∧∧
( ‥)visceroconchaはどうなんです?
  -□
    (‥ )ヴィスケロコンカねえ。
     □-  viscera はラテン語では内臓なんだが。

 この呼称をされている系統群の特徴は頭部が発達し、神経の集中が見られること。まあカタツムリとタコを見ればそれがよくわかる。

 ∧∧
( ‥)有頭殻類とか? 有神経節殻類とか?
  
    (‥ )でもviscero-ってこの場合はどういう意味だと
        解釈するんよ? 内臓だよね?

 こちらも現時点ではヴィスケロコンカと表記することに。

 ∧∧
( ‥)でも誰かがどっかで何か書いてそうですよね。

    ( ‥)マイナーな系統群の日本語表記ってやっかいだよなあ。

 まあ、ない時はない時だ。まんま使えばいい。


2009年9月7日月曜日

発注

 
 ああ、そういえばバイオディバーシティーシリーズの無脊椎(節足動物以外)はまだ買っていなかったよなーーーー、というわけで先ほどamazonで発注。


    ( ‥)なんで買っていなかったんだっけ?
      -/    
 ∧∧
( ‥)さあ?



introverta

 
 Introvertaってどう訳せばいいのよ? 送られてきたテキストには内翻動物とあるが、、、と思ってたわむれに検索をかけたら

 ∧∧
(‥ )6件ひっかかってきましたね
\-
    ( ̄  ̄ )まじ?

 とはいえネットじゃしょうがないよね。文字文献(研究者が書いたやつ)による出典を探さねば。

 ∧∧
( ‥)無理して訳す必要はないのでは?

    (‥ )イントロヴァータ類とでも書くかね?

 まんま訳せば”陥入吻動物”。さりとてよもや勝手に訳語を作るわけにもいきません。

 そして本日届きました「The Tree of Life] Harvard University press 2006 この本で一応確認、Introverta を。

 ∧∧
(‥ )線形+類線形+動吻+鰓曳+胴甲動物ですね。
\-
    (‥ )ケファロリンカ(動吻+鰓曳+胴甲動物)
     □-  も載っているなあ。

 そうでしたね、話では聞いていたけども。ケファロリンカは楽しい単系統群だそうだ。類線形の幼生だってあんな姿をしているわけだし、なるほど、ケファロリンカを包含するIntroverta はありってわけですか。

 そいでもって分類階級はやっぱり触れられておらず。まあそうねえ、そんなもんだろうねえ、今どき分類階級にこだわる人ってもうずいぶん少なくなっちゃったしねえ。

 ∧∧
( ‥)なぜ今回の仕事に限って分類階級をそこまで
    配慮しようとしたんですか?

    ( ‥)送られてきた原稿に可能な限り
      -□ 分類階級が割り当てられていたからさ。

 とはいえ、原文がそうでない以上、研究者も特にこだわっていない以上、こちらもそんなに拘泥する必要はやはりないらしい。

 ところで、

 ∧∧
(‥ )今はコケ植物は側系統群なんですか?
 □-
    (‥ )なんかそういう扱いみたいだな。

 コケ植物という分類群も名称もいずれ消滅するのかね。
 
 ∧∧
( ‥)図書館と民俗言語には残るのでは?

    (‥ )そういや、キノコのことを”コケ”と呼ぶ
        地方もあったよな。

 コケってもともとそういう民族的な単語なわけ?

 



分類階級

 
 監修、という仕事が急ぎ。問題は分類階級をどうするのか? ということ。

 ∧∧
(‥ )原文には分類階級を指定する単語は
 □-  ほとんど出てきませんね。

    (‥ )family, kingdom, とか指定されているもの、
        語尾が階級を特定する形式になっているもの
        そういう幾つかの例に関しては科、界と表記したけども。

 大部分は原文において指定、語尾の限定はない。そういうわけで指定がない単語に関してはexclusiveなグループのみ、”翻訳された”時につけられた分類階級を残したけども、他は類に直すことを提案中。

 やっかいなのは

 ∧∧
( ‥)系統群につけられた名称とそこに示された単語に
    つけられた分類階級ですね。

    ( ‥)まあそのなんだ、語尾からして明らかに科なのは
      -□ いいとしても。

 やはりあれだ、個々のジャンルの研究者たちが作り出したかつての”分類階級”を照らし合わせると、これがもうめちゃくちゃ。お互いに整合性なし。

 ∧∧
(‥ )亜目の中に綱が入ってます
 □-
    (‥ )こちらは目の中に目だね。

 文中に言及がある分類階級は門、綱、目、科なんだけども、予想通り、こりゃあだめだ。使えない。入れ子構造大崩壊。まさに神奈川県・日本国・藤沢市・東京都の山田さん宛に手紙を出そうよ状態。

 まあこういう時、どっかの誰かさんなら、よっしゃ俺様が(勝手に)分類階級を割り当ててやるぜ!!と鼻息荒くはりきったあげくに大ひんしゅく(実話)を買うところなんだけども、そんなことは致しません。ってかできねーし。

 でもどうするっぺや?

