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2014年5月31日土曜日

残業代ゼロ時代

 
 ∧∧
(‥ )アーティストは残業代ゼロ
\‐  この発言で竹中平蔵さんが
    色々と反発を買っていると
 
  (‥ )アーティストは
      働いている時間どころか
      遊んでいる時間さえも
      金を生み出す可能性が
      あるから、
      残業代がゼロというのは
      正確な言い様ではないと
      思うけども

 
 まあそれに、今や周知のようにメディアの報道はいい加減だし、以上のような、たったひとつの編集された文章に基づいて何か言うのは危険だ。とはいえこれ、見方や解釈よっては結構、洒落にならない話であるし、言われたこちらの自業自得だとも言える。
 
 ∧∧
( ‥)このたわ言めいた話が
    まったくの正論になって
    しまう場合がありますよ、と
 
  ( ‥)アーティストは
    ‐□ 残業代がゼロ
      これを、
      自活している
      アーティストに対して
      正社員は会社に
      保護されているから
      会社に負担をかけている
      だから残業代を無くすべし
      そういう意味だと
      受け取った場合
      これに反論するのは
      難しい

 
 いや、反論自体は簡単なのだ。単純にバイトのことを考えれば良い。

 17:00で終わるのはずのバイト。しかし、理由があって19:00まで仕事してくれないか。会社がそれをバイトに頼む時、金の支払いが無ければバイトは損をするだけだ。
 
 ∧∧
(‥ )お金の支払いを受けてさえも
\‐  損になる場合もあるよね
    長時間労働は疲労を
    蓄積させる
    その分の支払いがあっても
    この状態が長く続けば
    結局はお金では補填できない
    損が生じる場合がある
 
  (‥ )だから短期バイトに
      やってもらうのだ
      こういうのは話が
      簡単だよね
      問題は正社員だな
 
 正社員には手取りというものがある。働く際に、あるいは生活する際に生じる手続きを代行した会社が、本来の給料からその分の経費を引いているからだ。引かれたものが手取りである。
 
 さらに、本来、会社の収入は不安定なはずなのに、会社員は給料も一定である。もともとは変動する収入を、会社がならしてあげているのだ。
 
 正社員は本来の作業を会社に代行してもらっており、本来の変動も緩衝してもらっている。
 
 ∧∧
( ‥)つまり会社員は会社にとって
    大きな負担である
 
  (‥ )まあ、だからこそ
      会社は社員に
      過剰とも言える
      見返りを求める
 
 しかし、それゆえに人件費は高くなる。待て! この給料が高い?? もらう方からすれば文句噴出だが、しかし、払う方からすれば青色吐息なのだ。首切りが有効なのはそれを反映している。あるいは、会社は作業を外注し、あるいは部門を子会社化する。社員という、維持費が高くつくものを切り離し、”自分たち自身で自活させること”で負担を減らすのだ。かように人件費とは高いものである。
 
 ∧∧
(‥ )ようするに社会は
\‐  正社員を減らす事に
    ひたすら邁進してきた
    そういうことだよね
 
  (‥ )実はな、これ自体は
      正社員自身も含めて
      みんなが推進してきた
      ことなんだよね

 公務員の金は無駄だ、あいつらの給料を下げろ! そうすれば税金は低くなるはずだ
 
 そういう声は多い。
 
 安くて良いものが欲しい。
 
 こういう願いは物づくりをまったく理解していない無知の産物でもあるが、こうした願いの結果は、産業を国外へ移してしまうか、あるいはバイトの大規模な活用、非正規雇用の拡大、子会社化を推進させる。
 
 あるいはそもそも、正社員自身が言ってはならぬことを言ってしまうのである。
 
 例えば、彼ら自身が技術者などに言ってしまうのだ
 
 好きな事をしているのだから給料低くても良いでしょう?
 
 ∧∧
(‥ )これって言い換えると
\‐  正社員の給料は我慢代ですよ
    という自己申告なんだよね
 
  (‥ )間抜けな経営者が
      これを言うのはともかく
      正社員がこれを
      言ってしまうのは
      極めて恐ろしい話でな
 
 僕たち正社員の給料は我慢代です。そう自己申告した以上、より我慢して会社に貢献するのは当然。それは義務だ。
 
 公務員、非正規雇用、技術者、そうやって次々に他人の給料を下げてきた。そうである以上、正社員だけが無傷のわけがない。これらの給料引き下げが完了したからには、次は正社員の番になる。これも当然。だって、そもそもここが一番多いのだから、ここに手を付けないはずがない。むしろここが本丸である。

 
 ∧∧
( ‥)そんな時に出てきた発言
    アーティストは
    残業代がゼロだよ
 
  (‥ )こういう話が出てくるのは
      この局面としては
      当たり前だよね
 
 それに以上で申し述べたように、正社員自らが言ってしまうのだ。あなたたち技術者や自営業者は好きな事をやっているのだから、給料は低くても良いでしょう、と。つまりひるがえれば、自分の給料は我慢代であると。後はそこに労働の尊さと仕事ができる喜びを持ってくれば良い。そうすれば、会社は今の負担のまま、より多くの貢献と奉仕を正社員に要求できる。給料が我慢代である以上、それが当たり前である。この大前提において、残業代は払うべきものではない、とは当然の結論ではないか。
 
 ∧∧
(‥ )というかすでにしてるよね
\‐
 
  (‥ )これは全体的な流れ
      なのだ
      阻止しなければ
      いけないが
      阻止できる理由がない
 
 確かにこれは阻止しなければならぬ。正社員がうんぬんの問題ではない。給料の低下は生活の低下であり、子育てができないことを示す。つまるところこれは、日本人という集団が存続できるか? という問題そのものだ。経営者が会社の存続しか考えないのは当然だが、このままでは、国滅びて会社あり、ということになってしまう。
 
 ∧∧
( ‥)あなたとしては
    そりゃ困りますと
 
  ( ‥)本を作るって
    ‐□ そういうことさ
 
 次世代がいないとすべてが雲散霧消してしまうがゆえ。

 
 とはいえ、しかし、どうすれば良いのか分からない。
 



     

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