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2015年9月6日日曜日

荒野のサンドッグ

 
 キャプテン・フューチャーに登場する水星の原住生物サンドッグ。
 
 
 ∧∧
(‥ )当時、太陽にずっと
\‐  同じ面を向けていると
    考えられていた水星の
    昼半球側にすむと設定された
    硅素生物
 
  (‥ )岩石を食べる動物なのに
      サンドッグ
      つまり太陽犬とは
      これいかに?
 
 つまりこの話の続きである=>hilihiliのhilihili: SFと宇宙生物は合理的であり、それが問題
 
 サンドッグは太陽から直接代謝エネルギーを手に入れている。岩石を食べるのは、成長や自己複製、新陳代謝で必要な元素を補給するためなんだろう。そう解釈できる。
 
 ∧∧
(‥ )...太陽光から代謝エネルギーを
\‐  手に入れる
    水星が受け取る
    太陽エネルギーは
    地球の7倍はあるから
    重力が低い事
    ずーっと太陽が出ていること
    体温は楽観的に考えて
    太陽熱に依存すれば良いこと
    つまり省エネになること
    以上を考慮すれば
    手に入れられるエネルギーは
    変換効率のせいで必ず
    下がるにしても
    まあ生存は可能ですかねえ
 
  (‥ )サンドッグの代謝は
      地球の植物と
      少し似ているな
      植物自体は酸素呼吸するから
      まったく同じではないけども
      例えることはできるね
 
 それを考えると、サンドッグは事実上、植物だとも言える。ただし、必要な元素を手に入れるために移動能力を持っている。

 あるいは、動かない岩石を動かない植物に例えるのなら、元素を求めて歩き回り、探し当てた鉱石を食べるサンドッグは草食動物だとも言える。

 だがしかし、サンドッグとはつまり太陽犬。岩を食う動物が肉食獣とはこれいかに?
 
 ∧∧
( ‥)そこで提案
    サンドッグは
    サバンナをゆくヌーのような
    動物なのだが
    一見すると形が
    イヌっぽく見える説
 
 
  ( ‥)それはいいけどさ
    ‐/ 原作を読むと
       牙で岩石を砕くと
       書いてあるのだよな
 
 牙で岩石を砕く。多分、削岩機や岩石ハンマーからの類推かもしれない。
 
 ∧∧
(‥ )固い岩石を砕く時
\‐  力を一点に集中させて
    砕く形だからね
 
  (‥ )でもさ牙はねえよな
      折れちゃうよね
 
 この辺りは多分、肉食獣と犬歯に対する一般的な誤解であるように思われる。
 
 例えば、カバが絶滅して化石だけが見つかったら、立派な牙があるからカバは肉食獣だと思われるだろう、という俗説がある。
 
 これは専門家をなめすぎだ。カバの奥歯を見たら、植物をすりつぶすことに適合したものだと分かるし、そもそもカバの奥歯は顕著に摩耗している。肉食動物ではこんなことにはならない。
 
 あるいはこういう考えもある。ドラキュラのように長い牙を口につけるとものがうまく食べられない。牙の長いサーベルタイガーも、物が食べにくくなって絶滅したのだろう。
 
 これも間違いだ。ネコの仲間は物を食べる時に奥歯を使う。餌を食う彼らはしかめっつらをしている。前歯で食うならあんな顔にはならない。
 
 実は私たち人間もそうである。例えばアイスのあずきバーを食べる時、私たちは前歯や犬歯であずきバーをかじるだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)そんなことをしたら
    歯が折れちゃうでしょ
 
  (‥ )少なくとも俺は
     あずきバーは奥歯で
     噛むのだけどな
     だから顔はしかめっ面だ
     サーベルタイガーは
     牙が長いからうまくものを
     食べられないと考えた人は
     前歯や犬歯であずきバーを
     かじるのか?
 
