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2014年12月6日土曜日

読書が文化的であるとは知的不健康デブの言い訳

 
 日付が変わり、外に出てみると、妙に空が青く感じた。月が出ていてひどく底冷えのする夜だ。散歩とかをする気には少しなれない。
 
 ∧∧
(‥ )寒波が来ているとか
\‐  そんな話でしたね
 
  (‥ )さっき見たら
      霜が降りていたよ
 
 ここは神奈川、まだ凍結も雪もないが、とはいえ冷える。そして霜だ。
 
 さて
 
 なんとなく検索をかけていたらリンク先のamazonと、本と書評にいきあたった。
 
 ∧∧
(‥ )ああたしか恐竜絶滅は
\‐  隕石衝突のせいじゃない
    むしろ大噴火が
    絶滅を引き起こした
    そう主張している本だよね
 
  (‥ )古生物学や
      地学の人からすれば
      トンデモと揶揄される
      たぐいの内容の奴な
 
 さる院生の人が内容を引用して曰く、この文章の中で正しい箇所を答えよ、と
 
 確かにあきれるのはよく分かる。たった一文になにをどうやったらこれだけ間違いを詰め込めるのだ?? と思えるような内容だ。

*学説の趨勢自体を要約すると、恐竜絶滅は隕石によって引き起こされた、この隕石衝突説が出た時に、ほとんど慌てるようにして対抗馬として作られたのが火山説であった。しかし隕石衝突の証拠が次々に出てくる一方、火山説はまったく証拠が見つからない。ついに火山説派は、隕石衝突があったことは認めるけども、絶滅は火山で起きた、という意見にまで後退した。なぜなら絶滅がじょじょに起きているからだ、それが根拠であったが、これも見せかけであった。化石データが増えるにしたがって絶滅が急激に起きたことは明白になっていった。化石記録の多い生物群からそれが確認されていき次々に外堀は埋められた。有孔虫、腕足類、アンモナイト、二枚貝、2000年以降になって、ついに恐竜も急激に滅びたことが明らかとなった。恐竜は衰亡なんぞしていなかったのである。火山説派による最後の反論は隕石衝突は絶滅の30万年前に起きた、という主張であった。だがこれは心霊写真が根拠である。この説を話で聞いた人はいるであろう。信じている人もいるのではないか? だが信じる人が、あの論文を読んでいないことは明白だ。あれを読んで、あの写真を見て、それでもなお賛成出来る人は、まあ、相当な変わり者である。あれを信じるくらいなら、UFO写真から異星人の実在を信じる方がまだ説得力があるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )でもamazonの書評を見ると
\‐  先の書籍は
    分かりやすいって
    書いてあるね
    隕石衝突の絶滅に
    違和感を感じていたから
    納得したとか
    そういう意見もある
 
  (‥ )違和感に納得
      腑に落ちたか...
      読者って奴が
      なんの目的で本を読むのか
      それがよく分かる内容だな
 
 読者は本を読んで知識を知りたいのではない。
 
 読者は反証を探すことで自分の考えが正しいかどうか、それを確かめるために本を読むのではない
 
 読者は自分にとって都合の良い文章を探しているだけだ
 
 ∧∧
( ‥)そういうことだと
 
  ( ‥)amazonの書評は
    ‐/ 書評した人間が
       何を読んだのかも分かる
 
 その意味で言えば、amazonの書評ときたら、それはもう破廉恥なストリップショーも真っ青な開陳ぶりだ。自分の脳内とその脳みその出来を、これでもかと見せつける。
 
 事実、ざっと見ればまあ、なんだ、そりゃあこんなトンデモ本にひっかかるよな、という読書内容である。
 
 まず一般書籍を読んでいる
 
 まずライターの書いたものを読んでいる
 
 業績の無い研究者が自分に都合良く書いたものを読んでいる
 
 論文の引用の無い本を読んでいる
 
 教科書とされるものをまったく読んでいない
 
 好きなものだけを食べ過ぎなのだ。これではチョコとポテチとコーラだけを飲み食いした不健康デブと変わりない。頭の糖尿病である。
 
 ∧∧
(‥ )脂肪じゃなくて
\‐  脳におかしな知識が
    どんどんついていく
    理解が肥満化する
    と言えば良いですかね
 
  (‥ )大人ってのは
      底抜けの馬鹿だな
      人参を食べろと言われない
      そういう立場になったら
      もう野菜なんて
      食べやしないのだ
 
