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2011年12月18日日曜日

世界が愚痴で沈む

 先日、商品の買い付けにつき合った。その後、即売会における商品の売れ行きを聞いたところ。
 
 ∧∧
(‥ )マニアックで良いものが売れない
\-   良くても高いと買わない
    見た目がきれいで
    派手で分かりやすいものが売れる。
    ようするにそういう結果ですね
 
    (‥ )...まるで子供だな。
 
 いや、好きなものを買うためになんとかお金を工面しようとか、どれが良いのか、良いの基準は何かとか、そういうことを下調べもしなければ、知ろうともしない、そんな意味では子供以下だとも言える。
 
 ∧∧
( ‥)安値も安いというよりは
    もはや値崩れと呼ぶに
    ふさわしい状況です
 
    (‥ )原価、輸送費、手間賃、
        それを考えたらとても
        じゃないけど採算が合うとは
        言いがたいしな。
 
 おまけに売れたのは見た目は派手だけども、珍しくもなんともないものだったので。
 
 ∧∧
( ‥)お客の品物を見る目が落ちてきている
    良く聞かされる愚痴が実感できましたか。
 
    (‥ )まあ、その、ねえ。認めざるを
        えないよねえ。
 
 端から見ていると、それ買うかあ?? という状況なので。さすがにちょっと頭を抱える。
 
 反対にだ、例えばの話、売り物にならない屑ものを大量に安く仕入れる。それを一見するとおしゃれに見せる、それをタイムセールで”大安売り”する。
 
    ( ‥)すると”売れる”のだよなあ
      -゜ 屑ものだけに安く仕入れているから
         そこそこの売り上げで利益は
         出てくる。
 ∧∧
( ‥)それでも厳しいらしいですよね。
    ”良いもの”を馬鹿正直に売ろうと
    している人たちに至っては
    昨今の状況は壊滅的でしょう。
 
 消費者が良いものを見分けられないと、業者は悪いものばかりもってくるようになる。悪いものを安値で買って、得したわ、とお客はぬか喜びし、業者は物を見る目がない客を軽蔑するようになる。
 
 ∧∧
( ‥)でも、どうにもならないでしょうね
    ある意味、どちらの反応も当たり前だし
    必然ですよ。
 
    ( ‥)ライターも同じだよな。
      -□ 嘘やでまかせを書いた方が
        皆が理解した気になって
        満足して買ってくれるしなあ
 
 当然、やっぱり客を軽蔑するようになる。たとえ質の悪い内容を書いていると自覚しているライターでさえ、消費者を強烈に憎んでいる場合があるし、それは行間からうかがえる。まあ、当たり前と言えば当たり前だ。
 
 それにこんなこともある。真面目に仕事しても売れず、手抜きをしたら売れ始め、しかしそうなるといわゆる理系な人間から「お前はトンデモか??」と突っ込まれる。その時、当人はそれはもう怒り狂う。なぜか? 
 
 ∧∧
( ‥)なぜかというに
 
   (‥ )少なくともご本人からすれば、
      がんばった時に手助けしてくれず
      世間の愚かさという現実に妥協したら
      攻撃してくるように見えるわけよ
      援助もしてくれないのに口だけ出す
      嫌みな姑か何かのように感じる
      みたいなのよな。
 
 もちろん、こうした憎悪はかなり的外れでありうる。黙っていたからといって購入していないわけではない(ようするに購入し続けていたのに、作者が突然路線変更してとまどっている客もいるだろう、ということ)。しかし、作り手側には客の顔は実は見えていない。客は自分を個体だと認識しているが、作り手側からすれば客は便宜的なカテゴリーでしかなくて、実在ではない。
 
 そうだ、売り手は、自分の品物を買う人も、それを批判する人も、共に憎むようになる場合がある。
 
 ∧∧
( ‥)どうしたものでしょうねえ
 
    (‥ )売るだけなら先のような手がある
       そういう時でも馬鹿な消費者と
       軽蔑せずに、からっと売れば良い。
       だが、質を維持したいのなら、
       質の良いものを買ってくれる客が
       小さい以上、自分の身の丈
       それ自体を縮小するしかない
 
 ああ、だがしかし、身の丈の縮小というのは多くの人にとって、特に会社を持っている人にとって致命的なのだ。
 
 かくて、世界は愚痴だらけに成り果てた。
 
 
 
 

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