自己紹介

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2016年12月30日金曜日

あなたは理念の人でした

 
 ∧∧
(‥ )アメリカのオバマ大統領
\−  ロシアがアメリカ民主党に
    サイバー攻撃を
    仕掛けたとして
    アメリカ駐在の
    ロシア当局者に国外退去を
    命じたと
 
  (‥ )もう辞めるから
      やりたい放題なのか
      実行しても
      トランプ政権になれば
      米ロ関係は修復されるから
      やってもいいでしょー
      なのか
      なんともなあ
 
 ∧∧
(‥ )オバマさんと言えば
\−  南アのマンデラさんのご葬儀で
    キューバ代表と握手した上で
    キューバとの和平へ
    踏み出したり
    イランとの関係を改善し
    さらには日本の広島に訪問して
    安倍さんと真珠湾で慰霊したり
    シリアの毒ガス使用問題で
    アメリカは世界の警察ではない
    という意見を引用して
    I agree と言ってみたり
 
  (‥ )彼の理念は立派だよね
      列強同士の関係は
      純粋に力と面子で
      決定されるから
      理念なんか
      意味ないじゃんと
      批判はされるだろうが
      理念は立派だな
 
 そうしてトランプ大統領当選を画策したロシアのネット工作があったと断じて、外交関係者追放。
 
 ∧∧
(‥ )オバマさん
\−  よくよくトランプさんが
    気に入らないですかな
 
  (‥ )リベラルを金科玉条とする
      人々にとって
      トランプのおっさんは
      打倒すべき悪魔のような
      ものだろうからな
 
 ∧∧
(‥ )こういうことには
\−  即座に断固たる行動に
    出るわけですか?
 
  (‥ )現実よりも理念を
      優先するし
      理念が傷つけられたら
      脳神経が発火するような
      人だってことだろう?
 
 まあ、そういう理念を優先することも大事なことではあるんだろう。
 
 アメリカ人の世界観は西部劇のごときもの。色つき土人は悪で殺して良く、我々白い文明人が世界を啓蒙するという阿呆みたいな世界観だ。
 
 これは大虐殺に向いている世界観であるし、ある意味では非常に民主主義的でもある。民主主義が虐殺と奴隷化しかできなかったことは歴史を見れば明白だ。優生思想と大虐殺、文明破壊こそが民主主義の本質である。
 
 しかし、現実世界を統治するにはこんな世界観では無理と齟齬がある。

 このようなアメリカの失敗した世界観のもとでは、世界平和という理念が、隙間を埋めてくれることもあろう。
 
 ∧∧
(‥ )事実、アメリカの識者は
\−  シリア内戦ではアサド政権を
    批判するだけですからね
 
  (‥ )独裁者は
     民主主義の敵だから
     独裁者がいる側こそが
     悪であるという
     単純な枠組みで世界を
     解釈しているって
     ことだろうな
 
 別にそう解釈すること自体はかまわない。間違った仮説でも正しい結論を導くことがあるのだから。
 
 だがしかし、独裁者がいる政府側だけが虐殺していると報じるとなるといかがなものか。
 
 ∧∧
( ‥)そりゃどっちも同じことを
    しているでしょうからな
 
  (‥ )しかもあれ事実上の
      民族紛争かつ
      宗教戦争だからね
      お互いに相手を
      容赦しないし
      善悪で操作できる
      現実ではないだろう
 
 少数派アラウィー教徒と多数派アラブ人との戦争。
 
 団結力があるアラウィー側は周囲が山に囲まれた大きな港町。これではいかにも補給完備の要塞のようなもので倒せそうにない。それにそもそもアラブ人は個人主義過ぎて戦争が苦手だ。
 
 ∧∧
(‥ )アサドさんが負けるわけ
\−  ないのである
 
  (‥ )反アラブのイランと
      黒海から出る橋頭堡を
      築きたいロシアが
      アサド側につけば
      もう事態は決まりよな
      どちらもアラブより
      戦争が強いからねえ
 
 独裁者を倒せばシリア内戦は収まるだろう、なんていう理解では扱いきれない問題がここにある。
 
 ∧∧
(‥ )でもアメリカの識者は
\−  アサドという独裁者を
    倒せば物事が丸く収まる
    そう主張して
    そう言う枠組みで
    世界を解釈してしまう
    フセイン政権を打倒すれば
    イラクが民主国家になると
    信じ込んで失敗した時から
    1ミリも変わっていない
 
  (‥ )まあそういう時にだ
      アメリカは世界の警察では
      ありませんと言った
      オバマ大統領の主義主張が
      アメリカ人に蔓延している
      馬鹿解釈に歯止めをかける
      ということは
      あったのだろうね
 
 実際、イラク戦争の失敗後で体力がなかったという現実的な理由があったとはいえ、アメリカはシリア内戦に深く踏み込まなかったのである。
 
 しかしオバマ大統領の理念もまた現実を扱えるようなものではなかった。実際、いつまでたっても独裁者の退陣を求めたのはそういうことだろう。
 
 ∧∧
(‥ )独裁者うんぬん以前に
\−  少数派アラウィーの
    代表者が退陣するわけ
    ないですからね
 
  (‥ )安定していた
     少数派アラウィーによる
     多数派アラブの支配を
     不安定化させたという
     失点はあるにしても
     アラウィーの人たちから
     したら我らの大統領で
     退陣させられないよな
     それに退陣されても
     困る話よ
     次になる人は誰だって
     問題があるし
 
 これを踏まえると、オバマ大統領のアサド退陣すべしは、単純すぎる理念に基づいただけで、まったく非現実な提案であったということになろう。
 
 ∧∧
( ‥)もちろんそれは
    馬鹿理念を信じている
    アメリカの有権者向けの
    ポーズにしかすぎないと
    言うこともできるけど
 
  ( ‥)でもこの期に及んで
    −/ ロシアとトランプに
       強硬姿勢だろ?
 
 これはやはり、オバマという人は現実離れした理念の人であった、ということであろうか。
 
 ∧∧
(‥ )トランプさんは
\−  どうなりますかねえ?
 
  (‥ )物事を最終決定するのは
      物理的な要因なんだよな
      でも失敗成功以前に
      物事をするしないの
      決断は理念が決める
 
 今のアメリカは体力を失った。しかし一方で次期政権は共和党で外向き。
 
 ∧∧
( ‥)まあだから同盟国に対して
    軍事費の増額を求めている
    わけなんだけども
 
  ( ‥)急激に軍隊を後退させたら
    −/ オバマ政権がしたように
       戦争が起こるのだよね
       しかし共和党は外向きだ
       その均衡で状況が
       決定するというのなら
       当初、思っていたよりも
       普通の状態に
       落ち着くかな
    
      
  

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