画材を買いに町へいく。ひさかたぶりに電車に乗って座席にずらりと陳列された人間の顔を見て思うに。
∧∧
（ ‥）何？
（‥ ）人間ってこんな形してたっけ？
∧∧
（ ‥）あなたイラストレーターでしょ？
（ ‥）いや、こんなに様々な形を
していたっけかね？
改めて見るとすごいな、これは。同一種とは思えない。
さて
一人が走り始めて優位な地位を占めると、残りも走らざるをえない。
（‥ ）そして全員が走り出す。
∧∧
（ ‥）これ以上は無理、という
生物学的な限界に至るまで
エスカレートして、そこで
均衡するでしょうね。
全員が座る。あるいは一部の権力者が既得権益を固定したいがために全員を座らせる、という状況もあるにはある。
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（ ‥）近似なのは鎖国時代の日本とか。
（ ‥）でも黒船襲来で真っ青。
走り出した連中が外部からやってきて、ローカルルール？ そんなもの知らね、と言ってきた。座っていたみんなもいやいや走らざるをえなくなって１５０年。今でももういやだ、という愚痴が聞こえる。
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（ ‥）グローバル化、とかですね。
（‥ ）すばらしいだろう？
世界が地獄になるんだ。
∧∧
（ ‥）まさに血を吐くマラソン。
（‥ ）マラソンとは血を吐いて
やるものだ。
座りたいけど座れない。座れるけれども座るわけにはいかない。走りたくないけども走らざるをえない。ああ、座りたい、こんなの間違っていると愚痴をこぼしながらも座る道理がない。
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（ ‥）座る自由はあるけども
敗者として食いつぶされる運命。
（‥ ）だから座れない。走るしかない。
良い、悪いの問題ではないし、好き嫌いの問題でもない。単なる力学の話で、血を吐くか死ぬかどっちか選べ、それだけの話。
実にいい。世界は思い描いた方向へ確実に進んでいる。しかもこれは阻止できない。
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（ ‥）キリスト教徒やマルクス主義者が
夢見たパラダイスは決してやって
こないのだと。
（‥ ）夢は現実の前に無惨に挫折するのだ。
それが道理。
∧∧
（ ‥）さて、あと２４時間でおそらく
タイムリミットです。
（ ‥）やれやれめんどくさい。
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確かに、走りたくはないね。
