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2015年11月17日火曜日

戦争文化が噛み合ないのは命取り

 
 ∧∧
(‥ )自爆テロは神風が
\‐  先駆けだから
    日本人が悪いことを
    教えたって意見もあるね
 
  (‥ )自殺攻撃って
      そんなに特異かい?
 
 確か、WW2の後、フランスがにこにこしながら植民地であるベトナムを支配しに舞い戻ってきたら、独立戦争が勃発。その時、まずは未熟な少年兵が自殺的に突撃してくる。彼らを次々に撃ち倒すも、疲弊したところに老練な兵士が突撃してくるというやり方でぼこられて逃げ帰ったのではなかったか?
 
 ∧∧
( ‥)うろ覚えだけどねえ
 
  ( ‥)俺も歳を取ったなあ
    ‐/ なにもかもいちから
       調べ直さないと
       いけないよな
 
 とはいえ、次の事が言える、
 
 守るものはあるが、武器がない。どうするか?
 
 そりゃ自殺攻撃でもするしかなかろう。

 西欧人が自殺攻撃をしないのは宗教がうんぬんとか、命の大切さがどうとかではない。そういう状況に陥った事が無いだけだ。つい最近まで上から目線で人間狩りを楽しんでいた連中である。そういう気持ちは理解できまい。
 
 ともあれいずれにせよ、かつて近代兵器で武装し、神のごとき態度でベトナム人に傲慢にも接したフランス人たちは、自殺攻撃の前に、命からがら逃げ落ちた。
 
 ∧∧
(‥ )まあそんなもんだろうと
\‐
 
  (‥ )騎士道精神の
      馬鹿の一つ覚えで
      正面決戦がんがんして
      暴力で押し切るのが
      西欧の戦争文化だな
      あいつら勇敢だけど
      脳みそが足りねえ
 
 それに対して、アジアの戦争文化は
 
 正面決戦を避ける
 
 敵に追われれば逃げる
 
 敵が退いたら追いかける
 
 ∧∧
( ‥)敵が潰走したら
 
  (‥ )ひゃっはー
      蹂躙じゃー
  
 
 ∧∧
(‥ )戦争文化が違うと
\‐  戦争自体が
    噛み合わなくなるよね
 
  (‥ )正面決戦を限定的に
      しかし断固として順次
      整えていくパパブッシュと
      はったりと恫喝と譲歩で
      交渉しようと考えていた
      フセイン大統領みたいにな
      文化が違うと戦争が
      噛み合わなくなることは
      普通に起きてるし
      僕らはそれを目撃して
      いるはずだよねえ
 
 あるいはフセイン大統領を捕らえれば勝ちだと思ったジュニアのようにだ。
 
 そして、パパブッシュは勝ったが、ジュニアは負けたのであった。
 
 あるいは、ジュニアはフセイン大統領捕縛後にも続く戦闘を、戦争とは思っていなかったかもしれない。
 
 そしてジュニアは負けた。

 これは教訓ではなかったか?
 
 戦争文化が違うと、かように認識が破綻する。そしてそれは身の破滅をまねく。そもそもISISだって、もともとはジュニアが作り出したようなものではないか。
 

 ∧∧
(‥ )自爆テロは神風で
\‐  日本がもとだ
 
  (‥ )それはあれだ
      自分たちがしていることが
      戦争だってことを
      自覚していなかったのだな
 
 テロとの戦争という言葉があるように、テロとの戦いは、無法者と健全な警察国家による取り締まりなどではない。
 
 ただの戦争だ。
 
 今度は戦争だ、ではない、もともと戦争だ。
 
 
 思うに、中東の理想主義者たちが自爆テロを編み出したのは、必然かもしれぬ。
 
 例えば、火器の発達で市民総動員の戦争を西欧が発明した時、イスラーム世界はそれに対抗できなかった。
 
 
 ∧∧
(‥ )イスラーム世界の軍人は
\‐  基本的に奴隷軍人なんだよね
 
  (‥ )アラブの大征服の時は
      アラブ遊牧民が戦力の
      主体だったけど
      部族社会は王に対して
      忠誠心が薄い
      だから王に忠誠を
      誓わざるを得ない
      奴隷を購入して
      奴隷たちを軍人にする
 
 例えば中央アジアから購入されたトルコ系遊牧民などが奴隷軍人になる。
 
 ∧∧
( ‥)中世世界において
    騎馬民族はむかうところ敵無し
    無敵の軍人
    不敗の兵器
 
  ( ‥)つまりだ
    ‐/ 中東の軍隊って
       プロの軍隊なんだよな
       よりよく言えば
       軍人貴族だよね
  
 
 そう考えると、騎馬民族が無敵を誇った中世期にイスラームが栄え、火器の発達と市民の総動員で歩兵が再び力を持った近代以降にイスラームが没落したのは印象的である。
 
 *もちろん、経済の有り様が変化したことの影響もあるのだろうけど。
 
 ∧∧
(‥ )そしてイスラーム世界は
\‐  市民の総動員にあまり
    向いていない世界であるらしい
 
  (‥ )もともと多民族多宗教な
      土地柄だろ?
      そもそも民主制みたいに
      非寛容で排他的な
      主義主張が合う土地じゃ
      ないよね
 
 実際、民主制とは、選挙権を持つものと持たないものを厳然に区別するし、しなければいけない主義である。
 
 我々の自由とは民主制という機械の歯車としての自由でしかない。そこには義務があり、義務を怠った人間に対するリンチと粛清がある。

 かように民主制は寛容で多様な社会にはなりえない。あくまでも歯車の枠内における自由があるだけだ。実際、民主制からファシズムが生まれたのではなかったか? 自らの影を、あれは堕落だと否定して目をそらすのは、物が見えていないってことだろう。
 
 一方、中東で民主制は合わないというのなら、中東の戦争は市民総動員という戦争になりえない。
 
 ∧∧
( ‥)つまり推論するに
    中東世界は
    西欧の戦争文化に
    歩み寄る事が
    出来ないのである
 
  ( ‥)これはイスラーム世界の
    ‐/ 理想家にとっても
       頭の痛いところだろうな
       西欧に対抗したいが
       西欧に対抗するには
       西欧の戦争文化を
       受け入れる必要がある
       だけど
       イスラーム世界には
       それができない
 
 とっ、すればどうなるか?
 
 ∧∧
(‥ )その際にやるとしたら
\‐  一部の熱心な人による
    自発的な自殺攻撃ですか
 
  (‥ )軍人貴族はもはやいない
      市民の総動員もできない
      だとしたら
      少数精鋭のテロリズムしか
      方法ないよね?
      モンゴルの大征服以前
      暗殺教団が一時、
      中東で勢力を持ったことが
      あるけども
      あれもそういう例じゃ
      ないのかな?
 
 あるいは、いずれ戦争のプロ化が進み、再び騎士がこの世界に帰ってくることがあったら、彼らの支配の元、イスラーム世界が復権しよう。
 
 ∧∧
(‥ )でも今の世界は
\‐  そうではなく
    しかも事態は
    明らかに泥沼の状態に
 
  (‥ )ロシア、イラン
      アラフィー派とISIS
      ウクライナにトルコに
      クルドに難民
      EUにアメリカ...
      中東から西欧にかけて
      今めちゃくちゃだよね
 
 これに比べたら、日中の対立とは、なんとまともなことか。
 
 
 
 
 
 

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