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2011年7月18日月曜日

永久戦争は無限の平和なり しかし我らの未来は地獄なり

 
 外へ出たら町の様子がおかしい。暗い夜空に明るい月、もう深夜かと思ったけども家々から明かりがもれている。

 ∧∧ まだ12:00ですよ
( ‥)
 -( ‥)ああ、だからか...

 いやいや、12:00にしても人がいつもより多いがな。なんだこれ? と思っていたら。


 ∧∧  連休ですね
( ‥)
 -( ‥)おおうっ!!


 まじかい、今日は休みかよ。道理でこの時間にも人がいるわけだ。

 ∧∧
( ‥)会社に送ったデータを
    相手のパソコンへ転送しないと
    いけませんね。

    (‥ )もう月曜日だから会社に送るべ、
        と考えていたからなあ。

 ともあれ、公園へいく。ペガサス座と魚座を明るい流星がぽろん、と少しゆっくり、輝きながら流れた。

 ∧∧
(‥ )流星群の季節でしょうか?

    (‥ )そうだね。

 さて

 科学は進歩する必要があるか?

    (‥ )原理的には科学が進歩する必要性も
        必然性もないんだ。例えばの話、
        鎖国時代の日本や管理貿易下の中国は
         技術を停滞、一部に関しては放棄すら
          してしまったからな。

 ∧∧
( ‥)だから西洋列強に負けたのでしょう?


 科学が進歩する原因がここにある。

 ∧∧
( ‥)ようするに競合の産物ですね。

    ( ‥)この果てしない闘争がいやなら
        1984年すればいいんだよ。

 *1984年。ジョージ・オーウェルの作品。バトル・オブ・ブリテン後のWW2後期の英国をパロディ化した小説であると同時に、人類がすべてに背を向けて永劫の平和と安定に引きこもってしまった世界を描いたお話。

 ∧∧
( ‥)一般的には管理社会の恐怖と
    完璧なディストピアを描いた
    小説と言われますけどね。

    (‥ )逆だろ? 敗北と絶滅の恐怖に怯えた
        人々が永久戦争と引き換えに
        闘争を放棄して夢の世界へ後退することを
        決意して実行した世界だよ。

 *一応設定ではWW2の後、核戦争が勃発。世界は再編成された後、絶滅戦争を止め、戦争を無限に継続しようということになった世界ということになっている。

 ∧∧
( ‥)まあ、戦争の永久継続は敗北がない、
    つまり戦争ではないですからね。

    (‥ )戦争は平和なり。イングソック党の
        真骨頂がここにある。

 *イングソック党(英国社会主義のパロディ)。1984年における英国の支配政党のこと。

 敗北がなければいかなる詭弁もテストにさらされることがない。永久に夢の世界で生きていける。現実世界との格闘を永久に放棄し、詭弁へ後退したパラダイス。それが1984年。

    ( ‥)まあ、ある意味マルクス主義の
        真骨頂なんだけども。
        いや、マルクス主義者の真骨頂
        というべきか?
 ∧∧
( ‥)オーウェルさんは左翼なんだけども
  -□ ひどい目に合って、詭弁と無視に
    さらされてますからねえ。
    *例えばカタロニア讃歌を見よ。

 思うところがあったんだろうなあ、と想像する。

    (‥ )オブライエンもさ、嘘つきなんだよな。
        無限闘争を言っているようでいて、
        彼のバトルと勝利の話は結局は
        バーチャル世界での話題だもの。
 ∧∧
( ‥)まあ、ごっこの世界でしか
    戦えなくなったお話ですからね。

 *オブライエン。1984年の登場人物で主人公を拷問、尋問するインナーパーティーのメンバー。主人公にぞっこんのストーカー。イングソック党は闘争に無限に勝利すると言うが、実のところ、闘争が”なんちゃって闘争”になっているから無限に勝利できる(と勝手に思い込むことにしている)だけなので、彼は実のところ闘争を放棄して、バーチャル世界でのみ生きているのだとも言える。エロゲーで連戦連勝、オレ、男としてマジで最高じゃね? と言っているようなもので、言い換えると1984年という世界は永久戦争に基づいた永久平和によって保証されている壮大な虚構。

 ∧∧
(‥ )現実世界は、1984年と違って
\-   外敵だらけですよ。

     (‥ )征服できぬ国家の無限大に続く
         ガチバトル。そうした
         ヨーロッパの病が大征服の結果
         今や地球全体を覆っている。

 互いに殺し合いすぎて、それまで図体だけデカイど田舎国家のアメリカとロシアに覇権を奪われ、びびって呉越同舟のEUを作るありさま。ははっ、そうまでしないと生き抜けない世界であるわけだ。

     (‥ )この状況下において
         科学はよりアクセルさせられる。
         そして言おうじゃないか。
         あきらめろ、皆が望む永久平和、
         1984年のようなすばらしき
          停滞と欺瞞のパラダイスはこの世界に
          やってこない。
 ∧∧
( ‥)世界は地獄へ向かうのだと。

 ああ、向かうねえ。石油も石炭もあっという間に使い果たして、成長の限界を迎えながら崩壊しつつある体をなんとか補填しつつ、必死の形相で高速増殖炉に手を伸ばすねえ。手に取るように予測できる。僕らの未来には1984年のような幸せも平和も安定も夢もない。あるのは現実との闘争と格闘という地獄だけで、しかも状況はじりじりと、しかし確実に悪化する。

     (‥ )あああああ、生きていて良かった。
 ∧∧
( ‥)まあ、夢の世界よりはましかもですね。
  -□ 

 そして、だからこそ、科学にはやれることがあるだろう。

 *ちなみに1984年の世界には小説中において記述されているように科学というものが存在しない。競争も競合もテストも無い世界なので当然である。1984年がディストピアというのはたわ言だ。戦争の無限継続は戦争ではないし、それは闘争でも競合でもない。そこにあるのはただの夢だ。→*

 ∧∧
(‥ )そういえば先日、本屋さんで
 □-  1984年の新装版を見ましたね。

     (‥ )黒いカバーでな。
         ぴったりとも言えるし、
         全然違うよね
         とも言えるかもね。

 淡いピンクに鮮やかなヒアシンス、疲れ果てた顔をした眼鏡をかけたデブ(オブライエン)がへたり込んでいる、むしろそれがぴったりかもしれぬ。
 

 公園からの帰り道、月を見上げると、暈がかかっていた。天気が崩れるか?

 
    ( ‥)さて、仕事だ
      -□
 ∧∧
( ‥)一息つきましたからね。
 
 
 

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