自己紹介

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2012年8月14日火曜日

でっちあげられたお菓子

 
 
 *の続き
 
 ( ‥)スポーツだって、人体の構造
     医療的な知識がなければ
     やっていけないのだから
     科学教育や振興で
     センスオブワンダーが
     強調されるって
     ずいぶんおかしな
     話なんだけどな
 ∧∧
( ‥)科学はそういう情緒的
    な衝動とはむしろ対極のもの
    現実と経験と科学的な判断、
    そういうものの最たるもの
    本丸そのもの
    でしょうからね
 
 もちろん、動作が冷静そのものでも、衝動があるからこそ、人はその選択肢へ向かうのだ。いかにどれだけお上品な仕草でも、腹が減っているから食うのだ。
 
 そういう意味では
 
 センスオブワンダーを子供に見せて科学に興味を引かせよう
 
 これの言わんとすることは分かる。
 
 とはいえ
 
  (‥ )でもさ、実際は科学の
      センスオブワンダーって
      みんなのワンダーとは
      相性悪いのだけどな
 ∧∧
( ‥)科学が見せる現実の驚異って
    現実だけに容赦ないですから
 
 例えばの話、科学はスターウォーズと相性がよろしくない。星々や銀河をめぐる大冒険なんて現実には無理だからだ。
 
 ∧∧
( ‥)というか、ぶっちゃけた話
    科学はSF全般と相性良くない
    ですよね。
 
  (‥ )光速を越えられず、光速に
      到達することすら困難な
      宇宙の現実、それを示した
      科学は、大冒険とかフィクション
      とは根本的に相容れないよね
 
 そもそもフィクションってのは現実からの飛翔と逃走であって、現実を記述しようと模索する科学とは根源から対立する。実際、科学、科学したSFは受けが悪いのみならず、ジャンルとして衰亡しているそうだ。みなの夢に科学を混ぜた当然の報いなんだろう。夢に現実を混ぜてどうする。いくら合金を作るといっても割合を間違えちゃあいけねえなあ。
 
 ∧∧
(‥ )まあ、恐怖の現実を織り込む
\–   ことで、きれいなお話を
     作ることもできますけど
 
  (‥ )ゲド戦記を書いたル・グインの
      「幻影の都市」みたいにな
 
*かつて竜座のガンマ星エルタニンをめぐる惑星に建築された植民地。侵略者によって占領された母星地球を調査するためそこからやってきた主人公。光速に到達できる宇宙船を使い、生まれ故郷から地球へ、地球から故郷へ。光速で移動する以上、相対論的な時間の遅れが生じるために、この旅は彼にとってはほんの数週間か数ヶ月、しかし故郷と地球の間ではその間に数世紀が過ぎてしまう。
 
 ( ‥)故郷の妻はとっくに塵になり
     地球で知り合った人々も
     故郷へ変えれば塵になって
     いるだろう。自分は故郷へ
     帰ろうとしているのか
     故郷から離れようとして
     いるのか
 ∧∧
( ‥)相対論的な時間の壁に引き裂かれる
    人々の物語ですね
 
 きれいな話は描ける。それは事実。
 
 だがまあ、普通はこんな話を望んだりはしないだろう。皆が望むセンスオブワンダーなんて、結局は砂糖をまぶされ、でっちあげられたお菓子でしかないのだ。
 
 
 ∧∧
( ‥)でも、この恐怖の現実
    宇宙が見せる異様な姿
    それに興味を持つおかしくて
    少数派な子供がいるのです
 
 (‥ )結局さ、センスオブワンダー
     なんざあ、どうでも良いのよ

 恐ろしい現実を見せてやればいい。それに眼を見開いて「これは何??」と異様な関心を払うもの。それこそ後継者になりうるだろう。そして次の恐怖を発見してくれるに違いない。
 
 
 
 

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