∧∧
( ‥)いよいよ状況が切羽詰まってきましたよ
( ‥)分かった。なんとかする。
-□
さて
なんと言えば良いのか、、、たれ込みがあった、とでも言えばいいの?
( ‥)先日のこのblogでの書き込み→*、つまりKT境界の
-/ 30万年前に隕石が衝突(つまり30万年の間に
隕石衝突とKT境界の生成という2つのイベントが
発生)した場合、それは地層で識別できるでしょ?
と書いたところ、こんな反応が観測されたそうだ
∧∧
( ‥)?
曰く、
”クレーターの形成と比べてKT境界は遥かに長い時間幅を持った事象(30万年以上あるのかも)だと思うので、両者の間に30cmの堆積物があるはずという考えはなんか違う気もする”
という異論。
遥かに長い時間幅・・・・
∧∧
( ‥)おう、これは・・・・
(‥ )興味深い。
それ、かつて一番真っ先に棄却されたネタじゃないすかね?
∧∧
( ‥)そもそもアルバレスさんたちの最初の動機は・・・
(‥ )イタリア、グッビオにある石灰岩の地層、そこにある
白亜紀と第三紀の境界で見られる約1センチの粘土層。
その堆積速度を計ることにありました。
グッビオのKT境界は古磁気層序学で区別できるある一つの磁極期間に入っていた。
∧∧
( ‥)その磁極期間に堆積した地層は6メートル
(‥ )期間は50万年ぐらい。
*文献によってはもう少し長い75万という数値も
でてくる。
上下の石灰岩には5パーセントの粘土が混ざっている。他は生物由来の石灰質。一方、KT境界の粘土層には50パーセントの粘土が混ざっている。
∧∧
( ‥)もし、何らかの理由で生物由来の石灰質が堆積しなかったら
粘土が主体になって粘土層ができるだろう。
(‥ )あるいは急激に粘土が堆積したのかもしれない。
KT境界が出来る年代が磁極期間の数十万年以下であったことは確実だけども、もっと正確に測定したい。粘土層の堆積速度を見積もる方法はないだろうか? (*KT境界と残りの部分の比率から普通に考えると、KT境界の堆積にかかった年数は数十万年の600分の1程度のはずだが粘土と石灰の割合やそれぞれの堆積速度が違うだろうことを考えると、もう少し詳しい年代推定が欲しいの意味)
∧∧
( ‥)そこで考えたのがイリジウムの濃度を
計る方法。
(‥ )イリジウムは宇宙由来で一定量が地球に降り注ぐから
それが時間の尺度になってくれるのでは?
地球由来の粘土が急激に堆積したのなら一定量で堆積するイリジウムの量は粘土に対して減るだろう。反対に何らかの理由で石灰が堆積せずに、主に粘土がゆっくりと堆積したのなら、イリジウムの量は増えるだろう。理屈としてはだいたいこんな感じ。
でっ、計測したら
∧∧
( ‥)KT境界だけから冗談みたいな量が出てきましたと。
(‥ )じゃあ粘土がゆっくり堆積して長大な時間がすぎたと
考えるべきなのか? というとさにあらず、
そのイリジウムの量。残りの磁極期間に堆積した
堆積物に含まれるすべてのイリジウムに匹敵。
ここでアルバレスさんたちはイリジウムで堆積速度を測定することをあきらめざるをえなかった。
∧∧
( ‥)そりゃあそうでしょうね。
(‥ )粘土がいくらゆっくり堆積したとしても1センチの堆積時間が、
上下残りの599cmあまりの堆積の時間に匹敵するなんて、
いくらなんでもおかしいからな。これは物差しに使えない
異常な値だったんだよね。
(粘土の含有率を考えてみればさらにおかしい)
↑*生物擾乱とか、堆積したイリジウムがやや分散するとか、そういうことをはしょった、単純化された話かもしれないけども概略はこんな感じですよね。
まあ、あれだ、言い方を変えれば同じ場所の粘土の堆積速度がいきなり急減して、長大な時間が過ぎているのに見た目は非常に薄くしか堆積せず、しかもその間に生物由来の石灰質が堆積することもなく、その後、ふたたび粘土も石灰質も堆積速度が跳ね上がって元の状態に何事もなく戻る、という説明を彼らは採用しなかった、ということ。