 ∧∧
( ‥)科はかなり安定的だし、意外とみんな知っているし
    語尾が科を示していれば科と表記してもいいだろう、
    そういう話し合いは前に○○さんとしましたよね?

    (‥ )だから科と特定できるものは科でいいだろう。
     □-  でもそれ以外はどうにもならんよねえ。

 現状では門がなんとか使えるくらい。

 ∧∧
( ‥)綱も目も類に直しておきますか?

    (‥ )そうするのがシンプルかな。

 整理整頓する時にはどうしてもある”枠組み”が必要になる。枠組みは”整理”には必要であるのだが、問題は、

 ∧∧
( ‥)枠組みそれ自体が拘束具になってしまうってことですね。

    (‥ )しかも図書館の書棚同様に、間違った配置だと
        分かったので、では今すぐ爆破というわけにも
        いかないわけでね。

 書棚が現実的な配置であったことが支持されればいいけども、非現実的であることが示されてしまうと、古い資料をキャビネットから探すための手がかりとしての意味しかなくなってしまう。紹介しないわけにはいかないが、さりとて、でもこれは間違っていますというのも面倒くさい(昆虫はあんまり破綻が起きなくていいよねえ)。

 まあ、妥協案を提示すればいいわけで、これは結局ところ”現実はそうであるらしいが、書棚それ自体はこういう配置になっていますよ”という話(実際のデータはこういう配置ですが、検索する時はこっち見てね、というやつ)。

 つまるところ”科”が典型的だけども、-daeという語尾のグループ名を日本語で表記する時につける枕詞、それが”科”だと思えばいいわけで。

 ∧∧
( ‥)つまり科といっても、それはラベルで、
     伝統的なただの呼称であると。

    (‥ )もともとが人為的なものだしな。
        名称された系統群が実体だとしても
        名称と階級は別に実体でもなんでもない。

 整理整頓のために枠組みを使う分類学と、データから妥当な推論を導き出して批判的に検討する系統学とでは目的も用途も科学としてのありかたもまるで違っているわけでして。

 ∧∧
( ‥)語尾から分類階級を特定できてexclusiveなものにのみ
    単なる呼称として枕詞をつけると。

    ( ‥)他は類。

 門はなんとか使えそう? よくわからん。例えば軟体動物でも十分なので必要ないかもしれないが。
 
 後は一般的に普及している言葉に準拠する。例えばの話、人間は霊長類である、とは言うが、霊長目であるとはあまり言わない。
 

 

2009年9月6日日曜日

固い葉っぱとふにゃふにゃ葉っぱ

 
 いわゆるマメ科。たぶん、何もしらんで言っているけども、あれは単系統でいいよね? いいんだよね? わかんねーけど。

 ∧∧
( ‥)まずは観察ということで、リサーチは
    現段階では最小限にですね。

    ( ‥)あれだけ特徴的で他に例がないとなると
        単系統でいいと思うのだけども。

 でっ、いわゆるマメ科とおぼしき(そもそもマメ科と呼称されるグループの定義なり範囲が今は分からんので、今このblogのここの表記には”マメっぽい”という意味以上の意味はない)植物を見ていると、葉脈が細かくて固めの葉っぱを持つものと、葉脈があらくて(二次、三次の葉脈はもちろん入っているが)ふにゃふにゃした葉っぱのものとがある感じ。

 ∧∧
( ‥)例えばシロツメクサやハギ、ネムノキなんかは
    固い方、あるいはしっかりしているように見える
     代表ですね。

    (‥ )ツルマメやクズ、たぶんヌスビトハギは
        ふにゃふにゃなんだよなあ。

 ∧∧
( ‥)系統反映していると思います?

    (‥ )いやあ、、、分からん。

 ツルマメはしばらくしたらアップする予定。


インゲン

 
 公園でスケッチしてきた植物は、調べてみたらどうもツルマメという植物らしい。スケッチした個体というか株はたぶん、高さにすれば2メートル弱かそのくらい。花は数ミリという大きさで、全体がつるで他の植物に巻き付くあまり目立たないものだった。

 ∧∧
( ‥)本によると大豆の原種ではないか?
  -□ とのことですが。

    (‥ )にわかには信じがたいけどねえ。

 大豆ってつるだったかね? そうではなかったよねえ。きっちり上にのびてがっちりしてなかったっけ? 大豆とツルマメでは大きさも性質もずいぶん違うよな、、、と思いつつ、図書館でふと園芸の本を読んだら。

 ∧∧
(‥ )大豆ではないですが、インゲン豆にはつる性や矮性の品種があって
 □-  交配して中間的な品種が作られているそうです。

    ( ̄  ̄ )えっ?? まじ??

