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2014年3月21日金曜日

外注した方が安いとは、豊かな雇用が産まれないということで

 
 ∧∧
( ‥)あなたはフリーだよね
 
  ( ‥)企業に雇用されている
    ‐□ わけではないのだ
 
 もし、企業に雇用されている社員だったら、月ごとに給料をもらうはずである。
 
 ∧∧
( ‥)1ヶ月に30万なのか
    15万なのかはともかくね
    月ごとに支払われる
    わけでね
 
  (‥ )だが実際にはフリーだ
      そうである以上、
      その企業の本を作る時だけ
      その企業から報酬を
      受け取るわけだよ
 
 おおむね、本の値段の10パーセント前後×出版数、が支払われる。当然、条件によって具体的な数字は変わるが、大体60〜70万と考えると良い。
 
 ∧∧
(‥ )本を作るのに3ヶ月かかったら
\‐  月給にすると20万程度だね
 
  (‥ )そういう意味では
      物書きってのは
      3ヶ月程度の間、会社に
      雇われる期間工みたいな
      ものなのだ
 
 さらに言えば、これは厳密な意味でいうと、一般で言う正社員の給料そのものには該当しない。例えば企業の給料は保険料云々が抜かれた結果だが、以上の金額にはそもそもそんなもの含まれていない(つまり企業の負担が軽くなっている)。
 
 さらに、フリーである以上、文章を作成する際に必要となる材料費に当たる資料代、つまり本代などはここから出さねばならない。ようするに必要経費が含まれている分、実際の手取りはもっと少なくなると考えるべき(それを負担しないからには企業にとってはさらなる節約だ、ということでもある)。
 
 ∧∧
( ‥)あなたはイラストレーターでも
    あるから、画材代も以上から
    出さなければいけない
    
  ( ‥)それを考えると、
    ‐□ 物書きをこの意味合いで
      ”雇う”というのは
      会社にとって非常に
      好都合であることが
      分かるよね
 
 もし、正社員として雇ったら、画材も資料代も必要経費も会社は支払わねばならない。正社員としての保険などの立て替えもあるし、それよりなにより
 
 ∧∧
( ‥)あなたが仕事をしていない時
    でさえも、給料が発生して
    しまう
 
  ( ‥)会社ってのはどこも大概は
    ‐□ 火の車でな、
      法律に定められていても
      有給休暇なんて出せるか!
      と言い出す経営者が
      多いのは当然ではあるね
 
 彼らがサービス残業とか言い出すのも当然ではある。
 
 *ただし、それを良い事に人間を使い捨てたり、鬱病にさせたりすること、そもそも、そういう頑張れ仕事が実はものすごく非能率的であること、そこが問題となるのだ。ただし、この問題は今、ここでは検討しない。
 
 ともあれ
 
 ∧∧
(‥ )これがあれだよね
\‐   会社が部署を独立させて
     子会社化させたり
     あるいは外注に回す
     動機だよね
     自分の分は自分で稼いでよ
     ということですね
 
  (‥ )自分の場合、
      年間4冊の本を
      出せば、65万×4冊で
      年収が250万を越える
      わけだが
 
 その内訳が、A社2冊、B社1冊、C社1冊であったとする
 
 ∧∧
( ‥)この場合、
    A社はあなたに130万を
    支払っていることになる
 
  ( ‥)ところが、もし雇ったら
    ‐□ A社はおいらに
      250万以上を
      支払うことになるわけだね
 
 ところが実際にはA社のために作ったのは2冊なのだから、だとすると、これはA社にとって大赤字である。
 
 ∧∧
( ‥)でもフリーのあなたに
    外注すれば130万ですむ
 
  (‥ )足りない部分は自分自身で
      なんとかしてください
      そういうことだ
 
 子会社化ってのはそういうものだし、系列企業ってのもそういうものだ。
 
 そして、これと同じ原理がどこでも広く成り立つのなら、生活水準の上がった先進国で企業のゼネコン化が進むことが説明できる。
 
 ∧∧
(‥ )人件費が上がり
\‐  社員を養い切れないから
    規模を縮小するしかない
    そうすると司令部以外の
    生産部門を切り捨てて
    外注に回すしかない
 
 (‥ )企業の中核である
     頭脳と技術と設計の
     部分だけを残そうとする
     やりかただよね
     ボーイング社が部品の調達を
     世界中に発注して
     組み立てる方針へ移行した
     あれもそういうことだよな
     つまりゼネコン化だ
 
 ということは....
 
 ∧∧
( ‥)先進国で大きくて豊かな雇用が
    生じることは原理的に
    ありえないことになる
 
  ( ‥)人件費の高い部門を切って
    ‐□ 独立させ、あるいは
      賃金の低い下請けや外注に
      まかせる
      その結果は中核として残る
      高賃金の少数派と
      低賃金の多数派だからね
      格差社会というのは
      当然の結果だ
 
 しかし、国家はそれにも関わらず、国防の責務を果たさなければならない。
 
 しかも、全世界に軍隊を派遣しているアメリカとなるとなおさらだ。
 
 ∧∧
( ‥)ところがアメリカはいまや
    中間層は壊滅で借金まみれ
    兵器は高度化して高価で複雑
    人間を削っても
    維持費も人件費もかかる
 
  (‥ )それでもなお予算を確保する
      そのためには、
      壊滅した中間層を強制的に
      働かせる一方で
      強制的に税金を
      収奪しなければならない
      これもまた必然だ
 
 ∧∧
(‥ )でもアメリカは直接選挙制だ
\‐  国民を奴隷化して税金を徴収し
    全世界に展開した軍隊を
    ひたすら維持する工業社会
    こんなものを国民は
    望まないでしょう
 
  (‥ )だとしたら選択肢は
      二つしか無いよね
 
 ハワイなりグアムなりを、あるいはかつての宗主国であったイギリスを最終防衛ラインにして、そこまで勢力圏を縮小し、他の地域は諸列強にまかせて、大国ではあるが比較的小さな、本来の島国であるアメリカ合衆国としてやっていくか
 
 ∧∧
( ‥)あるいは直接選挙制を放棄して
    人々に労働と納税を強制し
    全世界に展開した軍隊を
    ひたすら維持する軍事国家
    アメリカ帝国として
    生まれ変わるか
 
  ( ‥)どっちを取るのかねえ
    ‐□
 
 

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