*もし、これに異論があるのであれば、それを可能ならしめる仕組みを考えよ、ということでもある。しかし最節約に考えることに関しては以下→*
∧∧
( ‥)ようするに、
(‥ )KT境界がずぬけて長い時間幅をとった事象であるという
仮説をこの時すでに彼らは棄却した、ということだね。
KT境界では長大な時間が失われている、と考えた人もいた。地層A、B、Cが形成されるべきところを、AとCしかできなかったり、あるいはなんらかの理由でBが消滅した場合、長大な時間が失われていて、地層AとCの間に急激な変動が起きたように見える。こういうことはごく普通に見られることだから。
∧∧
( ‥)だけどそれも棄却されたと。
(‥ )そりゃあね、もしそうなら堆積速度が急変すると
考える必要はないから、イリジウムの異常な濃集が
結局は説明できない。
というわけで、ここから出てきた仮説が10キロあまりの隕石が地球に衝突したという仮説。
∧∧
( ‥)逆にいうと
( ‥)KT境界ははるかに長い時間幅を持った事象、という仮説は
30年前にすでにぽしゃっているんよね。
そのネタ、もうやりました。
*詳しくは「白亜紀に夜がくる」とか参考にしてくださいな。ちなみに素人が思いつくような異論は全部出てくる(例:KTのイリジウムは天体由来ではなく、何らかの理由で海から異常に濃集しただけだ)
後、英語の文献を探すのもよかです(頭が痛くなるけども)。
∧∧
( ‥)もちろん、ぽしゃった仮説が復活することも
ありえますよね?
(‥ )そりゃあね。
昔、子供の頃、こんな話をどこかで読んだ。氷河が増加すると地球から反射される太陽光線が増える。すると地球が寒冷化する。すると氷河が増える。すると反射率が上がるので地球が寒冷化する、すると氷河が増えるから・・・・
∧∧
( ‥)最終的には地球全体が凍結状態に
陥ると
(‥ )だがもし、一度でもそうなったら地球は凍り付いたままだろう
だから実際にはこういうことはなかった。
そういう理屈だったよな。
ふーんそうなんだ、と思って流したですよ。
しかし、地球が凍り付いてもおかしくない時期は過去にあったから、では、なぜ凍ったことがなかったのだろう? という疑問を呈した人がいることはいたらしい。だけど、それもずっと忘れていた。
∧∧
( ‥)でも、全地球が凍結状態になりうるという仮説は
スノーボールアース仮説として復活しましたよね。
(‥ )あれは全球凍結状態を打ち破って、地球を
再び温める方法に気がついたから復活したんだよな。
頭いいよなあ。子供の頃の話を思い出すとは、
生きているとはこういうことかね。
復活は問題点をまずはクリアしたから。さらにスノーボールアース仮説は珍妙な地層の有り様と過去の赤道で見つかった氷河の痕跡をも説明できるという”売り”があったから注目をあびたのであって。
∧∧
( ‥)一度ぽしゃった仮説を復活させるには。
(‥ )欠点を克服し、さらに既存の仮説では説明できない
事象をも説明できるようでないといかん、
そういうことだね。
さて、では”KT境界が数十万年に渡る事象である”というかつてぽしゃった仮説を復活させるにはどうすればいいだろう?
∧∧
( ‥)深海、浅海、淡水域、全世界が白亜紀の末期に一律に
堆積速度が極端に低下し、
(‥ )しかもその後、一気に元に戻る、という
重大な問題点を克服でき、なおかつ現状の仮説では
説明できない事象を説明できないといかん。
というか事態はいまやそんなに簡単じゃあない。全世界に分布するKT境界の厚みはクレーターの距離に対応した勾配を持っている。説明すべき事象は、”説明すべき事象は長い時間が、、、”ですむようなそんな単純なものではもはやない。
つまるところ放棄された旧式を復活させるにしては、あまりにも工夫が足りない。
そして既存の仮説で充分に説明できている時点で、誰も旧式を採用しないだろう。
さながら、現状の医療で充分なのでホメオパシーなんぞに頼らないのと同様。