 無限成長するつる性の品種と、普通に立ってる矮性の品種を交配させると成長が途中でストップしてあまり大きくならない品種ができるのだそうな。

 まだよくわからないけども、つるかそうじゃないかってほんの少数の遺伝子で決定されているってことですかね?

 ∧∧
( ‥)つる植物の進化ってすごく簡単なのでしょうか?

    ( ‥)確かに色々な系統で”つる性”のものが出現しているからなあ。
        ものすげー簡単なのかな。

 今年の後半はマメとつるということで。

 

2009年9月5日土曜日

シロツメクサ

 
 シロツメクサ。シロツメクサはいわゆるマメ科の植物。というか、ハギとかカラスノエンドウ、その他色々、身近で生える”マメっぽい植物”のひとつなのだけども。


   ( ‥)なんかずいぶん形が違うなあ
     -。
 ∧∧
( ‥)基本は同じなんですけどね。

 葉っぱが左右対称的で葉脈がまっすぐのびるとか、葉っぱがひとつの群れのようについていて(羽状複葉ってやつ?)偶数であったりすることもあるけども、しかししばしば奇数で、複葉の先端に小葉(?)がついているとか、葉の縁にセレーションがないとか、蝶々形と言われるような特徴的な花の形とか(これらが共有派生形質になるのかどうかは良く分からない)。

 そしてたいがいの”マメ科”の仲間、というか、あるいは今現在、秋になり始めて身近で花を咲かせている”マメっぽい植物”は葉っぱと花をつける枝を茎の同じ場所から伸ばすのだけども・・・

 ∧∧
(‥ )シロツメクサはこの季節、見た限りでは
。-   そうではありませんね

   (‥ )別々に生やしているんだよね。

 匍匐する茎から葉っぱは葉っぱ、花は花で別々にのばしている。花の全盛期である5月頃なら他の”仲間”と同じなのだろうか? あるいはもっと外見が似ているレンゲソウではどうなのか?

 ∧∧
( ‥)まあ、本を見ればある程度は分かることなんですけどね。

    ( ‥)取りあえず、本を読まずにまずは調べてみよう。

 せっかくものが身近にあるのだ、まずは観察。

 そういえば

 ∧∧
( ‥)昔、魚類学者のアガシは学生に魚を与えて、
    本を読むこと禁止、他の人に聞くこと禁止、
    まずは自分の観察だけでレポートを提出させたそうですね。

    (‥ )良い教え方なんだろうなあ。鱗の数を数えたり、
        鰭の配置を考えたり、解剖したり喰ったりする
        学生もいたんだろうねえ。

 本を読むのは当然。文献も教科書も論文も眼を通すのは当たり前。とはいえ、実際にものがあるのなら、まずはそのものを観察せんと。


分布はどうして産まれるの?

 
 人間は情報を鵜呑みにする人が圧倒的に多く、考える人はどうも少ないらしい。しかも考えていれば妥当な答えに必ずたどり着けるというわけではない。自力でたどり着ける人とつけない人とがいる。そしてどういうわけか自力でたどり着ける人の方が圧倒的に少ない。つまりこう。

鵜呑みにする人>考えるが自力では正しい答えにたどり着けない人>考えてなおかつ自力で答えに到達できる人

 ∧∧
( ‥)その数を不等式で表すとこうですね

    (‥ )そうなるなあ。

 まあこういうことはほとんど誰もが経験的に見聞きする事柄で、たぶんこの構図を疑う人はほとんどいなさそう。実際、例えばどこかで”問題”を見た場合、それをあえて”解こうとしない人/する人”とに分かれるし、する人の中でも”解ける人/解けない人”がいるわけで。それはやはり

 解こうとしない人>解こうとするが正しい解答を見つけられない人>解こうとして実際に解ける人

 ∧∧
( ‥)とっ、なりますよね。

    (‥ )なるよねえ。

 場合によっては、例えばものすごく簡単な常識問題という場合にはこれは齟齬するとは思うけども、ここでは平均よりも難しいとされる問題を考える。ともあれ、どうしてこんな分布になるわけ?

 ∧∧
( ‥)まあ、当たり前っちゃ当たり前なんですよね。

    ( ‥)めんどくさい何かを検討するにはエネルギーがいる。
        大部分の人間はそんなことをせずに流す。
        流さずにあえて解答を探した人のうち、問題が難しく、
        誤答する人が多くなったら場合、以上の配置は
        すべからく実現するよなあ。

 だが一部の人が嘆く状態。つまり、

 なんでこいつらは教科書も読まずに俺様理論を考えて悦にいって、あげくの果てに研究者は間違っているんだ、俺様理論の正しさが分からない馬鹿ばっかりなんだ、と言えるわけ?

という状況はさてどうして生ずるものか? なぜ教科書を読まない。なぜリサーチもしないでスタンダードな仮説を否定し、あげくに俺様理論を展開できる?

 ∧∧
( ‥)何が不思議なんですか?

    (‥ )だって教科書にあたるような本を買えば
        これは取りあえず、すむ話だろ?

