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2016年1月2日土曜日

労働生産性から見える皆の愚痴

 
 日本の労働生産性は低い。
 
 ネットで見る限り、去年、2015年の終わり頃に何やら流行っていた言葉だ。

 その原因は何か?

 日本は残業が多いからだ
 
 無駄なサービスをしているからだ

 高い給料をもらっている人間に事務手続きとか雑用までやらせるからだ

 
 とかとか、色々な意見が渦巻いておる。
 
 ∧∧
(‥ )...でもそもそも
\‐  労働生産性って何?
 
  (‥ )さあねえ?
 
 検索かけると

 GDP(国内総生産)を就業者数で割ったものだそうだ。
 
 あるいはGDPを(就業者×労働時間)で割ったものと言う
 
=>‎www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2015_3.pdf

=>日本の生産性の動向 | 日本生産性本部
 
 
 ∧∧
( ‥)具体的にはなんなんだよ?
 
  (‥ )さあ?
      よく分からんな
 
 例えば、就業者で割るのだから就業者が減れば数値は上昇するだろう。

 つまり失業者が増えれば労働生産性は上昇することになる。

 なれば、日本の労働生産性を上げたいのなら、労働者の首を切れば良いではないか。

 
 ∧∧
(‥ )労働生産性を国別で
\‐  比較すると日本は21位で
    スペイン15位
    ギリシャ19位よりも
    下なのである
 
  (‥ )先のpdfだと
      スペイン、ギリシャ両国が
      日本より労働生産性が
      高いのは
      両国の失業率が
      25%前後だからだ
      そうだな
 
 このように
 
 労働生産性が低いというのであれば、失業者を増やせば良い。
 
 この提言は事実として成立する。
 
 かように、労働生産性という指標は、言葉のイメージとはまるで違う側面を見せうるものだ。

 事実、これ意外にも、にわかには判断しかねることが多い。
 
 ∧∧
(‥ )就業者×労働時間で割る
\‐  というのなら
    一人当たりの
    平均労働時間が長くなると
    理論上は労働生産性が
    下がりうることになる
    条件を満たせば
    日本は残業時間が多いから
    労働生産性が低いのだ!
    という主張が正しいことに
    なりますかね...
 
  (‥ )でもさ平均年間労働時間は
      アメリカ、イタリアよりも
      日本が少ないそうだな
 
 日本が年間で1729時間、アメリカが1789時間、イタリアが1734時間
 
 ∧∧
(‥ )でも時間当たりの生産性は
\‐  日本の方が低いと
    どういうことですかね?
 
  (‥ )さあねえ?
      効率が悪い働き方を
      しているに違いない!
      そう主張することも
      可能だし
      雇用が多いんだろ?
      そう主張することもできる
 
 
 日本の労働時間は減ってはいるそうだ。ただし、これは長時間労働をしていた人の労働時間が短くなるのではなく、労働時間が相対的に短いパートタイム労働者の比率が上昇したからだとされている。*以下のリンク2を見よ=>‎www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2015_2.pdf
 
 
 ∧∧
(‥ )でも何が起きているのか
\‐  これだけではなんとも
    把握のしようが
    ないですね
    負荷のしわ寄せが
    起こっているのか
    雇用が確保されたのか?
    これだけじゃ分からない
 
  (‥ )それにだGDPを割った値が
      労働生産性だろ?
      だから
      景気が後退すると
      GDPが減るから
      労働生産性も下がるのよ
      あるいは
      日本の場合だが
      分野別に見ると宿泊業の
      生産性が上昇している
      でもその理由は
      円安で外国人宿泊客が
      増えたから
      そして
      人材不足で一人当たりの
      業務負荷が増大したからだ
      そうだな

以下pp14を見よ=>‎www.jpc-net.jp/annual_trend/annual_trend2015_2.pdf
 
 ∧∧
(‥ )労働生産性が高い
\‐  でもそれは果たして
    良いことなのかどうか?
 
 
  (‥ )それはケースバイケースだ
      そういうこと
      じゃねーか?
      全体で論じること
      ではなく
      個別で論じること
      なのだろうな
 
 少ない出費でたくさん儲ける。その方が良いのは確かだ。それは提言されている。
 
 だがしかし、労働生産性、という指標自体が一体全体何を示しているのか? にわかには判断できないし、良し悪しを言うことすらできない。少なくとも、個々の事例や業界、個別の国家のことをそれぞれ別々に検討しないと判断しがたい。
 
 労働生産性が高いとは
 
 それは金融などに重点を置きすぎた結果かもしれない。
 
 それは外国資本に雇用されている結果かもしれない。
 
 それは個人に対する負荷が増大した結果かもしれない。
 
 それは失業率が上昇した結果なのかもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )でもネットを見た限りでは
\‐  労働生産性が低いという言葉に
    触発されて
    みなさん言いたい放題な感が
 
 
  (‥ )数値を出力する公式には
     変数が幾つもあるから
     どの変数が変わって
     数値が変動したのかを
     見極める必要があるんだが
     どうやらみんな
     それをしないで
     労働生産性という
     言葉のイメージに
     飛びついてるみたいね
 
 日本は労働生産性が低い! という言葉を聞いた時に、皆がそれぞればらばらのことを言い出して社会と労働環境の色々な部分をめいめいに否定する。

 これ自体が、我々が思いつきだけで文句言っていることを示しているのだろう。
 
 つまりこれは現実を見据えた提言というよりも、むしろ自分が置かれている立場とそれに対する深刻な愚痴であると見なした方が良いのだろう。
 
 残業に苦しんでいる人は残業のことを言うし、雑用が多い人は雑用のことをまくしたてる。多分それだけの話。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは何を連想しました?
 
  (‥ )俺かい?
      ”労働生産性が低い
      そうだよなあ俺は低いよな
      じゃあどうやって
      馬鹿を騙して
      金をふんだくるか
      それを考えよう
      でもなあ
      ガンはこうすれば直るとか
      そういう本に興味は
      持てないんだよなあ”
      ですね
 
 ∧∧
(‥ )やっぱろくなもんじゃねえな
\‐
 
  (‥ )いやいや真剣ですよ私は
 
   
 

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