( ‥)これ、どう描けばいいんだろうな・・・
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∧∧
( ‥)どうしたもんでしょうねえ?
さて
メキシコにあるチチュルブ・クレーター。恐竜絶滅を引き起こした白亜紀ー第三紀境界で落下した隕石によって形成された200kmサイズの巨大なクレーター。
このクレーターが恐竜絶滅、ひいては白亜紀の終わりを引き起こした隕石によるもので間違いないでしょ? という論文はもうすでに出たわけだけども。
しかしながら、
∧∧
( ‥)あのクレーターは白亜紀最後、KT境界の30万年前に
出来たって説は、結構まだ信じている人もいるみたいですね。
(‥ )あれを信じる人って真面目に考えると不思議だよな。
*白亜紀ー第三紀の境界(KT境界)の特徴的な堆積物を作ったのはチチュルブだ、ではなく、チチュルブはKT境界より30万年前に出来た、という異説のこと。
30万年、30万年ねえ。地質学的にはあっという間の出来事だけども、地質学的に識別できるタイムスケールでもある。
例えばものっすごい堆積速度が遅い深海で考えても1000年で1ミリは堆積する。すると1万年で10ミリ、つまり1センチ、10万年で10センチ、30万年あれば・・・・
∧∧
( ‥)30センチの堆積物が間にあることになりますね。
(‥ )隕石衝突だろうが、なんだろうが2回のイベントの間に
30万年のずれがあれば、地層の中で30センチ以上
離れて見えるわけだ。
ようするに”KT境界しか見えない”、なんてことはない。
もし、2回のイベントがあった、そしてその間隔は30万年であったというのなら、地質学者は確実に識別できるよねえ。堆積物が乱れている場所もあるだろうけども、そうでない場所だってあるだろうし、堆積速度がもっと速い場所だってあるわけだから。
∧∧
( ‥)だから実際に30万年もずれがあったら
(‥ )とっくの昔に誰かがさっさと気がついて、
すでに一般常識になっているはずなんだよな。
逆にいうと、新しい新知識!! 実は30万年ずれていた!! ってセンセーショナルなニュースになるわけがない。たぶん、チチュルブが見つかる前に、あれ? イベント2回あったんじゃね? これどういうこと?、という案配になっていたはず。
逆にいうとこうなる。「チチュルブ・クレーターはKT境界の30万年前に出来た」という説を信ずる人は、地質学者がそろいもそろってどういうわけか、そういう明らかな出来事を見逃してきた、ということを前提にしている。そういうことになる。
∧∧
( ‥)まあそうでしょうねえ。
(‥ )でもな、こういう時はさ、まずは落ち着いて考えるんだ。
みんながみんな、地質学的な記録が相当そろっている状況下で、そろいもそろってほとんど全員が見逃していました、なーんて、そんなうまい話がそうそうあると思うかい?
∧∧
( ‥)そうではなくて
( ‥)自分が飛びついた仮説が実はトンチンカン
である可能性を考えた方が
いいんじゃないだろうか?
例えばだ、なんで30万年前という話が”クレーター周辺の調査だけ”から導きだされているんだと思う? おかしいと思わないかい? クレーターが形成される時、何が起きるだろう? それを考えたことはないかい? では、考えてみたらどうなると思う?
だから落ち着いて考えてみよう。なるほど、定説が正しいとは限らない。しかし異説が正しいとはもっとはるかに限らない。
定説となった仮説は、大概の場合、仮説自体がテストに対して頑健であったということなんだろう(さもなきゃ定説とは言わない)
それでもそれを疑うとしたら、それは、好意的に考えれば慎重な人だと言えるだろう。
しかしでは、飛びついた異説はテストに対して頑健か?
飛びついた異説の頑健さはちゃんと確認しただろうか?
定説に対して慎重であったほどに、異説に対しても慎重であったろうか?
よもやと思うが、慎重であったのではなく、適当に異説を選んだだけではあるまいな?
∧∧
( ‥)実際のところ30万年前説は・・・・
(‥ )頑健であるとはとても言えないね。
というかあれをデータから導くのは無理だ。あの説を信じている人は論文を読んでいないと思う。
∧∧
( ‥)まあ、読んで支持している人もいるかも、
ですけどね。
( ‥)読んで支持すると言うのなら、その理由を
ぜひとも聞かせて欲しいね。
定説を疑うのは科学としては一見すると健全だけども、異説を疑わないとなると、それは不健全を越えている。
そして定説が間違っているとした場合、その間違いが前提としていることはなんだろうか?
そしてそれは現実的にありうる前提だろうか?