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2010年6月25日金曜日

アリスタルコスとヘロドトス

 
 昨晩は比較的天気が良かったので月が見えた。

    ( ‥)// というわけで月を望遠鏡でのぞくのだが
      -  ̄
 ∧∧
( ‥)雲がかかったり、晴れたり、なかなか恵まれませんね。

 嵐の海のあたりを簡単にスケッチして寝る。雲がかかる方が多かったので詳しいスケッチは断念。まあ、仕事もあるわけだし、あまりお月様のスケッチに精を出すわけにはいくまいよ。

 でっ、今朝になってネットやら書籍で確認してみると。

 ∧∧
(‥ )マリウス丘陵を明らかに見ているはずなのですけど、
\-   スケッチでは何も描かれていませんね。

    (‥ )先入観や事前情報がないと気がつかない大きさか
        すでに”太陽が十分に上がって影が出来ていない”か
        まあ、その両方なんだろうなあ・・・。

 嵐の海で目立つクレーター、ケプラー、マリウス、ライナーは描いている。マリウス丘陵はあれか、当地で夜明けが来た時(地球から見ると月の昼夜を分つ境界線上に丘陵が来た時)に、影が伸びて陰影が強調されないとこの望遠鏡(口径12センチ)では分からないか?

 その一方で

   ∧∧
\\(‥ )ケプラーの北にある2つ並びのクレーター、
  ̄ -   地形が複雑、かっこよくて素敵ですね。
 
     (‥ )アリスタルコス(Aristarchus)と
         ヘロドトス(Herodotus)だね。

 望遠鏡でのぞいて見てみると、ああこのクレーターの周辺は地形が複雑で色、というか暗さもなんか違う。それにクレーターの脇にちょろ〜〜んとのびた糸のような影が見える。たぶん、谷なんだろう。やや蛇行しているその様子から可能性はあるなあ、と思いつつ、後で確認したらやはり溶岩の流れた痕らしい。

 ∧∧
( ‥)溶岩が川のように流れて岩盤なり、冷えた溶岩なりを融かし、
  -□ 流路に谷間を刻むと。

     (‥ )そうだろうと解釈されている谷間だね
     \-   Schroter's valley という名前がついている。
 
 望遠鏡ではいささか分かりかねるけども、アポロなどの写真を見るとヘロドトスの内部は溶岩で埋められてはいるがクレーターの縁は健在で、谷自体はその脇から始まる。

 ∧∧
( ‥)クレーター内部の溶岩があふれたとか、クレーターの
    縁が支えきれずに決壊して流れ出したとか、
    そういうことではないんでしょうね。

     (‥ )まあ、必然的にそういうことになるねえ。
     \-

 新しくできた方のクレーター(光条がある)、アリスタルコスはインパクトクレーターとして普通の姿、階段状に崩壊したクレーターの縁、衝撃の反動でちょこんとせり上がった中央丘がアポロの写真ではよく見える(手持ちの望遠鏡では昨晩はクレーター内部は影になっていたこともあって、中央丘までは確認できず)。

 ∧∧
( ‥)つまり、古いヘロドトスが出来た時には
    月に火山活動があったのだと。

     (‥ )アリスタルコスが出来た時には
         火山による地質的な変形は受けなかった
         ということだよね。

 あー、うーん、でも不思議だよねえ?

 ∧∧
( ‥)何が?

     (‥ )2つともほぼ同じサイズのクレーター。
         片や溶岩で埋もれ、片やまったく原型をとどめている。

 月は地質活動において火山が活躍した時代とそうでない時代がある、それがあからさまにはっきりと分かる場所であるんだろうけど、ヘロドトスを埋めた溶岩と谷間を刻んだ溶岩はどっから来たんだろう?

 ∧∧
( ‥)場所は嵐の海(たぶん粘性の低い溶岩が流れて埋めた地形)
    ですよね?
    別に不思議はないのでは?

     (‥ )このあたり、半ば水没したというか
         溶岩に沈んだとおぼしきクレーターがあるのだけど。

 溺れたクレーターの縁がちゃんとぐるりと残っているものがあるのはどういうわけ? どこか離れた場所から溶岩が流れてきたとかなら縁がせき止めてもおかしくないだろう。

 ∧∧
( ‥)すべてのクレーターの底から溶岩がしみ出すとも
    思えませんし・・・、縁が決壊してもいない。
    縁が実はぐずぐずで、縁は原型をとどめながらも
    溶岩は周りからしみ込んでくるとか?

     (‥ )どうなんだろうなあ? 

 そしてもうひとつ。谷間があるってことは、クレーターが溶岩で沈み、溶岩がある程度は冷えて固まってから、再びヘロドトスの周囲で火山活動があったことを意味するんだろう。

 ∧∧
( ‥)ヘロドトスにたまっていたものが流れたとか
    そういうのではないでしょうしね。

     (‥ )それに不思議なのは、粘性の低い溶岩は水と同じで
         水平を保つだろ? 溺れたクレーターを埋めた溶岩は
         理屈の上では同じ水準になるんじゃないかな。

 じゃあ次にどうして”流れる”んだい?

 ∧∧
( ‥)流れるような高低差がどうして生じたのか?
   あるいは高低差があるのならどうしてマグマで
    クレーターが埋められているのか?

      ( ‥)どういう理屈だろうなあ?
          火口がマグマに埋められている一方で、
          火山の脇からマグマがどろどろ流れ出すような
          状況みたいなもんかね?

 そんな事例があるのかどうか知らないけど。 あるいは隆起でもしたんですかね? 

 ∧∧
( ‥)不思議ですね。

     (‥ )不思議だな。

 まあ、そのうち文献なり論文なりを探してみよう。

 

 

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