 なんのこっちゃない。数千円か1万円か、2万円弱くらいかけて、そいでもって本を読めばすむ話。だって答えが(あるいは答えの参考になりそうな情報や、さらには考え方が)そこに書いてあるがな。別に難しい話でもなんでもない。

 ∧∧
( ‥)それをしていないと。

    (‥ )そもそも読んでいない、というか、読むという発想が
        ないらしいんだよな。

 さながらこんな状態。

あの本を買えば問題の答えが書いてあるのに、その本を買わず、読まず、そのまま自分で解答を思いつくのだが、それが見当はずれの大間違いで、しかも本人それに気づかず。そしてそのあまりの駄目っぷりに文句をつけられた研究者があきれ果てるという構図。

 ∧∧
( ‥)まあごくまれに考えたその人の答えが正しかったって
    こともあるにはあるんですよね。

    (‥ )いるけど、そういう人ってちゃんと教科書を
        読んでいるもんだけどね。
 
 でっ、こう考えた。これは単に支払うコストと利益の問題か?

 例えばの話、人間誰でも支払うコストは最小限にしたい。だったら本は買わないし読まないのは当然。時間も金も節約です。時間は時給で、結局は金だしね。それにしてもずいぶん小さなコストを削ったもんだ。

 ∧∧
( ‥)そういうコスト削減の見返りで手にした利益は何?

    (‥ )なんかおれ、すげーの考えたって満足感じゃね?

 ∧∧
( ‥)それで満足なんですかね?

    (‥ )だっていわゆるトンデモさんって自慢してるじゃんよ。
        クジャクの無駄な尾羽と同じくらい自慢してる。

 じゃあ研究者やまともな院生はなぜこうはならないのか? まあ、もとから出来がいいだけなんじゃねーの? 先天的にさ、とかそういうことは抜きにしてコストとベネフィットでもっともらしく書いてみる。

 ∧∧
( ‥)彼らがまっとうなことをして手にする利益はなんでしょうね?

    (‥ )賞賛、実力に裏付けられた科学社会でのステータス
        安定的な収入、あわよくば科学史に残る永遠の業績
        ってとこかな?

 ∧∧
( ‥)では、なぜコストを払ってまでそんなことをするんでしょうね?
    だって研究って意外と命がけでしょ?

    (‥ )利益が彼らにとって大きいからとも言えるけど、
        減点するに値すると評価された時のペナルティが、
        あるいは支払うコストが巨大すぎるんじゃないの?

 例えばの話、素人の世界で本を読まない、論文読まないは、一応、冗談ですむけども研究者の世界ではそうはいかない。皆から、あっ、駄目だこいつ、とレッテル張られてはいおしまい。 まあ、端から見ていると、いいのかこれ? とこちらが思ってしまうくらいに無神経だったり鈍感だったり、あるいはもうすっかり老いぼれていてレッテルを気にしない人もいるけども、なんというか、まあ、普通の場合、

”ああ、こいつ必要な資料を自分で調べることもできないやつなんだ”

という評価は、もはや死刑宣告も同然。

 ∧∧
( ‥)でもまあ、理系って本来そういう世界ですよね。

    ( ‥)端から見ている限りでは彼らは職人気質で
        学生を手取り足取り教えたりしないからな。

 そういえばこんなことがあった。ある研究者がいった。自分で調べないような学生に物を教えたって無駄だと思うよ。そりゃあごもっとも、と北村が思っていると、別の同業者がこう言った。いや、でもまだ学生ですから教えてもいいんじゃないでしょうか?

 ∧∧
( ‥)でっ、あなたはそれに納得しなかったんですよね?

    (‥ )だってさ、その人、
        自分じゃなーんにも調べない人なんだよ? 

 だから思う。自分で調べない人に説明を試みる必要はない。どうせ理解しないから。

 そして思う。めんどくさいとコストを削減したあげくに手にしたものは小さな妄想という爽快感だけってのは、いかがなものでしょうかと。

 


どうも勝ったっぽい

 
 くだんのOさんが例の界隈に関して色々と書いてるからなんじゃらほいと思っていたら、

   ( ‥) 探し物の最中に引っかかってきたよ
     -/  ああ、なるほど、こういうことか。
 ∧∧
( ‥)なんか色々と書かれていたんですね。

 まあ、自分のことに関していうと、どうやら勝ったっぽい。情報を相手の望まない形式で書けばそれはどうなるか? 情報を血液とするのならば、それは相手の壊死を引き起こす。

 ∧∧
( ‥)壊死したくない人はどうするんですか?

   (‥ )自分で論文読むだろ?

 あるいは最低でも参考文献に眼を通す。鵜呑みにしたくないのなら論文を読むか、大学教官の書いた啓蒙書なり、教科書に眼を通すだろう。分かるやつってのはそういうもので、自力で分からんやつに教えたって理解はしない。せめて「生物系統学」とか「系統分類学」とか「分岐分類学入門」とか読めばいいのに。

 ∧∧
( ‥)それ、基本中の基本でしょ?

