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2012年7月5日木曜日

官僚のいない、夢の夏休み



 「世の中はおかしい!! マスコミ、政治家、官僚、科学者、文化人、もう彼らにはまかせておけない、信用できない。まことの真理を自分たちの手で作り出そう!!」と言う人たちは、あちらこちらにいる。


  ( ‥)でも結局さー、この手の
    –□ ことを吹聴する人って
       落ちこぼれなんだよね

 ∧∧
( ‥)はあ

 自分で調べる、考える、ではまったく話にならなくて、自分で調べてなおかつ妥当解に辿り着かなくてはいけないし、それを確認できなければいけない。正しいと思っているだけでは、正しいかどうかは分からない。

 ∧∧
( ‥)まあ、答え合わせをきちんと
    できるかどうか、ですね

  ( ‥)夏休みの宿題もだ
    –□ 自分で解いても間違って
       いたら意味ないわけよ

 悲しいかな、社会に出ると答え合わせがないので、有頂天に勘違いするおっさん、おばさんがいる。あるいはこれまでの人生経験とやらを過大視して頭がいかれるのかもしれない。

 ∧∧
(‥ )でも、人生経験って局地解
 □–  でしかないんですよね

  (‥ )A社のB部門でうまくいった
      経験は、B部門だけでしか
      通用しないってことがある

 だけど勘違いするのだ。なんたって自分の知る限りの世界、ここではB部門という世界、ではすべてがうまくいっている、いたわけだから。

 ∧∧
( ‥)で、落ちこぼれだと

  ( ‥)マスコミとかはどうだか
      知らんが、優秀な奴は官僚や
      学者になるからね
      そうでないのは負けたし
      学生の段階でふるい落とされた
      わけなのさね

 そしてふと思い出す

 ∧∧
( ‥)ローマって共和制時代も
    帝政初期も官僚と言える
    組織がなかったのですよね

  (‥ )ちょっと信じがたい話
      だけどもね

 後に正式な官僚制度が出来るまで、教養のある解放奴隷とか皇帝の私設顧問団が事務を受け持ったのだそうな。

 ∧∧
(‥ )都市行政とかは都市の
\–   支配者に丸投げするにしても
    それであの巨大国家を統治する
    なんて無茶ですよね

  (‥ )だから官僚がじょじょに
      発達していったのだろう
      けど

 ∧∧
(‥ )でも、反対に官僚制度のせいで
 □–  国が滅びたのだ、と主張する
     人もいるのです

 (‥ )どうなんだろうなあ?
     共和制時代、属州に派遣された
     元老院の総督は搾取三昧で
     帝国時代には皇帝の解放奴隷が
     搾取三昧だったと聞くと
     無法なことをするのはどっちも
     同じじゃね? と思えるけどな

 それにしても、官僚の大軍で国が食いつぶされる、というのはどう考えてよいものか。

 税金をとられる側である一般人はいつでも文句を言うだろうから、この手の愚痴をあまり真に受ける必要はないのかもしれない。しかし反対に、農業の生産効率が今より悪い時代では、余剰が少ないだけに、統治と防衛のためのちょっとした負担増が深刻な影響を与えるのかもしれない。外敵が強力になれば軍隊そのものではなく、軍隊の維持にかかる経費を捻出する業務だけでもどえらいことになるのかもしれぬ。

 *実際、ローマ軍の組織と技術を手にしたゲルマン人と、新興の帝国、騎兵を主力とするササン朝ペルシャは以前の外敵より、はるかに強かったらしい。

 ∧∧
( ‥)税収を上げるって、きめの
    細かい事務作業や業務が
    必要になりますからね。
    人員も人件費も
    かかるでしょうし

( ‥)でっ、最初に上げたような
  –□ 連中のナイーブな主張に
     話が戻るわけなんだがな

 ∧∧
( ‥)愚痴をまじめに聞きますか?
    聞きませんか?

  (‥ )おちこぼれが上を仰ぎ見て
      悔しげにこぼした愚痴を
      真に受ける必要、あると
      思う?
 
 あるいはそれは現実を説明する公式になっているだろうか?

 ∧∧
( ‥)言い換えると、必要なのは

  ( ‥)官僚制の発展と経費、業務
    –□ 帝国の経済と負担を
      文献をもって調べなさい
      整合性を判定しなさい
      そういうことだな
      夏休みの宿題って
      そういうものだろ?

 最低限あれだ、官僚制の発達、帝国の衰亡、これら2つの現象が同時に起きたから原因と結果である、それも前者が原因で後者が結果だ、などと、そんなナイーブな断定で満足するわけにはいかない。それは調べたとは言わないよね。




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