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2016年10月14日金曜日

100万の理想論者よりもたった1人の下種な政治家


 男は征服王になりたいもの。
 
 だが現実の前にあきらめざるをえない。
 
 ∧∧
(‥ )そしてあきらめきれずに
\−  英雄願望をこじらせた男は
    みっともないのである
 
  (‥ )こういうのは妥協する
      ものなんだがな
      妥協とは
      身の程をわきまえないと
      いかんものであるよ
 
 妥協して、自分は王にはなれないが、王を動かす参謀になろうとする人もいる。
 
 人もいるのだが…
 
 ∧∧
( ‥)単に自分の全能感を
    満たしたいためだけに
    参謀とか黒幕に
    収まろうとする人が
    いるのである
 
  (‥ )よくいるんだ
      それでやっぱ歴史観が
      どっか狂っているんだな
      前に実際見た人は
      三国志の呉が好きだったよ
 
 なぜ呉が好きか? 魏は曹操という天才型の独裁者(少なくともフィクション上では)が統治しているし、蜀には諸葛孔明という天才がいる。
 
 ∧∧
(‥ )でも呉ならばもっと
\−  ”凡才な人々”が王様を
    皆で支えているではないか
    と
 
  (‥ )史実の人々に
      非常に失礼な話なんだが
      自分は貴族ではなく
      しかも天才でもない
      だから自分は
      曹操にも孔明にもなれない
      でも呉ならあるいは
      そこでなら俺の意見も
      そういう世界観だな
 
 正直、あきれはててしまう世界観だ。

 だが彼にあきれてしまうのは、こういう世界観だけではない
 
 ∧∧
( ‥)彼にはそもそも実力が
    なかったのである
 
  (‥ )実力はないくせに
      みなを取り仕切って
      参謀面しようとするのだ
      あきれちゃうだろ?
 
 征服王になれずに、それをこじらせた男ってのは困ったものだ。しかも実力は従わないのに口だけは出したがる。
 
 ∧∧
(‥ )自分の虚栄心を満たすために
\−  実力以上のことをしようとして
    無責任に現場を混乱させる
 
  (‥ )そいでな
      こやつも民主主義の一票が
      大事で
      皆の力が合わされば世界が
      変わるんだとか
      信じ込んでいたよ
 
 皆の力が合わされば、それは全員の利害が一致すれば、という無茶設定なんだが、平然とそういうことを言うのだ。
 
 この手の男はいっぱいいる(もちろん女にもいるが、今ここでそれは問わない)。
 
 彼らは言論の自由を唱えるが、それは正しい(はずの)自分の意見をいつでも表明する自由であり、どれだけ的外れなことを言っても笑われない権利の保証でしかなかった。
 
 彼らは民主主義を絶対視するが、実際には自分の意見を反映させうる(反映してしかるべきの)制度として信奉しているだけで、実のところ他人の意見など認めないし、反対意見など絶対に許さないのである。
 
 ∧∧
(‥ )この手の人が民主主義は
\−  多数決ではないとか
    言い出すのである
 
  (‥ )征服王になれず
      しかし王様になりたい
      そんな男が
      こじらせた末路とは
      こういうものだ
 
 じゃあ政治家になればいいじゃない? と言っても嫌なのだ。
 
 ∧∧
( ‥)政治家になるには
    毎年何百通も何千通も
    年賀状を書かなければ
    いけなかったりするしね
 
  (‥ )この手の連中はそういう
      地味な合意形成が
      できないんだよねえ
      泥の中で働かずに
      美味しい果樹が実れば
      俺が食べられるはずなのに
      という他力本願なんだ
 
 というか他力本願だから、民主主義で皆の力が(僕に都合よい方向に)集まれば、とか言い出すのである。
 
 他力本願というのは無様なものだ。
 
 彼らは毎年何百通も年賀状を書く政治家を鼻で笑って、自分は高邁潔白であると言う。
 
 だがそうしているうちに、ウサギとカメの物語のように、泥の中でもがく政治家に追い抜かれてしまうのだ。
 
 ∧∧
( ‥)それって何千年も
    同じなんだよね
 
  (‥ )ローマの軍人皇帝時代って
      個人的には面白いと
      思ってるけど
      あの時代の皇帝達って
      普通人の僕らからすれば
      まともじゃないよね
 
 50年間にぞろぞろ皇帝達が現れて、そのほぼ全員がクーデターや暗殺で殺され、あるいは自害し、あるいは敗死した。平均在位はせいぜい2〜3年程度。周囲からお前が皇帝になれと強制された者達もいるが、多くは自発的に、前任者を殺して帝位に登っている。
 
 ∧∧
(‥ )ようするにほとんど全員
\−  いつか自分もこうなると
    分かった上で前任者を
    殺害して
    そうして2、3年程度を
    生きて殺されるわけだね
 
  (‥ )まともじゃないだろ?
      あるいは
      それほどまでに帝位が
      素晴らしいものだという
      ことかもしれんけどさ
      死んじゃうんだよ?
      普通の神経ではないよな
 
 もちろん義務もあろう。事実、皇帝達はいずれも戦った。つまりは全員が義務を果たしたと言って良いだろう。だが人間は責務や義務だけでは動けない。金や権力に動かされるものであろう。
 
 ∧∧
( ‥)命を捨ててまで金や権力に
    吸い寄せられる
    それは一般的には
    薄汚いことだし
    仮に義務にかられた結果
    だとしても
    それは薄汚いことであろう
    どちらも欲である
 
  (‥ )でもそういう薄汚い
      彼らたちこそが
      帝国を次の時代へと
      調整して改良して
      受け渡していった
      わけだよね
 
 当時も確かにいた清廉潔白な知識人や文化人の理想論は世界を動かさなかった。彼らが提示した理想論のプランは、実現した後の帝国とはかけ離れたものだった。理想論は所詮、机上の空論だったのである。

 世界を動かしたのはたった2、3年の帝位に吸い寄せられ、そうして無惨に死んでいった人々であった。
 
 ∧∧
(‥ )ずっと昔から
\−  歴史を動かしてきたのは
    欲にまみれ金と権力を愛し
    泥の中で無様に
    死んでいった人々なのである
 
  (‥ )そしていつの時代も
      きれいごとを言って
      この世界は汚いと絶望し
      世界を批判し続けた
      賢い人間たちがいた
      しかし彼らの理想は
      歴史を1ミリも
      動かさなかった
      そういうことなんだよな
 
 まあ考えてみれば当たり前である。これが理想論だと言うだけで泥の中を歩くことは無い。きれいな檻の中で、この檻は理想的な檻ではない、なぜなら以下云々、そんな言葉だけをつむぎながら檻の中で死ぬまで座っている。そんな人間に世界を動かすことなど出来ぬ相談であった。
 
 ∧∧
( ‥)100万の理想論者よりも
    たった1人の
    下種な政治家の方が
    実はましなのである
 
  (‥ )これが歴史の現実って
      ことなんだろうな
  
  
   

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