   (‥ )しかり。

 最低限、この手の本を読まずに恐竜だの系統だの古代の進化の歴史を探るだの、分類と系統の対立を語るだの、なんじゃそりゃ? エンジンの仕組みを知らずして自動車のうんちくを語るもそれは同じ。「系統樹思考の世界」も読めばいいのに(ちなみにこの本のネット上にあった書評で、個々は面白いのにまとまりきれてないってものがあったのには笑った。この本がどんな本なのかわかってねーんじゃねーの?と思う)。

 それにしてもあれだ、またぞろだ。


   ( ‥)中途半端に考えるから鵜呑みにする人たちよりも
       おバカな結論に飛びついちゃったり、
       俺様理論を考えたりするんだよ。
 ∧∧
( ‥)あなたが前に言っていたA、B、C群ってやつですか。

 *人間の知性なり読解力なりが平均値からどう分布するのかを考えると、(平均以下は読書対象から便宜的に排除する)、この場合、鵜呑みにする人が一番多く、考える人は少なく、考えて正しい答えにたどり着ける人はさらに少ない(正規分布するとでも言えばいいの?)。それらを近似値としてA、B、Cに分けると、鵜呑みにするA群が読者対象として一番多いので、A群相手に”鵜呑みにしても害のない形に加工した情報”を売るべき、という基本方針。そしてそれが基づく仮説。

 ∧∧
( ‥)詳しい内容の本は・・・

    (‥ )C群(考えて正しい答えに自力でたどり着ける人間)を
        読者対象にする場合、市場が小さすぎるし、
        そもそもすでに教科書が書かれている。
        ライターが手を出すジャンルじゃないね。
        だいたい、自力で答えを探索できる能力者に
        地図を売りつけるなんて馬鹿げているからな。

 そして考えるけども妥当な答えに自力ではたどり着けないB群。B群は市場としてはC群よりも大きいことは大きいが、経済活動の対象になるほど大きくない。そういうわけでこれらを読者対象とすることは却下。

 まあそのなんだ、Oさんは”いかに考えるべきか”を情報発信してもあそこの界隈にパラダイムシフトが起きないというけども、それは当然。科学者の世界”でさえ”パラダイムシフトは転向ではなく、世代交代(ようするに人が死ぬこと)で起きたという経緯があるわけで、

 ∧∧
( ‥)C群でさえ時にできないことを、B群にしなさいって
    それはいくらなんでも無茶ですよねえ。

    (‥ )例えばの話、トンデモがまともな仮説に転向した事例なんか
        聞いたことないしな。
 
 ようするに死ぬのを待つしかないわけだ。人間が死ぬのはすばらしい。さもないと我々は全滅していただろう。

 ∧∧
( ‥)でっ、そういう前提に基づく選択肢のひとつが
    情報を与えないってことですか。

    (‥ )情報を中途半端に、しかも相手の望まない形で与えれば
        血液がいかなくなって壊死する組織も同じ。

 もし、彼の人がC群なら、この状況下でも自力で答えを探索し、そして妥当な結論に到達するだろう。教科書を読み、英語の辞書を引き、論文を読むだろう。最低でも大学教官の書いた啓蒙書を読むだろう。その参考文献を探るだろう。理系に限らず、まともな学生以上なら誰でも発揮する能力だ。

    ( ‥)もちろん当然wikiになんか頼らんさ。
 ∧∧
( ‥)まあ、少なくともwiki止まりではないでしょうね。

 だが、もし彼の人がB群なら自力では答えにたどり着けないだろう。そのへんの啓蒙書と称するわけわからん本を読み、教科書を読まず、論文を読まず、人の意見を聞かず、科学者が採用しているパラダイムを知ろうともしないで、そして俺様理論を考えつくだろう。

 ルイセンコ派は死ぬまで意見を変えられなかった。プレートテクトニクスに反対した人々もそうだった。分岐学や系統学に反対する人々もそうだろう。彼らは最後まで分類階級にこだわるだろうし、それに関する議論を知ろうとさえしないだろう。その議論がもうほとんど終わってしまっていることも知らないだろう。それともフェデューシア教授みたいになりたいかい?

    (‥ )だから情報的に死ぬのを待つしかないのさ。
 ∧∧
( ‥)でっ、それはいいとしてこれからどうするんです?

