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2014年3月11日火曜日

そうか、やつらがお前たちのところへ....

 
 恐怖の活字脳 
 
 読書をしたり新聞を読むと脳が致命的に馬鹿になる
 
 ∧∧
( ‥)あなたって本当、
    読書とか新聞とか
    小説とか大嫌いだよね?
 
  (‥ )だって、あんなの
      捏造論文と同じだろ?
 
 あからさまに嘘を書いてる
 
 ∧∧
( ‥)あなたが一番印象的だった
    小説のシーンって何よ?
 
  ( ‥)砂の惑星の最後で
    ‐□ 魔女のひっかけに
      偉大な誇りある女が
      答える場面かなあ
 
 帝国には魔女と呼ばれる人々がいた。皇帝に支配された帝国。男性原理の帝国における、文字通り女性だけの結社であり、女性でしかできない技術を洗練させて、ある日、ひとつの計画を思いついた。我々と同じことができる男性を作り出そう。彼を皇帝にしよう。彼は人類を導いてくれるだろう。
 
 その目論みは成功したが、思わぬ事が起こった。生み出された救世主は彼女たちの言う事を聞かないのだ。彼を生み出すこと、これ自体を自己目的とした魔女たちは、救世主を作るためには自分たち自身に対してさえ、人倫を平気で踏みにじった。それに対する反発であり、報いであった。
 
 ∧∧
( ‥)そうして救世主は世界を破壊し
    その息子は父をも越える
    暴政を行った
 
  (‥ )不死身の肉体
      3000年を越える寿命
      資源の独占による
      絶対平和
      平和を維持する
      女性だけの軍隊
 
 暴虐に人々は反発した。資源の独占を打破しよう、資源に制限されない自由を手にしよう、自由のために平和から逃げ出そう。
 
 それこそが暴君の目論みであり、それは成功した。人々は帝国から逃げる逃げる。資源を合成する技術、あるいは資源に依存しない航行機械、3500年の暴政をいわばトラウマとした自由への渇望。人々は帝国の外へ広がり、さらにその外へと広がり、広がり、広がり、数を増やし、さらに広がり、数を増やし、外へ逃げ出したあらゆる集団がお互いに融合し別のものを生み出す、果てしない増殖と混交と新たな集団の誕生
 
 ∧∧
(‥ )ある日、その外から
\‐   侵略者が旧帝国に
     やってくる
 
  (‥ )外へ向かった魔女の一部と
      暴君を支えた女性だけの
      軍団の融合集団だ
 
 心身能力を極限まで高め、女性による支配を特徴とするおびただしい軍勢。旧帝国はあっという間に彼女たちに支配されるが
 
 ∧∧
( ‥)だが必死に対抗する旧帝国の
    魔女たちは
    おかしさに気づき始める
 
  ( ‥)誇りある女たちは
    ‐□ とてつもなく暴力的で
       逆らうものには容赦なく
       核攻撃を加えて惑星を
       焼き尽くしてしまう
 
 だがその行動はあまりにも暴力的だ。思慮がないというよりも、なにか強迫観念にとらわれているような行動。
 
 彼女たちは武器も持っている。旧帝国では見た事も構想されたこともないような奇妙な武器。だがおかしなことに彼女たち自身ではそれを作成できないし、原理すら把握していないらしい。
 
 そしてごく少数だが、彼女たちと戦う人々も外から来ている。異形の亜人類を従えた不可思議な人々。
 
 なにかがおかしい
 
 ∧∧
( ‥)捨て身の攻撃でなんとか
    会見の場をもうけた
    魔女の長は
    誇りある女たちの長に
    かまをかける
    あなたがたが
    追いつめられていることを
    知っていると
 
  ( ‥)砂の惑星シリーズの
    ‐□ あの最後のシーン
      偉大な誇りある女が
      ため息をつく場面が
      好きでね
 
 ......そうか、やつらがお前たちのところへやってきたのだね? だが奴らを信じるなど愚かなこと。
 
 予測は正しかった。尊大な顔に悲し気な表情を見せる偉大な誇りある女は、まさか魔女の長がこんなわずかな証拠と推論だけでここまで状況を把握したとは思っていない。だから自分たちの敵が目の前の魔女たちに同盟を持ちかけたと勘違いして、失望を隠そうともしない。
 
 いまや状況は明らかであり、そして、推論は正しかった。
 
 誇りある女たちは侵略者などではない。
 
 数の多さに幻惑されていたが、彼女たちは敗残者なのだ。外の世界は広大で、彼女たちはほんの一握りの生き残りでしかない。圧倒され、叩きのめされ、すべての反撃はまったく無意味で、絶滅寸前に追いつめられて、狩り立てられ、命からがら旧帝国へ逃げて来たのだ。なんとか反撃の体勢を整える。ただそれだけのために。そのためにはどんなことも必要だった。彼女たちの度を超した暴虐さは、追いつめられたものが示すあがきでしかなく、彼女たちの武器。これは敵のものを鹵獲したもので、自分たちでは複製することも修理することすらできない。そして彼女たちを追いつめる存在、ワンズ・オブ・メニフェイス。たくさんの顔を持つもの。
 
 おそらくは外の世界で完全自立型へと変貌したフェイスダンサー。
 
 ∧∧
(‥ )でも、作者のハーバードさんは
\‐  これが絶筆。しかも、最後は
    シリーズの登場人物全員が
    外の世界へ飛び出して
    終わるという
    ぶっ飛びの最終回
 
  (‥ )ナルニア国物語みたいな
      ものじゃね?
      登場人物全員涅槃みたいな
 
 ジャンプドアシリーズもそうだけど、あの人はどういうわけか、女性に依存する一方で、女性の支配から脱出しようとする男性の姿を執拗に描く。ポウル・ムアドディブは母親から逃げ出そうとしてあがき、最後は愛するチャニのために破滅する。神皇帝もそうだし、ジャンプドアのチェオはアブネーズに取り込まれて彼女と共に存在を停止し、マッキーはジェドリックと融合してしまう。そして砂の惑星の最後にいたっては、最後の最後に誇りある女たちに支配される旧帝国から全登場人物が逃げ出すわけで、この業は、もはや壮観としか言い様がない。
 
 ∧∧
( ‥)でもあのシーンは好きだと
 
  (‥ )なんかね、ああ
      終わっちゃうんだという
      寂寥感があってね
 
 
 

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