サイエンスライターは、いや最近では科学者でさえ一般の人相手に”正しく理解させること”が必要なのだとか。
∧∧
( ‥)先の話→*の続きですが、
あなたはなんと?
(‥ )結論から言うとだな
理解させる必要も、分かってもらう必要もありません
∧∧
( ‥)なにゆえ?
(‥ )そもそも消費者は理解することも分かることも
望んでいないからさ。
というかこう言えばいい?
自分たちの日常生活のことを考えてみよう。私たちが必要とするのは理解することだろうか? いや、必要なのは単純に答えを知ることではないか?
そして答えを知ることは理解でもなければ分かったでもない。
∧∧
( ‥)まあ、答えが分かった、とは言いますけどね。
(‥ )だが仕組みが分かった、ではないね。
仕組みが分かった、根拠を理解した、過程を理解した、
(‥ )妥当性を理解した、ではないんだよな。
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( ‥)車を運転するのに必要とされるのはハンドル操作とアクセル、
ブレーキであって
内燃機関の仕組みや熱力学ではない。
一般的な局面においては、研究者でさえ答えを知るだけで良しとする。
(‥ )だって仕組みまで知る必要ないもんな。
∧∧
( ‥)そりゃあねえ。
そしてまた
(‥ )前から言うように、理解した、その実感、それ自体には
なんの意味もない。
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( ‥)そりゃあそうですね。
アポロは月にいっていない、ホメオパシーは良い療法、地球は平ら、世界は神様が作った、オレ様の考えた鳥の進化論は正しい、地球温暖化は嘘だぴょん、ダーウィンは間違っている、今西が正しい、アインシュタインはとんちんかん
( ‥)これを言う人たちは全員、理解している。
スタンダードが間違いであることを理解し
自分が正しいことを理解している。
∧∧
( ‥)しかし、理解は理解それ自体の妥当性を
保証しません。
そもそも科学がそうであると言える。2000年、天動説で理解してきたが、ある日から地動説で理解するようになる。
∧∧
( ‥)理解は理解を保証しない。
(‥ )というか理解という言葉があまりにも
ずさんすぎると言えばいいかもね。
現状からすると仮説Aが一番妥当です。そこで仮説Aに基づいて現象を解釈してきました。おや、新しいデータが来ました。もしかしたら仮説Bの方がAよりいいかもしれません。・・・なるほど、仮説Bに基づいて解釈すると、これまでよりもより良く現象が説明できるようです。
∧∧
( ‥)仮説Bが現状で一番妥当な仮説として
作業を進めてみましょう。
(‥ )理解とはこういう過程のどこを指すのだろうね。
全然ささない場合もある。それはオレ様理論や疑似科学を見ればよくわかる。オレ様理論や疑似科学はこういう手順を踏んでいない。
∧∧
( ‥)つまり理解という言葉はずさんだと。
(‥ )どうしようもないくらい漠然として広すぎる言葉だとも
言えるかもね。言い換えれば便利な言葉ってわけだ。
だからたぶん、みんなが普通に当たり前に、こういう局面で一番使うんじゃないだろか。
理解しました
と。
∧∧
( ‥)そして、皆は答えを知りたいとは思うけども、
答えの根拠とその妥当性については興味がないと。
(‥ )把握するまで大量のカロリーが必要だろ?
人間の脳はエネルギーを馬鹿食いするからな。
だからだ、根拠と妥当性の把握なんて
そんなことはいちいちしないぜ。
平たく言えばこう。
人間はそういう意味では理解も分かったも求めてなどいない。
∧∧
( ‥)つまり?
(‥ )読者が理解しやすいように書くというのは、
こういう意味ではまったくの間違い。
そんなことは求められていないし、望まれてもいない。
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( ‥)ようするに?
(‥ )答えだけ書けばいいんだよ。
先に書いたように、お客は実在しない。そしてお客に理解させる必要も分かってもらう必要もない。そんなことは望まれていない。
∧∧
( ‥)お客は実在しなくても、購買層は仮定されていますが
(‥ )物事の妥当性を論証すれば買ってくれるという
購買層を想定する必要はない。
物事の妥当性を論証すれば売り上げが伸びるという因果関係や相関関係は観測されたことがない。
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( ‥)つまり?
(‥ )科学を正しく理解させるという行為は
経済的には正当化できない。
というか無意味。