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2016年5月31日火曜日

お前は単なる廃熱生成機械

 
 大宇宙を舞台にした物語でも、作り方次第ではCGもなにもいらない。ただ単に未来かな? 異世界かな? 異常事態かな? と思える部屋と衣装があれば良い。
 
 ∧∧
(‥ )エイリアンのように
\−  宇宙人は着ぐるみですむし
    キューブのように
    部屋は一個でもいい
 
  (‥ )まあどっかでCGや特撮を
      使うにしても
      最小限度ですむし
      それなら日本のちっこい
      CGでも十分対応可能だな
 
 とはいえしかし
 
 ∧∧
( ‥)そんな海の物とも山のものとも
    つかないような地味な企画が
    通るわけないよね
    そもそも
    エイリアンもキューブも
    無数の低予算駄作の中から
    たまたま売れただけのものだし
 
  (‥ )スポンサーもそんな
      売れるか分からないものに
      金を出したくないからな
      俺だっていやだよ
 
 
 だったら、すでに売れている漫画やラノベを原作にした実写映画を作れば良い。
 
 賭けをする余裕がないのであれば、他人の成功に寄生すれば良いではないか。これは恥じる必要のない選択肢であるぞ。
 
 問題があるとしたら、売れている漫画やラノベの多くは、それをまじめに再現するとCGと特撮に膨大な金と時間と人員をかけねばならない、ということで。
 
 ∧∧
(‥ )かくて役者をそろえただけの
\−  なんかしょうもない実写が
    出来上がりますよと
 
  (‥ )進撃の巨人とか
     テラフォーマーズとか
     それを日本で実写化しちゃ
     駄目でしょ
     否、ハリウッドでも
     不可能じゃね?
     みたいなことをしちゃうのは
     単純にそのせいだろうな
 
 
 それでも金は回る。金が回るのならそれで良しとすべし。
 
 少なくとも関係者にとってはそれだけで十分だ。
 
 言って見れば日本の映画界とは、というか今時の業界は大概そうだけども、かつて栄えた門前町のようなものだと思えば良い。

 以前は観光客や参拝客でにぎわっていたが、競合する門前町が他に幾つも出来て来る人が少なくなり、さりとて町内会としては門前に並ぶすべての業者に万遍なく利益が出るようにしなければならない。それに基づいて地域振興策が決定される。
 
 ∧∧
(‥ )そして
\−  そういう地域振興策って
    概して評判が悪いものだよね
    独りよがりで見当はずれで
    内輪ネタで加齢臭がする
 
  (‥ )でっ批判されると
      おっさんたちが
      お前ら部外者に
      何が分かる!! と
      怒りだすんだよな
 
 
 おっさんが怒るのは分かる。だがその怒りは所詮は内輪ネタであり、おっさんの怒りでしかないのも事実。

 まあ、業界がおっさんになるとはこういうことだ。特に業界が大きくなると昨今のシャープが作ったコピー機のように、どう考えてもコピー機を使ったことが無い人間が作ったとしか思えない製品が出来上がったりする。その前の機種が普通にまともなものだったにも関わらずだ。

 そしてこれは成長の必然なんだろう。
 
 例えば10人の人間関係は9×10で90だが、100人の人間関係は99×100で9900だ。つまり人数が増えれば、人間関係はほぼその平方で増大する。人間関係は調整を必要とする事柄であり、それ自体を調整するエネルギーを必要とする。

 要するに人間関係それ自身が予算を必要としている。そしてこの予算は制作の質を維持するには必要不可欠だが、制作そのものとはまったく関係がない。この予算は単純に機械の運用と人体の呼吸で消費され、最終的に廃熱となって発散され、失われてしまう。

 かように、組織や業界は大型化するとそれ自身の廃熱だけでほとんどの予算を消費してしまうだろう。
 
 つまるところ、映画評論家などという寄生虫のごとき存在が大手を振って歩いている時点で、映画業界が予算のほとんどを廃熱で失う非効率に陥っていることは明らかである。
 
 ∧∧
( ‥)出版界もあなたも
    他人のことは言えませんぞ
 
  (‥ )ああ、でもあれだよ?
      出版界は個々がずっと
      小さいし
      無数たくさんの集団だから
      未知を持って帰ることは
      可能だぞ?
      我らはたくさん
      すなわちレギオンなりだ
 
 実際、漫画やラノベはその無数でもって有望なコンテンツをもぎとってきているであろう?
 
 反対に、巨大な映画界は漫画やラノベに依存し、それに寄生しなければ生きていけないばかでかいナメクジに成り果てているであろう? 

 もちろん巨大組織の部品になった人間は、そうは考えない
 
 私は花形の一員である。すなわち私は偉大のひとつであり、偉大の部品であり、偉大の部品でないお前たち下々の者とは違う。

 彼らはかように巨大組織の部品となった自らを誇らしげに語る。
 
 しかしこれは誤りだ。

 実際、これ自体、お前が無用無意味の廃熱生成機械になっているという証拠なのだ。

 それすら自覚しないのならばその認識に論ずる価値無し。
      
     

    

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