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2013年7月15日月曜日

原因の候補は無限大に存在し、選定と検証は混乱する

 
 hilihiliのhilihili: 似ているようで、この議論、重大な相違点があり、混合されているの、さらに続き
 
 ∧∧
( ‥)逃げる逃げないはともかく
 
  ( ‥)僕らは単純にこう
    ‐□ 考えるよね。
 
 再現実験できるものが科学である
 
 これは言い換えるとこういうことだ。
 
 物事には再現できるものがある。私はそれを信仰しています。
 
 という宣言。
 
 *これは再現できるものが科学で扱えるものである、という主張でもある。
 
 **この主張は、「私の人生は再現できないので、私の人生にも経験にも、ましてやそれに基づいた研究も科学ではありません」というかなり間抜けな主張に聞こえる。だから内容それ自体にはあまり意味はないけども、ともかく、話の導入としてここで取り上げる。少なくとも、経験的に検証するには実験がひとつの手でしょう、という意味では正しいのだろう。
 
 ***言い換えると、検証方法は発見、観測、観察、発掘、整合性など色々な方法があるのに、実験だけを取り上げて振り回すから議論がちんちくりんになるんだろう。
 
 
 ∧∧
( ‥)でっ、問題はですよ
 
  (‥ )再現って簡単に言うけどさ
      何を再現したのさ? 
  
 水に塩を入れると塩水が出来る
 
 ∧∧
( ‥)
  ‐□□ コップの水に塩を入れました
     ボウルの水に塩を入れました
 
  (‥ )はい、容器が違いますね。
      どこが再現ですか?
 
 というか、実は何もかもが違っているんである。容器も違う、部屋も違う、塩も水も、それらは化学式で書けば同じであるが、産地も違えば、違う分子で構成されている(ごく微量だが同じ分子が入っている可能性はある)。
 
 ∧∧
( ‥)時刻も違えば、場所も違うし
    天気も温度も気圧も、
    周囲にいる人や物品の配置、
    天体の位置や地球の座標も
    違っている。
 
  (‥ )これの何が再現なんだい?
 
 どこが再現なんだよ、何もかも全然違うじゃないか。
 
 ∧∧
( ‥)水に塩を入れるときには
    そうした違いはほとんど
    まったく関係ない、
    そう指摘されるでしょうね
 
  ( ‥)ということを、僕らは
    ‐□ 経験で知っているのだ。
      塩水を作る時は、
      容器、水、使用する塩、
      作る人、地球の座標、
      天体の位置、いずれも
      関係ないとね。
 
 
 ∧∧
( ‥)馬鹿げた話に聞こえるけども
 
  (‥ )実はこれ、結果に影響を
      及ぼしうる原因の候補は
      無限大に存在するって
      ことなんだよね。
 
 単に私たちは、無限大に存在する原因の候補のうち、それらの中のひとつ、あるいはせいぜい2、3のものだけが原因そのものである、と経験的に知っているだけなんである。
 
 ∧∧
( ‥)...というのは実は多分、
    間違いで。
 
  (‥ )無限大にありうる候補から
      なにをどうしたものか、
      幾つか選んで、
      原因はこれだろ? って
      当たりを付けて、確認を
      しただけなんだよね。
      確認するという意味では
      経験的なんだが、
      経験的だ、だけですむ
      話じゃあないね。
 
 
 実際、純粋に経験的に行うのなら、私たちはひとつの事柄について、無限にありうる原因の候補を全部しらみつぶしに確認しなくちゃいけないことになる。
 
 しかし、そんなことはしていない。本当にそんなことしたら原因を探り当てる前に死んでしまう。
 
 原因を知る前に死んでいないってことは、経験的うんぬん以前に、何らかの方法であたりをつけたのだ。
 
 ∧∧
( ‥)人によっては天体や地球の
    座標なんか関係あるかって
    言うかもしれませんが
 
  (‥ )しかしだな、
      実験の種類によってはさ、
      さっき述べた要素が
      実際に影響を及ぼすのよな
 
 水からいつもよりも多く光が発せられたのは、大マゼラン星雲の超新星爆発のせいかもしれない。星の位置がわずかにずれて見えるのは太陽に対する地球の位置が原因かもしれない。化学反応がどうもうまく進んでくれないのは室温が低いせいかもしれない。おかしな年代が出たのは過去の核実験による放射性物質の汚染かもしれないし、変な値が出たのはビーカーに残っていた指紋のせいかもしれない。
 
 ∧∧
( ‥)あなたがたは因果関係の
    候補をあらかじめ
    絞り込んでいる
 
  ( ‥)僕らは前もって
    ‐□ 取捨選択している
      わけなんだ。
 
 水に塩を入れる。それが水がからくなる原因である。
 
 ∧∧
( ‥)水はそのまま放置すると
    水のままだが、
    塩を入れたときだけ
    からくなる
 
  ( ‥)他の要素は変動しているのに
      水はそのままでは
      からくならない。
      しかし、塩を入れると
      からくなる。
      だから塩が味をからくする
      原因だろうとあたりをつける
      多分、そんなところだよね。
 
