賭け金が足りねえと言われて慌てる人

　
　
　生物には明らかに無駄としか思えない非合理で過剰な器官が数多くある。自然淘汰でこれは説明仕切れないのだ。
　
　この問題を最初に取り上げ、ひとつの解答を与えたのは、そもそも自然淘汰仮説の生みの親であるダーウィンその人であった。
　
　∧∧
（‥　）その解答とは
＼−　　無駄な器官は異性の好みで
　　　　淘汰され進化したのだろう
　　　　というものだった
　
　　（‥　）ダーウィンのアイデアは
　　　　　　事実上
　　　　　　１３０年ばかし無視された
　　　　　　わけなんだが
　　　　　　結局これが正しかった
　　　　　　わけなんだよね
　
　次の問題点は、異性の好み、よくあるのは雌の好みで雄の特徴が進化する場合であるが、この好みによる進化に利点はあるかないか、であった。
　
　単に好みがあり、それが相乗的に過剰になるだけでもこういう進化は起こる。
　
　だがそれだけではないのではないか？　無駄であること、それそのものが利点になるのではないか？
　
　∧∧
（　‥）それを唱えたのが
　　　　イスラエルの研究者
　　　　ザハヴィさん
　
　　（　‥）賛否のある考えだし
　　　　−／　シミュレーションでも
　　　　　　条件次第で動かなかったり
　　　　　　動いたり
　　　　　　面白い仮説だけども
　　　　　　どう論証すれば良いのか？
　　　　　　いろいろ課題は
　　　　　　あったけども
　
　ともあれ、ここでは単純にこう考えよう。
　
　無駄をあえてすることこそ富と実力と健康と体力の誇示である、と。
　
　実際、そう考えると色々と腑に落ちることは多い。そしてまたこの理論は、色々と応用が効く考えでもあった。
　
　∧∧
（‥　）ザハヴィさんは
＼−　　大酒飲みが幅を効かせるのは
　　　　酒が有害だからだ
　　　　と書いてるよね
　
　　（‥　）確かになあ
　　　　　　誰も体に良いものを
　　　　　　飲んだりしないんだよね
　　　　　　寿命を縮めても
　　　　　　健康を害しても
　　　　　　体に悪いアルコールを
　　　　　　飲むのだよ
　
　もちろん、アルコールの酩酊観が楽しいからってこともあるが、楽しいだけだったらアルコールは受け入れられているのに、大麻が受け入れられていないことは説明できない。
　
　これは単なる惰性？　あるいは偏見？
　
　いやだって、大麻肯定論者自身が言ってしまうではないか。
　
　大麻よりもむしろアルコールの方が有害ではないか、と
　
　∧∧
（　‥）はい、これを言った時点で
　　　　大麻肯定論者は敗北したのです
　　　　絶望的に敗北したのです
　
　　（‥　）体に悪くないなら意味ないし
　　　　　　体に悪くなくて
　　　　　　楽しいだけなら
　　　　　　それをやる人間は
　　　　　　惰弱な奴だってことになる
　
　惰弱な趣味に走る者に対し、人間は厳しい。軽蔑のまなざしでしか見据えないだろう。
　
　さて、以上を踏まえると

　ネットの情報はタダであり、タダの情報はしょせんはタダだ、と言われて激怒する人間がいる
　
　彼らはなぜ激怒するか？　以上を踏まえるとその反応の説明は容易となろう。
　
　∧∧
（‥　）すでに述べたように
＼−　　無限にコピーできる電子情報は
　　　　それゆえに値打ちを失い
　　　　価値も失った
　
　　（‥　）それでも難解な情報は
　　　　　　読み手自信が脳を働かせ
　　　　　　カロリーを支払わなければ
　　　　　　ならないという点で
　　　　　　価値も値打ちも出てきうる
　
　だがするとこうなってしまう。
　
　カロリーを支払うことで価値があるというのなら、ネットの情報は図書館の情報に絶対かなわないと。
　
　∧∧
（　‥）図書館で調べた時点で
　　　　カロリーを
　　　　相当額支払ってますからな
　
　　（‥　）ネットでも検索する時に
　　　　　　カロリーを支払うことは
　　　　　　できるんだけどねえ
　　　　　　たいていの連中は
　　　　　　スズメの涙程度の
　　　　　　カロリーしか支払わない
　　　　　　からねえ
　　　　　　話にならねえんだよ
　
　wikiを見るどころか、検索することすらしない連中の方が世の中、圧倒的に多いのだ。世の中のほとんど全部の人間はカロリーの支出を出し渋るのである。
　
　まあそれも当然である。そもそも楽して探すための道具がネットなのだから。
　
　そりゃ出し渋りますよねえ。
　
　だがしかし、それゆえにネットの情報は
　
　本で読んだ
　
　とか
　
　図書館で調べた

