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2014年12月29日月曜日

存在が手抜きになるのなら昆虫になるべきだ

 
 人間は35歳を過ぎると、急激に体力が衰え始める。
 
 ああ、間に合わない、走らなければ! しかし、もう体が動かないことに気づいて、愕然とする。
 
 あるいは子供の運動会に参加して急死する。
 
 ∧∧
(‥ )時々あるみたいね
\‐
 
  (‥ )歳を取ると
      体力を維持する体力
      それ自体が落ちている
      それゆえにだな
      知らないうちに
      日常の動作を行なう
      最低限度にまで
      体力が下落しているのだ
 
 最低限度が日常のほんのわずか上にあるのだと言える。つまりちょっとした無理をしただけで限界を越えてしまうのだ。死ぬ可能性が上がるのは道理。
 
 これに加えて弱ったことがある。どうも人間という奴は、体は面倒くさいことを避けているのだが、意識がそれを認識しない。そのくせ意識の方は、以前はこれが出来た! という過去の経験に基づいて行動するようなのだ。
 
 ∧∧
( ‥)ようするにあれだね
    体力が低下するから
    体力を使う動作は避けている
    これは訓練しないのと
    同じだから
    体力は必要最低限度にまで
    落ちている
    だけどそれは自覚していない
 
  (‥ )だが意識の方は
      過去の経験に基づいて
      ”これは出来る”で
      行動するわけだ
 
 
 なんでこんな作りになっているのかは知らないが、これが意味することは深刻だ。
 
 体力が低下する行動を無意識に累積させているのに、意識の方は体力の低下を考慮しないで動作するようになっている。
 
 ∧∧
(‥ )つまり歳を取ると
\‐  体力の限界を
    容易に突破して
    行動してしまう
    必然的に
    そう出来ているわけだね
 
  (‥ )これはおそらく
      体が生み出す
      物理的な力に限った話では
      ないんだよね
 
 頭も同様だ。
 
 脳は膨大なエネルギーを食う器官である
 
 人間の代謝量は年齢と共に落ちる
 
 なれば、脳を動かす負荷は加齢に応じて相対的に大きくなっていくはず。
 
 ∧∧
(‥ )しかも経験という問題が
\‐  ここでも顔を出すでしょうね
 
  (‥ )以前やったことを
      ただ反復するようになる
      なぜか?
      成功体験が神経に
      刷り込まれたからだが
      他の選択肢を再検討する
      余力がもはや無い
      それも原因だろうな
 
 要するに先日の話の続きである=>hilihiliのhilihili: 老人と星
 
 夕暮れの空に輝く火星の位置を、直角定規と三角法で求める。古代や中世期に行なわれた古式ゆかしい天体観測の方法だけども、自分がそれをしていると、老人が話しかけてきた。何をしているのか? と
 
 星を見ていると言ったところ、老人は火星を見つけることができず、近くにあった三日月を見て、あれは星じゃないよ、月だよ、と言った。
 
 つまり、老人の脳内では、自分が星を見つけられない、という可能性が考慮されなかったのだ。
 
 この人は星を見ているという。
 
 だが自分に見えるのは月であった。
 
 星を見ていると言ったこの人は、月を見ているに違いない。
 
 老人のこの推論過程は手抜きである。
 
 ∧∧
( ‥)もう脳にエネルギーを
    回せない
    それゆえに
    考慮し検討する選択肢や
    可能性がごく少なくなっている
 
 ( ‥)世の中の老人のしゃべりが
   ‐□ 一方的だったり
     決め付けだったり
     無意味に早口だったり
     あるいは他人の返答を
     聞く前にしゃべったり
     話を聞かなかったり
     あれは余力が無くなって
     脳の運転が手抜き状態に
     なっている
     そう考えるべきではないか?
 
 
 つまり、人間は歳を取ると、体も脳も、存在が手抜きそのものになる。そう言えば良いだろうか。
 
 将棋に例えれば、余力がもはや無いので読める手が非常に浅くなってしまい、過去に行なったことを闇雲に反復している、そういう状況かもしれぬ。
 

 ∧∧
(‥ )代謝の量が落ちる
\‐  それはそういうことだよね
    演算に回せるエネルギーが
    減ってしまう以上
    読める手はごく限られてくる
 
  (‥ )俺たちは
      年齢を重ねるに従って
      存在が手抜きそのものに
      なってしまう
      そういうことなんだが
 
 では、どうすれば良い?
  
 ∧∧
( ‥)一番良い方法は
    あれですか
    頭は馬鹿になっても
    解答探索のための
    ごく単純な手続きを
    なんども繰り返すことで
    結果的に演算を
    行なえるようにする
    そういうことですかね
 
  (‥ )昆虫がやるような手だな
      ごく単純な行動を
      累積させているだけだが
      時間さえかければ
      解答にたどり着けるように
      出来ている
 
 過去の反復が駄目なのは、それが成功体験で強化された行動でしかなく、解答探索の方法論でないからだろう。
 
 成功体験の反復では意味がない。そうではなく、解答探索の累積こそが必要になる。
 
 ∧∧
(‥ )具体的にはどうすれば良いのか
\‐  何を反復するべきか
    それが問題だね
 
  (‥ )存在が手抜きになるとは
      知能が手抜きになる
      そういうことだ
 
 人間は歳を重ねると代謝が低くなり、脳に回せるエネルギーも減る。だとすれば演算能力が低下し、読める選択肢が減るのは必然。
 
 つまり、思考が単純になる。
 
 だがしかし、それでもなお解答を探索しなければならぬ
 
 なれば、作りも動作も単純なのに、それでもなお解答を探索できる昆虫のようになるしかあるまい
 
 
   

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