 次の世代のA群に引き継ごう。ただ、それはもう恐竜じゃない。残念なことだ。壊死した組織に代わるものなんてでてきやしない。それは悲しいことだ。夢がゆっくりとしぼんで枯れ果てていくのを見るのは、それはそれは無惨なことだ、そう思う。



追記:後、大股開きね。あちきもね、最初はそう思って頭抱えていましたよ。もう何年も前の話であるが。

 ∧ ∧
(  ̄  ̄)見も知らない人の家に死体を隠すのは
      もうやめてくださいよ。

      (‥ )なんかそういうと物騒に聞こえるよねえ。

 
 

2009年9月4日金曜日

ふりまわすな

 
 道徳や倫理は少なくとも大概の場合、禁止事項か推奨事項を網羅したもので、世界を説明する仮説ではない。

 
   (‥ )例えば”人を殺してはいけない”とは
       世界を説明する仮説ではないだろ?
 ∧∧
( ‥)まあ、、そうですねえ。

 むしろ”人を殺してはいけない”は世界を説明できない事項。

 ∧∧
( ‥)人間は人間を普通に殺しますからね。
    狩猟採集民とかあるいはそれに近い人々の社会じゃ
    殺人発生率はかなり高いですし。説明できていませんね。

   (‥ )反対に、人口が増大すると人間関係の組み合わせは人口の
       およそ2乗で増大する。ある時点で”人を殺してはいけない”
       という規則を導入しないと集団生活は破綻する。
       こういう考えは”人間がなぜ殺人を規制するのか”を説明する
       仮説にはなるね。

 ようするに世界のあり方を説明する仮説になりうる。

 だがこれは”規則の導入にはこういう背景があったのでしょうね”という話であって、それゆえにこうだとも言える

 ”殺人の規制”それ自体はやはり世界を説明する仮説ではない。

 ∧∧
( ‥)つまり”人を殺してはいけない”は世界を理解する時に
    役に立たないと。

    (‥ )例えば、人間社会は死刑や自衛戦争を認めているだろ?

 人を殺してはいけないを真だと前提すると死刑や自衛戦争は認められない(論理的に導けない)。しかし実際にはそうではない。

 ∧∧
( ‥)人によっては怒りますよね。
    人殺しはいけないのになんで死刑や戦争があるの?って

    (‥ )論理的にはそうなるね。

 だが逆に言うとこういうことでもある。人を殺してはいけないを真であると前提すると現実は説明できない。

 ∧∧
( ‥)それは人殺しの規制は真ではないということですね。

    (‥ )それはつまりこういうことだろ?

1:人を殺してはいけない、これは結局のところ前提なり規制であって世界を説明する能力を最初からもっていなかった

2:人間は実のところ、人を殺してはいけない、という規制に沿っては行動していない。たぶんむしろ、裏切り者や敵は排除しろ、という規則に従って行動している。
 
 人を殺してはいけない、という規制は自分自身を説明していない。実際にできていない、そして世界を説明していない、そしてそもそも説明できるものではない。

 ∧∧
( ‥)でも道徳や倫理をふりかざす人はいっぱいますよね?

   (‥ )悪いことではない、むしろ推奨される良いことである
       だから”振り回しても良い”と思い込んだんだろ?

 ようするにこう

 彼らは世界を説明する能力のない道具を無自覚に振り回している。

 なんのこっちゃない、これはものすごく危険なことだ。
 
 
  

後出しじゃんけん

 
 進化論は後だしじゃんけんだ!!

 ∧∧
( ‥)....ああ、ありがちな誤解ですよね?

    (‥ )そーね。何度も聞いたり読んだりしたねえ。

例えばこんな一例:進化論は適当な補助仮説を持ち出してなんでも説明してしまう悪い仮説である

 ∧∧
(‥ )この薬を飲んでも病気が改善しないのは
\-  近代医学の敗北を証明しているのに、それを
    なぜ認めないのか、とでもいってみますか。

    (‥ )人間はすべて同じ性質を持つ、薬物に対する人間の反応は
         すべからく同じである、ゆえに効果がないという1つの
         事例はすべからく効果がないことを証明している。
         まあ、論理的ではあるかもね。

 単に前提がおかしいだけで(*人間は規格統一された工業製品ではありません)。

 あるいはこんな例

生存したものが適応したものだ。進化論はこのように適者生存を設定しているのだが、これはようするに生存した適者が生存していると言っているだけの、意味のないトートロジーである

 ∧∧
( ‥)後だしじゃんけんとはちょっと違うようにも
    思えますけどね。

   (‥ )まあ、彼らの言い分は要するに
       ずるしているって言いたいんじゃないの?

しかしながらダーウィンが前提したことは異なる変異はある条件下では生存する確率に違いが現れるだろう、ということであって。

 ∧∧
( ‥)トートロジーではないですよね?

   ( ‥)むしろあれだな、ダーウィンの前提をトートロジーの形式に
       勝手に書き換えて、それでトートロジーだ、トートロジーだと
       騒ぎ立てているわけであって。

 問題を自分で作り、自分で騒ぎ立てている。後だしじゃんけんだって言っている人自身が後だしじゃんけんをしている。

 ∧∧
( ‥)しかし何ゆえに進化論はこうも
    訳の分からない否定をされるんでしょう?

   (‥ )そりゃあ困るからだろ?