　とかには絶対にかなわない。支払った額が違うのだから当然だ。
　
　∧∧
（　‥）だとすると
　　　　ネットの情報は
　　　　しょせんはタダだ
　　　　と言われて
　　　　激怒している人間は
　
　　（‥　）痛いところを
　　　　　　つかれちゃった
　　　　　　わけなのよ
　
　要するに彼らは、お前、脳を動かしていないよね？　なにお前の脳のカロリーの消費量？　それでも本当に人間なの？　お前の脳って一体全体なに？　ネズミか？　と言われて慌てているのである。
　
　∧∧
（‥　）人の脳のカロリー消費量が
＼−　　莫大であることを考えれば
　　　　脳を無駄に動かすとは
　　　　命を賭け金として
　　　　積み上げることである
　
　　（‥　）ようするにさ
　　　　　　ネットの情報はしょせんは
　　　　　　タダだって言われて
　　　　　　激怒した人間はだな
　　　　　　必死でとりつくろって
　　　　　　いるわけなのよ
　
　彼らは慌てているのだ。
　
　お前の賭け金は少なすぎる、と相手に苦言を言われて、いやそんなことはない、これが俺の精一杯なんだ！　と必死なのである。
　
　必死であるから悲惨なのだ。
　
　そもそも、お前の賭け金は少なすぎる、と言われた時、単にこう答えればいいのだ。
　
　いや十分だ。これはネットで調べたがお前が図書館で調べたよりもはるかにカロリー消費が多いのだ、それをご説明しよう。私が賭けるのはそのカロリー消費量だ。

　そう述べれば良いだけではないか。
　
　∧∧
（　‥）ネット検索でも賭け金を
　　　　ベットすることは
　　　　できるから
　　　　それを賭ければ良いのである
　　　　それをせずに怒るってことは
　　　　やっぱ賭け金が足りないの
　　　　でしょうなあ
　　　　
　　（‥　）３日調べてネットに
　　　　　情報がないことがわかり
　　　　　一週間調べて
　　　　　どうやらこの論文を見れば
　　　　　分かりそうだと当たりをつけ
　　　　　ついに図書館で探り当てた
　　　　　これならベットできるかもな
　　　　　最後は図書館だが
　　　　　場所を探り当てるまでは
　　　　　ずいぶんかかったんだよ
　　　　　時給換算すれば
　　　　　何万だろうな？
　
　もっともこの事例とて、英語でしか検索していないのだ。オランダ語、ロシア語、ポルトガル語、フランス語ではどうだったか分かったものじゃない。
　
　実際、世の中にはもっと上手がいるであろう。
　
　こちらがこれを、と賭け金を出した時、相手は
　
　ああ、それならこれか？
　
　そういってもっと少ない賭け金で同等のものを提示するだろう。しかし少ない額でありながら、それはその言語を操ってまで調べたという彼の実力を示しているのだ。
　
　∧∧
（‥　）そういう場合は
＼−　　賭け金自体が少なくても
　　　　相手の方が上手になるし
　
　　（‥　）反対にこっちの
　　　　　賭け金が相手の賭け金と
　　　　　同じ値まで暴落してしまう
　　　　　さらに上乗せして
　　　　　賭けを成立させるには
　　　　　どうしたものかねえ？
　
　これが俺の賭け金だ！　そう自信を持って出した時、その金額じゃ足りねえ、とうなる連中が目の前に出てこないことを祈ろうではないか。