 ∧∧
( ‥)そういう意味では
    経験を使っているわけですけど
 
  (‥ )でもこの場合はあれだよね
      原因ではないものを
      候補から消去することに
      経験を使うわけだ。
 
 考えてみればそりゃあそうなのだ。初めての出来事が起きたとき、それは初めての経験であって、経験を積み重ねたものではない。
 
 ∧∧
( ‥)あぶり出された
    特異なものを関連づけている
 
  (‥ )だから...なんだろうな。
      初めてのものでも
      これとこれが
      原因と結果ではないか?
      とあたりをつけることが
      出来る。
 
 経験を使ってはいるけども、経験的にこれが原因です、という論法とはちょっと違うと言えばいいか。
 
 ∧∧
(‥ )初めて遭遇する病気、
\‐   そして環境中から見つかる
     工場から放出され、
     魚介類に含まれる
     重金属化合物の存在。
 
  (‥ )初めての経験だけども、
      この二つの関連を
      疑うわけだね。
      そもそも関連を
      疑わなければ
      調べないからな。
 
 
 ∧∧
( ‥)これを考えると、
    因果関係の選定は推論としては
    非常に大胆じゃないですかね?
 
  (‥ )これとこれが重要だろう
      そう当たりを付ける。
      しかも、
      初めてのものでも関連を
      疑うわけだから、
      単純に経験とか言えるもの
      では当然ないよね。
      では論理か、というと
      どうなんだろうねえ。
 
 塩を入れると水はからくなる。
 
 塩を入れないと水はからくならない。
 
 周囲のものは色々と変化している。だが水はからくならない。
 
 周囲のものは色々と変化している。水に塩を入れるとからくなる。
 
 ∧∧
( ‥)だから塩が水をからくした
    原因であろう。
 
  (‥ )ところがさ、
      こういうことがあるのよな
 
 周囲のものは色々と変化している。地震は起きない。
 
 周囲のものは色々と変化している。地質調査で掘削を行ったところ、地震が起きた。
 
 ∧∧
( ‥)ああ、日本海側のどこだかで
    実際にあった、という話ね
    おかげで地元で悪い噂や
    デマが流れて、掘削調査が
    出来なくなったという。
    でも、これ、たまたまでしょ
 
  ( ‥)問題はさ、地震の経験や
    ‐□ 地震のメカニズムを
      知っていると、そうは
      思わないけども、
      理屈の形式としては
      塩水がからいのは塩が
      原因であろうと、
      同じなんだよね。
 
 少なくとも、初めて遭遇した場合はそうだ。あるいはこう。その場所で、という限定がつくと多分、これは成り立つ。
 
 つまり信じている人は塩水がからいのは塩のせいだ、と思うのと同じぐらいの強さで、掘削調査で地震が起こる、そう考えているんだろう。少なくとも推論の形式は同じだ。
 
 ∧∧
( ‥)じゃあ、掘削と地震に
    因果関係がある、と言えるか
    それを統計的に調べるべき
    ですね。
 
  (‥ )そこで気づくことがあるな
 
 
 掘削と地震に関連はあるか? それを統計的に調べる。これはもはや因果関係の選定ではない。これとこれが原因と結果じゃね? というすでに選定された因果関係が、本当に妥当であるか、それを調べているのだ。
 
 選定ではない。あたりをつける、ではない。選んだものを検証するのだ。
 
 ∧∧
( ‥)経験を超越した推論。
    今度はその推論を
    経験的に検証しよう
    という話になりました。
 
  ( ‥)ところがだよ、
      すでに因果関係を導いた
      人たちは統計なんか
      知ったこっちゃない、
      そう思うだろうな。
 
 慌てて逃げ惑って引っ越しを繰り返したあげく、我が子のじんましんは放射能のせいだ、と思っている人は、統計なんか知ったこっちゃないだろう。事実、電話をがちゃんと切ったのはそういうことだ。
 
 ∧∧
( ‥)逆もありえますね
    工場排水の重金属が
    病気の原因だという
    因果関係は統計的に
    検証されていない。
    だから因果関係の選定、
    つまり、
    特異な病気に特異な汚染が
    関連している、
    この推論は正しくないと
    主張する。
 
  (‥ )理屈の形式としては
      どれもありうるのだ。
      形式だけを見たら
      識別できない。
      だからだろうけど、
      こう考えるとだよ、
      因果関係の選定と
      因果関係の検証を
      ごちゃまぜにした
      混乱は実はものすごく
      多いと思うのだよね。
      
 
 

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