自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2015年10月1日木曜日

口語にすれば分かりやすい、は間違いだろう

 
 学校図書館の司書の先生と話して曰く、最近の子供は読解力が落ちたと。
 
 
 ∧∧
(‥ )少なくともその人の
\−  感想では本を読む力が
    衰えているのだと
 
  (‥ )その通りだとしても
      衰える理由が
      ちょっと
      見当たらないなあ…
 
 ここ最近で読解力に影響を与えるような社会的な変化って、あったっけ?
 
 ∧∧
(‥ )Lineとかネットでの
\−  やり取りは増えたよね
    近年の変化というと
    これだよね
    でも
    表示が機械である以上
    活字は読んでいるわけだよね
 
  (‥ )それでも読解力が
      落ちるとしたら
      単純に文化の違いかね?
 
 
 ネットでの書き言葉は口語だ。それに対して書籍の書き言葉はなんだかんだいって、文語である。
 
 ∧∧
(‥ )単純にこの違いですかね?
\−
 
  (‥ )例えばだ
      話すように書けば
      分かりやすいですよ♡
      という
      アドバイスは以前から
      あったわけだ
      つまり
      文語の壁はこれまでも
      存在したことが分かる
 
 近年は本で活字に触れるよりも、口語を機械表示した活字(より適切にはフォント)に触れることが顕著になった。今の若者は口語を読むことに慣れているから、文語の壁が以前よりも高くなった。それだけのことかもしれぬ。
 
 同じ人間なのだから脳が持つ読解力が急激に落ちるということはありえない。急激に変わるとしたら、文化だろう。文化の壁は理解不能を生み出す。
 
 ∧∧
( ‥)それじゃあ
    これからは
    話すように本を書きますか?
 
  (‥ )話し言葉で書けば
      分かりやすいですよ♡
      か….
      あれをドヤ顔で言う奴は
      たいがいは
      文章を書いたことが
      無い奴だけどな
 
 というか、会話を理解していないのだとも言える。
 
 口語が会話なら、文語は会話たり得ない。
 
 確かに書籍とは著者が読者に説明するものではある。
 
 だがしかし、書籍において、書き手は読者の目の前にいるわけではない。つまり一対一の対話ではない。ここにはやり取りが無い。

 当然、やり取りによる返答と、聞き手の理解に合わせた現在進行形の調整は、書籍には存在しない。
 
 ∧∧
(‥ )話し言葉による説明は
\−  実のところ
    特定の聞き手相手に
    特別にその場で調整された
    その場限りの説明なのである
    分かりやすいのは当たり前
 
  (‥ )だから
      会話は意思疎通の手段に
      なるのだがな
      でもこれ
      言い換えればだ
      話し言葉は書き言葉に
      なりえないということ
      だよね


 特定の相手の理解に合わせて、質疑応答しながらする説明。それが話し言葉であり、口語。だからこそ分かりやすい。
 
 そうだとするのなら、文語調を口語調にしたから本が読みやすくなるなどということはない。
 
 口語が分かりやすいのは、口語だからではない。現在進行形で説明を調整するからだ。むしろ現在進行形で調整を進める時に使うのが口語である。そう言った方が良いかもしれない。

 だから、文語を口語に書き改めれば本は分かりやすくなる、というのが本当なら、書き改めた瞬間に、読者個人個人の理解に合わせて本の説明が各自随時適切に現在進行形で変わらなければならない。だが、当たり前だがそんなことはない。
 
 つまり口語にすれば分かりやすくなる、ということはありえない。
 
 文語は口語にすれば分かりやすくなりますよ、という考えは、属性の帰属を勘違いした例なのかもしれない。

 本当なら、”分かりやすい会話”の属性として口語があると理解すべきなのだ。
 
 だが、多くの人は反対に勘違いした。口語には”分かりやすい”という属性があると思い込んだ。

 だから文語を口語にすると分かりやすいと結論してしまう。

 もちろんこれは間違いである。口語には”分かりやすい”という属性はない。無いものをいくら累積させても0は0である。分かりやすくはならない。
 
 そもそも、話し言葉にすれば分かりやすいというのなら、対談本は話の内容が分かりやすいはずだ。
 
 ∧∧
(‥ )でも残念
\−  対談本は
    よく分からないよね
 
  (‥ )対談する人たちは
      対談する相手に合わせた
      会話を
      しているだけでな
      第三者の読者は
      置き去りだからね
      分かりやすくは
      ならないよね
 
 ならないどころか、対談本には話についていけない読者のために、編集の注が入る有様である。
 
 
 ∧∧
( ‥)キャラ同士の対話で進むという
    形式の本もあるけどね
 
  (‥ )ガリレオの天文対話とかな
      でもその手の本が
      馬鹿売れしているか
      というと
      そんなことないよね
 
 そもそも、それで分かりやすくなって馬鹿売れするのなら、出版界がそれを放っておくことなどありえないのである。もちろん、そういう本もあることはある。だが、広まっていない時点で、結果はすでに明らかなのだ。
 
 ∧∧
(‥ )さて? ではどうします
\−  分かりやすさと口語体で
    唯一成功したと言えるのは
    萌えと漫画で解説ぐらいでしょ
 
  (‥ )あれだな
      分かりやすさに必要なのは
      口語でもなく対話でもなく
      話すように語るでもない
      必要なのは感情移入できる
      キャラと顔なのかも
      しれないな
 
  
 

ブログ アーカイブ