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2016年1月8日金曜日

不自然な状態を維持するエネルギー供給に失敗した

 
 サウジアラビアがシーア派の指導者を処刑したのが1月2日
 
 同日、イラン国内にあるサウジアラビア大使館がデモに囲まれ、襲撃を受ける。
 
 翌3日、サウジアラビアがイランと断交。
 
 ∧∧
(‥ )でっ6日に
\‐  内戦が続くイエメンで
    イラン大使館がサウジの爆撃を
    受けると
 
  (‥ )それが7日昨晩のニュース
      本当なら
      本格的ではないにせよ
      もはや戦争状態だよね
 
 実際、先日は断交を受けて、中東で第三次世界大戦か?! という煽り文句のついた新聞を見かけた矢先の大使館空爆報道である。色めき立つこと当然。
 
 ∧∧
(‥ )アメリカ主導の
\‐  お行儀の良い介入とは
    かけ離れた状態で
    各国がてんでばらばら
    自分勝手に
    介入しているから
    そう言われるのだろうね
    先日もトルコとロシアが
    ほとんど交戦状態に
    陥ったわけだし
    各勢力の背景にいる
    有力国家が直接戦闘に
    いつ突入してもおかしくない
 
  (‥ )でもあれよな
      これって考えてみれば
      すでに決まっていた
      ことだよね
 
 
 今をさかのぼること37年前の1979年、イランで革命が勃発し、パーレビ朝が倒れ、法学者による神権政治が始まった。
 
 革命から1年後、翌1980年、隣国イラクのサダムフセイン大統領がイランを攻撃。イラン・イラク戦争が始まる。
 
 ∧∧
(‥ )もうこの時から
\‐  シーア派とスンニ派の
    戦争は始まっていた
    わけだよね
 
  (‥ )そもそもこの対立は
      もっと前からあるけど
      ようするに
      ペルシャ対アラブの
      対立と戦いだよな
      ただ
      イラン革命以後の一世代は
      その傾向が顕著になった
      それだけの話だよね
 
 イランとイラクの戦争。そのきっかけはフセイン大統領の個人的な野望かもしれないが、その意図がどうあれ、結果的に大統領はペルシャを封じ込める盾として機能したのであった。
 
 革命から9年後の1988年。イラン・イラク戦争は集結。
 
 革命から11年後の1990年。イラクがクウェートに侵攻、併合。
 
 革命から12年後の翌1991年、アメリカが湾岸戦争を開始、クウェートからイラク軍をたたき出す。
 
 ∧∧
(‥ )そして革命から24年後の
\‐  2003年
    アメリカは
    イラク戦争を開始して
    イラクに侵攻
    フセイン大統領を捕縛
    革命から27年後の
    2006年に大統領を処刑
 
  (‥ )革命以来27年
      こうして盾であった
      イラクは
      アメリカの手によって
      崩壊しましたとさ


 フセイン大統領は湾岸戦争後にアメリカの政権が変わると和平の模索をしていた。大統領は、まさかアメリカがここまで頑固で考え方を変えない、現実無視の狂信的な国家とは思っていなかったのだろう。

 そして、結局は自分の価値を一顧だにせぬ、いわば狂信的な民主主義教徒によって彼は排除された。
 
 ∧∧
(‥ )当然、ペルシャの力は拡大
\‐  もともとシーア派が多かった
    イラクの南部はペルシャの
    勢力下に
    イラク北部は無政府状態に陥り
    革命から34年後の
    2013年にISISが成立
    シーア派とスンニ派の
    対立と戦争は湾岸とシリアに
    拡大し
    ロシアはイランと共闘し
    アメリカがなんか妙ちくりんな
    態度で右往左往している
 
  (‥ )アメリカは
      絵に描いたような
      馬鹿っぷりだよね
      一体全体お前たちは
      何をしたいんだよ?
      という有り様でな
 
 そして革命から36年が過ぎ、37年目に突入した2016年。サウジアラビアとイランが断交。対立。
 
 確かに第三次世界大戦前夜を思わせる状況だけども、考えてみればまったくもって順調に事態は推移している。
 
 盾であるイラクを破壊したら自分たちが直接イランと対峙することになる。かつてイラク戦争前に躊躇したサウジアラビアの懸念が見事に的中。
 
 そして、西欧の支配で瓦解し、適当に引かれた線でばらばらにされたオスマントルコ帝国とペルシャ帝国の領域が、その本来の姿へと復帰していく過程だと見れば分かりやすい。
 
 なにもかも、懸念され、あらかじめ定められた通りではないか。
 
 ∧∧
(‥ )不自然なものは
\‐  自然な状態へと
    復帰するのである
 
  (‥ )不自然なものを
      維持するには
      大量のエネルギーが必要だ
      その供給を怠れば
      不自然な状況は崩壊し
      一番安定な系へと移行する
      アメリカは不自然な状態を
      維持するための
      エネルギーの供給に
      失敗した
      そういうことだよね
 
 そもそもそういう不自然な系の維持を担っていたフセイン大統領を自分でわざわざ殺して、自分自身で制御しようとして、失敗したからアメリカは逃げ出したわけだ。
 
 そしてアメリカでさえも無理なら地球の誰がやっても、もはや無理だろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもそろそろ
\‐  安定する頃では?
 
  (‥ )もうペルシャが確保できる
      場所は
      ペルシャが
      あらかた取っちゃった
      ように見えるしな
      そろそろ皆様
      和平の潮時ではないかね
 
 実際、これ以上は何をしても不毛だろう。
 
 ∧∧
(‥ )和平が成立するのなら
\‐  ISISが存続する可能性も
    ありえますよね
 
  (‥ )つぶしきれないし
      しょうがないよねえ
      ISISも
      もはや略奪的な拡大が
      無理なのだから
      連中が必然的に
      もっと穏健で
      現実的な統治に
      移行することを
      期待するのが
      せいぜいかな
 
 ∧∧
(‥ )でもアメリカは文句を
\‐  言うでしょうね
 
  (‥ )混乱する現地を見捨てて
      尻尾巻いて
      逃げ出した連中が
      言う事じゃねえけどな
 
 とはいえ、文句は言えるだろうが、介入できる余裕はもはやないようだし、やはり潮時と見るべきなんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )あきらめるべきだと
\‐
 
  (‥ )それが出来ないのが
      アメリカなんだけどな
      さりとて
      それも出来ない
      経済状況なわけでだな
      アメリカみたいに
      歴史も文化もない
      浅い連中が
      古くて新しい
      見た事も無い世界と
      どう折り合いを
      つけるのか
      見物だよね
  
 
  
 
 
 

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