 *人間があずきバーをかじる時に奥歯で噛むのはあずきバーが固いから。一方、ネコたちは肉を食うが、肉を切断する歯は奥歯だ。奥歯でないと肉は切れない。だからネコたちは奥歯でものをかじる。奥歯でかじるのなら、犬歯の長さは関係ない。
 
 ともあれ、以上の誤解から、一般的に次のように考えられていることが分かるだろう。
 
 動物は鋭い犬歯でものを刻んだり砕いたりして食べている。
 
 もちろん、これは間違いなのだが、一般的にはそう思われているってことだ。
 
 ∧∧
(‥ )だからサンドッグも牙で
\‐  岩石を砕くのだと
 
  (‥ )奥歯に円錐状の構造が
      あって
      それが力を集中させ
      固い物を砕くことは
      あるんだ
      だけど
      牙では砕かないよね
 
 牙は相手を仕留めたり、倒すことに使われる。カバに牙があるからといって、カバが肉食動物にならないのはそのためだ。仕留める=肉食、ではない。

 裏を返せば、カバが化石だけなら肉食獣だと思われるだろう、そういう安易な誤解が広まるのは、一般の人は、牙は食物を加工することに使われる、そう思っているからだろう。
 
 ∧∧
( ‥)そして多分
    これと同じ勘違いから
    サンドッグは牙で
    岩石を砕くと
    設定されたのだろう
 
  (‥ )おそらくそうだろうな
 
 多分、本当のサンドッグはネズミのような前歯を持つのではなかろうか? つまり頑強な門歯でがりがり岩石を削り、奥歯でさらに粉砕してから呑み込むのかもしれない。この場合は、作中で描写された牙を門歯だと解釈することになる。

 あるいは、サンドッグはブダイのような顔をしているかもしれない。

=>https://www.google.co.jp/search?q=ブダイ&biw=1025&bih=739&site=webhp&source=lnms&tbm=isch&sa=X&sqi=2&ved=0CAYQ_AUoAWoVChMIz5eSlZ7gxwIVhtumCh…
 
 ∧∧
(‥ )ブダイはサンゴを前歯で
\‐  がりがりするからね
    しかも奥歯というか
    咽頭の歯も持っている
    サンドッグは硅素生物だから
    歯はもっと頑丈かも
 
  (‥ )ヌーのような生態なのに
      見た目はイヌのようで
      でも顔の特徴は
      ネズミかブダイみたいで
      太陽光発電のパネルを
      背中に背負っている
      それがサンドッグかな
 
 とはいえ、小説の描写からすると、サンドッグは凶暴で、なおかつ角もあるらしい。
 
 ∧∧
(‥ )原文を見ていないから
\‐  角が複数形なのか
    単数系なのか分かりませんが
    一角獣みたいな動物なの
    ですかねえ?
 
  (‥ )普通にイラストにすれば
      一角獣みたいに角が生えた
      凶暴な狼のような姿に
      描くべきなんだろうけど
      鉱石を牙で砕いて
      食べるとか聞くと
      おいちょっと待てよと
      思ってしまうよ
 
 狼が口の前で岩石をばりばり砕く。それは想像するとなんとも違和感のある光景である。狼が岩を食べるからではない、動作がおかしいのだ。映像化した場合、これはちょっとつまづいてしまうところだ。
 
 ∧∧
(‥ )小説の描写って
\‐  えてしてそういうところが
    ありますよね
    文字で読むと流せるけど
    絵にして考えると
    ちょっとまってくれと
    なってしまうところ
 
  (‥ )物語を映像化すると
      どうしても
      改変せざるをえないって
      こういうことなんだろうな
 
 
 
 *もちろん、皆がみな、こういうことが気になるわけではないだろう。

 とは言え力学とかそういう制約を無視した結果、ええ? となってしまう場面はしばしばある。例えば等速運動している弾むボール。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、CGがアニメに
    導入され始めた昔に
    ありましたね
    ゴールにバスケットボールを
    投げ入れた後
    体育館の床に落ちて
    弾むボールが等速運動している
    場面ね
 
  (‥ )等速運動している弾むボール
      そう言うと
      物理法則とかいちいち
      うるさいと言う人も
      いるだろうが
      映像にされて目で見ると
      あれれ? 何か変??
      と感じるものなのよ
 
 人間は弾むボールの動きを理解してはいないが、常日頃見ている。だから、等速運動されると、どこがおかしいのか分からなくても違和感を持つのだ。等速運動で弾むバスケットボールとは、なんとも奇怪なものであった。。

弾むボールの動きとは、例えばこういう感じが望ましかろう=>https://www.google.co.jp/search?q=bouncing+ball&biw=1025&bih=739&site=webhp&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0CAYQ_AUoAWoVChMI78bKg6XgxwIVJCCm…
    


      
  
 

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