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2019年9月4日水曜日

賢い人間は生まれてくるべきではなかった

 
 賢い人間はテストで良い点を取ることに集中する。

 
 ∧∧
( ‥)しかるにテストの成績とは
    個人だけのものである
 
  (‥ )これゆえ
      賢い人間は非常に
      身勝手になる
      そりゃそうだ
      自分のことしか
      考えてないからな
 
 賢い人間は努力して良い成績を収めれば将来が安泰で、素晴らしい地位が手に入ると信じている。だから夏休みも返上し、勉強し、努力し続けてきた。
 
 ∧∧
(‥ )人生を棒に振って
\‐  地位を手に入れたのである
 
  (‥ )だからよ
      賢い人間は地位に
      ひどく執着するんだわ
      そりゃそうだな
      青春を台無しにした
      代償だからな
 
 二度と戻らぬ青春を犠牲にして手に入れたもの。
 
 しかし、賢い人間にはひとつ明白な誤算がある。それは受験勉強とは国家という集団の戦闘力、生存競争における力、それを維持するための個体を選抜する作業でしかない、この事実を賢い人間は見落としていた。

 彼らは愚かにも受験勉強というシステムを鵜呑みにするだけで、システムの背後にある設計思想と目的をまったく見ていなかった。
 
 要するに、受験勉強における勝利とは、個人の成功をまったく保証していないのである。
 
 個人の充足をまったくもって保証していないのである。

 むしろそれは逆であった。

 社会に出た先における戦いは空気を読むという、人間本来の公共力なり、外交力が必要となるのである。
 
 ∧∧
(‥ )でもテストという個人戦に
\‐  特化してきた賢い人にとって
    それは無理ゲーなのである
    卒業していきなり無理ゲーに
    放り込まれて
    心が狂うのである
 
  (‥ )というわけで
      賢い人間は
      ずっと怒っている動物に
      成り果てる
      当たり前だよな
      青春と人生を犠牲にして
      ようやく手に入れた
      その輝かしい地位には
      先がなかった
      そりゃあ狂うわ
 
 
 これゆえ、賢い人間は社会に不満を持ち、空気読んで行動できる多数派を憎むようになる。普通の当たり前の人間を憎むようになる。
 
 
 だから賢い人間は絶えず怒っているのである。
 
 賢い人間は四六時中、他人をバカにして生きており、呼吸するかのように人々を衆愚と罵り、自分は高学歴で高給取りだと自慢してうさを晴らす。しかし実際には不満だらけで今日も泣きながら布団に入る。
 
 それはそうだ。青春時代を犠牲にした、その代償がこれでは引き合わないではないか。

 夏休みを楽しく過ごしたバカが自分より幸せになったことがどうしても納得できない。

 そんなもの、自業自得なんだが納得できないものは納得できない。
 
 ∧∧
( ‥)こうして賢い人間は
    反社会的な存在になり
    存在が反社会そのものになり
    国内に味方がいない以上
    外国と内通したがるのである
 
  (‥ )というわけでだな
      賢い人間は見つけ次第
      捕まえて
      食べてしまうべきなのだ


 
 賢い人間とはそもそも必要のない存在であった。

 端的に言えばである。賢いあなた。あなたは生まれてくるべきではなかった。

 生まれてきたこと、それが失敗だった。受精した瞬間に失敗が決まっていた。認識はまずそこから始めねばならない。これが認識と理解の最初になる。すべてはここからだ。どんな知的な理解も見解も、それは知的というだけで無意味になる。すべてはこの一歩から始めねばならない。そうしないと何もかもが手遅れになるだろう。
 
 

 

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