自己紹介

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2012年3月8日木曜日

深淵

 私は正しいことをしました
 
 ∧∧
( ‥)その正しさとやらを論証してください
 
     (‥ )無理だね。あるいは論証しても
         良いけども、それは単なる
         説明の提示だ
 
 ∧∧
( ‥)あなたの言う真理が真理であることを
    証明してください
 
     (‥ )無意味だね。私の言うことは真理で
         あるがゆえに真理。矛盾はないが
         現実について何も語っていない
 
 ∧∧
( ‥)現実を語れず、真理は虚構にすぎず
    論証も説明でしかない。どうします?
 
     ( ‥)これを食べたが死ななかった、
       -゜ せいぜいそう言うのが関の山かな
 
 ∧∧
( ‥)それでは説明としては不十分でしょう?
 
     (‥ )いついつこれなるものを
         このような私がこれこれな
         状況でそれなそれを食べた
         そこまで説明しないと
         不十分すぎるよね
 
 もしかしたら、それは成熟前のもので、成熟すると有毒なものかもしれない。あるいはそれは普通の食料だが、本来ならあと少しで腐っていたのかもしれない。あるいは自分が特別なのかもしれないし、そもそも食べたと勘違いしていたということさえありうる。
 
 ∧∧
(‥ )ライターというのはお客に
\-   知らなかった情報を、新しい驚きを
     与えるものだといいます
 
     (‥ )まあそうだろうな、だがこうかも
         しれない
 
 あなたの何不自由のない理解の底には得体の知れないものがあって、誰もその正しさを論証してみせた人はいません。あなたが得意気に信じている知識体系は、実は砂上の楼閣です。
 
 ∧∧
( ‥)脅して売る?
 
     (‥ )いやあ、売るものなんかない。
         心の隙間を埋めるために売る
         というのは、「これはあなたの
         心の隙間を埋めるものです」と
         最小限、そうアピールできる
         ものがある時だけだ。
 
 砂上の楼閣の下を埋めるもの。
 
 そんなものありはしない。せいぜいいいとこ、嘘と、確信とかいうたわ言だけしかない。
 
 嘘が欲しいか? たわ言が欲しいか? 確信という信仰を抱いて死ぬか? そんなものなら二束三文で叩き売りされているから買えば良い。よりどりみどりで見た目は実にきれいだ。なんといっても嘘っぱちだからなあ。
 
 しかし、そんなものを買っても売っても、どこまでいっても足下は埋まらない。能天気であれば正しさを確信できるが、いついかなる時でも僕らの歩く板っきれの下には深淵が口を開けている。そればっかりは変わらない。よく見てみたまえ、足下を。堅固な見た目を剥いでみよ、そんなものは薄っぺらのぺらぺらで、すぐ下は真っ暗の底なしだ。
 
 ∧∧
( ‥)恐怖を煽って安心を売るのは
    商売です。
 
    (‥ )恐怖を煽ってそのまま死ねという
        これもまた商売だ。
 
 
 我ら砂上の楼閣を歩き、それに気づいて深淵を見ても広がるは虚無ばかり。この下にまで根を下ろし、堅牢な土台を築こうとした人は皆、敗北し、いまだ闇は闇、虚無は虚無、そして空虚は空虚のままである。目をそらすな、見ろ、知れ。自分の知識も理解もぼろっぼろのがたがただったことが分かるから。
 
 
 

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