自己紹介

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2017年9月20日水曜日

夢を見た郷愁の風景


 夢を見た
 
 我ら! 武家のものであるのに、敗北というだけでこの仕打ち! 無念っ!
 
 コンクリート製の墓を礎にした木製の遊歩道の上を歩くのだが、墓が ガタガタガッ! と震えて騒ぎだす。
 
 ∧∧
( ‥)武家の墓なのに
    コンクリート?
 
  (‥ )はい
 
 ∧∧
(‥ )...どこから突っ込んで
\‐  良いものやら
    敗北って何の敗北?
 
  (‥ )夢ですからな
  
 
 夢を見た
 
 すり鉢状の丘の斜面が一面の座席で、試験会場である。しかし座る場所がない。上へ上へと上がっていくうちに、通路はいつのまにか古びた家になり、自分よりも先に進む学生は転がった2つの死体の脇を無造作に通り抜けて階段を登っていく。
 
 すると死体がむくりと起き上がって。一人は学生が登った階段をじっと瞳の無い目でにらみつけ、もう一人はどこかに電話をかけると、開いた口から、ガーピリピリガーー、とファックスの着信音みたいな音を出している。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはどこに?
 
  (‥ )視点が上がっちゃって
      上から見てた
 
 
 夢を見た
 
 公園、道、町並み。以前住んでいた場所のようだが、あまりにも情景がいじられすぎて、おおまかな地形以外は原型をとどめていない。
 
 町を走る用水路。用水路の脇の醸造所、四角くおおきくえぐられた穴の底には水がたまり、発掘された歴史時代の人骨が2体、その時のまま展示されている。おかしな無理のある立地にたてられた立体駐車場では通路があるとは思えない場所へ車が向かって降りていく。
 
 すべての車は粘液の糸を引いて、垂直に降下するのだ。

 
 ∧∧
(‥ )ナメクジかよ
\‐
 
  (‥ )以前住んでいた場所
      今いる町の用水路
      あらゆる記憶が
      ごちゃまぜだな
 
 
 これは夢ではない。
 
 今いる場所は緑がなくて、植物がある場所までしばしば3キロ、7キロの道のりをゆく。
 
 はて? 以前住んでいた場所で7キロ歩いたらどこまでいけるだろう?
 
 そう思ってgoogleで見ると、いつも公園からぼんやりながめていた遠くの小山がその範囲内であることに気がついた。

 山頂には展望台があり、そこから眺めた風景がこれ



 
 ∧∧
(‥ )悪くない景観であるな
\‐  小高い丘だが歩けば普通に
    山の中であるぞ
 
  (‥ )ははっ
      1回ぐらいいっても
      良かったか
 
 もっとも、今のこの町で片道7キロをうろうろしたりするのも、あくまでそこしか場所がないからだ。以前住んでいた場所のように近所に大きな公園があれば、やはり毎日そこへいくだろう。

 だから片道7キロの山頂には1回の遠征以後、わざわざいくことはなかっただろう。
 
 とはいえ、ちょっといってみたいな、手が届かなくなってしまってから、そう思ってしまうのである。
 
 ここでふと思い出した
 
 ある組織。まあ会社だと思えば良いが、その組織では栄転の道から外れた者は、東京23区の外へいくことになっていた。
 
 多摩川をはさんで川崎にあるその建物は立派だが、実際には栄転から外れた者がいきつく場所。その建物の喫煙室の窓は23区の方向を向いていた。彼らはそこで、帰れない23区を眺めて煙草を吸い、涙を流すという。
 
  
  ( ‥)いやはやgoogleで
    ‐/ 昔の自分のすみかと
       その周辺を眺めて
       こうすれば良かった
       ああすれば良かった
       そんな郷愁に
       ひたるとは
       俺も彼らを笑えないな
 
 ∧∧
( ‥)あんたと一緒にされちゃあ
    彼らも浮かばれないだろ
 
 
  (‥ )いやいや人の渇望とは
      所詮は同じもの
      笑い飛ばせるようで
      笑い飛ばせぬものよ
 
 
 まあ、なるべく悔いのない生き方をすることだ

 
  

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