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2017年1月7日土曜日

20ページ時代 遺伝子はさながらクトゥルウである

 
 昨日…もう日付は変わったから一昨日であるのだが、山へいった=>hilihiliのhilihili: 岩物語2017
 
 
 ∧∧
( ‥)そうしたら足の
    筋肉が痛いのね
 
  ( ‥)なんだろうな
    − 山を登っても
      こんな痛みは
      なかったのだが
 
 多分、使わない筋肉を使ったということなんだろう。大腿部の前方部分とか、なにやらみょうちくりんな部分が痛いのである。
 
 ∧∧
(‥ )落石だらけの場所で
\−  隙間を
    踏み抜いたりしないよう
    ぐらついた転石を
    踏まないよう
    そのため
    足でがんがん
    周囲を蹴って探りながら
    歩き回ったせいでは?
 
  (‥ )歩いた距離なんて
      せいぜい1キロだし
      上下移動も
      数十メートルだったからな
      そんなところだろうな
 
 さて
 
 先日出した本「いでんしずかん」=>Untitled Document
 
 ∧∧
( ‥)遺伝子を擬人化して
    その働きを紹介するという
    ものであって
    一応、漫画だね
 
  ( ‥)なんか初めて出した
    −/ 同人誌みたいに
       なっちゃってるけど
       これがさ
       知識職の知人から
       難しいと言われて
       しまってだな
 
 1遺伝子につき基本、2見開き。カラーの立ち絵と700文字程度の解説。そして1見開きの白黒解説漫画が続く。
 
 そういうわけで漫画の吹き出しの台詞が多い。
 
 知識職。非常に抽象的な言い方だが、要するに頭を使う職種のことだ。
 
 その知識職の人から見て漫画が難解とは、これは情報の詰め込み過ぎか?
 
 ∧∧
( ‥)それもあるかもしれないけど
    少なくともその人は
    訳が分からないと
 
  (‥ )遺伝子の名前は機能と
      真逆なことが多いから
      訳分からんと
      言っておったな
 
 遺伝子は、機能喪失で見つかる。そして喪失から名前がつけられる。これゆえ、名前と役割が正反対であることが多い。例えば、ショウジョウバエの遺伝子で最初に見つかった遺伝子ホワイト。冒頭9ページで登場するこの遺伝子からしてそうだ。









 



 
 ∧∧
(‥ )名前はホワイト
\−  つまり白なのに
    その役割は目を赤くすること
    なのである
 
  (‥ )ホワイトって今でも
      具体的なことは
      良くわかってないらしいな
      どうも細胞に色素を
      取り込む
      チャンネルのような
      役割を果たすらしいが
 
 ともあれ、名前と機能がまるで逆。こういう遺伝子が多い。この本では第4章で登場するドーサルなんかその典型的な例だろう。名前はドーサル、つまり背中、なのに、その本来の役割は腹部の指定だ。
 
 ∧∧
(‥ )ドーサルが機能停止すると
\−   腹部の指定が失敗して
     幼虫の体から腹面が
     消滅してしまい
     全身が背中になってしまう
  
  (‥ )だから名前は
      ドーサルなんだよな
      最初調べた時は
      おいらも頭が
      こんがらがったよ
 
 ∧∧
( ‥)それを踏まえて
    もっとだらだらと
    説明する
    本にするべきでしたかね?
 
  (‥ )ふきだしひとつあたりの
      台詞を減らして
      漫画の解説を
      1遺伝子につき
      2見開きにする
      そういうやり方だよな
      ふむ…それをやると
      テキストの部分を
      減らさねばならんね
 
 
 ∧∧
(‥ )この本、1見開き片面の
\−  テキストの説明を
    漫画で反復しているから
    全ページ数の4分の1が
    本体なんだとも言えるよね
    残りの4分の3は
    水増しした部分である
 
  (‥ )その3:1でも
      詰め込み過ぎだから
      5:1に薄めよと
      いうことか
      それってつまり
      人類が読める
      本の限界の厚さは
      20ページだということ
      だよね?
 
 
 ∧∧
( ‥)まあ1万5000文字程度って
    ことだな
 
  ( ‥)1万5000文字で
    −/ 説明せよか...
       それちょっと難儀だな
 
 ∧∧
( ‥)人類が読めるページ数は
    最大20ページだと仮定し
    1万5000文字程度で
    説明を要約せよ
    不可能か?
 
  (‥ )んーまー
      可能ではあると思うよ
 
 とはいえ、難儀には違いない。さて? ではどう要約したものか。
 
 ∧∧
(‥ )娯楽小説だと
\−  先日話題にした
    ドラゴンライダーのように
    1巻35万文字で上下巻
    さらに続き物なんて本も
    あるんだけどね
 
  (‥ )そりゃあ物語は
      人間の認知に沿った人工物
      黒魔術回路に適合した
      創作物だからだろ?
      だから通常限界の20倍に
      耐えられるだけで
      生物学は
      人体の黒魔術回路に
      対応しておらんぞな
 
 例えば「いでんしずかん」で登場する遺伝子のうち、グルーチョ、ドーサル、APCなどはスイッチを切り続けることでスイッチを入れる役割を果たす。これは人間の設計思想と根本から異なる異質な仕組みである。簡単に理解できるものではない。
 
 しかもこれ重要なのだ。APC遺伝子が機能喪失すると、細胞増殖が暴走し、大腸がんが発生する。
 
 ∧∧
( ‥)そういう意味でいうと
    生物の遺伝子とは
    クトゥルウ神話ですなあ
 
  (‥ )人類とその知性には
      まったく異質な概念
      覗き込んだ我々の
      知性をあざけり笑い
      冒涜する概念
      そんなクトゥルウの
      ような存在が
      こんな身近にいた
      しかもそれこそが
      人類を作り
      その知性さえも支配する
      ここにあるのは違和感と
      非常識だけの深淵だ
      これでは娯楽には
      なりえない
     
 
 なれば娯楽小説の35万文字など不可能。やはり20ページが限界であると見るべきなんだろう。
 
 ∧∧
(‥ )少なくともあなたにとって
\−  本は20ページ時代に
    突入ですか
 
  (‥ )まあなんだ
      薄い本の時代だな
      
      
       
   

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