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( ‥)でっ? まるっきり興味がなかった
ピルトダウン人。いまさらながら本を読んでなんと?
( ‥)「ピルトダウン」みすず書房 1996
-□ ほほっ、これはこれは。
原題は[Piltdown A Scientific Forgery ] British Museum and Oxford University Press
(‥ )ようするにあれだ。現生の生物の骨を
最小限度の破壊と加工でキメラであることを
ばれにくく、なおかつ騙したい相手の持つ仮説を
支持するかのように見えるデータの集合に
するにはどのような取捨選択が理想的か?
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( ‥)ああ、まあ、そういう課題に対する
答えであるとも言えるでしょうね。
原始形質を残して、固有の形質を破壊すればいい、そんな感じ?
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( ‥)でも、やればやれるもんですねえ。確実な同定ができるほど
-□ 固有な部分は破壊する。データが直接不整合を生じる部分は
破壊する。そもそもその種が属するものとしては平均値から
はずれた個体を使用しているらしい、など。
(‥ )臼歯を削ったのはあれかね? 摩耗するほど
歯を酷使する人類(類人猿の中では珍しい)を
思わせる一方で、オランウータンの形質を
破壊する工作かね?
こいつやるなあ。
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( ‥)以上の書籍では犯人はキースさんでは? と推測されていますが
-□ 現在では犯人はヒントンさん、当時29歳だったということに
なっていますね。
(‥ )動物学者でありタフォノミーの研究もしたことがある。
まあ、犯人が誰か? その動機は何? ってのは
どうでもいいことであるんだけどね。
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( ‥)加工されて提供されたデータの集合を
研究者がどう考えたか? ですか。
(‥ )どう解釈して、それにどのぐらい正当性があって、
あれが結局、どのように棄却されたのか?
そこだよな。
脳容量をほぼ正しく(現代人とほぼ同じ:当たり前、現代人の頭骨の断片だから)推論した人もいれば、頭骨と顎の性質の不整合(頭蓋と下顎が違う生物のキメラなので、当然、筋肉の開始点と終点の有り様がまるで整合しない)に悩んだ人もいるし、キメラだと気がついた人や、下顎はオランウータンだろうと(たぶん正しく)同定した人もいる。
( ‥)その解釈にどの程度の妥当性があったのか?
その解釈の背景にあった理論や仮説が
どう影響しているのか? それを把握せんと。
∧∧
( ‥)またやっかいな。
時間もあまりありませんよ。
しかし、そうでないと理解に意味なんかないんよね。
∧∧
( ‥)そうでないと創造論者と同じだと。
(‥ )骨の同定もできない奴が、化石は偽造できるんでちゅーって
言ってもただの馬鹿だろ? 創造論者もピルトダウン人は
人間とオランウータンの骨を合わせた偽物だったのです!!
と声高に言うけども、ここは人間の骨、ここはオランウータン
というのは全部データに基づいた同定と”推論”だからな。
推論した値が仮に(陳腐な言い方をすれば)ほぼ100パーセント正しい、としても
∧∧
( ‥)それは真実ではないと。
(‥ )推論した値を真実って言葉に変換するのは
誤訳もいいとこだろ?
頭蓋は人間、それも現代人の骨だろう、というのは現代人ではないとする理由が”特にない”し、他の人類であるとする理由はもっとない。下顎がオランウータンだというのも、これはチンパンジーだという同定もあったわけで・・・・
∧∧
( ‥)推論であって、真実ではない
(‥ )進化理論は推論で仮説だとか言っている創造論者が
推論値を使っちゃあいかんよな。
いや、神を論証する証拠を集めてくる時点で、それは神を推論しようとしていることか、あるいは神の確からしさを高めようとする行為というべきか。
しかしそれが信仰か?
信仰することは神の確からしさを検証することでもテストすることでもなかろうに、例えばあなたなら悪魔になんと言う?
逆にいうと、推論を使うには推論に用いたデータや解析手段(や論拠)は把握しないとどうにもならない。
∧∧
( ‥)データの集合が人為的であったというだけで
ピルトダウン人って普通に科学の営みだったのでは?
(‥ )最終的にピルトダウン人が打破されるのは
データの集積とそこからのあれの逸脱が目立ってきて
そのおかしなぶれと矛盾点をすべて説明する仮説
「これって偽造じゃね?」が出てきたからだしな。
かもね
普通に科学の論争だったのかもしれない。とはいえ、ゆえに調べよう。
ところで
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(‥ )ヒントンさんが本当に犯人だとしたら
□- この人、事件の背景の要所、要所で
ふらっ、ふらっと出てきますね。
(‥ )この本では犯人扱いではないけども
彼、ちょっと立ち位置がおっかないんだよな。
台詞もそう思いながら読むと、何か怖い。自分がすべての騒動を引き起こしておいて、前向きな警告を人に与えるってどういう心理だったのやら。