独自の理論を考えてしまう人は多い。
∧∧
( ‥)まあ、そりゃあ人間ですからね
(‥ )現象を説明する仮説を思いついちゃうのは
当然だし、自然なことなんだよな。
しかし、
自分の理論はこんなにすばらしいのに、なんで誰も相手にしてくれないの? 研究者はなんでオレの理論と違うこと言っているの? オレ様は足し算、引き算、かけ算、割り算を駆使して計算したけど、研究者の答えはなんかおかしいよ、合わないよ。なんなのこれ? なんでマスコミはこれを無批判に取り上げるの? なんでオレの理論を取り上げないの?
ははーん。分かりましたよ。お前達みんなバカなんですね??
∧∧
( ‥)まあ、「自分以外が全員馬鹿」仮説というのは、
自分の理論が取り上げられないという現象を
説明する仮説ではありますね。
(‥ )説明する仮説ではあるんだよな。
まあなんだ、どっかでオレ様鳥進化論を展開している掲示板とか、恐竜絶滅は隕石衝突が原因じゃないぴょん、計算が合わないぴょん、理屈がおかしいぴょん、30万年前ーー!! とか、ネオダーウィニズムは間違っているのは明らかなんですプンプンとか、そんなのはネットだろうが、本だろうが、時にはマスメディアやサイエンスライターにおいてすら(ごくごくまれではあるが論文にも)現れることなんだけども。
でもさあ、お茶でも飲んで、落ち着いて考えてみようじゃないの。この状況を説明する、もっともっと楽で簡単な仮説があるよねえ。
∧∧
( ‥)自分が間違っている。自分が見落としをしている。
自分で計算した時の前提が現実と違う、
役にも立たない公式で計算した。etc...
(‥ )「自分以外が全員馬鹿だ」仮説より
「自分が馬鹿でした」仮説の方が
現実的だと思うのだけどもね。
というかほとんどの人はまずは「自分が馬鹿でした」仮説の方を考えるのではなかろうか? 実際、例えば学生時代に計算したのに答えが違うのだから、この問題集が間違っているなんて、叫ぶ奴はいない。そうではなくて、あれ、おいらはどこで計算間違いをしたのかな、、、、そう考えて見直すものだ。
しかしいざ社会に出ると、
オレ様の理論と違うから研究者は全員馬鹿、読んだことはないけど、論文は全部紙くず!!
とこんなことをネットや一部書籍で叫ぶ人はすでに申し述べた通り、意外といる。
でっ、ふと思う。
( ‥)もしかしたらだよ、学校の授業中にも
「オレ様の答えと違うこの問題集は間違いかも!!??」
そう思っていたやつって、実はいたのかな?
∧∧
( ‥)オレ様理論屋さんの予備軍は子供時代からずっといて、
ずっとずっと「おかしい、変だ」と思っていたのだけど
ただ黙っていたので目立たなかったのだと?
いやだって、妙じゃないかい? 授業中に「この問題集は間違いです!! オレが正しいです!!」そういう風に叫ぶ奴はいないのに、いざ、社会に出ると「オレ様正しいです、偉い研究者は間違いだ」と言う人間がいきなり出現するというのは、どうもおかしい。
∧∧
( ‥)そういう人たちは、方程式は解けるけど、
経験的に論文の妥当性の判断をつけることができない。
単純にそういうことなのかもしれません。
(‥ )そうねえ、そういう説明もできるよなあ。
例えばの話、科学は矛盾のない論理的な体系である、そう思い込んでいる人は「自分の頭の中では理路整然と成り立っている体系なり世界観」を作り上げることさえできればそれで十分だと考えるかもしれない。
実際、「矛盾のない体系=科学=真実」と設定するのであれば、理路整然としている体系の作成=科学=真実となるだろうし、そうでない体系は自動的に≠科学≠真実ということになるだろう。
論理は経験を認めることがほとんどないので、仮説(この場合は自分のもの以外の理論)をサポートするデータは無視するだろう。
ようするに彼らは経験的に論文の妥当性を判断することができないだろう。
彼らが認めるデータはせいぜいのところ、「すべてのカラスは黒い」を破壊する「白いカラス」のような証拠だけではなかろうか? 逆にいうと一見すると「自分以外の仮説」を反証して完全破壊するような(最低限、彼らにはそう見える)データにすぐ飛びつくのはこのためか?
∧∧
( ‥)そう説明すれば「授業中に叫ぶ人」がいないことと
「社会に出てからオレ様理論を声高に叫ぶ人」が出現すること
この2つが説明できるのでは?
(‥ )オレ様理論屋さんは学生時代にどんな挙動を示していたのか?
彼らはちょいとばかし勉強ができたんだろうか? あるいは世界が自分とずれてしまう不満をずっと心の奥底に抱え込んで、沈黙してきたのか?
それは沈黙か、あるいは勘違いか? いずれなりや? あるいはいずれでもないのか。
( ‥)じつはさあ、学生時代の記憶を辿ると、
1人、怪しいやつがいたのを思い出してなあ。
∧∧
( ‥)ああ、この人ですね
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彼の場合、以上のどっちでもあるような・・・