自己紹介

イラストレーター兼ライター 詳しくはhttp://www5b.biglobe.ne.jp/~hilihili あるいは詳細プロフィール表示のウェブページ情報をクリック

2015年1月23日金曜日

果てしなき行軍

 
 文献を少し読んだぐらいじゃ実感が持てないけども、昔の軍隊において、補給は現地調達であった。
 
 ∧∧
(‥ )実際には色々みたいだよね
\‐  各自お弁当持参みたいな
    ものもあれば
    補給部隊を組織して
    それなりに運ぶ場合もある
 
  (‥ )カエサルのガリア戦記
      なんかだと
      友好部族に食料を
      供出させて
      それを船で運んだり
      あるいは現地調達
      略奪なんだよな
 
 ごく単純に考える。
 
 組織化された補給部隊がいるにしても現地で略奪するというのは、兵隊からすればボーナスであった。これは正しいのだろう。
 
 ∧∧
( ‥)カエサルさんも
    ポンペイウスさんとの
    戦いで損害を出して
    補給が足りなくて退いた時
    味方から敵に回った都市を
    攻略して略奪したよね
 
  (‥ )あれはむしろ好都合と
      思ったのかもしれんな
 
 味方だったら食い物を提供させる程度しか要求できないけども、敵だったら堂々と略奪できる。食い物、金などの財産だけじゃない、人間を捕まえて売ればそれだけでもそれなりな金になろう。
 
 ∧∧
(‥ )こういう単純なモデルで
\‐  考えた場合
    軍隊はある限界に達すると
    もう動けなくなるだろう
 
  (‥ )単純に食って略奪
      食って略奪だけなら
      グンタイアリと同様
      永久に軍事活動を
      続けられるのだけどな
 
 人間はどうも違うらしい。財産を築いて、例えばの話、それから個々に繁殖のための家庭を作ろうとする。
 
 ∧∧
( ‥)つまり生活が豊かになると
    それを維持したり
    守らなければいけない
    ところが豊かな場所を
    全部略奪したら
    それ以上先へはいけない
 
  (‥ )軍隊を出撃させて
      勝ち続けても
      儲けがもはや
      出ないのだよな
 
 この場合、グンタイアリと人間の違いは蓄財するかしないかだとも言えるし、グンタイアリの場合は財産が全部次世代に変換されてしまうので、人間のような制限がないということにもなろう。
 
 本当にそれだけの違いでことが起こるのかはともかく、グンタイアリと人間は、ここが顕著に違う点だろう。実際、人間は永久に行軍しているわけではない。
 
 ∧∧
(‥ )そればかりか
\‐  組織が大型化していくと
    補給部隊が必要になり
    補給部隊を維持するために
    大変な経費を支払うことになる
 
  (‥ )前に考えたあれだな
      家族がある世界では
      生活が苦しいんだよ
      お金貸して...
      しょうがないわねえ
      これですむ話が
      福祉国家では
      国家が行なう福祉
      それを実行する補給部隊を
      維持するために
      大変な経費を支払うことに
      なる
      効率が悪くなるのだ
 
 これは当然な話で、規模が大きくなるとそれを専門に行なう部隊が必要になるし、部隊の規模自体が大きくなる。補給を円滑に行なうそれだけのために膨大な経費を支払わねばならぬし、それを省略することはできない。
 
 ∧∧
(‥ )グンタイアリさんは
\‐  そういう必要がないんだよね
    みんなで行軍して
    みんなで狩りをして
    みんなで運んで
    みんなで食べる
 
  (‥ )体が小さいことも
      あるのかな?
      体が小さいと
      筋肉の生み出す出力が
      相対的に大きい
      食い物の運搬にかかる
      経費は
      そんなに大きく
      ならないよな
 
 *トナカイを追って生活する遊牧民など、そういう人たちの生活に関してはこれを論じない。いずれにせよ、ここで問題にしているのはつまるところ金と穀物だ。そして金と穀物はトナカイではない。金と穀物は自力では歩いてくれない。人間が動かさなければいけない。
 
 人間にグンタイアリのような真似は無理らしい。
 
 
 ∧∧
( ‥)豊かな土地を占領した軍隊は
    もはや移動することは出来ぬ
    むしろ豊かなのは自分
    いまや立場は反対
    侵入してくる敵から
    国土を防衛するために
    経費をかけねばならぬ
 
  ( ‥)多分、どんな国家も
    ‐□ この原則からは
      逃れることは出来ないの
      だろうなあ
 
 例え話だから軍隊と略奪と補給部隊と経費の話にしたけども、これは結局、成功して巨大化した企業でも同じことが言えるであろうし、福祉国家とかいうしろものについても言えることだろう。
 
