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2014年5月17日土曜日

あれは、私のゴーストがささやくのよ、と同じでは?

 
 ソクラテスは電波さん
 
 という評価
 
 ∧∧
( ‥)ダイモーンの声が聞こえる
    とか言うから?
 
  (‥ )あれってさ
      攻殻機動隊の草薙素子が
     ”ゴーストがささやくのよ”
      と言うのと、
      同じ程度の意味だと
      思うのだけどね
 
 ダイモーン:後にデーモン(悪魔)の語源となるが、当時は霊という程度の意味で、ソクラテスの言い様は、なんかぴんと来た、ぐらいな意味じゃね? ということ。日本語でも虫の知らせとか、天啓って言い様があるくらいだから、そんな電波な話じゃないだろう。
 
 ∧∧
(‥ )ソクラテスさんって
\‐   プラトンさんが
     書き残したものと
     クセノフォンさんが
     書き残したものとじゃ
     印象が全然違うよね
 
  (‥ )プラトン版だと
      ソクラテスは
      へ理屈をこねる
      いやみな親父で
      言ってることは正しいが
      恨みを買って
      ぶち殺されて当たり前
      そんな感じかなあ
 
 クセノフォン版だと、ただただ伝統的に重装歩兵にこだわる人々と対照的に、山岳地帯の国境は軽装の歩兵を使うべきだろう、とか、「国家の運営と防衛に必要な経費を、君は具体的に知っているんだよね?」 と問う事で、素質の無い若者から政治家になる野心を取り除くなど、現実的でまっとうな人だよな、という印象。
 
 当時のアテナイ市(都市国家)は直接選挙制であるのみならず、専門職である官僚もいない行政だ。先のソクラテスの言い様は、こんな状況で政治的な野心をもった無邪気な人間が官僚のサポートもなしに行政に直接関わる状況をたしなめたものだ、とも言える。実際、軍事の経験がないこういう政治家がめちゃくちゃなことをするので、それをソクラテスに愚痴っている軍人の話も出てくる。クセノフォン版で見るソクラテスは伝統の祖国を守りつつも、その伝統がもはや破綻しかけていることにも気づいている老人の姿だ。事実、アテナイ市は滅亡へと向かうことになる。
 
 クセノフォン版のソクラテスは、それゆえにこそ、かっこいい。
 
 ∧∧
(‥ )なんでプラトン版だけが
\‐  流行ったのですかね?
 
  (‥ )そもそもプラトンの著作が
      どうして後生大事に
      されたのか?
      どうして”哲学の歴史は
      要約するとプラトンへの
      注釈である”なんて
      言われるほど
      重宝されたのか?
      俺には全然理解できない
      のだけどね
 
 個人的には、数学の先生が教えてくれた無理数の証明を抹殺しただけでも、プラトンは重罪人だと思うので、後の哲学の歴史におけるプラトンの扱いは、まったくもって理解できない。
 
 そして、いつも思うが、電波さんだったのはソクラテスではなく、むしろプラトンや、いや、それ以上にそれを後生大事に珍重した歴代の知識人たちだったのではないか? と疑う。
 
 
 

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