 そしてもうひとつ、特筆すべきことがある。
 
 彼らの読書には論理的な本がぞろぞろと並ぶ。
 
 ∧∧
( ‥)やっぱ論理的というのが
    落とし穴ですか
 
  ( ‥)論理は少ない手がかりから
    ‐□ 世界を演繹してしまう
  
 世界を演繹できるから、分かった気になってしまう。
 
 考えてみれば、これは古くからそうであった。プラトンは数学を...彼の言う数学は証明であるが、証明を行うと自明の理から次々に理が定められる、定理が得られる、そうして真理に近づける。このように主張した。
 
 ∧∧
(‥ )でもユークリッドの原論では
\‐  二次方程式を十分に
    解く事もできず
    円を360度に分割することも
    できない
 
  (‥ )原論では三角関数が
      不完全にしか
      導けないからな
      その意味においては
      プラトンの世界は
      星占い以下なんだよね
 
 ユークリッドの原論では星占いでさえも不完全にしか解析できない。これで真理がどうの、馬鹿げているだろう。
 
 *もちろん、原論が悪いわけではない。原論は偉大な書物であり、そして必要不可欠の基礎なのだ。例えばプトレマイオスのアルマゲストは、原論を熟知していることを前提にした書き方になっている。
 
 ∧∧
( ‥)当時の研究者は
    原論全13巻を
    熟知しているのが
    当然だったのだろうね
 
  ( ‥)だが限界がある
    ‐□ しかもプラトンは
       原論以前の人間だ
 
 これで真理だ自明の理だの、愚か者のたわ言でしかないだろう。
 
 かように論理と演繹はあまりも手が短い。必要不可欠ではあるが射程が短すぎる。
 
 ∧∧
( ‥)でも、
    その狭い射程の世界で
    満足する人たちがいる
 
  (‥ )そういえばさっきの
      トンデモ本を書いた人も
      論理が大好きだったよ
 
 論理が好きすぎて、トンデモ本が大嫌いな人であった。
 
 だが、自らがトンデモになってしまった。
 
 そのことを思い、そしてプラトンが真理に至る道と信じた証明も、そのままでは星占いで使う事すらできないレベルであり、分度器を作ることすらできなかった。そのことを考えると、色々なことが理解できよう。
 
 ∧∧
(‥ )論理は必要だけど
\‐  論理で満足するわけには
    いかない
    そのもっと先へ
    そしてもっと現実と
    照らし合わせて
    検討しなければならない
 
  (‥ )論理と理解に逃げるな
      そういうことだね
 
 そもそもこうではなかったか?
 
 調べたくない。調べるのが面倒くさい。だから論理で分かった気になりたかった。それだけではなかったか?
 
 論理だの演繹だの、実際には手抜きの言い訳ではなかったか?
 
 そして、読書とは、やはり現実逃避ではなかったか?
 
 読書とは知的行為である。本を読むと頭が良くなる。そういう言い訳と文化の香りを逃げ口上にして、ただただ怠惰へと押し流される。その隠れ蓑として読書などという行為に走ったのではなかったか?
 
 ∧∧
( ‥)あなたは本を読む人が
    大嫌いだからね
 
  ( ‥)ポテチばっかり
    ‐/ 食ってる奴がいたら
      ちょっと距離を置きたく
      ならないかね?
 
 しかもただのデブではない。脳がデブなのだ。不健康にデブなのだ。これはちょっと暑苦しすぎる。
 

 

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