 豊かになってしまったら、後は支出だけがどんどん増えていく。
 
 ∧∧
(‥ )出血の量と造血の量を
\‐  均衡させることすら
    出来ないのである
 
  (‥ )事実、日本は国債を
      発行しているからな
      借金を作っているわけで
      均衡できていない
 
 こういう限界はあらゆることに言えるのだろう。例えばもし日本やアメリカが昔のような貧乏な国であったら、そうしてイスラーム世界が16世紀までそうであったように、世界でも有数な豊かな地域で先進国であったのなら
 
 ∧∧
( ‥)日本やアメリカは
    中東を侵略して
    略奪したでしょうね
 
  (‥ )でも現実はそうじゃない
      今や豊かなのはこちら側で
      言っちゃ悪いが
      貧しいのはあっちだ
 
 実際、アメリカは産油国であるはずのイラクを征服したのに、これを維持することすら出来ず、中東はめちゃくちゃ、シリアは内乱状態になってイスラム国なる集団が勢力圏を拡大する有り様。
 
 ここでこう考えてみる。
 
 例えばの話、古式ゆかしく、弓と剣術、つまり人類すべてにおいてほぼ同等と思われる力で戦争を行なうような場合、アメリカ軍はイスラム国の勢力圏へ侵入できるだろうか?
 
 ∧∧
( ‥)無理っぽいよね
    お金ばかりかかって
    進軍がストップしそう
 
  (‥ )反対は多分成り立つのだ
      イスラム国の戦士は
      アメリカ領土内に入って
      略奪し
      それで十分採算が
      取れるはずなんだよな
 
 雑な理屈ではあるけども、現実としてアメリカは産油国であるはずのイラクをすら維持できなかった。これは考えてみればとんでもない話で、それを考慮すると、この予想は正しいのではなかろうか。
    
 ∧∧
(‥ )なにもかも
\‐  経済が決定しているのだと
    そして豊かになるとは
    立場は強まるが
    必然
    出血死に至る可能性が
    高まってしまうことである
 
  (‥ )端的に言うと
      ビジネスになるのか?
      ビジネスにならないのか?
      そういうことなのだな
 
 そして思うに、日本人2人がイスラム国に捕まり、身代金を要求される事件。ああいう事件への対応も、話を突き詰めてみればビジネスの話になっているようである。
 
 ∧∧
(‥ )ああいうのはそもそも
\‐  誘拐ビジネスって
    言われちゃうぐらいだけど
 
  (‥ )というか対応策もな
      アメリカ軍がやったように
      空爆と暗殺で
      大きなコストを相手に
      支払わせる
      これって
      損を巨大化させることで
      相手のビジネスを
      成立させなくするって
      やり方だからね
 
 当たり前だが、どこまでいっても経済的な原理というか、家計簿の話に物事は帰着する。収入と支出のバランスだ。赤字か黒字か、それだけの話となる。
 
 ∧∧
( ‥)そして相手に損をさせるのが
    出来る精一杯ですか
 
   (‥ )しかし多分
       状況は厳しいのよね
       軍事的な報復で
       相手を赤字にする
       正しい策だけど
       軍事に金がかかる以上
       この選択肢自体が
       赤字だろうからな
       
 
 あちらからすれば実入りは大きいが、こちらからすれば支出ばかりが多いのである。豊かで巨大な国になった今、福祉と同様、軍隊も防衛も大変な支出が必要となる。当然、そのために大量の税金が必要となるだろう。
 
 ∧∧
(‥ )いわば状況は負け戦
\‐   富が巨大だから
    すぐに死なないけど
    出血量が多くなっているのは
    まったくの事実
 
  (‥ )それでもなお
      ローマ帝国みたいに
      これをこれから
      何世紀も続けるわけだね
 
 ∧∧
( ‥)でも日本って自衛隊を
    外に出せないでしょ?
 
  (‥ )いやいやそもそも
      軍隊が無い国だろ?
      建前は建前なんだし
      そうであればだ
      もはや
      実態はどうでもよくね?
 
 
 もう、市民軍だの徴兵制だのが意味のあるような状況ではない。そういう軍隊ではないし、そうしたところで進軍なんかできやしない。実際、無理をしてそれに近いことをやったアメリカの失敗とそのつけがそもそもイスラム国であった。素人に出来ることといったら軍人に敬意と税金を払うのみである。未来の愛国心とは熱狂的な賛美ではなく、不平をこぼしながら義務としての税金を粛々と払うということになるだろう。
 
 
  

      
  
 

ブログ アーカイブ