 あるいはこう。本人自身が困ると思い込んでいるから困っている。それはいわば本人の問題。

 ∧∧
( ‥)なぜに?

   (‥ )道徳や倫理が機械論的に破壊されると思っているんじゃないの?
       そういう人多いよ。クラスにかならず一人はいる
       委員長タイプとでも思えば理解がオッケー?

 とはいえ、それは愚かなことである。道徳や倫理は禁止次項であって、世界を説明する仮説などではない。例えばの話、道徳や倫理は天動説や地動説でもないし、進化論でもないし相対性理論でも万有引力の法則でもない。

   ( ‥)道徳や倫理は世界を理解する道具たりえない。
       理解に使えないものを無理矢理使うから理解が
       散らかるのさ。
 ∧∧
( ‥)そんなもんですかね。

 
 
         

 

2009年9月3日木曜日

性選択

 
 先日、ショウリョウバッタを捕まえてきた。オスは小さいがメスはやたらとでかいバッタ。現在、一部のものを飼育中。でっ、今さらながら気がついた。


 ∧∧
( ‥)これって性選択による形質ですよね?

    (;— —)うおっ!! なんで今まで気づかなかったんだ??

 どんな淘汰が働いているのかは知らんけども、あれだけサイズが違うのだ(長さはほぼ2倍、単純計算で重量は8倍あまり)、相当なにかが効いているはず。

 ∧∧
(‥ )日本はどうだか知りませんが、海外では
\-   近縁種なり直翅類の性的二型についての研究が
     あるみたいですね

     (‥ )うわおうー、盲点だあ。

 間抜けな話で手持ちのsexual selectionの本にも直翅類の性淘汰ことが少し書かれているらしいことに気がついたりする。

 

adaptation

 
 さる仕事で英文と格闘中。とっ、それはいいのだけどもadaptationという単語を

  ( ‥)これは専門用語で派生形質と言います・・・・
    -□
 ∧∧
( ‥)? adaputationってそういう使い方しましたっけ?

 まんま訳せば適応。まあ確かに改善とか改良って意味もあるし、自然選択によって適応的な状態に改良された、あるいはその結果の形質って意味合いも場合によってはあるらしい。

 ∧∧
( ‥)でもこういう使い方って今まで見たことあります?

    (‥ )いや、、ないなあ。単に英語の文献を
        読まなさすぎているせいかもしらんけどさ。

 弱ったね。どう訳すのよ? 適応的な形質とでも訳すかね?

 実際、adaptation or characteristics (technically termed "derived characters") と書いてあって

 ∧∧
( ‥)まんま訳せば 適応あるいは特質(専門的には派生形質と呼ばれる)
    ですよね?

    (‥ )たぶん、原始形質よりも適応度が高くて、なおかつその系統群で
        固有って意味合いを込めているように思えるけどもね。

 いやしかし、、なんかおかしくない? これじゃあ原始形質はすべからく適応度が低いってことになるし、原始形質は適応していないことになってしまうのではなかろーか。

 ∧∧
( ‥)なんか違和感を感じますよねえ・・・・
      
    (‥ )そりゃあ派生形質は淘汰の過程で前よりも改良されている、
        そういう側面はある程度は確かにあるだろうけどさ。

 しかしじゃあ、肺魚の肺よりも人間の肺の方が機能的にすぐれているからより派生的な状態でございますっていうことになるわけかい?

 ∧∧
( ‥)そうじゃなくて、外群比較した時に人間とネコは肺に
    肺魚にない形質を共有していて、外群比較の仮定上、
    それは時代的に後から誕生して伝達された形質であると
    判断されました、それだけの話でしょ?

    ( ‥)そうだと思うけどさ、
      -□ いや、じゃあこれどうすんだよ?

 もうしょうがないのでadaptationはこの場合、適応的な形質、でいくべきか、あるいはいっそのこと新規の形質でいくべきか。

 ∧∧
( ‥)新規の方がまだ違和感ないですけどね。

    (‥ )でも作者の主張が”適応的な・・・”だったらどうするよ?

 あまり意訳をするわけにもいかんし、どうしたものか。こういう用語の使用法がままあるものなのか、するとやはり北村は論文を読まなさすぎなのか、あるいはこの著者の考えが分岐学とか外群比較から少し距離があるものなのか??? どうしたものか、著者の考えと内容を尊重するのはもちろん当然のことであるわけで。

 ∧∧
(‥ )肺魚って鰓と肺を同時に持つことで
 □-  束ねられるんですか??

    (‥ )いやそれ、明らかに原始形質だろ?

 というわけで、こうなったらしょうがないので。

 ∧∧
( ‥)適応的な形質でいきますか。

    ( ‥)そうするしかないかなあ。

 
 なんでこんなことで悩まなければいかんのか。


 
 

2009年9月2日水曜日

まあ無理っぽい

 
 悪いことをしている官僚VS新しい政治家

 まあそういう構図で物事を考える人が多いけども、

 ∧∧
( ‥)あれなんなんですかね?

