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2013年11月11日月曜日

漫画共同体 ラノベ王朝 教科書ハン国

 
  ( ‥)電波マーン 電波マーン♪
  
 ∧∧
( ‥)みんなのヒーロー
    電波マ〜ン
 
   ( ‥)えっ?! 
       死刑にしろと??
 
 ∧∧
( ‥)電波の指令だ電波マ〜ン♪
 
   ( ‥)なんと?
       あの男が犯人??
 
 ∧∧
( ‥)...なんすかね、この冤罪臭
 
 
 さて
 
 hilihiliのhilihili: 連邦内部におけるあなたの出身地が分かりますの続き
 
 
 ∧∧
(‥ )色々なニーズに特化して
\‐  小さな会社がせめぎあう
    そんな出版界は、
    さながら連邦国家
 
  (‥ )テレビや新聞は、
      もっと巨大で画一的で
      自由がなくて、
      格差があって、
      組合的で、
      シンジケート的って
      感じかな?
 
 テレビと新聞が巨大な帝国同盟なら、出版界は独立国家連邦
 
 ∧∧
( ‥)あなたは、
    雑誌やエロは
    ネットに食われて、
    この先、生き残る本は
    ラノベ、漫画、教科書だと
    考えていますよね
 
  ( ‥)というかだね、
    ‐□ これ以外の本を
      人間は読まないんだよ
 
 ある人が曰く、昔、ある作家が、クラスの誰もが読めるのがラノベだと言った。だが、今のラノベはまるでクラスの数人だけが読むように作られているようだと。
 
 ∧∧
( ‥)萌えやハーレムに
    特化していることを
    揶揄しているのかも
 
  (‥ )その意味では
      正しい指摘なのかもね
      狭い市場に特化して
      閉ざされていると
 
 だが、見方を変えればである。そもそもいくら軽い読み物でも、人間が教科書以外の本を、それも自発的に読むのか? という問題がある。
 
 というか、読んでたっけ?
 
 ∧∧
( ‥)クラスの数人しか本を
    読まないのなら、
    ラノベは必然的に、
    その数人のために特化する
 
  (‥ )だいたい、
      みんなが本を読むのなら
      特化自体、
      起こるわけがない
 
 もしもみんなが本を読むのなら、それはテレビ番組のようなものになる、

 ∧∧
( ‥)もっと画一的で自由のない
    ありきたりなもの
    になっていただろう
 
  ( ‥)皆が本を読むなど
    ‐□ 片腹痛い。
 
 よーく自分のやってきたことを思い出してみよう。強制される教科書以外に本を読んだか? 
 
 そうじゃないとしたら、我々の出版と本に関する理解は、そもそもトンチンカンではないのか?
 
 
 あるいは、
 
 例えばある人が、箇条書きにすると次のように曰く
 
:読書の動機は暇つぶし
:本を読んでトリビアな情報を得るのが読書
:だがいまや、トリビアはネットでただで得られる時代
:つまり、紙 vs 電子書籍、ではない
:今あるのは、有料の紙と電子書籍 vs 無料の情報 という構図
:有料の情報を読むのは重度のオタクか専門家のみ
:つまり、紙の本にも電子書籍にも顧客はおらず、未来はない
:ゆえに既存の出版社や書店は座して死を待つのみ
 
 ∧∧
(‥ )この意見、言ってる事
\‐  それ自体は正しいのですよね
 
  (‥ )ただ、これはだな
      結果的に、
      今までと同じですよ、
      ということ言っている
      だけなんだよね
 
 ”雑誌の需要はもうありませんよ”という点以外は、今までもこれからも同じだ。
 
 ∧∧
( ‥)雑誌に未来はない。
    この人は、だから、
    出版界はおしまいだ、
    と言っているわけですが
 
  (‥ )だからこそ
      出版界は
      生き残るというわけさ。
 
 別に出版界は雑誌だけで構成されているわけではない。
 
 版図の半分を失う。だから連邦はお仕舞いだ、と見るか、ああ、こっちの半分は残るんだ、そう見るか。
 
 ∧∧
(‥ )確かにこの人が言っている
\‐  ように、出版界が大きな
    金づるを失うのは
    確かなんですよね
 
  (‥ )tumblrとか見れば分かる。
      雑誌は、
      少なくとも既存の雑誌の
      多くは危機的な状況に
      なるだろうね。
      そしてそこに寄稿していた
      ライターも
      ほぼお仕舞いと見るべき
      だろうなあ。
 
 ネットの時代に、tumblrの時代に雑誌とな??
 
