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2013年10月19日土曜日

知的生物一期一会

 
 hilihiliのhilihili: 人類滅亡後のスチームパンクの続き
 
 そもそもそのスレは、人類滅亡後、どの動物が知的生物に進化するのか? というものだった。
 
 ∧∧
(‥ )でも、進化観があれですね
\‐   中世的な存在の梯子だったり
     階段だったりする
     みたいですね
 
  (‥ )そもそも
      ”人類が絶滅して、
      別の生物が進化の階段を
      昇り”
      という表現からしても、
      そうだろうなあ。
 
 *中世ヨーロッパではこの世の存在には段階があると考えた。鉱物から菌類、そして植物、昆虫や両生類、爬虫類、そして鳥、哺乳類、人類、天使、神。これを存在の梯子とか階段とか呼んだりする。
 
 ∧∧
( ‥)原典は分からないけども、
    人類が天使に進化したら
    猿が人類になる、という
    考えもあったみたいですよね
 
  (‥ )ダーウィンより少し前、
     まあ、100年とか
     そのぐらい前だったっけ
     かね
 
 人間が天使になる、というと大笑いする人もいるが、そう笑っている人だって、”宗教や神や天使は非科学的で存在しない”という根拠不明か不十分な大前提を信じているだけでしかない。だから笑っているが、実際にはこういう世界観から一歩も抜け出ていないものだ。
 
 事実、スレの内容からするに....
 
 ∧∧
(‥ )虫は食物連鎖の下方だし
\‐  進化段階から考えて哺乳類
    ゴキブリは完全体
    人類と鳥は生物の最新型
    鳥は進化の段階ではトップ
    昆虫は数では天下とってる
    などなど
 
  (‥ )進化には段階がある
      階段状に上下に配列できる
      変化しない生物は
      完全だからだ、
      知能は進化の終着点
      食物連鎖の頂点と
      存在の梯子の区別が曖昧
      そういう考えが
      見て取れるね
 
 そういえば次の仕事では人類の進化を少しだけ紹介するのだった。なぜならば
 
 ∧∧
( ‥)一般的には
    猿人>原人>旧人>新人
    という具合に、
    人類の進化は一直線に進んだ
    そう思われているから
    それを説明してくれないと
    読者が勘違いする、という
    要望があってね
 
  ( ‥)確かにさ、
    ‐□ ネアンデルタール人から
      現代人が進化したと
      覚えている人もいるからな
 
 実際には、共通祖先から枝分かれした別系統の人類だ。
 
 ∧∧
( ‥)でも別系統の人類、と言うと
    それはそれで誤解を
    招きますよね
 
  (‥ )別系統、というと、
      じゃあ、別の人類なのか?
      と思い込む人がいるからね
 
 *鈴木一郎さんと次郎さんは兄弟だが、すでに結婚し、遠く離れた町でお互いに別々の家庭を作っている。彼らはこれから別々の系図を作っていくだろうし、すでに作っている。その意味において一郎さんと次郎さん、そして彼らの子供たちは別系統だ。
 
 と言うと、
 
 ああ、一郎さんと次郎さんは、名字は鈴木だけどもまったく赤の他人なんだ、兄弟じゃないんだ。
 
 と勘違いする人がいる、という意味。
 
 **ここでは現代人(ホモ・サピエンス)とネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)が交配した可能性については論じない。
 
 ∧∧
(‥ )それにしても、
\‐  次の知的生物にはカラスを
    押す人が多いみたいですね
 
  (‥ )頭いいからな
      種類によると道具も使うし
 
 とはいえ、これも進化に関する誤解であるのだろう。進化が段階的な向上、と考える人は、しばしば、”段階が向上すると知能が高くなる”、そう考えているものだ。
 
 ∧∧
( ‥)ある意味、存在の梯子って
    ”トコロテン仮説”ですよね
 
  (‥ )すぽんっと後ろから
      押し出される。
      人類がいなくなると
      ぽんっと後ろから
      次がくる、
      そういう世界観だよね
 
 実際のところそんなことはない。それに、脳の増加と知能の発達が進化的に有利か、というとそれは非常に怪しい。事実、人類に近縁のチンパンジーやゴリラは、確かに脳は大きいが、人類のような進化はとげなかった。単純に脳が大きければ良い、というのならこんなことにはならない。
 
 ∧∧
(‥ )あなたたち人類は進化が
\‐   非常に速かったですからね
 
  (‥ )えらい勢いで脳が大きく
      なっていってな。
  
 だが他の系統のものたちはそうではなかった。これはつまり、脳が大きくなる、という進化が実のところかなり不自然であること、”脳が大きくなると賢くなるから大きい方が良いに決まっている”、という考えでは説明できないことを示唆している。
 
 ∧∧
( ‥)脳はエネルギーを消耗しますし
    それを考えますとね、
    通常の進化、つまり
    有利不利とか、
    経済的な損得からすれば
    脳の極端な増加は起きにくい
    そういうことですよね。
 
  ( ‥)だから人類進化では性淘汰、
      つまり男女が異性に
      どうもてるのか?
      もてるもてない
      不合理だけども重要だ
      こういう要因が
      動力になって進化が進んだ
      そう考えられるわけ
      なのだけども
 
 それを考慮すると、カラスが賢いから知的生物になる、というのは怪し気だ。自然界を生き抜く上で、あの賢さで十分ならもうあれで打ち止めかもしれない。
 
 そうではなく、脳を使った性淘汰、というと、むしろ例えば...
 
 ∧∧
(‥ )アズマヤドリのみなさんは
\‐   物を作るという性淘汰が
     非常に発達した
     系統ですよね
     =>アズマヤドリ
 
  (‥ )もし、人類進化が
      性淘汰であって、
      脳の極端な増量がそういう
      結果だというのなら、
      ああいう種族から
      次の知的生物が現れるの
      かもしれないね。
 
 とはいえ、もちろん、脳を大きくする、というのはこんな単純な話ではないんだろう。例えば鳥なら飛べなくなってしまうかもしれないし、そうなったら脳の増量はそこでストップがかかるのかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)それに性淘汰はきまぐれで
    持続性がないようですし
 
 (‥ )脳の増量が可能で、
     もともと脳が大きくて、
     それゆえに、
     無駄に脳を大きくする過程が
     比較的短期間でも
     知的生物に行き着ける。
     そんな生物が
     次の知的生物になるのかも
     しれない。
     条件厳しいよなあ。
 
 それを考えると、地球の歴史上でたった一度しか知的生物が誕生しなかったことは、むしろ当然なんだとも言える。
 
 ∧∧
(‥ )動物の歴史が始まってから
\‐  10億年ぐらい。
    その歴史の中で、
    ただ一度の気まぐれだった
    のかもしれません。
 
  (‥ )確かに後の時代ほど
      中枢神経の大きな動物が
      現れているから、
      条件自体は改善されて
      いるわけだ。
      でも、人類が絶滅したら
      もう二度と地球上に
      知的生物が現れることは
      ないのかもしれないな
 
 人間は知能があるからそれを素晴らしいと勝手に思い込んでいるが、知能とは、実は無駄で無意味でむしろ有害で、偶然の気まぐれがないと誕生しないものだったのかもしれない。少なくとも、脳が有意義だとしたらこの有様は説明できないだろう。
 
  
 

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