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2015年5月2日土曜日

脅威の地平へ至る道は、単純お馬鹿で真剣

 
 この宇宙は光よりも速いものが存在しない世界。
 
 この世界でどのようにして、はるか遠く、何光年も先にある星にまでたどり着こうか?
 
 科学者はそれを思案する。
 
 しかしこれと同じ時、あるSF作家が他人を評して曰く、お前の物語にはSF魂がないと。
 
 この作家、ワープとかいうインチキを自分の作品には多用しておるくせに、他人の作品にはSF魂が無いとか抜かしよる。
 
 ∧∧
(‥ )SFってサイエンスの
\‐  フィクションなんだけどね
    光速を越えちゃうんだ
    どこが科学なんですか?
 
  (‥ )SFって実際には
     フィクションサイエンス
      嘘科学って意味なんだよ
      多分そう
  
 
 SF魂が無いとか、そんなことをぬけぬけと言い放つ下劣な魂を持っているから、自分はワープだのインチキしてることを棚に上げて、お前はSFじゃないとか他人をけなし始めるのだ。
 
 こやつらは汚らわしい異端者たちである。殲滅しなければならぬ。

 誰が異端で誰が正統か? そんなことを区別する必要は無い。皆殺しにしてしまえば良い。神は誰が自分の子であるかすべてご存知だ。

 これは糾弾ではありません。宗教裁判です。
 
 
 ∧∧
(‥ )まあ光の速度を超えて
\‐  相対論も無視できる世界なら
    どういう冒険ができるかなー
    そういう”設定”を導入すると
    どんな作品が書けるのか?
    それがSFの特色であり
    問題提起になる部分なの
    でしょうけどね
 
  (‥ )だがねここから分かるのは
      SFとは
      トンドモの箇所が命であり
      肝なのだ
      そういうことだよ
      理屈や定義で
      物事を語るなかれ
      そういうことだ
      SF魂なんて
      ホモ・サピエンスの認識と
      定義と論理だからな
      内容が貧しい貧しい
      作家とは思えぬ暴挙よ    
 
 あるいは例えばこういう事例もあろう。
 
 もう15年は前の話。携帯電話が本格的に普及始めた時代、こういうエッセイがあった。

 地下鉄の階段で目の前を歩く女性の頭からアンテナが突き出ていた。ぎょっとしたが、それは携帯電話のアンテナであった。そのおしゃべりはたわいもないものであった。
 
 せっかく文明が発達したのに、我々はなんて無駄なことをしているのだろう?
 
 携帯電話とはテレパシーと同じである。超能力を得たのと同じことなのに、人間は馬鹿な目的にしか携帯電話を使わないのだ。
 
 エッセイはそう語る。ああ、だがしかし
 
 ∧∧
( ‥)人間の知能がそもそも
    無駄で馬鹿で
    無意味なものらしい
 
  ( ‥)だとしたら携帯電話も
    ‐□ 無駄な動機で
      無駄な目的に
      使うのが当然だよね
      それが人間なのだ
 
 つまりエッセイの作者は人間を見誤っておる。だから携帯電話を使う人間を不合理と切って捨ててしまうのだ。
 
 知性は不合理である。そうであるのに知性を合理的であると見なすから誤謬を犯すのだ。それゆえ知性を合理と見なすもの、ことごとく滅びるべし。
 
 それにしてもこれは改めて考えれば暗示である。
 
 例えば先日、SFが携帯電話を予言できなかったのは、携帯電話が無駄で不必要なものだったからではないか? という意見を見かけたけども、多分、これは正しいのだろう。
 
 携帯電話を描いたSFが無い訳じゃないが、現在のようなこういう世界を想像した例はない。
 
 *例えば携帯電話の普及以前に原作が連載された攻殻機動隊の世界には携帯電話がないし、原作者士郎正宗さんが描いたアップルシードにも携帯電話が存在しない。
 
 
 しかし、SFにも携帯電話を想像した未来がある。だがそれは真面目ではなく、もっと馬鹿な発想であった。
 
 着信した瞬間に人間がバイブレーション機能付き携帯電話になってしまうトンデモ世界、ジャンプドアシリーズ
 
 ∧∧
(‥ )砂の惑星を書いた
\‐  ハーバードさんの作品だね
 
  (‥ )以前もネタにした
      話だがな
 
 人類や他の知的生物が全銀河規模で連合を作っている未来。物理的な技術の限界を突破し、光速の壁も無視して人々の通信をつなげるのは知的生物タプリジオットが持つ奇妙な特殊能力。

 しかしこの能力、便利である一方でかなりおかしな制限がある。ここだとコネクティブスが悪い、こっちこい、そう言われてタプリジオットに連れて行かれて、大雨が降る山で通信する羽目になったりする。コネクティブズとは一体全体なんなのか?
 
 おまけに、着信したが最後、どこでなにをしていても誰でも白眼をむいて痙攣状態になってしまうし、悪いことに着信拒否ができない。誰かから着信したら公衆の面前でぶーぶー震えることになるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)まさに携帯電話が普及した
    現在というか
    それをも越える
    トンデモ馬鹿世界
 
  (‥ )ハーバードって人は
      例えば1日の間に
      5分間だけ水が上へ流れる
      世界を想像してごらん
      その世界のトイレは
      どんな構造になっていると
      思う?
      そう書いたけどさ
      こういう馬鹿な発想を
      大真面目に考えるから
      論理の彼方を
      こじあけられるのだよな
 
 人間の知能は進化的な必然ではないだろう。それゆえ、知性的に考えても人の未来は見通せない。

 知性に基づいた未来予測は非常に貧しい。
 
 だがしかし、人の知恵と知性がまったくの不合理、存在の無駄であるとなれば、この障壁を越える道は単純だ。
 
 ∧∧
( ‥)お馬鹿で無駄な発想を
    真剣真面目に問うた先でこそ
    論理では開けない扉を開き
    脅威の地平へ至るのです
 
  (‥ )これは教訓ぞ
 
 
 
 
 ところで
 
 ∧∧
(‥ )この書き込みって
\‐  以前も書いたネタを
    3つぐらい複合調整した
    内容だよね
 
  (‥ )いいんじゃね?
      例えば画家は
      同じテーマの絵を
      少しずつ変えながら
      何度も描くからな
      そういうもんよ
 
 

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