 これを踏まえると今後の進展は、最低限、状況の悪化がかなり過酷ではないか? と考えることはできる。
 
 どのぐらい過酷かというと、会社がそれに耐えられずに人員整理を行い、正社員がフリーになり、そして収入の減少に耐えられない者から消えていく。そのぐらいに過酷ではなかろうか? 当て推量でしかないが。
 
 ∧∧
( ‥)でも? 仮にこの
    当て推量が当たっても、
    言い換えれば
    クラスの数人はやはり
    本を読むはずだと
 
  (‥ )というか、もともと
      そうなんだよな。
 
 考えてみればである、人類最古の物語、粘土板に記されたギルガメッシュ叙事詩は、冒険物語であって、
 
  (‥ )あれ、ラノベだろ?
      それもどっちかというと
      腐女子向けだべ
 
 ∧∧
( ‥)腐女子向けかは
    知りませんが、
    ヒロインがいないこと
    ギルガメッシュと
    エンキドウ、
    この二人の男の
    やや過剰なまでの
    熱い友情を描いているのは
    事実ですけどね
 
 神の血を引く暴君ギルガメッシュ。対ギルガメッシュ用に粘土から錬成され、放たれた獣人エンキドウ。格闘戦のはてに、しかし二人は和解し、友人となり、冒険に出かけ、森の番人フンババ、女神イシュタルの怒り、そしてエンキドウの死。友人の死に絶望したギルガメッシュは不死を求める旅に…

 
 最古の小説、源氏物語だって女漁りのスキャンダラスな話だし、南総里見八犬伝もラノベみたいなもんだ。旧約、新約聖書ですら冒険や神話、古代メソポタミア由来の怪物退治の物語がかすかに影を落としているわけだし。
 
 ∧∧
(‥ )絵巻物や鳥獣戯画
\‐  落書き、浮世絵、葛飾北斎
    これらは漫画の系譜ですね
 
  (‥ )そして、
      ユークリッドから永々と
      続く教科書の数々。
      本というのは元々
      ラノベと漫画と教科書だ
      そういうわけさね
 
 もともと本は狭い世界のものだった。文字を読める人間と読めない人間。読めるけども読解力のある人間と無い人間。より奥にある本を読もうとする人間とそういう発想すら無い人間。本の世界と井戸端会議の世界、それが隣同士に並立し続けてきたのが人類の歴史。
 
 確かに、活字と印刷技術の発明で一時の間、本は雑誌や新聞、捨て読み物として井戸端会議の世界にまで侵入したが、ネットの出現で、多分それは今、終焉を迎えようとしている。
 
 ∧∧
(‥ )ネットは井戸端会議の
\‐   電子的な復活だとも
     言えますよね
 
  (‥ )人同士の会話に
      本は勝てん。
 
 出版界という国家連邦は近代になって手にした大きな版図を今、失いつつある。そういうことなんだろう。
 
 ∧∧
( ‥)さながら、ローマ帝国が
    版図の半分を放棄してしまった
    ようにね
 
  (‥ )ローマと違うのは、
      ローマは発祥地を
      失ったのに対して、
      出版界連邦は
      征服地を喪失し、
      発祥地へと後退する点だな
 
 連邦の雄、雑誌連合が征服した広大な土地は、しかし、今や電子化された井戸端会議の侵入を阻止することが出来ず、急速に切り崩されつつある。
 
 だが、漫画独立国家共同体、ラノベ王朝、教科書ハン国、この伝統の三つ、連邦において大きな版図を持つこの三勢力は、やや縮小気味ではあるがほぼ健在。
 
 考えてみれば当たり前だ。
 
 近代になって雑誌を読むようになって、自分は本を読んでいる、そう思い込んでいた人々、その人々が出版界連邦の版図から消え去れば、元々の本体、古代から受け継がれた古き都市の数々、核の部分が残るのは当然。
 
 クラス全員が本を読んでいる、というファンタジーは消え去り、数人だけが読んでいるという現実があらわとなる。
 
 ∧∧
(‥ )雑誌とトリビアしか
\‐  見てなかった人からすれば
    雑誌連合の解体と
    ネットによる浸食は
    出版界の全滅、
    世界の崩壊に等しい
    出来事ですけども
 
  (‥ )それ自体がまやかしの
      崩壊だったらどうする?
      ”本”を読んでた連中から
      すれば、
      雑誌?? はあ?
      それが? 読書!?
      という反応な訳でね。
 
