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2014年9月17日水曜日

すでに挫折が確定している

 
 例えば、日本に定住している外国人がいるとする。その人が子供の頃からいるのか、あるいは大人になってから来たのかはどうでも良いし、その人の母国がアメリカ合衆国なのか赤道ギニアなのかも、ここでは問わないものとする。
 
 でっ、その人がえんえんと祖国を悪く言っているとする。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはその人を
    どう思うか?
 
  (‥ )病んでるな
 
 
 これは外国人だからとか、そういう問題ではない。人としての問題だ。
 
 もし母国がひどい状態なら、惨状だけを言えば良い。それは悪口ではないし、悪口になるはずがない。
 
 もし母国に問題があるのなら、ここをなんとかしたいのだけどな、そう具体的に言えば良い。計画があればなお良い。
 
 実際、母国を嘆くのなら、その内容が悪口になるわけがない。内乱が止まらないんだよ、そう言えば良いだけの話。
 
 ∧∧
(‥ )でもいずれでもない
\‐
  
  (‥ )彼が病んでしまった
      原因はなんだろうね?
 
 ひょっとしたら、日本の社会が大きな同調圧力を彼にかけているのだろうか?
 
 彼は同化したいあまりに、母国を悪く言って、私はもう身も心も日本人ですよアピールをしているのだろうか?
 
 ∧∧
(‥ )でも、そうしない人も
\‐  大勢いるんですよ
    あるいは
    私は日本人の仲間である
    親しい友人である
    そうアピールするにしても
    ここまでではない
   
 
  (‥ )だとしたらこれはもう
      彼の問題なんだよな
      彼の性格に何か
      あるのだよ
 
 確かに彼は日本の問題点も指摘する。しかし、それは指摘するだけだ。母国の悪口とはまるで違うし、表現も言葉に投資する時間もエネルギーもまったく比べ物にならない。
 
 つまり、これはもう正常な判断や検討ではない。彼本人の、心の問題だ。
 
 ∧∧
( ‥)あなたは彼を信用します?
 
  ( ‥)信用できるわけが無いだろ
    ‐□
 
 確かに、自分の所属集団のためだけに働く異邦人は、現地人から裏切り者と見なされる。現地に溶け込むことは是非とも必要だ。
 
 だがしかし、自分の所属集団をあしざまに言い続ける人間は、やはり信用できぬ。
 
 自分の家庭と親と兄弟の悪口を延々と言い続ける人間を、周囲は果たしてなんと見るか? それを考えれば明白だ。彼は大事なものを裏切るだろう。今のみせかけの忠誠はいつかぼろを見せるだろう。そう見られるだろう。
 
 悪口を言う人間は、裏でどんなことを言っているか分かったものじゃない。愚痴にも悪口にも標準というものがあり。許容と常識を越えると、周囲の人間は警戒し始める。
 
 というか、こっちに対する期待が重いのだ。別れた彼や彼女の愚痴を新しい恋人に延々と語る人間は、どう思われるか。悪口を聞いていて、俺は/私は、前の彼/彼女よりも素晴らしいのだ、そう有頂天になる人間もいるだろうが、普通はそうではない。
 
 こういう人は、重い。
 
 ∧∧
(‥ )でっ、この仮想的な話は
\‐  別に日本に来た外国人に
    限った話ではない
 
  (‥ )外国へ行った
      日本人の中にも
      これに陥る奴がいる
      現地の同調圧力も
      あるだろうけど
      むしろ
      個人の資質の問題だよな
 
 ∧∧
( ‥)なにゆえか?
 
  ( ‥)批判とは言葉でしかない
    ‐□ それはただの理屈だ
      理屈だけで実行がない
      それはつまり
      現実を操作することに
      失敗して
      自分の考えた理想郷と
      自分の言葉に逃げたと
      考えるべきだろうね
 
 
 自分が思っているように自分の人生が進まない。それは、現実を操作することに失敗したことを示す。
 
 しかし、それでも現実を批判する。それはつまり、実力も無いままに失敗した人間が責任を社会に押しつけているだけだ。
 
 ∧∧
( ‥)そしてここではないどこかが
    自分の理想郷だと信じて
    逃げ出したのだと?
 
  (‥ )逃げたかどうかは
      結果次第だとも言える
      勝てば人生の官軍に
      なれるから
      いくらでも言い訳できる
      勝った後なら、
      俺は逃げたんだよ
      そういう自嘲も様になる
 
 だがしかし、忘れてはいけないのだ。これはあくまでも勝った後で出来る話だ。
 
 現実を操作できなかったとは、自分が考えたモデルが正しくなかったということである。そうであるのに社会を批判するとは、自分の考えたモデルを是正していないということだ。
 
 そして是正無きままに、”この場所こそ俺の信じる理想郷だ”、と判断する。これは致命的だろう。要するに、結果はほぼ確定している。
 
 そんな夢の先には、失望しかない。
 
 ∧∧
(‥ )失望しかないなら
\‐  どうするべきでしょうね
 
  (‥ )悪口を言い続けるしか
      なかろうなあ
      社会が悪いと
      批判し続けるしか
      ないよね
      でだ
      事実として
      言い続けている
      わけなのだよ
 
 つまり、結果は確定したのである。
 
 

 
 

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