    (‥ )水戸黄○の見過ぎじゃね?

 そりゃあまあ、誰だって自分に都合のいい利益誘導はしているものだ、そうはいっても

 ∧∧
(‥ )逮捕されたどっかのおっさんだってめちゃくちゃな
 □-  賄賂をもらっているわけじゃないですよね?

    (‥ )少なくとも表向きは年間に何百万だからな

 そういう利益誘導がぜーんぶ消えたところでさてはてどんな程度の利益が還元出来るのやら。

 ∧∧
( ‥)まあ、”官僚がすごい悪いことをしていて、それを是正すれば
    皆がバラ色の未来を手に入れられる”という構図が現実になる
     条件をもろもろ仮定することはできますよね?

    (‥ )できるよ。

 ただ、そのために必要な仮定をどんだけ積み重ねなくてはいけないのやら。

 ∧∧
(‥ )そしてそういう仮定が現実に成り立つのかどうかはどうも
 □-  良く分かりませんね。

    (‥ )そうだねえ。

 どうも”官僚は悪いことをしているから、それを是正すればバラ色の未来が開ける”というのは物事を解釈するために誰かが持ち出してきた仮説であって、しかも根拠がよくわからない仮説であるらしい。

 ∧∧
( ‥)でっ、この仮定が妥当かどうかはともかくとして
   正しいか正しくないか分からないこの仮説に基づいて
   ”改革”することは可能?

    (‥ )無理だろ。

 まあなんだ、与党と官僚の戦争が楽しみだって言う人もテレビにはいるけども、戦争もなにも政治家にはそもそも何百/何千ページもある報告書やレポートを読む能力ないだろ。

 ∧∧
( ‥)読めないと思う?

    (‥ )小説を読んで、僕は読書をしていますって
        思っている人間では、まあ無理だね。

 小説は読書のうちには入りません。少なくとも漫画は読書でないと言うのであれば。小説ってのは漫画と同じだ、同じ。

 ∧∧
( ‥)官僚出身者の人もいますよね?

    (‥ )そういう人をかき集めて、誰かが一括して
        コントロールして統制を保てるような状況かね?
 
 


 

 
       

2009年9月1日火曜日

革命はやせ薬

 
 人によってはこのたびの政権交代は革新だとか革命だとか、あげくの果てには新しい政治のビッグバンなんだそうだ。

 ∧∧
( ‥)そうなの?

    (‥ )違うだろ。

 そんな断絶だの革命だの起こりゃしない。フランス革命やロシア革命だってそこで別に大断絶が起きたわけじゃああるまいよ。権力者が倒れ、新しい権力者が現れる。一見、大断絶に見えるけども、実際には顔が変わって、そしてちょっと改良するのがせいぜいといったところ。革命後のフランスには独裁者が現れて、そいでもってウィーン体制だし、ロシアだってアジア式の専制国家で大粛正なんて評されたわけでして(悪いは全部スターリンのせいにしてみんなほっかむりを決め込んだとさ)。

    ( ‥)我々人間という烏合の衆の集まりが
        バカみたいにきーきー叫んで右往左往する
        それが歴史の歩みってもんさ。
 ∧∧
( ‥)まあ、そうかもしれませんね。

 これさえすれば良くなるって、よくもまあそんな甘ったるい夢が見れるもんだ。一体全体どこの宇宙にそんなうまい話が転がっているものか、そんなものに騙されるのは阿呆だけだ、と意地悪く思っていると気がついた。

    (‥ )これさえすれば痩せますよっていう薬とかトレーニングとか
        あるけど、あれってこれと同じことだよなあ。
 ∧∧
( ‥)これさえすればみるみるうちにgoodだって販売してますよねえ。
    でっあなたたちお猿さんはそれを買うのですよ。

 なんだ、つまりあれか、政権交代すればみるみる良くなるとか、これさえすれば大丈夫とか、政治のビッグバンだとか、なんのこっちゃない、それらはやせ薬やシャイプアップ術やみるみるハゲが直るとか、これさえ塗れば問題無くなるファンデーションとか、そういうものだってことか。

 ∧∧
( ‥)というか、より正確にはそれを買っちゃう人々と
    同じだってことですね。

    ( ‥)どうせ半年後にはホコリがたまっているさ。

 アホみたいに甘ったるい夢を見ると後でがっかりすることになる。

 ∧∧
( ‥)でも、そんな過剰な期待を抱くのは一部のお利口さんたちでしょ?
    世間一般の人々はどうなんでしょうね?

    (‥ )まったく健全なことに買ったことを忘れるんじゃね?

 部屋のすみに置いているシャイプアップマシーンをすっかり忘れるのは健全な普通人、なんでこんなものを買ったんだ? この企業は嘘つきだ、こんなもを買ったあたしのバカバカばかー、とくよくよ考えて胃に穴が開くのはお利口さん。


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