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2015年5月11日月曜日

認識がぶれかかっている

 
 ∧∧
(‥ )アメリカの歴史家って
\‐  どう思います?
 
  (‥ )アメリカは大失態を
      犯したのだ
 
 非常に素人臭く、単純に言うと、セム語族とインド・ヨーロッパ語族がスンニ派、シーア派という宗教を衣にして争っている世界最古の地。それが偉大なるバビロン、すなわちイラク。
 
 そこへ民主主義さえあれば全部の問題が解決ハッピーだという世界観を掲げて侵攻し、そのあげくがあの有り様。
 
 大量の人間を戦火で殺したにも関わらず、自分たちの犠牲が大きいことを理由に、治安の責任を放り出して無責任に撤退。しかしそれゆえに戦乱が拡大すると、また泥沼に足を入れなければならないの? と暗澹として膝を折る始末。
 
 まさに無責任、愚劣の結果であるが、ではこれを顧みた時、アメリカの歴史家を評価できるものであろうか?
 
 ∧∧
( ‥)できませんと
 
   (‥ )無能か有能かは
       評価が難しいから
       次のように考えたらどう?
 
 アメリカの歴史家が影響力を持つのなら、イラク戦争は愚劣の現れ。
 
 アメリカの歴史家が影響力を持たないのなら、イラク戦争は彼らの無力の結果。
 
 ∧∧
(‥ )愚劣か無力か...ですか
\‐
 
  (‥ )ならば答えは明らかよな
 
 アメリカの歴史家、すなわち論ずる価値無し。
 
 彼らが何か意見を言いたくば、言葉の最初と最後に、無知無能、非才にして愚劣、非力なる私めでありますが愚考いたしますに、とつけて話すべき。
 
 ∧∧
(‥ )まあ本当にそんなことを
\‐  言われても困りますけどね
    鬱陶しいだけだし
 
  (‥ )実際、
      仮説で重要視すべきは
      妥当性と検証の有無
      それだけだからな
      前口上なんて
      どうでも良い話よな
 
 とはいえ、多分、イラク戦争の失敗はアメリカという国家や彼らが持つ世界観、歴史観に対して、重大な見直しを突きつけているのは事実。
 
 その当の国の歴史家であれば、それを直視するのが本来の役割。
 
 本当であれば、あのような大失敗の後で教壇に立つことは愚か、道を歩くことさえはばかられるというもの。恥ある人間ならばそうであろう。恥無きものだけが、なんのこと? と白々しい顔ができるのだ。
 
 ∧∧
( ‥)大失敗で学問分野全体が
    白い目で見られることって
    あるからね
 
  (‥ )リーマンショックで
      金融工学が
      東日本大震災で
      破壊物理学が
      権威を失ったようにな
 
 *地震はプレートの破断で起こる。ゆえに地震予知は可能である。そう豪語した破壊物理学は東日本大震災とあの巨大津波を予言出来ず、あれが起きたあの瞬間に木っ端みじんに砕けた。あのような規模の地震が起こることを予言していたのは破壊物理学ではなく、地学だったからだ。地層を見ると数百年、1000年単位で内陸にキロメートル単位で侵入してくる津波があることはもう知られていた。実は警告もされていた。しかし破壊物理はそれを無視した。そしてあの日、破壊物理という演繹科学の帝王は、三流学問と軽蔑し、見下し、無視していた地学に破れた。今、地震予知という言葉に以前のような重みが残っているだろうか?

 これと同様、イラク戦争の大失敗はアメリカの世界観、ひいてはアメリカの歴史観の敗退だ。なれば、アメリカの歴史学者にも屈服を強いるものであろう。

 世界はお前たちが思っているようなものではない。
 
 現実から突きつけられたこの事実をこそ、まず直視せねばならぬ。
 
 ∧∧
(‥ )これは意外と大きなこと
\‐  なのでしょうね
 
  (‥ )国家が総力を挙げて
      取り組んだ事業が
      失敗した
      それは本来なら
      マルクス主義の破綻と
      その失敗の認識
      それゆえの
      ソビエトの崩壊に
      匹敵するものなんだがな
      なまじ体力があるから
      あいつら失敗したのに
      死ねないんだな
 
 国家が総力を挙げて取り組んだ事業が破綻する。
 
 それは世界観が間違っていたことを示している。世界観とは物事を解釈するために考案された方程式みたいなものだ。この状況で私はどうすれば良いのか? どう考えたら良いのか? そのような問いを世界観に入力すると、こうすれば良いはずだ、という答えを世界観は出力してくれる。
 
 世界観とは演算装置だと言うべきなのかもしれぬ。
 
 ∧∧
( ‥)でもその演算装置が
     破綻していることが
     ばれた
 
  (‥ )それはすなわち
      歴史の解釈も
      現在のものの見方も
      未来予測も
      そのすべてが
      全部間違いだ
      そういうことを
      示しているのだよ
 
 それを踏まえれば、現在のアメリカの歴史家が語ること、そのすべて、欠片にいたるまで無意味無駄。
 
 ∧∧
( ‥)俺には関係ない
    そう言うことも
    できるけどね
 
  (‥ )歴史を語り
      歴史を再現せんと
      するものが
      世界観の揺らぎを前に
      そんなの関係ないと
      うそぶく
      それは学問の自殺だね
 
 歴史家は破廉恥にも、そんなことをやってしまうのか?

 
 やるべきことがあるはずなのだ。話はそれからである。
 
 ∧∧
(‥ )でもこれ他人事じゃないよね
\‐
 
  (‥ )多分だけど
      俺たちの世界は今
      認識がぶれかかってる
      理解が不確定に
      なりつつあるな
 
 こんな言い方、無駄にロマンチックなだけで意味はないだろうけども、だがしかし、自分たちが直面しつつあるのは、そういうことじゃあなかろうか?
 
 そして、世界観の破綻が明らかとなり、認識と理解が不確定になる。これは人間にとってみれば現実が不確定になることと、ほぼ同じだ。
 
 ∧∧
(‥ )現実は人間の認識と
\‐  何の関係もないはず
    なんですけどねえ
 
  (‥ )だが人間は理解で考え
      認識で物事を理解する
      人間の認識は
      現実に影響される
      だが人間は世界観という
      演算装置が無いと
      世界を認識できないのだ
      そしてそれが
      人の現実になるのだ
  
 認識が不安定になるとは、主観的には現実が不確定になることに他ならない。実際、ぶれが起きている。それが軋轢を産み始めている。
      
 

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