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2016年8月1日月曜日

人間は脳を節約したくて単純な理解に逃げる

 
 寝不足で出かけて事を終えて帰って疲れて眠りこけて,起きてみたら
 
 ∧∧
(‥ )都知事は小池百合子候補で
\‐  決まりだよ
    開票直後に即座にあっさり
    決まったみたいね
    つまり圧勝
    
 
  (‥ )2位が増田候補
     そして小池候補に
     2倍の得票差をつけられた
     3位が鳥越候補
     擁立当初,鳥越候補は
     小池候補と互角と
     思えたのもつかのま
     巣鴨の演説が短すぎで
     まずはつまづき
     そもそも遊説の数が少なすぎ
     女性スキャンダルでは
     インタビューに応じず
     ジャーナリストは
     二枚舌だと批判され
     ずるずる落ちていって...
 
 あげくに終盤,応援演説の形とは言え,支持者が書いた,小池候補を厚化粧と揶揄する文面を,問題視しないままに読み上げたときたもんだ
 
 ∧∧
(‥ )人さまの容姿をあげつらうとは
\‐  人間関係であってはならぬこと
    やってしまうと
    印象悪いですからなあ
 
  (‥ )それをやっちゃうんだからな
      しかもこれ
      もともとは石原元都知事の
      発言だろう?
      放言で知られる対立右派の
      言動を文化人が使うと
      きたもんだからな
      これで勝てたら不思議だよ
 
 さらに敗戦後,鳥越候補は辛口で知られるジャーナリスト池上彰のインタビューに応じなかった
 
 ∧∧
(‥ )それが今,ネットで揶揄されて
\‐  おりますぞと
 
  (‥ )鳥越候補は
      私は人の話を聞くと
      言っていた
      これまた
      ダブルスタンダードと
      批判されてしまうわけだ
 
 そしてこれより以後,延々と言われることになろう.ジャーナリストはダブルスタンダードを使う口先だけ人間だと.かように,色々なことが明らかとなった有意義な都知事選であった.
 
 
 ∧∧
( ‥)とまあ以上は日々の出来事を
    メモしたこと
    それで?
 
  ( ‥)発達障害の子供が
    ‐/ 生まれるのは親のせいだ
       と主張する人がいる
 
 発達障害.状況からすると実際には遺伝的なものと考えて良い.


 しかし発達障害に限ったことではないが,人は,親から突然,親と違う子供が生まれることをかつて理解できなかった.
 
 そこで考えてしまったのである.これは悪魔の仕業ではないか? と
 
 今でもこれを信じる人がいる.彼らは親が悪いことをしたから子供に発達障害が起きると説明した.要するに彼らは理解をめんどくさがって,黒魔術に逃げたのだ.
 
 ∧∧
(‥ )実際には人間は誰しも
\‐  ”有害な遺伝子”を持っている
    ただしそれが顕在化していない
    だけなのである
 
  (‥ )ごく簡単な理解で言えば
     ”有害な遺伝子”が
     たまたま対になった時
     それが発現することになる
 
 100人に一人がその”有害な遺伝子”を持っていれば,100×100=1万,つまり1万人に一人,それが発現する.
 
 ∧∧
(‥ )まあ発達障害を
\‐ 有害遺伝子のせいというと
    それはそれで
    物議をかもすでしょうなあ
 
  (‥ )有害ってのはこの場合
      ある一面から見た
      評価程度で
      考えればよい
 
 例えばテスト赤を受けた時,平均点より10点低い遺伝子とその変異を有害だとする.


 だが,同じ遺伝子でもテスト赤ではなく,テスト緑を受けさせると,その得点は平均点よりむしろ高いかもしれない.


 評価ってのはこのように複雑な側面がある.でっあるから,有害,というのはあくまでひとつのテストを受けた場合,平均より低い,という程度の意味だ.




 マラソン走者と短距離走者をどう評価するのか,ということと同じようなもの.


 もちろん,これは平等主義者が夢想するような理解,つまり,すべての遺伝子とその変異が等価であるという意味でもない.


 それはマラソンと短距離は比較できないから,すべての人の走る速度は等価だ,というようなものである.




 変異には差があるし,それが顕著に有害な影響を及ぼすことも当然ある.とはいえ,ひとつのテストだけでは評価しきれない,というのもまた事実である.有害とされる変異には,我々が気が付いていないだけで実は重要な役割があるのかもしれない.


*かつて有害遺伝子を積極的に排除しようとした優生学に現在の科学者が良い顔をしないのはこれが原因でもある.例えば有害遺伝子を排除したら,その遺伝子が担っていた別の機能が損なわれて,結果的に別の有害な効果が出るかもしれない.人間自身を品種改良しようという試みは,何が起こるのか分からない.意図的にやるには危険すぎる


 **それに発達障害は定義があいまいなこともさることながら,妙に頻度が高くないだろうか.これだけ多いということは単純に有害と決めつけてよいのか? 実際にはなにか重要な役割をになっているんじゃないのか? という可能性は,念頭に入れておくべきだろう.
 
 ∧∧
( ‥)でも人間は
    割合とか
    パーセントとか
    程度とか複数の評価とか
    そういう理解が非常に
    苦手な動物だからね
    こういう話をすると
    みんな逃げるよね
 
  (‥ )脳に負荷がかかるから
     単純な白黒判定に
     走りたいんだろうけど
     現実を見据える時
     その理解では不十分だ
 
 発達障害だろうがなんだろうが,それが発現するのは単に確率の問題で別に親のせいではない.
 


 しかし,そう指摘されても,人はその複雑な理解から逃げる.そしてもっと単純な理解,すなわち親が悪いことをしたから子供に影響が出たのだ,という簡単な理解へ逃げ込む.
 
 しかし一方,反対にこうである.有害な遺伝子もいつかは役立つかもしれない.すなわちすべての変異は等価である.だから人間は弱者保護を行い,遺伝的な変異を高めている.このような予定調和的な理解もまた間違いである.
 
 
 ∧∧
(‥ )それもまた単純な理解へ
\‐  逃げ込んだ結果だよね
 
  (‥ ) 人間は脳を動かすカロリー
     を節約したいせいか
     すぐ手抜きの理解へ走る
 
 実際,人間が弱者保護によって遺伝的変異を高め将来の環境変動にそなえている,という考えに人々が飛びつくさまを見た.
 
 もちろん,この理解はあらゆる側面で間違っている.
 


 生物は先読みして進化することはないし,遺伝的変異を蓄積するのはメンデル遺伝と,ひいては有性生殖,つまり男女と雌雄の存在が行っていることだ.つまり人間の専売特許などではない.


 それに人間が変異を意図的に蓄積しようとしてもそんなことは無駄だ.変異を増やせば変異が対になって発現する確率がとたんに跳ね上がるから,結局それは自然淘汰で除去されてしまう.
 
 有害な遺伝の変異は,貯金しようとすると自動的に支出が跳ね上がるので意図的な貯金ができないものと言えば良いか.
 
 ∧∧
( ‥)逆にいうと
    どんな条件なら
    それが可能だと思います?
 
  (‥ )そうさのう...
 
 
 そして続く
 
  

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