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2015年11月9日月曜日

高さ3メートル 階段付きエベレスト

 
 高さ8848メートル。素人がエベレストの頂上に登るのは無理だ。
 
 だからそれを縮めて885メートルにする。
 
 ∧∧
(‥ )分かりやすくするって
\‐  こういうことなんだよね
 
  (‥ )もはや別物だ
 
 だが、885メートルでも登るのは難儀である。

 オリジナルのエベレスト登頂は、いわば研究者の所行だ。
 
 それに比べたら885メートルは児戯にも等しい。だが、885メートルを見せられて、そこに自分からひょこひょこ登っていく人間は実はかなり出来る方だ。このあたりがいわゆる大学生以上の教科書レベルであろうか。
 
 ∧∧
( ‥)だから89メートルにしたぞ
  ‐∧
 
  (‥ )これだと
      一般の専門書かなあ
 
 
 もちろん、89メートルなど単なる遊びであろう。
 
 だが、金の流れが変わった昨今、89メートルも難儀である。考えてみれば89メートルの坂を自分の足でわざわざ登る人間はほとんどいない、皆、自動車を、つまり石油の化学エネルギーを利用して登るのだ。

 困ったことに本を読むにあたって石油の助けを借りることはできない。全員、自力で登らないといけない。
 
 つまり89メートルの本では駄目だ。山頂に裸のお姉ちゃんとビール飲み放題の展望台があるというのならともかく、89メートルの勾配を自主的に登る人間はそうそういない。そんな山を好き好んで登るような希有な客を当てにするわけにはいかない。
 
 ∧∧
(‥ )8.9メートルでも
\‐  まだ高いかもね
 
  (‥ )8.9メートルだと
      子供向けで図書館納品だね
 
 この高さになると大人もようやく簡単に登れるようになる。もちろん、大人は物足りないとか言い出すが、これは馬鹿が口にする言葉なので無視して良い。
 
 *腕立て伏せ5回が物足りなかった時、それを口に出す必要など無い。単に自分で20回すれば良いだけの話である。物足りないと口にすること、それ自体がそいつの限界を示しておる。
 
 ∧∧
(‥ )つまり8.9メートルが
\‐  大人が登れる限界ってことだね
 
  (‥ )子供向けではあるが
      大人の限界もここになる
      なぜなら大人は子供の
      延長線だからな
      子供の限界は
      大人の限界でもある
 
 そもそも子供向けで図書館に納品する本とは、本を読める大人(885メートルを登れる)が、子供にはこれぐらいは読んで欲しい、そう願って図書館に購入するものである。
 
 端的に言えば、知的段差が高さ8.9メートルの本とは、子供が読む本ではないし、一般の大人が読める本ですらない。一般人がフルパワーで段差を越えようとした時、なんとか越えられる段差。それが子供向け図書館納品の本である。
 
 困ったことに本は金を出すものだ。フルパワーで登るなんてことを金を出してまで行う人間がいるであろうか? いやいないだろう。いるにしても無視できるレベルだ。

 
 つまり、一般の人が自主的に買って読む本とは、高さが8.9メートル以下のものである。そしてこれこそが売れる本となりうる。

 あるいは売れるための最低限度の条件がこれだと言える。段差があっては山頂にお姉ちゃんが待っていたとしても、人はその位置エネルギーの壁を突破できない、少なくとも自主的には突破不可能だ。
 
 これゆえ、位置エネルギーの段差が無視できるほど低い事が、売るための必要最低限の条件となる。
 
 その高さは、脳が出せるフルパワー以下の出力で鼻歌まじりに越えられるもので、例えるなら高さ2〜3メートルでなければならない。
 
 ∧∧
(‥ )階段をつけてあげてね
\‐
 
  (‥ )壁だと登れないからな
 
 
 つまり高さ3メートル、階段付きのエベレスト、これが望まれる分かりやすい本であった。

 ∧∧
( ‥)これを
    どのように作るのか
    それが課題になるのだと
 
  ( ‥)馬鹿を騙して金を稼ぎ
    ‐/ 騙して稼いだ汚い金で
       良い物を作る...
       言うは易しだが
       難儀な課題だよね
 
 
 
 
 

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