 さながら、有名無実であった西ローマ皇帝が廃位された、というニュースを聞いて、へー、と思う東の版図ギリシャ諸都市の住人のごとく。
 
 ∧∧
( ‥)でも、残るであろう
    三つの領域も安泰では
    ないですよね
 
  (‥ )無論、
     ほんの10年と少し前
     ライターは今の数倍は
     稼いでいたのだ。
 
 というか、そうだったらしい。自分にそんな経験はない。減少の理由は、まあ、雑誌の消滅とか色々あるんだろう。
 
 それを考えれば先のような主張、出版社と書店に未来などない、というのは分からんでも無い話だ。
 
 ∧∧
( ‥)減少という意味では
    正しい
 
  (‥ )危機はあるのだ。
      だが全滅という意味では
      明らかに間違いだな
      ローマだってそうだろ?
      西の人々にとって
      皇帝廃位、
      都市ローマの劫略は
      世界の終わり、
      二度と戻らぬ過去の栄光、
      ローマ帝国は滅亡した
      そのような認識。
      しかし、東の人にとっては
      ローマ帝国はいまだ健在で
      失われた領土はただの
      センチメンタルな思い出
      でしかない
 
 
 トリビアを求めていた人間、雑誌だけを読んでいた人間には想像もつかないかもしれないが、本には、雑誌とはまるで異なる需要がある。
 
 例えばの話、結局の話、ただの情報は所詮はただなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )そう言うと烈火のごとく
\‐  怒る人がいるけども
 
  (‥ )残念。井戸端会議の
      情報はやはり空っぽでな
 
 いや、というか、トリビア=無駄知識と言っている時点で、ただの情報はやはりただなんである。へー、にはなるのかもしれないが。
 
 ∧∧
( ‥)井戸端会議の向こうに
    本の世界がある
 
  ( ‥)先の意見も面白いだろう?
    ‐□ 彼は….、
      一応、彼としておくが
      彼は雑誌を論じ、
      出版界の未来を論じるが、
      自分の人生で
      一番身近であった本を
      述べていないよな。
      これは面白いよね。
 
 彼は教科書についてまったく論じていない。
 
 教科書も本であり、それも出版界の収入源だということをまったく理解していないらしいのは興味深い。
 
 というか、人々が一番読んだ本って、教科書じゃね? 教科書以外になんか本読んだことある?
 
 そして
 
 教科書の情報は有料ではなかったか?
 
 教科書の情報は自分には手の届かないものではなかったか?
 
 ∧∧
( ‥)それが本来の本であり、
    本の一角であり、
    それこそが本の性質と
    需要と供給を体現している
    ものなのだと
 
  (‥ )有益な情報は有料だ
      有益な情報は有料で
      手に入るが、
      それを理解するには
      もっと投資しないと
      いけない。
      これがだな、
      僕らが学校で直面し、
      そして
      目をそらそうとしてきた
      現実なのだよ
 
 そして、ここには鍵がある。勝利者になりたいか? 勝利者になりたいのなら、さあ、これを読みたまえ、という誘惑の鍵がある。
 
 ∧∧
(‥ )教科書に愛は書いていない!
\‐  と歌う人もいますけどね
 
 (‥ )そういうなあ、
     負け犬でもいいんだよ、と
     はげます振りをして
     金を取るような商売に
     引っかかるようではね、
     ちょっとね。
     青春の過ち程度ですめば
     いいけども、
     こじらせると、人生が病むよ
  
 有益な情報は有料だ。ただの情報は所詮はただである*。これはかなりな程度正しい。これを忘れると、生涯地を這う、とまでは言わないが、鍵を失うことになるのは確実だ。それは学校の教科書を思い出せば分かることではないか。教科書は有料ではなかったか? それを使いこなせなかった自分は、今、どこにいる?
 
 ∧∧
( ‥)それに、人に必要なのは
    話題のネタになる
    トリビアな情報だ
    本なんかいらない、
    という主張は
    実のところ自爆ですよね
 
  (‥ )番組トリビアの泉には
      ガセビアの沼が
      あったことを
      忘れちゃいかんよな
    
 
 もちろん。ガセビアでもトリビアでも、判別できない者同士ならそれで良いのだ。だが、調べる人間だけが他人よりも先行できる、というのもまったくの事実。そして本は知識の鍵でもあるが、読むものと読まぬもの、この両者の間に格差を作るアイテムであることも忘れるなかれ。
 
 そしてこの事実、これ自体が商売の鍵ともなる。
 
 
 
  

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