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2015年3月3日火曜日

文章を書くとは後付けの嘘つき

 
 ∧∧
( ‥)例えばの話
 
  ( ‥)そうねえ
    ‐□ 例えばこんなことが
      昔あったな
 
 小学生の時、国語の教科書にこんな話が乗っていた。南北戦争を題材にした話で、父子が敵味方に分かれる。偵察に来た父親を息子が狙撃して殺す。そういう話である。息子は父親を見てぎょっとする。そして最初は見逃そうとするが、味方の部隊を父親が見てしまうのである。歩哨である息子は父を撃たざるをえない。そして撃った。
 
 この物語を読んだ後、先生は皆に尋ねた。息子は父親を撃つべきであったか? これはしょうがないことであるか?
 
 ∧∧
( ‥)あなたは、止む無し
    そう答えて
    理由を述べた
 
  (‥ )見逃すのは怠慢だが
      黙っていれば分からない
      だが
      味方が目撃された以上
      父親だろうがなんだろうが
      射殺しなければ駄目だ
      味方が死ぬ
 
 
 この答えに先生は言ったのである。君はどうしてそういう悲しいことを言うんだ?
 
 さて、以前、インタビューを受けた時、この話を相手にしたことがある。
 
 相手はそれをそのまま書いた。
 
 問題ない。
 
 だが相手は多忙だったので、原稿の仕上げはライターがすることになった。
 
 この話をライター相手にもう一度した。
 
 ∧∧
(‥ )でも出来上がった本を見たら
\‐   先生の嘆きの台詞が
     どういうわけか
     あなたの台詞になっていた
 
  (‥ )なんでライターって奴は
      こういうことを
      するんだい?
 
 なんらかの理由でそう改変するのが良い。彼女はそう思ったのかもしれぬ。
 
 ∧∧
( ‥)でもそれって
    嘘を書くことだよね
 
  (‥ )あるいはこうかもしれぬ
 
 彼女は、頭の中で物語を作った。そしてそれに沿うようにすべてを書き換えた。彼女は話の内容や主旨を理解したつもりだが、なにもかも間違っていた。
 
 彼女にとって理解とは物語のことであり、彼女自身が作った思い込みでしかなかった。
 
 そして理解とは、自分の思いつきを後付けで説明することである。
 
 そうであれば、このような曲解や改変は普通に起こるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でも間違っていた
\‐  いやむしろ
    だからこそ間違っていた
    そう言うべきですかね
 
  (‥ )文章を書くという作業はね
      思いつきに
      後付けしただけの
      インチキでしかないんだよ
  
 思いつきを後付けでもっともらしく見せる詐欺師的な才能。それがライターの必要条件だとも言える。
 
 あるいはこうかもしれぬ。ライターに必要なのは、この人はこういうことを言っているに違いない! そういう主観的な曲解を理路整然と文章化する能力のことであると。
      
 
 そういうわけで、個人的にはライターという肩書きはあまり使いたくない。
 
 ∧∧
( ‥)でもイラストレーターも
    相当胡散臭いけどね
 
  (‥ )胡散臭い方が良いぜ
      変に真面目に
      思われると困るからな
 
 ライターは無自覚で主観的な嘘つきでしかないくせに、なにかこう、言葉で真実を伝えようとする、そういういかがわしさがある。それはもっともらしく高値をつけている株券のようなもので、実際には根拠の無い紙切れだ。
 
 それだったら最初から怪し気なものの方が良心的だろう。
 
 
 

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