自己紹介

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2013年6月20日木曜日

あれは少しだけ良かった

 
 hilihiliのhilihili: 分からない老人に徒党を組ませてはいけないの続き
 
 
  ( ‥)そうねえ、不思議っちゃ
    –□ 不思議なんだよな
       ディケンズの小説は
       どれを読んでも、いや
       ”見た”というべきだな
       頭の中の歯車が
       噛み合わず
       がりがりがりりりりー!
       と音がするイメージだね
       だから読めない。
 
 ∧∧
( ‥)妙ですよね。理屈がおかしい
    から不協和音を感じる、
    拒否反応を起こすとかなら
    「1984年」を
    読んでも機械的な不協和音が
    したでしょうからね。
 
 1984年は色々とおかしい点がある小説で、設定に矛盾があるように見え、もう、登場人物が好き勝手なことを言っているようにしか思えないふしもある。それにディケンズもオーウェルもイギリス人だ。少なくとも、日本人の眼から見れば。
 
 ∧∧
( ‥)でも、1984年には
    不協和音を感じなかったと
 
  ( ‥)深い理由もないし、
    –□ 考えても意味ないの
       だろうけどもね、
       とはいえ不思議では
       あるんだよね。
       なんだろうねえ、
       この感覚の違い。
 
 ∧∧
(‥ )あなたが1984年を読んだ
\–   のは中学の時でしたよね
 
  (‥ )あの時でも、これが
      皆が求める幸せの世界
      なのだ、ということは
      なんとなく分かったけど
      知的なひきこもりだけの
      ユートピアを描いた小説
      だとは、当時は
      気づかなかったよ。
 
 ∧∧
( ‥)つまり?
 
  (‥ )知識人と文化人は死ねよ
      人類の裏切り者め
 
 ∧∧
( ‥)えらい感想だね
 
  ( ‥)マトリックスは
    –□ 1984年とは対照的
       だよなあ
 
 ∧∧
( ‥)そういえばマトリックスの
    人が脚本した
    Vフォー・ベンデッタで
    独裁者を演じた人は
    映画1984年で、
    全体主義に轢き潰される
    スミス役をやった人
    なのでしたっけ
 
  ( ‥)マトリックスも
    –□ 1984年への
       オマージュだ、と
       言った知り合いがいたが
       それは...
       考え過ぎだろうなあ。
 
 ∧∧
( ‥)マトリックスはむしろ
    ナウシカのぱくりじゃね?
    と言った人がいましたが
 
 (‥ )まあ、そうかもね。
     ナウシカは腐海に呑まれても
     人間の世界に戻ってきたけど
     ネオは機械生物に呑み込まれ
     彼らの救世主として
     昇天してしまって
     戻ってこなかったけどな。
 
 どちらが絶望が深いと見るべきか? それは人それぞれなんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )機械の使徒たるスミスさんは
\–   堕天して、むしろ人として
     死にました
 
  (‥ )1984年のスミスは
      人であることをやめて
      至福の中で処刑され、
      全体主義の
      使徒になったのと
      対照的よね
 
 ∧∧
(‥ )マトリックスにおける
\–   機械に守られ、保育され、
     育まれる人類。
 
  (‥ )あれが人類の理想世界よな
      恐ろしい外敵から守られ
      安全な場所に隔離されて
      永久に夢を見て生きる。
 
 ∧∧
(‥ )構図は1984年と同じですね
\–   隔離された世界で
     無数の引きこもり達が
      永々と都合の良い夢を
      見続ける。
 
  (‥ )違いがあるとしたら
      現実に立ち向かう人々が
      いるかいないか、だね
 
 ∧∧
( ‥)1984年は
    インナーパーティーの面々で
    マトリックスは
    野良人類の根拠地ザイオン?
 
  (‥ )というか機械生物たち
      だよね。彼らが世界の
      支配者なんだから。
 
 現実に向き合っているのは機械達だけ、という世界。そして設定。
 
 ∧∧
(‥ )作者は人間さんが嫌い
\–   なんですかね?
 
  (‥ )いやあ、むしろ
      大好きなんだと思うよ。
      人間が機械生物に
      ぶち殺される有様を
      念入りに描いてるし。
 
 あんなの地下に海の水でも送り込めばいいんじゃね? 安上がりだし、と、そうはならないところに脚本とドラマの演出上の都合と、人間に対するあふれんばかりの愛着と愛情を感じる。攻め込んでくる機械軍団だって、レーザーも爆弾も使わずに、叩く、潰す、串刺し、ポイ捨てなのだ。人間が好きで好きでたまらないんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、ポイ捨てあったね
 
  (‥ )銃弾補給とかの時、
      護衛の兵隊さんが
      かっさらわれて、
      ぽいーっと奥の方で
      捨てられちゃうんだよな
 
 
 Vフォーはあんまりそういうのがなかったよなあ。
 
 ああ、でも、あれは少し良かった。反逆者のお面をおもしろ半分にかむっていた少女を射殺した公安を、住民がリンチで殺すとこ。
 
 ∧∧
(‥ )バールだかシャベルだかで
\–   脳天を一撃するんでしたっけ
 
  (‥ )あれは、少しだけ
      良かったな。
 
 
 
 

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